(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
[放熱用部品の構造]
まず、放熱用部品の構造について説明する。
図1は、本実施の形態に係る放熱用部品を例示する断面図である。
図2は、本実施の形態に係る放熱用部品を例示する底面図である。
図1及び
図2を参照するに、放熱用部品1は、大略すると、放熱板10と、熱伝導部20(TIM)とを有する。
【0015】
放熱板10は、例えば、無酸素銅にニッケルめっきを施したものやアルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなり、半導体素子が発する熱を外部に伝熱放散させる役割を担うヒートシンク等として機能する。放熱板10の寸法は、例えば、縦40mm(Y方向)×横40mm(X方向)×厚さ(最厚部の厚さ)30mm(Z方向)程度とすることができる。
【0016】
放熱板10の面10aの略中央部には凹部10xが形成されている(以降、面10aを凹部形成面10aと称する場合がある)。凹部10xの寸法は、例えば、縦30mm(Y方向)×横30mm(X方向)×深さ0.1mm(Z方向)程度とすることができる。
【0017】
放熱板10には、放熱板10の面10cと凹部10xの底面10bとを繋ぐ貫通孔10yが形成されている。貫通孔10yの平面形状は、例えば、円形であり、その直径は、例えば2mm程度とすることができる。貫通孔10yは、凹部10x内に樹脂を注入するために設けられている(詳しくは後述)。従って、このような目的が達成できれば、貫通孔10yの位置や形状、個数等は適宜決定することができる。
【0018】
例えば、貫通孔10yの平面形状は、楕円形や矩形等の任意の形状として構わない。又、必要に応じ、貫通孔10yを複数個設けても構わない。又、貫通孔10yは、放熱板10の外面と凹部10xの底面10bとを繋ぐように形成されていればよく、必ずしも直線状の孔でなくても構わない。
【0019】
ここで、放熱板10の外面とは、放熱用部品1を配線基板等に実装された半導体素子に装着して半導体パッケージを形成した際に、半導体パッケージの外部に露出する放熱板10の面を指す。
図1の例では、放熱板10の外面は、面10cと、面10cと略垂直な外側面である。例えば、貫通孔10yとして、放熱板10の外側面から凹部10xの底面10bに達するように、屈曲した孔を形成しても構わない。なお、貫通孔10yは、本発明に係る第1の貫通孔の代表的な一例である。
【0020】
放熱板10の凹部形成面10aの周縁部には額縁状の突起部10zが形成されている。突起部10zの幅は、例えば、数mm程度とすることができる。突起部10zの面10dは、放熱用部品1を配線基板等に装着する際に、接着剤等を介して配線基板等と接合される面である。
【0021】
熱伝導部20は、カーボンナノチューブ21と、金属層22とを有する。カーボンナノチューブ21は、放熱板10の凹部10xの底面10bに林立するように多数形成されている。凹部10xの底面10bは、略平坦な面であるが、ミクロ的には表面が粗くなっている。
図1等では、凹部10xの底面10bの表面がミクロ的に粗くなっている様子を強調して示している。なお、カーボンナノチューブ21は、本発明に係る線状の熱伝導性物質の代表的な一例である。線状の熱伝導性物質としては、カーボンナノチューブ以外に、フラーレンやグラファイト等を用いてもよい。
【0022】
金属層22は、カーボンナノチューブ21の先端部を覆うとともに、凹部形成面10aの少なくとも一部に延在している。凹部形成面10aにおいて、金属層22が形成されている部分の幅W1は、例えば1mm程度とすることができるが、凹部形成面10a全面に金属層22を形成しても構わない。
【0023】
金属層22の面22a(凹部10xの底面10bに対向する面の反対面)には、半導体素子と接触する半導体素子接触領域22zが設けられている。但し、半導体素子接触領域22zは、金属層22の面22aに予め形成された線ではなく、半導体素子との接触が予定されている領域である。
【0024】
平面視において、金属層22の半導体素子接触領域22zの外側には、面22aと凹部10xの底面10bに対向する面(面22aの反対面)とを繋ぐ複数のスリット状の貫通孔22xが形成されている。又、複数の貫通孔22xに囲まれた領域には、貫通孔22yが形成されている。ここで、平面視とは、金属層22の面22aの垂直方向(Z方向)から視ることをいう。
【0025】
なお、貫通孔22xは最低限1カ所形成すればよいが、後述のように、半導体素子の各側面に均等に樹脂を形成するためには、半導体素子接触領域22zの外側を囲むように複数個形成することが好ましい。
【0026】
貫通孔22xは、例えば、平面視において、半導体素子接触領域22zよりも1mm程度外側に設けることができる。貫通孔22xの幅は、例えば、1〜2mm程度とすることができる。貫通孔22xの長さは、半導体素子接触領域22zを構成する各辺と同程度とすることができる。
【0027】
貫通孔22xは、貫通孔10yから凹部10xに注入された樹脂を半導体素子接触領域22z側に流出させるために設けられている。従って、このような目的が達成できれば、貫通孔22xの位置や形状、個数等は適宜決定することができる。例えば、スリット状の貫通孔に代えて、多数の円形や楕円形、矩形等の貫通孔を半導体素子接触領域22zの周囲に配置しても構わない。なお、貫通孔22xは、本発明に係る第2の貫通孔の代表的な一例である。
【0028】
なお、貫通孔10yの一方の端部は、凹部10xの底面10bに開口していればよいが、平面視において、複数の貫通孔22xに囲まれた領域内に開口していることが好ましい。貫通孔10yから注入された樹脂を、凹部10x内の隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部に充填し、更に、半導体素子接触領域22zと接する半導体素子の各側面に均等に流出させるためである。
【0029】
貫通孔10yに対応する領域にはカーボンナノチューブ21が形成されないため、カーボンナノチューブ21の先端を覆う金属層22も形成されない。そのため、金属層22には、貫通孔10yに対応する位置に貫通孔22yが形成される。つまり、貫通孔10yと貫通孔22yとは、平面視において、おおよそ重複する位置にある。
【0030】
[半導体パッケージの構造]
次に、半導体パッケージの構造について説明する。
図3は、本実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図4は、本実施の形態に係る半導体パッケージを例示する底面図である。但し、
図4において、
図3に示す配線基板30、外部接続端子35、及び接着剤60は、省略されている。
【0031】
図3及び
図4を参照するに、半導体パッケージ2は、大略すると、放熱用部品1と、配線基板30と、半導体素子40と、樹脂50とを有する。配線基板30の一方の面の中央部近傍には半導体素子40が実装され、他方の面には外部接続端子35が形成されている。なお、半導体素子40の寸法は、例えば、縦10mm(Y方向)×横20mm(X方向)×厚さ0.3〜0.8mm(Z方向)程度とすることができる。
【0032】
配線基板30の一方の面の外縁部近傍には、接着剤60を介して、放熱用部品1が装着されている。より詳しくは、放熱用部品1の突起部10zの面10dが、接着剤60を介して、配線基板30の一方の面の外縁部近傍と接合されている。
【0033】
熱伝導部20の半導体素子接触領域22z(
図2参照)は、半導体素子40の面40a(配線基板30と対向する面の反対側の面)と接触している。又、凹部10x内の隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部には樹脂50が充填され、更に、半導体素子40の各側面(面40aと略垂直な面)の少なくとも一部に樹脂50が形成されている。
【0034】
半導体素子40が動作すると、例えば100〜110℃程度の熱を発する。半導体素子40から発する熱は、半導体素子40上に配置した放熱用部品1の熱伝導部20を介して放熱用部品1の放熱板10に伝熱される。このように、熱伝導部20は、半導体素子40と放熱板10とを直接接触させずに熱的に接続する手段として機能する。
【0035】
半導体素子40が発熱すると配線基板
30が反る場合があるが、半導体パッケージ2では、配線基板
30が反っても半導体素子40と金属層22との密着性が低下する懸念は少ない。なぜなら、半導体パッケージ2では、半導体素子40の各側面に樹脂50を形成し、半導体素子40と金属層22とを固定している。そのため、半導体素子40が発熱して配線基板
30が反っても、半導体素子40の面40aと金属層22の面22aとの密着性を維持できるからである。
【0036】
図5は、
図3のA部を拡大した断面図である。
図5を参照しながら、放熱用部品1及び半導体パッケージ2について更に詳しく説明する。カーボンナノチューブ21は、放熱板10の凹部10xの底面10bに、熱伝導方向(底面10bに略直角な方向)に林立するように形成されている。
【0037】
カーボンナノチューブ21は、直径が0.7〜70nm程度の略円筒形状(線状)をした炭素の結晶である。カーボンナノチューブ21は熱伝導性が高く、その熱伝導率は、例えば3000W/m・k程度である。すなわち、カーボンナノチューブ21は線状の熱伝導性物質である。
【0038】
放熱板10の凹部10xの底面10bからカーボンナノチューブ21の先端部までの高さL1は、例えば100μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の先端部の位置は、所定のばらつきを有する。最短のカーボンナノチューブ21と最長のカーボンナノチューブ21のそれぞれの先端部の位置の相対的な差異L2は、約10μm程度である。
【0039】
樹脂50は、カーボンナノチューブ21の強度を補強すること、及び半導体素子40と金属層22とを固定することを目的として設けられている。樹脂50としては、例えばホットメルト樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができる。なお、ホットメルト樹脂とは、常温では固体状であるが、所定の軟化点を超えるまで加熱すると溶融し、流動状態又は液状となる性質を有する樹脂である。ホットメルト樹脂の軟化点は調整可能であり、市場において種々の軟化点を有するホットメルト樹脂を容易に入手可能である。
【0040】
但し、樹脂50は、軟化点が半導体素子40の発熱温度範囲の最高温度以上のものを選択する必要がある。例えば半導体素子40の発熱温度範囲が100〜110℃であれば、半導体素子40の発熱温度範囲の最高温度は110℃であるから、樹脂50として軟化点が110℃以上の樹脂を選択する必要がある。半導体素子40が発熱したときに、樹脂50が軟化して流動状態又は液状になるとカーボンナノチューブ21の強度を補強するという目的、及び半導体素子40と金属層22とを固定するという目的を達成できないからである。
【0041】
金属層22は、多数のカーボンナノチューブ21を横方向(凹部10xの底面10bと略平行な方向)に連結させ一体化することを目的として設けられている。すなわち、金属層22は、樹脂50上及び凹部形成面10aの少なくとも一部に多数のカーボンナノチューブ21の先端を覆うように形成されており、多数のカーボンナノチューブ21と凹部形成面10aとを横方向に連結させ一体化している。多数のカーボンナノチューブ21と放熱板10の凹部形成面10aとを横方向に連結させ一体化することにより、横方向への熱伝導性を向上することができる。
【0042】
金属層22の面22aは、半導体素子40の面40aと接触している。このように、金属層22と半導体素子40とが面同士で接触することにより、金属層22と半導体素子40との間の熱抵抗を下げることができる。又、金属層22は、放熱板10の凹部形成面10aの少なくとも一部にも形成されているため、半導体素子40の発生する熱を直接放熱板10に伝導することができる。
【0043】
金属層22の材料としては、熱伝導率の高い金属が好ましく、例えばAu、Ni、Cu等を用いることができる。金属層22の厚さは、例えば20μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の長さのばらつきを吸収するためには、金属層22の厚さは、最短のカーボンナノチューブ21と最長のカーボンナノチューブ21のそれぞれの先端部の位置の相対的な差異L2よりも厚くすることが好ましい。
【0044】
[半導体パッケージの製造方法]
次に、
図6〜
図11を参照しながら、半導体パッケージの製造方法について説明する。
図6〜
図11は、本実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【0045】
まず、
図6及び
図7に示すように、放熱板10の凹部10xの底面10bに多数のカーボンナノチューブ21を形成する。なお、
図7は、
図6のA部を拡大した断面図である。
【0046】
具体的には、例えば、無酸素銅にNiめっきが施された放熱板10を準備する。放熱板10には、例えばプレス加工等により、凹部10x、貫通孔10y、及び突起部10zが形成されている。放熱板10の材料は無酸素銅には限定されないが、放熱板10の材料として無酸素銅を主成分とする材料を用いることにより、カーボンナノチューブ21を良好に成長させることができる。
【0047】
次に、放熱板10の凹部10xの底面10bに、CVD法(化学的気相成長法)等によりカーボンナノチューブ21を、熱伝導方向(底面10bに直角な方向)に林立するように形成する。
【0048】
より具体的には、始めに、放熱板10の凹部10xの底面10bにスパッタリング法等によって、金属触媒層(図示せず)を形成する。金属触媒層としては、例えばFe、Co及びNi等を用いることができる。金属触媒層の厚さは、例えば数nm程度とすることができる。
【0049】
次に、金属触媒層が形成された放熱板10を所定の圧力及び温度に調整された加熱炉に入れて、CVD法(化学的気相成長法)により金属触媒上にカーボンナノチューブ21を形成する。加熱炉の圧力及び温度は、例えば100pa及び600℃とすることができる。又、プロセスガスとしては、例えばアセチレンガス等を用いることができ、キャリアガスとしては、例えばアルゴンガスや水素ガス等を用いることができる。
【0050】
カーボンナノチューブ21は、金属触媒上に、放熱板10の凹部10xの底面10bに直角な方向に形成されるが、底面10bからカーボンナノチューブ21の先端部までの高さL1は、カーボンナノチューブ21の成長時間によって制御することができる。なお、貫通孔10yに対応する部分には、カーボンナノチューブ21は形成されない。
【0051】
次に、
図8及び
図9に示すように、放熱板10に、各カーボンナノチューブ21の先端を覆うとともに、凹部形成面10aの少なくとも一部に延在し、複数のスリット状の貫通孔22xを有する金属層22を形成する。金属層22の面22aの一部は半導体素子40と接触する半導体素子接触領域22zとなり、面22aの垂直方向から視て、半導体素子接触領域22zの外側に、面22aと凹部10xの底面10bに対向する面とを繋ぐ貫通孔22xを形成する。なお、
図9は、
図8のA部を拡大した断面図である。
【0052】
金属層22は、例えば、貫通孔22xを形成する領域をマスクした後、スパッタリング法やめっき法により形成することができる。金属層22の材料としては、熱伝導率の高い金属が好ましく、例えばAu、Ni、Cu等を用いることができる。金属層22の厚さは、例えば20μm程度とすることができる。
【0053】
但し、カーボンナノチューブ21の長さのばらつきを吸収するためには、金属層22の厚さは、最短のカーボンナノチューブ21と最長のカーボンナノチューブ21のそれぞれの先端部の位置の相対的な差異L2よりも厚くすることが好ましい。この工程により、多数のカーボンナノチューブ21と放熱板10の凹部形成面10aとを横方向に連結させ一体化する。
【0054】
なお、貫通孔10yに対応する領域にはカーボンナノチューブ21が形成されていないため、カーボンナノチューブ21の先端を覆う金属層22も形成されない。そのため、金属層22には、貫通孔10yに対応する位置に貫通孔22yが形成される。この工程により、放熱用部品1が完成する。
【0055】
次に、
図10に示すように、一方の面に半導体素子40が実装され、他方の面に外部接続端子35が形成された配線基板
30を周知の方法で作製する。そして、放熱用部品1の突起部10zの面10dに接着剤60を塗布し、金属層22の面22aの半導体素子接触領域22zと配線基板
30上に実装された半導体素子40の面40aとを接触させて押圧する。そして、接着剤60を硬化させ、配線基板30に放熱用部品1を装着する。
【0056】
次に、
図11に示すように、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部、及び半導体素子40の各側面に、例えばホットメルト樹脂や熱硬化性樹脂等をリフローし、樹脂50を形成する。
【0057】
具体的には、放熱板10の貫通孔10yを介して、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部に軟化点以上の温度に加熱されて軟化した樹脂50を注入する。そして、空隙部に注入された軟化した樹脂50の一部を貫通孔22xを介して半導体素子40側に流出させ、半導体素子40の各側面に樹脂50を到達させる。そして、樹脂50を軟化点以下の温度に冷やして硬化させる。
【0058】
これにより、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部に樹脂50を充填するとともに半導体素子40の各側面の少なくとも一部に樹脂50を形成することができる。以上の工程により、半導体パッケージ2が完成する。
【0059】
なお、金属層22の半導体素子接触領域22zの外側を囲むように貫通孔22xを複数個形成することが好ましい。貫通孔10yを介して隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部に注入された樹脂50を、複数個の貫通孔22xを介して半導体素子40側に流出させ、半導体素子40の各側面に均等に樹脂50を形成するためである。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、放熱板10の凹部10xに、線状の熱伝導性物質であるカーボンナノチューブ21を熱伝導方向に林立するように形成する。そして、放熱板10の凹部形成面10aの少なくとも一部に多数のカーボンナノチューブ21の先端を覆うように、複数の貫通孔22xを有する金属層22を形成する。
【0061】
そして、放熱用部品1の突起部10zの面10dに接着剤60を塗布し、一方の面に半導体素子40が実装され、他方の面に外部接続端子35が形成された配線基板
30に放熱用部品1を装着する。その際、半導体素子40の面40aに金属層22の面22aを接触させて押圧した後、接着剤60を硬化させる。更に、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部、及び半導体素子40の各側面に、例えばホットメルト樹脂や熱硬化性樹脂等をリフローし、樹脂50を形成する。
【0062】
その結果、カーボンナノチューブ21の一方の側は放熱板10に直接形成されるため、カーボンナノチューブ21と放熱板10とは密着する。又、カーボンナノチューブ21の他方の側は金属層22により放熱板10の凹部形成面10aと横方向に一体化され、金属層22は半導体素子40と面同士で接するためカーボンナノチューブ21と金属層22と半導体素子40とは密着する。すなわち、放熱板10と半導体素子40とは、カーボンナノチューブ21と金属層22を含む熱伝導部20を介して密着するため、放熱板10と半導体素子40との接触熱抵抗を低減することが可能となり、熱伝導性を向上することができる。
【0063】
又、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部を充填する樹脂50を、金属層22に形成した貫通孔22xを介して半導体素子40側に流出させ、半導体素子40の各側面に樹脂50を形成する。これにより、半導体素子40と金属層22とは樹脂50により固定され、半導体素子40が発熱して配線基板
30が反っても、半導体素子40の面40aと金属層22の面22aとの密着性が維持される。そのため、配線基板
30の反りにより放熱性が低下することを防止できる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能なものである。
【0065】
例えば、上記実施の形態では、隣接するカーボンナノチューブ21の形成する空隙部を充填する樹脂50を、金属層22に形成した貫通孔22xを介して半導体素子40側に流出させ、半導体素子40の各側面の少なくとも一部に樹脂50を形成した。しかし、配線基板
30の一方の面に実装されている他の電子部品(例えば、コンデンサや抵抗等)を樹脂50で封止しても問題ない場合には、放熱板10の凹部形成面10a側と配線基板
30の一方の面とで形成する空間を充填するように樹脂50を形成してもよい。
【0066】
又、放熱板10は、凹部形成面10aの周縁部に額縁状の突起部10zが形成されていない部材としてもよい。この場合には、放熱用部品1は、放熱板10とは別体の額縁状のスペーサや、柱状のスペーサ等を介して、配線基板30の一方の面に装着すればよい。
【0067】
又、半導体素子40が発熱して配線基板
30が反った場合に、半導体素子40の面40aと金属層22の面22aとの密着性を維持するためには、半導体素子40の各側面に樹脂50を形成することが好ましい。しかしながら、半導体素子40の全側面に樹脂50を形成せずに、例えば、半導体素子40の1対の対向する側面のみに樹脂50を形成した場合等にも一定の効果を奏する。