(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、一部分を切り欠いた結紮装置の平面図である。
結紮装置100は、操作装置1と、クリップユニット3とを有して構成される。また、結紮装置100には後述のクリップケースから新たなクリップが供給される構成となっている。操作装置1は、挿入部71と、手元側操作部73と、で構成される。挿入部71は、外シース部材39と、外シース部材39内に挿通された内シース部材37と、内シース部材37内に挿通された操作ワイヤ33とを有して構成される。手元側操作部73は、外シース部材39の手元側に固定された外シース接続体75と、内シース部材37を外シース部材39に対して進退操作する操作部本体77と、操作ワイヤ33を内シース部材37に対して進退操作するスライダー部79と、外シース接続体75とスライダー部79の間に設けられるスライダーバネ81と、指掛けリング83と、から構成される。
【0010】
操作装置1は、外シース接続体75を固定して操作部本体77を先端側に押すと、外シース部材39から内シース部材37が突出し、逆に操作部本体77を引き込むと、外シース部材39が内シース部材37より突出する。また、スライダー部79を指掛けリング83から離間する方向に移動すると、内シース部材37内に操作ワイヤ33が引き込まれ、逆にスライダー部79を近づけると、内シース部材37から操作ワイヤ33が突出する。この操作ワイヤ33は、ステンレス、NiTi合金等の適度な弾性を有する金属撚り線で形成される。操作ワイヤ33が進退可能となる内シース先端部35には、上記クリップユニット3が脱着自在に装着される。
【0011】
図2は
図1に示した結紮装置先端部の断面図である。
クリップユニット3は、クリップ17と、クリップ連結部材23と、クリップ保持部材27と、第一移動規制部41と、第二移動規制部43と、を備える。クリップ17は、生体組織の結紮を行う開閉自在なアーム部15を有し、このアーム部15によって生体組織を結紮する。アーム部15は、一対の開脚体状に形成され、例えばステンレス等のバネ性を有する金属製板材を、中央部で外側に折り曲げて形成される。アーム部15の後端には交差部15a、先端部には組織把持部15bが形成される。なお、本明細書中では、結紮装置100の挿入方向側を前、その反対方向側を後とする。
【0012】
交差部15aの後端となるクリップ基端部19にはクリップ連結部材23が連接している。クリップ連結部材23は、その先端となる連結部材先端部21がクリップ基端部19に接続される。クリップ連結部材23は、例えば、ナイロンなどの高強度な樹脂材料等からなり円柱状に形成される。この連結部材先端部21とクリップ基端部19との間には後述の脆弱部が設けられている。つまり、クリップ17とクリップ連結部材23は、脆弱部を介した接続構成とされている。クリップ連結部材23の連結部材基端部29にはワイヤ結合部31が設けられる。ワイヤ結合部31は、中空円錐体の頂部を連結部材基端部29に連接した錐状拡径部65として形成されている。
【0013】
この錐状拡径部65は、後述する弾性屈曲脚を拡開させる働きを有する。また、錐状拡径部65の後端面には後述の係合穴が穿設される。係合穴は、操作ワイヤ33の先端部に設けられる矢尻状先端部67を脱着自在に挿入する。矢尻状先端部67は、後端部の返し部により錐状拡径部65の係止穴に係止し、離脱が規制される。したがって、クリップ17は、クリップ連結部材23と、錐状拡径部65に係止する矢尻状先端部67と、によって操作ワイヤ33に接続されている。
【0014】
矢尻状先端部67による離脱規制力は、脆弱部の強度よりも大きく設定されている。脆弱部の破断前のワイヤ離脱を防止するためである。また、クリップ連結部材23は、脆弱部63を破断してクリップ17を分離した際には、矢尻状先端部67が係止したまま操作ワイヤ33に接続されて体腔内から取り出される。取り出されたクリップ連結部材23は、手指等により所定の抜去力にて矢尻状先端部67から脱着される。
【0015】
クリップ保持部材27は、前部に錐体部49を有し、その後部に弾性屈曲脚55を有している。錐体部49の軸線に沿う方向にはクリップ17とクリップ連結部材23とを挿通させるための連通孔25を有する。クリップ保持部材27は、例えば樹脂を射出成形することにより形成される。連通孔25には狭窄部25aが設けられ、狭窄部25aにはクリップ連結部材23の錐状拡径部65よりも前方部分が挿通される。つまり、クリップ連結部材23は、錐状拡径部65が狭窄部25aに当接してそれ以上前方への抜けが規制される。一方、狭窄部25aは、連結部材先端部21の後方への抜去は許容する。
【0016】
図3は
図2に示したクリップユニットの斜視図である。
錐体部49の前部には連通孔25と同軸状に当接リング85が形成され、当接リング85は後述するクリップケースのストッパ部である離間壁部に当接する。錐体部49の後端面から後方に向かって突出する弾性屈曲脚55は、例えば四本の脚部55aを放射状に配置してなる。それぞれの脚部55aは、錐体部49の後端面から後方に向かって順に内側屈曲点55b、外側屈曲点55cとを有し、この内側屈曲点55bを基点に脚部55aは連通孔25内側に向かって折り曲げられ外側屈曲点55cにおける各脚部55a内径は錐状拡径部65の外径より小さくなり、外側屈曲点55cを基点に脚部55aを外側に向けて折り曲げられている。弾性屈曲脚55は、各脚部55aが放射状に配置されることで、外側屈曲点55cよりも後端側に略円錐状の中央空間を形成する。この中央空間には、錐状拡径部65が配置されている。錐状拡径部65の後端面には上記した矢尻状先端部67を脱着自在に挿入する係合穴65aが開口されている。
【0017】
つまり、中央空間に配置された錐状拡径部65は、操作ワイヤ33によって押圧されると、各脚部55aの外側屈曲点55cを押し拡げて、前進するようになされている。錐状拡径部65の前進により各脚部55aの後端部は外側屈曲点55cを基点として連通孔25の中心軸に対して略直交する方向に開脚する。この開脚した脚部55aの後端は、後述する内シース先端部の先端狭窄部に係止する。
【0018】
図2に戻り、外シース部材39、内シース部材37は、例えばバネ性材料を密巻きした可撓性を有するコイルシースで構成することができる。外シース部材39は、内シース部材37の外周を覆って配置される。外シース部材39の内方では内シース部材37が進退自在となる。換言すれば、外シース部材39は、内シース部材37に対し進退自在に配置される。また、この外シース部材39は、その内周面45の先端にアーム部15を当接可能な内径にされることにより、アーム部15の開度を変更するように働く。内シース部材37は、操作ワイヤ33を内包して延設され、その先端部35に内シース内側に突設した先端狭窄部59を有している。この先端狭窄部59はその先端側座面53aにおいて、錐体部49の後端面と当接してこれを支持し、その後端側座面部53bにおいて拡開された各脚部の後端部と当接しこれを支持する。このようにクリップ保持部材27は内シース先端に対して軸方向に支持固定される。内シース部材37の内方に挿通される操作ワイヤ33は、クリップ連結部材23を牽引操作することでクリップ17を進退方向に操作自在としている。
【0019】
結紮装置100は、クリップ保持部材27の、内シース部材37に対する移動を規制する第一移動規制部41、及び第二移動規制部43と、を備えている。第一移動規制部41は、クリップ保持部材27の内シース部材37の軸方向後端側(矢印a方向)への移動を規制する。第二移動規制部43は、クリップ保持部材27の内シース部材37の軸方向先端側(矢印b方向)への移動を規制する。
【0020】
第一移動規制部41は、クリップ保持部材27に形成された錐体部49の底面51に形成され、内シース部材37の先端狭窄部59の先端側座面53aに当接する係止面として構成されている。これによりクリップ保持部材27の矢印a方向の移動が規制される。
【0021】
第二移動規制部43は、クリップ保持部材27の連通孔25から内シース部材37に向かって延出された弾性屈曲脚55として形成されている。弾性屈曲脚55は、クリップ連結部材23の錐状拡径部65が連通孔25に挿入されたときに拡開し、その脚後端部57が内シース部材37の先端狭窄部59の後端側座面53bと当接する。その結果、内シース部材37の先端狭窄部59は、錐体部49の後端面となる底面51と、拡開した各脚部55aの脚後端部57とで狭持される。つまり、弾性屈曲脚55が拡開することで、内シース部材37とクリップ17を固定できるようになされている。
【0022】
また、弾性屈曲脚55は、クリップ17がクリップ保持部材27の連通孔25から抜き取られたとき、つまり、クリップ連結部材23の錐状拡径部65が連通孔25から抜き取られたとき、拡開前の状態に弾性復帰する。すなわち、各脚部55aの作る先端側空間への錐状拡径部65の挿入の有無によって、内シース部材37とクリップ保持部材27とを係合、又は係合解除することができるようになされている。
【0023】
クリップ17は、操作ワイヤ33の牽引により、クリップ保持部材27の連通孔25に挿入され、アーム部15の開度が固定される。例えば、クリップ17が操作ワイヤ33の牽引によって連通孔25に挿入されれば、連通孔25の前部開口縁にてクリップ17の後部が窄められて、アーム部15が閉状態に固定されることとなる。
【0024】
クリップ連結部材23は、前述したように操作ワイヤ33の牽引によりクリップ17がクリップ保持部材27の連通孔25に挿入された後、更に牽引された場合に破断する脆弱部63を有している。脆弱部63は、破断部として細径に形成され、例えば20〜60N程度の破断力が加わったとき、破断するように断面寸法が設定される。脆弱部63が破断すれば、クリップ17と操作ワイヤ33は分離されることになる。すなわち、クリップ17は、操作ワイヤ33を牽引することで、クリップ17が生体組織11を狭持した状態で、操作ワイヤ33から切り離しできる。
【0025】
クリップ連結部材23は、弾性屈曲脚55を拡開させる上記の錐状拡径部65を有している。錐状拡径部65の内側には操作ワイヤ33の矢尻状先端部67が脱着自在に挿入される。錐状拡径部65がクリップ連結部材23に形成されることで、クリップ連結部材23をクリップ保持部材27から抜き取った後に、錐状拡径部65の弾性屈曲脚55に対する拡径作用が無くなる。これにより、弾性屈曲脚55が弾性復元して、クリップ保持部材27と内シースとの接続が自動的に解除される。その結果、クリップ保持部材27は、生体組織11を挟持したクリップ17と共に、体内に留置されることなる。なお、錐状拡径部65は、脱着自在なスナップ挿入により操作ワイヤ33の矢尻状先端部67が容易に接続、あるいはクリップ17との分離後に矢尻状先端部67から脱着可能となっている。
【0026】
次に、クリップケースについて説明する。
図4はクリップユニットを収容したクリップケースの平面図、
図5は
図4の分解斜視図である。
図4,
図5に示すように、クリップユニット3は、クリップケース5に収納される。クリップケース5は、上下一対の上部ケースと下部ケースからなり、扁平な略矩形状に形成される。上部ケースと下部ケースの組立後は、長手方向の一側面に内シース部材37の挿入されるシース挿入開口部87が形成される。シース挿入開口部87の前方には一対のリブである離間壁部89が設けられる。この離間壁部89には、シース挿入開口部87側からクリップ保持部材27の当接リング85が当接する。クリップユニット3は、当接リング85を離間壁部89に当接した状態で、拡開したクリップ17の背部が離間壁部89の間隙91に配置される。これにより、クリップユニット3は、クリップ17の背部と当接リング85とで離間壁部89を挟持して、クリップケース5内に保持される。
【0027】
クリップケース5は、適度な硬さを有する透明樹脂を射出成形して製造した略同一形状の上部ケース93と下部ケース95とから構成される。上部ケース93及び下部ケース95には、
図5に示すように、離間壁部89とシース挿入開口部87の間に、クリップ保持部材27の錐体部49を保持する保持凹部97が形成される。保持凹部97の前方は、クリップ17のアーム部15を収容するアーム収容部99に連通する。
【0028】
次に、上記構成を有する結紮装置100の作用を以下に説明する。
図6(a)は操作装置とクリップユニットの位置合わせ時の要部断面図、(b)は内シース部材突出時の要部断面図、(c)はワイヤ当接時の要部断面図である。
まず、クリップユニット3を結紮装置100に取り付けるには、
図6(a)に示すように、クリップユニット3の収容されたクリップケース5のシース挿入開口部87に、内シース部材37を位置あわせする。シース挿入開口部87にはクリップケース5に予めセットしておいたクリップユニット3の弾性屈曲脚55が配置されている。
【0029】
図1に示したスライダー部79を外シース接続体75に対して操作部本体77を押し込むと、内シース部材37が突出し、
図6(b)に示すように、シース挿入開口部87に進入する。内シース先端部35には脚部導入穴101がテーパー状に形成され、弾性屈曲脚55が内シース先端部35内に滑らかに入り込む。次に、指掛けリング83を、スライダー部79に向けて押し込むことで、
図6(c)に示すように、操作ワイヤ33が突出し、操作ワイヤ先端の矢尻状先端部67がクリップ連結部材の錐状拡径部65に当たる。
なお、予め内シース先端を外シース先端から突出させておき、内シース先端をクリップケース5のシース挿入開口部87に直接挿入しても良い。
【0030】
図7(d)はワイヤ押圧開始時の要部断面図、(e)は弾性屈曲脚開脚時の要部断面図、(f)はクリップケースからのクリップユニット取り出し時の要部断面図である。
図7(d)に示すように、操作ワイヤ先端の矢尻状先端部67がクリップ連結部材の錐状拡径部65に当接した状態で、更に
図1に示す指掛けリング83が前方に移動されると、クリップ保持部材27の先端が離間壁部89により規制されているので矢尻状先端部67が錐状拡径部65に進入係止するとともに、
図7(e)に示すように、錐状拡径部65が弾性屈曲脚55の深部に入り込む。錐状拡径部65が屈曲部位を通過して弾性屈曲脚55の深部に進入することで、脚後端部57は、略直角に開いて内シース先端部35の背面に係止される。なお、錐状拡径部65はその先端が連通孔25の狭窄部25aに当接するので、脚部55aを拡開する位置で停止する。これにより、クリップユニット3は、内シース部材37からの離脱が規制されて、操作装置1に保持される。
図7(f)に示すように、内シース部材37にクリップユニット3が保持された状態で、操作装置1をクリップケース5に対して後退することで、クリップ17のアーム部15が弾性変形して間隙91を通過する。
【0031】
図8(g)はクリップユニット取り出し後の要部断面図、(h)は外シース部材のクリップ外挿時の要部断面図である。
間隙91を通過したクリップ17は、クリップケース5から完全に取り出されると、
図8(g)に示すように、弾性復元力により再び開脚する。この状態で外シース接続体75をスライダーバネ81の弾性復元力によりスライダー部79から離間させると、操作部本体77が外シース接続体75に対して後退し、その結果、
図8(h)に示すように、内シース部材37がクリップユニット3を外シース部材39内に引き込む。これにより、クリップ17が閉脚した状態で外シース部材39内に収容され、クリップユニット3を装着した操作装置1の体腔内への挿入準備が完了する。
【0032】
次に、クリップの掴み直し動作とクリップによる結紮について説明する。
図9(a)はクリップ突出時の要部断面図、(b)は生体組織位置合わせ時の要部断面図、(c)は生体組織クリップ挟持時の要部断面図である。
クリップユニット3を生体組織11に結紮するには、予め体腔内に挿入された不図示の内視鏡のチャンネルを介して操作装置1の挿入部71を体腔内に導入し、内視鏡により体腔内を観察しながら、挿入部71の先端を対象部位まで導く。挿入部71の先端が対象部位まで導かれたことが確認されたなら、操作部本体77を押し込む。操作部本体77が押し込まれると、内シース部材37が外シース部材39内を前進し、その結果、
図9(a)に示すように、クリップ17が外シース部材39から突出する。突出したクリップ17は、組織把持部15b,15b同士の間に挟持間隙103を形成するよう弾性復元力により開脚する。
【0033】
そして、クリップ17を、
図9(b)に示すように、挟持間隙103に生体組織11が配置されるように位置決めする。組織把持部15bの位置が最適となった状態で、操作部本体77の押し込み力を緩めると、スライダーバネ81の弾性復元力により外シース部材39が内シース部材37に対して前進し、その結果、
図9(c)に示すように、クリップ17のアーム部15が外シース部材39の内方に引き込まれて、組織把持部15bによって生体組織11を挟持する。
【0034】
このとき、組織把持部15bの挟持位置に変更が生じた場合には、再び、操作部本体77を押し込めば、内シース部材37が再び突出し、アーム部15に対する外シース部材39の縮径作用が解除される。すなわち、
図9(b)の状態に再び戻り、組織把持部15bが開き、挟持位置の変更が繰り返し可能となる。
【0035】
これは、クリップユニット3が内シース先端部35に保持されていることにより実現されている。クリップユニット3は、錐体部49の底面51が内シース座面53aに当接して、クリップ保持部材27の矢印a方向の移動が規制される。また、脚後端部57が内シース先端部35の背面に係止することで、クリップ保持部材27の矢印b方向への移動が規制される。つまり、クリップユニット3は、内シース先端部35を挟持することにより確実に保持されて、抜け落ちることがない。
【0036】
図10(d)はクリップ引き込み時の要部断面図、(e)はクリップ分離時の要部断面図である。
組織把持部15bによる挟持位置が確定したなら、スライダー部79を引き、
図10(d)に示すように、操作ワイヤ33を介してクリップ連結部材23を引く。操作ワイヤ33にて引かれたクリップユニット3は、錐体部49の底面51が内シース座面53aに当接してクリップ保持部材27の後退が規制される。一方、クリップ連結部材23に連接するクリップ17は、組織把持部15bが生体組織11を挟持したまま、連通孔25内に引き込まれ、より大きな挟持力が組織把持部15bに作用するようになる。
【0037】
操作ワイヤ33によって引っ張られたクリップ連結部材23は、脆弱部63、クリップ基端部19を狭窄部25aに引き込む。これと同時に、錐状拡径部65が弾性屈曲脚55から抜け、弾性屈曲脚55が窄まる。なお、弾性屈曲脚55が窄むことで、脚後端部57による係止は解除されるが、操作ワイヤ33による引っ張り力がクリップユニット3の全体に作用しているため、クリップユニット3が内シース先端部35から脱落することはない。
図10(e)に示すように、クリップ基端部19が狭窄部25aを通過すると、アーム部15に対する連通孔25の開口縁からの反力が増大し、引っ張り抵抗力が大きくなる。この引っ張り抵抗力が所定の値を超えると、脆弱部63が破断し、クリップ基端部19とクリップ連結部材23とが分離される。
【0038】
クリップ連結部材23から分離されたクリップユニット3は、アーム部15がクリップ保持部材27内部に十分に引き込まれているため、クリップ17がクリップ保持部材27の前方に抜け落ちることがなく、生体組織11を挟持したままの状態を保持し続ける。クリップ保持部材27によりアーム部15の開脚が規制されたクリップユニット3は、クリップ保持部材27と共にそのまま体内に留置されることとなる。
【0039】
このように、結紮装置100では、内シース部材37に対して、クリップ保持部材27の軸方向移動が規制されることで、外シース部材39でクリップ17のアーム部15を開閉する際に、クリップ17が脱落したり、操作ワイヤ33と内シース部材37が相対移動したりすることを防止でき、取扱い性が向上する。
【0040】
従って、上記結紮装置100によれば、複数のクリップ17を順次付け替え可能な結紮装置100において、生体組織11を結紮操作する際にクリップ17の開閉動作が自在に行え、生体組織11の掴み直しを簡単な操作により行うことができる。
【0041】
次に、上記構成を有する結紮装置100の変形例を説明する。
図11は第二移動規制部に当接フランジを用いた変形例に係る結紮装置の要部断面図である。なお、
図1から
図10に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
この変形例は、第二移動規制部43が、操作ワイヤ33に固定された当接フランジ61として形成されている。当接フランジ61は、錐体部49の底面51とで内シース部材37の先端狭窄部59を狭持する。また、錐体部49の底面51には連通孔25と同軸状に円筒部105が突出され、円筒部105は脚部導入穴101に配置される。
【0042】
この変形例では、当接フランジ61によって、クリップ保持部材27は、内シース部材37の軸方前方の矢印a方向への移動が規制される。従って、この変形例によれば、弾性屈曲脚55を省略してクリップ保持部材27の構造を簡素にすることができる。
【0043】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0044】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 生体組織の結紮を行う結紮装置であって、
開閉自在なアーム部を有し、該アーム部によって生体組織を結紮するクリップと、
クリップ基端部に、その連結部材先端部が連接するクリップ連結部材と、
前記クリップと前記クリップ連結部材とを挿通させるための連通孔を有するクリップ保持部材と、
連結部材基端部に設けたワイヤ結合部に接続され、前記クリップ連結部材を牽引操作する操作ワイヤと、
前記操作ワイヤを内包して延設され、その内シース先端部において前記クリップ保持部材を支持する内シース部材と、
前記内シース部材の外周を覆って進退自在に配置された外シース部材と、
前記クリップ保持部材の、前記内シース部材に対する移動を規制する第一移動規制部、及び第二移動規制部と、を備え、
前記外シース部材は、その内周面に前記アーム部を当接させることにより、該アーム部の開度を変更するものであり、
前記第一移動規制部は、前記クリップ保持部材の前記内シース部材の軸方向外側から内側への移動を規制するものであり、
前記第二移動規制部は、前記クリップ保持部材の前記内シース部材の軸方向内側から外側への移動を規制するものである結紮装置。
この結紮装置によれば、内シース部材に対して、クリップ保持部材の軸方向移動が規制されることで、クリップを外シース部材でアーム開閉する際に、クリップが脱落したり、操作ワイヤと内シース部材とが相対移動したりすることを防止でき、取扱い性が向上する。
【0045】
(2) (1)の結紮装置であって、
前記第一移動規制部が、前記クリップ保持部材及び前記内シース部材に形成され、相互に当接する係止面である結紮装置。
この結紮装置によれば、各係止面で当接することで移動が確実に規制される。
【0046】
(3) (2)の結紮装置であって、
前記係止面が、前記クリップ保持部材に形成された錐体部の底面と、前記内シース先端部に形成された内シース座面である結紮装置。
この結紮装置によれば、クリップ保持部材の錐体部と、内シース部材の内シース座面とが突き当てられて移動が規制される。
【0047】
(4) (3)の結紮装置であって、
前記第二移動規制部は、前記クリップ保持部材の前記連通孔から前記内シース部材に向かって延出された弾性屈曲脚であり、
前記弾性屈曲脚は、前記クリップ連結部材が前記連通孔に挿入されたときに拡開し、その脚先端部と前記錐体部の底面とで前記内シース部材の先端狭窄部を狭持する結紮装置。
この結紮装置によれば、弾性屈曲脚が拡開することで、内シース部材とクリップとを固定できる。
【0048】
(5) (4)の結紮装置であって、
前記弾性屈曲脚は、前記クリップが前記クリップ保持部材の連通孔から抜き取られたとき、前記拡開前の状態に弾性復帰する結紮装置。
この結紮装置によれば、弾性屈曲脚の連通孔への挿入の有無によって、内シース部材と係合、又は係合を解除することができる。
【0049】
(6) (1)から(3)のいずれか1項の結紮装置であって、
前記第二移動規制部が、前記操作ワイヤに固定された当接フランジであり、
前記当接フランジが、前記錐体部の底面とで前記内シース部材の先端狭窄部を狭持する結紮装置。
この結紮装置によれば、当接フランジによって、クリップ保持部材の内シース部材の軸方向内側から外側への移動が規制される。
【0050】
(7) (1)から(6)のいずれか1項の結紮装置であって、
前記クリップは、前記操作ワイヤの牽引により、前記クリップ保持部材の連通孔に挿入され、前記アーム部の開度が固定される結紮装置。
この結紮装置によれば、クリップが操作ワイヤの牽引によって連通孔に挿入されて、アーム部を閉状態に固定できる。
【0051】
(8) (7)の結紮装置であって、
前記クリップ連結部材は、前記操作ワイヤの牽引により前記クリップが前記クリップ保持部材の連通孔に挿入された後、更に牽引された場合に破断する脆弱部を有し、
前記破断により前記クリップと前記操作ワイヤが分離される結紮装置。
この結紮装置によれば、クリップが結紮された後に操作ワイヤを牽引することで、クリップが生体組織を狭持した状態で操作ワイヤと切り離される。
【0052】
(9) (1)から(8)のいずれが1項の結紮装置であって、
前記クリップ連結部材が、前記弾性屈曲脚を拡開させる錐状拡径部を有し、該錐状拡径部の内側に前記操作ワイヤの矢尻状先端部が脱着自在に挿入される結紮装置。
この結紮装置によれば、錐状拡径部がクリップ連結部材に形成されることで、クリップ連結部材をクリップ保持部材から抜き取った後に、錐状拡径部の拡径作用が無くなり、弾性屈曲脚が弾性復元して、クリップ保持部材と内シースとの接続が自動的に解除される。また、脱着自在なスナップ挿入により操作ワイヤが容易にクリップ連結部材に接続、あるいは分離後に脱着できる。
【0053】
(10) 先端と後端と長手軸とを有する外シース部材と、
前記外シース部材内に進退自在に設けられた内シース部材と、
前記内シース部材の先端に半径方向内側に突設され、先端側に位置する先端側座面部と後端側に位置する後端側座面とを有する先端狭窄部と、
前記内シース部材内に進退自在に設けられた操作ワイヤと、
開閉自在なアーム部と前記アーム部の基端を連結する基端部とを有し、該アーム部によって生体組織を結紮するクリップと、
前記クリップの基端部と連結するクリップ連結部と、前記操作ワイヤの先端と連結する操作ワイヤ連結部とを有するクリップ連結部材と、
前記クリップと前記クリップ連結部材とを挿通させるための連通孔を有するクリップ保持部材と、
前記クリップ保持部材に設けられ、前記外シース部材の内径よりも小さく、かつ前記内シース部材の先端開口部よりも大きな外径を有する第一移動規制部と、
前記クリップ保持部材若しくは前記操作ワイヤのいずれか一方に設けられ、前記内シース部材の内径よりも小さく、かつ前記内シース部材の前記先端狭窄部の内径よりも大きな外径を有する第二移動規制部と、
からなり、
前記クリップ連結部材と前記操作ワイヤとが連結されているとき、前記内シース部材の前記先端狭窄部が前記第一移動規制部と前記第二移動規制部との間に配置され、
前記クリップ保持部材を前記内シース部材先端に対して軸方向に固定することを特徴とする生体組織の結紮を行う結紮装置。
この結紮装置によれば、クリップ保持部材を内シース部材先端に対して軸方向に固定できる。このため、外シース部材を内シース部材に対して前進させて生体組織をクリップにより結紮することを、クリップの抜け落ちを防止しつつ円滑に行える。
【0054】
(11) (10)の結紮装置であって、
前記第二移動規制部は、前記クリップ保持部の後端部に放射状に設けられた少なくとも2本の脚部であり、
前記クリップ連結部材は、前記前記操作ワイヤ連結部に拡径部を有しており、
前記クリップ連結部材の前記拡径部が前記脚部の間に押し込まれることにより、前記脚部が放射方向に拡開し、前記内シース部材の先端狭窄部の後端側座面部に当接する結紮装置。
この結紮装置によれば、クリップ連結部材の拡径部がクリップ保持部材の脚部の間に押し込まれて拡開し、内シース部材の先端狭窄部が、クリップ保持部材と脚部との間で狭持される。
【0055】
(12) (10)の結紮装置であって、
前記第二移動規制部は、前記操作ワイヤに設けられた拡径部であり、
前記クリップ連結部材と前記操作ワイヤとが連結されることにより、前記拡径部が前記内シース部材の先端狭窄部の後端側座面部に当接する結紮装置。
この結紮装置によれば、ワイヤに設けた拡径部により、クリップ保持部材との間で内シース部材の先端狭窄部が狭持される。