(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2つ以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、
前記被検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2つ以上の色信号を取得する画像信号取得手段と、
前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成する多色画像生成手段と、
前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成する血管抽出画像生成手段とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
各演算値テーブルには、前記粘膜と前記第1層血管との境界を示す演算値が第1境界値として記憶され、前記粘膜と前記第2層血管との境界を示す演算値が第2境界値として記憶され、前記第1及び第2境界値は、各演算値テーブル毎に異なっていることを特徴とする請求項2記載の内視鏡システム。
前記第1層血管抽出画像を用いて、前記第1層血管が強調または抑制された第1層血管強調・抑制画像を生成し、または前記第2層血管抽出画像を用いて、前記第2層血管が強調または抑制された第2層血管強調・抑制画像を生成する血管強調・抑制画像生成手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1記載の内視鏡システム。
前記第1層血管強調・抑制画像または前記第2層血管強調・抑制画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項4記載の内視鏡システム。
前記照明手段は、青色の励起光とこの青色励起光により波長変換部材で波長変換される蛍光を含む第1照明光と、中心波長が前記励起光よりも短波長側に波長域を有する第2照明光を前記被検体に向けて同時照射し、
前記画像信号取得手段は、前記第1照明光及び第2照明光が同時照射された被検体を、カラーの撮像素子で撮像することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
前記波長変換部材は、前記第1及び第2照明光を被検体に向けて照射する内視鏡とは別体の光源装置の内部に設けられることを特徴とする請求項6記載の内視鏡システム。
互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、前記被検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2以上の色信号を取得する電子内視鏡とを有する内視鏡システムのプロセッサ装置において、
前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成する多色画像生成手段と、
前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成する血管抽出画像生成手段とを備えることを特徴とする内視鏡システムのプロセッサ装置。
互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、前記被検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2以上の色信号を取得する電子内視鏡とを有する内視鏡システム内で行われる画像処理方法において、
前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成し、
前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする画像処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年においては、通常観察及び特殊観察に用いる照明光源として、レーザー光源などの半導体光源が用いられつつある。例えば、通常観察においては、中心波長405nmの第1青色レーザー光に加えて、中心波長445nmの第2青色レーザー光を蛍光体に照射することで励起発光する蛍光(緑色〜赤色)を、被検体に照明することが行われている。また、特殊観察においては、第1及び第2青色レーザ光の光量比を調整することによって、照明光の各色の成分の比率を変化させることも行われている。生体組織への照明光の深達度は波長依存性を有するため、明瞭化する部位を変更することができる。例えば、光量比の調整によって照明光の青色成分を緑色成分よりも大きくした場合には、表層血管が明瞭化し、反対に緑色成分を青色成分よりも大きくした場合には、中深層血管を明瞭化することができる。
【0007】
このように光量比の調整により、着目する血管を明瞭化することができるが、着目しない血管であっても、目立ちはしないものの、わずかに表示されている。このように僅かに表示される血管は、着目する血管の視認性を低下させることとなる。したがって、上記のように、着目する血管のみを判別して抽出する必要がある。しかしながら、光量比を調整した場合には、画像上の色相が変化してしまう。そのため、特許文献1のような色相に基づく血管判別方法では、着目する血管を確実に抽出することはできない。
【0008】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたもので、被検体に照明する照明光の青色成分と緑色成分の割合が変化したとしても、深さが異なる複数種類の血管を確実に抽出することができる内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ装置、及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2つ以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、前記被
検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2つ以上の色信号を取得する画像信号取得手段と、前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成する多色画像生成手段と、前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成する血管抽出画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
前記光量比設定部は、予め定められた複数の光量比の中からいずれかの光量比を設定し、前記血管抽出画像生成手段は、前記複数の光量比ごとに設けられ、前記被検体上の粘膜、前記第1層血管、及び前記第2層血管と演算値との相関関係を記憶した複数の演算値テーブルと、前記光量比設定部で設定された光量比に対応する演算値テーブルを用いた血管抽出処理を行うことによって、前記第1層血管抽出画像、または前記第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成する血管抽出画像生成部とを備えることが好ましい。
【0011】
各演算値テーブルには、前記粘膜と前記第1層血管との境界を示す演算値が第1境界値として記憶され、前記粘膜と前記第2層血管との境界を示す演算値が第2境界値として記憶され、前記第1及び第2境界値は、各演算値テーブル毎に異なっていることが好ましい。
【0012】
前記第1層血管抽出画像を用いて、前記第1層血管が強調または抑制された第1層血管強調・抑制画像を生成し、または前記第2層血管抽出画像を用いて、前記第2層血管が強調または抑制された第2層血管強調・抑制画像を生成する血管強調・抑制画像生成手段を備えることが好ましい。前記第1層血管強調・抑制画像または前記第2層血管強調・抑制画像の少なくともいずれか一方を表示する表示手段を備えることが好ましい。
【0013】
前記照明手段は、青色の励起光とこの青色励起光により波長変換部材で波長変換される蛍光を含む第1照明光と、中心波長が前記励起光よりも短波長側に波長域を有する第2照明光を前記被検体に向けて同時照射し、前記画像信号取得手段は、前記第1照明光及び第2照明光が同時照射された被検体を、カラーの撮像素子で撮像することが好ましい。
【0014】
前記波長変換部材は、前記第1及び第2照明光を被検体に向けて照射する内視鏡とは別体の光源装置の内部に設けられることが好ましい。前記波長変換部材は、前記第1及び第2照明光を被検体に向けて照射する内視鏡の先端部に設けられることが好ましい。前記励起光の中心波長は445nmであり、前記第2照明光の中心波長は405nmであることが好ましい。前記
第1照明光は420nm付近を中心とする照明光であり、前記
第2照明光は530nm付近を中心とする照明光であることが好ましい。前記色信号は、青色成分の情報が含まれる青色信号と緑色成分の情報が含まれる緑色信号を有し、前記多色画像は、各画素毎に青色信号を緑色信号で除することで得られるB/G比から構成されるB/G画像であることが好ましい。
【0015】
本発明は、互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、前記被
検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2以上の色信号を取得する電子内視鏡とを有する内視鏡システムのプロセッサ装置において、前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成する多色画像生成手段と、前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成する血管抽出画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明は、互いに波長域が異なる第1及び第2照明光を含む2以上の照明光を発する発光部と、前記第1及び第2照明光の光量比を設定する光量比設定部とを有し、前記光量比設定部で設定された光量比で、前記第1及び第2照明光を被検体に照射する照明手段と、前記被
検体からの戻り光を撮像素子で受光して撮像することによって、互いに異なる色情報を持つ2以上の色信号を取得する電子内視鏡とを有する内視鏡システム内で行われる画像処理方法において、前記2以上の色信号を用いて各画素毎に所定の演算をすることで得られる演算値から構成される多色画像を生成し、前記多色画像に対して、前記光量比によって異なる血管抽出処理を行うことによって、前記多色画像から特定深さにある第1層血管が抽出された第1層血管抽出画像、または前記多色画像から前記第1層血管よりも深い位置にある第2層血管が抽出された第2層血管抽出画像の少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被検体に照明する第1及び第2照明光の光量比によって異なる血管抽出処理を行っているため、光量比が変化したとしても、深さが異なる複数種類の血管を確実に抽出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、電子内視鏡システム10は、被検体内を撮像する電子内視鏡11と、撮像により得られた信号に基づいて内視鏡画像を生成するプロセッサ装置12と、被検体を照明する光を発生する光源装置13と、内視鏡画像を表示するモニタ14とを備えている。電子内視鏡11は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
【0020】
この電子内視鏡システム10は、被検体上の表層血管を強調・抑制した表層血管強調・抑制画像と中深層血管を強調・抑制した中深層血管強調・抑制画像を生成する機能を備えている。いずれの血管強調・抑制画像を生成するかは、表層・中深層選択SW28(
図2参照)の操作によって決められる。また、電子内視鏡システム10は、青色成分と緑色成分が略同じ照明光で被検体内の観察を行う第1観察モード、青色成分が緑色成分よりも大きい照明光で被検体内の観察を行う第2観察モード、緑色成分が青色成分よりも大きい照明光で被検体内の観察を行う第3観察モードの3つの観察モードを備えている。これら第1〜第3観察モードは、観察モード選択SW29(
図2参照)により切り替えられる。
【0021】
挿入部16の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部19が形成されている。湾曲部19は、操作部のアングルノブ21を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部19の先端には、体腔内撮影用の光学系等を内蔵した先端部16aが設けられている。先端部16aは、湾曲部19の湾曲動作によって体腔内の所望の方向に向けられる。
【0022】
ユニバーサルコード18には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ24が取り付けられている。コネクタ24は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ24を介して、プロセッサ装置12および光源装置13に着脱自在に接続される。
【0023】
図2に示すように、光源装置13は、広帯域光源30と、青色狭帯域光源33と、カプラー36と、光源制御部37とを備えている。広帯域光源30は、中心波長445nmの励起光を発する励起光光源30aと、この励起光光源30aからの励起光によって緑色〜赤色の蛍光を励起発光する蛍光体30bとを備えている。励起光光源30aは、LED(light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの半導体光源で構成される。なお、励起光光源30aは、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが使用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオード等を用いることもできる。
【0024】
蛍光体30bは、励起光の一部を吸収して緑色〜赤色に励起発光する複数種の蛍光物質(例えばYAG系蛍光物質、或いはBAM(BaMgAl
10O
17)等の蛍光物質)を含んで構成される。したがって、蛍光体30bから発せられる緑色〜赤色の励起発光光(蛍光)と、蛍光体30bにより吸収されず透過した励起光とが合波することにより、
図3に示すような発光スペクトルを有する白色光BB(疑似白色光)が生成される。生成された白色光BBは、広帯域用光ファイバ35に入射する。
【0025】
なお、蛍光体30bは略直方体形状を有していることが好ましい。この場合、蛍光体30bは、蛍光体物質をバインダで略直方体状に固めて形成してもよく、また、無機ガラスなどの樹脂に蛍光体物質を混合したものを略直方体状に形成してもよい。この蛍光体30bは、商品名としてマイクロホワイト(登録商標)(Micro White(MW))とも呼ばれている。
【0026】
青色狭帯域光源33はLED(light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などであり、
図3に示すように、波長が400±10nm(中心波長405nm)に制限された青色狭帯域光BNを発生する。青色狭帯域光源33から発せられた青色狭帯域光BNは、この狭帯域用光ファイバ35に入射する。
【0027】
カプラー36は、電子内視鏡11内のライトガイド43と、広帯域用光ファイバ34及び狭帯域用光ファイバ35とを連結する。これにより、白色光BB及び青色狭帯域BNの両方が、ライトガイド43に同時に入射する。
【0028】
光源制御部37は、励起光光源30a及び青色狭帯域光源33の光量を制御することにより、白色光BBと青色狭帯域光BNの光量比を一定に保持する。光量比は光量比設定部37aで設定される。光量比設定部37aにおいては、第1〜第3観察モード毎に予め設定されており、観察モード選択SW29で選択された観察モードに対応する光量比に設定する。第1観察モード時の第1光量比は、被検体内に照射される照明光のうち青色成分と緑色成分が略同じとなるように、設定されている。この第1光量比で被検体内を照明した場合には、被検体内を全体的に明るくできるとともに、表層血管などの表層に分布する部位を明瞭化することができる。
【0029】
第2観察モード時の第2光量比は、照明光のうち青色成分が緑色成分よりも大きくなるように、設定されている。この第2光量比で被検体内を照明した場合には、表層血管と中深層血管の両方を明瞭化することができる。また、第3観察モード時の第3光量比は、照明光のうち緑色成分が青色成分よりも大きくなるように、設定されている。この第3光量比で被検体内を照明した場合には、被検体内を全体的に明るくすることができる。なお、第3光量比に設定する場合には、青色狭帯域光BNの光量は、最大光量の10%程度にすることが好ましい。
【0030】
電子内視鏡11は、ライトガイド43、CCD44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46を備えている。ライトガイド43は大口径光ファイバ、バンドルファイバなどであり、入射端が光源装置内のカプラー36に挿入されており、出射端が先端部16aに設けられた照射レンズ48に向けられている。ライトガイド43内で導光された白色光BB及び青色狭帯域光BNは、照射レンズ48及び先端部16aの端面に取り付けられた照明窓49を通して、被検体内に照射される。被検体内で反射した白色光BB及び青色狭帯域光BNは、先端部16aの端面に取り付けられた観察窓50を通して、集光レンズ51に入射する。
【0031】
CCD44は、集光レンズ51からの光を撮像面44aで受光し、受光した光を光電変換して信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷を撮像信号として読み出す。読み出された撮像信号は、AFE45に送られる。また、CCD44はカラーCCDであり、撮像面44aには、B色、G色、R色のいずれかのカラーフィルターが設けられたB画素、G画素、R画素の3色の画素が配列されている。なお、CCD44は、B画素、G画素、R画素の比率が1:2:1のベイヤー配列にすることが好ましい。
【0032】
B色、G色、R色のカラーフィルターは、
図5に示すような透過分布52,53,54を有している。波長領域が約400〜700nmである白色光BBのみがCCD44に入射した場合には、B色、G色、R色のカラーフィルターは、白色光BBのうちそれぞれの透過分布52,53,54に応じた波長の光を透過する。ここで、R画素で光電変換された信号を赤色信号R、G画素で光電変換された信号を緑色信号G、B画素で光電変換された信号を青色信号Bとする。
【0033】
AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、CCD44からの撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD44の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
【0034】
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラー59に接続されており、コントローラー59から指示がなされたときにCCD44に対して駆動信号を送る。CCD44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで撮像信号をAFE45に出力する。
【0035】
図2に示すように、プロセッサ装置12は、ベース画像生成部55と、フレームメモリ56と、画像処理部57と、表示制御回路58を備えており、コントローラー59が各部を制御している。ベース画像生成部55は、電子内視鏡のAFE45から出力される青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rに各種信号処理を施すことによって、ベース画像を作成する。作成されたベース画像はフレームメモリ56に一時的に記憶される。また、AFE45から出力される青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rも、フレームメモリ56に記憶される。なお、ベース画像は、酸素飽和度などの血管機能情報を疑似カラー化した疑似カラー画像などであってもよい。
【0036】
画像処理部57は、B/G画像生成部61と、血管抽出画像生成部63と、血管強調・抑制画像生成部65とを備えている。B/G画像生成部61は、青色信号B及び緑色信号G間の輝度比B/G(B/G比)から構成されるB/G画像を生成する。ここで、B/G比は、青色信号B及び緑色信号G間で、同じ位置にある画素の輝度比を示している。
【0037】
血管抽出画像生成部63は、B/G画像に基づいて、表層血管を抽出した表層血管抽出画像又は中深層血管を抽出した中深層血管抽出画像を生成する。これら血管抽出画像の生成方法は、第1〜第3観察モードのいずれに設定されているかによって、異なっている。第1観察モードに設定されている場合には、この第1観察モード時の第1光量比に適した第1光量比用テーブル63aを用いて、表層血管抽出画像または中深層血管抽出画像を生成する。第1光量比用テーブル63aには、
図5に示すような、輝度比B/Gと血管深さとの相関関係が記憶されている。この相関関係は、血管深さが大きくなるほど輝度比B/G(B/G比)も大きくなる比例関係となっている。
【0038】
第1観察モードにおいては、照明光のうち青色成分(B成分)と緑色成分(G成分)とが略同じである。そのため、
図6に示すように、血管が無い粘膜に照明光が照射された場合、その戻り光のB成分、G成分の比率は略同じである。これは、粘膜では大きな光の吸収がないためである。このときの平均的なB/G比をPとすると、粘膜が示すB/G比は、Ls〜P〜Ldの一定範囲に収まっている。ここで、Lsは、第1観察モードにおける粘膜のB/G比の下限値であり、Ldは第1観察モードにおける粘膜のB/G比の上限値である。
【0039】
また、照明光が表層血管に照射された場合には、照明光のB成分が表層血管で大きく吸収される一方で、G成分はほとんど吸収されない。そのため、B/G比は、ほとんどがLs以下となる。したがって、B/G比がLs以下の画素には、表層血管が写し出されていることが分かる(即ちLsは粘膜と表層血管の境界値)。一方、照明光が中深層血管に照射された場合には、照明光のG成分が中深層血管で大きく吸収される一方で、B成分はほとんど吸収されない。そのため、B/G比は、ほとんどがLd以上となる。したがって、B/G比がLd以上の画素に、中深層血管が写し出されていることが分かる(即ちLdは粘膜と中深層血管の境界値)。
【0040】
したがって、第1観察モードにおいて、表層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLs以下の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。一方、中深層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLd以上の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。
【0041】
また、第2観察モードに設定されている場合には、この第2観察モード時の第2光量比に適した第2光量比用テーブル63bを用いて、表層血管抽出画像または中深層血管抽出画像を生成する。第2光量比用テーブル63bは、上記第1光量比用テーブル63aと同様、
図7に示すように、血管深さが大きくなるほど輝度比B/G(B/G比)も大きくなる比例関係となっている。第2観察モードにおいては、
図8に示すように、照明光のうち青色波長成分(B成分)が緑色波長成分(G成分)よりも大きいため、B/G比は全体的に高くなる。これに伴って、粘膜と表層血管の境界値Ls´は、第1観察モード時の境界値Lsよりも大きくなり、粘膜と中深層血管の境界値Ld´は、第1観察モード時の境界値Ldよりも高くなる。
【0042】
したがって、第2観察モードにおいて、表層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLs´以下の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。一方、中深層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLd´以上の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。
【0043】
また、第3観察モードに設定されている場合には、この第3観察モード時の第3光量比に適した第3光量比用テーブル63cを用いて、表層血管抽出画像または中深層血管抽出画像を生成する。第3光量比用テーブル63cは、上記第1光量比用テーブル63aと同様、
図9に示すように、血管深さが大きくなるほど輝度比B/G(B/G比)も大きくなる比例関係となっている。第3観察モードにおいては、
図10に示すように、照明光のうち緑色波長成分(G成分)は青色波長成分(B成分)よりも大きいため、B/G比は全体的に低くなる。これに伴って、粘膜と表層血管の境界値Ls´´は、第1観察モード時の境界値Lsよりも小さくなり、粘膜と中深層血管の境界値Ld´´は、第1観察モード時の境界値Ldよりも小さくなる。
【0044】
したがって、第3観察モードにおいて、表層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLs´´以下の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。一方、中深層血管抽出画像を生成する場合には、B/G画像において、B/G比がLd´´以上の画素の画素値のみを抽出し、それ以外の画素の画素値を0とする二値化処理を行う。
【0045】
血管強調・抑制画像生成部65は、表層血管抽出画像とベース画像とを合成することによって、表層血管が強調(または抑制)された表層血管強調・抑制画像を生成し、また、中深層血管抽出画像とベース画像とを合成することによって、中深層血管が強調(または抑制)された中深層血管強調・抑制画像を生成する。ここで、血管を強調する場合には、表層血管抽出画像(又は中深層血管抽出画像)における各画素の画素値を数倍増加させたものを、ベース画像の各画素の画素値に足し合わせる。また、血管を抑制する場合には、表層血管抽出画像(又は中深層血管抽出画像)における各画素の画素値を数倍増加させたものを、ベース画像の各画素の画素値から減算する。
【0046】
表示制御回路58は、血管強調・抑制画像をモニタ14に表示する。例えば、
図11に示すように、B/G画像から抽出した表層血管71を血管強調・抑制画像上で強調している場合には、表層血管71は中深層血管72よりも目立つため、表層血管71のみに着目した診断が可能となる。反対に、
図12に示すように、B/G画像から抽出した中深層血管72を血管強調・抑制画像上で強調している場合には、中深層血管72は表層血管71よりも目立つため、中深層血管72のみに着目した診断が可能となる。
【0047】
以上のように、B/G画像から着目する血管の画像のみを抽出し、その抽出した血管画像を用いて血管強調・抑制画像を生成することによって、血管以外の部分、例えば観察部位の凹凸などの情報を消すことなく、着目する血管部分のみを確実に強調・抑制処理することができる。これにより、血管に加え観察部位の凹凸など診断に役立つ情報を数多くユーザーに提供することができるため、診断能を向上させることができる。また、血管を表層と中深層に分けて別々に抽出し、それぞれを個別に強調・抑制していることから、表層血管に着目した診断や中深層血管に着目した診断が可能となる。
【0048】
次に、本発明の作用について、
図13に示すフローチャートを用いて説明する。まず、第1〜第3観察モードの中から、所定の観察モードに設定する。これにより、その所定の観察モードに対応する光量比(白色光BBと青色狭帯域光BNの光量比)が設定される。光源装置13から発せられる白色光BB及び青色狭帯域光BNは、ライトガイド43を介して、被検体内に同時に照射される白色光BB及び青色狭帯域光BNは、設定された光量比となるように、光量制御されている。被検体からの反射光は、カラーのCCD44により撮像される。この撮像により得られる青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rから、ベース画像を生成する。生成されたベース画像と青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rは、フレームメモリ56に一時的に記憶される。
【0049】
次に、B/G画像生成部61において、青色信号B及び緑色信号G間の輝度比B/GからなるB/G画像を生成する。このB/G画像から表層血管を抽出した表層血管抽出画像が生成され、また、B/G画像から中深層血管を抽出した中深層血管抽出画像が生成される。これら血管抽出には、設定した光量比に対応する光量比用テーブルが用いられる。血管抽出画像が生成されたら、表層血管抽出画像(または中深層血管抽出画像)のとベース画像とから、表層血管(または中深層血管)が強調・抑制された血管強調・抑制画像が生成される。生成された血管強調・抑制画像は、表示制御回路58でモニタ表示可能な信号に変換された後、
図11または
図12に示すように、モニタ14に画像表示される。
【0050】
なお、青色成分が緑色成分よりも大きい照明光で被検体内の観察を行う第2観察モードに設定されている場合には、モニタ表示用の画像を生成する際、撮像によって得られる画像信号のうち、青色信号Bについては、映像信号のBチャンネル及びGチャンネルに割り当て、緑色信号Gには映像信号のRチャンネルに割り当てることが好ましい。この場合、モニタ14には、表層血管と中深層血管とが異なる色で表された疑似カラー画像が表示される。
【0051】
なお、上記実施形態においては、光源装置13内の広帯域光源30から白色光BBを発光したが、これに代えて、
図14に示すように、電子内視鏡11の先端部16aに蛍光体100を設置し、その蛍光体30bを、光源装置13に設置した励起光光源101の励起光で励起することによって、蛍光を発光させてもよい。この場合、蛍光と、蛍光体100に吸収されなかった励起光とが合波した光が、白色光BBとして被検体内に照射される。なお、蛍光体100は上記実施形態の蛍光体30bと同様であり、励起光光源101は上記実施形態の励起光光源30aと同様である。
【0052】
なお、上記実施形態においては、蛍光体からの白色光を被検体内に照射したが、これに代えて、被検体内を照明する複数の照明光のうちの一部を、半導体光源からの光とし、その他を、キセノンランプ等の白色光から波長分離した光としてもよい。この場合、例えば、
図15に示す電子内視鏡システム100が使用される。
【0053】
電子内視鏡システム100は、電子内視鏡システム10と比較すると、光源装置113全体が光源装置13異なっており、また、電子内視鏡111のCCD101は、モノクロのCCDとなっている。また、電子内視鏡システム100は、観察モードとして、青色光、緑色光、赤色光の3色の照明光で被検体内を観察する通常観察モードと、青色狭帯域光及び緑色光の2色の照明光で被検体内を観察する第1〜第3特殊観察モードとを備えている。
【0054】
第1〜第3特殊観察モードは青色狭帯域光及び緑色光の光量が異なっており、第1特殊観察モードでは青色狭帯域光と緑色光の光量は同じであり、第2特殊観察モードでは青色狭帯域光の光量は緑色光の光量よりも大きく、第3特殊観察モードでは緑色光の光量が青色狭帯域光の光量よりも大きい。即ち、第1〜第3特殊観察モードは、上記実施形態の第1〜第3観察モードに略対応している。したがって、第1〜第3特殊観察モードにおける血管抽出方法は、第1〜第3観察モードの場合と同様に行う。なお、それ以外については、上記実施形態とほぼ同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
光源装置113は、白色光源ユニット130と、半導体光源ユニット131と、これらを駆動制御する光源制御部132とを備えている。白色光源ユニット130は、白色光BBを放射するランプ本体130aと、このランプ本体130の光路上に設けられた絞り130bとを備えている。
【0056】
ランプ本体130aは、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなど、赤色領域から青色領域(約400〜700nm)にわたる広い波長域において発光スペクトルが連続する広帯域光(白色光)BBを発生する。このランプ本体130aは、光源装置113の電源がONの間、常時点灯する。絞り130bは、光源制御部132の駆動制御によって、開度が調整される。この開度の調整に伴って、白色光BBの光量が調整される。
【0057】
白色光BBの光路には、ロータリフイルタ134が配置されている。
図16に示すように、ロータリフイルタ134は、円板形状をしており、円周方向に3分割されて中心角が120°の扇形の領域に、それぞれB、G、Rの光を透過するBフイルタ部134a、Gフイルタ部134b、Rフイルタ部134cの三色のカラーフイルタが設けられている。
【0058】
これらBフイルタ部134a、Gフイルタ部134b、Rフイルタ部134cは、
図17に示すような分光透過率を有している。Bフィルタ部134aは白色光BBのうち青色光(B色光)を透過させ、Gフィルタ部134bは白色光BBのうち緑色光(G色光)を透過させ、Rフィルタ部134cは白色光BBのうち赤色光(R色光)を透過させる。ここで、Gフィルタ部134bの透過帯域は、G色光の中心波長が530nmとなるように設定することが好ましい。波長530nm付近はヘモグロビンの吸光係数が高くなる領域であるため、この波長範囲の光を血管に照射することで、血管とそれ以外とのコントラストを高めることができる。
【0059】
また、ロータリフイルタ134は、Bフイルタ部134a、Gフイルタ部134b、Rフイルタ部134cが選択的に白色光BBの光路に挿入されるように回転自在に設けられている。ロータリフイルタ134が回転すると、Bフイルタ部134a、Gフイルタ部134b、Rフイルタ部134cが順次白色光BBの光路に挿入される。
【0060】
半導体光源ユニット131は、LD(Laser Diode)またはLED(Light Emitting Diode
)からなる青色半導体光源131aと、この青色半導体光源131aを駆動する駆動部131bを有する。青色半導体光源131aは、中心波長420nmの青色狭帯域光BNを発光する(
図17参照)。波長420nm付近はヘモグロビンの吸光係数が高くなる領域であるため、この波長範囲の光を血管に照射することで、血管とそれ以外とのコントラストを高めることができる。
【0061】
また、駆動部131bは光源制御部132に接続されている。光源制御部132は駆動部131bを制御することによって、青色半導体光源131aの点灯及び消灯と光量調整を行う。なお、青色半導体光源131aに用いるレーザダイオードとしては、ブロードエリア型のInGaN系、InGaNAs系、GaNAs系のレーザダイオードを用いることができる。
【0062】
ロータリフィルタ134からのB色光、G色光、R色光と、青色半導体光源131aからの青色狭帯域光BNは、光合流部139で合流する。光合流部139はダイクロイックミラーで構成され、B色光、G色光、R色光をそのまま透過させるとともに、青色狭帯域光BNをを90°屈曲させて、B色光、G色光、R色光の光路に合流させる。光合流部139を経た光は、集光レンズ136を通して、ライトガイド43に入射する。
【0063】
図15に示すように、白色光源ユニット130とロータリフイルタ134の間には、シャッタ板140が配置されている。シャッタ板40は、青色狭帯域光BNを電子内視鏡11に供給するときに、白色光BBを遮光するものである。
図18に示すように、シャッタ板140は、白色光BBに対する遮光性を有する部材からなり、平面形状は、円形の一部を切り欠いた形状をしている。
【0064】
具体的には、シャッタ板140は、240°の中心角を持つ遮光部140aを有しており、残りの120°の部分が切り欠かれて白色光BBを透過する透過部140bとなっている。シャッタ板140は、回転自在に設けられており、回転により、遮光部140aと透過部140bが交互に選択的に白色光BBの光路に挿入されるようになっている。
【0065】
シャッタ板140は、ロータリフイルタ134とほぼ同じ半径を有しており、回転軸が一致している。シャッタ板140の透過部140bの中心角は、ロータリフイルタ34のB、G、Rの各フイルタ部134a、134b、134cの中心角とほぼ一致している。なお、本例においては、透過部140bを切り欠きで形成しているが、白色光BBを透過する透明板で透過部140bを構成してもよい。
【0066】
また、シャッタ板140は、光源制御部132によって、回転が制御される。この回転制御は、各観察モードによって異なる。通常観察モードにおいては、シャッタ板140は、遮光部140aが白色光BBの光路から退避し、透過部140bが光路に挿入された状態で停止している。したがって、白色光BBは常時ロータリフィルタ134に入射する。これに伴って、ロータリフィルタ134からは、B色、G色、R色の三色の光が順次出射する。なお、通常観察モード時には、青色半導体光源13は常時消灯している。
【0067】
これに対して、第1〜第3特殊観察モードにおいては、シャッタ板140は、透過部140bとGフイルタ部134bの回転位相が一致するように、ロータリフイルタ134と同じ速度で回転する。これにより、透過部140bが白色光BBの光路に挿入されて、遮光部140aが光路から退避している間、白色光BBはGフイルタ部34bを透過してG色光が生成される。G色光は、集光レンズ136を通過して電子内視鏡11に供給される。
【0068】
一方、遮光部140aが白色光BBの光路に挿入されて、透過部140bが光路から退避している間、白色光BBが遮光される。白色光BBが遮光されている間に、青色半導体光源131aが点灯して、青色狭帯域光BNが電子内視鏡11に供給される。CCD101はモノクロの撮像素子であるため、シャッタ板140を設けることにより、青色狭帯域光BNと白色光BBの混色が防止される。
【0069】
光源制御部132は、上記したように、白色光源ユニット130の絞り130bの開度、半導体光源ユニット131の駆動部131bを制御する。この制御によって、ロータリフィルタ134からのB色光、G色光、R色光の光量と青色狭帯域光BNの光量も調整される。ここで、第1〜第3特殊観察モード時に使用するG色光と青色狭帯域光BNの光量比は、各特殊観察モード毎に予め定められている。光量比の設定は、上記実施形態と同様に、光量比設定部132aで行われる。この光量比設定部132aは、観察モード選択SW29で選択された観察モードに対応する光量比に設定する。
【0070】
ここで、第1特殊観察モード時の第1光量比は、G色光と青色狭帯域光BNの光量と同じに設定される。第2特殊観察モード時の第2光量比は、青色狭帯域光BNの光量がG色光よりも大きくなるように、設定されている。第3観察モード時の第3光量比は、G色光の光量が青色狭帯域光BNの光量よりも大きくなるように、設定されている。
【0071】
電子内視鏡システム100では、モノクロのCCD101とロータリフィルタ134を使用しているため、CCD101の撮像制御方法とベース画像55でのベース画像生成方法が、上記実施形態のCCD44の場合と異なっている。通常観察モード時には、
図19(A)に示すように、CCD101は、1フレームの取得期間内で、信号電荷を蓄積する蓄積動作と、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作が行なわれる。通常観察モードにおいては、B、G、Rの三色の像光を順次撮像して、青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rを順次出力する。そして、これら3色分の信号B、G、Rに基づいて、ベース画像が生成される。以上の動作は、通常観察モードに設定されている間、繰り返し行われる。
【0072】
これに対して、第1〜第3特殊観察モードにおいては、
図19(B)に示すように、青色狭帯域光BNが被検体内に照射されている2フレームの期間のうち、1フレームの期間分だけ青色狭帯域光BNの像光を撮像して、青色信号Bを順次出力する。一方、G色光が被検体内に照射されている1フレームの照射期間は、G色光の像光を撮像して、緑色信号Bを順次出力する。そして、これら2色分の信号B、Gに基づいて、ベース画像を生成する。以上の動作は、第1〜第3特殊観察モードに設定されている間、繰り返し行われる。
なお、第1〜第3特殊観察モード時において、ベース画像を生成する際には、青色信号Bをモニタ表示用のBチャンネル、Gチャンネルに割り当て、緑色信号Gをモニタ表示用のRチャンネルに割り当てることが好ましい。
【0073】
なお、電子内視鏡システム100では、第1〜第3特殊観察モード時において、青色光については半導体光源の光を使用し、緑色光については、白色光BBを波長分離した光を使用したが、反対に、緑色光については半導体光源の光を使用し、青色光については、白色光を波長分離した光を使用してもよい。
【0074】
なお、上記実施形態においては、B/G比を使って表層血管と中深層血管の分離を行ったが、これに代えて、G/B比、B−G差、G−B差、B/(B+G)比、G/(B+G)比、B/R比、R/B比、B−R差、R−B差、B/Y比など、互いに異なる色情報を持つ2以上の色信号を用いた演算により得られる演算値によっても、それぞれの血管を分離することができる。
【0075】
この演算値と血管深さとの関係は、上記実施形態と同様に、第1〜第3観察モード(第1〜第3光量比)に対応した複数のテーブルに記憶されており、また、粘膜と表層血管との境界を示す演算値の境界値及び粘膜と中深層血管の境界を示す演算値の境界値は、各テーブル毎に異なっている。例えば、B−G差(青色信号の画素値から緑色信号の画素値を引いた値)の場合であれば、第1観察モード時に使用するテーブルには、
図20Aに示すようなB−G差と血管深さとの関係が記憶されている。ここで、Lsは粘膜と表層血管の境界を示すB−G差を示しており、Ldは粘膜と中深層血管の境界を示すB−G差を示している。
【0076】
一方、第2観察モード時に使用するテーブルには、
図20Bに示すようなB−G差と血管深さとの関係が記憶されている。このテーブルにおいては、粘膜と表層血管の境界部分のB−G差Ls´はLsよりも大きく、また、粘膜と中深層血管の境界部分のB−G差Ld´はLdよりも大きく設定されている。また、第2観察モード時に使用するテーブルには、
図20Cに示すようなB−G差と血管深さとの関係が記憶されている。このテーブルにおいては、粘膜と表層血管の境界部分のB−G差Ls´´はLsよりも小さく、また、粘膜と中深層血管の境界部分のB−G差Ld´´はLdよりも小さく設定されている。
【0077】
なお、G/B比は緑色信号を青色信号で除した値であり、B−G差は青色信号から緑色信号を引いた値であり、G−B差は緑色信号から青色信号を引いた値であり、B/(B+G)比は青色信号を、青色信号と緑色信号の加算値で除した値であり、G/(B+G)比は緑色信号を、青色信号と緑色信号の加算値で除した値であり、B/R比は青色信号を赤色信号で除した値であり、R/B比は赤色信号を青色信号で除した値であり、B−R差は青色信号から赤色信号を引いた値であり、R−B差は赤色信号から青色信号を引いた値であり、B/Y比は緑色信号を黄色信号で除した値である(黄色信号は500〜700nmの波長情報を持つ信号)。