(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための撮像装置の一例としてのデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【0019】
図1に示すデジタルカメラの撮像系は、撮像光学系としてのレンズ装置(撮影レンズ1と絞り2とを含む)と、レンズ装置を介して被写体を撮像するCCD型やCMOS型等の固体撮像素子5とを備えている。撮影レンズ1及び絞り2を含むレンズ装置は、カメラ本体に着脱可能又は固定となっている。
【0020】
撮影レンズ1は、合焦用のフォーカスレンズと、焦点距離変更のためのズームレンズとを含む。ズームレンズは省略可能である。
【0021】
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、フラッシュ発光部12及び受光部13を制御する。また、システム制御部11は、レンズ駆動部8を制御して撮影レンズ1に含まれるフォーカスレンズの位置を調整したり、撮影レンズ1に含まれるズームレンズの位置の調整を行ったりする。更に、システム制御部11は、絞り駆動部9を介して絞り2の開口量を制御することにより、露光量の調整を行う。
【0022】
また、システム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して固体撮像素子5を駆動し、撮影レンズ1を通して撮像した被写体像を撮像画像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
【0023】
このシステム制御部11は、後述する様に、コントラストAF処理部18と位相差AF処理部19のいずれか一方を被写体色に応じて選択し、選択した処理部によって決定された合焦位置にしたがって、撮影レンズ1の合焦制御を行う。
【0024】
デジタルカメラの電気制御系は、更に、固体撮像素子5の出力に接続された相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部6と、このアナログ信号処理部6から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路7とを備える。アナログ信号処理部6及びA/D変換回路7は、システム制御部11によって制御される。アナログ信号処理部6及びA/D変換回路7は固体撮像素子5に内蔵されることもある。
【0025】
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、A/D変換回路7から出力される撮像画像信号に対し、補間演算、ガンマ補正演算、及びRGB/YC変換処理等を行って撮影画像データを生成するデジタル信号処理部17と、コントラストAF方式により合焦位置を決定するコントラストAF処理部18と、位相差AF方式により合焦位置を決定する位相差AF処理部19と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された表示部23が接続される表示制御部22と、を備える。メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、コントラストAF処理部18、位相差AF処理部19、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
【0026】
図2は、
図1に示すデジタルカメラに搭載される固体撮像素子5の平面構成を示す部分拡大図である。
【0027】
固体撮像素子5は、受光面上の行方向X及びこれに直交する列方向Yに二次元状に配列された多数の画素51(図中の各正方形のブロック)を備えている。
図2では全ての画素51は図示していないが、実際には、数百万〜1千数万個程度の画素51が二次元状に配列される。固体撮像素子5により撮像を行うと、この多数の画素51の各々から出力信号が得られる。
【0028】
各画素51は、フォトダイオード等の光電変換部と、この光電変換部上方に形成されたカラーフィルタとを含む。
【0029】
図2では、赤色光を透過するカラーフィルタ(Rフィルタ)を含む画素51には“R”の文字を付し、緑色光を透過するカラーフィルタ(Gフィルタ)を含む画素51には“G”の文字を付し、青色光を透過するカラーフィルタ(Bフィルタ)を含む画素51には“B”の文字を付している。
【0030】
多数の画素51は、行方向Xに並ぶ複数の画素51からなる画素行を、列方向Yに複数個並べた配列となっている。そして、奇数行の画素行と偶数行の画素行は、各画素行の画素51の配列ピッチの略1/2、行方向Xにずれている。
【0031】
奇数行の画素行の各画素51に含まれるカラーフィルタの配列は全体としてベイヤ配列となっている。また、偶数行の画素行の各画素51に含まれるカラーフィルタの配列も全体としてベイヤ配列となっている。奇数行にある画素51と、この画素51に対して右下に隣接する、この画素51と同色光を検出する画素51とがペアを構成する。本明細書において“隣接する2つの画素”とは、中心同士を結ぶ線分の長さが最短となる2つの画素のことを言う。
【0032】
このような画素配列の固体撮像素子5によれば、ペアを構成する2つの画素51の出力信号を加算することでカメラの高感度化を図ることができる。また、ペアを構成する2つの画素51の露光時間を変え、かつ、この2つの画素51の出力信号を加算することでカメラの広ダイナミックレンジ化を図ることができる。
【0033】
固体撮像素子5では、ペアのうちの一部を位相差検出用画素のペア(以下、位相差ペアともいう)としている。各位相差ペアは、
図2の例では、斜めに隣接する位相差検出用画素51Rと位相差検出用画素51Lとで構成される。位相差ペアは、隣接する同色画素のペアに限らず、例えば1,2画素や数画素程度離れた近接する同色画素のペアとしても良い。
【0034】
位相差検出用画素51Rは、撮影レンズ1の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束の一方(例えば瞳領域の右半分を通過した光束)を受光し受光量に応じた信号を出力する。つまり、固体撮像素子5に設けられた位相差検出用画素51Rは、撮影レンズ1の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束の一方によって形成される像を撮像するものとなる。
【0035】
位相差検出用画素51Lは、上記一対の光束の他方(例えば瞳領域の左半分を通過した光束)を受光し受光量に応じた信号を出力する。つまり、固体撮像素子5に設けられた位相差検出用画素51Lは、撮影レンズ1の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束の他方によって形成される像を撮像するものとなる。
【0036】
なお、位相差検出用画素51R,51L以外の複数の画素51(以下、撮像用画素という)は、撮影レンズ1の瞳領域のほぼ全ての部分を通過した光束によって形成される像を撮像するものとなる。撮像用画素51のうち、Rフィルタを搭載するものをR画素51、Gフィルタを搭載するものをG画素51、Bフィルタを搭載するものをB画素51ともいう。
【0037】
各画素51の光電変換部上方には、遮光膜が設けられる。この遮光膜には、光電変換部の受光面積を規定する開口が形成されている。
【0038】
撮像用画素51の開口(
図2において符号aで示す)の中心は、撮像用画素51の光電変換部の中心(正方形のブロックの中心)と一致している。なお、
図2では、図を簡略化するために、撮像用画素51については一箇所のみに開口aを図示している。
【0039】
これに対し、位相差検出用画素51Rの開口(
図2において符号cで示す)の中心は、位相差検出用画素51Rの光電変換部の中心に対し右側に偏心している。位相差検出用画素51Lの開口(
図2において符号bで示す)の中心は、位相差検出用画素51Lの光電変換部の中心に対して左側に偏心している。
【0040】
固体撮像素子5では、緑色のカラーフィルタが搭載される画素51の一部が位相差検出用画素51R又は位相差検出用画素51Lとなっている。
【0041】
図示する例では、位相差検出用画素51Rと位相差検出用画素51Lは、それぞれ、画素51が配置される領域において離散的及び周期的に配置されている。
【0042】
位相差検出用画素51Rは、
図2の例では、偶数行の画素行の一部(
図2の例では、3画素行おきに並ぶ4つの画素行)において、行方向Xに3つの画素おきに配置されている。位相差検出用画素51Lは、
図2の例では、奇数行の画素行の一部(位相差検出用画素51Rを含む画素行の隣にある画素行)において、行方向Xに、位相差検出用画素51Rと同じ周期で配置されている。
【0043】
このような構成により、遮光膜の開口bを通って画素51Lに受光される光は、
図2の紙面上方に設けられる撮影レンズ1の被写体から見て左側からの光、すなわち被写体を右眼で見た方向から来た光が主となる。また、遮光膜の開口cを通って画素51Rに受光される光は、撮影レンズ1の被写体から見て右側からの光、すなわち被写体を左眼で見た方向から来た光が主となる。
【0044】
即ち、全ての位相差検出用画素51Rによって、被写体を左眼で見た撮像画像信号を得ることができ、全ての位相差検出用画素51Lによって、被写体を右眼で見た撮像画像信号を得ることができる。このため、両者を組み合わせ相関演算することで位相差情報を求めることが可能になる
【0045】
なお、位相差検出用画素51Rと位相差検出用画素51Lは、遮光膜の開口を逆方向に偏心させることで位相差情報を得られるようにしている。しかし、位相差情報を得るための構造はこれに限らず、よく知られているものを採用することができる。例えば、位相差ペアに共通の1つのマイクロレンズ(トップレンズ)を搭載する構造でも良い。
【0046】
図3は、
図1に示すデジタルカメラに搭載される固体撮像素子5の全体構成を示す平面模式図である。
【0047】
固体撮像素子5は、全ての画素51が配置される受光面50を有する。そして、この受光面50に、位相差情報を取得する対象となる位相差検出エリア(以下、AFエリアという)52が
図2の例では9つ設けられている。
【0048】
AFエリア52は、Rフィルタ搭載の撮像用画素51、Gフィルタ搭載の撮像用画素51、及びBフィルタ搭載の撮像用画素51と、複数の位相差ペアとを含むエリアである。
【0049】
受光面50のうちAFエリア52を除く部分には、撮像用画素51だけが配置される。なお、AFエリア52は、受光面50に隙間無く埋めるように設けてあってもよい。
【0050】
図1に示す位相差AF処理部19は、9つのAFエリア52の中からユーザ操作等により選択された1つのAFエリア52にある位相差検出用画素51L及び位相差検出用画素51Rから読み出される出力信号群を用いて、上記一対の光束によって形成される2つの像の相対的な位置ずれ量である位相差量を演算する。そして、この位相差量に基づいて、撮影レンズ1の焦点調節状態、ここでは合焦状態から離れている量とその方向、すなわちデフォーカス量を求める。そして、位相差AF処理部19は、このデフォーカス量からフォーカスレンズの合焦位置を決定する。
【0051】
図1に示すコントラストAF処理部18は、9つのAFエリア52の中からユーザ操作等により選択された1つのAFエリア52によって撮像される画像を解析し、周知のコントラストAF方式によって撮影レンズ1の合焦位置を決定する。
【0052】
即ち、コントラストAF処理部18は、システム制御部11の制御によって撮影レンズ1のフォーカスレンズ位置を動かしながら、動かした位置毎に得られる画像のコントラスト(明暗差)を求める。そして、コントラストが最大となるフォーカスレンズ位置を合焦位置として決定する。
【0053】
なお、AFエリア52は1つだけでなく、連続して並ぶ複数個を選択できるようにしてもよい。
【0054】
図1に示すシステム制御部11は、選択されたAFエリア52によって撮像される被写体像の色を判定し、その色に応じて、コントラストAF処理部18と位相差AF処理部19のいずれか一方を選択する。そして、選択したコントラストAF処理部18又は位相差AF処理部19に合焦位置を決定させ、決定された合焦位置に基づいて、撮影レンズ1のフォーカスレンズを合焦位置に制御する。
【0055】
固体撮像素子5では、位相差検出用画素51L,51Rにおいて、これに隣接しかつこれと異なる色を検出する撮像用画素51からの光の漏れ込み(混色)が多くなると、例えば特許文献5に記載されている様に、位相差AF精度が落ちてしまう。
【0056】
例えば、
図2に示した画素配列では、任意のAFエリア52によって撮像される被写体像において、緑色成分に対して赤色成分や青色成分の量が多いと、R画素51やB画素51から位相差検出用画素51R,51Lへの光の漏れ込みが多くなり、位相差検出量に影響が及ぶ。
【0057】
特に、赤色光は、半導体中での吸収係数が他の色に比べて小さいため、半導体中においてより深くまで進入する。したがって、斜め入射した赤色光による、位相差検出用画素への混色が顕著になる場合がある。
【0058】
そこで、本実施形態では、選択されたAFエリア52により撮像される被写体像において、位相差検出用画素51R,51Lが検出する色成分よりも他の色成分の方が大幅に多くなるような場合には、位相差AF方式ではAF精度が期待できないと判断して、コントラストAF方式を選択するようにしている。逆に、選択されたAFエリア52により撮像される被写体像が赤色や青色に偏っていない場合には、位相差AF方式を選択する。このように、位相差AF方式によって合焦位置を決めにくくなるような被写体色の場合にはコントラストAF方式を選択することで、高速かつ高精度のAF動作が可能となる。
【0059】
図4は、
図1に示すデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【0060】
撮影モードに設定されると、固体撮像素子5によるライブビュー画像生成用の撮像が開始され、表示部23にライブビュー画像が表示される(ステップS1)。そして、シャッタボタンが半押しされてAF指示がなされると(ステップS2:YES)、システム制御部11は、AF指示の直前又は直後に固体撮像素子5によって撮像して得られていた撮像画像信号から、事前に選択されたAFエリア52にある各画素51の出力信号を取得する(ステップS3)。
【0061】
次に、システム制御部11は、取得した出力信号のうち、位相差検出用画素51R,51Lの出力信号を除く、R画素51、G画素51、及びB画素51のそれぞれについて、その出力信号量の平均値を算出する。
【0062】
そして、R画素51の出力信号の平均値をRav、G画素51の出力信号の平均値をGav、B画素51の出力信号の平均値をBavとすると、システム制御部11は、Bav/GavとRav/Gavを算出する(ステップS4)。
【0063】
Bav/Gavは、選択されているAFエリア52によって撮像される被写体像において、位相差検出用画素が検出する緑色成分に対し青色成分がどの程度の割合で存在しているかを示す値となる。
【0064】
また、Rav/Gavは、選択されているAFエリア52によって撮像される被写体像において、緑色成分に対し赤色成分がどの程度の割合で存在しているかを示す値となる。したがって、Bav/Gav及びRav/Gavの大きさにより、選択されたAFエリア52によって撮像される被写体像の色を判定することができる。
【0065】
Bav/Gavの値が大きいほど、位相差検出用画素51R,51Lに青色の光が漏れ込む量が多くなり、位相差量の算出精度が低下する方向にむかう。また、Rav/Gavの値が大きいほど、位相差検出用画素51R,51Lに赤色の光が漏れ込む量が多くなり、位相差量の算出精度が低下する方向にむかう。
【0066】
そこで、
図1に示すデジタルカメラでは、位相差量の算出精度が許容範囲外となるときのBav/Gav及びRav/Gavの各々の下限値を閾値αとして設定している。
【0067】
そして、システム制御部11は、Bav/GavとRav/Gavのいずれか一方が閾値α以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0068】
ステップS5の判定がYESのとき、システム制御部11は、位相差AF精度が許容できない被写体色であると判定して、コントラストAF処理部18を選択する(ステップS6)。一方、ステップS5の判定がNOのとき、システム制御部11は、位相差AF精度が許容できる被写体色であると判定して、位相差AF処理部19を選択する(ステップS7)。
【0069】
ステップS6、S7の後、システム制御部11は、選択したAF処理部に合焦位置の決定を行わせ、決定された合焦位置にフォーカスレンズを移動させる(ステップS8)。
【0070】
そして、システム制御部11は、合焦したことを示す情報を表示部23に表示させたり、合焦したことを示す音をスピーカから出力させたりして、合焦したことを報知する(ステップS9)。
【0071】
その後は、撮影待機状態となり、シャッタボタンが全押しされると、固体撮像素子5により画像記録のための撮像が行われる。
【0072】
なお、
図2に示す画素配置では、位相差検出用画素51Lに隣接するR画素51とB画素51のうち、R画素51についてはB画素51よりも、位相差検出用画素51Lの開口bから遠い位置にある。位相差検出用画素51Rについても同様である。このため、R画素51からの混色による位相差AF精度への影響は無視することも可能である。
【0073】
この場合、
図4のステップS5では、Bav/Gavがα以上であればステップS6を行い、Bav/Gavがα未満であればステップS7を行うようにしてもよい。
【0074】
例えば、
図2において位相差検出用画素51Lの位置を位相差検出用画素51Rの右下に変えた
図5に示す画素配置では、開口bに対してはB画素51が相対的に近くにあり、開口cに対してはR画素51が相対的に近くなる。このような場合には、ステップS5のように、Bav/GavとRav/Gavの両方の大きさによって判定を行うのがよい。
【0075】
また、Bav/Gavの閾値とRav/Gavの閾値は同じとしたが、カラーフィルタ配列によっては、異なる閾値にするのがよい場合もある。赤色光は青色光に比べて波長が長く、混色しやすい。このため、例えば
図5のように、位相差検出用画素においてR画素とB画素からの混色が同程度に発生しうる画素配置であれば、Rav/Gavの閾値をBav/Gavの閾値より小さくしておくのがよい。
【0076】
また、ステップS4では、Ravを、AFエリア52内の全てのR画素51の出力信号量の平均として求めた。しかし、位相差検出用画素の混色の原因になるのは、位相差検出用画素の周辺の画素だけである。したがって、Ravを、AFエリア52内の全てのR画素51の出力信号量の平均ではなく、位相差検出用画素51R,51Lに隣接するR画素51の出力信号量の平均としてもよい。
【0077】
同様に、Bavを、AFエリア52内の位相差検出用画素51R,51Lに隣接するB画素51の出力信号量の平均としてもよい。
【0078】
Gavについては、AFエリア52において、位相差検出用画素51R(51L)と行方向Xにおける位置が同じで、かつ、位相差検出用画素51R(51L)に最も近い位置にあるG画素51の出力信号量の平均としてもよい。
【0079】
以上のようにすることで、演算量を減らしてAF速度を向上させることができる。
【0080】
また、ステップS4では、被写体像における緑色成分と赤色成分又は青色成分の比として、Rav/Gav及びBav/Gavの代わりに、Gav/Rav及びGav/Bavを算出してもよい。
【0081】
Gav/Bavの値が小さいほど、位相差検出用画素51R,51Lに青色の光が漏れ込む量が多くなり、位相差量の算出精度が低下する方向にむかう。また、Gav/Ravの値が小さいほど、位相差検出用画素51R,51Lに赤色の光が漏れ込む量が多くなり、位相差量の算出精度が低下する方向にむかう。
【0082】
そこで、ステップS4においてGav/Rav及びGav/Bavを算出する場合は、位相差量の算出精度が許容範囲外となるときのGav/Rav及びGav/Bavの各々の上限値を閾値αとして設定しておく。そして、
図4のステップS5において、Gav/Rav又はGav/Bavがそれぞれ閾値α以下となるときにステップS6の処理を行い、Gav/Rav及びGav/Bavがそれぞれ閾値αを超えるときにステップS7の処理を行えばよい。
【0083】
図6は、
図1に示すデジタルカメラの動作の第一の変形例を説明するためのフローチャートである。
図6において
図4の処理手順と同じステップには同一符号を付してある。
【0084】
ステップS1でライブビュー画像の生成・表示が開始されると、固体撮像素子5から出力される撮像画像信号を用いてステップS3〜S7の処理が行われる。
【0085】
ステップS6及びステップS7の後、シャッタボタンの半押しによるAF指示がなければ(ステップS23:NO)、システム制御部11はステップS1に処理を戻す。つまり、デジタルカメラの電源がオンされてからAF指示がなされるまでは、定期的に、ステップS1〜ステップS7の処理が行われる。
【0086】
ステップS6及びステップS7の後、シャッタボタンの半押しによるAF指示があれば(ステップS23:YES)、システム制御部11は、ステップS8の処理を行う。
【0087】
以上のように、AF指示がなされる前の段階で、コントラストAFと位相差AFのどちらを行うかを決めておくことで、AF指示がなされてからフォーカスレンズが合焦位置に移動するまでの時間を短縮することができ、AFの高速化が可能となる。
【0088】
図7は、
図1に示すデジタルカメラのAF動作の第二の変形例を説明するためのフローチャートである。
図4の処理手順に比べて、ステップS4とステップS5との間に、ステップS31を設けた点だけが異なる。このステップS31では、ステップS5の判定で用いる閾値αの設定を行う。
【0089】
位相差AF方式は、隣接画素から位相差検出用画素への混色割合が多いと、誤差が多くなりAF精度が期待できない。この混色つまり隣接画素からの光の漏れ込み量は、位相差検出用画素に対する光線の入射角度に依存する。つまり、入射角度がきつくなるほど、光の漏れ込み量は多くなる。
【0090】
そこで、本変形例では、選択されたAFエリア52に入射する光線の角度に応じて閾値αを決定する。
【0091】
任意の画素51に入射する光の角度は、撮像光学系の光学条件(撮像光学系のF値、撮像光学系の焦点距離(ズームレンズの位置)、及びフォーカスレンズの位置の少なくとも1つ)によって決まる。また、任意の画素51に入射する光の角度は、その画素51が属するAFエリア52の位置によっても変わる。例えば、
図3において真ん中のAFエリア52よりも4隅のAFエリアでは斜め入射光が多くなる。
【0092】
そこで、例えばテーブルデータとして、AFエリア52毎に、F値、ズームレンズの位置、及びフォーカスレンズの位置の全ての組み合わせに対して閾値αをα1,α2,…αiとして生成しROM等のメモリに記憶しておく。
【0093】
具体的には、入射する光線が受光面50に対して垂直なときを入射角0°とし、AFエリア52内の位相差検出用画素51R,51Lに対する光線の入射角度の平均値が大きいほど、閾値αiは小さい値にしておく。
【0094】
そして、システム制御部11は、ステップS31において、AF指示が行われた時点での光学条件と選択されているAFエリア52の位置に該当する閾値αiをメモリから読み出し、ステップS5の判定で用いる閾値αとして設定する。
【0095】
本実施形態では、撮像光学系の光学条件とAFエリア52の位置に応じて適切な閾値αが設定されるため、位相差AF方式が適切に選択される可能性が高くなる。
【0096】
なお、AFエリア52の数が受光面50において例えば真ん中に1つしか設定できない場合は、AFエリア52の位置の違いによる閾値αの違いは生じない。このため、この場合は、光学条件毎に閾値αを求めてメモリに記憶しておく。そして、システム制御部11は、ステップS31において、AF指示が行われた時点での光学条件に対応する閾値αiをメモリから読み出し、ステップS5の判定で用いる閾値αとして設定すればよい。
【0097】
図7の変形例は、
図6の変形例にも適用可能である。即ち、
図6のステップS4とステップS5の間に
図7のステップS31の処理を追加してもよい。この場合は、ステップS31において、システム制御部11は、ステップS3で取得した出力信号を得るための撮像が行われた時点での光学条件と選択されているAFエリア52の位置に該当する閾値αiをメモリから読み出し、ステップS5の判定で用いる閾値αとして設定すればよい。
【0098】
図8は、
図1に示すデジタルカメラのAF動作の第三の変形例の説明図であり、
図9は、その処理手順を示すフローチャートである。
図9では、
図4のフローチャートの処理ステップと同じ処理ステップには同一符号を付して説明は省略し、異なるステップについて説明する。
【0099】
図4の実施形態では、
図3に示す9つのAFエリア52のうちの選択された1つのAFエリアにおけるRav/Gav,Bav/Gavで、ステップS5の判定を行った。これに対し、本変形例では、選択された1つのAFエリア52を、
図8に示す様に、例えば4×4=16の部分エリア52―i(i=1〜16)に複数個に分割する。
【0100】
システム制御部11は、ステップS3の次のステップS41で、16個の部分エリア52―iの夫々についてBav/Gav,Rav/Gavの値を求める。
【0101】
そして、次のステップS42で、システム制御部11は、Bav/Gav又はRav/Gavの値が閾値α以上となる部分エリアの数が閾値β以上(例えば、β=8)となるか否かを判定する。
【0102】
システム制御部11は、ステップS42の判定の結果、(Rav/Gav)≧α又は(Bav/Gav)≧αとなる部分エリアの数がβ以上の場合(ステップS42:YES)には、ステップS6に進んでコントラストAF方式を選択する。
【0103】
システム制御部11は、ステップS42の判定の結果、(Rav/Gav)≧α又は(Bav/Gav)≧αとなる部分エリアの数がβ未満の場合(ステップS42:NO)には、ステップS7に進んで位相差AF方式を選択する。
【0104】
なお、この変形例においても、
図7の変形例と同様に、閾値αを光学条件(光線角度情報)とAFエリア52の位置で決めるステップS31を設けても良い。更に、閾値βも、光学条件(光線角度情報)とAFエリア52の位置で決めても良い。また、
図9の変形例は、
図6の変形例にも適用可能である。
【0105】
図9のステップS42の判定がNOのときに、Rav/Gav≧αとなる部分エリア、又は、Bav/Gav≧αとなる部分エリアがあった場合は、位相差AF処理部19は、これらの部分エリアを除く部分エリアにある位相差検出用画素51の出力信号を用いて、位相差AF方式による合焦位置の決定を行うのが好ましい。
【0106】
また、
図9のステップS42では、Rav/Gav≧αとなる部分エリアの数Nとβとを比較して、N≧βであればステップS6の処理を行い、N<βであればステップS7の処理を行うようにしてもよい。前述したように、赤色光の方が青色光よりも混色しやすいので、上記のようにすることでも高い効果を得ることができる。
【0107】
以上述べた実施形態によれば、AFエリア内の被写体色の色割合によって、位相差AF方式を実行するか否かを決定する。このため、位相差AF方式を実行したときに合焦する確率が高くなり、高速AF処理を行うことが可能となる。
【0108】
なお、上述した実施形態では、
図2,
図5の画素配列を持つ固体撮像素子5を例に説明したが、本発明はこれに限るものではなく、各画素が正方格子配列される場合にも適用可能である。
【0109】
また、位相差検出用画素51R,51LをGフィルタ搭載画素としたが、Rフィルタ搭載画素を位相差検出用画素としたり、Bフィルタ搭載画素を位相差検出用画素としたりする場合にも上述した実施形態を適用可能である。いずれの場合も、被写体画像において、位相差検出用画素の検出色の成分量とその他の色の成分量との比を求め、この比の大小によって、位相差AFを行うかコントラストAFを行うかを選択すればよい。
【0110】
また、位相差検出用画素51R,51Lは、色フィルタの代わりに、光の輝度成分を透過する輝度フィルタを搭載する画素としてもよい。輝度フィルタとしては、透明フィルタやNDフィルタ等があり、光電変換部上方にフィルタを設けず光が光電変換部に直接入射する構成も輝度フィルタを設けたということができる。
【0111】
位相差検出用画素51R,51Lが輝度フィルタ搭載画素である場合は、位相差検出用画素51R,51LにおいてはR,G,B全ての色が検出される。これらの色のうち、赤色は混色が発生しやすい。つまり、被写体が赤味を帯びたものであると、位相差検出用画素51R,51Lにおいて混色による影響が大きくなって位相差AF精度が低下する可能性が高い。
【0112】
そこで、位相差検出用画素51R,51Lが輝度フィルタ搭載画素である場合は、
図4のステップS5において、システム制御部11が、Rav/GavとRav/Bavを算出する。そして、システム制御部11は、Rav/GavとRav/Bavのいずれかが閾値以上になるときには、被写体が赤に偏ったものであると判定して、ステップS7の処理を行い、Rav/GavとRav/Bavの両方が閾値未満になるときには、ステップS6の処理を行えばよい。
【0113】
また、ここまでの説明では、ステップS5やステップS42の判定結果に応じて、コントラストAFと位相差AFのどちらかを選択し、選択した方式のみを使用してAFを行うものとした。しかし、ステップS7の処理が行われた場合には、ステップS8における合焦制御として、位相差AFとコントラストAF方式とを併用して行っても良い。
【0114】
つまり、ステップS7の処理を行った後、システム制御部11は、位相差AF処理部19により合焦位置を決定された合焦位置にフォーカスレンズを移動させ、その状態で、コントラストAF処理部18に合焦位置を決定させて、決定させた合焦位置にフォーカスレンズを移動させる。このように、位相差AFを行った後、コントラストAFにより合焦位置の微調整を行うことで、AF精度を高めることができる。
【0115】
以上、本発明の撮像装置の実施形態として、デジタルカメラについて説明してきたが、撮像装置の構成はこれに限定されない。本発明のその他の撮像装置としては、例えば、内蔵型又は外付け型のPC用カメラ、或いは、以下に説明するような、撮影機能を有する携帯端末装置とすることができる。
【0116】
本発明の撮像装置の一実施形態である携帯端末装置としては、例えば、携帯電話機やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム機が挙げられる。以下、スマートフォンを例に挙げ、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0117】
図10は、本発明の撮像装置の一実施形態であるスマートフォン200の外観を示すものである。
図10に示すスマートフォン200は、平板状の筐体201を有し、筐体201の一方の面に表示部としての表示パネル202と、入力部としての操作パネル203とが一体となった表示入力部204を備えている。また、この様な筐体201は、スピーカ205と、マイクロホン206と、操作部207と、カメラ部208とを備えている。なお、筐体201の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成を採用したり、折り畳み構造やスライド機構を有する構成を採用したりすることもできる。
【0118】
図11は、
図10に示すスマートフォン200の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部210と、表示入力部204と、通話部211と、操作部207と、カメラ部208と、記憶部212と、外部入出力部213と、GPS(Global Positioning System)受信部214と、モーションセンサ部215と、電源部216と、主制御部220とを備える。また、スマートフォン200の主たる機能として、図示省略の基地局装置BSと図示省略の移動通信網NWとを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
【0119】
無線通信部210は、主制御部220の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された基地局装置BSに対し無線通信を行うものである。この無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0120】
表示入力部204は、主制御部220の制御により、画像(静止画像及び動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達するとともに、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル202と、操作パネル203とを備える。
【0121】
表示パネル202は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。
【0122】
操作パネル203は、表示パネル202の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される一又は複数の座標を検出するデバイスである。このデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部220に出力する。次いで、主制御部220は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル202上の操作位置(座標)を検出する。
【0123】
図10に示すように、本発明の撮像装置の一実施形態として例示しているスマートフォン200の表示パネル202と操作パネル203とは一体となって表示入力部204を構成しているが、操作パネル203が表示パネル202を完全に覆うような配置となっている。
【0124】
このような配置を採用した場合、操作パネル203は、表示パネル202外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル203は、表示パネル202に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル202に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
【0125】
なお、表示領域の大きさと表示パネル202の大きさとを完全に一致させても良いが、両者を必ずしも一致させる必要は無い。また、操作パネル203が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。更に、外縁部分の幅は、筐体201の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。更にまた、操作パネル203で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
【0126】
通話部211は、スピーカ205やマイクロホン206を備え、マイクロホン206を通じて入力されたユーザの音声を主制御部220にて処理可能な音声データに変換して主制御部220に出力したり、無線通信部210あるいは外部入出力部213により受信された音声データを復号してスピーカ205から出力させたりするものである。また、
図10に示すように、例えば、スピーカ205を表示入力部204が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン206を筐体201の側面に搭載することができる。
【0127】
操作部207は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、
図10に示すように、操作部207は、スマートフォン200の筐体201の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
【0128】
記憶部212は、主制御部220の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部212は、スマートフォン内蔵の内部記憶部217と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部218により構成される。なお、記憶部212を構成するそれぞれの内部記憶部217と外部記憶部218は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
【0129】
外部入出力部213は、スマートフォン200に連結される全ての外部機器とのインターフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するためのものである。
【0130】
スマートフォン200に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。外部入出力部213は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン200の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン200の内部のデータが外部機器に伝送されるようにすることができる。
【0131】
GPS受信部214は、主制御部220の指示にしたがって、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、当該スマートフォン200の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部214は、無線通信部210や外部入出力部213(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる時には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
【0132】
モーションセンサ部215は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部220の指示にしたがって、スマートフォン200の物理的な動きを検出する。スマートフォン200の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン200の動く方向や加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部220に出力されるものである。
【0133】
電源部216は、主制御部220の指示にしたがって、スマートフォン200の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
【0134】
主制御部220は、マイクロプロセッサを備え、記憶部212が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、スマートフォン200の各部を統括して制御するものである。また、主制御部220は、無線通信部210を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
【0135】
アプリケーション処理機能は、記憶部212が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって主制御部220が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部213を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
【0136】
また、主制御部220は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部204に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部220が、上記画像データを復号し、この復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部204に表示する機能のことをいう。
【0137】
更に、主制御部220は、表示パネル202に対する表示制御と、操作部207、操作パネル203を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。表示制御の実行により、主制御部220は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示したり、あるいは電子メールを作成したりするためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル202の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
【0138】
また、操作検出制御の実行により、主制御部220は、操作部207を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル203を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、あるいは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
【0139】
更に、操作検出制御の実行により主制御部220は、操作パネル203に対する操作位置が、表示パネル202に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル202に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル203の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
【0140】
また、主制御部220は、操作パネル203に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、あるいはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
【0141】
カメラ部208は、AF機能を搭載しており、
図1に示したデジタルカメラにおける外部メモリ制御部20、記録媒体21、表示制御部22、表示部23、及び操作部14以外の構成を含む。カメラ部208によって生成された撮像画像データは、記憶部212に記録したり、入出力部213や無線通信部210を通じて出力したりすることができる。
図9に示すにスマートフォン200において、カメラ部208は表示入力部204と同じ面に搭載されているが、カメラ部208の搭載位置はこれに限らず、表示入力部204の背面に搭載されてもよい。
【0142】
また、カメラ部208はスマートフォン200の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル202にカメラ部208で取得した画像を表示することや、操作パネル203の操作入力のひとつとして、カメラ部208の画像を利用することができる。また、GPS受信部214が位置を検出する際に、カメラ部208からの画像を参照して位置を検出することもできる。更には、カメラ部208からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン200のカメラ部208の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部208からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
【0143】
その他、静止画又は動画の画像データにGPS受信部214により取得した位置情報、マイクロホン206により取得した音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、モーションセンサ部215により取得した姿勢情報等などを付加して記録部212に記録したり、入出力部213や無線通信部210を通じて出力したりすることもできる。
【0144】
以上のような構成のスマートフォン200においても、カメラ部208の撮像素子として固体撮像素子5を用い、カメラ部208が
図4,
図6,
図7,
図9の動作を行うことで、高速高精度なAF処理を実現可能となる。
【0145】
このスマートフォン200で被写体画像を撮像する場合、小さな固体撮像素子を用いなければならない関係で、画素への入射光が斜め入射光になる可能性が高い。つまり、上述した混色によるAF機能の低下が懸念される。
【0146】
しかし、スマートフォン200は、位相差AF機能とコントラストAF機能の2つを搭載し、
図4,
図6,
図7,
図9の実施形態と同様に、2つの機能を被写体色によって選択する。このため、位相差AF機能が選択されたときの合焦確率が向上し、位相差AF処理に不向きな被写体の場合にはコントラストAF方式が選択されることになる。
【0147】
以上述べた様に、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0148】
開示された撮像装置は、フォーカスレンズを含む撮像光学系を介して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像装置であって、上記撮像素子は、受光面上に配列形成された複数の撮像用画素及び複数の位相差検出用画素を含み、上記複数の撮像用画素は、検出色の異なる少なくとも3種類の撮像用画素を含み、上記位相差検出用画素の出力信号を利用した位相差AF方式による合焦制御と上記撮像用画素の出力信号を利用したコントラストAF方式による合焦制御のいずれかを選択的に行う合焦制御部を備え、上記合焦制御部は、上記受光面に対して設定される位相差を検出する対象となるエリアであって、上記少なくとも3種類の撮像用画素と上記位相差検出用画素を含む位相差検出エリアによって撮像される被写体像の色に応じて、上記位相差AF方式による合焦制御を行うか否かを決定するものである。
【0149】
開示された撮像装置は、上記位相差検出用画素が、上記少なくとも3種類の撮像用画素のいずれかの検出色と同じ色を検出するものであり、上記合焦制御部が、上記位相差検出用画素が検出する色を第一の色としたとき、上記位相差検出エリア内の上記第一の色を検出する上記撮像用画素の出力信号量である第一の出力信号量と、上記位相差検出エリア内において上記第一の色とは異なる色を検出する上記撮像用画素のうち上記位相差検出用画素に隣接する撮像用画素と同一色を検出する撮像用画素の出力信号量である第二の出力信号量との比の大きさによって上記被写体像の色を判定するものである。
【0150】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記比を、上記第一の出力信号量に対する上記第二の出力信号量の割合としたときに、上記割合が第一の閾値以上である場合に上記コントラストAF方式による合焦制御のみを行うことを決定し、上記割合が上記第一の閾値未満である場合に上記位相差AF方式による合焦制御を行うことを決定するものである。
【0151】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記位相差検出エリアを複数の部分エリアに分割し、上記部分エリア毎に上記割合を求め、上記割合が上記第一の閾値以上となる部分エリアの個数が第二の閾値以上となる場合に上記コントラストAF方式による合焦制御のみを行うことを決定し、上記個数が上記第二の閾値未満となる場合に上記位相差AF方式による合焦制御を行うことを決定するものである。
【0152】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記位相差AF方式による合焦制御を行うことを決定した場合には、上記割合が上記第一の閾値以上となる部分エリアを除く部分エリアにある上記位相差検出用画素の出力信号を利用して位相差AF方式による合焦制御を行うものである。
【0153】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記撮像光学系の光学条件に応じて上記第一の閾値を設定するものである。
【0154】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記位相差検出エリアの上記受光面における位置と上記光学条件に応じて上記第一の閾値を設定するものである。
【0155】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記撮像光学系の光学条件に応じて上記第二の閾値を設定するものである。
【0156】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記位相差検出エリアの上記受光面における位置と上記光学条件に応じて上記第二の閾値を設定するものである。
【0157】
開示された撮像装置は、上記光学条件が、上記撮像光学系のF値、上記撮像光学系の焦点距離、及び上記フォーカスレンズの位置のうちの少なくとも1つであるものである。
【0158】
開示された撮像装置は、上記合焦制御部が、上記位相差AF方式による合焦制御を行うか否かの決定を、上記合焦制御の指示がなされる前に行うものである。
【0159】
開示された合焦制御方法は、フォーカスレンズを含む撮像光学系を介して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像装置による合焦制御方法であって、上記撮像素子は、受光面上に配列形成された複数の撮像用画素及び複数の位相差検出用画素を含み、上記複数の撮像用画素は、検出色の異なる少なくとも3種類の撮像用画素を含み、上記位相差検出用画素の出力信号を利用した位相差AF方式による合焦制御と上記撮像用画素の出力信号を利用したコントラストAF方式による合焦制御のいずれかを選択的に行う合焦制御ステップを備え、上記合焦制御ステップでは、上記受光面に対して設定される位相差を検出する対象となるエリアであって、上記少なくとも3種類の撮像用画素と上記位相差検出用画素を含む位相差検出エリアによって撮像される被写体像の色に応じて、上記位相差AF方式による合焦制御を行うか否かを決定するものである。
【0160】
以上述べた実施形態によれば、位相差AF方式を選択したとき位相差AF処理で合焦する確率が高くなる。また、位相差AF処理に不向きな被写体の場合には直ちにコントラストAF方式が選択されるため、高速AFを実現することが可能になる。