(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流センサは、化合物半導体を磁電変換素子に用い、信号処理用のICとのハイブリッド構造で構成し、前記電流センサ用基板は、U字形の電流経路を有する一次導体と、磁電変換素子を支持するための第1の支持部と信号処理ICを支持するための第2の支持部およびリード端子を有する信号端子側部材とを備え、前記電流経路は、平面視において前記第1の支持部と重複しないように前記第1の支持部に近接して配置された電流センサ用基板とを有し、前記電流経路を流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子を有することを特徴とする請求項1に記載のコンセントユニット。
前記演算装置は、前記電流センサの温度特性データを保持するメモリを備え、前記温度特性データに基づいて、前記電流センサの出力を補正するように構成されている請求項1または2に記載のコンセントユニット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明のコンセントユニットの一実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態に係るコンセントユニット100は、例えば電源タップ等のように、複数のコンセント部に取り付けられた電流センサの電流値から、各コンセント部に接続された機器の電力使用量等を演算するためのコンセントユニットである。
【0012】
[コンセントユニットの構成]
図1は、第1実施形態におけるコンセントユニット100の構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、このコンセントユニット100は、複数のコンセント部11a,11b,11c,11dと、各コンセント部11a〜11dと電源プラグ13との間に接続された複数の電流センサ12a,12b,12c,12dと、電流センサ12a〜12dの出力値を入力する演算装置14とを備える。
【0014】
なお、
図1では、電流センサ12a〜12dは、それぞれ、コンセント部11a〜11dに対応して設けられている場合について示しているが、所定数(例えば、コンセント部の総数の一部)のコンセント部のみに対応して電流センサを設けるようにしてもよい。
【0015】
図1において、電源プラグ13は、例えば交流100Vの電路への差し込みが可能に構成されている。電源プラグ13が電路に差し込まれると、電路から電源が供給される。
【0016】
各コンセント部11a〜11dは、機器が接続可能に構成されている。
図1の例では、コンセント部の形状は、例えば2極プラグとしているが、接地線付きの3極プラグ等とすることもできる。機器としては、例えば、照明器具、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などがある。
【0017】
各電流センサ12a〜12dは、コンセント部11a〜11dの各負荷電流値が検出可能となっている。各電流センサ12a〜12dとしては、例えば、シャント抵抗やコイル式の電流センサ、磁気センサを用いた電流センサなど、さまざま種類の電流センサを適用することが可能であるが、例えば、直流と交流のいずれも検知可能で、かつ、発熱や電力の損失の少ない磁気センサを用いた電流センサを適用するのが好ましい。その中でも、磁性体コアを有さない磁気センサを用いた電流センサを用いると、コンセントユニット100の小型化を実現し易くなるので好ましい。各電流センサ12a〜12dの構成については、後に詳細に説明する。
【0018】
また、電流センサ12a〜12dは、演算装置14と接続され、演算装置14は、電流センサ12a〜12dから、それぞれのコンセントに接続された機器に流れる負荷電流に応じた値を入力するようになっている。これにより、演算装置と電流センサの数は同じではなく、演算装置の数(
図1では、例えば、演算装置14の1つ)は、電流センサの数(
図1では、例えば、電流センサ12a〜12dの4つ)より少なくすることができる。演算装置の数と電流センサの数の比は、1:4とした上記の例に限定されない。演算装置の数と電流センサの数の比において、演算装置の数の比を1としたときに、電流センサの数の比を2以上としてもよい。この場合において、例えば電流センサの数の比を4以上とすれば、周辺回路の規模やプリント基板の面積を大幅に削減できるという効果がある。
【0019】
[演算装置の構成]
演算装置14は、各電流センサ12a〜12dで検出された値に基づいて、コンセント部11a〜11dに接続された各機器の電力の使用状態を演算する。電力の使用状態としては、瞬時電力や積算の電力使用量、電気料金、負荷電流値などがある。
【0020】
演算装置14は、例えばLSI(Large Scale Integration)で構成されており、AC/DC回路、メモリおよびプロセッサなどを備える。
【0021】
メモリは、例えば電流センサの温度特性データを保持しており、プロセッサは、その温度特性データに基づいて、電流センサの出力値を補正するようにしてもよい。この場合、電流センサの出力値が補正されることになるので、演算装置14では、より正確な電力の使用状態が得られ、好ましい結果を得る。
【0022】
本実施形態では、1つの演算装置14が、複数の電流センサ12a〜12dからの信号をモニタするように構成する場合について説明しているが、この構成を採用し、さらに演算装置14に高精度の補正回路を設けるようにしてもよい。この場合、各電流センサ12a〜12dに高精度の補正回路を各々設ける必要がなくなるので、コンセントユニットトータルの最適化や、コンセントユニットシステムの小型化を実現できる。
【0023】
1つの演算装置14が複数の電流センサ12a〜12dからの信号を読みとるには、例えばマルチプレクサなどを利用し、シリアル通信で当該信号のやり取りを行うようにしてもよいし、アナログ信号を複数並列処理してもよい。
【0024】
電流センサ12a〜12dからの信号については、演算装置14に内蔵したADコンバータでデジタル化し、温度補正などを行うようにすれば、高精度に電力演算を行うことも可能である。
【0025】
なお、
図1では、1つの演算装置14が複数の電流センサ12a〜12dからの信号をモニタ(監視)する場合について説明したが、例えば複数の演算装置が、複数の電流センサからの信号をモニタするように構成してもよい。この場合、演算装置の数と、電流センサの数との比は、1:m(m=2以上)とするようにする。 本実施形態では、演算装置14は、例えば、電流センサ12a〜12dに電源を供給するようになっている。このような構成をとることで、電流センサ12a〜12dの電源変動に連動して、演算装置14が各電流センサからの信号に基づく電力演算を行うようにし、電流センサ12a〜12dへの電源変動が生じた場合でも、より高精度な電力演算が可能となる。なお、電流センサ12a〜12dへの電源供給は、
図1に示した構成に限られず、周辺ノイズの影響をうけない電源回路(レギュレータなど)を設けておき、その電源回路から行う構成を適用することもできる。
【0026】
図2は、コンセントユニット100の適用態様を示す図である。
図2に示すように、上述したコンセントユニット100は、4口の電源タップとして適用することができる。
【0027】
[電流センサの構成]
次に、本実施形態の電流センサ12a〜12dの構成について
図3および
図4を参照して説明する。本実施形態では、電流センサ12a〜12dは、磁気センサを用いており、磁性体コアを有さない構成を例にとって説明するが、それ以外の電流センサを適用することも可能である。ただし、本実施形態の電流センサ12a〜12dが、電力損失や発熱を生じない電流センサであり、コンセントユニット100のサイズを最小とすることができるので好適である。
【0028】
本実施形態の電流センサ12a〜12dの場合は、厚さを例えば0.5〜3mm程度とすることができるので、コンセントユニット100内に電流センサ12a〜12dを設置することが可能となる。したがって、コンセントユニット100全体の小型化に大きく貢献することができる。
【0029】
なお、以下の説明において、電流センサ12a〜12dの各々に共通の説明では、各電流センサが電流センサ200として参照される。
【0030】
図3は、電流センサ200の構成例を示す図である。
図4は、
図3の電流センサ200における側面および断面の一例を示す図であって、(A)は電流センサ200の側面図、(B)は
図3のIIIB-IIIB線に沿った断面図を示す。
【0031】
図3に示すように、電流センサ200は、U字形の電流経路210Aを有する一次導体210と、ホール素子等の磁電変換素子230Aを支持するための支持部220Aおよびリード端子220Bを有する信号端子側部材220と、支持部220Aに配置され、電流経路210Aを流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子230Aを有するICチップ230とを備える。一次導体210、信号端子側部材220、およびICチップ230を樹脂240でモールドして、電流センサ200が形成される。ICチップ230および樹脂240を除いた部分が電流センサ用基板である。
【0032】
電流経路210Aは、平面視において支持部220Aと重複しないように、支持部220Aに近接して配置されている。また、電流経路210Aは、
図4(A)の側面図及び
図4(B)の断面図から分かるように、側面視において支持部220Aと高さが異なる。
【0033】
電流経路210Aに被測定電流が流れると、U字形の電流経路210A内側の中心付近は磁束密度が高くなり電流検出感度が向上するため、磁電変換素子230Aは、平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されている。また、ICチップ230は、側面視において支持部220Aから突出しており、平面視において電流経路210Aと重複する。
【0034】
電流センサ200においては、信号端子側部材220が、支持部220Aとリード端子220Bとの間に段差部220Cを有する。例えば信号端子側部材220のフォーミングにより、20〜100μm程度の段差部220Cを設けることができる。これにより、電流経路210AとICチップ230との間にクリアランスが得られる。このクリアランスは、一次導体210とICチップ230との間の絶縁を保証し、パッケージ内部における高い耐圧の維持を可能にする。段差部220Cが存在しない場合、一次導体210の導電経路210AとICチップ230が接触することになり、ICチップ230の裏面に予め絶縁シートを貼ったとしても絶縁耐圧が低く、絶縁破壊し易くなってしまう。改善策として、予め一次導体210に絶縁シートを貼ることも考えられる。
【0035】
また、電流センサ200は、一次導体210と信号処理回路で使用している電源の0Vに接続されたICチップ210の裏面とが向き合っているため、ICチップ210の表面に形成したIC回路は一次導体210からシールドされる構造となり、一次導体210に流れる被測定電流源に含まれる電圧ノイズを新たな部品を用いることなく効率的に遮断することが可能となるため、コンセントユニット100を小型化する上でより適した電流センサである。
【0036】
また、電流センサ200は、電流経路に流れる被測定電流に比例した出力のみならず、電流センサ200の周辺温度信号も出力することで、演算装置14は、電流センサ200の温度特性を考慮することができ、高精度な電力演算が可能となる。各コンセント部11a〜11dに流れる電流値が異なっている場合は、各コンセント部11a〜11dに設けられた電流センサ200の内部温度は、発熱量が違い結果として異なる。各電流センサ200に一律の温度補正を考慮する場合と比較し、各電流センサ200の周辺温度信号が得られることで、高精度な電力演算が実現できる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のコンセントユニット100によれば、演算装置14は、電流センサ12a〜12dと接続され、各電流センサの出力値に基づいて各コンセント部11a〜11dに接続される機器の電力の使用状態を演算することができる。しかもこの場合、演算装置14の数と電流センサ12a〜12dの数との比を1:多(
図1の例では、例えば、4)にすることができるため、コンセントユニット100の小型化を実現できる。
【0038】
なお、コンセントユニット100の適用例は、本実施形態で例示したものに限られない。例えば
図5に示すコンセントユニット100Aは、壁などに埋め込まれる形態のものであり、例えば3口のコンセント部21a,21b,21cを有する。コンセント部21a〜21cは、配管300内の電源ケーブルで接続される。
【0039】
[コンセントユニット内の各電流センサの位置関係]
次に、コンセントユニット100内の各電流センサ12a〜12dの位置関係について、
図6を参照して説明する。
【0040】
図6は、コンセントユニット内の各電流センサ12a〜12dの位置関係の一例を示す図である。
【0041】
図6の例では、隣接する分コンセントの各電流センサ12a〜12dは、取り付け位置が互いに異なるように配置されている。例えば、電流センサ12b,12cの中心のずれは、距離dとなっている。これにより、隣接するコンセントから生じる漏れ磁束の影響を低減させることが可能となる。この実施形態では、距離dを、例えば5mm以上とした場合に、シミュレーションの結果から、漏れ磁束の影響をほぼ無視することができるようになる。
【0042】
さらに各電流センサ12a〜12dは、磁気シールドを施してもよい。
【0043】
図7は、コンセントユニット100に磁気シールドが施された場合の磁気シールドの設置例を示す図であって、(a)はコンセント部11aの一側面に磁気シールド203を施した場合と、(b)はコンセント部11aの両側面に磁気シールド203,204を施した場合と、(c)は電流センサ12aを覆うように磁気シールド205を施した場合と、(d)はコンセント部11aの内面全部に磁気シールド206を施した場合とを示す。
【0044】
図7に示すように、コンセント部11aでは、一部または全部に、例えば磁気シールドシートが取り付けられることによって、上述した磁気シールド203,204,205,206が施される。磁気シールドシート以外に、鉄やケイ素鋼板など磁性体の薄板で構成することも可能である。なお、磁気シールドシートの位置は、電流センサに外乱の磁気ノイズが発生しないようにすることができれば、上述した例に限られない。
【0045】
図8は、磁気シールドが施されたコンセントの例を示す斜視図であって、(a)はコンセント部の一側面に磁気シールド203を施した場合と、(b)はコンセントのフレーム枠の両側面に磁気シールド203,204を施した場合とを示す。なお、
図8の(a)は
図7(a)に表示された例を示し、(b)は
図7(b)に表示された例に対応して示している。
【0046】
図8に示すように、コンセント部では、一側面または両側面に、磁気シールド203,204が施されることによって、シールド効果が得られる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のコンセントユニット100によれば、電流センサと磁気シールドをコンセントユニット100内に設けることができる。
【0048】
次に、電流センサ200の変形例1,2,3について説明する。
【0049】
(変形例1)
図9(A)は、
図3の電流センサ200の変形例1を示す図である。
図9(A)に示す電流センサ600は、ICチップ630を除いて電流センサ200と同一である。ICチップ630は、支持部220Aに配置した際に、第1の磁電変換素子630Aが、平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されるとともに、第2の磁電変換素子630Bが、電流経路210AのU字形の外側であって、電流経路210Aに近接する位置に配置されるように設計されている。
図10に、
図9(A)のX-X線に沿った断面図を示す。1次導体210に電流が流れることにより発生する第1の磁電変換素子630Aの位置の磁束密度をB1s、第2の磁電変換素子630Bの位置の磁束密度をB2sとする。外来磁気ノイズにより発生する磁束密度をそれぞれB1n、B2nとすると、第1の磁電変換素子630A、第2の磁電変換素子630Bの出力Vo1、Vo2は、
Vo1=k1×(B1s+B1n)+Vu1
Vo2=k2×(-B2s+B2n)+Vu2
となる。但し、k1、k2は各々の磁電変換素子の感度係数、Vu1、Vu2は各々の磁電変換素子のオフセット値である。
【0050】
ここで、双方の磁電変換素子の特性にばらつきが極めて小さく、k1=k2=k、Vu1=Vu2が成り立つとし、
双方の磁電変換素子の距離が近いのでB1n=B2nと近似したときのVo1−Vo2の値を出力電圧Voとすると、
Vo=Vo1-Vo2=k×(B1s+B2s)
となり、外来磁場によるノイズが消えるとともに、U字形内側の第1の磁電変換素子630Aのみの場合よりも大きな信号が得られるので、電流センサの感度向上につながる。
【0051】
また、
図9(B)に、
図3に示した電流センサ200のもう一つの変形例として磁電変換素子を3つ用いた例を示す。電流センサ700は、ICチップ730を除いて電流センサ200と同一である。ICチップ730は、支持部220Aに配置された際に、第1の磁電変換素子730Aが平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されるとともに、第2の磁電変換素子730B及び第3の磁電変換素子730Cが、電流経路210AのU字形の両端の外側であって、電流経路210Aに近接する位置に配置されるように設計されている。1次導体210に電流が流れることにより発生する第3の磁電変換素子730Cの位置の磁束密度をB3sとし、外来磁気ノイズにより第3の磁電変換素子730Cの位置で発生する磁束密度をB3nとする。
ここで、3つの磁電変換素子の特性にばらつきが極めて小さく、k1=k2=k3=k、Vu1=Vu2=Vu3が成り立つとし、3つの磁電変換素子の距離が近いのでB1n=B2n=B3nと近似して、Vo1−(Vo2+Vo3)/2の値を出力電圧Voとすると、
Vo=Vo1-(Vo2+Vo3)/2=k×(B1s+(B2s+B3s)/2)
となり、2つの場合と同様に外来磁場によるノイズが消え電流センサの感度も向上するとともに、1次導体210とICチップ730の位置関係が3つの磁電変換素子の配置方向にズレが生じた場合でも、出力Voの変動レベルを極力抑えることができるようになる。
【0052】
また、電流経路の構成は、磁電変換素子を囲むように構成することができれば、電流経路210AにはU字形電流経路の一形態であるコの字形の電流経路を使用しても良い。
【0053】
(変形例2)
図11は、電流センサ200の変形例2を示す図である。
図11に示す電流センサ800が、
図3の電流センサ200と異なるのは、ICチップ230が側面視において支持部220Aから突出する代わりに、信号端子側部材220の支持部820Aが、切欠部820A’を有し、電流経路210Aが、平面視において切欠部820A’に部分に突出している点である。したがって、ICチップ230は突出しないものの、平面視において、ICチップ230と電流経路210Aは重複する。
図12(A)に側面図、
図12(B)に断面図を示す。第1の実施形態と比較して側面視において高さの異なる電流経路210Aが、平面視において切欠部820A’に部分に突出しているためにリードフレームのスタンピング金型の加工が若干複雑になるが、ICチップ内の磁電変換素子の配置に自由度が生まれ、ICチップのより内側に磁電変換素子を配置できるようになるため、応力起因によるオフセットへの影響を低減することができる。また支持部とICチップとの接着面積が増えるためICチップをより安定に支持することが可能となり、製造工程上余裕のある構成といえる。
【0054】
なお、上述した実施形態と同様に、ICチップ230を、磁電変換素子を2つ有するICチップ630や磁電変換素子を3つ有するICチップ730とすることもできる。
【0055】
(変形例3)
図13は、電流センサ200の変形例3を示す図である。
図13に示す電流センサ300では、
図3の電流センサ200と異なり、ホール素子等の磁電変換素子330AがICチップ330に含まれておらず、別個に設けられている。この実施形態の電流センサ300は、ICとのハイブリッド構造で構成されている。
【0056】
支持部220Aは、U字形の開口部210Cに挿入された第1の支持部220A’と、第1の支持部220A’に隣接し、開口部210Cに挿入されていない第2の支持部220A”とを有する。第1の支持部220A’には、電流経路210Aを流れる電流から誘導される磁束を検出する磁電変換素子330Aが配置され、第2の支持部220A”には、磁電変換素子330Aからの出力信号を処理するためのICチップ330が配置される。磁電変換素子330Aは、平面視において電流経路210AのU字形の内側に配置されている。
【0057】
本実施形態に係る電流センサ300は、磁電変換素子330Aのみが配置され、電流経路210Aの開口部210Cに挿入される第1の支持部220A’と、信号処理用のICチップ330が配置され、開口部210Cに挿入されない第2の支持部220A”とに分け、磁電変換素子330Aとして、InSb、InAs、GaAs等の感度の高い化合物半導体の磁気センサを用いる。これにより、電流経路210Aを流れる電流の測定精度を向上させることができる。
【0058】
加えて、開口部210Cに挿入する必要があるのはICチップ330ではなく磁場変換素子330Aのみであるため、U字形の電流経路210Aを小さく、且つ全長を短くすることができる。電流経路210Aが小型化すると、U字形の内側における磁場集中が高まり、電流の検出感度向上が得られるうえ、発熱の影響も軽減することが可能である。
【0059】
変形例3では、一次導体210と磁電変換素子330Aが電流センサの上面から見て二次元的に重なる配置になっておらず、一次導体210と磁電変換素子330Aの間隔が広がるため、一次導体210に対してより高い耐圧を確保することができる。また微細プロセスからなるICチップ330が一次導体210から更に遠くに離れているため、一次導体210から発生するノイズの影響を低減することができ、しかも一次導体210に電流が流れることによる発熱の影響も小さくなることから信頼性が更に高まる。そのため、電流センサ300は、小型コンセントユニットを実現するのにより適した電流センサである。
【0060】
以上、実施形態および変形例1〜3を詳述してきたが、具体的な構成はそれらに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更や、他の用途への適用なども含まれる。
【0061】
例えば、電流センサ200は、直流電流および交流電流の計測が可能な構成を例にとって説明したが、例えば、直流電流のみ、または、交流電流のみの計測が可能な構成としてもよい。あるいは、電流センサ200は、ホールセンサ以外の磁気センサを用いて構成するようにしてもよい。
【0062】
コンセントユニット100,100Aのコンセント部の数は、変更することが可能である。あるいは、電流センサ12a〜12dは、演算装置14と有線で接続されている場合を例にとって説明したが、例えば無線接続でもよい。