(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板上に実装された電子部品(半導体チップ、チップキャパシタなど)を封止する(覆う)パッケージ部が形成されたパッケージがある。半導体チップが内蔵されたパッケージは、半導体パッケージ(半導体装置)ともいわれる。パッケージは、自身が基材となり、別の部品(電子部品やパッケージなど)が実装されるものもある。
【0006】
パッケージ上に別部品を実装し、互いを電気的に接続するにあたり、パッケージの接続部(例えば、接続パッド)と、別部品の接続部(例えば、接続バンプ)とが接合される。例えば、接続パッドが形成された基板を有するパッケージでは、別部品の接続部に対応して、接続パッドを露出するために、パッケージ部に接続パッドへ通じる開口部が形成される必要がある。このため、パッケージの開口部は、所望の形状が維持され、また、位置精度良く形成されていることが望まれる。
【0007】
ところで、下段となる半導体パッケージ(以下、ボトムパッケージという)の上に、上段となる半導体パッケージ(以下、トップパッケージという)を搭載して構成されるPOP(Package On Package)技術がある。以下に、従来のボトムパッケージの製造技術について、
図1、
図2を参照して説明する。
【0008】
このボトムパッケージの製造方法は、まず、
図1に示すように、接続パッド1を含む配線が形成された基板2を準備する。次いで、基板2上に絶縁層3を介して半導体チップ4を例えばフリップチップ技術で実装する。次いで、モールド樹脂にて半導体チップ4を封止したパッケージ部6を形成する。次いで、パッケージ部6にレーザ光を照射することにより、接続パッド1へ通じる開口部11Xを形成する。次いで、
図2に示すように、開口部11Xへはんだを注入して接続パッド1上に接合材13(予備はんだ)を形成する。このようにして、ボトムパッケージ12Xが製造される。なお、レーザL(
図1参照)による開口部11Xの形成には、例えば、前記特許文献1で開示された技術を用いることができる。
【0009】
しかしながら、開口部11Xを形成するにあたり、モールド樹脂(パッケージ部6)で隠れた接続パッド1に対してレーザ光を照射しなければならないため(
図1参照)、他に位置合わせ用のマーカを形成する必要がある。また、位置精度良くレーザ光を照射するには、高精度の画像認識機構を有する高価な装置も必要となる。なお、このようにしなければ、例えば、接続パッド1の中心に開口部11Xの中心を合わせた設定を行っても、ずれx1が発生する場合がある(
図1参照)。
【0010】
また、高出力のレーザLを用いた場合には、開口部11Xは所望の形状にならず、その縁部11aが一部削れてしまう場合がある。例えば、
図1で示す所望の形状の縁部11aに対して
図2に示す縁部11aは削れている。このため、基板2から縁部11aの頂部表面までの高さと、基板2から半導体チップ4を介したパッケージ部6の表面までの高さとに、ずれx2が発生する場合もある(
図2参照)。
【0011】
図2に示すように、ボトムパッケージ12Xにトップパッケージ15を実装し、リフロー処理を行うと、接合材13(予備はんだ)とトップパッケージ15の接続バンプ18(はんだバンプ)とが溶融する。このとき、削れた縁部11aの開口部11Xのボトムパッケージ12Xでは、溶融して合わさったはんだ量が多すぎると、トップパッケージ15の接続バンプ18間でショートが発生してしまう。
【0012】
本発明の一目的は、接続パッドへ通じる開口部が、所望の形状で形成された
半導体装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、接続パッドへ通じる開口部が、位置精度良く形成された
半導体装置を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における
半導体装置の製造方法は、(a)
半導体チップが搭載され、接続パッドが形成された基板を準備する工程と、(b)前記接続パッド上に、
球形状の型材を配置する工程と、(c)前記接続パッドが形成された前記基板の面を樹脂で覆い、前記型材
および前記半導体チップが前記樹脂に埋め込まれたパッケージ部を形成する工程と、(d)前記パッケージ部の表面
側を前記型材の高さが半分以下となるまで研磨し、前記型材の露出面が前記パッケージ部の表面と面一となるように露出させる工程と、(e)前記パッケージ部の表面側か
ら露出した前記型材を除去し、前記接続パッド上の前記パッケージ部に
、開口径が前記パッケージ部の表面側から前記接続パッド側に向かって小さくなるアール状の内壁面を有する椀形状の開口部を形成する工程と、を含み、前記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)工程をこの順に行う。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。型材を除去することにより、接続パッドへ通じる開口部が、所望の形状で形成された
半導体装置を提供することができる。また、接続パッド上に搭載した型材を除去することにより、接続パッドへ通じる開口部が、位置精度良く形成された
半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0017】
(実施形態1)
本発明の実施形態では、POP構造体のボトムパッケージに適用した場合について説明する。ボトムパッケージの製造方法について、
図3〜
図8に示す各工程を参照して説明する。なお、パッケージは大判の基板を用いて製造することで、複数個取りができるが、説明を明解にするために、1つのパッケージを対象に説明する。
【0018】
まず、
図3および
図4に示すように、接続パッド1が上面(チップ搭載面)に形成された基板2を準備する。この接続パッド1は、ボトムパッケージの接続部となるため、搭載される電子部品(例えば、半導体チップ)を避けて、その周りに複数配置(形成)されている。隣接する接続パッド1のピッチは、例えば、0.40〜0.50mm程度である。次いで、基板2の上面で絶縁層3(例えば、絶縁フィルム)を介して半導体チップ4が、基板2(配線基板)とフリップチップ接続される。
【0019】
基板2は、例えば、ビルドアップ法を用いて製造された多層構造の配線基板を用いることができる。ビルドアップ法による配線基板の製造の一例を説明する。まず、コア基板を準備した後、この両面側に絶縁層を形成する。次いで、絶縁層を貫通するビアホールを形成する。次いで、導電材料でビアホールの内部を充填するとともに絶縁層上に配線層を形成する。これらの工程を繰り返して絶縁層と配線層とを交互に積層する。次いで、最上配線層を覆うように、例えばソルダレジストフィルムをラミネートした後、パターニングにより開口部を形成して接続パッドを露出する。ソルダレジスト層(ソルダレジストフィルム)から露出する接続パッドは、接続部となるため、Cu(銅)/Ni(ニッケル)/Au(金)の順で表面処理が施される。
【0020】
このようにして製造された配線基板は、上下面側の最外層の配線層(
図2参照)が内部の配線層およびビアを介して互いに電気的に接続されたものとなる。コア基板は、例えば、ガラスエポキシ配線基板が用いられる。また、絶縁層は、例えば、ポリイミド系樹脂や、エポキシ系樹脂が用いられる。また、配線層は、例えば、Cu(銅)が用いられる。
【0021】
図4などでは、基板2(配線基板)の半導体チップ4が搭載される上面(搭載面)側で、型材5が搭載される接続パッド1と、上面の反対の裏面側で、接続バンプ14(
図9参照)が搭載される接続パッド1aを図示している。この基板2は、コア基板を備えた配線基板に限らず、コア基板を用いずに製造された多層構造の配線基板(コアレス基板)であっても良い。なお、コアレス基板は、仮基板上に絶縁層と配線層とを交互に積層した後、仮基板を除去して製造されるものである。
【0022】
続いて、
図4に示すように、接続パッド1上に、型材5を搭載する。
【0023】
この型材5は、後の工程において、接続パッド1上に開口部を形成するための型として用いられるものである。本実施形態では、球形状の型材5を用いる。より具体的には、型材5として、はんだから構成されるはんだボール5Aを用いる。はんだボール5Aは、例えば、Pb(鉛)−Sn(錫)、あるいはPbフリーのAg(銀)−Snを含むはんだで構成される。
【0024】
接続パッド1上にはんだボール5Aを搭載するには、例えば、振り込み法を用いることができる。振り込み法の一例を説明する。まず、接続パッド1の位置に合わせた複数の穴を有するマスクを基板2上に載置する。次いで、その複数の穴のそれぞれに複数のはんだボール5Aを振り込んで、穴と位置合わせされた一つの接続パッド1上に一つのはんだボール5Aを載置する。次いで、はんだボール5Aに対して熱処理(リフロー処理)を施すことによって、溶融したはんだボール5Aが接続パッド1と接合する(
図5参照)。
【0025】
このようにしてはんだボール5Aは、接続パッド1上に搭載される。なお、接続パッド1とはんだボール5Aとの接合の際にフラックスを用いた場合は、洗浄により残存するフラックスを除去する。
【0026】
続いて、
図6に示すように、接続パッド1が形成された基板2の面を覆うパッケージ部6を形成する。
【0027】
このパッケージ部6は、基板2上に搭載された半導体チップ4を封止するものである。本実施形態では、樹脂モールド装置を用いて、モールド樹脂から構成されるパッケージ部6を形成する。モールド樹脂は、例えば、フィラーを含有した熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0028】
樹脂モールド装置は、
図5に示すように、パッケージ部6の型であるキャビティ7aを有する上金型7と、基板2が載置されるクランプ面8aを有する下金型8とを備えている。まず、型開きした状態で下金型8のクランプ面8aに基板2を載置する。次いで、型閉じして基板2を上金型7と下金型8とでクランプする。このとき、接続パッド1が形成された基板2の上面(チップ搭載面)はキャビティ7aに覆われ、また、半導体チップ4およびはんだボール5Aはキャビティ7aに内包される。
【0029】
次いで、キャビティ7a内にモールド樹脂を注入して充填した後、加熱硬化させてモールド樹脂から構成されるパッケージ部6を形成する。このパッケージ部6により、半導体チップ4および型材5(はんだボール5A)は覆われることとなる(
図6参照)。
【0030】
続いて、
図7に示すように、パッケージ部6の表面で型材5(はんだボール5A)を露出させる。
【0031】
本実施形態では、研磨機を用いて、パッケージ部6の表面側からの研磨を行い、パッケージ部6からはんだボール5Aを露出させる。この研磨は、半導体チップ4が露出せずに、はんだボール5Aの高さが半分以上除去されるまで行う。これにより、はんだボール5Aは、露出面側が切断された椀形状(あるいは半球形状)となる。また、半導体チップ4は、パッケージ部6で封止されたままである。
【0032】
続いて、パッケージ部6の表面側から、露出した型材5(はんだボール5A)を除去していき、
図8に示すように、接続パッド1上のパッケージ部6に開口部11を形成する。これにより、ボトムパッケージ12が略完成する。
【0033】
本実施形態では、エッチング液を用いて型材5を除去して、その型材5の形状をした開口部11を形成する。エッチング液は、パッケージ部6に対して型材5を除去できるエッチング選択比を有するものを用いる。パッケージ部6はモールド樹脂から構成され、型材5ははんだから構成されるので、例えば、メタンスルホン酸を含有したエッチング液(市販品としては、例えばメルテックス株式会社製の「メルストリップHN−980」)を用いることができる。このように、型材5とパッケージ部6とのエッチング選択比が高いエッチング液を用いて、露出した型材5を除去することで、所望の形状の開口部11を形成することができる。
【0034】
仮に、型材を設けずに開口部を形成する場合は、例えば、パッケージ部の表面にマーカを形成し、それを認識できる高精度の画像認識機構を用いて、接続パッド上に開口部を形成する必要がある。これに対して、本実施形態では、開口部11を形成するにあたり、マーカを形成し、また高精度の画像認識装置を用いなくとも、露出した型材5を除去することで、位置精度良く形成することができる。また、高価である高精度の画像認識装置を用いる必要がないため、パッケージの製造コストを低減することができる。
【0035】
また、本実施形態では、研磨して露出された型材5(はんだボール5A)を全て除去している。研磨された型材5が椀形状(半球形状)であるため、開口部11は同じ形状となる。すなわち、開口部11は、口部から接続パッド1側の底部へ向かって徐々に開口径が小さくなるようにアール状の内壁面を有する椀形状の開口部11Aとなる。
【0036】
これらの工程を経て製造されたボトムパッケージ12(12A)は、接続パッド1が形成された基板2の上面を覆うパッケージ部6を備えており、このパッケージ部6には、表面側から接続パッド1へ通じる開口部11が形成されている。この開口部11(11A)は、所望の形状の椀形状(あるいは半球形状)であり、アール状の内壁面を有している。
【0037】
開口部11(11A)が椀形状となることで、POP構造体の製造の際に、ボトムパッケージ12の接続パッド1とトップパッケージの接続部とを接合する接合材(例えば、はんだ)を、留め易くすることができる。また、トップパッケージの接続部が例えば接続バンプ(はんだボール)である場合には、開口部11がガイドとなって、接続パッド1へと接続バンプを導くことができ、接続パッド1と接続バンプとを確実に当接、接合させることができる。このように、トップパッケージの接続部の形状に合わせて、ボトムパッケージ12の開口部11を形成することもできる。
【0038】
次に、ボトムパッケージ12を用いたPOP構造体の製造方法について、
図9〜
図11に示す各工程を参照して説明する。なお、POP構造体は、ボトムパッケージ上にトップパッケージが積層された構造体であるので、全体としてもパッケージといえる。
【0039】
まず、
図9に示すように、開口部11の底部であって接続パッド1上に接合材13を形成する。これにより、ボトムパッケージ12は、接続パッド1上に形成された接合材13を備えた形態となる。この接合材13は、ボトムパッケージ12の接続パッド1とトップパッケージの接続部とを接合するものである。
【0040】
本実施形態では、接合材13としてはんだを用い、ディスペンサにより適量を開口部11内の接続パッド1上に滴下する。次いで、このはんだに対して熱処理(リフロー処理)を施すことによって、溶融したはんだが接続パッド1上に溜まり、接合材13としてはんだ溜まり(予備はんだ)が形成される。
【0041】
また、
図9に示すように、ボトムパッケージ12の下面(上面と反対側の面)で露出している接続パッド
1aに、接続部として接続バンプ14(例えば、はんだボール)を形成してBGA(Ball Grid Array)構造とすることができる。これにより、ボトムパッケージ12は、上面側の接続部として接続パッド1、下面側の接続部として接続バンプ14(BGA構造)を備えた形態となる。この接続バンプ14は、例えば、POP構造体の状態で、マザーボードの接続部と接合されるものである。
【0042】
接続バンプ14としてはんだボールを用いる場合は、前述した振り込み法を用いて下面側の接続パッドにはんだボールを搭載し、このはんだボールに対して熱処理(リフロー処理)を施すことによって、接続バンプ14を形成することができる。なお、上面側の接続パッド1と接合材13とを接合する際に熱処理が施されるが、下面側の接続パッド
1aと接続バンプ14とを接合する際の熱処理を同時に行うことで、処理時間を短縮することができる。
【0043】
続いて、
図10に示すように、ボトムパッケージ12に搭載されるトップパッケージ15を準備する。このトップパッケージ15は、基板16と、この基板16上に搭載された電子部品(図示せず)と、この電子部品を封止するように基板16の上面側に形成されたパッケージ部17と、基板16の下面側に形成された接続バンプ18とを備えている。
【0044】
基板16は、例えば、基板2と同様にして形成された配線基板である。電子部品は、例えば、半導体チップである。また、パッケージ部17は、例えば、パッケージ部6と同様にして形成されたモールド樹脂から構成されるものである。また、接続バンプ18は、BGA構造を構成するはんだボールであり、前述した振り込み法を用いて下面側の接続パッド(図示せず)にはんだボールを搭載し、このはんだボールに対して熱処理(リフロー処理)を施すことによって、形成されたものである。
【0045】
ここで、接続バンプ18であるはんだボールの径(例えば、0.25mm程度)は、型材5として用いたはんだボール5Aの径(例えば、0.30mm程度)よりも小さい。すなわち、トップパッケージ15のはんだボール(接続バンプ18)は、ボトムパッケージ12の開口部11の口部における開口径よりも小さい。これにより、ボトムパッケージ12上にトップパッケージ15を搭載するときに、開口部11がガイドとなって、接続パッド1へと接続バンプ18を導くことができる。また、開口部11の形状が椀形状(あるいは半球形状)であるため、球形状の接続バンプ18とフィットし、安定してボトムパッケージ12上にトップパッケージ15を搭載することができる。
【0046】
次いで、接合材13(はんだ溜まり)および接続バンプ18(はんだボール)に対して熱処理(リフロー処理)を施すことによって、溶融した接合材13を介して接続バンプ18を接続パッド1と接合する(
図11参照)。接合材13を設けることにより、接続パッド1と接続バンプ18とが接合し易くなる。なお、接続パッド1と接続バンプ18との接合の際にフラックスを用いた場合は、洗浄により残存するフラックスを除去する。
【0047】
このようにして、
図11に示すように、ボトムパッケージ12上にトップパッケージ15が積層されて構成されるPOP構造体21が略完成する。
【0048】
POP構造体21用のボトムパッケージ12では、半導体チップ4の周りで互いに隣接する開口部11の縁部11aは共用されている。この縁部11aは、
図8に示すように、基板2から縁部11aの頂部表面までの高さt1が、基板2から電子部品4を介したパッケージ部6の表面までの高さt2と同じである。高さt1、t2が同じとなるのは、前述した工程により、接続パッド1へ通じる開口部11が、所望の形状で形成されるからである。このように、縁部11aの高さt1が確保されるので、ボトムパッケージ12上に搭載されたトップパッケージ15の接続バンプ18間では、
図2を参照して説明したような、ショートが発生するのを防止することができる。すなわち、POP構造体21の製造歩留まりを向上することができる。
【0049】
また、ボトムパッケージ12では、接続パッド1の開口部11が椀形状であるため、その底部(接続パッド1の表面)からアール状に内壁面が形成されている。すなわち、接続パッド1の表面に対する開口部11の内壁面の角度が緩やかである。このため、接合材13を介して接続バンプ18を接続パッド1と接合することによって開口部11内部が、はんだ(導電材料)で充填された場合であっても、接続パッド1の表面縁(内壁面との境界側)でボイド(鬆)が発生するのを防止することができる。すなわち、POP構造体21の信頼性を向上することができる。
【0050】
また、ボトムパッケージ12では、接続パッド1の開口部11が椀形状であるため、開口部11の口部は、底部より開口径が大きい。このため、接合材13(はんだ溜まり)を介して接続バンプ18(はんだボール)を接続パッド1と接合する熱処理(リフロー処理)の際に、はんだが突沸するのを防止することができる。すなわち、POP構造体21の製造歩留まりを向上することができる。
【0051】
前述したはんだボール5Aを用いた実施形態の変形例として、はんだタブレット5Bを用いることもできる。以下では、はんだタブレット5Bを用いた方法について説明する。まず、
図12に示すように、接続パッド1上に、型材5(はんだタブレット5B)を搭載する。
【0052】
この型材5は、後の工程において、接続パッド1上に開口部を形成するための型として用いられるものである。本実施形態では、円柱形状の型材5を用いる。より具体的には、型材5として、はんだから構成されるはんだタブレット5Bを用いる。はんだタブレット5Bは、例えば、Pb(鉛)−Sn(錫)、あるいはPbフリーのAg(銀)−Snを含むはんだで構成される。
【0053】
接続パッド1上にはんだタブレット5Bを搭載するには、例えば、キャリア搬送法を用いることができる。キャリア搬送法の一例を説明する。まず、接続パッド1の位置に合わせた複数の吸着穴を有するキャリアを準備する。次いで、その複数の吸着穴のそれぞれに複数のはんだタブレット5Bの一方の円面を吸着させて、各穴と位置合わせされた接続パッド1上に他方の円面側ではんだタブレット5Bを載置する。次いで、はんだタブレット5Bに対して熱処理(リフロー処理)を施す。これにより、溶融したはんだタブレット5Bが接続パッド1と接合する。なお、リフロー処理後のはんだタブレット5Bは、はんだボール5Aを搭載したときと同様に球形状となる。
【0054】
このようにしてはんだタブレット5Bは、接続パッド1上に搭載される。なお、接続パッド1とはんだタブレット5Bとの接合の際にフラックスを用いた場合は、洗浄により残存するフラックスを除去する。
【0055】
その後、
図5〜
図8の通り、接続パッド1が形成された基板2の面を覆うパッケージ部6を形成し、そのパッケージ部6の表面で型材5(はんだ5B)を露出させた後、露出した型材5を除去することにより開口部11を有するボトムパッケージ12が略完成する。
【0056】
(実施形態2)
前記実施形態1では、接合材13としてはんだを用いて、ディスペンサにより適量を開口部11内の接続パッド1上に滴下した場合について説明した。本実施形態では、はんだから構成される型材5(はんだボール5A)を用い、これを接合材13とする場合について、
図13に示す工程を参照して説明する。なお、その他の工程などは前記実施形態1で説明したとおりである。
【0057】
図7を参照して説明したパッケージ部6の表面で型材5を露出させる工程の後、
図13に示すように、型材5の一部を残存させるように、エッチング液を用いて型材5を除去する。次いで、残存した一部の型材5(はんだボール5A)に対して熱処理(リフロー処理)を施して溶融させる。その溶融したはんだが接続パッド1上に溜まり、
図9に示したように、接合材13としてはんだ溜まり(予備はんだ)が形成される。
【0058】
このようなボトムパッケージ12も、接続パッド1上に形成された接合材13を備えた形態となる。本実施形態によれば、型材5をすべて除去する必要がないので、処理時間を短縮することができる。また、接合材13となる別の材料(はんだ)を供給する工程を省略することができる。
【0059】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0060】
例えば、前記実施形態では、型材5として、形状が球形状のもの(はんだボール5A)を適用した場合について説明した。これに限らず、型材5として、円柱形状や多面体を含む立体形状など他の形状のものを適用することにより、その型材の形状の開口部を形成することができる。例えば、
図14に示すように、開口部11Bが円柱形状となることで、POP構造体の製造の際に、ボトムパッケージ12Bおよびトップパッケージの接続部間を接合する接合材(例えば、はんだ)を、留め易くすることができる。また、例えば、トップパッケージの接続部が接続バンプである場合には、開口部11がガイドとなって、接続パッド1へと接続バンプを導くことができ、接続パッド1と接続バンプとを確実に当接、接合させることができる。
【0061】
このボトムパッケージ12Bは、接続パッド1が形成された基板2の上面を覆うパッケージ部6を備えており、このパッケージ部6には、表面側から接続パッド1へ通じる開口部11が形成されている。この開口部11(11B)は、所望の形状の円柱形状である。開口部11(11B)が円柱形状となることで、POP構造体の製造の際に、トップパッケージの接続部が例えば接続ピンである場合(PGA)には、開口部11がガイドとなって、接続パッド1へと接続ピンを導くことができる。このように、トップパッケージの接続部の形状に合わせて、ボトムパッケージ12の開口部11を形成することもできる。
【0062】
例えば、前記実施形態では、球形状の型材5として、はんだボール5Aを用い、これをエッチング液によって除去して、接続パッド1上に開口部11(11A)を形成する場合について説明した。これに限らず、球形状の型材として、銅(Cu)ボールを用いる場合も考えられる。また、銅のエッチング液としては、塩化第二鉄溶液や、塩化第二銅溶液などが考えられる。この場合でも、接続パッドへ通じる開口部を所望の形状で位置精度良く形成することができる。
【0063】
例えば、前記実施形態では、半導体チップ4を封止するパッケージ部6として、モールド金型(上金型7)のキャビティ7aにモールド樹脂を充填して形成する場合について説明した。これに限らず、ポッティングなどで封止樹脂(例えば、エポキシ系樹脂)を被着し、半導体チップを封止してパッケージ部を形成する場合も考えられる。この場合も接続パッドを覆うようにパッケージ部が形成されるが、型材を接続パッド上に搭載してパッケージ部を形成した後、型材を除去することで、パッケージ部に接続パッドへ通じる開口部を所望の形状で位置精度良く形成することができる。
【0064】
例えば、前記実施形態では、
図7を参照して説明したように、研磨機を用いてパッケージ部6の表面から型材5を露出させた場合について説明した。これに限らず、パッケージ部の表面側からサンドブラスト処理を施し、型材を露出させる場合も考えられる。この場合でも、型材を除去するために、型材の露出を行うことができる。
【0065】
例えば、前記実施形態では、
図7を参照して説明したように、パッケージ部6により覆われた型材5を、研磨によりパッケージ部6の表面から露出させる場合について説明した。これに限らず、型材を全て覆わずに、露出するようにパッケージ部を形成しても良い。これによれば、研磨などによる型材の変形がないので、より所望の形状の開口部を形成することができる。
【0066】
例えば、前記実施形態では、パッケージ部6に対してエッチング選択比を有する型材5に対して、このエッチング選択比を有するエッチング液を用いてウエットエッチングで型材5を除去した場合について説明した。これに限らず、エッチング選択比を有するドライエッチングにより型材を除去する場合も考えられる。型材が露出しているので、パッケージ部に接続パッドへ通じる開口部を位置精度良く形成することができる。なお、露出した型材に対してレーザを照射して除去し、開口部を形成する場合であっても、パッケージ部から露出した型材は認識が容易であるため、開口部を位置精度良く形成することができる。また、低出力のレーザでも型材が除去できるのであれば、所望の形状の開口部を形成することもできる。
【0067】
例えば、前記実施形態では、ボトムパッケージ12の上面側にモールド樹脂で構成されるパッケージ部6を形成した場合について説明した。これに限らず、ボトムパッケージの下面側にモールド樹脂で構成されるパッケージ部を形成する場合や、上下面側にモールド樹脂で構成されるパッケージ部を形成する場合も考えられる。POP構造体を構成するにあたり、ボトムパッケージには反り防止のために、モールド樹脂部(パッケージ部)が用いられる。このモールド樹脂部をボトムパッケージの下面側に形成した場合であっても、接続パッドへ通じる開口部を所望の形状で位置精度良く形成できるので、接続パッド上に接続バンプを位置精度良く接続することができる。
【0068】
例えば、前記実施形態では、パッケージに1つの半導体チップを封止した場合について説明した。これに限らず、複数の半導体チップを封止した場合や、他の電子部品(例えば、チップキャパシタや抵抗などの受動部品)を封止した場合も考えられる。このように基板上の電子部品の搭載密度が高い場合でも、これら周辺の接続パッドへ通じる開口部を所望の形状で位置精度良く形成することができる。