(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光電変換素子が色素増感太陽電池であり、前記光電変換セル構成部材が、色素を含む多孔質半導体層、電解質層および一対の電極層を含むことを特徴とする請求項1または2記載の光電変換素子の封止構造。
請求項6記載の光電変換素子の複数個を、前記取り出し電極に接続される電極リードを介して直列にまたは並列に配列してなることを特徴とする光電変換素子モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0020】
本実施の形態に係る封止構造を有する光電変換素子の基本構成は、円筒状または円錘台状の透明部材の側面を受光面とし、透明部材の内部に径方向に層状に光電変換セル構成部材が配列されるものである。
光電変換セル構成部材は、適宜の構成とすることができる。光電変換セル構成部材の光電変換部は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、薄膜シリコン、各種薄膜および色素増感材料等を挙げることができる。
【0021】
いわばファイバー型あるいはチューブ型の上記光電変換素子は、従来の平板型、言い換えればフラットパネル型の光電変換素子に比べて、大型化する場合の電極層等のセル構成部材の作製が容易でかつ電気的特性も有利である。また、光の入射角度に対する発電量の変化を大幅に低減することができ、しかも平板状の構造と比べて高強度であり封止箇所も少なく、耐久性が高い。
【0022】
光電変換素子の封止構造の基本原理は、以下のとおりである。
封止構造は、円筒状または円錘台状の透明部材の一または双方の解放端を封止する蓋体(蓋体部)が設けられる。蓋体は透明部材の軸方向に延出する導電性金属部を有し、導電性金属部の一端が光電変換セル構成部材の電極に電気的に接続される。蓋体の導電性金属部は、取出し電極とされる。
以下、光電変換素子として色素増感太陽電池を例にとって実施の形態を説明する。
【0023】
まず、
図1を参照して、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造を説明する。
図1に示す本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10は、円筒状の色素増感太陽電池本体12と色素増感太陽電池本体12の両端を封止する封止部14a、14bで構成される。
【0024】
色素増感太陽電池本体12は、円筒状の透明ガラス管(透明部材)16の内側に、径方向に、色素を吸着した多孔質半導体層18、集電電極(アノード電極、電極層、導電性金属層)20、絶縁層22、対極層(電極層)24が、この順で積層される。集電電極20は、例えば、有孔の導電体金属層を有孔の板上に設けたもの等の適度の剛性を有するものを用いる。また、対極層24は、適度の剛性を有するものであれば、図示するような中空筒であってもよく、また、中実筒であってもよい。また、対極層24はシート状材料を巻いたものであってもよい。集電電極20および絶縁層22はいずれも多孔質に形成される。
なお、図示しないが、集電電極(アノード電極)20と対極層の間に電解質が充填される(電解質層)。
透明ガラス管16の両端部は、上記の電池の各構成部材を収容した部分に比べて段差状に広径に形成されるとともに、両端部の外周には雄ネジのねじ山21a、21bが形成される。
【0025】
色素増感太陽電池本体12の構成は、特に限定するものではなく、周知の適宜の構成を採用することができる。
例えば、透明ガラス管16は耐久性に優れるため好適であるが、これに変えて透明硬質樹脂管を用いることを排除するものではない。
また、例えば、いわゆる立体電極である集電電極20に変えて透明ガラス管16の内側に透明電極を設けるTCO電極としてもよい。
また、各部材は、周知の材料のなかから適宜選択して用いることができる。
【0026】
透明ガラス管16の両端部(開放端部)にはそれぞれ蓋体26a、26bが設けられ、透明ガラス管16の両端部および蓋体26a、26bが封止構造(封止部)を構成する。
【0027】
蓋体26a、26bは、それぞれ導電性金属部材で形成される(導電性金属部)。この場合、蓋体26a、26bは、それぞれ透明ガラス管16の軸方向に延出する一部のみを導電性金属部材で形成してもよい。蓋体26a、26bの蓋体26a、26bの導電性金属部材の材料は、良好な導電性を有し、かつ電解質に溶出しないものであれば特に限定するものではなく、例えば、Ti、W、Ni、Pt、Ta、Nb、Zr、Fe、Cu、CrおよびAuからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属材料またはこれらの化合物を好適に用いることができる。また、電解質により腐食恐れがある金属材料を用いる場合は、金属材料表面に耐食性の良好な金属材料をスパッタリング、メッキ、蒸着等してもよい。
【0028】
蓋体26a、26bは、それぞれ雌ねじ付きのキャップであり、一端部が閉塞された円筒部材の側面の内側にねじ山21a、21bと係合するねじ山27a、27bが形成される。蓋体26a、26bの内側の中央には先端が相互に径の異なる凹部29a、29bに形成された突起28a、28bが設けられ、一方、蓋体26a、26bの外側の中央にも突起30a、30bが設けられる。ただし、突起30a、30bは後述する別目的のために必要となるが、基本的には不要である。なお、蓋体26a、26bは、内側断面形状が円形であれば、外側断面形状は円形であっても、多角形であってもよい。この点は、他の例についても同様である。また、蓋体26a、26bは、透明ガラス管16に内嵌めする構造であってもよく、この場合、蓋体26a、26bに雄ねじが設けられ、透明ガラス管16に雌ねじが設けられることになる。
蓋体26aの側の電池の各構成部材のうちの色素を吸着した多孔質半導体層18を除く他の部材は、端部が延出して突起28aの凹部29aに収容され、摺接する寸法に形成される。一方、蓋体26bの側の電池の各構成部材のうちの対極層24の端部が延出して突起28bの凹部29bに収容され、摺接する寸法に形成される。
【0029】
色素増感太陽電池本体12への蓋体26a、26bの取り付けは、以下の手順で行われる。
対極層24の端部に絶縁パッキン32を配設し、また、突起28aの外周にパッキン34aを配設した状態で、蓋体26aを透明ガラス管16の
図1中左側端部に外嵌めし、色素を吸着した多孔質半導体層18を除く他の部材の端部を突起28aの凹部29aに収容し、摺接させる。なお、パッキン34aは、シートガスケットやOリング等の適宜のものを用いることができる。パッキンの形状については、以下に説明する他の例のパッキンについても同様である。ここで、絶縁パッキン32およびパッキン34a等(パッキン34b含む)は、テフロン(テフロンは登録商標)、発泡テフロン(テフロンは登録商標)、ニトリルゴム、シリコン材、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができるが、電解質に対する耐食性に優れるテフロンコーティングを施した材料が特に好ましい。この点は、以下に説明する他の例のパッキンについても同様である。
また、透明ガラス管16の雄ネジのねじ山21a、21bと蓋体26a、26bの雌ねじのねじ山27a、27bの係合箇所からその付近の透明ガラス管16と蓋体26a、26bの当たり面にかけてシールテープを用いてもよい。シールテープの材質は、電解質に対する耐食性に優れる物であれば、特に限定されないが、テフロンが好ましい。
これにより、透明ガラス管16の端部が蓋体26aによって密閉されるとともに、蓋体26aの突起28aの凹部29aと集電電極20が接触することで蓋体26aが集電電極20に電気的に接続され、蓋体26aは集電電極20の引き出し電極とされる。蓋体26aの例えば突起30aを端子としてこれに電極リードを接続することができる。なお、対極層とが蓋体26aの短絡は絶縁パッキン32により防止される。
一方、突起28bの外周にパッキン34bを配設した状態で、蓋体26bを透明ガラス管16の
図1中右側端部に外嵌めし、対極層および絶縁層24の端部を突起28bの凹部29bに収容し、摺接させる。
これにより、透明ガラス管16の端部が蓋体26bによって密閉されるとともに、蓋体26bの突起28bの凹部29bと対極層が接触することで蓋体26bが対極に電気的に接続され、蓋体26bは対極の引き出し電極とされる。蓋体26bの例えば突起30bを端子としてこれに電極リードを接続することができる。
【0030】
以上説明した本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10は、簡易な構造で色素増感太陽電池の開放側端部を確実にかつ高い耐久性で持続的に封止することができるとともに、取り出し電極のシール不足の問題も解消することができる。
【0031】
つぎに、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10の第一の変形例について、
図5および
図6を参照して説明する。
【0032】
図5の概略構成図および
図6の組み立て分解図に示す変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10cは、封止部14e、14fの一対の蓋体26c、26dが、それぞれ内蓋部60a、60bおよび内蓋部60a、60bを覆う外蓋部62a、62bの2つの部材で構成される二体構造である点以外は、色素増感太陽電池の封止構造10とほぼ同様の構造である。このため、色素増感太陽電池の封止構造10と重複する説明は省略する。なお、
図6では、
図5に示す透明ガラス管16bの表示は省略している。
以下、色素増感太陽電池の封止構造10cの構造をその組み立て方とともに説明する。
【0033】
色素増感太陽電池本体12bは、透明ガラス管16bを除いて構成されるセル部材(
図5および
図6中、矢印Aで示す。)が、集電電極(アノード電極)20a、絶縁層22aおよび対極層24aを有する。なお、色素を吸着した多孔質半導体層および電解質は図示を省略している。
対極層24aの内部には、対極層24aを支持する棒状の絶縁体64が挿入されている。絶縁体64の左側端部にはフランジ66a付きの突起66が設けられる。絶縁体64の右側端部は対極層24aの端部よりも後退している。集電電極20aは、フランジ66a付きの突起66の側が収束され収束部を形成する。
突起66の先端に導電性材料で形成されるコイルバネ68が巻回される。集電電極20aの左側端部は収束されてコイルバネ68の一端側に接合される。
蓋体26cの内蓋部60aは、導電性材料で形成され、フランジ72aを挟んで右側に突起72bが設けられる。フランジ72aの左側には段差状の突起72c、72dが設けられる。外蓋部62aは、絶縁材料等の適宜の材料で形成される、一端部が閉塞された円筒部材である。外蓋部62aの閉塞された底面には貫通孔75が形成される。なお、参照符号73はパッキンを示す。
蓋体26dの内蓋部60bは、導電性材料で形成され、フランジ74aを挟んで左側に突起74bが設けられる。フランジ74aの右側には段差状の突起74c、74dが設けられる。突起74dの外周には雄ねじのねじ山74eが設けられる。突起74b、フランジ74aおよび突起74c、74dを貫通する貫通孔74fが形成され、貫通孔74fは突起74bの側面に設けた孔74gにより、突起74bの側面から外部に連通する。内蓋部60bは、突起74dを覆う、導電性材料で形成されるキャップ76をさらに有し、キャップ76の内面には雌ねじのねじ山76aが設けられる。外蓋部62bは、一端部が閉塞された円筒部材である。外蓋部62bの閉塞された底面には貫通孔72bが形成される。なお、参照符号78、80はパッキンを示す。
【0034】
色素増感太陽電池の封止構造10cの組み立て状態において、内蓋部60aの突起72bでフランジ66aにコイルバネ68を押圧する。一方、突起72c、72dを貫通孔75から突出させる。外蓋部62aで内蓋部60aを覆うとともに、外蓋部62aは透明ガラス管16bにねじ止めされる(ねじ止め構造は図示を省略。)。これにより、集電電極20aはコイルバネ68を介して内蓋部60aに電気的に接続され、内蓋部60aは取り出し電極として作用する。なお、内蓋部60a、外蓋部62aおよび透明ガラス管16bの間はパッキン73でシールされる。
一方、内蓋部60bの突起74bが対極層24aの内側に挿入され、対極層24aに摺接し、対極層24aは内蓋部60bに電気的に接続される。内蓋部60bの突起74dにキャップ76が取り付けられ、内蓋部60bはキャップ76に電気的に接続される。外蓋部62bが内蓋部60bを覆って取り付けられ、内蓋部60bの突起74c、74dおよびキャップ76が貫通孔72bを介して外蓋部62bから突出する。外蓋部62bは透明ガラス管16bにねじ止めされる(ねじ止め構造は図示を省略。)。これにより、内蓋部60bは取り出し電極として作用する。なお、内蓋部60b、外蓋部62および透明ガラス管16bの間はパッキン78でシールされ、突起74dとキャップ76の間はパッキン80でシールされる。透明ガラス管16bと突起74bの間に空間部(
図5中、矢印Bで示す。)が画成され、空間部Bは貫通孔74gを介して貫通孔74fに連通するため、温度変動により膨張する電解質の液抜き等の緩衝機能を奏する。
【0035】
第一の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10cは、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10の効果を好適に奏することができる。
また、色素増感太陽電池の封止構造10cは、組み立て時のねじれ等の力による集電電極や対極層の変形、損傷、さらにはこれに起因する封止不良等のおそれが皆無である。また、蓋体を全て導電性金属部材で形成する本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10に比べて、軽量化および材料費の低減を図ることができる。また、内蓋部60bの先端はねじ構造であり貫通孔74fが形成されているため、チェックバルブを搭載することも可能である。
なお、蓋体を内蓋部と外蓋部の二体で構成する第一の変形例の封止構造は、他の例にも適用できる。
【0036】
つぎに、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10の第二の変形例について、
図2を参照して説明する。
【0037】
図2に示す第二の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10aは、封止構造10の蓋体26a、26bに貫通孔36、チェックバルブ35、パッキン80、キャップ76を設ける点以外は、色素増感太陽電池の封止構造10とほぼ同様の構造である。
このため、色素増感太陽電池の封止構造10と重複する説明は省略する。なお、
図2には封止構造10の蓋体26bの側のみを示し、その内容を以下に説明するが、蓋体26aの側についても同様である。
【0038】
対極層24は、孔37を有する。
封止部14cの蓋体26bは、軸線に沿って貫通孔36が形成される。貫通孔36は対極層24の内部空間と連通する。これにより、電解質は、貫通孔37を介して対極層24の内部空間および貫通孔36に流通する。蓋体26bの突起30bの先端部の外周には雄ねじのねじ山38が形成される。蓋体26bは、貫通孔36が対極層の中空25と連通するようにして透明ガラス管16に外嵌される。
チェックバルブ35は、突起30bの貫通孔36の部分に外嵌め挿入される。また突起30bには雄ねじのねじ山40が設けられ、キャップ76の内側に雌ねじのねじ山76aが設けられる。
色素増感太陽電池は光が照射されることにより電池内の温度が上昇する。その結果電解液の熱膨張により内圧が上昇し、電解液もれの原因となる。また一旦電解液もれが生じるとそのもれた隙間から空気や水分が混入しやすくなり、電池寿命を大きく低下させる。この貫通孔とチェックバルブにより、上昇した内圧を簡便に逃がし、外部からの混入を防ぐことができる。例えば、電解液の注入により上昇した内圧を逃すことや、電池の使用中に上昇した内圧を、使用中又は使用後に逃がすことができるので、長期間電池を使用することができる。
【0039】
第二の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10aについて、具体的な作製例を説明する。
縦30mm、横100mm、厚さ40μmのステンレスメッシュ(集電電極)の両面に、厚さ300nmになるようにチタンをスパッタリングし、そのメッシュの片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成する。それから0.05wt%の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのステンレスメッシュを72時間浸漬する。
一方、縦31mm横110mm厚さ40μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦32mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備する。
内径10.4mm×直管部長さ90の両端をねじ加工したガラス管の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込む。なおガラス管の片側に集電電極、絶縁シートおよび対極層を寄せ、もう片側に対極層を寄せる。
なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにする。ガラス管の集電電極と絶縁層を寄せた側および対極層を寄せた側それぞれに、チタン製ねじキャップ(蓋体)で強く栓をする。ヨウ素 40mM, LiI 500mM, t-Butylpyridine 580mM の3−メトキシプロピオニトリル溶液からなる電解質を注入後、蓋体の貫通孔にチェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)を、貫通孔の内側から外側へは気体または電解液が流れ外側から内側へは逆流しない向きに差し込み、チェックバルブの頭を木槌で叩き固定する。チェックバルブの部分にパッキンを当て、キャップを閉じ、色素増感太陽電池(電池セル)を作製する。
【0040】
以上説明した第二の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10aは、光照射により電池の温度が上がり、電解質の熱膨張で電池の内圧が上昇したときキャップを緩めることで、チェックバルブ35が、圧抜きとして作用するため、透明ガラス管16の破損を防止することができる。
なお、色素増感太陽電池の封止構造10aは、以下に説明する本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10bについても同様に適用できる。
【0041】
つぎに、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10の第三の変形例について、
図7を参照して説明する。第三の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10dは、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10とほぼ同様の円筒状の色素増感太陽電池本体と色素増感太陽電池本体の開放端を封止する封止部14gで構成される。
【0042】
図7に示す第三の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10dは、集電電極120aと突起172bを接続する際に、封止構造10cのようなコイルバネ68を使用せず直接接続させ、ねじ山82、85を有するロッドで当該接続部分を集電電極押さえ83及びボルト状部材81で固定している点以外は色素増感太陽電池の封止構造10cと同じ構造である。このため、色素増感太陽電池の封止構造10cと重複する説明は省略する。なお、
図7では、
図5に示すような透明ガラス管16bの表示は省略している。
なお、
図7中、参照符号122aは絶縁層を、参照符号26eは蓋体を、参照符号172c、172dは突起を、参照符号60cは内蓋部を、参照符号62eは外蓋部を、参照符号172aはフランジを、それぞれ示す。
【0043】
第三の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10dについて、具体的な作製例を説明する。
縦30mm、横100mm、厚さ36μmのステンレスメッシュ(集電電極)の両面に、厚さ300nmになるようにチタンをスパッタリングし、そのメッシュの片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成する。それから0.05
wt %の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのステンレスメッシュを72時間浸漬する。
一方、縦31mm横110mm厚さ40μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦32mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備する。
内径10.4mm×直管部長さ90mmの両端をねじ加工したガラス管の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込む。その際、絶縁シートの端部を対極の内側に折り込まれるようにする。さらに対極の内側にテフロン製の円柱型の絶縁体を挿入する。なおガラス管の片側に集電電極、絶縁シートおよび対極層を寄せ、もう片側に対極層を寄せる。
なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにする。ガラス管の集電電極を寄せた側には、集電電極を内蓋と集電電極押さえで挟み込み、六角ネジで固定する。対極層を寄せた側は、チタン製ねじキャップ(蓋体)で栓をする。ヨウ素 40mM, LiI 500mM,
t-Butylpyridine 580mMのγブチロラクトン溶液からなる電解質を注入後、蓋体の貫通孔にチェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)を、貫通孔の内側から外側へは気体または電解液が流れ外側から内側へは逆流しない向きに差し込み、チェックバルブの頭を木槌で叩き固定する。チェックバルブの部分にパッキンをあてキャップを閉じ、色素増感太陽電池(電池セル)を作製する。
【0044】
以上説明した第三の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10dは、集電電極と内蓋部が直接接触することで、電池内部の抵抗が小さくなり、効率よく発電ができる。なお、色素増感太陽電池の封止構造10dは、以下に説明する本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10bについても同様に適用できる。
【0045】
つぎに、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10の第四の変形例について、
図8を参照して説明する。第四の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10eは、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10とほぼ同様の円筒状の色素増感太陽電池本体と色素増感太陽電池本体の開放端を封止する封止部14i、14jで構成される。
【0046】
図8に示す第四の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10eは、内蓋部62cと透明ガラス管16cの間がパッキン173aでシールされ、内蓋部62dと透明ガラス管16cの間がパッキン178aでシールされ、それぞれのシール部分を外蓋部(図示せず)により締め付けることで封止する点以外は色素増感太陽電池の封止構造10cと同じ構造である。このため、色素増感太陽電池の封止構造10cと重複する説明は省略する。本封止構造10eは、透明ガラス管の封止部分がネジ止め構造でなくフランジであることを特徴とし、封止部分構造が単純なため、低コストで製造できる。本封止構造10eの場合は、封止部分をクランプチェーン等適宜の固定具で締め付けてシールすることが好ましい。この場合、当該固定具は、色素増感太陽電池の封止構造10cにおける外蓋部62a及び62bに相当する。また、クランプチェーン等適宜の固定具で締め付けてシールする代わりに、フランジ16g、16e、60h、60jに穴を開けてボルトで締め付けシールすることもできる。この場合パッキンの代わりにガスケットを使用しシールする。
なお、封止構造10cの突起74dのねじ山74eと同様の突起174dのねじ山274e、およびキャップ76のねじ山76aが設けられる。
図8中、参照符号124aは対極層を、参照符号26g、26hは蓋体を、参照符号174fは突起を、参照符号276はキャップを、参照符号16d、16f、60g、60iはスロープを、参照符号274f、274gは貫通孔を、280はパッキンを、それぞれ示す。
【0047】
第四の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10eについて、具体的な作製例を説明する。
縦50mm、横120mm、厚さ36μmのタングステンメッシュ(集電電極)の片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成する。それから0.05 wt %の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのタングステンメッシュを72時間浸漬する。
一方、縦51mm横110mm厚さ50μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦70mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備する。
内径25mm×直管部長さ100mmの両端がフランジ構造となったガラス管(スプールNW25)の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込む。その際、絶縁シートの端部を対極の内側に折り込まれるようにする。さらに対極の内側にテフロン製の円柱型の絶縁体を挿入する。なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにする。ガラス管の集電電極を寄せた側は、パッキン(シールアウターリングNW25)を付けたガラス管のチタン製フランジ型キャップ(蓋体)を挿入し、ガラス管のフランジ面と蓋体のフランジ面の間にパッキンを挟む込みように合わせる。蓋体とガラス管のスロープに円周方向にをクランプ(クランプチェーン NW25)を掛け、栓をする。更にガラス管に挿入された蓋体に集電電極を集電電極押さえで挟み六角ネジで固定する。対極層を寄せた側は、集電電極を寄せた側と同様に、チェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)の付いたチタン製フランジ型キャップ(蓋体)をガラス管に挿入し、ガラス管のフランジ面と蓋体のフランジ面の間にパッキンを挟む込みように合わせる。蓋体とガラス管のスロープに円周方向をクランプ(クランプチェーン NW25)を掛け、栓をする。この際ガラス管内壁には対極があるため、ガラス内壁と挿入された蓋体の隙間に対極が挟まれるようになり、対極と蓋体とが接触することになる。ヨウ素 40mM, LiI 500mM, t-Butylpyridine
580mMのγブチロラクトン溶液からなる電解質を注入後、キャップを閉じ、色素増感太陽電池(電池セル)を作製する。
【0048】
以上説明した第四の変形例に係る色素増感太陽電池の封止構造10eは、透明ガラス管の封止部分がネジ止め構造でなくフランジであり構造が単純なため、低コストで製造できる。なお、色素増感太陽電池の封止構造10eは、以下に説明する本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10bについても同様に適用できる。
【0049】
つぎに、
図3の封止構造の概略断面図および
図4の封止部品(蓋体部)の組立分解断面図を参照して、本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造を説明する。
図3および
図4に示す本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10bは、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10とほぼ同様の円筒状の色素増感太陽電池本体12aと色素増感太陽電池本体12aの開放端を封止する封止部14dで構成される。
【0050】
色素増感太陽電池本体12aは、透明ガラス管16aの一端部が開放されるとともに他端部が閉塞された、試験管状に形成される。なお、透明ガラス管16aは、拡縮のある透明ガラス管16と異なりストレート管である。ただし、このような形状の違いは、蓋体の形状、寸法との関係で適宜設定できるものである。
色素増感太陽電池本体12aは、対極42が棒状の導電性金属材料で形成されるとともに、対極42の一端部に凹部43が設けられる。凹部43には雌ねじのねじ山45が形成される。色素を吸着した多孔質半導体層18を除く他の電池構成部材は対極42の凹部43の外周まで延出して設けられる。これらの点を除き、色素増感太陽電池本体12aの構成要素は色素増感太陽電池本体12と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0051】
封止部14dは、透明ガラス管16aの、雄ネジのねじ山21bを有する一端部と、封止部品で構成される。
封止部品は、取り出し電極となる、ボルト状部材44および蓋体部46と、シール部材である、複数のパッキン48、50、52、54と、ナット56で構成される。なお、パッキン48、50、54は、絶縁パッキンを用いるが、パッキン52は適宜のパッキン材を用いることができる。
ボルト状部材44は、導電性金属材料で形成され、棒状の本体の軸方向ほぼ中央に円盤鍔状の突出部44aが設けられる。ボルト状部材44の両端外周にはそれぞれ雄ねじのねじ山44b、44cが設けられる。
蓋体部46は、導電性金属材料で形成される一端部が閉塞された円筒部材である。蓋体部46の閉塞された底面には貫通孔46aが形成される。蓋体46の内側には円筒状の突起部46cが設けられる。蓋体部46の側面(外周壁)の内側に雌ねじのねじ山46bが形成される
ナット56は適宜の金属部材等で形成される。参照符号56aはナット56の内側に形成されるねじ山を示す。
【0052】
色素増感太陽電池本体12aへの封止部品の取り付けは、以下の手順で行われる。
パッキン48を介して、ボルト状部材44のねじ山44bの側を対極42の凹部43にねじ込む。これにより、ボルト状部材44は対極42に接触し、ボルト状部材44は対極42に電気的に接続される。
ついで、ボルト状部材44の突出部44aのねじ山44cの面に当接するようにパッキン50をボルト状部材44に嵌めるとともに、蓋体部46の内側にパッキン52を配設した状態で、蓋体部46を透明ガラス管16aに外嵌めする。このとき、蓋体部46の突起部46cが集電電極20等が外周に設けられた対極42を覆うように摺接し、蓋体部46は集電電極20に電気的に接続される。また、ボルト状部材44のねじ山44bの側が蓋体部46の貫通孔46aを挿通する。なお、このとき、ボルト状部材44の突出部44aの外周と蓋体部46の突起部46cの内周の間には十分なクリアランスが設けられているが、両者の接触をより確実に防ぐ観点からは、突出部44aの外周と蓋体部46の突起部46cの内周の間に絶縁スペーサを配設し、あるいはまた、両者が近接する箇所に絶縁被覆を設ける等しておくと、より好ましい。
最後に、パッキン54を介して、ボルト状部材44のねじ山44bの側をナット56でねじ止めする。
これにより、色素増感太陽電池本体12aの開放側端部が確実に密閉されるとともに、ボルト状部材44が対極42の取り出し電極として、および蓋体部46が集電電極20の取り出し電極として、それぞれ機能する。
なお、上記のように、ボルト状部材44および蓋体46は、それぞれ導電性金属部材で形成されるが、これに変えて、これらの部材の本体あるいは外周部を絶縁材料で形成し、例えばその中心に軸方向に貫通して延出する導電性金属部材を設ける構成としてもよい。
【0053】
以上説明した本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10bは、本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池の封止構造10と同様の効果を得ることができる。また、特に、透明ガラス管16aの一端部が閉塞されているため、色素増感太陽電池本体をより確実に密閉することができる。また、2つの取り出し電極が色素増感太陽電池本体の一端側に集積して設けられているため、電極リードを配線するうえで便宜である。
【0054】
つぎに、本実施の形態に係る色素増感太陽電池(光電変換素子)は、上記のいずれかの封止構造を有する。
これにより、上記の封止構造の効果を好適に得ることができる。
【0055】
つぎに、本実施の形態に係る色素増感太陽電池(光電変換素子)モジュールは、上記の色素増感太陽電池の複数個を、取り出し電極に接続される電極リードを介して直列にまたは並列に配列する。
これにより、上記の封止構造の効果を好適に得ることができる。
【0056】
以下に、太陽電池特性を測定した本発明の実施例についてさらに説明する。本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
縦30mm、横100mm、厚さ40μmのステンレスメッシュ(集電電極)の両面に、厚さ300nmになるようにチタンをスパッタリングし、そのメッシュの片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成した。それから0.05wt%の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのステンレスメッシュを72時間浸漬した。
一方、縦31mm横110mm厚さ50μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦50mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備した。
内径10.4mm×直管部長さ90の両端をねじ加工したガラス管の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込んだ。なおガラス管の片側に集電電極、絶縁シートおよび対極層を寄せ、もう片側に対極層を寄せた。
なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにした。ガラス管の集電電極と絶縁層を寄せた側および対極層を寄せた側それぞれに、チタン製ねじキャップ(蓋体)で強く栓をした。ヨウ素 40mM, LiI 500mM, t-Butylpyridine
580mM の3−メトキシプロピオニトリル溶液からなる電解質を注入後、蓋体の貫通孔にチェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)を、貫通孔の内側から外側へは気体または電解液が流れ外側から内側へは逆流しない向きに差し込み、チェックバルブの頭を木槌で叩き固定する。チェックバルブの部分にパッキンをあてキャップを閉じ、色素増感太陽電池Aを作製した。これを23±2℃の部屋で保管した。
作製した色素増感太陽電池Aに、ソーラーシミュレータを用いてAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を照射し、太陽電池特性を測定した。保管1ヶ月後の変換効率は4.2%であった。また、保管5ヶ月後の変換効率は4.0%であった。
【0058】
(実施例2)
縦30mm、横100mm、厚さ36μmのタングステンメッシュ(集電電極)の片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成した。それから0.05 wt %の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのタングステンメッシュを72時間浸漬した。
一方、縦31mm横110mm厚さ50μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦50mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備した。
内径10.4mm×直管部長さ90mmの両端をねじ加工したガラス管の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込んだ。その際、絶縁シートの端部を対極の内側に折り込まれるようにした。さらに対極の内側にテフロン製の円柱型の絶縁体を挿入した。なおガラス管の片側に集電電極、絶縁シートおよび対極層を寄せ、もう片側に対極層を寄せた。
なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにした。ガラス管の集電電極を寄せた側には、集電電極を内蓋と集電電極押さえで挟み込み、六角ネジで固定した。対極層を寄せた側は、チタン製ねじキャップ(蓋体)で強く栓をした。ヨウ素 40mM, LiI 500mM, t-Butylpyridine
580mM の3−メトキシプロピオニトリル溶液からなる電解質を注入後、蓋体の貫通孔にチェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)を、貫通孔の内側から外側へは気体または電解液が流れ外側から内側へは逆流しない向きに差し込み、チェックバルブの頭を木槌で叩き固定する。チェックバルブの部分にパッキンをあてキャップを閉じ、色素増感太陽電池(
図7中、矢印Bで示す。)を作製した。これを23±2℃の部屋で保管した。
作製した色素増感太陽電池Bに、ソーラーシミュレータを用いてAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を照射し、太陽電池特性を測定した。保管1ヶ月後の変換効率は4.4%であった。また、保管5ヶ月後の変換効率の変換効率は4.5%であった。
【0059】
(実施例3)
縦50mm、横120mm、厚さ36μmのタングステンメッシュ(集電電極)の片側にチタニアペーストを乾燥膜厚が15μmの厚みになるように塗布し、500℃で30分焼成してチタニア(多孔質半導体層)を形成した。それから0.05 wt %の色素溶液(ブラックダイ、ソラロニクス社製 アセトニトリル:tブチルアルコール=1:1)に上記のチタニア付きのタングステンメッシュを72時間浸漬した。
一方、縦51mm横110mm厚さ50μmのチタン箔(純度99.5%以上)を白金でスパッタリングした対極と、縦70mm横110mm厚さ32μmの絶縁シート(絶縁層)を準備した。
内径25mm×直管部長さ100mmの両端がフランジ構造となったガラス管(スプールNW25)の内部に対極にチタニアのついた側を外側に向けて丸めた集電電極を差し込み、さらにその集電電極の内側に絶縁シートを丸めて管状にしてゆっくりと差し込み、その内側に対極を丸めて差し込んだ。その際、絶縁シートの端部を対極の内側に折り込まれるようにした。さらに対極の内側にテフロン製の円柱型の絶縁体を挿入した。なお集電電極と絶縁層を寄せた側には絶縁パッキンを当て、対極層と集電電極が触れて短絡しないようにした。ガラス管の集電電極を寄せた側は、パッキン(シールアウターリングNW25)を付けたガラス管のチタン製フランジ型キャップ(蓋体)を挿入し、ガラス管のフランジ面と蓋体のフランジ面の間にパッキンを挟む込みように合わせた。蓋体とガラス管のスロープに、円周方向にクランプ(クランプチェーン NW25)を掛け、栓をした。更にガラス管に挿入された蓋体に集電電極を集電電極押さえで挟み六角ネジで固定した。対極層を寄せた側は、集電電極を寄せた側と同様に、チタン製フランジ型キャップ(蓋体)をガラス管に挿入し、ガラス管のフランジ面と蓋体のフランジ面の間にパッキンを挟む込みように合わせた。蓋体とガラス管のスロープに円周方向をクランプ(クランプチェーン NW25)を掛け、栓をした。この際ガラス管内壁には対極があるため、ガラス内壁と挿入された蓋体の隙間に対極が挟まれるようになり、対極と蓋体とが接触することになる。ヨウ素 40mM, LiI 500mM, t-Butylpyridine
580mMのγブチロラクトン溶液からなる電解質を注入後、蓋体の貫通孔にチェックバルブ(Lee社製CCRM2550269S)を、貫通孔の内側から外側へは気体または電解液が流れ外側から内側へは逆流しない向きに差し込み、チェックバルブの頭を木槌で叩き固定する。チェックバルブの部分にパッキンをあてキャップを閉じ、色素増感太陽電池Cを作製した。これを23±2℃の部屋で保管した。
作製した色素増感太陽電池Cに、ソーラーシミュレータを用いてAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を照射し、太陽電池特性を測定したところ、保管1ヶ月後のの変換効率は3.7%であった。また、保管5ヶ月後の変換効率は3.5%であった。