(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二つの基板の一方を保持する第1の基板保持手段、および、他方の前記基板を保持する第2の基板保持手段の少なくとも一方の位置に基づいて前記接触面積を推定する請求項3に記載の接合方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような基板接合装置によって基板を接合させる際に、基板(たとえば、
ウエハ)表面の平坦度のばらつきや塗布した樹脂の厚みむらなどにより、接合した基板の
間に空気だまり(ボイド)が発生することがある。このような空気だまりを発生させない
ように、基板表面の中央部分が凸になるような状態で基板を接触させ、中央部分から徐々
に接触面積を広げる接合方法が知られている。ところが、基板表面の中央部分が凸になる
ような状態で接合を行った場合、接合のために加える力が中央部分(接触部分)のみに集
中し、基板の面全体にわたり接合が均一に行われないという問題があった。
【0008】
そこで、接合した基板の間に空気だまりが発生しないようにしながら、基板の面全体に
わたり接合を均一に行うことのできる基板接合装置、基板接合方法および基板ホルダに対
するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による基板接合装置は、
二つの基板を互いに接合する接合装置であって、一方の前記基板を保持する第1の基板保持手段と、他方の前記基板を保持する第2の基板保持手段と、を備え、少なくとも前記二つの基板を含む空間が真空にされており、少なくとも前記第1の基板保持手段は、前記二つの基板を互いに接合する際に前記一方の基板の一部が前記他方の基板に最初に接触し、前記二つの基板の接触面積が前記一方の基板の前記一部から広がるように、前記一方の基板の少なくとも前記一部を凸にすることを特徴とする。
【0010】
本発明による基板接合装置によれば、制御手段は、基板の接触面積にしたがって第1お
よび第2の基板保持手段に作用させる力を制御するので、接合のために加える力が接触部
分のみに集中することはなく、基板の面全体にわたり接合を均一に行うことができる。
【0011】
本発明による基板接合方法は、
二つの基板を互いに接合する接合方法であって、少なくとも一方の前記基板の少なくとも一部を凸にする段階と、前記一方の基板の前記一部を他方の前記基板に接触させる段階と、少なくとも前記二つの基板を含む空間を真空にする段階と、前記空間を真空にした状態で、前記二つの基板の接触面積が前記一方の基板の前記一部から広がるように前記二つの基板を互いに接合する段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明による基板接合方法によれば、基板の接触面積にしたがって第1および第2の基
板保持手段に作用させる力を制御するので、接合のために加える力が接触部分のみに集中
することはなく、基板の面全体にわたり接合を均一に行うことができる。
【0013】
本発明
の参考形態による基板接合装置用基板ホルダは、基板を保持する面の周縁部の少なくとも一部を除く領域に凸の部分を有し、基板を保持する面に弾性材料を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明
の参考形態による基板接合装置用基板ホルダは、基板を保持する面に弾性材料を備えているので、基板面の一部のみが接触した場合に、弾性材料が変形し、基板の形状が変化するので、基板面の接触した部分のみに過大な力が作用するのを防止できる。
【0015】
本発明
の参考形態による基板接合装置用基板ホルダは、基板を保持する面の周縁部の少なくとも一部を除く領域に凸の部分を有し、気体または液体を充填した、中空部を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明
の参考形態による基板接合装置用基板ホルダは、気体または液体を充填した、中空部を備えているので、基板面の一部のみが接触した場合に、中空部内の気体または液体の圧力は均一となるので、基板面の接触した部分のみにおいて圧力が過大になるのが防止される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接合した基板の間に空気だまりが発生しないようにしながら、基板の面全体にわたり接合を均一に行うことのできる基板接合装置
及び基板接合方
法が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による、基板接合装置の構成を示す図である。本実施形態
による基板接合装置は、上部フレーム301と下部フレーム303とを備える。上部フレ
ーム301に第1のプレート103が設置され、第1のプレート103に第1の基板ホル
ダ101が設置される。第1の基板ホルダ101は、第1の基板W1を保持する。下部フ
レーム303に加圧装置250が設置され、加圧装置250に第2のプレート203が備
わり、第2のプレート203に第2の基板ホルダ201が設置される。第2の基板ホルダ
201は、第2の基板W2を保持する。
【0020】
加圧装置250が第2のプレート203を上昇させることにより、第2の基板ホルダ2
01が上昇し、第1の基板ホルダ101に保持された第1の基板W1と第2の基板ホルダ
201に保持された第2の基板W2とが接合される。基板がウエハである場合に、予めウ
エハの接合面に樹脂を塗布しておき、ウエハによって樹脂を挟み込むことでウエハを接合
してもよい。なお、本明細書および特許請求の範囲において「加圧」とは、基板を最初に
接合するために基板に力を加えることをいう。
【0021】
さらに、本実施形態による基板接合装置は、加圧装置250を制御するための制御装置
300を備える。
【0022】
基板接合装置の第1の基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201を含む空間Sを
密閉して、真空度を上げてもよい。真空度を上げれば、接合の際に基板の間の空気だまり
が生じにくくなる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による、加圧装置250および制御装置300の詳細な構
成を示す図である。加圧装置250は、ベース部251と昇降部253とからなり、昇降
部253には、第2のプレート203が備わる。制御装置300は、電空レギュレータ3
01と加圧力設定装置303とからなる。加圧装置250のベース部251の内部の圧力
を変化させ、昇降部253を昇降させる。制御装置300によって、ベース部251の内
部の圧力を制御する。具体的には、制御装置300の加圧力設定装置303が設定した加
圧力を実現するように、制御装置300の電空レギュレータ301がベース部251の内
部の圧力を制御する。
【0024】
昇降部253は、ストロークガイド207に沿って昇降するように構成されており、ス
トロークガイド207には昇降部253の位置を検出するための位置測定器(たとえば、
リニアガイドなど)305が設置されている。位置測定器305によって測定された位置
の測定値は、制御装置300の加圧力設定装置303に送られる。加圧力設定装置303
については、後で詳細に説明する。
【0025】
加圧装置250のベース部251を支持するようにロードセル307を設置し、加圧装
置250による加圧力を測定するようにしてもよい。電空レギュレータ301は、ロード
セル307によって測定された加圧力の測定値を使用して加圧力を制御してもよい。
【0026】
加圧装置250の駆動源は、モータなど他のものであってもよい。また、加圧装置によ
って第1の基板ホルダ101を昇降させるように構成してもよい。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態による第1の基板ホルダ101Aおよび第2の基板ホルダ
201Aの構成を示す図である。第1の基板ホルダ101Aおよび第2の基板ホルダ20
1Aは、静電チャックまたは真空チャックによって基板を保持するように構成してもよい
。
【0028】
第1の基板ホルダ101Aの基板を保持する面は平面であるが、第2の基板ホルダ10
2Aの基板を保持する面は中央部分が凸になるように構成されている。このため、基板を
接合する際に、第2の基板ホルダ102Aに保持される第2の基板W2の中央部分が凸に
なるので、第2の基板W2の中央部分と第1の基板W1の中央部分とが最初に接触し、次
第に接触面積が広がるように接合される。基板の接合が円滑に行われるように、第2の基
板ホルダ102の基板を保持する面の曲率は面全体にわたり大きく変化しないのが好まし
い。基板を保持する面の曲率は、空気だまりを生じることなく基板の接合が円滑に行われ
るように定める。
【0029】
他の実施形態において、第1の基板ホルダ101Aの基板を保持する面の中央部分が凸
になるように構成してもよい。あるいは、両方の基板ホルダの基板を保持する面の中央部
分が凸になるように構成してもよい。
【0030】
さらに、一方または両方の基板ホルダの基板を保持する面の周縁部の少なくとも一部を
除く部分が凸になるように構成し、基板を接合させる際に、該凸の部分に対応する基板の
部分が最初に接触し、凸でない周縁部の少なくとも一部から空気が除かれるようにしても
よい。
【0031】
また、
図3に示すように、第1の基板ホルダ101Aおよび第2の基板ホルダ201A
の基板を保持する面は、弾性材料1011および2011を備える。本実施形態によれば
、基板面の一部のみが接触した場合に、第1の基板ホルダ101Aの弾性材料1011お
よび第2の基板ホルダ201Aの弾性材料2011が変形し、基板の形状が変化するので
、基板面の接触した部分のみに過大な力が作用するのを防止できる。弾性材料1011お
よび2011は、導電性のフィラー、樹脂、銅など柔らかい金属の箔などである。弾性材
料1011、2011の材質および厚さは、弾性率などを考慮して基板面の一部のみが接
触した状態で、基板面の接触した部分に過大な力がかからないように定める。
【0032】
他の実施形態において、一方の基板ホルダのみが弾性材料を備えてもよい。
【0033】
このように、基板を保持する面の中央部分が凸になるように構成し、基板を保持する面
に弾性材料を備えた基板ホルダを使用して接合を行えば、基板面の一部のみが接触した場
合に、基板の弾性材料が変形し、基板の形状が変化するので、基板面の接触した部分のみ
に過大な力が作用するのを防止できる。
【0034】
図4は、本発明の他の実施形態による第1の基板ホルダ101Bおよび第2の基板ホル
ダ201Bの構成を示す図である。
図3に示した実施形態と同様に、第1の基板ホルダ1
01Bの基板を保持する面は平面であるが、第2の基板ホルダ201Bの基板を保持する
面の中央部分が凸になるように構成されている。本実施形態において、第2の基板ホルダ
201Bは中空部2013を備える。中空部2013には、所定の圧力を有するように気
体または液体を充填する。本実施形態によれば、基板面の一部のみが接触した場合に、中
空部2013内の気体または液体の圧力は均一となるので、基板面の接触した部分のみに
おいて圧力が過大になるのが防止される。
【0035】
他の実施形態において、第1の基板ホルダ101Bの基板を保持する面の中央部分が凸
になるように構成してもよい。あるいは、両方の基板ホルダの基板を保持する面の中央部
分が凸になるように構成してもよい。
【0036】
さらに、一方または両方の基板ホルダの基板を保持する面の周縁部の少なくとも一部を
除く部分が凸になるように構成し、基板を接合させる際に、該凸の部分に対応する基板の
部分が最初に接触し、凸でない周縁部の少なくとも一部から空気が除かれるようにしても
よい。
【0037】
また、第1の基板ホルダ101Bが中空部を備えるように構成してもよい。あるいは、
両方の基板ホルダが中空部を備えるように構成してもよい。
【0038】
このように、基板を保持する面の中央部分が凸になるように構成し、所定の圧力を有す
る気体または液体を充填した、中空部を備えた基板ホルダを使用して接合を行えば、中空
部内の気体または流体の圧力は均一となるので、接触面の局所において圧力が過大になる
のが防止される。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態による基板接合方法を示す流れ図である。
【0040】
図5のステップS5010において、第1の基板W1および第2の基板W2を、第1の
基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201に保持させる。ここで、第1基板W1お
よび第2の基板W2の各々は、既に接合された複数の基板の組であってもよい。基板ホル
ダと基板とをフィデューシャルマークなどを使用して予め位置合わせしておいてもよい。
【0041】
図5のステップS5020において、制御装置300が加圧装置250を駆動して、第
1の基板W1および第2の基板W2が互いに接触するまで、第1の基板ホルダ101およ
び第2の基板ホルダ201を接近させる。
【0042】
図5のステップS5030において、制御装置300の加圧力設定装置303が第1の
基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201に作用させる力の目標値を求める。第1
の基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201に作用させる力の目標値は、基板の接
触面積が変化する間に、常に単位面積あたりの加圧力(圧力)が所望の値となるように定
める。圧力が所望の値となるようにするには、基板の接触面積を推定し、推定した接触面
積に所望の圧力値を乗じて加圧力を定めればよい。ここで、所望の圧力値は経験値から定
めてもよい。
【0043】
以下に、加圧力設定装置303の機能を詳細に説明する。
【0044】
加圧力設定装置303は、第1の基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201に作
用させる力の目標値を求める際に、第2の基板ホルダ201の位置から接触面積を推定し
てもよい。第1の基板ホルダ101の位置は固定であり既知である。また、第1および第
2の基板ホルダならびに基板の寸法および弾性率などの物理的性質は既知である。したが
って、第2の基板ホルダ201の位置がわかれば、接触による基板の変形および接触面積
を推定することができる。
【0045】
具体的に、加圧力設定装置303は、ストロークガイド207に設置された、昇降部2
53の位置を検出するための位置検出器(たとえば、リニアガイドなど)305からの位
置の測定値により、第2の基板ホルダ201の位置を求め、第2の基板ホルダ201の位
置から基板の接触面積を推定する。
【0046】
また、他の実施形態において、加圧力設定装置303は、第1の基板ホルダ101およ
び第2の基板ホルダ201の一方または両方に取り付けたレーザ距離計などの距離センサ
により、第1の基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201の間の距離を測定し、該
距離から基板の接触面積を推定してもよい。
【0047】
さらに、基板がガラス基板のような透明な基板である他の実施形態において、第1の基
板ホルダ101および第2の基板ホルダ201の材質も透明な材質とし、加圧力設定装置
303は、基板接触部分の画像を取得することにより、直接接触面積を測定してもよい。
【0048】
加圧力設定装置303は、推定した接触面積に所望の圧力値を乗じて、加圧力の目標値
を求め、電空レギュレータ301に設定する。ここで、所望の圧力値は、接触面積にかか
わらず一定としてもよい。あるいは、接触面積にしたがって変化させてもよい。
【0049】
図5のステップS5040において、制御装置300の電空レギュレータ301が、加
圧力の目標値にしたがって第1の基板ホルダ101および第2の基板ホルダ201に作用
させる力を制御する。
【0050】
本実施形態の基板接合方法によれば、基板の接触面に所望の圧力値を作用することがで
きるので、空気だまりを発生させないように、基板の一部のみを最初に接触させて接触面
積を広げるように基板の接合を行っても、基板の接触面に過度の圧力が作用するのが防止
される。
【0051】
このように本発明によれば、接合した基板の間に空気だまりが発生しないようにしなが
ら、基板の面全体にわたり接合を均一に行うことのできる基板接合装置、基板接合方法お
よび基板ホルダが得られる。
【0052】
本発明の一実施形態は、第1および第2の基板保持手段の少なくとも一方の基板を保持
する面の中央部分が凸であることを特徴とする。
【0053】
本実施形態によれば、基板の中央部分から接触面積を徐々に広げて基板間に空気だまり
を生じさせないように接合を行うことができる。
【0054】
本発明の他の実施形態は、第1および第2の基板保持手段の少なくとも一方が、弾性材
料を備えたことを特徴とする。
【0055】
本実施形態によれば、基板面の一部のみが接触した場合に、弾性材料が変形し、基板の
形状が変化するので、基板面の接触した部分のみに過大な力が作用するのを防止できる。
【0056】
本発明の他の実施形態は、第1および第2の基板保持手段の少なくとも一方が、中空部
を備えたことを特徴とする。
【0057】
本実施形態によれば、基板面の一部のみが接触した場合に、中空部内の気体または液体
の圧力は均一となるので、基板面の接触した部分のみにおいて圧力が過大になるのが防止
される。
【0058】
本発明の他の実施形態は、第1および第2の基板保持手段の位置にしたがって、基板面
の接触面積が推定されることを特徴とする。
【0059】
本実施形態によれば、第1および第2の基板保持手段の位置にしたがって、基板面の接
触面積を、確実かつ容易に推定される。