【実施例】
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
製造例1(焼き菓子の製造)
鶏卵140重量部、砂糖100重量部、乳化剤25重量部、水85重量部をよく混合攪拌し、これに薄力粉150重量部を加えて混合し、水ダネ生地を得た。これを金属製の型に流し込み、オーブンで180℃、30分焼成後、さらに100℃で30分乾燥して、55mm×15mm×15mmの焼き菓子を得た。
【0027】
実施例1
(1次ホワイトチョコレート生地1の調製)
全脂粉乳、粉糖、ココアバター、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルを表1に示す配合で常法に従って混合し、レファイナーで粉砕し、無脂乳固形分が18重量%であり、油分が50重量%である1次ホワイトチョコレート生地1を調製した。該生地粒子のメディアン径及び粘度は、それぞれ8.1μm及び3,750cpsであった。
【0028】
【表1】
【0029】
(2次ホワイトチョコレート生地1の調製)
1次ホワイトチョコレート生地1をビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズの粒径;0.5mm)にポンプで送り、品温が62.2〜63.2℃で、回転速度が、1,000rpmの条件下で、粉砕室の中を通過させた。この操作を連続して3回繰り返し、2次ホワイトチョコレート生地1を得た。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ3.1μm及び10,000cpsであった。
【0030】
(含浸食品1の製造)
30〜35℃にテンパリングした2次ホワイトチョコレート生地1(100重量部)に、ボブスター(商品名:不二製油社製、BOB粉末50重量%と粉糖50重量%の混合物)3重量部を添加混合して、品温を30〜35℃に保持した状態で、製造例1の焼き菓子を前記BOB入り2次ホワイトチョコレート生地1に埋没させ、これを密閉容器内にいれ、10.7kPaになるまで減圧処理を施した後、直ちに常圧に戻した。その後、該ホワイトチョコレート生地から該焼き菓子を取り出し、該焼き菓子の表面に付着したホワイトチョコレート生地をブロアー(無騒音形送排風機 西村電機株式会社)により除去した後、13℃で冷却することでホワイトチョコレート生地を固化させ、ホワイトチョコレートが内部深くまで十分に含浸した含浸食品1を得た。また、含浸食品1は、ホワイトチョコレートの風味が強すぎず、風味・食感に優れた焼き菓子であった。
【0031】
実施例2
(1次ホワイトチョコレート生地2の調製)
脱脂粉乳、粉糖、ココアバター、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルを表2に示す配合で常法に従って混合し、レファイナーで粉砕し、無脂固形成分が15重量%であり、油分が54重量%である1次ホワイトチョコレート生地2を調製した。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、9.2μm及び3,900cpsであった。
【0032】
【表2】
【0033】
(2次ホワイトチョコレート生地2の調製)
1次ホワイトチョコレート生地2を実施例1と同様にビーズミルで2次粉砕処理することにより、2次ホワイトチョコレート生地2を得た。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、4.2μm及び12,000cpsであった。
【0034】
(含浸食品2の製造)
2次ホワイトチョコレート生地1の代わりに2次ホワイトチョコレート生地2を用いて、実施例1と同様の含浸方法により、製造例1の焼き菓子に含浸させたところ、ホワイトチョコレートが内部深くまで十分に含浸した含浸食品2を得ることができた。
【0035】
実施例3
(1次ホワイトチョコレート生地3の調製)
チーズパウダー、ココアバター、レシチンを表3に示す配合で常法に従って混合し、アトライタ型ボールミル(三井三池製作所製、ボール径;9.5mm)で40分粉砕処理し、無脂乳固形分が25重量%であり、油分が74重量%である1次ホワイトチョコレート生地3を調製した。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、15.5μm及び2,500cpsであった。
【0036】
【表3】
【0037】
(2次ホワイトチョコレート生地3の調製)
1次ホワイトチョコレート生地3をビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズ径;0.5mm)にポンプで送り、品温が、44.4〜49.2℃、回転速度が1,500rpmの条件で、1回通過させ、2次ホワイトチョコレート生地3を得た。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、5.2μm及び5,000cpsであった。
【0038】
(含浸食品3の製造)
2次ホワイトチョコレート生地1の代わりに2次ホワイトチョコレート生地3を用いて、実施例1と同様の含浸方法により、製造例1の焼き菓子に含浸させたところ、油分と固形分とは分離せずに、チーズペーストが内部深くまで十分に含浸した含浸食品3を得ることができた。
【0039】
比較例1(比較含浸食品1の製造)
30〜35℃にテンパリングした1次ホワイトチョコレート生地1(100重量部)にボブスター(商品名:不二製油社製、BOB粉末50重量%と粉糖50重量%の混合物)3重量部を添加混合して、30〜35℃を保持した状態で、製造例1の焼き菓子をBOB入り1次ホワイトチョコレート生地1に埋没させ、これを密閉容器内にいれ、10.7kPaになるまで減圧処理を施した後、直ちに常圧に戻した。白色固形分が焼き菓子の表面に凝集し、油分のみが含浸した比較含浸食品1を得た。従って、ホワイトチョコレートが含浸した含浸食品を得ることはできなかった。
【0040】
比較例2(比較含浸食品2の製造)
実施例2で得られた1次ホワイトチョコレート生地2を用いて比較例1と同様な含浸処理を施したが、白色固形分が焼き菓子の表面に凝集し、油分のみが含浸した比較含浸食品2を得た。従って、ホワイトチョコレートが含浸した含浸食品を得ることはできなかった。
【0041】
比較例3(比較含浸食品3の製造)
実施例3で得られた1次ホワイトチョコレート生地3を用いて比較例1と同様な含浸処理を施したが、焼き菓子の表面には固形分が凝集し、油分のみが含浸した比較含浸食品3を得た。従って、ホワイトチョコレートが含浸した含浸食品を得ることはできなかった。
【0042】
試験例1
油分の量的な変化による含浸への影響を調べるために以下の試験をした。
(油分40重量%の1次ホワイトチョコレート生地と2次ホワイトチョコレート生地の調製)
全脂粉乳、粉糖、ココアバター、レシチンを表4に示す配合で混合し、レファイナーで粉砕し、無脂乳固形分が22重量%であり、油分が40重量%である1次ホワイトチョコレート生地4(以下1次生地4と表す)を調製した。該生地のメディアン径は10.3μmであった。
更に、ビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズの粒径;2.0mm)にポンプで1次生地4を送り、品温が60〜62℃で、回転速度が、1,000rpmの条件下で、粉砕室の中を1回通過させ、2次ホワイトチョコレート生地4(以下2次生地4と表す)を得た。該生地のメディアン径は4.6μmであった。
【0043】
【表4】
【0044】
(油分40重量%以上の1次ホワイトチョコレート生地の調製)
レファイナー処理のみで得られた油分40重量%の1次生地4(100重量部)に、8、18、32、48、70、99重量部のココアバターをそれぞれ追加混合して、それぞれの油分が45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%の1次ホワイトチョコレート生地を調製した。得られた1次ホワイトチョコレート生地をそれぞれ、1次生地5、6、7、8、9、10とする。これらの1次ホワイトチョコレート生地のメディアン径は全て10.3μmであった。
【0045】
(油分40重量%以上の2次ホワイトチョコレート生地の調製)
油分40重量%でビーズの粒径が2mmのビーズミルを用いて処理して得られた2次生地4(100重量部)に、8、18、32、48、70、99重量部のココアバターをそれぞれ追加混合して、それぞれの油分が、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%の2次ホワイトチョコレート生地を調製した。得られた2次ホワイトチョコレート生地をそれぞれ、2次生地5、6、7、8、9、10とする。これらの2次ホワイトチョコレート生地のメディアン径は全て4.6μmであった。
【0046】
(油分の量的割合が、含浸に与える影響を調べる試験)
上記1次ホワイトチョコレート生地と2次ホワイトチョコレート生地を2次ホワイトチョコレート生地1の代わりに用いて、実施例1と同様の含浸方法で製造例1の焼き菓子に含浸を試みた。その結果を表5に示した。「良好」はホワイトチョコレートが内部深くまで、十分に含浸した含浸食品が得られたことを示し、「不良」は油分のみが含浸し、焼き菓子の表面に白い乳固形分が凝集し、含浸できなかったことを示す。表5から、ホワイトチョコレート生地の油分が40重量%から55重量%までではレファイナー処理後、更なるビーズミルによる2次粉砕処理をしないとホワイトチョコレート生地を含浸させることはできないが、該生地の油分が60重量%以上では無脂乳固形分が15重量%未満となり、レファイナー処理のみのでも含浸させることができた。
【0047】
【表5】
【0048】
また、1次生地4及び2次生地4を含浸させる前後で焼き菓子の重量を測定し、どれだけホワイトチョコレート生地が含浸したかを調べた。なお、含浸後の焼き菓子は、表面に付着しているホワイトチョコレート生地をティシュペーパーで拭き取った後に重量を測定した。結果を表6に示す。1次生地4は1.5gしか含浸しなかったのに対して、2次生地4は10.4g(約7倍)含浸した。
【0049】
【表6】
【0050】
実施例4
(1次ホワイトチョコレート生地11の調製)
全脂粉乳、粉糖、ココアバター、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルを表7に示す配合で常法に従って混合し、アトライタ型ボールミル(三井三池製作所製、ボール径;9.5mm)で40分粉砕処理し、無脂乳固形分が18重量%であり、油分が50重量%である1次ホワイトチョコレート生地11を調製した。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、15.5μm及び2,500cpsであった。
【0051】
【表7】
【0052】
(2次ホワイトチョコレート生地11の調製)
1次ホワイトチョコレート生地11をビーズミル(OBミル;商品名、ターボ工業株式会社製、ビーズ径;0.5mm)にポンプで送り、品温が、60.5〜62.3℃、回転速度が1,500rpmの条件で、1回通過させ、2次ホワイトチョコレート生地11を得た。該生地粒子のメディアン径及び粘度はそれぞれ、5.2μm及び5,000cpsであった。
【0053】
(含浸食品4の製造)
2次ホワイトチョコレート生地1の代わりに2次ホワイトチョコレート生地11を用いて、実施例1と同様の含浸方法により、製造例1の焼き菓子に含浸させたところ、油分と固形分とが分離せずに、ホワイトチョコレートが内部深くまで十分に含浸した含浸食品4を得ることができた。
【0054】
試験例2(粒度分布の比較)
1次ホワイトチョコレート生地と2次ホワイトチョコレート生地について、実施例1と実施例3についての各生地の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所)で測定した。粒度分布を
図1及び
図2に示した。図面の縦軸は、各粒子径の体積分布が全体の体積に占める割合を示す相対粒子量を%で示し、横軸は粒子径をμmで示した。
図1では、1次ホワイトチョコレート生地1では3μmと14μm付近の2つのピークが見られるのに対し、ビーズミルで3回通して調製された2次ホワイトチョコレート生地1では3μm付近の1つの鋭いピークを示す単分散となった。なお、1次ホワイトチョコレート生地1のメディアン径とモード径はそれぞれ、8.1μmと14.0μmであるのに対し、2次ホワイトチョコレート生地1のメディアン径とモード径はそれぞれ、3.1μmと3.3μmである。また、
図2では、1次ホワイトチョコレート生地3においては20μmのピークと3μm及び9μm付近に肩が認められるが、2次ホワイトチョコレート生地3においては5.5μm付近の1つの鋭いピークを示す単分散となった。なお、1次ホワイトチョコレート生地3のメディアン径とモード径はそれぞれ、15.5μmと21.2μmであるのに対し、2次ホワイトチョコレート生地3のメディアン径とモード径はそれぞれ、5.2μmと6.1μmである。