(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記イオン伝導層界面部は、前記金属酸化物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム、または酸化イリジウムである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
前記イオン伝導層界面部は、前記金属酸化物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化タンタル、酸化アルミニウム、または酸化チタンである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[構成]
本発明によるスイッチング素子は、酸素を含むと共に金属イオンの伝導を許すイオン伝導層と、イオン伝導層の表裏面それぞれに形成された第1電極および第2電極とを有している。第1電極は、イオン伝導層に金属イオンを供給可能な金属から成っている。一方、第2電極は、イオン伝導層に金属イオンを供給しない金属から成っている。第1電極からイオン伝導層中に供給された金属イオンが第2電極から電子を受け取って金属として析出し、析出した金属が成長することにより、第1電極および第2電極間の抵抗値が変化するスイッチング素子である。
特に、本スイッチング素子において、イオン伝導層の全部、もしくは、イオン伝導層のうちの第1電極との界面を含むイオン伝導層界面部が、金属酸化物または酸素を含む化合物から成ると共に厚さが5nm以下であるか、あるいは、300Kにおける標準ギブスエネルギーが−600kJ/molよりも大きい金属を材料とする金属酸化物から成ることにより、イオン伝導層の全部、もしくは、第1電極との界面を含むイオン伝導層界面部における酸素の組成比が化学量論量未満である。
[作用]
ディスターブ特性を向上させるには、低電圧印加時に、金属イオンを供給する第1電極からできるだけイオン伝導層中に金属イオンが供給されないようにすればよいことを、本発明者等は見出した。金属イオンのイオン伝導層中への供給は、金属のイオン化反応によって進行しているが、陽イオンを形成する金属のイオン化には酸化剤となる陰イオンの存在が必要である。例えば、イオン伝導層が酸素を含んでいる場合、イオン伝導層中の酸素イオンが酸化剤として機能し、金属のイオン化を促進することになる。
この作用の参考として、例えば、LSIの銅配線では、銅配線から層間絶縁膜中への銅イオンの注入による銅配線間のショートが問題となっている(絶縁破壊寿命:TDDB)。特に、銅配線工程中の化学機械研磨工程(CMP)などによって生じる酸化銅層が生じた場合、TDDBが短くなる傾向が報告されている(非特許文献3)。即ち、銅配線からの銅イオンの層間絶縁膜中への注入が促進されることになる。本スイッチング素子においても、イオン伝導層に含まれる酸素の濃度によって、第1電極の金属がイオン伝導層中に注入される速度が変化することが理解できる。
そこで、本スイッチング素子においては、イオン伝導層のうちの第1電極を臨むイオン伝導層界面部に含有される酸素が化学量論量未満であるため、第1電極への酸素イオンの供給量が低減され、第1電極からの金属のイオン化および金属イオンのイオン伝導層中への供給が抑制される。
低電圧印加時には、第1電極に到達する酸素イオン量が少ないため、オフからオンへの遷移時間は長くなり、ディスターブ特性に優れている。一方、スイッチング時に印加電圧が増加すると、イオン伝導層内で分極が進行し、供給量が少ないながらも酸素イオンが第1電極付近に集まることにより、オフからオンへの遷移時間が大幅に短縮される。即ち、本発明によるスイッチング素子は、オフからオンへの遷移時間の電圧依存性にも優れている。
以下、図面を参照して、本発明によるスイッチング素子、半導体装置、および半導体装置の製造方法のより具体的な実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
[構成と製造方法の概要]
図2を参照すると、本発明の実施例1によるスイッチング素子は、酸素を含むと共に金属イオンの伝導を許すイオン伝導層11と、イオン伝導層11の表裏面それぞれに形成された第1電極21および第2電極22とを有している。第1電極21は、イオン伝導層11に金属イオンを供給可能な金属から成っている。一方、第2電極22は、イオン伝導層に金属イオンを供給しない金属から成っている。第1電極21からイオン伝導層11中に供給された金属イオンが第2電極22から電子を受け取って金属として析出し、析出した金属が成長することにより、第1電極21および第2電極22間の抵抗値が変化するスイッチング素子である。
特に、本スイッチング素子において、イオン伝導層11は、その全部、もしくは、第1電極21との界面を含むイオン伝導層界面部112の層厚が5nm以下であり、かつ、酸素の組成比が化学量論量未満である。
図2中、符号112は、イオン伝導層11のうちの、第1電極21との界面を含む一部分であるイオン伝導層界面部112である。ただし、実施例1において、イオン伝導層11におけるイオン伝導層界面部112と、イオン伝導層11におけるイオン伝導層界面部112の残部(イオン伝導層主部)とは同じ組成であり、説明の便宜上、両者を区別して描いているに過ぎない。
第1電極21は、電圧を印加した際に、イオン伝導層11中に金属イオンを供給する銅から成り、スパッタ法、化学気相成長法(CVD法)、電気めっき法で形成される。
一方、第2電極22は、電圧を印加した際に、イオン伝導層11中に金属イオンを供給しない材料から成っている。より具体的には、第2電極22の材料としては、ルテニウム、プラチナ、ニッケルが好ましく、特に、ルテニウムが好ましい。
イオン伝導層11は、金属イオンが伝導するための媒体となる層であり、金属酸化物または酸素を含む化合物から成っている。
イオン伝導層11が金属酸化物から成る場合、金属酸化物としては例えば、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、あるいは、これら酸化物の混合物が用いられる。金属酸化物から成るイオン伝導層11は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法を用いて形成される。イオン伝導層11を形成するには、焼結したターゲットを用いてスパッタ成膜する。
特に、イオン伝導層11は、その金属酸化物における酸素含有量が化学量論量未満となるように、スパッタチャンバー内には酸素の流入を行わないで形成される。
一方、イオン伝導層11が酸素を含む化合物から成る場合、酸素を含む化合物としては例えば、シリコン、酸素、炭素、水素を含むSiOCH系化合物が用いられる。SiOCH系等の酸素を含む化合物から成るイオン伝導層11は、プラズマCVDによって形成される。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。
特に、イオン伝導層11は、SiOCH系等の酸素を含む化合物における酸素の組成比が化学量論量未満となるように、チャンバー内に水素を10sccm程度流入して形成される。水素によってチャンバー内を僅かに還元雰囲気に傾けることにより、成膜されたSiOCH系イオン伝導層11は、酸素含有量が減らされる。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm、別ラインで反応室に直接500sccm供給される。
[動作]
次に、実施例1による2端子スイッチング素子の動作について、
図3を参照して説明する。
第2電極22を接地すると共に第1電極21に正電圧を印加すると、第1電極21の金属がイオン伝導層界面部112を介して金属イオンMIになって、イオン伝導層11に溶解する。そして、イオン伝導層界面部112を含むイオン伝導層11中の金属イオンMIが第2電極22の表面に金属架橋Bになって析出し、金属架橋Bが延びるほど第1電極21と第2電極22との間の電気抵抗が小さくなる。さらに、析出した金属架橋Bが第1電極21にまで十分に達すると、第1電極21と第2電極22が電気的に接続される。金属架橋Bで第1電極21と第2電極22が電気的に接続することで、スイッチがオン状態になる。
さらに、上記オン状態で、第2電極22を接地すると共に第1電極21に負電圧を印加すると、金属架橋Bがイオン伝導層界面部112を含むイオン伝導層11に金属イオンMIとなって溶解し、金属架橋Bの一部が切れ、金属架橋Bが欠損するほど第1電極21と第2電極22との間の電気抵抗が大きくなる。この際、金属イオンMIは、イオン伝導層界面部112を含むイオン伝導層11内に分散した金属と第1電極21に回収される。さらに、金属架橋Bが十分に欠損すると、第1電極21と第2電極22との電気的接続が切れ、スイッチがオフ状態になる。
上記オフ状態からオン状態にするには、再び第2電極22に正電圧を印加すればよい。また、第1電極21を接地し、第2電極22に負電圧を印加してスイッチをオン状態にしたり、第1電極21を接地し、第2電極22に正電圧を印加してスイッチをオフ状態にしたりしてもよい。
尚、スイッチがオフ状態になるとき、電気的接続が完全に切れる前の段階から第1電極21および第2電極22間の抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性の変化があって、最終的に電気的接続が切れる。
[製造方法]
次に、実施例1によるスイッチング素子の製造方法について、
図4(a)〜(c)を参照して説明する。尚、この製造方法は、イオン伝導層11が金属酸化物から成る場合である。
[工程1]
図4(a)に示されるように、低抵抗シリコン基板Sの表面に膜厚5nmの窒化チタン、その上に40nmのルテニウムをスパッタ法で成膜し、第2電極22を形成する。
[工程2]
図4(b)に示されるように、金属酸化物から成るイオン伝導層11として、膜厚5nmの酸化タンタル薄膜をスパッタ法により形成する。ここで、成膜された酸化タンタルの酸素の組成は化学量論量未満となるようにする。具体的には、スパッタを行う際に、通常は供給する酸素を供給しない。本発明者等は、酸素流量無しでアルゴン流量40sccmを流した成膜条件で酸化タンタルを成膜し、タンタルに対する酸素比が化学量論の96%となる酸化タンタルを得た。
[工程3]
図4(c)に示されるように、酸化タンタルから成るイオン伝導層11上に、真空蒸着法もしくはスパッタ法により膜厚80nmの銅を堆積させる。この際、ステンレスもしくはシリコンで作製されたシャドーマスクを介して銅を堆積し、平面形状が一辺30μm〜150μmの正方形の第1電極21を形成する。
[特性検証]
次に、実施例1によるスイッチング素子の特性検証について、さらに
図5を参照して説明する。
図5は、実施例1によるスイッチング素子の特性検証として、酸化タンタルから成るイオン伝導層を有する2種類のスイッチング素子について、印加電圧に対するオフからオンまでの時間を示した図である。
検証のための測定は、第1電極21のCuに正方向の定電圧を印加し、オフからオンまでの時間を測定する方法とした。この際、第2電極22の窒化チタンおよびルテニウムは低抵抗シリコン基板Sを介して接地した。2種類のうちの一方は、酸化タンタルの成膜時に10sccmの流量で酸素を導入して製造したものであり、酸化タンタルを構成するタンタルと酸素の組成比は、化学量論量以上である(比較例)。他方は、酸化タンタルの成膜時に酸素を導入しないで製造したものであり、酸化タンタルにおける酸素含有量が低く、酸素の組成比は、化学量論未満である(実施例1)。
図5から明らかなように、少なくとも図示された印加電圧域においては、酸化タンタルを構成する酸素が化学量論量以上である比較例に比べ、酸素が化学量論量未満である実施例1のスイッチング素子は、同じ電圧を印加した場合のオフからオンへの遷移時間が長い。即ち、少なくともイオン伝導層界面部の酸素組成比が化学量論量未満であると、オフからオンに遷移し難く、ディスターブ特性に優れていることが分かる。
【実施例2】
【0009】
本発明の実施例2によるスイッチング素子は、イオン伝導層のうちの少なくとも第1電極との界面を含む一部分であるイオン伝導層界面部のみ、酸素の組成比が化学量論量未満とである点が実施例1とは異なる。このため、実施例1と同一または同様の部分については、詳細な説明を省略する。
[構成と製造方法の概要]
本発明においては、イオン伝導層全体ではなく、イオン伝導層のうちの少なくとも第1電極との界面を含む一部分であるイオン伝導層界面部の酸素の組成比が化学量論量未満であればよい。イオン伝導層が酸化金属から成る場合、成膜開始直後は酸素を10sccm程度流入して酸素の組成が化学量論を満たすようにイオン伝導層主部の成膜を行い、その後、チャンバー内に酸素を導入せずにイオン伝導層のうちのイオン伝導層界面部を成膜する。尚、イオン伝導層界面部は、イオン伝導層の3分の1以下の膜厚であることが望ましい。
また、イオン伝導層が酸素を含む化合物から成る場合も、金属酸化物から成るイオン伝導層と同様に、イオン伝導層のうちの少なくとも第1電極21との界面を含む一部分であるイオン伝導層界面部の酸素の組成比が化学量論量未満であればよい。その場合は、成膜開始直後のみ、水素の流入をせずに、膜の酸素の組成が化学量論を満たすようにイオン伝導層主部の成膜を行い、その後、チャンバー内に水素を流入してイオン伝導層のうちのイオン伝導層界面部を成膜する。イオン伝導層界面部は、イオン伝導層の3分の1以下の膜厚であることが望ましいが、スパッタ法、レーザーアブレーション法、CVD法で安定に形成可能な0.5nm以上であることが望ましい。
ここで、実施例1を示す
図2を流用的に参照すると、本発明の実施例2によるスイッチング素子は、2端子スイッチング素子の形態を呈している。本スイッチング素子は、第1電極21と、第1電極21に接したイオン伝導層11と、第1電極21とイオン伝導層11を介して設けられた第2電極22とを有している。
図2中、符号112は、イオン伝導層11のうちの第1電極21との界面を含む一部分であるイオン伝導層界面部112である。実施例2においては、酸素の組成比が、イオン伝導層11のうちのイオン伝導層界面部112(酸素の組成比が化学量論量未満)と、イオン伝導層11の残部(酸素の組成比が化学量論量以上)とで異なっている。
[製造方法]
以下、実施例2のスイッチング素子の製造方法について、
図6(a)〜(d)を参照して説明する。尚、この製造方法は、イオン伝導層11が金属酸化物から成る場合である。
[工程1]
図6(a)に示されるように、低抵抗シリコン基板Sの表面に膜厚5nmの窒化チタン、その上に40nmのルテニウムをスパッタ法で成膜し、第2電極22を形成する。
[工程2]
図6(b)に示されるように、金属酸化物から成るイオン伝導層主部111として、膜厚8nmの酸化タンタル薄膜をスパッタ法により形成する。この際、成膜された酸化タンタルの酸素の組成は化学量論量以上となるようにする。具体的にはスパッタを行う際に、酸素をチャンバー内に供給する。本発明者等は、酸素流量10sccm、アルゴン流量40sccmを流した成膜条件で酸化タンタルを成膜し、タンタルに対する酸素比が化学量論量以上となる酸化タンタルを得た。
[工程3]
図6(c)に示されるように、イオン伝導層界面部112として、膜厚2nmの酸化タンタル薄膜をスパッタ法によって形成する。この際に、成膜された酸化タンタルの酸素の組成が化学量論量未満となるようにする。具体的には、スパッタを行う際に、通常供給する酸素を供給しない。本発明者等は、酸素流量無しでアルゴン流量40sccmを流した成膜条件で酸化タンタルを成膜し、タンタルに対する酸素比が化学量論の96%となる酸化タンタルを得た。
[工程4]
図6(d)に示されるように、イオン伝導層界面部112の上に真空蒸着法もしくはスパッタ法によって膜厚80nmの銅を堆積させる。この際、ステンレスもしくはシリコンで作製されたシャドーマスクを介して銅を堆積し平面形状が、一辺30μm〜150μmの正方形の第1電極21を形成する。
【実施例3】
【0010】
本発明の実施例3によるスイッチング素子は、イオン伝導層が互いに積層する主イオン伝導層および界面イオン伝導層によって構成され、第1電極との界面を含む界面イオン伝導層の酸素の組成比が化学量論量未満である点が、実施例2とは異なる。このため、実施例2と同一または同様の部分については、詳細な説明を省略する。
[構成と製造方法の概要]
図7を参照すると、本発明の実施例3によるスイッチング素子は、2端子スイッチング素子の形態を呈している。本スイッチング素子は、距離を置いて対向配置された第1電極21および第2電極22と、両電極間に挟まれた界面イオン伝導層52および主イオン伝導層51とを有している。界面イオン伝導層52は、第1電極21に接している(第1電極との界面を含んでいる)。
第1電極21は、電圧を印加した際に、界面イオン伝導層52および主イオン伝導層51中に金属イオンを供給する銅から成り、スパッタ法、化学気相成長法(CVD法)、電気めっき法で形成される。
第2電極22の材料は、電圧を印加した際に、主イオン伝導層51および界面イオン伝導層52中に金属イオンを供給しないものであることが望ましい。より具体的には、第2電極22は、ルテニウム、プラチナ、またはニッケルから成ることが好ましい。特に、ルテニウムから成ることが好ましい。
主イオン伝導層51と界面イオン伝導層52は、金属イオンが伝導するための媒体となる。
界面イオン伝導層52は、金属酸化物で形成される。まず酸化物を構成する金属を第1電極21上に成膜し、その上に堆積する、後述のごとく酸素を含む主イオン伝導層51の成膜中にチャンバー内に存在する酸素によって酸化することにより、金属酸化物から成る界面イオン伝導層52を得る。
ここで、金属酸化物から成る界面イオン伝導層52の金属材料としては、酸化し難い金属、即ち、標準ギブズエネルギーの絶対値が小さい金属が好ましい。これは、標準ギブズエネルギーの絶対値が小さく、酸化し難い金属は、主イオン伝導層51の成膜中にチャンバー内に存在する酸素によっても十分には酸化されないため、金属酸化物から成る界面イオン伝導層52の酸素の組成比が化学量論量未満となるからである。これにより、銅がイオン化し難くなり、定電圧印加下のオフからオンへの遷移時間を長くすることができる。
具体的には、発明者等の実験によれば、300Kにおける標準ギブスエネルギーが−600kJ/molよりも大きい金属が、金属酸化物から成る界面イオン伝導層の金属材料として良好な結果が得られた。特に、標準ギブスエネルギーが−600kJ/molよりも大きい金属によれば、界面イオン伝導層の層厚が5nmよりも厚くても、酸素の組成比を化学量論量未満にすることができた。
この条件を満たす界面イオン伝導層の金属材料としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、または、イリジウム、あるいは、これら金属の混合物が挙げられる。よって、界面イオン伝導層52は、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム、または酸化イリジウム、あるいは、これら金属の混合物から成る。金属酸化物から成る界面イオン伝導層は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法を用いて形成する。界面イオン伝導層52は、主イオン伝導層51の50%以下の膜厚であることが望ましいが、スパッタ法、レーザーアブレーション法、CVD法で安定に形成可能な0.5nm以上であることが望ましい。
一方、主イオン伝導層51は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成る。
金属酸化物から成る主イオン伝導層51は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法を用いて形成される。金属酸化物から成る主イオン伝導層51を形成するには、焼結したターゲットを用いてスパッタ成膜する。この時、主イオン伝導層51の金属酸化物の酸素含有量が化学量論量以上となるよう、スパッタチャンバー内には酸素を10sccm程度流入する。金属酸化物から成る主イオン伝導層51としては、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、もしくは、これら酸化物の混合物が好ましい。
他方、酸素を含む化合物から成る主イオン伝導層51は、例えば、シリコン、酸素、炭素、水素を含むSiOCH系であり、プラズマCVDによって形成される。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm、別ラインで反応室に直接500sccm供給する。
[動作]
次に、実施例3による2端子スイッチング素子の動作について、
図8を参照して説明する。
第2電極22を接地すると共に第1電極21に正電圧を印加すると、第1電極21の金属が界面イオン伝導層52を介して金属イオンMIになって、主イオン伝導層51に溶解する。そして、界面イオン伝導層52および主イオン伝導層51中の金属イオンMIが第2電極22の表面に金属架橋Bになって析出し、金属架橋Bが延びるほど第1電極21と第2電極22との間の電気抵抗が小さくなる。さらに、析出した金属架橋Bが第1電極21にまで十分に達すると、第1電極21と第2電極22が電気的に接続される。金属架橋Bで第1電極21と第2電極22が電気的に接続することで、スイッチがオン状態になる。
さらに、上記オン状態で、第2電極22を接地すると共に第1電極21に負電圧を印加すると、金属架橋Bが界面イオン伝導層52および主イオン伝導層51に金属イオンMIとなって溶解し、金属架橋Bの一部が切れ、金属架橋Bが欠損するほど第1電極21と第2電極22との間の電気抵抗が大きくなる。この際、金属イオンMIは界面イオン伝導層52および主イオン伝導層51内に分散した金属と第1電極21に回収される。さらに、金属架橋Bが十分に欠損すると、第1電極21と第2電極22との電気的接続が切れ、スイッチがオフ状態になる。
上記オフ状態からオン状態にするには、再び第2電極22に正電圧を印加すればよい。また、第1電極21を接地し、第2電極22に負電圧を印加してスイッチをオン状態にしたり、第1電極21を接地し、第2電極22に正電圧を印加してスイッチをオフ状態にしたりしてもよい。
尚、スイッチがオフ状態になるとき、電気的接続が完全に切れる前の段階から第1電極21および第2電極22間の抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性の変化があって、最終的に電気的接続が切れる。
[製造方法]
次に、実施例3によるスイッチング素子の製造方法について、
図9(a)〜(d)を参照して説明する。
[工程1]
図9(a)に示されるように、低抵抗シリコン基板Sの表面に膜厚20nmのタンタル、その上に100nmの銅をスパッタ法で成膜し、第1電極21を形成する。
[工程2]
図9(b)に示されるように、ニッケルもしくは鉄を2nmの層厚でスパッタ成膜し金属層50を形成する。
[工程3]
図9(c)に示されるように、酸素を含む化合物から成る主イオン伝導層51として、膜厚8nmの酸化タンタルと酸化シリコンの混合物薄膜を形成する。スパッタには、酸化タンタルが74%、酸化シリコンが24%含まれた焼結ターゲットを用いた。主イオン伝導層51はスパッタ法により堆積する。ここで、成膜された酸化タンタルと酸化シリコンの混合物の組成は化学量論量以上になるようにする。具体的には、スパッタを行う際に、供給する酸素量を最適化する。本発明者等は、酸素流量10sccmとアルゴン流量40sccmの混合ガスを流した成膜条件で成膜し、化学量論量以上の酸化タンタルを得た。
この際、主イオン伝導層51成膜時の酸素を浴びることにより、金属層50は酸化され、酸化ニッケルもしくは酸化鉄から成る界面イオン伝導層52となる。界面イオン伝導層52の酸素の組成は化学量論量未満である。
[工程4]
図9(d)に示されるように、主イオン伝導層51の上に真空蒸着法もしくはスパッタ法により膜厚30nmのルテニウムを堆積させる。この際、ステンレスもしくはシリコンで作製されたシャドーマスクを介してルテニウムを堆積し、平面形状が一辺30μm〜150μmの正方形の第2電極22を形成する。
[特性検証]
次に、実施例3によるスイッチング素子の特性検証について、さらに
図10ならびに
図11(a)および(b)を参照して説明する。
図10は、実施例3によるスイッチング素子の特性検証として、組成が異なる界面イオン伝導層を有する4種類のスイッチング素子と、界面イオン伝導層を持たない1種類のスイッチング素子について、印加電界に対するオフからオンまでの時間を示した図である。前者4種類の内訳は、酸化鉄、酸化ニッケルそれぞれから成る界面イオン伝導層52を有する2種類のスイッチング素子(実施例3)と、酸化チタン、酸化タングステンそれぞれから成る界面イオン伝導層を有する2種類のスイッチング素子(比較例)とである。後者1種類の界面イオン伝導層が無く主イオン伝導層のみのスイッチング素子も比較例である。
検証のための測定は、第1電極21のCuに低抵抗シリコン基板Sを介して正方向の定電圧を印加し、オフからオンまでの時間を測定する方法とした。この際、第2電極22のルテニウムは接地した。
図10から明らかなように、本発明による酸化ニッケル、酸化鉄を界面イオン伝導層52に用いたスイッチング素子は、主イオン伝導層のみを持ち界面イオン伝導層を持たない比較例のスイッチング素子に比べて、同じ電界を印加した場合のオフからオンへの遷移時間が長い。即ち、ディスターブ特性に優れている。一方、酸化チタン、酸化タングステンを界面イオン伝導層に用いた比較例のスイッチング素子は、本発明のスイッチング素子に比べて、また、主イオン伝導層のみを持つ比較例のスイッチング素子に比べても、同じ電界を印加した場合のオフからオンへの遷移時間が短い。即ち、ディスターブ特性に劣っている。
ここで、2種類のスイッチング素子における界面イオン伝導層の光電子分光法(XPS)測定結果を、
図11(a)および(b)に示す。
図11(a)および(b)を参照すると、
図10に示されるようにオフからオンへの遷移時間が短い(ディスターブ特性に劣る)スイッチング素子(比較例)に用いた酸化チタン(
図11(b))は、酸化物に由来するピークが観測されており、十分に酸化してしまっていることが分かる。
一方、オフからオンへの遷移時間が長い(ディスターブ特性に優れる)スイッチング素子(実施例3)に用いた酸化ニッケル(
図11(a))は、酸化物ではなく金属状態のニッケルに由来するピークが主に確認された。即ち、界面イオン伝導層52の金属材料としてのニッケルは、主イオン伝導層51の成膜時に十分には酸化されず、酸素の組成比が化学量論量未満となり、金属的な部分が残ったと言える。これは、ニッケルおよび鉄の標準ギブズエネルギーの絶対値が小さいことに由来している。このように界面イオン伝導層52は酸素の組成比が化学量論量未満であるため、酸素イオンが第1電極21の銅に対して十分には供給されず、銅のイオン化が進行し難いため、本発明のスイッチング素子は、オフからオンへの時間が長い。即ち、ディスターブ特性に優れている。
【実施例4】
【0011】
本発明の実施例4による半導体装置は、実施例3の2端子スイッチング素子に相当するスイッチング素子を多層配線層内に有する半導体装置である。
[構成]
図12を参照すると、本発明の実施例4による半導体装置は、半導体基板161上の多層配線層の内部にスイッチング素子140を有している。
多層配線層は、半導体基板161上にて、層間絶縁膜162、バリア絶縁膜163、層間絶縁膜164、バリア絶縁166、保護絶縁膜167、層間絶縁膜168、エッチングストッパ膜ES、層間絶縁膜170、およびバリア絶縁膜173の順に積層した絶縁積層体を有している。
層間絶縁膜164およびバリア絶縁膜163に形成された配線溝には、バリアメタル165を介して第1配線121が埋め込まれている。層間絶縁膜170およびエッチングストッパ膜ESに形成された配線溝には、第2配線172が埋め込まれている。また、層間絶縁膜168、保護絶縁膜167、およびハードマスク膜HM2に形成された下穴には、プラグ171が埋め込まれている。さらに、第2配線172とプラグ171とは一体となっており、一体の第2配線172およびプラグ171は側面から底面に亘ってバリアメタル169によって覆われている。
バリア絶縁膜166に形成された開口部を臨む第1配線121ならびにバリア絶縁膜166の開口部の内壁面乃至バリア絶縁膜166上には、酸化防止膜152、イオン伝導膜151、第2電極第一層122a、および第2電極第二層122bが形成されている。第2電極第二層122b上には、ハードマスク膜HM2が形成されている。さらに、酸化防止膜152、イオン伝導膜151、第2電極第一層122a、第2電極第二層122b、およびハードマスク膜HM2の積層体の上面乃至側面は、保護絶縁膜167で覆われている。
本半導体装置において、スイッチング素子140は、第1電極としての第1配線121と、界面イオン伝導層としての酸化防止膜152と、主イオン伝導層としてのイオン伝導膜151と、第2電極としての2電極第一層122aおよび第2電極第二層122bとによって構成されている。積層された酸化防止膜152およびイオン伝導膜151を、抵抗変化層150と呼ぶ。
第1配線121がスイッチング素子140の第1電極として機能させることにより、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも2PRのマスクセットを作成するだけで、2端子スイッチング素子を搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
スイッチング素子140は、バリア絶縁膜166に形成された開口部の領域にて酸化防止膜152と第1配線121が直接接しており、イオン伝導膜151と第2電極第一層122aが直接接しており、第2電極第二層122b上にてプラグ171と第2電極第二層122bとがバリアメタル169を介して電気的に接続されている。
スイッチング素子140は、電圧の印加、あるいは電流を流すことでオン/オフの制御を行い、例えば、酸化防止膜152およびイオン伝導膜151中への第1配線121に係る金属の電界拡散を利用してオン/オフの制御を行う。
半導体基板161は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板161には、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、TFT(Thin Film Transistor)基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜162は、半導体基板161上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜162には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いることができる。層間絶縁膜162は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
バリア絶縁膜163は、層間絶縁膜162、164間に介在したバリア性を有する絶縁膜である。バリア絶縁膜163は、第1配線121用の配線溝の加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜163には、例えば、窒化シリコン膜、SiC膜、SiCN膜等を用いることができる。バリア絶縁膜163には、第1配線121を埋め込むための配線溝が形成されており、当該配線溝にバリアメタル165を介して第1配線121が埋め込まれている。バリア絶縁膜163は、配線溝のエッチング条件の選択によっては削除することもできる。
層間絶縁膜164は、バリア絶縁膜163上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜164には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いることができる。層間絶縁膜164は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜164には、第1配線121を埋め込むための配線溝が形成されており、当該配線溝にバリアメタル165を介して第1配線121が埋め込まれている。
スイッチング素子140の第1電極としての第1配線121は、層間絶縁膜164およびバリア絶縁膜163に形成された配線溝にバリアメタル165を介して埋め込まれた配線である。第1配線121には、抵抗変化層150において拡散、イオン電導可能な金属が用いられる。例えば、銅等を用いることができる。第1配線121は、アルミニウムと合金化されていてもよい。バリアメタル165は、第1配線121に係る金属が層間絶縁膜164や下層へ拡散することを防止するために、第1配線121の側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。バリアメタル165には、例えば、第1配線121が銅を主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜166は、第1配線121を含む層間絶縁膜164上に形成され、第1配線121に係る金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜168中への第1配線121に係る金属の拡散を防いだり、第2電極121、120、および抵抗変化層150の加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜166には、例えば、SiC膜、SiCN膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜166は、保護絶縁膜167およびハードマスク膜HM2と同一材料であることが好ましい。
積層された酸化防止膜152およびイオン伝導膜151によって構成された抵抗変化層150は、スイッチング素子140における抵抗が変化する膜である。よって、第1配線121(第1電極)に係る金属の作用(拡散、イオン伝導など)によって抵抗が変化する材料を用いる。スイッチング素子140の抵抗変化を金属イオンの析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
スイッチング素子140における主イオン伝導層としてのイオン伝導膜151は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法を用いて形成する。イオン伝導膜151を金属酸化物によって形成する場合には、焼結したターゲットを用いてスパッタ成膜する。この時、成膜された金属酸化物の化学量論が損なわれないよう、スパッタチャンバー内に10sccmの酸素を流入する。金属酸化物から成るイオン伝導膜151には、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンおよび、それらの混合物が好ましい。他方、イオン伝導膜151をSiOCH系化合物によって形成する場合には、プラズマCVDによって形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm、別ラインで反応室に直接500sccm供給する。
スイッチング素子140における界面イオン伝導層としての酸化防止膜152は、第1配線121に係る金属が、イオン伝導膜151を堆積している間の加熱やプラズマでイオン伝導膜151中に拡散することを防止する役割と、酸化防止膜として第1配線121からの第1配線121に関わる金属のイオン化、および金属イオンの酸化防止膜152、およびイオン伝導膜151への注入を制御する。酸化防止膜152の金属、例えばニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、イリジウムは、イオン伝導膜151の成膜中に酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化イリジウムとなり、抵抗変化層150の一部となる。抵抗変化層150は、第1配線121、バリア絶縁膜166の開口部のテーパ面、乃至バリア絶縁膜166上に形成されている。抵抗変化層150は、第1配線121と抵抗変化層150の接続部の外周部分が少なくともバリア絶縁膜166の開口部のテーパ面上に沿って配設されている。
スイッチング素子140における第2電極の一部としての第2電極第一層122aは、スイッチング素子140の第2電極における下層側の電極であり、イオン伝導膜151と直接接している。第2電極第一層122aには、第1配線121に係る金属よりもイオン化し難く、イオン伝導膜151において拡散やイオン伝導し難い金属が用いられ、例えば、白金、ルテニウム、ニッケル等を用いることができる。
また、スイッチング素子140における第2電極の一部としての第2電極第二層122bは、スイッチング素子140の第2電極における上層側の電極であり、第2電極第一層122a上に形成されている。第2電極第二層122bは、第2電極第一層122aを保護する役割を有する。即ち、第2電極第二層122bが第2電極第一層122aを保護することで、プロセス中の第2電極第一層122aへのダメージを抑制し、スイッチング素子140のスイッチング特性を維持することができる。第2電極第二層122bには、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。
ハードマスク膜HM2は、第2電極第二層122b、第2電極第一層122a、およびイオン伝導膜151、酸化防止膜152をエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。ハードマスク膜HM2には、例えば、SiN膜等を用いることができる。ハードマスク膜HM2は、保護絶縁膜167、およびバリア絶縁膜166と同一材料であることが好ましい。即ち、スイッチング素子140の周囲を全て同一材料で囲むことで材料界面部が一体化され、外部からの水分などの浸入を防ぐと共に、スイッチング素子140自身からの脱離を防ぐことができるようになる。
保護絶縁膜167は、スイッチング素子140にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導膜151からの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜167には、例えば、窒化シリコン膜、SiCN膜等を用いることができる。保護絶縁膜167は、ハードマスク膜HM2およびバリア絶縁膜166と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜167とバリア絶縁膜166およびハードマスク膜HM2とが一体化して、界面部の密着性が向上し、スイッチング素子140をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜168は、保護絶縁膜167上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜168には、例えば、シリコン酸化膜、SiOC膜、シリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜168は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜168は、層間絶縁膜170と同一材料としてもよい。層間絶縁膜168には、プラグ171を埋め込むための下穴が形成されており、当該下穴にバリアメタル169を介してプラグ171が埋め込まれている。
エッチングストッパ膜ESは、層間絶縁膜168、170間に介在した絶縁膜である。エッチングストッパ膜ESは、第2配線172用の配線溝の加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。エッチングストッパ膜ESには、例えば、SiN膜、SiC膜、SiCN膜等を用いることができる。エッチングストッパ膜ESには、第2配線172を埋め込むための配線溝が形成されており、当該配線溝にバリアメタル169を介して第2配線172が埋め込まれている。エッチングストッパ膜ESは、配線溝のエッチング条件の選択によっては削除することもできる。
層間絶縁膜170は、エッチングストッパ膜ES上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜170には、例えば、シリコン酸化膜、SiOC膜、シリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜170は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜170は、層間絶縁膜15と同一材料としてもよい。層間絶縁膜170には、第2配線172を埋め込むための配線溝が形成されており、当該配線溝にバリアメタル169を介して第2配線172が埋め込まれている。
第2配線172は、層間絶縁膜170およびエッチングストッパ膜ESに形成された配線溝にバリアメタル169を介して埋め込まれた配線である。第2配線172は、プラグ171と一体になっている。プラグ171は、層間絶縁膜168、保護絶縁膜167、およびハードマスク膜HM2に形成された下穴にバリアメタル169を介して埋め込まれている。プラグ171は、バリアメタル169を介して第2電極第二層122bと電気的に接続されている。第2配線172およびプラグ171には、例えば、Cuを用いることができる。
バリアメタル169は、第2配線172(プラグ171を含む)に係る金属が層間絶縁膜168、170や下層へ拡散することを防止するために、第2配線172およびプラグ171の側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。バリアメタル110には、例えば、第2配線108およびプラグ171がCuを主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。バリアメタル169は、第2電極第二層122bと同一材料であることが好ましい。例えば、バリアメタル169がTaN(下層)/Ta(上層)の積層構造である場合には、下層材料であるTaNを第2電極第二層122bに用いることが好ましい。あるいは、バリアメタル110がTi(下層)/Ru(上層)である場合は、下層材料であるTiを第2電極第二層122bに用いることが好ましい。
バリア絶縁膜173は、第2配線172を含む層間絶縁膜170上に形成され、第2配線172に係る金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線172に係る金属の拡散を防ぐ役割を有する絶縁膜である。バリア絶縁膜173には、例えば、SiC膜、SiCN膜、SiN膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
[製造方法]
次に、実施例4による半導体装置の製造方法について、
図13(a)〜(f)ならびに
図14(a)〜(f)を参照して説明する。
[工程1]
図13(a)に示されるように、半導体基板161(例えば、半導体素子が形成された基板)上に層間絶縁膜162(例えば、シリコン酸化膜、膜厚300nm)を堆積し、その後、層間絶縁膜162にバリア絶縁膜163(例えば、窒化シリコン膜、膜厚50nm)を堆積し、その後、バリア絶縁膜163上に層間絶縁膜164(例えば、シリコン酸化膜、膜厚300nm)を堆積し、その後、リソグラフィ法(フォトレジスト形成、ドライエッチング、フォトレジスト除去を含む)を用いて、層間絶縁膜164およびバリア絶縁膜163に配線溝を形成する。
その後、当該配線溝にバリアメタル165(例えば、窒化タンタル/タンタル、膜厚5nm/5nm)を介して、第1電極としての第1配線121(例えば、銅)を埋め込む。
層間絶縁膜162、164は、プラズマCVD法によって形成することができる。第1配線121は、例えば、PVD法によってバリアメタル165(例えば、窒化タンタル/タンタルの積層膜)を形成し、PVD法によるCuシードの形成後、電解めっき法によって銅を配線溝内に埋設し、200℃以上の温度で熱処理処理後、CMP法によって配線溝内以外の余剰の銅を除去することで形成することができる。このような一連の銅配線の形成方法は、当該技術分野における一般的な手法を用いることができる。ここで、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法とは、多層配線形成プロセス中に生じるウェハ表面の凹凸を、研磨液をウェハ表面に流しながら回転させた研磨パッドに接触させて研磨することによって平坦化する方法である。溝に埋め込まれた余剰の銅を研磨することによって埋め込み配線(ダマシン配線)を形成したり、層間絶縁膜を研磨することで平坦化を行う。
[工程2]
図13(b)に示されるように、第1配線121を含む層間絶縁膜164上にバリア絶縁膜166(例えば、窒化シリコン膜、膜厚50nm)を形成する。ここで、バリア絶縁膜166は、プラズマCVD法によって形成することができる。バリア絶縁膜166の膜厚は、10〜50nm程度であることが好ましい。
[工程3]
図13(c)に示されるように、バリア絶縁膜166上にハードマスク膜HM1(例えば、シリコン酸化膜)を形成する。このとき、ハードマスク膜HM1は、ドライエッチング加工におけるエッチング選択比を大きく保つ観点から、バリア絶縁膜166とは異なる材料であることが好ましく、絶縁膜であっても導電膜であってもよい。ハードマスク膜HM1には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、窒化チタン、チタン、タンタル、窒化タンタル等を用いることができ、窒化シリコン/シリコン酸化膜の積層体を用いることができる。
[工程4]
図13(d)に示されるように、ハードマスク膜HM1上にフォトレジスト(図示せず)を用いて開口部をパターニングし、フォトレジストをマスクとしてドライエッチングすることによりハードマスク膜HM1に開口部パターンを形成し、その後、酸素プラズマアッシング等によってフォトレジストを剥離する。このとき、ドライエッチングは必ずしもバリア絶縁膜166の上面で停止している必要はなく、バリア絶縁膜166の内部にまで到達していてもよい。
[工程5]
図13(e)に示されるように、ハードマスク膜HM1をマスクとして、ハードマスク膜HM1の開口部から露出するバリア絶縁膜166をエッチバック(ドライエッチング)することにより、バリア絶縁膜166に開口部を形成して、バリア絶縁膜166の開口部から第1配線121を露出させ、その後、アミン系の剥離液などで有機剥離処理を行うことで、第1配線121の露出面に形成された酸化銅を除去すると共に、エッチバック時に発生したエッチング複生成物などを除去する。バリア絶縁膜166をエッチバックでは、反応性ドライエッチングを用いることで、バリア絶縁膜166の開口部の内壁面をテーパ面とすることができる。反応性ドライエッチングでは、エッチングガスとしてフルオロカーボンを含むガスを用いることができる。ハードマスク膜HM1は、エッチバック中に完全に除去されることが好ましいが、絶縁材料である場にはそのまま残存してもよい。また、バリア絶縁膜166の開口部の形状は円形とし、円の直径は30nmから500nmとすることができる。非反応性ガスを用いたRF(Radio Frequency;高周波)エッチングによって、第1配線121の表面の酸化物を除去する。非反応性ガスとしては、ヘリウムやアルゴンを用いることができる。
[工程6]
図13(f)に示されるように、第1配線121を含むバリア絶縁膜166上に4nm以下の鉄(例えば、膜厚1nm)を堆積する。鉄はPVD法やCVD法を用いて形成することができる。
さらに、主イオン伝導層としてのイオン伝導膜151を、シリコン、酸素、炭素、水素を含むSiOCH系ポリマー膜をプラズマCVDによって形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm、別ラインで反応室に直接500sccm供給する。鉄はイオン伝導膜151の形成中に酸素を含むSiOCH系ポリマー膜の原料に曝されることで自動的に酸化し、酸化鉄となることにより、界面イオン伝導層としての酸化防止膜152となり、抵抗変化層150の一部となる。バリア絶縁膜166の開口部は有機剥離処理によって水分などが付着しているため、抵抗変化層150の堆積前に250℃から350℃程度の温度にて、減圧下で熱処理を加えて脱ガスしておくことが好ましい。
[工程7]
図14(a)に示されるように、抵抗変化層150上に、第2電極の一部としての第2電極第一層122a(例えば、ルテニウム、膜厚10nm)と、同じく第2電極の一部としての第2電極第二層122b(例えば、タンタル、膜厚50nm)とを、この順に形成する。
[工程8]
図14(b)に示されるように、第2電極第二層122b上にハードマスク膜HM2(例えば、SiN膜、膜厚30nm)、およびハードマスク膜HM3(例えば、SiO2膜、膜厚150nm)をこの順に積層する。ハードマスク膜HM2およびハードマスク膜HM3は、プラズマCVD法を用いて成膜することができる。また、ハードマスク膜HM2とハードマスク膜HM3とは、異なる種類の膜であることが好ましく、例えば、ハードマスク膜HM2をSiN膜とし、ハードマスク膜HM3をSiO2膜とすることができる。このとき、ハードマスク膜HM2は、後述する保護絶縁膜167、およびバリア絶縁膜166と同一材料であることが好ましい。即ち、スイッチング素子の周囲を全て同一材料で囲むこと材料界面部を一体化し、外部からの水分などの浸入を防ぐと共に、スイッチング素子自身からの脱離防ぐことができるようになる。また、ハードマスク膜HM2は、プラズマCVD法によって形成することができるが、例えば、SiH4/N2の混合ガスを高密度プラズマによって、高密度なSiN膜などを用いることが好ましい。
[工程9]
図14(c)に示されるように、ハードマスク膜HM3上に2端子スイッチング素子部をパターニングするためのフォトレジスト(図示せず)を形成し、その後、当該フォトレジストをマスクとして、ハードマスク膜HM2が表れるまでハードマスク膜HM3をドライエッチングし、その後、酸素プラズマアッシングと有機剥離を用いてフォトレジストを除去する。
[工程10]
図14(d)に示されるように、ハードマスク膜HM3をマスクとして、ハードマスク膜HM2、第2電極第二層122b、第2電極第一層122a、イオン伝導膜151を連続的にドライエッチングする。このとき、ハードマスク膜HM3は、エッチバック中に完全に除去されることが好ましいが、そのまま残存してもよい。例えば、第2電極第二層122bがTaの場合にはCl2系のRIEで加工することができ、第2電極第一層122aがRuの場合にはCl2/O2の混合ガスでRIE加工することができる。また、イオン伝導膜151のエッチングでは、下面のバリア絶縁膜166上でドライエッチングを停止させる必要がある。イオン伝導膜151がTaを含む酸化物であり、バリア絶縁膜166がSiN膜やSiCN膜である場合には、CF4系、CF4/Cl2系、CF4/Cl2/Ar系などの混合ガスでエッチング条件を調節することでRIE加工することができる。このようなハードマスクRIE法を用いることで、スイッチング素子部をレジスト除去のための酸素プラズマアッシングに曝すことなく、スイッチング素子部を加工することができる。また、加工後に酸素プラズマによって酸化処理する場合には、レジストの剥離時間に依存することなく酸化プラズマ処理を照射することができるようになる。
[工程11]
図14(e)に示されるように、ハードマスク膜HM2、第2電極第二層122b、第2電極第一層122a、およびイオン伝導膜151を含むバリア絶縁膜166上に保護絶縁膜167(例えば、窒化シリコン膜、30nm)を堆積する。保護絶縁膜167は、プラズマCVD法によって形成することができるが、成膜前には反応室内で減圧化に維持する必要があり、このとき抵抗変化層150の側面から酸素が脱離し、イオン伝導層のリーク電流が増加するという問題が生じる。それらを抑制するためには、保護絶縁膜167の成膜温度を250℃以下とすることが好ましい。さらに、成膜前に減圧化で成膜ガスに曝されるため、還元性のガスを用いないことが好ましい。例えば、SiH4/N2の混合ガスを高密度プラズマによって、基板温度200℃で形成したSiN膜などを用いることが好ましい。
[工程12]
図14(f)に示されるように、保護絶縁膜167上に、層間絶縁膜168(例えば、シリコン酸化膜)、エッチングストッパ膜ES(例えば、窒化シリコン膜)、層間絶縁膜170(例えば、シリコン酸化膜)をこの順に堆積し、その後、第2配線172用の配線溝、およびプラグ171用の下穴を形成し、銅デュアルダマシン配線プロセスを用いて、当該配線溝および当該下穴内にバリアメタル169(例えば、窒化タンタル/タンタル)を介して第2配線172(例えば、銅)およびプラグ171(例えば、銅)を同時に形成し、その後、第2配線172を含む層間絶縁膜170上にバリア絶縁膜173(例えば、窒化シリコン膜)を堆積する。第2配線172の形成は、下層配線形成と同様のプロセスを用いることができる。このとき、バリアメタル169と第2電極第二層122bを同一材料とすることでプラグ171と第2電極第二層122bの間の接触抵抗を低減し、素子性能を向上させることができるようになる。層間絶縁膜168および層間絶縁膜170はプラズマCVD法で形成することができる。スイッチング素子140によって形成される段差を解消するため、層間絶縁膜168を厚く堆積し、CMPによって層間絶縁膜168を削り込んで平坦化し、層間絶縁膜168を所望の膜厚としてもよい。
尚、以上説明した実施例の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、以下の付記は、本発明を何等限定するものではない。
(付記1) 酸素を含むと共に金属イオンの伝導を許すイオン伝導層と、前記イオン伝導層の表裏面それぞれに形成された第1電極および第2電極とを有し、前記第1電極は前記イオン伝導層に金属イオンを供給可能な金属から成る一方、前記第2電極は前記イオン伝導層に金属イオンを供給しない金属から成り、前記第1電極から前記イオン伝導層中に供給された金属イオンが第2電極から電子を受け取って金属として析出し、析出した前記金属が成長することにより、前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化し、前記イオン伝導層は、前記第1電極との界面を含むイオン伝導層界面部と、当該残部であるイオン伝導層主部とを含み、前記イオン伝導層主部は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成り、前記イオン伝導層界面部は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成り、酸素の組成比が化学量論量未満であることを特徴とするスイッチング素子。
(付記2) 前記イオン伝導層主部は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成り、前記イオン伝導層界面部は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成り、層厚が5nm以下である付記1に記載のスイッチング素子。スイッチング素子。
(付記3) 前記イオン伝導層主部は、金属酸化物または酸素を含む化合物から成り、
前記イオン伝導層界面部は、300Kにおける標準ギブスエネルギーが−600kJ/molよりも大きい金属を材料とする金属酸化物から成る付記1に記載のスイッチング素子。
(付記4) 前記イオン伝導層主部は、金属酸化物および酸素を含む化合物の一方から成り、
前記イオン伝導層界面部は、300Kにおける標準ギブスエネルギーが−600kJ/molよりも大きい金属を材料とする金属酸化物から成り、層厚が5nm以下である付記1に記載のスイッチング素子。
(付記5) 前記主イオン伝導層は、酸素を含む化合物から成り、前記イオン伝導層主部として機能し、
前記界面イオン伝導層は、金属酸化物から成り、前記イオン伝導層界面部として機能する付記1〜4のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記6) 前記イオン伝導層主部は、前記金属酸化物または前記酸素を含む化合物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または酸化チタン、あるいは、酸化シリコンである付記1〜5のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記7) 前記酸素を含む化合物は、少なくともシリコン、酸素、および炭素を主成分としたポリマーであり、比誘電率が2.1以上3.0以下である付記1〜5のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記8) 前記イオン伝導層界面部は、前記金属酸化物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム、または酸化イリジウムである付記1〜7のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記9) 前記イオン伝導層界面部は、前記金属酸化物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化タンタル、酸化アルミニウム、または酸化チタンである付記1〜7のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記10) 前記第1電極は、銅を含むことを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載のスイッチング素子。
(付記11) 付記5に記載のスイッチング素子を内蔵した半導体装置であって、半導体基板に互いに間隔を置いて対向するように形成された第1配線およびプラグと、前記第1配線の表面に形成され酸化防止膜と、前記酸化防止膜と前記プラグとの間に形成されたイオン伝導膜と、前記プラグに接続された第2配線とを有し、前記第1配線は、銅から成り、前記スイッチング素子の前記第1電極として機能し、前記酸化防止膜は、前記金属酸化物のうちの二種以上を含む混合物から成り、前記金属酸化物は、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム、または酸化イリジウムであり、前記スイッチング素子の前記界面イオン伝導層として機能し、前記イオン伝導膜は、少なくともシリコン、酸素、および炭素を主成分としたポリマーから成り、比誘電率が2.1以上3.0以下であり、前記スイッチング素子の前記主イオン伝導層として機能し、前記プラグは、銅から成り、前記スイッチング素子の前記第2電極とバリアメタルを介して接続され、前記スイッチング素子の前記第2電極は、ルテニウムから成ることを特徴とする半導体装置。
(付記12) 付記5に記載のスイッチング素子を製造するスイッチング素子の製造方法であって、銅から成る前記第1電極上に、スパッタ法によって、ニッケルまたは鉄から成る金属層を形成する工程と、前記金属層上に、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法によって酸素を含む化合物を前記主イオン伝導層として形成する工程と、前記主イオン伝導層上に、真空蒸着法もしくはスパッタ法によってルテニウム、プラチナ、またはニッケルを前記第2電極として形成する工程とを有し、前記主イオン伝導層形成工程において、処理室内に酸素および不活性ガスを流入させることにより、前記主イオン伝導層の酸素の組成を化学量論量以上にする一方、処理室内に存在する酸素を前記金属層に浴びさせることにより、金属酸化物から成る前記界面イオン伝導層として形成し、当該界面イオン伝導層の酸素の組成を化学量論量未満にすることを特徴とするスイッチング素子の製造方法。
(付記13) 付記11に記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板上に、銅から成り、前記スイッチング素子の前記第1電極として機能する前記第1配線を形成する工程と、前記第1配線上に、開口部を備えたバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜の開口部を介して、前記第1配線上に、スパッタ法によって、ニッケルまたは鉄から成る金属層を形成する工程と、前記金属層上に、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法によって酸素を含む化合物を前記スイッチング素子の前記主イオン伝導層として機能する前記イオン伝導膜を形成する工程と、前記イオン伝導膜上に、真空蒸着法もしくはスパッタ法によってルテニウム、プラチナ、またはニッケルから成る前記第2電極を形成する工程と、前記スイッチング素子の前記第2電極上に、バリアメタルを介して、それぞれ銅から成る前記プラグおよび前記第2配線を一体に形成する工程とを有し、前記イオン伝導膜形成工程において、処理室内に酸素および不活性ガスを流入させることにより、前記イオン伝導膜の酸素の組成を化学量論量以上にする一方、処理室内に存在する酸素を前記金属層に浴びさせることにより、前記スイッチング素子の金属酸化物から成る前記界面イオン伝導層として形成し、当該界面イオン伝導層の酸素の組成を化学量論量未満にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
本出願は、2011年2月2日に出願された日本国特許出願第2011−020329号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。