(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1結像装置コンポーネントは、前記光学投影ユニットの前記光学素子ユニットのコンポーネントのうち、結像装置コンポーネントの第1グループから選択したコンポーネントであり、
前記結像装置コンポーネントの第1グループは、前記マスクユニットに最も近接して配置されたコンポーネント、前記基板ユニットに最も近接して配置されたコンポーネント、大きな質量のコンポーネント、大きな直径のコンポーネント、振動が遮断された方式で支持されたコンポーネント、3Hzから0.1Hzまでの共振周波数で支持されたコンポーネント、ドリフト制御の方式で支持されたコンポーネント、及び前記第2結像装置コンポーネントとは別個に支持されているコンポーネントから成る、請求項1記載の光学結像装置。
前記計測装置は、前記第1結像装置コンポーネントに直接的に接続された第1基準素子、及び前記第2結像装置コンポーネントに直接的に接続された第2基準素子の少なくとも一方を有し、
前記第1基準素子及び前記第2基準素子の少なくとも一方は、基準面を有しており、前記基準面は、反射面及び回折面のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の光学結像装置。
【発明を実施するための形態】
【0036】
・実施例1
以下においては、
図1及び
図2を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による好適な第1の実施例である光学結像装置1について説明することとする。
【0037】
図1は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置1の形態における光学結像装置の縮尺が正確ではない概略図である。露光装置1は、マスクユニット3のマスク3.1上に形成されたパターンの画像を基板ユニット4の基板4.1上に転写すべく適合された光学投影ユニット2を有している。このために、露光装置1は、反射マスク3を照射する(図示されてはいない)照明系を有している。露光ユニット3は、マスク3.1から反射された光を受光し、マスク3.1上に形成されたパターンの画像を、例えば、ウエハ又はこれに類似したものなどの基板4.1上に投影している。
【0038】
このために、光学投影ユニット2は、光学素子ユニットからなる光学素子ユニットグループ5を保持している。この光学素子ユニットグループ5は、しばしば、投影オプティクスボックス(Projection Optics Box:POB)2.1とも呼ばれる光学投影ユニット2のハウジング2.1内に保持されている。光学素子ユニットグループ5は、ミラー形態のいくつかの光学素子を有しており、このうちのミラー6.1、7.1、8.1のみが図示されている。これらの光学素子6.1、7.1、8.1は、最大で6つの自由度のすべてにおいて、光学投影ユニット2の軸2.2に沿って互いに対して配置されている。
【0039】
光学投影ユニット2は、マスク3.1と基板4.1の間の光路の一部分を収容している。その光学素子6.1、7.1、8.1の投射表面6.2、7.2、8.2が協働することにより、マスク4上に形成されたパターンの画像を光路の端部に配置された基板5上に転写している。
【0040】
マスク3.1は、マスクユニット3のマスクテーブル3.2上に受けられており、マスクテーブル3.2は、基礎構造9上において、(図示されてはいない)適切な支持構造によって支持されている。同様に、基板4.1も、基板ユニット4の基板テーブル4.2上に受けられており、基板テーブル4.2も、基礎構造9上において、(図示されてはいない)適切な支持構造によって支持されている。
【0041】
マスク3.1上に形成されているパターンの画像は、通常、サイズが縮小され、基板4.1のいくつかのターゲットエリアに転写される。マスク3.1上に形成されているパターンの画像は、露光装置1の設計に応じて、2つの異なる方法によって基板4.1上の個々のターゲットエリアに転写可能である。露光装置1が所謂ウエハステッパ装置として設計されている場合には、マスク3.1上に形成されているパターン全体を照射することにより、単一の段階において、パターンの画像全体が基板4.1上の個々のターゲットエリアに転写される。露光装置1が所謂ステップアンドスキャン装置として設計されている場合には、投影光の下において、マスクテーブル3.2と、従って、マスク3.1上に形成されているパターンを漸次スキャニングしつつ、同時に、基板テーブル4.2と、従って、基板4.1の対応したスキャニング移動を実行することにより、パターンの画像が基板4.1上の個々のターゲットエリアに転写される。
【0042】
いずれの場合にも、高品質の結像結果を得るには、マスク3.1及び基板4.1に対してだけでなく、光学素子ユニットグループ5の光学素子、即ち、ミラー6.1、7.1、8.1の相互間の相対的な位置を既定の限度内に維持しなければならない。
【0043】
露光装置1の動作の際には、マスク3.1及び基板4.1に対するミラー6.1、7.1、8.1の相対的な位置及びそれらの相互間における相対的な位置は、システム内に導入される内在的及び外来的な妨害の両方の結果として生じる変化に晒されることになる。このような妨害は、例えば、システム自体の内部において生成された、或いは、例えば、基礎構造9などのシステムの周囲を介して導入された力の結果として生じる振動の形態における機械的な妨害であることもある。又、例えば、システムの部品の熱膨張に起因した位置の変化などの熱によって誘発される妨害であることもある。
【0044】
マスク3.1及び基板4.1に対するミラー6.1、7.1、8.1の相対的な位置、及びそれらの相互間における相対的な位置についての前述の既定の限度を維持すべく、アクチュエータユニット6.3及び7.3を介して、ミラー6.1及び7.1をそれぞれ空間内において能動的に位置決め可能である。同様に、マスクテーブル3.2及び基板テーブル4.2も、(
図1には示されていない)個々の支持構造を介して、空間内において能動的に位置決め可能である。
【0045】
これらのパーツの能動的な位置決めは、露光装置1の特定のコンポーネント間の空間的な関係をキャプチャする複数の計測装置の計測結果に基づいて実行されている。
【0046】
第1計測装置10は、6つの自由度(Degree Of Freedom:DOF)において、露光装置1の第1結像装置コンポーネントと、この第1結像装置コンポーネントとは異なる露光装置1の第2の結像装置コンポーネントの間の空間的な関係をキャプチャしている。
【0047】
第1結像装置コンポーネントは、基板4.1に最も近接して配置された第1ミラー8.1の形態における第1光学素子である。従って、第1結像装置コンポーネントは、光学素子ユニット8のコンポーネントである。第2結像装置コンポーネントは、基板テーブル4.2、即ち、基板ユニット4のコンポーネントである。基板テーブル4.2と基板4.1間の空間的な関係は、例えば、露光プロセスの直前の計測動作によって判明しているため、第1計測装置10により、基板ユニット4のコンポーネントとしての基板4.1と、第1ミラー8.1の間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0048】
計測装置10及び以下において本明細書に記述されているすべての更なる計測装置は、破線によって添付図面に示されている計測光線を使用することにより、無接触方式によって動作している。但し、本発明のその他の実施例においては、任意の適切な接触に基づいた計測装置も、同様に使用可能であることを理解されたい。具体的には、作動原理の選択は、精度要件の関数として実行可能である。無接触型の作動原理としては、例えば、干渉計による、エンコーダに基づいた、キャパシティブ、又はインダクティブな作動原理などを使用可能である。接触に基づいた作動原理としては、例えば、磁気歪み又は電気歪みによる作動原理などを使用可能である。
【0049】
第1計測装置10は、ハウジング2.1に接続された少なくとも1つの第1エミッタ及びレシーバユニット10.1を有している。計測装置10は、第1ミラー8.1に対して、即ち、第1結像装置コンポーネントに対して直接的に機械的に接続された第1基準素子10.2を更に有している。
【0050】
本発明の意味においては、「直接的に機械的に接続された」という文言は、一方のパーツの位置を、他方のパーツの位置を計測することにより、高い信頼性によって判定可能である部分間の短い距離を(存在する場合に)含む2つのパーツ間における直接的な接続として理解されたい。具体的には、この文言は、例えば、熱又は振動の影響に起因して位置判定に不確実性を導入する更なる部分の介在を伴ってはいないことを意味可能である。
【0051】
第1基準素子10.2は、第1ミラー8.1の第1反射面8.2の反対側である第1ミラー8.1の背面8.3に接続されている。第1計測装置10の作動原理に応じて、第1基準素子は、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される際の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
図1に示されている実施例においては、基準素子10.2は、第1ミラー8.1の背面8.3によって形成されている。このために、第1計測装置10の作動原理に応じて、第1ミラーの背面8.3は、少なくとも基準素子10.2の領域内において、反射面として実施可能であり、或いは、例えば、背面8.3上に直接的に露出した格子などの格子とすることも可能である。
【0052】
但し、本発明のその他の実施例においては、第1基準素子は、第1ミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続(positive connection)、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個のパーツにおける反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着により、又はその他の方法によって堅固に第1ミラーに対して接続可能である。
【0053】
第1ミラーは、光学投影ユニット2の光学系の光学設計に応じて、通常は、約200〜800mmの直径を具備しており、基板4.1は、通常は、約50〜450mmの直径を具備している。従って、最も極端なケースにおいては、第1ミラー8.1は、基板直径の16倍の直径を具備しており、これは、冒頭において言及した従来のレベリングシステムをもはや使用不能である前述の状況に結び付くことになる。
【0054】
この問題は、本発明によれば、基板4.1に最も近接して配置された第1ミラー8.1内に第1基準を接続、更に正確には、統合すると共に、軸2.2に対して実質的に垂直な面内において、即ち、この場合には、実質的に水平な面内において、横方向の位置から第1計測装置10の反射器表面10.3上に第1計測装置10の計測光を投影することによって克服されている。反射器表面10.3は、計測光を第1基準素子10.2上に向ける。反射器表面10.3は、適切にアライメントされた基板テーブル4.2により、軸2.2に対して45°だけ傾いた基板テーブル4.2の表面上に形成されている。このような装置においては、第1ミラー8.1と基板4.1の間における直径の相関とは無関係に、軸2.2に沿った第1ミラー8.1と基板テーブル4.2(並びに、従って、基板4.1)の間の距離の信頼性の高い計測を実行可能である。
【0055】
反射器表面10.3上に向けられた1つ又は複数の計測光を使用することにより、すべての6つの自由度における第1ミラー8.1と基板テーブル4.2間の相対的な位置の計測を実行可能であることを理解されたい。この場合には、例えば、干渉計及びエンコーダ原理を組み合わせることにより、第1ミラー8.1の背面8.3上に反射面と格子の組み合わせを生成可能である。但し、本発明のその他の実施例においては、破線輪郭10.4及び10.5によって
図1に示されているように、第1ミラーの背面8.3以外のその他の場所に配置された更なる基準素子を第1計測装置内において使用することも可能であることを理解されたい。
【0056】
第1ミラー8.1と第1計測装置10の一部の接続、更に正確には、統合により、結果的に構築スペースが増大することになり、この結果、計測フレーム又はこれに類似したものなどの大きくて嵩張る構造の介在を伴うことなしに、第1計測装置10の残りの部分、具体的には、第1エミッタ及びレシーバユニット10.1をハウジング2.1に対して直接的に接続可能である。
【0057】
従って、従来のシステムにおいて使用されている計測フレームが省略されており、光学投影ユニット2のハウジング2.1が、このような計測フレームの機能を統合しており、且つ、振動遮断デバイス11を介して、振動が遮断された方式において基礎構造9に対して直接的に接続されている。振動遮断デバイス11は、その上部の第1端部においては、ハウジング2.1のフランジ部分2.3においてハウジング2.1と直接接触しており、その下部の第2端部において、基礎構造9と直接接触している。
【0058】
振動遮断デバイス11は、ハウジング2.1の周囲において均等に分散された複数の振動遮断ユニット11.1によって形成されている。基礎構造9を介して光学投影ユニット2内に導入される外部の機械的な妨害の周波数は、通常、30Hz〜1Hzの範囲を有している。従って、予想される機械的妨害の周波数に応じて、振動遮断ユニット11.1は、予想される機械的妨害の周波数を下回る少なくとも10分の1の共振周波数においてハウジング2.1に対して支持を提供する任意の適切なタイプから構成可能である。
【0059】
通常、振動遮断ユニット11.1の共振周波数は、0.01〜10Hzにおいて選択されることになる。好ましくは、振動遮断ユニット11.1によって提供される支持の共振周波数は、約0.1Hz以下である。このような振動遮断ユニット11.1は、(例えば、ボイスコイルモーターを使用するなどの)電磁的な原理に従って動作可能であると共に、略同一レベルの共振周波数において、即ち、好ましくは、約0.1Hz以下においてドリフト制御を提供可能である横方向のドリフト制御を具備したPCT特許公開2005/028601 A2号(WO 2005/028601 A2)(Muhlbeyer他)に開示されている周知の所謂磁気重力補償デバイスによって提供可能であり、この開示内容は、本引用により、本明細書に包含される。
【0060】
但し、本発明のその他の実施例においては、例えば、適切な低い共振周波数のスプリング装置又は圧縮空気装置を有する純粋に機械的な作動原理などのその他の作動原理を振動遮断ユニット用に選択することも可能である。
【0061】
本発明によって実現可能である従来の計測フレームの除去は、現時点において既知である光学投影系と比べて、次のようないくつかの利点を提供している。
【0062】
1つの利点は、従来の計測フレームを除去することにより、基板に近接した相当量の構築スペースが解放されるという点にある。この結果、投影オプティクスの設計及び寸法設定が容易となる。更なる利点は、光学投影ユニットのハウジング2.1自体が、その内部に収容された光学素子間における熱ドリフトの影響を低減すべく、熱安定性の観点において、既に高度に安定化されているという点にある。従って、ハウジング2.1は、第1計測装置の一部を統合するのに特に適しており、且つ、計測フレームの熱的な安定化のために通常必要とされる大きな努力を払う必要がなくなる。この結果、光学投影装置1の全体的なコストが大幅に低減される。
【0063】
第1ミラー8.1は、装置全体の中央基準として機能している。従って、光学投影系に対するマスクテーブル3.2の位置調節の結果を使用すべく、第1ミラー8.1とマスクテーブル3.2間の空間的な関係をキャプチャする第2計測装置12が提供されている。
【0064】
第2計測装置12は、マスクテーブル3.2に接続された第2エミッタ及びレシーバユニット12.1と、第1ミラー8.1の前面8.4に直接的に機械的に接続された第2基準素子12.2と、を有している。この場合にも、第2計測装置12は、6つの自由度(DOF)において、露光装置1の第1結像装置コンポーネントとしての第1ミラー8.1と露光装置1の第2結像装置コンポーネントとしてのマスクテーブル3.2間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0065】
第2基準素子12.2は、第1ミラー8.1の第1反射面8.2をも形成している第1ミラー8.1の前面8.3に接続されている。第2計測装置12の作動原理に応じて、第2基準素子は、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される際の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
【0066】
図1に示されている実施例においては、第1ミラー8.1の前面8.4は、第2計測装置12の作動原理に応じて、少なくとも第2基準素子12.2の領域内において、反射面として実装可能であり、或いは、例えば、前面8.4上に直接的に露出した格子などの格子とすることも可能である。
【0067】
但し、本発明のその他の実施例においては、第2基準素子は、第1ミラーとは別個であると共に、これに直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、或いは、その他の方法によって堅固に第1ミラーに対して接続可能である。
【0068】
更には、本発明のその他の実施例においては、第2計測装置12は、欧州特許出願公開第1 182 509 A2号(EP 1 182 509 A2)に開示され、且つ、
図1において破線輪郭12.3によって示されている従来の計測装置によって置換することも可能であることを理解されたい。
【0069】
更には、第2計測装置12は、破線輪郭12.4によって
図1に示されている計測装置によって置換することも可能である。このような第2計測装置の場合にも、エミッタ及びレシーバユニットが、マスクテーブル3.2に接続され、第2基準素子が、ハウジング2.1に直接的に機械的に接続されることになる。
【0070】
最後に、第1ミラー8.1に対するその他のミラー6.1及び7.1の位置調節の結果を使用すべく、第1ミラー8.1とその他のミラー6.1及び7.1間の空間的な関係をキャプチャする第3計測装置13が提供されている。
【0071】
第3計測装置13は、ハウジング2.1に接続された第3エミッタ及びレシーバユニット13.1と、それぞれ、ミラー8.1、6.1、及び7.1の表面に直接的に機械的に接続された第3基準素子13.2、13.3、13.4を有している。この場合にも、第3計測装置13は、6つの自由度(DOF)において、露光装置1の第1結像装置コンポーネントとしての第1ミラー8.1と露光装置1の第2結像装置コンポーネントとしての個々のミラー6.1及び7.1間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0072】
第3基準素子13.2、13.3、13.4は、第3計測装置13の作動原理に応じて、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される際の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
図1に示されている実施例においては、第3基準素子を形成しているミラー8.1、6.1、及び7.1の個々の表面は、第3計測装置13の作動原理に応じて、少なくとも個々の第3基準素子13.2、13.3、13.4の領域内において、反射面として実装可能であり、或いは、例えば、2D格子などの格子とすることも可能である。
【0073】
但し、本発明のその他の実施例においては、個々の第3基準素子は、個々のミラーとは別個であると共に、これに直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0074】
更には、個々の計測装置の個々の計測光は、
図1に示されているように、必ずしも、真っ直ぐな経路を具備する必要はないことを理解されたい。むしろ、光学系の設計に応じて、適切な光線操作オプティクスを提供することにより、定義された方式において、折り返された経路上において個々の計測光を導波可能である。
【0075】
更には、本発明のその他の実施例においては、第3計測装置13は、破線輪郭13.5によって
図1に示されているように、第1ミラーと個々の更なるミラー間の空間的な関係を別個にキャプチャする別個の計測装置によって置換することも可能であることを理解されたい。
【0076】
以上において概説した第1実施例においては、第1〜第3基準素子10.2、12.2、13.2、13.3、13.4は、それぞれの光学素子、即ち、ミラー6.1、7.1、8.1上に直接的に備えられている。但し、本発明のその他の実施例においては、個々の基準素子を個々の光学素子ユニットのその他のコンポーネントに接続することにより、個々の光学素子の空間的な位置の適切な評価を実現可能であることを理解されたい。例えば、個々の基準素子は、個々の光学素子を保持すると共に個々の光学素子と共に移動する光学素子取り付けデバイスに接続することも可能である。
【0077】
前述の計測システム10、12、13は、ミラー8.1、基板テーブル4.1、マスクテーブル3.1、並びに、ミラー6.1及び7.1の間の直接的な空間的関係を計測するものとすることができる。或いは、この代わりに、例えば、安定した基準構造(例えば、構造2.1)に対する前述の個々の素子の位置を計測し、これから前述の素子のいずれか2つの間の直接的な空間的関係をベクトル加算によって求めることにより、空間的な計測を間接的に実装することも可能である。
【0078】
以下、
図1及び
図2を参照して説明するように、本発明によるパターンの画像を基板上に転写する方法の好適な実施例を
図1の露光装置1において実施可能である。
【0079】
本方法の転写段階14においては、光学結像装置1の光学投影ユニット2を使用することにより、マスク3.1上に形成されたパターンの画像を基板4.1上に転写している。
【0080】
このために、前述の転写段階14のキャプチャ段階14.1において、本発明による光学結像装置1の第1コンポーネントと第2コンポーネント間の空間的な関係をキャプチャする方法の好適な実施例を使用することにより、光学結像装置1の第1コンポーネントとしての第1ミラーと、それぞれ、光学結像装置1の第2コンポーネントを形成している基板テーブル4.2、マスクテーブル3.2、並びに、その他のミラー6.1及び7.1の間の空間的な関係をキャプチャしている。
【0081】
転写段階の制御段階14.2において、キャプチャ段階14.1において予めキャプチャした空間的な関係の関数として、第1ミラー8.1に対する基板テーブル4.2、マスクテーブル3.2、並びに、その他のミラー6.1及び7.1の位置を制御している。次いで、制御段階14.2の直後の、又はこれと実質的にオーバーラップしている露光段階14.3において、光学結像装置1を使用し、マスク3.1上に形成されたパターンの画像を基板4.1上に露光している。
【0082】
キャプチャ段階14.1の段階14.4においては、マスク3.1を有するマスクユニット3及び基板4.1を有する基板ユニット4を提供し、空間内において位置決めしている。尚、実際の位置のキャプチャに先立つ後の時点において、或いは、露光段階14.3に先立つ更に後の時点において、マスク3.1及び基板4.1を、それぞれ、マスクユニット3及び基板ユニット4内に挿入することも可能であることを理解されたい。
【0083】
キャプチャ段階14.1の段階14.5においては、本発明による光学投影ユニットのコンポーネントを支持する方法の好適な実施例に従い、光学投影ユニット2のコンポーネントを提供及び支持している。このために、段階14.6において、光学投影ユニット2の光学素子ユニット6、7、8を光学投影ユニット2のハウジング2.1内に提供し、位置決めしている。段階14.7において、光学素子ユニット6、7、8を有するハウジング2.1を基礎構造9上において振動が遮断された方式によって支持することにより、
図1との関連において説明した構成を提供している。
【0084】
キャプチャ段階14.1の段階14.8において、第1〜第3計測装置10.12、13を提供することにより、
図1との関連において前述した構成を提供している。尚、第1〜第3基準素子10.2、12.2、13.2、13.3、13.4は、その上部にこれらが形成されている個々のミラー6.1、7.1、8.1と共に、予め既に提供されていることを理解されたい。但し、本発明のその他の実施例においては、実際の位置キャプチャ段階に先立つ後の時点において、第1〜第3基準素子を第1〜第3計測装置のその他のコンポーネントと共に提供することも可能である。
【0085】
次いで、キャプチャ段階14.1の段階14.9において、光学結像装置1の第1コンポーネントとしての第1ミラー8.1と、光学結像装置1の第2コンポーネントをそれぞれ形成している基板テーブル4.2、マスクテーブル3.2、並びに、その他のミラー6.1及び7.1の間の実際の空間的な関係をキャプチャしている。
【0086】
尚、光学結像装置1の第1コンポーネントとしての第1ミラー8.1と、光学結像装置1の第2コンポーネントをそれぞれ形成している基板テーブル4.2、マスクテーブル3.2、並びに、その他のミラー6.1及び7.1の間の実際の空間的な関係は、露光プロセスの全体を通じて継続的にキャプチャ可能であることを理解されたい。この場合には、段階14.9において、この連続的なキャプチャプロセスの最新の結果を取得して使用している。
【0087】
次いで、前述のように、制御段階14.2において、この予めキャプチャされた空間的な関係の関数として、第1ミラー8.1に対する基板テーブル4.2、マスクテーブル3.2、並びに、その他のミラー6.1及び7.1の位置を制御した後に、露光段階14.3において、マスク3.1上に形成された画像を基板4.1上に露光している。
【0088】
・実施例2
以下においては、
図3を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置の第2の好適な実施例101について説明することとする。
【0089】
図3は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置101の形態における光学結像装置の縮尺が正確ではない概略図である。露光装置101は、マスクユニット103のマスク103.1上に形成されたパターンの画像を基板ユニット104の基板104.1上に転写すべく適合された光学投影ユニット102を有している。このために、露光装置101は、反射マスク103を照射する(図示されてはいない)照明系を有している。露光ユニット103は、マスク103.1から反射された光を受光し、マスク103.1上に形成されたパターンの画像を、例えば、ウエハ又はこれに類似したものなどの基板104.1上に投影している。
【0090】
図3の実施例は、その設計及び機能において、
図1の実施例に略対応している。具体的には、
図3においては、100が加算された同一の参照符号が、類似した又は同一の部分に対して付与されている。従って、これらについては、先程付与された説明を主に参照することとし、基本的には、相違点についてのみ説明することとする。
【0091】
第1実施例との関係における主な相違点は、基板104.1に最も近接して配置された第1ミラー108.1が、しばしば、投影オプティクスボックス(POB)102.1とも呼ばれる光学投影ユニット102のハウジング102.1の内部に存在していないという事実にある。この代わりに、第1ミラー108.1は、約300Hzの共振周波数において第1ミラー108.1に対して支持を提供している実質的に堅固な取り付けデバイス115により、ハウジング102.1の下部部分から吊り下げられている。
【0092】
従来の計測フレームの除去以外に、この実施例は、第1ミラー108.1の周囲にハウジング素子が配置されていないため、ハウジング102.1の外部における第1ミラー108.1の実質的に堅固な吊り下げに起因し、第1ミラー108.1の領域内に構築空間が提供されるという利点を具備している。従って、ハウジング102.1に取り付けられた第1計測装置110のコンポーネントを第1ミラー108.1に相対的に近接した状態において配置可能であり、これが、コンポーネントの改善された動的な動作に結び付くことになる。
【0093】
この実施例の場合にも、
図2を参照して前述した本発明による方法を同様に実施可能であるということを理解されたい。従って、この関連においては、この場合にも、前述の説明を参照されたい。
【0094】
・実施例3
以下においては、
図4を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置の第3の好適な実施例201について説明することとする。
【0095】
図4の実施例は、その主な設計及び機能において、
図1の実施例に略対応している。具体的には、
図4においては、200が加算された同一の参照符号が、類似した又は同一の部分に対して付与されている。従って、これらについては、先程付与された説明を主に参照することとし、基本的には、相違点についてのみ説明することとする。
【0096】
図4は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置201の形態における光学結像装置の縮尺が正確ではない概略図である。露光装置201は、マスクユニット203のマスク203.1上に形成されたパターンの画像を基板ユニット204の基板204.1上に転写すべく適合された光学投影ユニット202を有している。このために、露光装置201は、反射マスク203を照射する(図示されてはいない)照明系を有している。露光ユニット203は、マスク203.1から反射された光を受光し、マスク203.1上に形成されたパターンの画像を、例えば、ウエハ又はこれに類似したものなどの基板204.1上に投影している。
【0097】
このために、光学投影ユニット202は、光学素子ユニットの光学素子ユニットグループ205を保持している。光学素子ユニットグループ205は、ミラーの形態におけるいくつかの光学素子を有しており、このうちのミラー206.1、207.1、208.1のみが示されている。これらの光学素子208は、光学投影ユニット202の軸202.2に沿って、相互間において位置決めされている。光学素子206.1、207.1、208.1の投射表面206.2、207.2、208.2が、協働することにより、マスク204上に形成されたパターンの画像を基板205上に転写している。
【0098】
マスク203.1及び基板204.1に対するミラー206.1、207.1、208.1の相対的な位置、及びそれらの相互間における相対的な位置の既定の限度を維持すべく、それぞれ、アクチュエータ206.3及び207.3を介して、ミラー206.1及び207.1を空間(6つのDOF)内において能動的に位置決め可能である。同様に、マスクテーブル203.2及び基板テーブル204.2も、(
図4には図示されていない)それぞれの支持構造を介して空間(6つのDOF)内において能動的に位置決め可能である。これらの部分の能動的な位置決めは、露光装置201のこれらのコンポーネント間の空間的な関係を(6つのDOFにおいて)キャプチャする第1〜第3計測装置210、212、及び213の計測結果に基づいて実行されている。
【0099】
第1実施例との関係における相違点の1つは、基板204.1に最も近接して配置されている第1ミラー208.1が、光学投影ユニット202のハウジング202.1の内部に配置されていないという事実にある。この代わりに、第1ミラー208.1は、例えば、約300Hz以上の共振周波数において第1ミラー208.1に対して支持を提供する実質的に堅固な取り付けデバイス215によってハウジング202.1の下部部分から吊り下げられている。
【0100】
第2実施例との関連において既に説明したように、従来の計測フレームの除去以外に、この実施例は、第1ミラー208.1の周囲にハウジング素子が配置されていないため、ハウジング202.1の外部における第1ミラー208.1の実質的に堅固な吊り下げに起因し、第1ミラー208.1の領域内に構築スペースが提供されるという利点を具備している。従って、ハウジング202.1に取り付けられた第2計測装置210のコンポーネントを第1ミラー208.1に相対的に近接した状態において配置可能であり、これが、これらのコンポーネントの改善された動的な動作に結び付くことになる。
【0101】
第1実施例との関係における更なる相違点は、光学素子ユニットグループ205のその他のミラー206.1及び207.1が、ハウジング202.1内に収容されてはいるが、本明細書においてフォースフレーム216とも呼ばれる支持構造216によって別個に支持されているという事実にある。この支持構造216は、基礎構造209上において直接的に支持されている。
【0102】
第3実施例は、システムの力学的な特性との関係において利点を具備している。1つは、ハウジング202.1が、第1ミラー208.1などの受動的であって駆動されてはいない部分にのみ力学的に接続されているという点にある。この結果、ハウジング202.1は、ミラー206.1及び207.1などの上部における位置調節動作の結果として生じる力学的な内在的な負荷又は妨害から免れている。従って、第1、第2、及び第3計測装置210、212、及び213を保持する本明細書においてセンサフレームとも呼ばれているハウジング202.1は、ミラー206.1及び207.1上におけるこれらの位置調節動作の結果として生じる高周波数の妨害から免れており、これが、改善された計測結果と、これらの結果を実現するための努力の相対的な軽減に、それぞれ結び付くことになる。
【0103】
ミラーユニット206及び207のアクチュエータユニット206.3及び207.3を介した相殺のための対応した位置調節により、フォースフレーム216内に導入された機械的な妨害を補償する必要があることを理解されたい。但し、フォースフレーム216内に導入されたこれらの機械的な妨害を低減すべく、対応する振動遮断手段により、基礎構造209上おいてフォースフレーム216自体を支持可能である。このような振動遮断手段は、基礎構造209上におけるセンサフレーム202.1の直接的な支持のために選択された振動遮断デバイス211のものに匹敵した共振周波数においてフォースフレーム216を支持可能である。フォースフレーム216の振動遮断手段の共振周波数は、約30Hz以下になるように選択可能である。
【0104】
第1及び第2実施例と同様に、第1ミラー208.1が、システム全体における中央基準として機能している。従って、第1及び第2実施例と同一の設計においては、これは、第1〜第3計測装置210、212、及び213の第1〜第3基準210.3、212.3、及び213.3を統合している。
【0105】
この実施例の場合にも、
図2を参照して前述した本発明による方法を同様に実行可能であることを理解されたい。従って、この関連においては、この場合にも、前述の説明を参照されたい。
【0106】
・実施例4
以下においては、
図5を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置の第4の好適な実施例301について説明することとする。
【0107】
図5の実施例は、その主な設計及び機能において、
図1の実施例と略対応している。具体的には、
図5においては、300が加算された同一の参照符号が、類似した又は同一の部分に付与されている。従って、これらについては、先程付与された説明を主に参照することとし、基本的には、相違点についてのみ説明することとする。
【0108】
図5は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置301の形態における光学結像装置の縮尺が正確ではない概略図である。露光装置301は、マスクユニット303のマスク303.1上に形成されたパターンの画像を基板ユニット304の基板304.1上に転写すべく適合された光学投影ユニット302を有している。このために、露光装置301は、反射マスク303を照射する(図示されてはいない)照明系を有している。露光ユニット303は、マスク303.1から反射された光を受光し、マスク303.1上に形成されたパターンの画像を、例えば、ウエハ又はこれに類似したものなどの基板304.1上に投影している。
【0109】
このために、光学投影ユニット302は、光学素子ユニットの光学素子ユニットグループ305を保持している、光学素子ユニットグループ305は、ミラーの形態におけるいくつかの光学素子を有しており、このうちのミラー306.1、307.1、308.1のみが示されている。これらの光学素子308は、光学投影ユニット302の軸302.2に沿って、相互間において位置決めされている。光学素子306.1、307.1、308.1の投射表面306.2、307.2、308.2が、協働することにより、マスク304上に形成されたパターンの画像を基板305上に転写している。
【0110】
光学素子ユニットグループ305は、第1サブグループ305.1及び第2サブグループ305.2を有している。第1サブグループ305.1は、しばしば、投影オプティクスボックス(POB)302.1とも呼ばれる光学投影ユニット302のハウジング302.1内に保持されている。ミラー306.1、307.1が、サブグループ305.1の一部を形成しており、ミラー308.1が、第2サブグループ305.2の一部を形成している。
【0111】
マスク303.1及び基板304.1に対するミラー306.1、307.1、308.1の相対的な位置、及びそれらの相互間における相対的な位置の既定の限度を維持すべく、それぞれ、アクチュエータユニット306.3及び307.3を介して、ミラー306.1及び307.1を空間(6つのDOF)内において能動的に位置決め可能である。同様に、マスクテーブル303.2及び基板テーブル304.2も、(
図5には、示されていない)個々の支持構造を介して空間(6つのDOF)内において能動的に位置決め可能である。これらの部分の能動的な位置決めは、露光装置301のこれらのコンポーネント間の空間的な関係を(6つのDOFにおいて)キャプチャする第1〜第3計測装置310、312、及び313の計測結果に基づいて実行されている。
【0112】
第1実施例との関係における相違点の1つは、第1計測装置310が、基板テーブル304.2に接続された2つの第1エミッタ及びレシーバユニット310.1及び310.6を有しているという事実にある。第1計測装置310は、第1ミラー308.1に対して、即ち、第1結像装置コンポーネントに対して直接的に機械的に接続された2つの第1基準素子310.2及び310.7を更に有している。
【0113】
第1基準素子310.2、310.7のそれぞれが、第1ミラー308.1の第1反射面308.2の反対側である第1ミラー308.1の背面308.3に接続されている。第1計測装置310の作動原理に応じて、第1基準素子は、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される場合の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
図5に示されている実施例においては、基準素子310.2は、第1ミラー308.1の背面308.3によって形成されている。このために、第1計測装置310の作動原理に応じて、第1ミラーの背面308.3は、少なくとも基準素子310.2の領域において、反射面として実施可能であり、或いは、例えば、背面308.3上に直接的に露出した格子などの格子を有することも可能である。
【0114】
但し、本発明のその他の実施例においては、第1基準素子のうちの1つ又はそれぞれは、第1ミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0115】
6つのすべての自由度における第1ミラー308.1と基板テーブル304.2の間の相対的な位置の計測は、第1エミッタ及びレシーバユニット310.1及び310.6のそれぞれによって提供される1つ又は複数の計測光を使用することによって実行可能であることを理解されたい。この場合には、例えば、干渉計及びエンコーダ原理を組み合わせることにより、第1ミラー308.1の背面308.3上において反射面及び格子の組み合わせを生成可能である。但し、本発明のその他の実施例においては、第1ミラーの背面308.3以外のその他の場所に配置された更なる基準素子を第1計測装置内において使用することも可能であることを理解されたい。
【0116】
第1実施例との関係における更なる相違点は、基板304.1に最も近接して配置された第1ミラー308.1が、光学投影ユニット302のハウジング302.1の内部に配置されていないという事実にある。この代わりに、第2サブグループ305.2を形成している第1ミラー308.1は、第2振動遮断デバイス317を介して振動が遮断された方式においてハウジング302.1の下部部分から吊り下げられている。第2振動遮断デバイス317は、その上部の第1端部において、ハウジング302.1に直接的に接触している。第2振動遮断デバイス317は、その下部の第2端部において、第1ミラー308.1に直接的に接触している。
【0117】
個々の第1及び第2振動遮断デバイス311及び317は、それぞれ、ハウジング302.1及び第1ミラー308.1の周囲に均等に分散された複数の第1及び第2振動遮断ユニット311.1及び317.1によって形成されている。基礎構造309を介して光学投影ユニット302内に導入される外部の機械的な妨害の周波数は、通常、30Hz〜1Hzの範囲を有している。従って、予想される機械的な妨害の周波数に応じて、第1及び第2振動遮断ユニット311.1及び317.1は、予想される機械的な妨害の周波数を下回る少なくとも10分の1の共振周波数において、それぞれハウジング302.1及び第1ミラー308.1に対して支持を提供する任意の適切なタイプから構成可能である。
【0118】
通常、第1及び第2振動遮断ユニット311.1及び317.1の共振周波数は、0.01〜10Hzにおいて選択されることになる。好ましくは、第1及び第2振動遮断ユニット311.1及び317.1によって提供される支持の共振周波数は、0.1Hz以下である。このような振動遮断ユニット311.1及び317.1は、それぞれ、(例えば、ボイスコイルモーターを使用するなどの)電磁的な原理に従って動作可能であると共に、略同一レベルの共振周波数において、即ち、好ましくは、約0.1Hz以下においてドリフト制御を提供可能である横方向のドリフト制御を具備した周知の所謂磁気重力補償器によって提供可能である。
【0119】
但し、本発明のその他の実施例においては、例えば、適切に低い共振周波数のスプリング装置を有する純粋に機械的な作動原理などのその他の作動原理を振動遮断ユニット用に選択可能であることを理解されたい。
【0120】
第2実施例の関連において既に説明したように、従来の計測フレームの除去以外に、この実施例は、第1ミラー308.1の周囲にハウジング素子が配置されていないため、ハウジング302.1の外部における第1ミラー308.1の吊り下げに起因し、第1ミラー308.1の領域内に構築スペースが提供されるという利点を具備している。
【0121】
この実施例の更なる利点は、第1ミラー308.1における別個の振動遮断支持の結果としてもたらされている。第1ミラー308.1は、光学投影ユニット302の光学系の光学設計に応じて、通常は、約200〜800nmの直径を具備している。第1ミラー308.1がZerodur又はこれに類似したものなどの適切な材料の固体として製造される場合には、第1ミラー308.1は、相当の質量を具備しており、これは、通常、60kgにも及び、場合によっては、これを上回る可能性がある。例えば、Zerodur又はこれに類似したものなどの第1ミラー308.1の材料は、低い熱膨張係数(CTE)を具備可能であり、従って、熱的に不活性であろう。
【0122】
前述のように、第1ミラー308.1は、大きな質量を具備しており、熱的に不活性な材料から製造可能であり、能動的に駆動されてはおらず、且つ、(後程詳述するように)その関連において使用される計測装置の受動的なコンポーネントのみを統合又は保持可能である。従って、第1ミラー308.1は、それ自体が、本システムの(熱的且つ力学的に)高度に安定したコンポーネントである。振動から遮断された別個の吊り下げにより、第1ミラー308.1は、ハウジング302.1によって保持されている光学投影ユニット302の部分から力学的に分離されており、且つ、従って、外部の機械的な妨害との関連において安定している。従って、これは、本発明のこの実施例に従って付与されるシステム全体における中央基準としての役割に完全に適している。力学的には、第1ミラー308.1は、直列の振動遮断システム311.1及び317.1を介してカスケード方式によって基礎構造に接続されており、この装置は、特に基礎に関連した妨害との関連において更なる遮断性能を提供している。
【0123】
システム全体における中央基準として第1ミラー308.1を提供するというこの概念によれば、第1及び第2実施例と同一の設計において、第1ミラー308.1は、第1〜第3計測装置310、312、及び313の第1〜第3基準310.3、312.3、及び313.3をそれぞれ保持及び統合している。
【0124】
この実施例の場合にも、
図2を参照して説明した本発明による方法を同様に実行可能であることを理解されたい。従って、この関連においては、この場合にも、前述の説明を参照されたい。
【0125】
更には、本発明のその他の実施例においては、光学素子ユニットの第2サブグループ305.2は、第2振動遮断デバイス317を介して、この場合には第1ミラー308.1である第1光学素子と共に保持された更なる光学素子ユニットを有することも可能であることを理解されたい。このために、この第2サブグループは、第2振動遮断デバイス317を介して基礎構造309上において直接的に支持された第2ハウジング構造又はこれに類似したものによって収容可能である。
【0126】
・実施例5
以下においては、
図6を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置401の第5の好適な実施例について説明することとする。
【0127】
図6の実施例は、その主な設計及び機能において、
図1の実施例に略対応している。具体的には、
図6においては、400が加算された同一の参照符号が、類似した又は同一の部分に対して付与されている。
【0128】
図6は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置401の形態における光学結像装置の縮尺が正確ではない概略図である。露光装置401は、マスクユニット403のマスク403.1上に形成されたパターンの画像を基板ユニット404の基板404.1上に転写すべく適合された光学投影ユニット402を有している。このために、露光装置401は、反射マスク403を照射する(図示されてはいない)照明系を有している。露光ユニット403は、マスク403.1から反射された光を受光し、マスク403.1上に形成されているパターンの画像を、例えば、ウエハ又はこれ類似したものなどの基板404.1上に投影している。
【0129】
このために、光学投影ユニット402は、光学素子ユニットの光学素子ユニットグループ405を保持している。この光学素子ユニットグループ405は、第1サブグループ405.1及び第2サブグループ405.2を有している。サブグループ405.1は、しばしば、投影オプティクスボックス(POB)402.1とも呼ばれる光学投影ユニット402のハウジング402.1の内部に保持されている。
【0130】
光学素子ユニットグループ405は、ミラーの形態におけるいくつかの光学素子を有しており、このうちのミラー406.1、407.1、408.1のみが示されている。これらの光学素子408は、光学投影ユニット402の軸402.2に沿って、相互間において位置決めされている。ミラー406.1、407.1が、第1サブグループ405.1の一部を形成しており、ミラー408.1が、第2サブグループ405.2の一部を形成している。
【0131】
光学投影ユニット402は、マスク403.1と基板404.1の間の光路の一部分を収容している。その光学素子406.1、407.1、408.1の投射表面406.2、407.2、408.2が、協働することにより、マスク404上に形成されたパターンの画像を光路の端部に配置された基板405上に転写している。
【0132】
マスク403.1は、マスクユニット403のマスクテーブル403.2上に受けられており、マスクテーブル403.2は、基礎構造409上において、(図示されてはいない)適切な支持構造によって支持されている。同様に、基板404.1も、基板ユニット404の基板テーブル404.2上において受けられており、基板テーブル404.2も、基礎構造409上において、(図示されてはいない)適切な支持構造によって支持されている。
【0133】
マスク403.1上に形成されているパターン画像は、通常、サイズが縮小され、基板404.1のいくつかのターゲットエリアに対して転写される。マスク403.1上に形成されているパターンの画像は、露光装置401の設計に応じて、2つの異なる方法により、基板404.1上の個々のターゲットエリアに対して転写可能である。露光装置401が所謂ウエハステッパ装置として設計されている場合には、マスク403.1上に形成されたパターン全体を照射することにより、1つの単一段階において、パターンの画像全体が基板404.1上の個々のターゲットエリアに対して転写される。露光装置401が所謂ステップアンドスキャン装置として設計されている場合には、投影光の下において、マスクテーブル403.2と、従って、マスク403.1上に形成されたパターンを漸次スキャニングしつつ、同時に、基板テーブル404.2と、従って、基板404.1の対応したスキャニング移動を実行することにより、パターンの画像が基板404.1上の個々のターゲットエリアに対して転写される。
【0134】
いずれの場合にも、高品質の結像結果を得るべく、マスク403.1に対する、並びに、基板404.1に対する光学素子ユニットグループ405の光学素子、即ち、ミラー406.1、407.1、408.1の相対的な位置及びそれらの相互間における相対的な位置を既定の限度内に維持しなければならない。
【0135】
露光装置401の動作の際には、マスク403.1及び基板404.1に対するミラー406.1、407.1、408.1の相対的な位置、及びそれらの相互間における相対的な位置は、システム内に導入される内在的且つ外来的な妨害の両方の結果として生じる変化に晒されることになる。このような妨害は、例えば、システム自体の内部において生成される力の結果として生じるか、或いは、例えば、基礎構造409などのシステムの環境を介して導入される振動の形態における機械的な妨害であってよい。又、これらは、例えば、システムの部品の熱膨張に起因した位置の変化などの熱によって誘発される妨害であってもよい。
【0136】
マスク403.1及び基板404.1に対するミラー406.1、407.1、408.1の相対的な位置、及びそれらの相互間における相対的な位置に関する先程の既定の限度を維持すべく、それぞれ、アクチュエータユニット406.3及び407.3を介して、ミラー406.1及び407.1を空間内において能動的に位置決め可能である。同様に、マスクテーブル403.2及び基板テーブル404.2も、(
図6には図示されていない)個々の支持構造を介して空間内において能動的に位置決め可能である。
【0137】
これらの部分の能動的な位置決めは、露光装置401の特定のコンポーネント間の空間的な関係をキャプチャする複数の計測装置の計測結果に基づいて実行されている。
【0138】
第1計測装置410は、6つの自由度(DOF)において、露光装置401の第1結像装置コンポーネントと、この第1結像装置コンポーネントとは異なる露光装置401の第2結像装置コンポーネントの間の空間的な関係をキャプチャしている。
【0139】
第1結像装置コンポーネントは、基板404.1に最も近接して配置された第1ミラー408.1の形態における第1光学素子である。従って、第1結像装置コンポーネントは、光学素子ユニット408のコンポーネントである。第2結像装置コンポーネントは、基板テーブル404.2、即ち、基板ユニット404のコンポーネントである。基板テーブル404.2と基板404.1の間の空間的な関係が、例えば、露光プロセスの直前の計測動作に起因して判明しているため、第1計測装置410により、基板ユニット404のコンポーネントとしての基板404.1と第1ミラー408.1の間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0140】
第1計測装置410は、基板テーブル404.2に接続された2つの第1エミッタ及びレシーバユニット410.1及び410.6を有している。計測装置410は、第1ミラー408.1に対して、即ち、第1結像装置コンポーネントに対して直接的に機械的に接続された2つの第1基準素子410.2及び410.7を更に有している。
【0141】
第1基準素子410.2、410.7のそれぞれは、第1ミラー408.1の第1反射面408.2の反対側の第1ミラー408.1の背面408.3に接続されている。第1計測装置410の作動原理に応じて、第1基準素子は、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される場合の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折格子であってよい。
図6に示されている実施例においては、基準素子410.2は、第1ミラー408.1の背面408.3によって形成されている。このために、第1計測装置410の作動原理に応じて、第1ミラーの背面408.3は、少なくとも基準素子410.2の領域内において、反射面として実施可能であり、或いは、例えば、背面408.3上に直接的に露出した格子などの格子を有することも可能である。
【0142】
但し、本発明のその他の実施例においては、第1基準素子のうちの1つ又はそれぞれは、第1ミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又は任意のこれらの組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0143】
第1エミッタ及びレシーバユニット410.1及び410.6のそれぞれによって提供される1つ又は複数の計測光を使用することにより、すべての6つの自由度において第1ミラー408.1と基板テーブル404.2の間の相対的な位置の計測を実行可能であることを理解されたい。この場合には、例えば、干渉計及びエンコーダ原理を組み合わせることにより、第1ミラー408.1の背面408.3上において反射面と格子の組み合わせを生成可能である。但し、本発明のその他の実施例においては、第1ミラーの背面408.3以外のその他の場所に配置された更なる基準素子を第1計測装置内において使用することも可能であることを理解されたい。
【0144】
第1計測装置410の一部と第1ミラー408.1の接続、更に詳しくは、統合と、直接的な基板テーブル404.2に対する第1計測装置410の残りの部分、具体的には、第1エミッタ及びレシーバユニット410.1の、周知のX、Y、Z基準ミラー及びゼロセンサの再帰反射器を伴う、接続、更に詳しくは、統合により、基礎構造409とハウジング402.1の間における計測フレーム又はこれに類似したものなどの大きくて嵩張る構造の介在を回避可能である。
【0145】
この結果、従来のシステムにおいて使用されている計測フレームが省略されており、光学素子ユニットの第1サブグループ405.1を保持している光学投影ユニット402のハウジング402.1が、このような計測フレームの機能を統合している。ハウジング402.1は、第1振動遮断デバイス411を介して、振動が遮断された方式において基礎構造409に直接的に接続されている。第1振動遮断デバイス411は、その上部の第1端部においては、ハウジング402.1のフランジ部分402.3においてハウジング402.1に直接的に接触しており、その下部の第2端部においては、基礎構造409に直接的に接触している。
【0146】
更には、この実施例においては、光学素子ユニットの第2サブグループ405.2を形成している第1ミラー408.1は、別個に支持されており、且つ、このような計測フレームの機能を統合している。又、第1ミラー408.1は、第2振動遮断デバイス417を介して、振動が遮断された方式において基礎構造409に直接的に接続されている。第2振動遮断デバイス417は、その上部の第1端部において、基礎構造409に実質的に堅固に取り付けられた支持構造418に直接的に接触している。第2振動遮断デバイス417は、その下部の第2端部において、第1ミラー408.1に直接的に接触している。
【0147】
個々の第1及び第2振動遮断デバイス411及び417は、それぞれ、ハウジング402.1及び第1ミラー408.1の周囲に均等に分散された複数の第1及び第2振動遮断ユニット411.1及び417.1によって形成されている。基礎構造409を介して光学投影ユニット402内に導入される外来の機械的妨害の周波数は、通常、30Hzから1Hzの範囲を有している。従って、予想される機械的な妨害の周波数に応じて、第1及び第2振動遮断ユニット411.1及び417.1は、予想される機械的妨害の周波数を下回る少なくとも10の1の共振周波数において、それぞれ、ハウジング402.1及び第1ミラー408.1に対して支持を提供する任意のタイプから構成可能である。
【0148】
通常、第1及び第2振動遮断ユニット411.1及び417.1の共振周波数は、0.01〜10Hzにおいて選択されることになる。好ましくは、第1及び第2振動遮断ユニット411.1及び417.1によって提供される支持の共振周波数は、約0.1Hz以下である。このような振動遮断ユニット411.1及び417.1は、それぞれ、電磁的な原理に従って(例えば、ボイスコイルモーターなどを使用することにより)動作可能であると共に、略同一レベルの共振周波数以下において、即ち、好ましくは、約0.1Hz以下においてドリフト制御を提供可能である横方向のドリフト制御を具備した周知の所謂磁気重力補償器によって提供可能である。
【0149】
但し、本発明のその他の実施例においては、例えば、適切に低い共振周波数のスプリング装置を有する純粋に機械的な作動原理などのその他の作動原理を振動遮断ユニット用に選択することも可能であることを理解されたい。
【0150】
本発明によって実現可能である従来の計測フレームの除去は、現時点において既知の光学投影系に比べて、いくつかの利点を提供している。
【0151】
1つの利点は、従来の計測フレームを除去することにより、基板に近接して相当量の構築空間が解放されることである。この結果、投影オプティクスの設計及び寸法設定が容易となる。更なる利点は、光学投影ユニットのハウジング402.1自体が、その内部に収容された光学素子間における熱ドリフトの影響を低減すべく、熱安定性の観点において、既に高度に安定化されているという点にある。従って、ハウジング402.1は、第1計測装置の部品を統合するのに特に適しており、計測フレームの熱的な安定化のために通常必要とされる大きな努力を払う必要がなくなる。この結果、光学投影装置1の全体的なコストが大幅に低減されることになる。
【0152】
この実施例の更なる利点は、第1ミラー408.1における別個の振動遮断支持にある。第1ミラー408.1は、光学投影ユニット402の光学系の光学設計に応じて、通常、約200〜800mmの直径を具備している。第1ミラー408.1がZerodur又はこれに類似したものなどの適切な材料の固体として製造されている場合には、第1ミラー408.1は、大きな質量を具備しており、これは、通常、60kgにも及び、場合によっては、これを上回る可能性がある。例えば、Zerodur又はこれに類似したものなどの第1ミラー408.1の材料は、低い熱膨張係数(CTE)を具備可能であり、従って、熱的に不活性であろう。
【0153】
1つの利点は、ハウジングが、第1ミラー408.1の負荷を支持する必要がなく、従って、相対的に簡単な最適化された設計を有することができるという点にある。第2の利点は、第1ミラー408.1内に導入される妨害とハウジング402.1内に導入される妨害の間の力学的な分離を実現可能であるという点にある。第3の利点は、第1ミラー408.1が、大きな質量を具備しており、熱的に不活性の材料から製造可能であり、能動的に駆動されてはおらず、且つ(後程詳述するように)その関連において使用される計測装置の受動的なコンポーネントのみを統合又は保持可能であるという事実にある。従って、第1ミラー408.1は、それ自体が、システムの(熱的且つ力学的に)高度に安定したコンポーネントである。振動が遮断された別個の吊り下げにより、第1ミラー408.1は、光学投影ユニット402の残りの部分から力学的に分離されており、従って、例えば、ミラー306.2及び307.2のアクチュエータの力などの光学投影ユニットから由来する機械的な妨害との関係において安定している。従って、これは、後述するように、本発明のこの実施例に従って付与されるシステム全体における中央基準としての役割に完全に適している。
【0154】
システム全体における中央基準として第1ミラー408.1を提供するという概念によれば、光学投影系との関連おけるマスクテーブル403.2の位置調節の結果を使用すべく、第1計測装置410に加えて、第1ミラー408.1とマスクテーブル403.2間の空間的な関係をキャプチャする第2計測装置412が提供される。
【0155】
第2計測装置412は、マスクテーブル403.2に接続された第2エミッタ及びレシーバユニット412.1と、第1ミラー408.1の前面408.4に直接的に機械的に接続された第2基準素子412.2を有している。この場合にも、第2計測装置412は、6つの自由度(DOF)において、露光装置401の第1結像コンポーネントとしての第1ミラー408.1と露光装置401の第2結像装置コンポーネントとしてのマスクテーブル403.2の間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0156】
第2基準素子412.2は、第1ミラー408.1の第1反射面408.2をも形成している第1ミラー408.1の前面408.3に接続されている。第2計測装置412の作動原理に応じて、第2基準素子は、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される際の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
【0157】
図6に示されている実施例においては、第1ミラー408.1の前面408.4は、第2計測装置412の作動原理に応じて、少なくとも第2基準素子412.2の領域内において、反射面として実施可能であり、或いは、例えば、前面408.4上に直接的に露出した格子などの格子を有することも可能である。
【0158】
但し、本発明のその他の実施例においては、第2基準素子は、第1ミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0159】
更には、本発明のその他の実施例においては、第2計測装置412は、欧州特許公開第1 182 509 A2号(EP 1 182 509 A2)に開示されており、且つ、
図6において破線輪郭412.3によって示されている従来の計測装置によって置換することも可能であることを理解されたい。更には、第2計測装置412は、
図6に破線輪郭412.4によって示されている計測装置によって置換することも可能である。このような第2計測装置の場合には、エミッタ及びレシーバユニットは、この場合にも、マスクテーブル403.2に接続されており、第2基準素子は、ハウジング402.1に対して直接的に機械的に接続されている。
【0160】
最後に、システム全体における中央基準として第1ミラー408.1を提供するという概念によれば、第1ミラー408.1に対するその他のミラー406.1及び407.1の位置調節の結果を使用すべく、第1及び第2計測装置410及び412に加えて、第1ミラー408.1とその他のミラー406.1及び407.1間の空間的な関係をキャプチャする第3計測装置413が提供される。
【0161】
第3計測装置413は、ハウジング402.1に接続された第3エミッタ及びレシーバユニット413.1と、それぞれ、ミラー408.1、406.1、及び407.1の表面に直接的に機械的に接続された第3基準素子413.2、413.3、413.4を有している。この場合にも、第3計測装置413は、6つの自由度(DOF)において、露光装置401の第1結像装置コンポーネントとしての第1ミラー408.1と露光装置401の第2結像装置コンポーネントとしての個々のミラー406.1及び407.1間の空間的な関係をキャプチャ可能である。
【0162】
第3基準素子413.2、413.3、413.4は、第3計測装置413の作動原理に応じて、例えば、反射面などの反射素子であるか、干渉計原理が使用される際の所謂コーナーキューブプリズム又はこれに類似したものなどの複数の反射面を提供する素子であるか、或いは、例えば、エンコーダ原理が使用される際の格子などの回折素子であってよい。
図6に示されている実施例においては、第3基準素子を形成しているミラー408.1、406.1、及び407.1の個々の表面は、第3計測装置413の作動原理に応じて、少なくとも個々の第3基準素子413.2、413.3、413.4の領域内において、反射面として実施可能であり、或いは、例えば、2D格子などの格子とすることも可能である。
【0163】
但し、本発明のその他の実施例においては、個々の第3基準素子は、個々のミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、積極接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における反射面又は格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0164】
更には、個々の計測装置の個々の計測光は、必ずしも
図6に示されているように、真っ直ぐなコースを具備する必要はないことを理解されたい。むしろ、光学系の設計に応じて、適切な光線操作オプティクスを提供することにより、定義された方式において、真っ直ぐではない軌跡において個々の計測光を導波可能である。
【0165】
更には、本発明のその他の実施例においては、第3計測装置413は、
図6に破線輪郭413.5によって示されているように、第1ミラーと個々の更なるミラーの間の空間的な関係を別個にキャプチャするか、又は
図6に破線輪郭413.6によって示されているように、第1ミラーとハウジングの間の空間的な関係をキャプチャする別個の計測装置によって置換可能であることを理解されたい。
【0166】
前述の第4実施例によれば、第1〜第3基準素子410.2、412.2、413.2、413.3、413.4は、個々の光学素子、即ち、ミラー406.1、407.1、408.1上に直接的に提供されている。但し、本発明のその他の実施例においては、個々の基準素子を個々の光学素子ユニットのその他のコンポーネントに接続することにより、個々の光学素子の空間的な位置の適切な評価を実現することも可能であることを理解されたい。例えば、個々の基準素子は、個々の光学素子を保持すると共に個々の光学素子と共に変位する光学素子取り付け器に接続することも可能である。
【0167】
図6の露光装置401の場合にも、
図2との関連において説明した本発明によるパターンの画像を基板上に転写する方法を実施可能であることを理解されたい。
【0168】
更には、本発明のその他の実施例においては、光学素子ユニットの第2サブグループ405.2は、第2振動遮断デバイス417を介して、この場合には第1ミラー408.1である第1光学素子と共に保持された更なる光学素子を有することも可能であることを理解されたい。このために、この第2サブグループは、第2振動遮断デバイス417を介して、基礎構造409上において直接的に支持された第2ハウジング構造又はこれに類似したものによって収容可能である。
【0169】
・実施例6
以下においては、
図7を参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置の第6実施例501について説明することとする。
【0170】
図7の実施例は、その主な設計及び機能において、
図3の実施例に略対応している。具体的には、
図7においては、
図3のものとの関係において400が加算された同一の参照符号が、類似の又は同一の部分に対して付与されている。
図7の実施例と
図3の実施例の間における唯一の相違点は、第1計測装置510の設計と、光学素子ユニット508の第1ミラー508.1の設計にある。これ以外のすべての部分は、同一であり、従って、これらの側面については、
図3の関連において付与された上述の説明を参照されたい。
【0171】
図7は、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置501の形態における光学結像装置の下部部分の縮尺が正確ではない概略部分断面図である。この場合にも、光学投影ユニット502のハウジング502.1は、計測フレームの機能を統合しており、且つ、前述のように、振動遮断デバイス511を介して、振動が遮断された方式において基礎構造509に直接的に接続されている。
【0172】
第1計測装置510が、6つの自由度(DOF)において、露光装置501の第1結像装置コンポーネントとしての第1ミラー508.1と、この第1結像装置コンポーネントとは異なる露光装置501の第2結像装置コンポーネントとしての基板ユニット504の間の空間的な関係をキャプチャしている。
【0173】
第1計測装置510は、ハウジング502.1に接続されたエミッタ及びレシーバユニット510.1及びレシーバユニット510.8を有している。エミッタ及びレシーバユニット510.1は、第1計測装置510の計測コンポーネントを形成している第1光線操作ユニット510.9を有している。第1光線操作ユニット510.9は、第1ミラー508.1内に統合されている。このために、第1光線操作ユニット510.9は、第1ミラー508.1内の第1空洞によって形成された第1レセプタクル508.5内に保持されている。第1ミラー508.1の動きの影響を受けないように、第1光線操作ユニット510.9は、第1ミラー508.1に接触しないように保持されている。
【0174】
レシーバユニット510.8は、第1計測装置510の更なる計測コンポーネントを形成する第2光線操作ユニット510.10を有している。第2光線操作ユニット510.10も、第1ミラー508.1内に統合されている。このために、第2光線操作ユニット510.10は、第1ミラー508.1内の第2空洞によって形成された第2レセプタクル508.6内に保持されている。第2光線操作ユニット510.10も、第1ミラー508.1の動きの影響を受けないように、第1ミラー508.1に接触しないように保持されている。
【0175】
光線操作ユニットを統合するための空洞は、任意の適切な手段によって実現可能であることを理解されたい。例えば、固体ミラーの本体内に、対応する空洞を導入可能である。但し、本発明のその他の実施例においては、光線操作ユニットを収容できるように、内部的に少なくとも部分的に中空の構造としてミラー自体を形成することも可能であることを理解されたい。更には、本発明のその他の実施例においては、光線操作ユニットのうちの少なくとも1つの代わりに、第1計測装置の個々の計測コンポーネントを形成するエミッタ及び/又はレシーバを、ミラーに接触しない状態で、適切な場所において第1ミラー内に保持し、従って、統合可能であることを理解されたい。
【0176】
軸502.2に沿って基板テーブル504.2のレベリング情報を既知のレベリングシステムに類似した方式において提供すべく、エミッタ及びレシーバユニット510.1は、第1計測光510.11を放射している。この第1計測光510.11は、第1光線操作ユニット510.9を介して、第1ミラー508.1を通じて導波され、傾いた角度において基板504.1上に投影されている。次いで、第1計測光510.11は、基板504.1の表面から第2光線操作ユニット510.10内に反射される。第2光線操作ユニット510.10が、第1計測光510.11をレシーバユニット510.8内の受光素子に導波している。軸502.2に沿った基板テーブル504.2の位置に応じて、第1計測光510.11は、特定の位置において受光素子に入射する。従って、第1計測光510.11が受光素子に入射する位置は、ハウジング502.1に対する軸502.2に沿った基板テーブル504.2の位置に関する情報を提供している。
【0177】
第1計測装置510は、2つの基準ユニット510.12及び510.13を更に有している。基準ユニット510.12は、基板テーブル504.2に直接的に機械的に接続されており、この結果、第1計測装置510は、残りの自由度において、基板テーブル504.2と第1計測装置510の間の空間的な関係を提供可能である。基準ユニット510.13は、第1ミラー508.1に直接的に機械的に接続されており、この結果、第1計測装置510は、6つの自由度において、第1ミラー508.1と第1計測装置510の間の空間的な関係を提供可能である。従って、第1計測装置510は、6つの自由度において、基板テーブル504.2と第1ミラー508.1の間の空間的な関係を提供可能であり、この結果、これを使用することにより、前述のように、露光プロセスにおいて、基板テーブル504.2と、従って、基板504.1を空間内において位置決めする。
【0178】
・実施例7
以下においては、
図8及び
図9A〜
図9Cを参照し、本発明による方法の好適な実施例を実施可能である本発明による光学結像装置601の第7の好適な実施例について説明することとする。
【0179】
図8の実施例は、その主な設計及び機能において、
図1の実施例に略対応している。具体的には、
図8においては、600が加算された同一の参照符号が、類似の又は同一の部分に対して付与されている。
図8の実施例と
図1の実施例の間における1つの相違点は、第1計測装置610の設計と、光学素子ユニット608の第1ミラー608.1の設計にある。
図1の実施例との関係における更なる相違点は、基板ユニット604が、画像センサユニット621を更に有するターゲットユニット620の一部を構成しているという事実にある。これ以外のすべての部分は、同一であり、これらの側面については、この場合にも、
図1との関連において付与された前述の説明を参照されたい。
【0180】
図8は、光学素子ユニットグループ605を有する光学投影ユニット602を具備すると共に、13nmの波長においてEUVレンジ内において動作する露光装置601の形態における光学結像装置の下部部分の縮尺が正確ではない概略部分断面図である。
【0181】
ターゲットユニット620は、光学素子グループ605によって転写されるマスク上に形成されたパターンの画像を受ける露光位置に基板ユニット604及び画像センサユニット621を(
図8に示されている適切な手段によって)選択的に配置すべく設計されている。
図8においては、基板ユニット604は、露光位置において示されている。
【0182】
画像センサユニット621は、画像センサテーブル621.2によって保持された画像センサ621.2を有している。画像センサ621.1は、マスク上に形成されているパターンの画像をキャプチャすると共に、これに対応した信号を、キャプチャされた画像の品質を評価する(
図8には示されていない)評価ユニットに対して提供すべく設計されている。
【0183】
図示の実施例においては、画像センサテーブル621.2は、別個に制御可能であるコンポーネントである。但し、本発明のその他の実施例においては、基板テーブル及び画像センサテーブルを機械的に接続することにより、1つの単一コンポーネントを形成することも可能であることを理解されたい。
【0184】
露光装置601の動作の際には、マスク及び基板604.1に対する光学素子ユニットグループ605のミラーの相対的な位置、及びそれらミラーの相互間における相対的な位置は、前述のシステム内に導入される内在的且つ外来的な妨害の両方の結果として生じる変化に晒されることになる。
【0185】
ウエハステッパ装置又はステップアンドスキャン装置としての露光装置601の動作とは無関係に、高品質の結像結果を得るべく、マスク603.1に対する、並びに、基板604.1に対する光学素子ユニットグループ605の光学素子の相対的な位置、及びそれらの光学素子の相互間における相対的な位置を既定の限度内に維持しなければならない。
【0186】
マスク及び基板604.1に対する光学素子ユニットグループ605のミラーの相対的な位置、及びそれらミラーの相互間における相対的な位置についての前述の既定の限度を維持すべく、例えば、制御ユニット619によって制御された(
図9Aには、概略的にしか示されていない)アクチュエータユニット608.7を介して、第1ミラー608.1を空間内において能動的に位置決め可能である。同様に、マスクテーブル及び基板テーブル604.2も、(
図8には示されていない)個々の支持構造を介して空間内において能動的に位置決め可能である。
【0187】
これらの部分の能動的な位置決めは、例えば、露光装置601の特定のコンポーネント間の空間的な関係をキャプチャする第1計測装置610などの複数の計測装置の計測結果に基づいて実行されている。これらの計測装置は、キャプチャされた位置情報を制御ユニット619に提供しており、この結果、この制御ユニットが、個々のコンポーネントの作動を制御している。
【0188】
第1計測装置610は、6つの自由度(DOF)において、露光装置601の第1結像装置コンポーネントとしての光学素子ユニットグループ605の第1ミラー608.1と、この第1結像装置コンポーネントとは異なる露光装置601の第2結像装置コンポーネントとしての基板ユニット604の間の空間的な関係をキャプチャしている。
【0189】
第1計測装置610は、基板テーブル604.2に取り付けられていると共に制御ユニット619に接続された第1エミッタ及びレシーバユニット610.1及び3つの第2エミッタ及びレシーバユニット610.6、610.14、及び610.15を有するエンコーダ装置を有している。計測装置610のエンコーダ装置は、第1ミラー608.1に対して、即ち、第1結像装置コンポーネントに対して直接的に機械的に接続された第1基準素子610.2を更に有している。
【0190】
第1基準素子610.2(この位置は、破線によって
図9A〜
図9Cに示されている)は、第1ミラー608.1の第1反射面608.2の反対側の第1ミラー608.1の背面608.3に接続されている。第1基準素子は、2次元格子610.2の形態におけるエンコーダ素子である。
図8に示されている実施例においては、基準素子610.2は、第1ミラー608.1の背面608.3によって形成されている。このために、第1ミラーの背面608.3は、少なくとも基準素子610.2の領域内において、例えば、背面608.3上に直接的に露出した格子などの2次元格子としている。
【0191】
但し、本発明のその他の実施例においては、第1基準素子は、第1ミラーとは別個であると共に、これに対して直接的に機械的に接続された素子であってもよいことを理解されたい。例えば、これは、第1ミラーに対して、直接的に、連結的な接続、摩擦的な接続、接着的な接続、又はこれらの任意の組み合わせを介して接続された別個の部分上における格子などであってよい。例えば、これは、ネジにより、クランプにより、光学的な接触により、接着剤により、又はその他の方法によって第1ミラーに対して堅固に接続可能である。
【0192】
更には、それぞれのエミッタ及びレシーバユニット又はこれらのエミッタ及びレシーバユニットのサブグループごとに別個のエンコーダ素子を提供することも可能であることを理解されたい。個々のエンコーダ素子により、好ましくは、
図8に示されている基板テーブルの中央位置において、それぞれのエミッタ及びレシーバユニットがセンタリングされる。即ち、その関連するエンコーダ素子の中心とアライメントされる。
【0193】
好ましくは、このような別個の部分は、第1ミラーの熱膨張係数に適合された熱膨張係数を具備している。格子の歪み又は変形を回避すべく、格子が形成される部分の熱膨張係数が可能な限り小さくなっているか、或いは、この部分が、適切な手段によって温度制御されていることが好ましい。
【0194】
エンコーダ装置の第1エミッタ及びレシーバユニット610.1及び第2エミッタ及びレシーバユニット610.6、610.14、及び610.15のそれぞれのものは、それぞれ、少なくとも1つの光線610.16及び610.17を格子610.2に向かって放射し、且つ、それぞれ、格子610.2によって反射して戻る光線610.16及び610.17の少なくとも一部を受光している。個々の光線を横断する方向において格子と個々のエミッタ及びレシーバユニットの間に相対的な動きが存在する場合には、エミッタ及びレシーバユニットが受光する光の強度が、格子の構造に起因して周知の方式において変化し、これが、エミッタ及びレシーバユニットによる相応したパルス化信号に結び付くことになる。制御ユニット619は、これらの信号を周知の方式において使用することにより、相対的な動きに関する結論を導出している。
【0195】
エンコーダ装置は、第1エミッタ及びレシーバユニット610.1及び第2エミッタ及びレシーバユニット610.6、610.14、及び610.15からの信号により、少なくとも3つの自由度において、即ち、光学投影ユニット602の光軸602.2に対して垂直の面内における(しばしば、X軸及びY軸に沿った並進と呼ばれる)2つの並進自由度と、光軸602.2を中心とした(しばしば、Z軸を中心とした回転と呼ばれる)回転自由度において、位置情報を提供している。
【0196】
すべての6つの自由度における第1ミラー608.1と基板テーブル604.2の間の相対的な位置の計測は、第1エミッタ及びレシーバユニット610.1及び第2エミッタ及びレシーバユニット610.6、610.14、及び610.15のそれぞれのものによって提供される1つ又は複数の計測光を使用することによって実行可能であることを理解されたい。
【0197】
更には、例えば、エンコーダ装置のエンコーダ原理を干渉計型及び/又は容量性センサと組み合わせることにより、残りの3つの自由度において位置情報を提供することも可能である。
図8の実施例においては、光軸602.2(Z軸)に沿った3回の計測により、これを実現可能である。格子610.2が、この目的のための便利な基準素子を既に提供していることを理解されたい。例えば、格子610.2から反射される回折パターンを使用する容量性センサ又は干渉計型センサを使用可能である。
【0198】
但し、本発明のその他の実施例においては、第1ミラーの背面608.3以外のその他の場所に配置された更なるエンコーダ素子を第1計測装置内において使用することも可能であることを理解されたい。従って、例えば、計測装置全体が、エンコーダ原理に従って動作可能である。
【0199】
エンコーダ装置の使用は、いくつかの利点を具備している。これは、既知の干渉計システムよりも実装及び操作が格段に容易であり、且つ、少ない部品及び小さな空間を使用して多くの位置情報を提供する。更には、例えば、格子などのエンコーダ素子は、既知の干渉計システムに必要とされる高品質の鏡面よりも製造が容易である。
【0200】
エンコーダ装置の使用に伴う更なる利点は、例えば、両方の並進自由度(X軸及びY軸)における複数のホームインデックスパルスを格子610.2に内蔵することにより、周知の方式において、ホーム復帰機能を容易に実装可能であるという点にある。この結果、複雑な初期化手順を必要とすることなしに、光学投影ユニット602に対する既知のホーム位置に基板テーブル604.2を反復的に駆動可能である。基板604.2の位置決めユニットの位置決め精度は、ホームインデックスパルスのキャプチャレンジ内に基板テーブル604.2を位置決めすべく、十分なものであることを理解されたい。
【0201】
前述のように、第1ミラー608.1と第1計測装置610の一部の接続、更に正確には、統合と、直接的な基板テーブル604.2に対する第1計測装置610の残りの部分、具体的には、エミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15の接続、更に正確には、統合により、前述のように、基礎構造と光学投影ユニット602のハウジングの間の計測フレーム又はこれに類似したものなどの大きくて嵩張る構造を除去可能である。
【0202】
エミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15は、基板604.1に近接しており、且つ、この外周に均等に分散されている。これらは、基板604.1の最大直径の少なくとも半分に等しい相互間の距離を具備しており、この結果、基板テーブル604.2の極端な位置において発生し得る最大Abbeアームが低減される。
【0203】
従って、基板604.2の極端な位置を示している
図9B及び
図9Cからわかるように、これらのエミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15のうちの少なくとも2つ、即ち、3つは、光学投影ユニット602と基板ユニット604の間の相対的な移動範囲内において任意の時点において前述の位置情報を提供すべく機能可能である。換言すれば、エミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15のそれぞれは、光学投影ユニット602と基板ユニット604の間の相対的な移動範囲の一部分内において位置情報を提供すべく機能可能であり、相対的な移動範囲のこれらの部分は、オーバーラップを具備しており、この結果、これらのエミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15のうちの3つのものが、任意の時点において位置情報を提供すべく機能可能である。
【0204】
本発明のその他の実施例においては、異なる数のエミッタ及びレシーバユニットを使用可能であることを理解されたい。1つの単一のエミッタ及びレシーバユニットを使用することも可能である。但し、過剰に大きなエンコーダ素子を回避すべく、少なくとも1つの共通自由度において同一の分解能において計測する少なくとも2つの、更に好ましくは、少なくとも3つのエミッタ及びレシーバユニットを使用することが好ましい。
【0205】
4つのエミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610、14、610.15は、例えば、エンコーダを較正すべく制御ユニット619が使用可能である冗長情報を提供していることを理解されたい。
【0206】
第1計測装置610は、画像センサテーブル621.2に取り付けられていると共に制御ユニット619に対して接続された第3エミッタ及びレシーバユニット610.18と3つの第4エミッタ及びレシーバユニット610.19を更に有している。第3エミッタ及びレシーバユニット610.18及び第4エミッタ及びレシーバユニット610.19は、エミッタ及びレシーバユニット610.1、610.16、610.14、610.15の装置に類似した方式において構成されており、従って、ここでは、先程付与された説明を参照されたい。
【0207】
画像センサユニット621は、ウエハ604.2の露光プロセスが完了し、且つ、新しいウエハ604.2をウエハテーブル604.1上に配置する必要があり、このために、基板ユニット604が露光位置から除去された際に、露光位置に配置される。当然のことながら、最初に基板ユニット604を露光位置に配置する前に、即ち、ウエハ604.2の露光の前に、画像センサユニット621を露光位置内に配置することも可能である。
【0208】
画像センサユニット621が露光位置に配置された際には、即ち、
図8に示されている基板ユニット604の位置に配置された際には、エミッタ及びレシーバユニット610.18及び610.19は、エミッタ及びレシーバユニット610.1、610.6、610.14、610.15に類似した方式において第1基準素子610.2と協働することになるが、これについては、先程付与された説明を参照されたい。
【0209】
エンコーダ装置は、第3エミッタ及びレシーバユニット610.18及び第4エミッタ及びレシーバユニット610.19からの信号により、少なくとも3つの自由度において、即ち、光学投影ユニット602の光軸602.2に対して垂直な面内における(しばしば、X軸及びY軸に沿った並進と呼ばれる)2つの並進自由度と、光軸602.2を中心とした(しばしば、Z軸を中心とした回転と呼ばれる)回転自由度において、位置情報を提供している。但し、本発明のその他の実施例においては、これらの少なくとも3つの自由度において位置情報を提供すべく、(前述のように)任意のその他の好適な無接触型の又は接触に基づいた作動原理を使用することも可能であることを理解されたい。
【0210】
前述のように、画像センサユニット621の画像センサ621.1から提供される信号を使用することにより、キャプチャした画像の品質を評価可能である。これから取得されたデータを使用することにより、マスク上に形成されたパターンの画像をキャプチャすると共に、これに対応した信号を、キャプチャされた画像の品質を評価する(
図8には示されていない)評価ユニットに対して提供すべく設計された画像センサ621.1を保持する画像センサテーブル621.2を有することができる。画像センサ621.1によって提供されるこの画像品質情報は、例えば、露光装置601のコンポーネントの較正及び調節のために制御ユニット619が使用可能であることを理解されたい。
【0211】
図8の露光装置601においても、
図2を参照して説明した本発明によるパターンの画像を基板上に転写する方法を実施可能であることを更に理解されたい。この場合には、基板が、本発明の意味における第1ターゲットデバイスを形成している。更には、露光装置601によれば、本発明の意味における第2ターゲットデバイスを形成している画像センサ621.1上にパターンの画像を転写るべく、この
図2を参照して説明した方法を使用可能である。
【0212】
本発明のその他の実施例においては、必ずしも個々のエミッタ及びレシーバユニットを基板ユニットに取り付ける必要はないことを更に理解されたい。例えば、エミッタ及びレシーバユニットは、別個のエミッタユニットと別個のレシーバユニットとして実施可能である。このようなエミッタ及びレシーバユニット又は別個のエミッタユニット及びレシーバユニットのいずれかを基板ユニットの外部に取り付けることも可能である。このような場合には、個々の光線をエンコーダ素子との間において導波すべく、例えば、ミラーなどの光線導波デバイスを基板ユニットに取り付けることになろう。
【0213】
本発明のその他の実施例においては、部分的に又は全体的に屈折又は回折光学素子などのその他のタイプの光学素子を有する光学投影ユニットとの組み合わせにおいて、前述のエンコーダ装置を使用することも可能であることを更に理解されたい。更には、その他の波長レンジにおいて動作する光学投影ユニットとの組み合わせにおいて、前述のエンコーダ装置を使用することも可能である。
【0214】
更には、第1結像装置コンポーネントは、必ずしも光学素子ユニットのコンポーネントである必要はない。具体的には、例えば、従来の屈折系のように、基板に近接して大きな光学素子を具備していない光学投影ユニットの場合には、光学投影ユニットのハウジングの一部分上、又は、場合によっては、光学投影ユニットを支持している支持構造上に、エンコーダ素子を形成又は取り付けることも可能である。具体的には、これは、浸漬法を使用する場合、即ち、基板ユニットに最も近接して配置された光学素子の一部を、基板の一部と共に、高純度の水などの浸漬媒体中に浸漬する場合であってよい。これらの場合には、エンコーダ素子と、基板ユニットとの関連においてその位置を判定する対象である光学素子の間の相対的な位置をキャプチャすべく、最終的に別個のセンサ装置が必要であろう。
【0215】
更には、第1ミラー608.1、基板ユニット604、及び第1計測装置610は、前述の第1〜第6実施例のうちの任意のものの対応する部分を置換可能であることを理解されたい。
【0216】
第1ターゲットユニットとしての基板と、第2ターゲットユニットとしての画像センサユニットを有するこのような構成は、前述の第1〜第6実施例のうちのいずれかのものとの組み合わせにおいて使用することも可能であることを更に理解されたい。
【0217】
最後に、
図8との関連において前述したエンコーダ装置を有する計測装置は、マスクユニットの位置決めとの関連において使用することも可能であることを理解されたい。この場合には、マスクユニットのコンポーネントが、前述の第1〜第6実施例のうちのいずれかのものの対応する部分を置換可能である。
【0218】
以上においては、光学素子が反射素子のみである本発明の実施例について説明したが、本発明のその他の実施例においては、反射、屈折、又は回折素子、或いは、これらの任意の組み合わせを光学素子ユニットの光学素子として使用可能であることを理解されたい。
【0219】
更には、本発明のその他の実施例においては、前述の光学素子のサブグループ用の支持概念の任意のその他の組み合わせを選択することも可能であることを理解されたい。