特許第5808031号(P5808031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808031
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   A61B1/04 370
   A61B1/04 362A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-233726(P2014-233726)
(22)【出願日】2014年11月18日
(62)【分割の表示】特願2014-131115(P2014-131115)の分割
【原出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-62692(P2015-62692A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2014年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-139610(P2013-139610)
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 美範
(72)【発明者】
【氏名】藤田 寛
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071007(JP,A)
【文献】 特開2013−111177(JP,A)
【文献】 特開2013−000176(JP,A)
【文献】 特開2011−125404(JP,A)
【文献】 特開2011−206227(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/042396(WO,A1)
【文献】 特開2013−094489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫色狭帯域光と、緑色狭帯域光又は緑色光を含む広帯域光のいずれかの光とを用いる狭帯域光観察モードに切り替えるためのモード切替部と、
前記狭帯域光観察モードにおいて、前記紫色狭帯域光と、前記緑色狭帯域光又は前記広帯域光のいずれかの光とを検体内に時分割照射する照射部と、
前記紫色狭帯域光、前記緑色狭帯域光、及び前記広帯域光に感応する特定画素を有し、前記狭帯域光観察モードにおいて、前記紫色狭帯域光で照明中の検体の反射像を撮像し、前記緑色狭帯域光又は前記広帯域光のいずれかの光で照明中の検体の反射像を撮像して画像信号を出力する1つの補色系撮像素子と、
前記1つの補色系撮像素子を制御して、前記紫色狭帯域光と、前記緑色狭帯域光又は前記広帯域光のいずれかの光との両方の照射が完了した後のみに、前記画像信号を読み出す撮像制御部と、
前記画像信号に基づいて、前記紫色狭帯域光と、前記緑色狭帯域光又は前記広帯域光のいずれかの光とによって照明された検体の反射像が写し出された特殊画像を作成する画像処理部と、
前記特殊画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記紫色狭帯域光は、中心波長405±10nmであり、波長範囲380〜440nmであること特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記紫色狭帯域光、前記緑色狭帯域光、及び前記広帯域光の少なくともいずれか1つは半導体光源から発生されることを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記緑色狭帯域光は、前記広帯域光を帯域制限して生成されることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記照射部を制御して、前記紫色狭帯域光の照射時間を前記緑色狭帯域光又は前記広帯域光のいずれかの光の照射時間よりも長くする光源制御部を有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記特定画素はCy画素、Mg画素であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記狭帯域観察モード時には、波長域が青色帯域から赤色帯域に及ぶ通常光を用いる通常光観察モード時よりもγ補正の特性を強調したγ特性に変更する請求項1ないし6いずれか1項記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同時式撮像素子を用いて狭帯域光観察を行う内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、光源装置、電子内視鏡、及びプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。内視鏡システムで使用される観察方法としては、通常の可視光を用いて検体内を観察する通常光観察の他、狭帯域の照明光を利用して、通常の可視光の場合に得られる光学情報では埋もれてしまい易い血管走行の状態等の視認性を向上させて表示する狭帯域光観察が行われるようになってきている。この狭帯域光観察では、血管走行の中でも表層血管に着目し、その表層血管の形態によって、病変部の進行度、深さ方向の深達度などを判断する。
【0003】
狭帯域光観察を行う方式としては、ヘモグロビンの吸収係数が高い中心波長415±10nmの青色狭帯域光と中心波長540±10nmの緑色狭帯域光を交互に照射し、各狭帯域光を照射毎に反射像をモノクロの撮像素子で撮像する面順次方式の他、特許文献1に示すように、中心波長415±10nmの青色狭帯域光と中心波長540±10nmの緑色狭帯域光を同時照射し、それら狭帯域光の混色光をカラーの撮像素子で同時に検出する同時方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4009626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の示す同時方式において、撮像素子として、Cy画素、Mg画素、Ye画素、及びG画素を有する補色系撮像素子を用いる場合、補色系撮像素子の感度は短波長側で低くなっているため、撮像により得られる画像信号のうち青色狭帯域光に対応する信号成分が占める割合は少なくなっている(図7参照)。そのため、表層血管のコントラストは、必然的に低くなる。
【0006】
また、青色狭帯域光に対して感応するCy画素及びMg画素のうち、Cy画素は、緑色狭帯域光にも感応するため、青色狭帯域光のみを分離することができず、また、Mg画素も、緑色狭帯域光に若干感応するため、青色狭帯域光のみを完全に分離することができない(図8参照)。そのため、異なる層(表層と中深層)の像は分離できずに混ざり合うことから、表層血管のコントラストは低くなっている。
【0007】
更には、内視鏡の導光部材として用いるバンドルファイバの波長透過特性は、略440nm以下の短波長側で減衰率が高くなって透過率が低下することが多い(図12参照)。したがって、青色狭帯域光は他の狭帯域光よりもバンドルファイバで減衰する量が多いため、撮像により得られる画像信号のうち青色狭帯域光に対応する信号成分が占める割合が少なくなる。そのため、表層血管のコントラストは低くなっている。
【0008】
本発明は、補色系撮像素子を用いる狭帯域光観察において、表層血管など注目する構造の視認性を維持することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡システムは、紫色狭帯域光と、緑色狭帯域光又は緑色光を含む広帯域光のいずれかの光とを用いる狭帯域光観察モードに切り替えるためのモード切替部と、狭帯域光観察モードにおいて、紫色狭帯域光と、緑色狭帯域光又は広帯域光のいずれかの光とを検体内に時分割照射する照射部と、紫色狭帯域光、緑色狭帯域光、及び広帯域光に感応する特定画素を有し、狭帯域光観察モードにおいて、紫色狭帯域光で照明中の検体の反射像を撮像し、緑色狭帯域光又は広帯域光のいずれかの光で照明中の検体の反射像を撮像して画像信号を出力する1つの補色系撮像素子と、1つの補色系撮像素子を制御して、紫色狭帯域光と、緑色狭帯域光又は広帯域光のいずれかの光との両方の照射が完了した後のみに、画像信号を読み出す撮像制御部と、画像信号に基づいて、紫色狭帯域光と、緑色狭帯域光又は広帯域光のいずれかの光とによって照明された検体の反射像が写し出された特殊画像を作成する画像処理部と、特殊画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0010】
紫色狭帯域光は、中心波長405±10nmであり、波長範囲380〜440nmであることが好ましい。紫色狭帯域光、緑色狭帯域光、及び広帯域光の少なくともいずれか1つは半導体光源から発生されることが好ましい。緑色狭帯域光は、広帯域光を帯域制限して生成されることがこのましい。照射部を制御して、紫色狭帯域光の照射時間を緑色狭帯域光又は広帯域光のいずれかの光の照射時間よりも長くする光源制御部を有することが好ましい。
【0012】
定画素はCy画素、Mg画素であることが好ましい。画像処理部は、狭帯域観察モード時には、波長域が青色帯域から赤色帯域に及ぶ通常光を用いる通常光観察モード時よりもγ補正の特性を強調したγ特性に変更することが好ましい
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、補色系撮像素子を用いる狭帯域光観察において、表層血管など注目する構造の視認性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】内視鏡システムの外観図である。
図2】内視鏡システムの内部構成を示すブロック図である。
図3】紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnの発光タイミングと照射時間Tv、Tgを説明するための説明図である。
図4A】通常光の発光スペクトルを示すグラフである。
図4B】紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnの発光スペクトルを示すグラフである。
図5】V-LED、B-LED、G-LED、及びR-LEDと第1〜第3ダイクロイックミラーの位置関係を示す平面図である。
図6】補色系撮像素子に設けられた色分離フィルタのフィルタ配列の構成を示す説明図である。
図7】補色系撮像素子の各画素における相対感度を示すグラフである。
図8】紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnに対する補色系撮像素子の各画素の感度を示す表である。
図9】狭帯域光観察モードにおける補色系撮像素子の信号の読出しを説明するための説明図である。
図10】紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnの補色系撮像素子での受光タイミングと電荷蓄積時間Sv、Sgを説明するための説明図である。
図11】本実施形態の一連の動作を示すフローチャートである。
図12】バンドルファイバの分光減衰率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、内視鏡システム1は、検体の体腔内等に挿入され、内視鏡検査を行う電子内視鏡(以下、単に内視鏡と略記)2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、内視鏡2の各機器を駆動すると共に、内視鏡2で取得した画像信号に対して信号処理を行うプロセッサ装置4と、このプロセッサ装置4から出力される映像信号が入力されることにより、検体内の画像を表す検体画像を表示するモニタ5と、プロセッサ装置4に対して各種情報を入力する入力装置6を備えている。内視鏡2は、細長の挿入部7と、この挿入部7の後端に設けられた操作部8と、この操作部8から延出されたユニバーサルケーブル9とを有し、このユニバーサルケーブル9の端部のライトガイドコネクタ11aは、光源装置3に着脱自在に接続され、信号コネクタ11bは、プロセッサ装置4に着脱自在に接続される。
【0016】
内視鏡システム1には、波長域が青色帯域から赤色帯域に及ぶ通常光を用いて、通常光画像をモニタ5に表示する通常光観察モードと、紫色狭帯域光Vn、緑色狭帯域光Gnを用いて、特殊画像をモニタ5に表示する狭帯域光観察モードを備えている。これら通常光観察モードと狭帯域光観察モードの切替指示は、例えば内視鏡2の操作部8に設けたスコープスイッチ等によるモード切替スイッチ14により行うことができる。なお、モード切替スイッチ14は、内視鏡2に設けたスコープスイッチで構成する他に、フットスイッチにより構成しても良いし、プロセッサ装置4のフロントパネルに設けても良いし、入力装置6により構成する等しても良い。
【0017】
モード切替スイッチ14は、モード切替操作によって、切替信号を発する。この切替信号は、プロセッサ装置4内の制御回路15(図2参照)に入力され、切替信号が入力されると、この制御回路15は、光源装置3の光源制御部21を制御して、モードに応じた照明光を発生させる。また、制御回路15は、照明光の切替制御に連動して、プロセッサ装置4内の映像信号処理系の特性を切り替える制御も行う。そして、モード切替スイッチ14による切替操作により、映像信号処理系の特性を切り替えることにより、通常光観察モードと狭帯域光観察モードとにそれぞれ適した信号処理を行えるようにしている。
【0018】
図2に示すように、光源装置3は、V-LED(Violet Light Emitting Diode)20a、B-LED(Blue Light Emitting Diode)20b、G-LED(Green Light Emitting Diode)20c、R-LED(Red Light Emitting Diode)20d、これら4色のLEDの駆動を制御する光源制御部21、及びG-LEDの光路上に挿脱される緑色狭帯域フィルタ22を備えている。光源装置3で発生した光は、挿入部7内に挿通されたライトガイド13及び照明レンズ27を介して、検体内に照射される。なお、緑色狭帯域フィルタ22はフィルタ挿脱部22aにより挿脱され、このフィルタ挿脱部22aは制御回路15によって駆動される(図5参照)。なお、LEDの代わりに、LD(Laser Diode)を用いてもよい。また、V−LED20aは本発明の「第1半導体光源」に対応しており、G−LED20cは本発明の「第2半導体光源」に対応している。また、緑色狭帯域フィルタ22は本発明の「狭帯域フィルタ」に対応している。
【0019】
光源制御部21は、通常光観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上から退避させた状態で、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dを全て点灯して、通常光を発生する。一方、狭帯域光観察モード時には、緑色狭帯域フィルタ22をG-LED20cの光路上に挿入した状態で、V-LED20aとG-LED20cを交互に点灯することにより、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnを交互に発生する。これにより、図3に示すように、検体内には、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnが交互に照射される。
【0020】
ここで、紫色狭帯域光Vnは、検体の表面から表層付近までの第1透過距離で透過可能であることから、紫色狭帯域光Vnの反射像には、表層血管など第1透過距離に含まれる構造の像が多く含まれている。一方、緑色狭帯域光Gnは、検体の表面から中深層付近までの第2透過距離で透過可能であることから、緑色狭帯域光Gnの反射像には、中深層血管など第2透過距離に含まれる構造の像が多く含まれている。
【0021】
また、光源制御部21は、各LED20a〜20dの光の照射時間を制御する。通常光観察モード時は、各LEDを全て常時点灯するため、照射時間の制御は行われない。一方、狭帯域光観察モード時には、紫色狭帯域光Vnの照射時間Tvを、緑色狭帯域光Gnの照射時間Tgよりも長くする。紫色狭帯域光Vnは、表層血管に対して高い光吸収特性を有している(紫色狭帯域光Vnの中心波長405±10nmは可視光領域においてヘモグロビンの吸光係数が高い)ため、照射時間Tvを長くして補色系撮像素子29での感度を上げることにより、表層血管のコントラストを向上させることができる。また、ライトガイド13における青色帯域の光の損失が大きい場合(図11参照)には、紫色狭帯域光Vnの照射時間Tvを長くすることで、その光損失分を補うことができる。
【0022】
V-LED20aは、中心波長405±10nm、波長範囲380〜440nmの紫色狭帯域光Vnを発生する。B-LED20bは、中心波長460±10nm、波長範囲420〜500nmの青緑色狭帯域光Bnを発生する。G-LED20cは、波長範囲が500〜600nmに及ぶ緑色光Gを発生する。R-LED20dは、波長範囲が600〜650nmに及ぶ赤色光Rを発生する。緑色狭帯域フィルタ22は、G-LED20cから発せられる緑色光Gのうち、530〜550nmの緑色狭帯域光を透過させる。したがって、図4Aに示すように、通常光観察モード時には、紫色狭帯域光Vn、青緑色狭帯域光Bn、緑色光G、赤色光Rの4色の光が混色することで、通常光が生成される。一方、図4Bに示すように、狭帯域光観察モード時には、V-LED20aからの紫色狭帯域光Vnと、緑色狭帯域フィルタ22で波長制限された緑色狭帯域光Gnとが交互に生成される。
【0023】
なお、緑色狭帯域光Gnは、G−LED20cからの緑色光Gを緑色狭帯域フィルタ22で波長制限して生成しているが、その他に、白色LEDなどの半導体光源からの広帯域光(白色光)を緑色狭帯域フィルタ22で波長制限して生成してもよい。即ち、本発明において、第2半導体光源が発する光の波長域である「特定帯域」には、緑色光Gの波長域(500〜600nm)の他、白色光などの広帯域光の波長域も含まれる。
【0024】
図5に示すように、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dからの光は、第1〜第3ダイクロイックミラー23a〜23cを用いて、合波される。第1ダイクロイックミラー23aは、V-LED20aからの紫色狭帯域光Vnを透過させる一方で、B-LED20bからの青緑色狭帯域光Bnを略90°の角度で反射させる。これにより、第1ダイクロイックミラー23aで、紫色狭帯域光Vnの光路と青緑色狭帯域光Bnの光路とが統合される。また、第2ダイクロイックミラー23bは、G-LED20cからの緑色光G又は緑色狭帯域光Gnを透過させる一方で、R-LED20dからの赤色光Rを略90°の角度で反射させる。これにより、第2ダイクロイックミラー23bで、緑色光Gの光路又は緑色狭帯域光Gnの光路と赤色光Rの光路とが統合される。なお、V-LED20a及びB-LED20bと第1ダイクロイックミラー23aとの間には、それぞれ集光レンズ24が設けられており、G-LED20c及びR-LED20dと第2ダイクロイックミラー23bとの間には、それぞれ集光レンズ24が設けられている。
【0025】
更には、第3ダイクロイックミラー23cは、第1ダイクロイックミラー23aからの紫色狭帯域光Vn及び青緑色狭帯域光Bnを略90°の角度で反射させる一方で、第2ダイクロイックミラー23bからの緑色光G又は緑色狭帯域光Gnと赤色光Rを透過させる。これにより、第3ダイクロイックミラー23cで、紫色狭帯域光Vnの光路、青緑色狭帯域光Bnの光路、赤色光Rの光路、又は緑色光Gの光路(又は緑色狭帯域光Gnの光路)が合波される。第3ダイクロイックミラー23cを経た光は、集光レンズ24を介して、ライトガイド13に入射される。
【0026】
図2に示すように、内視鏡2の先端部26には、照明窓に隣接して観察窓が設けてあり、この観察窓には対物レンズ28が取り付けられている。この対物レンズ28は、生体組織からの反射光による光学像を結像する。この対物レンズ28の結像位置には補色系撮像素子29が配置されており、この補色系撮像素子29により光電変換される。なお、補色系撮像素子29としては、CCD(Charge Coupled Device)の他、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサを用いてもよい。
【0027】
補色系撮像素子29の撮像面には、光学的に色分離する色分離フィルタ29aとして、図6に示す補色系フィルタが各画素単位で取り付けてある。したがって、補色系撮像素子29は、マゼンタ(Mg)、グリーン(G)、シアン(Cy)、及びイエロー(Ye)の4色の画素を備えており、Mg画素とG画素とが交互に水平方向に配置され、縦方向には、Mg画素、Cy画素、Mg画素、及びYe画素とG画素、Ye画素、G画素、及びCy画素との配列順で、それぞれ配置されている。
【0028】
ここで、Mg画素、G画素、Cy画素、及びYe画素は、図7に示すような分光感度を有している。この分光特性を鑑みると、特許文献1のような従来技術においては、血管強調に用いる青色狭帯域光と緑色狭帯域光を同時照射していたため、図8に示すように、補色系撮像素子29のCy画素とMg画素において青色狭帯域光と緑色狭帯域光の両方が感応していた。そのため、それら2色の狭帯域光が混色して、色分離することができなかった。即ち、表層血管のコントラスト向上に大きく寄与する青色狭帯域光が、表層血管のコントラストにそれほど寄与しない緑色狭帯域光と混色することで、病変部の診断に重要な表層血管のコントラストが低下していた。
【0029】
これに対して、本発明では、狭帯域光観察モードにおいて、表層血管のコントラスト向上に大きく寄与する紫色狭帯域光Vnと表層血管のコントラスト向上にそれほど寄与しないが、中深層血管のコントラスト向上に大きく寄与する緑色狭帯域光Gnを交互(時分割)に照射し、その照射毎に撮像を行っているため、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光GnとがCy画素とMg画素において混色することがない。これにより、表層血管のコントラストを向上又は維持でき、更には、中深層血管のコントラストも向上又は維持することができる。
【0030】
補色系撮像素子29は、撮像制御部31によって駆動制御される。この撮像制御部31では、補色系撮像素子29から、奇数フィールドと偶数フィールドに分けて信号を読み出す(インタレース読出)。その際、縦方向に隣接する2列の画素を加算して順次読み出すとともに、奇数フィールドと偶数フィールドで画素の列をずらして読み出すようにする(図6参照)。ここで、通常光観察モードでは、通常光を検体内に常時照射する一方で、狭帯域光観察モードでは、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnを交互に検体内に照射するため、補色系撮像素子29から信号を読み出すタイミングは、通常光観察モードと狭帯域光観察モードとで異なっている。
【0031】
通常光観察モードでは、奇数フィールド用の信号と偶数フィールド用の信号を交互に読み出す。これに対して、狭帯域光観察モードでは、図9に示すように、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnの照射に合わせて、奇数フィールドの読出しを続けて2回行い、この奇数フィールドの読出しが完了したら、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnの照射に合わせて、偶数フィールドの読出しを続けて2回行う。この一連の読出しは、繰り返し行われる。なお、本実施形態では、インタレース読出しで補色系撮像素子29から信号の読出しを行うが、これに代えて、プログレッシブ読出しで信号の読出しを行ってもよい。また、図9では、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnのそれぞれの照射後に信号読出しを行っているが、これに代えて、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnの両方の照射が完了した後に、信号読出しを行ってもよい。
【0032】
図2に示すように、補色系撮像素子29は、信号線の一端と接続されており、この信号線の他端が接続された信号コネクタをプロセッサ装置4に接続することにより、プロセッサ装置4内の撮像制御部31と相関二重サンプリング回路(CDS回路と略記)32とに接続される。なお、内視鏡2は、固有の識別情報(ID)を発生するID発生部33を備え、ID発生部33によるIDは、制御回路15に入力され、制御回路15は、IDによりプロセッサ装置4に接続された内視鏡2の種類やその内視鏡2の内蔵された補色系撮像素子29の画素数種類等を識別する。
【0033】
そして、制御回路15は、識別した内視鏡2の補色系撮像素子29を適切に駆動するように、撮像制御部31を制御する。撮像制御部31は、補色系撮像素子29を駆動する撮像タイミングに関する情報を制御回路15に送信する。制御回路15は、その撮像タイミングに関する情報に基づいて、セレクタ51を駆動制御する。
【0034】
また、撮像制御部31は、補色系撮像素子29の電荷蓄積時間を制御する。電荷蓄積時間の制御は、モード毎に異なっている。通常光観察モードでは、一定の電荷蓄積時間に設定されている。一方、狭帯域光観察モード時においては、図10に示すように、紫色狭帯域光Vnを照射しているときの電荷蓄積時間Svは、緑色狭帯域光Gnを照射しているときの電荷蓄積時間Sgよりも長く設定されている。
【0035】
紫色狭帯域光Vnは、上述したように、表層血管に対して高い光吸収特性を有している(紫色狭帯域光Vnの中心波長405±10nmは可視光領域においてヘモグロビンの吸光係数が高い)ため、電荷蓄積時間Svを長くして補色系撮像素子29での感度を上げることにより、表層血管のコントラストを向上させることができる。また、ライトガイド13における青色帯域の光の損失が大きい場合(図12参照)には、電荷蓄積時間Svを長くすることで、その光損失分を補うことができる。
【0036】
図2に示すように、補色系撮像素子29は、撮像制御部31からの補色系撮像素子駆動信号の印加により、撮像信号は、CDS回路32に入力される。CDS回路32により、撮像信号から信号成分が抽出されてベースバンドの信号に変換された後、A/D変換回路34に入力され、デジタル信号に変換されると共に、明るさ検波回路35に入力され、明るさ(信号の平均輝度)が検出される。
【0037】
明るさ検波回路35により検出された明るさ信号は、調光回路36に入力され、基準の明るさ(調光の目標値)との差分により調光するための調光信号が生成される。この調光回路36からの調光信号は、光源制御部21に入力され、基準となる明るさとなるようにV-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dの発光量が制御される。
【0038】
A/D変換回路34から出力されるデジタル信号は、Y/C分離回路37に入力される。Y/C分離回路37は、入力されたデジタル信号に基づいて、輝度信号Yと(広義の色信号Cとしての)線順次の色差信号Cr(=2R−G),Cb(=2B−G)を生成する。輝度信号Yは、γ回路38を介してセレクタ39に入力される(この輝度信号をYhと記す)と共に、信号の通過帯域を制限する第1のローパスフィルタ(LPFと略記)41に入力される。
【0039】
第1のLPF41は、輝度信号Yに対応して広い通過帯域に設定されており、この第1のLPF41の通過帯域特性により設定された帯域の輝度信号Y1が、第1マトリクス回路42に入力される。また、色差信号Cr,Cbは、信号の通過帯域を制限する第2のLPF43を介して(線順次)同時化回路44に入力される。この場合、第2のLPF43は、制御回路15により、観察モードに応じてその通過帯域特性が変更される。具体的には、通常光観察モード時には、第2のLPF43は、第1のLPF41より低帯域に設定される。
【0040】
一方、狭帯域光観察モード時には、第2のLPF43は、通常光観察モード時における低帯域よりも広い帯域に変更される。例えば第2のLPF43は、第1のLPF41とほぼ同様に広帯域に設定(変更)される。同時化回路44は、同時化された色差信号Cr,Cbを生成し、この色差信号Cr,Cbは、第1マトリクス回路42に入力される。
【0041】
第1マトリクス回路42は、輝度信号Y及び色差信号Cr,Cbから3原色信号R,G,Bに色変換処理を施して、γ回路45に出力する。また、この第1マトリクス回路42は、制御回路15によって制御され、補色系撮像素子29の色分離フィルタ29aやV-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dの発光特性に応じて(変換特性を決定する)マトリクス係数の値を変更して、混色の無い或いは混色を殆ど解消した3原色信号R1,G1,B1に変換する。なお、本実施形態において、混色が生じるおそれがあるのは、通常光観察モードの場合のみであり、狭帯域光観察モードの場合には、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnを時分割で照射しているため、混色が生じることはない。
【0042】
γ回路45も、制御回路15により制御される。具体的には、狭帯域光観察モード時には、通常光観察モード時よりもγ補正の特性を強調したγ特性に変更される。これにより、低信号レベル側でのコントラストが強調され、より識別し易い表示特性となる。このγ回路45によりγ補正された3原色信号R2,G2,B2は、セレクタ51に入力される。
【0043】
セレクタ51は、制御回路15により切替が制御される。通常光観察モードの場合には、3原色信号R2,G2,B2をそのまま第2マトリクス回路46に入力する。一方、狭帯域光観察モードの場合には、セレクタ51は、紫色狭帯域光Vnで照明中の検体を撮像したときに得た3原色信号R2,G2,B2(以下「R2v,G2v,B2v」とする)のうち青色信号B2vを同時化回路52に入力し、その他の信号を破棄する。また、セレクタ51は、緑色狭帯域光Gnで照明中の検体を撮像したときに得た3原色信号R2,G2,B2(以下「R2g,G2g,B2g」とする)のうち緑色信号G2gを同時化回路52に入力し、その他の信号を破棄する。同時化回路52は、青色信号B2v、緑色信号G2gの両方が入力されたら、それら信号B2v、G2gを同時に第2マトリクス回路46に入力する。
【0044】
第2マトリクス回路46は、R2、G2、B2又はB2v、G2vから、輝度信号Yと、色差信号R−Y、B−Yに変換する。この場合、制御回路15は、通常光観察モード時には、3原色信号R2,G2,B2から、輝度信号Yと色差信号R−Y、B−Yに単に変換するように第2マトリクス回路46のマトリクス係数を設定する。また、制御回路15は、狭帯域光観察モード時には、第2マトリクス回路46のマトリクス係数を通常光観察モード時の値から変更して、B2v、G2gのうちB2vの重み付けを大きくした輝度信号Ynbi及び色差信号R−Y、B−Yが生成されるようにする。
【0045】
この場合における変換式は、3行3列のマトリクスA、Kを用いると、以下のようになる。
【数1】
【0046】
ここで、Kは、例えば3個の実数成分k1〜k3(その他の成分は0)からなる。又、Aは、RGB信号からY色差信号に変換する為のマトリクス(行列)であり、以下のような公知の演算係数(2)等が用いられる。
【数2】
【0047】
第2マトリクス回路46により出力される輝度信号Ynbiは、セレクタ39に入力される。このセレクタ39は、制御回路15により切替が制御される。つまり、通常光観察モード時には輝度信号Yhが選択され、狭帯域光観察モード時には、輝度信号Ynbiが選択される。
【0048】
第2マトリクス回路46から出力される色差信号R−Y、B−Yは、セレクタ39を通った輝度信号Yh又はYnbi(Yh/Ynbiと表記)と共に、拡大回路47に入力される。この拡大回路47により拡大処理された輝度信号Yh/Ynbiは、強調回路48により輪郭強調された後、第3マトリクス回路49に入力され、拡大回路47により拡大処理された色差信号R−Y,B−Yは、強調回路48を通さないで第3マトリクス回路49に入力される。そして、第3マトリクス回路49により3原色信号R,G,Bに変換された後、図示しないD/A変換回路によりアナログの映像信号に変換されて映像信号出力端からモニタ5に出力される。なお、通常光観察モードと狭帯域光観察モードでは、補色系撮像素子29における信号の読出しタイミングが異なるため、モニタ5での画像表示タイミングについても、各観察モードに応じて異なっている。
【0049】
モニタ5には、通常光観察モード時には、通常光によって照明された検体の像が写し出された通常画像が表示される。一方、狭帯域光観察モード時には、紫色狭帯域光Vn又は緑色狭帯域光Gnによって照明された検体の像が写し出された特殊画像が表示される。ここで、紫色狭帯域光Vnは、検体の表面から表層付近までの第1透過距離で透過可能である一方、緑色狭帯域光Gnは、検体の表面から中深層付近までの第2透過距離(第1透過距離よりも長い)で透過可能である。また、紫色狭帯域光Vn及び緑色狭帯域光Gnは同時に検体に照射するのではなく交互に照射しているため、それら狭帯域光Vn、Gnは補色系撮像素子29において混色しない。また、紫色狭帯域光Vnの波長範囲380〜440nmと、緑色狭帯域光Gnの波長範囲530〜550nmとは重なり合っていない。
【0050】
したがって、特殊画像においては、第1透過距離の範囲内に含まれる表層の構造(例えば表層血管)と、第2透過距離の範囲内に含まれる中深層の構造とを分離して視認することができるとともに、表層の構造及び中深層の構造のコントラストを向上又は維持することができる。また、紫色狭帯域光Vnの照射時間Tvを緑色狭帯域光Gnの照射時間Tgよりも長くし、また、紫色狭帯域光Vnを照射したときの電荷蓄積時間Svを緑色狭帯域光Gnを照射したときの電荷蓄積時間Sgよりも長くしているため、紫色狭帯域光Vnを照射したときに得られる信号の感度は向上している。これにより、表層の構造のコントラスト、特に、病変部の診断に重要な部位である表層血管のコントラストを向上することができる。
【0051】
なお、強調回路48により輪郭強調も補色系撮像素子29等の種類に応じてその強調特性(強調帯域が中低帯域にするか中高帯域にするか)等を変更しても良い。特に狭帯域光観察モード時には、輝度信号Ynbiが強調処理されることになる。この場合、式(1)を採用した場合には、後述するようにB信号による生体表層付近の毛細血管等の構造を強調した処理を行うことになり、注目する画像成分を明瞭に表示できるようになる。
【0052】
なお、映像信号出力端からモニタ5のR,G,Bの各チャンネルに実際に入力される3原色信号R,G,Bは、狭帯域光観察モード時には、式(1)を採用した場合、G,B,Bの信号(重み付けは係数により異なるが)となり、特にB信号による比率が最も大きくなり、B信号による生体表層付近の表層血管(毛細血管など)等の構造に対応した内視鏡画像を識別し易い状態で表示することができるようになる。つまり、狭帯域光観察モード時におけるモニタ5のRGBチャンネルにそれぞれ入力される信号は、実際にはG,B,B信号(係数の値は別として)となる。
【0053】
このように本実施形態においては、観察モードの切替に連動して、各観察モードに適した信号処理が行えるようにプロセッサ装置4の信号処理系(より具体的にはY/C分離回路37以降の信号処理系)における処理特性を変更することが特徴となっている。この場合、各観察モードに専用の処理回路を設けるのではなく、殆ど共通の処理回路における処理特性を変更することにより、両観察モードに適した処理を行えるようにして、簡単な構成により、両観察モードに適切に対応できるようにしていることが特徴となっている。
【0054】
本実施形態による作用を図11を参照して以下に説明する。術者は、図1に示すように内視鏡2を光源装置3及びプロセッサ装置4に接続し、電源を投入することにより、プロセッサ装置4の制御回路15は、初期設定の処理を開始し、光源装置3及びプロセッサ装置4の動作モードとして、例えば通常光観察モードの設定状態にする。
【0055】
この状態において、光源装置3は、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、R-LED20dを全て点灯する。これにより、図4Aに示す発光スペクトルを有する通常光のもとで、内視鏡2により撮像を行う状態となる。また、プロセッサ装置4側の各部も通常光観察モードの状態で信号処理を行う設定状態になる。このとき、モニタ5には、通常画像が表示される。
【0056】
術者は、内視鏡2の挿入部7を患者の体腔内に挿入することにより、内視鏡検査を行うことができる。体腔内における患部等の検査対象組織の表層血管の走行状態等をより詳しく観察しようと思う場合には、術者は、モード切替スイッチ14を操作する。制御回路15は、モード切替スイッチ14が操作されたか否かをモニタし、モード切替スイッチ14が操作されていない場合には、その状態を維持し、モード切替スイッチ14が操作された場合には、狭帯域光観察モードに切り替えられる。
【0057】
制御回路15は、光源装置3及びプロセッサ装置4の動作モードを狭帯域光観察モードの設定状態に変更する。具体的には、制御回路15は、光源装置3に対しては、V-LED20a、G-LED20cを交互に点灯発光する。これにより、図4Bに示すように、紫色狭帯域光Vnと緑色狭帯域光Gnが交互に検体内に照射される。また、光源装置3の光源制御部21は、紫色狭帯域光Vnの照射時間Tvを緑色狭帯域光Gnの照射時間Tgよりも長く設定する。
【0058】
また、制御回路15は、プロセッサ装置4における各部の設定を変更する、具体的には、制御回路15は、撮像制御部31を制御して、図10に示すように、紫色狭帯域光Vnを照射しているときの電荷蓄積時間Svを、緑色狭帯域光Gnを照射しているときの電荷蓄積時間Sgよりも長く設定する。また、制御回路15は、第2のLPF43の帯域特性を広帯域化し、第1マトリクス回路42のマトリクス係数を変更し、γ回路45のγ特性を変更する。
【0059】
また、制御回路15は、セレクタ51を制御して、紫色狭帯域光Vnで照明中の検体を撮像したときに得た3原色信号R2v,G2v,B2vのうち青色信号B2vを同時化回路52に入力させるとともに、緑色狭帯域光Gnで照明中の検体を撮像したときに得た3原色信号R2g,G2g,B2gのうち緑色信号G2gを同時化回路52に入力させる。同時化回路52は、青色信号B2v、緑色信号G2gの両方が入力されたら、それら信号をB2v、G2gを同時に第2マトリクス回路46に入力する。また、制御回路15は、第2マトリクス回路46のマトリクス係数を信号B2vによる信号成分の比率が大きくなるように変更し、またセレクタ39を輝度信号Ynbiが選択されるように切り替える等の変更設定を行う。以上により、狭帯域光観察モード時には、特殊画像が表示される。
【0060】
そして、制御回路15は、モード切替スイッチ14が操作されたか否かをモニタし、モード切替スイッチ14が操作されていない場合には、診断を終了しない限り、その状態を維持し、モード切替スイッチ14が操作された場合には、通常光観察モードに戻ることになる。
【0061】
なお、上記実施形態では、狭帯域光観察モード時に、緑色狭帯域光Gnを用いたが、これに代えて、緑色狭帯域フィルタ22で波長制限せずに、波長域が広帯域に及ぶ緑色光Gを用いてもよい。緑色光Gを用いた場合には、明るい状態で狭帯域光観察を行うことができる。なお、この場合には、光源装置3内には、緑色狭帯域フィルタ22を設けない。
【0062】
なお、上記実施形態では、狭帯域光観察モード時に、中心波長405±10nmの紫色狭帯域光Vnを用いたが、青色帯域においてヘモグロビンの吸光係数が高い狭帯域光であれば、これに限られない。例えば、紫色狭帯域光Vnの代わりに、中心波長445±10nmの青色狭帯域光を用いてもよい。この場合には、青色狭帯域光の波長範囲は、緑色狭帯域光Gの波長範囲530〜550nmや緑色光Gの波長範囲500〜600nmと重なり合わないようにする。
【0063】
なお、上記実施形態では、狭帯域光観察モード時に、γ回路45を出力した信号を、セレクタ51によって同時化回路に送って、紫色狭帯域光Vnで照明中の検体を撮像して得た信号と緑色狭帯域光Gnで照明中の検体を撮像して得た信号を同時化したが、その他の方法で、同時化を行ってもよい。
【0064】
なお、特許請求の範囲の「照射部」は、本実施形態において「光源装置3」と「内視鏡2のうち光源装置3からの光を導光して検体内に照射するための部材(ライトガイド13等)」を組み合せたものに対応している。また、特許請求の範囲の「画像処理部」は本実施形態において「プロセッサ装置4」に対応している。また、特許請求の範囲の「表示部」は「モニタ5」に対応している。
【符号の説明】
【0065】
1 内視鏡システム
3 光源装置
4 プロセッサ装置
5 モニタ
20a V-LED
20c G-LED
22 緑色狭帯域フィルタ
21 光源制御部
29 補色系撮像素子
31 撮像制御部
52 同時化回路(同時化部)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12