特許第5816400号(P5816400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816400
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】5−HT3受容体拮抗薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/08 20060101AFI20151029BHJP
   A61K 31/5386 20060101ALI20151029BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20151029BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20151029BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   C07D498/08CSP
   A61K31/5386
   A61P43/00 111
   A61P25/24
   A61P25/28
【請求項の数】3
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2015-523192(P2015-523192)
(86)(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公表番号】特表2015-522618(P2015-522618A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013050746
(87)【国際公開番号】WO2014014951
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】61/672,709
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/708,521
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチコック、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】モネシャイン、ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】レイチャード、ホリー
(72)【発明者】
【氏名】スン、フイカイ
(72)【発明者】
【氏名】菊地 正太
(72)【発明者】
【氏名】マクリン、トッド
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス、マリア
【審査官】 清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−310749(JP,A)
【文献】 特開平05−271230(JP,A)
【文献】 特開平08−169889(JP,A)
【文献】 特開昭61−275276(JP,A)
【文献】 特表2007−530590(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/108551(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/014962(WO,A1)
【文献】 米国特許第04789673(US,A)
【文献】 欧州特許第00377967(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 498/08
A61K 31/5386
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−((1R,5S,7S)−9−メチル−3−オキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]−ノナン−7−イル)−1H−インドール−3−カルボキサミド又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物及び医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
医薬として使用するための請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−HT3受容体拮抗薬である化合物を提供する。したがって、嘔吐、疼痛、薬物依存症、神経変性及び精神疾患及びGI障害のような5−HT3受容体の阻害により治療可能な疾患の治療に有用である。また、上記化合物を含む医薬組成物及び上記化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
セロトニン3型(5−HT3)受容体はセロトニン作動系の一部である。全てG−タンパク質共役受容体であるこの系の他の受容体とは異なり、5−HT3受容体は、リガンド依存性イオンチャネルであり、ニコチン性アセチルコリン、γ−アミノ酪酸(GABA)A及びグリシン受容体、並びにZn+2活性化カチオンチャネルを含むCysループ受容体のスーパーファミリーに属する(Davies et al., 2003, J. Biol. Chem., 278, 712-717; Connolly et al., 2004, Biochem Soc Trans 32, 529-534参照)。5−HT3受容体は、ナトリウム、カリウム及びカルシウムイオンに対して透過性である、中央のイオン伝導性ポアの周囲に配置された5つのサブユニットから構成されている(Boess et al., 1995, J. Neurochem. 64, 1401-1405; Connolly et al., 2004, Biochem Soc Trans 32, 529-534参照)。5−HT3受容体へのセロトニンの結合は、順にニューロンにおける興奮性応答を導きチャネルを開く。5−HT3A又は5−HT3ABの受容体サブタイプの特性が、今日まで最も広範に研究されているので、5−HT3受容体について報告された機能的データは、5−HT3A又は5−HT3AB受容体に関している。
【0003】
5−HT3受容体は、嘔吐反射に関与し、疼痛、認知及び不安制御を処理する領域における中枢神経系で発現し、嘔吐、偏頭痛、薬物依存症、並びに神経変性及び精神疾患(例えば、不安及び鬱病(Hewlett et al., 2003 J. Clin. Psychiatry 64, 1025-1030; Kelley et al., 2003a, Eur J. Pharmacol., 461, 19-25; Haus et al., 2000 Scand J Rheumatol Suppl 113, 55-58; and Faris et al., 2006 J affect Disorder 92, 79-90参照)、摂食障害(ammer et al., 1990 Am J Physiol 259, R627-R636, and Jiang & Gietzen 1994 Pharmacol Biochem Behav 47, 59-63)、統合失調症 (Hermann et al. 1996 Biochem Biophys Res Commun 225, 957-960; Sirota et al., 2000 Am J Psychiatry 157, 287-289; Adler et al., 2005 Am J Psychiatry 162, 386-388; Koike et al., Levkovitz et al, 2005 Schizophr Res 76, 67-72参照)、統合失調症に伴う認知機能障害 (Zhang et al., 2006 Schizophr Res 88, 102-110; Akhondzadeh et al., 2009 Schizophr Res 107, 206-212参照)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、初老期認知症及びアルツハイマー病を伴う認知機能障害 (Costall and Naylor 2004 CNS Neurol Disord 3, 27-37参照)、物質乱用及び中毒 (Johnson et al., 2002 Psycho-pharmacology (Berl) 160, 408-413; Johnson, 2004 CNS Drugs 18, 1105-1118; Dawes et al., 2005 Addict Behav 30, 1630-1637, Johnson 2006 Drug Alcohol Depend 84, 256-263参照)、自閉症スペクトラム(Anderson et al Neurogenetics 10, 209-216参照)及び疼痛 (Kayser et al, 2007 Pain 130, 235; Glaum et al., 1998 Neurosci Lett 95, 313-317; Schworer & Ramadori 1993 Clin Investig 71, 659; Thompson and Lummis 2007 Exp Opin Ther Targets, 11, 527-540参照))のような疾患の発症に役割を果たしていることが知られている。さらに、5−HT3受容体は、胃腸管で発現し、それにより、消化不良、胃食道逆流症及び過敏性大腸症候群のようなGI障害において役割を果たしている可能性がある (Graeff 1997 Psychiatr Clin North Am 20, 723; Thompson and Lummis 2007 Exp Opin Ther Targets, 11, 527-540; Barnes et al. 2009 Neuropharmacology 56, 273参照)。また、5−HT3Aサブユニットの発現が、単球、軟骨細胞、T細胞、滑膜組織及び血小板のような免疫細胞の神経外 (Fiebich et al., 2004 Scan J Rheumatol Suppl, 9-11, Stratz et al., 2008 Thromb Haemost 99, 784)、腸粘膜の上皮における粘膜固有層内の5−HT3A、C−E (Kapeller et al., J Comp Neuro., 2008; 509: 356-371)で見出されている。このように、アテローム性動脈硬化症、腱筋障害及び線維筋痛症のような免疫性及び炎症性疾患に関与している可能性を示唆している。
【0004】
現在市販されている5−HT3拮抗薬は、嘔吐又は過敏性大腸症候群の治療でのみ承認されている。統合失調症及び統合失調症を伴う認知障害のような5−HT3受容体により緩和できる他の疾患の治療に用いることが可能な5−HT3拮抗薬を発見することが望まれている。本発明は、これと関連したニーズを満たすことができる。ニコチンα7受容体への選択性のような望ましい薬物動態及び薬力学的特性を有する5−HT3拮抗薬を発見することが望まれている。
【0005】
特定の拮抗薬の5−HT3受容体は、US4,789,763;US4,803,199;US4,886,808;US4,910,193;US5,334,831;EP0469449;及びEP0491664に記載されている。TGF−βの特定の阻害剤は、EP1156045に記載されており、腎炎の特定の治療は、EP1243268に記載されている。5−HT4の特定の拮抗薬は、EP0708105に記載されている。ニコチンα7受容体の特定のリガンドは、WO2007/038367に記載されている。特定のP2X7拮抗薬は、WO2009/023623に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
第一の形態として、本発明は、式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
[式中:
Zは、O又はNR(式中、Rは水素又はC1−6アルキルである。)であり;
は、下記式(a)〜(h)の環であり:
【0009】
【化2】
【0010】
は、水素、C1−6アルキル又はC1−6ハロアルキルであり;
は、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ又はハロであり、いずれかの環中の炭素原子上に存在することができ;
は、独立して、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルコキシ、シアノ又はハロから選ばれる1又は2個の置換基でそれぞれ置換されていてもよいピリジニル又はピラゾリルであり;
〜Xの全てがCRであるか、或いはX〜Xの何れか1つがNであり且つその他がCRであり;
は、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ又はシアノであり、Rの少なくとも一つが水素であり;
は、N又はCR(式中、Rは、水素、C1−6アルキル又はハロである。)である。]
の化合物、又はその医薬上許容される塩若しくはそのN−オキシドを対象とする。
【0011】
第二の形態において、本発明は、式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0012】
第三の形態において、本発明は、5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患の治療方法であって、式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)、及び/又は医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を患者に投与することを含む方法を対象とする。すなわち、本発明は、治療有効量の式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)又はその医薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患の治療方法を提供する。
【0013】
第三の形態の1つの実施形態において、5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患は、嘔吐、偏頭痛、物質乱用及び中毒、不安及び鬱病、摂食障害、統合失調症、統合失調症に伴う認知機能障害、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、初老期認知症及びアルツハイマー病のような神経変性及び精神疾患、及び疼痛;消化不良、胃食道逆流症及び過敏性大腸症候群のようなGI障害;及びアテローム性動脈硬化症、腱筋障害(tendomyopathies)及び線維筋痛症のような免疫学的障害及び炎症である。第三の形態の他の実施形態において、5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患は、統合失調症又は統合失調症に伴う認知機能障害である。
【0014】
第四の形態において、式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)又はその医薬上許容される塩は、抗精神病薬と組み合わせて投与される。第四の形態の1つの実施形態において、抗精神病薬は、AMG747、ビトペルチン(RG1678)、RG1578、AMG579、GSK1018921、アリピプラゾール、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン又はクロザピンである。
【0015】
第五の形態において、本発明は、式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)又はその医薬上許容される塩の医薬としての使用を対象とする。
【0016】
第六の形態において、本発明は、本明細書に開示されたような5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患の治療に使用するための、式(I)の化合物(或いは、本明細書に開示されているそのいずれかの実施形態)又はその医薬上許容される塩を対象とする。
【0017】
第五及び第六の形態の1つの実施形態において、使用は、嘔吐、偏頭痛、物質乱用及び中毒、不安及び鬱病、摂食障害、統合失調症、統合失調症に伴う認知機能障害、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、初老期認知症及びアルツハイマー病のような神経変性及び精神疾患、及び疼痛;消化不良、胃食道逆流症及び過敏性大腸症候群のようなGI障害;及びアテローム性動脈硬化症、腱筋障害及び線維筋痛症のような免疫学的障害及び炎症の治療のための使用である。第五及び第六の形態の他の実施形態において、使用は、統合失調症又は統合失調症に伴う認知機能障害(cognitive dysfunction)(統合失調症に伴う認知機能障害(cognitive impairment)としても知られる。)の治療のための使用である。第五及び第六の形態のさらなる他の実施形態及び本明細書に含まれる実施形態において、式(I)の化合物は、抗精神病薬と組み合わせて投与される。1つの実施形態において、抗精神病薬は、AMG747、ビトペルチン(RG1678)、RG1578、AMG579、GSK1018921、アリピプラゾール、リスペリドン、オランザピン、オランザピン、クエチアピン、又はジプラシドン、クロザピンである。
【発明の詳細な説明】
【0018】
(定義)
特に明記しない限り、明細書及び請求項で用いられる以下の用語は、本出願の目的のために定義され、以下の意味を有する:
【0019】
「C1−6アルキル」とは、1〜6個の炭素原子の一価の直鎖状の飽和炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の一価の分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル(全ての異性体型を含む)、ペンチル(全ての異性体型を含む)等である。
【0020】
「C1−6アルコキシ」とは、−OR基(式中、Rは、上記定義のC1−6アルキルを示す。)を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又は2−プロポキシ、n−、イソ−又はtert−ブトキシ等である。
【0021】
「C1−6ハロアルキル」とは、1個以上のハロゲン原子、好ましくは1〜5個のハロゲン原子(好ましくはフッ素又は塩素)で置換された上記定義のC1−6アルキル基を意味し、異なるハロゲンで置換されたものを含み、例えば、−CHCl、−CF、−CHF、−CHCF、−CFCF、−CF(CH等である。C1−6アルキルがフルオロのみで置換されている場合、C1−6フルオロアルキルとして本出願で言及され得る。
【0022】
「C1−6ハロアルコキシ」とは、−OR基(式中、Rは上記定義のC1−6ハロアルキルである。)を意味し、例えば、−OCF、−OCHF等である。Rが、C1−6アルキルがフルオロのみで置換されたハロアルキルの場合、C1−6フルオロアルコキシとして本出願で言及され得る。
【0023】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味し、好ましくはフルオロ又はクロロである。
【0024】
また、本発明には、式(I)の化合物のプロドラッグが含まれる。用語プロドラッグは、プロドラッグを哺乳動物対象に投与した場合に、それぞれが式(I)の活性成分を放出することができる共有結合性の担体を表すことを意図している。活性成分の放出はインビボで起こる。プロドラッグは、当業者に周知の技術により調製することができる。これらの技術は、一般的に、与えられた化合物において適切な官能基を修飾する。しかしながら、これらの修飾された官能基は、インビボで又は所定の処置により、元の官能基を再生成する。式(I)の化合物のプロドラッグには、ヒドロキシ、アミノ、カルボン酸又は同様の基を修飾した化合物が含まれる。プロドラッグとしては、例えば、エステル類(例えば、アセテート、ホルマート及びベンゾアート誘導体)、式(I)の化合物中ヒドロキシ又はアミノ官能基のカルバメート類(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、アミド類(例えば、トリフルオロアセチルアミノ、アセチルアミノ等)等が挙げられるが、これらに限定されない。また、式(I)の化合物のプロドラッグは、本発明の範囲内である。
【0025】
また、本発明には、式(I)の化合物の保護誘導体が含まれる。例えば、式(I)の化合物にヒドロキシ、カルボキシ、チオール又は窒素原子を含有する任意の基のような基が含まれる場合、これらの基を適切な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的リストは、「T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc. (1999)」で見出すことができ、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。式(I)の化合物の保護誘導体は、当技術分野でよく知られた方法で調製することができる。
【0026】
化合物の「医薬上許容される塩」とは、医薬上許容され、親化合物の所望の薬理活性を備える塩を意味する。このような塩としては:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸;又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等のような有機酸と形成する酸付加塩;又は親化合物に酸性プロトンが存在する場合、金属イオン(例、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン又はアルミニウムイオン)と置き換わることにより形成する塩;或いはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等のような有機塩基で調製される塩が挙げられる。医薬上許容される塩は非毒性であると理解される。望ましい医薬上許容される塩のさらなる情報は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed」、「Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985」で見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明の化合物は、不斉中心を有していてもよい。非対称に置換された原子を含む本発明の化合物 は、光学活性体又はラセミ体に単離することができる。原料の分割ような光学活性形態を得る方法は当技術分野でよく知られている。全てのキラル体、ジアステレオマー体、メソ体、ラセミ体は、具体的な立体化学又は異性体が具体的に示されていない限り、本発明の範囲内である。
【0028】
さらに、本明細書で用いられる用語C1−6アルキル及びそれらか派生する用語は、上記C1−6アルキル基の可能な全ての異性体形態を含む。さらに、ヘテロアリールは全ての位置異性体を含む。さらに、式(I)の化合物の全ての多形型及び水和物が、本発明の範囲内である。
【0029】
用語「化合物」及び「本発明化合物」及び「本発明の化合物」等並びにそれらの複数形には、式(I)の実施形態、本明細書に記載の式(I)により包含されるその他のさらに特定の実施形態、及び本明細書に記載の例示化合物、又はこれらの実施形態それぞれの医薬上許容される塩が含まれる。化合物への全ての参照は、同位体ラベル化合物を含む、そこに含まれる原子の全ての同位体を含む。
【0030】
本発明の化合物は互変異性体として存在する。本発明の化合物の全ての互変異性体型は、本発明の範囲内と考えられる。
【0031】
「任意」又は「よい」は、前方に記載される事象又は状況が起こってもよいが、起こる必要のないことを意味し、明細書には、事象又は状況が起こる場合の例と、起こらない場合の例が含まれる。
【0032】
「医薬上許容される担体又は賦形剤」は、一般的に安全で非毒性で、生物学的にもそれ以外にも望ましい、医薬組成物の調製に有用な担体又は賦形剤を意味し、ヒトでの医薬使用同様に獣医学的にも使用できる担体又は賦形剤が挙げられる。明細書及び特許請求の範囲で使用される「医薬上許容される担体/賦形剤」としては、単数及び複数のそのような賦形剤が含まれる。医薬上許容される賦形剤は、当技術分野でよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1985に記載されているものである。
【0033】
用語「状態」、「障害」及び「疾患」は、任意の不健康或いは異常な状態に関する。
【0034】
疾患の「状態」、「治療」又は「治療」としては:
(1) 疾患を予防すること、即ち、疾患にさらされるか、或いは疾患にかかりやすい可能性があるが、まだ疾患の症状を経験していない或いは疾患の症状が出ていない哺乳動物において疾患の臨床症状を発症させないこと;
(2) 疾患を阻害すること、即ち、疾患又はその臨床症状の発症を、抑止、制御、減速、停止または抑制すること;或いは
(3) 疾患を軽減すること、即ち、疾患又はその臨床症状を退行させるか、或いは疾患又はその臨床症状を改善させることが挙げられる。
【0035】
用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、必ずしも何れか或いは全ての症状の完治、或いは疾患の治癒を示すものではない。
【0036】
本明細書で用いられる、用語「患者」及び「対象」としては、ヒト及び非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタのような哺乳動物)が挙げられる。また、その用語には、鳥類、魚類、爬虫類、両生類等も含まれる。より特定の患者はヒトと理解される。また、より特定の患者及び対象は、マウス、ラット及びイヌのような非ヒト哺乳動物である。
【0037】
「治療有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物に単数又は複数用量で投与した場合に、そのような疾患の治療を達成するのに十分な、式(I)の化合物又はその医薬上許容される塩の量を意味する。「治療有効量」は、治療するための哺乳動物の化合物、疾患及びその重症度及び年齢、体重等、又は合併症の程度、状態の重症度、障害又は疾患、個々の患者の反応;投与される特定化合物;投与様式;投与調剤の生物学的利用能の特性;選ばれた投与レジメン;併用薬の使用;及びその他の関連する状況に応じて変化し得る。
【0038】
用語「5−HT3受容体拮抗薬の投与により治療可能な疾患」としては、嘔吐、偏頭痛、物質乱用及び中毒、不安及び鬱病、摂食障害、統合失調症、統合失調症に伴う認知機能障害、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、初老期認知症及びアルツハイマー病のような神経変性及び精神疾患、及び疼痛;消化不良、胃食道逆流症及び過敏性大腸症候群のようなGI障害;及びアテローム性動脈硬化症、腱筋障害及び線維筋痛症のような免疫学的障害及び炎症が挙げられる。特定の実施形態において、疾患は、統合失調症に伴う認知機能障害(cognitive dysfunction)(統合失調症に伴う認知機能障害(cognitive impairment)としても知られる。)である。
【0039】
代表的な本発明の化合物を下記表1に示す:
【0040】
【表1-1】
【0041】
【表1-2】
【0042】
【表1-3】
【0043】
【表1-4】
【0044】
【表1-5】
【0045】
【表1-6】
【0046】
【表1-7】
【0047】
【表1-8】

【0048】
実施形態:
実施形態(A)
1つの実施形態における発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩は、ZがOである。
【0049】
実施形態(B)
1つの実施形態における発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩は、ZがNRである。本実施形態における他の化合物群において、Rが水素である。本実施形態における他の化合物群において、Rがメチルである。
【0050】
実施形態(C)
発明の概要及び上記実施形態(A)及び(B)並びに化合物の一群における本明細書に含まれる群において定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩の他の実施形態において、Rは、式:
【0051】
【化3】
.
【0052】
の環である。
【0053】
(a) 実施形態(C)の群における化合物の一群において、Rは式(a)又は(d)の環である。1つの実施形態の(a)において、Rは、式
【0054】
【化4】
【0055】
の環である。
【0056】
(b) 実施形態(C)の群における他の化合物群において、Rは式(e)、(f)又は(g)の環である。(b)における化合物の一群において、Rは式(e)の環である。(b)における化合物の一群において、Rは、式(f)又は(g)の環である。(b)における化合物の一群において、Rは、式:
【0057】
【化5】
【0058】
の環である。
【0059】
(i) 実施形態(C)及び本明細書に含まれる実施形態の群(即ち、(a)及び(b)並びに本明細書に含まれる群)における化合物の一群において、Rが、それぞれ独立して、水素又はメチルである。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rのそれぞれが水素である。
【0060】
(ii) 実施形態(C)及び本明細書に含まれる実施形態の群(即ち、(a)及び(b)並びに本明細書に含まれる群)における化合物の一群において、Rのそれぞれが、独立して水素又はメチルであり、Rが水素である。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rは、水素であり、Rのそれぞれが水素である。
【0061】
(iii) 実施形態(C)及び本明細書に含まれる実施形態(即ち、(a)及び(b)並びに本明細書に含まれる群)の群における化合物の一群において、Rのそれぞれが、独立して水素又はメチルであり、Rが、C1−6アルキルである。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rが、メチル、エチル又はプロピルであり、Rのそれぞれが水素である。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rがメチルであり、Rのそれぞれが水素である。
【0062】
(iv) 実施形態(C)及び本明細書に含まれる実施形態(即ち、(a)及び(b)並びに本明細書に含まれる群)の群における化合物の一群において、Rのそれぞれが、独立して水素又はメチルであり、Rが、C1−6ハロアルキルである。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rのそれぞれが、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル又は2,2,2−トリフルオロエチルであり、Rのそれぞれが水素である。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rが、トリフルオロメチルであり、Rのそれぞれが水素である。
【0063】
(v) 実施形態(C)及び本明細書に含まれる実施形態(即ち、(a)及び(b)並びに本明細書に含まれる群)の群における化合物の一群において、Rが、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【0064】
実施形態(D)
他の実施形態における発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩及び上記実施形態(A)、及び(B)及び本明細書に含まれる群における化合物の一群において、Rは、式:
【0065】
【化6】
【0066】
の環である。
【0067】
(a1) 実施形態(D)の群における化合物の一群において、Rは式(c)又は(h)の環である。本実施形態における化合物の一群において、キラル炭素の立体化学は、(R)又は(S)である。
【0068】
(b1) 実施形態(D)の群における化合物の一群における、Rは、式(b)の環である。
【0069】
(vi) 実施形態(D)及び本明細書に含まれる実施形態の群、即ち、(a1)及び(b1)及び本明細書に含まれる群における化合物の一群において、Rは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。化合物のこれらの群における化合物の一群において、Rのそれぞれが水素である。
【0070】
実施形態(E)
1つの実施形態において、発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩及び上記実施形態(A)、(B)、(C)及び(D)並びに本明細書に含まれる実施形態において、Rは、独立してC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルコキシ、シアノ又はハロから選ばれる1又は2個の置換基で置換されていてもよいピリジニルである。
【0071】
実施形態(E)の群において、ピリジニルが、下記式:
【0072】
【化7】
【0073】
[式中、X〜Xの何れか1つが、Nであり、1又は2個の任意の置換基であるRは、独立して、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルコキシ、シアノ又はハロから選ばれ、何れかの炭素上に存在することができる。]
で表されると理解される。
【0074】
実施形態(E)の群における他の化合物群において、XがNである。実施形態(E)の群における他の化合物群において、XがNである。実施形態(E)の群における他の化合物群において、XがNである。
【0075】
実施形態(F)
1つの実施形態において、発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩及び上記実施形態(A)、(B)、(C)、及び(D)並びに本明細書に含まれる実施形態において、Rは、独立してC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルコキシ、シアノ又はハロから選ばれる1又は2個の置換基で置換されていてもよいピラゾリルである。
【0076】
実施形態(F)の群において、ピラゾリルは、下記式:
【0077】
【化8】
【0078】
[式中、Rのピラゾリルは、何れかの環炭素により結合されることができ、R及びRは、1又は2個の任意の置換基であり、Rは、独立してC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C1−6アルコキシ、シアノ又はハロから選ばれ、何れかの炭素原子上に存在することができ、Rは、水素又はC1−6アルキルである。]
により表されると理解される。
【0079】
実施形態(G)
他の実施形態において、発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩及び上記実施形態(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)並びに本明細書に含まれる群における化合物の一群において、X、X、X及びXは、それぞれ、CRである。本実施形態(G)における他の化合物群において、Rは、それぞれ水素である。
【0080】
(c1) 実施形態(G)の群における化合物の一群において、XはNである。
【0081】
(d1) 実施形態(G)の群における他の化合物群において、XはCRである。本化合物群における一群において、Rが水素である。
【0082】
本実施形態(G)における他の化合物群において、Rは、それぞれ水素である。
【0083】
実施形態(G)の群における他の化合物群において、Rの何れか1つはフルオロ又はシアノである。本化合物群における他の群において、Rのシアノは、C−5位に位置する(Rで置換された窒素原子が1位である。)。本化合物群における他の群の他の化合物群において、Rのフルオロは、C−5位に位置する(Rで置換された窒素原子が1位である。)。
【0084】
実施形態(H)
他の実施形態における発明の概要で定義された式(I)の化合物又はその薬学上の塩及び上記実施形態(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)及び群において、X、X、X及びXの何れか1つがNである。化合物のこれらの群における化合物の一群において、XがNである。
【0085】
(e1) 化合物の一群における実施形態(H)の群において、XはNである。
【0086】
(f1) 他の化合物群における実施形態(H)の群において、XがCRであり且つRが水素である。
【0087】
実施形態(H)の群における化合物の一群において、Rはそれぞれ水素である。
【0088】
他の化合物群における実施形態(H)、(e1)及び(f1)の群において、Rの何れか1つがフルオロ又はシアノである。本化合物群における他の群において、Rのシアノは、C−5位に位置する(Rで置換された窒素原子が1位である。)。本化合物群における他の群の他の化合物群において、Rのフルオロは、C−5位に位置する(Rで置換された窒素原子が1位である。)。
【0089】
(一般的な合成スキーム)
本発明の化合物は、下記反応スキームに示される方法及び当技術分野で周知の他の方法により製造することができる。
【0090】
出発原料及びこれらの化合物の調製に用いる試薬は、アルドリッチケミカル社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、バッヘム社(カリフォルニア州トーランス)、またはシグマ社(ミズーリ州セントルイス)のような商業的供給業者から利用できるか、或いは、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-17 (John Wiley and Sons, 1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989);Organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley and Sons, 1991), March’s Advanced Organic Chemistry, (John Wiley and Sons, 4th Edition)及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989) のような参考文献に記載された手順に従って、当業者に公知の方法により調製される。これらのスキームは、本発明の化合物の合成が可能な一部の方法の単なる例示であり、これらのスキームに対する様々な変更が可能であり、それは、本明細書の開示を参照した当業者により示唆されるであろう。出発原料及び中間体、並びに反応の最終生成物は、必要に応じて、従来技術(ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むが、これらに限定されない。)を用いて、分離し、精製してもよい。そのような物質は、従来の方法(物理定数及びスペクトルデータを含む)を用いて同定してもよい。
【0091】
本明細書中に記載の反応は、特記されていない限り、大気圧下で、約−78℃から約150℃の温度範囲、より好ましくは約0℃から約12℃の温度範囲、最も好ましくは、およそ室温(或いは大気温)(例えば約20℃)にて行うことができる。
【0092】
式(I)の化合物は、下記スキームAで説明及び記載されるようにして得ることができる。
【0093】
【化9】
【0094】
工程1は、R及び式1の化合物(式中、Rは、C1−6アルキルのような酸保護基である。)のN−1窒素との間のC−N結合形成を含む。式1の化合物、RLG(式中、LGは、スルホナート又はハロのような脱離基である。)、及びRB(OH)、又はそのエステルは、市販のものであるか、或いは当技術分野でよく知られた方法で調製することができる。例えば、5−フルオロ−2−メチルインドール−3−カルボン酸エチルエステル、4,5−ジフルオロ−2−メチルインドール−3−カルボン酸エチルエステル、1H−インドール−3−カルボン酸(5−メトキシ−)メチルエステル、5−フルオロ−1H−インドール−3−カルボン酸メチルエステル、エチル5−メチル−1H−インドール−3−カルボキシラート、4,5−ジフルオロ−2−メチルインドール−3−カルボン酸エチルエステル、5−シアノ−2−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸メチルエステル、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボン酸(5−フルオロ−)メチルエステル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸(5−メチル−)メチルエステル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸(5−フルオロ−)メチルエステルが、商業的に利用可能である。
【0095】
塩基水溶液条件下でエステルを加水分解して、式2の対応する化合物を得る。次いで、化合物2を、化合物2の活性酸誘導体を形成させ、続いて、RNH又はROH(式中、Rは、発明の概要での定義の通りである。)又はその窒素保護誘導体と反応させることにより、式(I)の化合物(式中、Zは、NR又はOである。)又はその窒素保護誘導体に転換する。例えば、活性酸誘導体は、トルエン又はCDI中のTFAAとTFAの混合物、若しくはBocO;又は酸ハロゲン化物(例えば塩化オキサリル、塩化チオニル)との混合酸無水物;或いは塩基(例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン)及び溶媒(例えばDMF等)の存在下で、標準的なペプチドカップリング剤(例えばHATU)を用いる標準的な条件で混合して得られるものであり得る。RNH又はROHの窒素保護誘導体を用いる場合、保護基を除去することにより、式(I)の化合物が得られる。式RNH又はROHのアミン及びアルコール又はその窒素保護誘導体は、市販のものであるか、或いは当技術分野の周知の方法でより調製することができる(例えば、(1S,5R,6S)−4−オキサ−1−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−6−オールは、Journal of Medicinal Chemistry, 1993, 36, 683-689の記載と同様にして得ることができる。
【0096】
別の方法として、式Iの化合物は、まず、化合物1(RがH)の酸誘導体を、上記のRNH又はROHとカップリングし、続いて、上記スキームAの工程1に記載のようにN−C結合を形成することにより合成することができる。
【0097】
上記手順を介する式(I)の化合物の合成の詳細な説明は、下記の実施例にて提供する。
【0098】
(有用性)
5−HT3受容体は、嘔吐反射に関する領域の中枢神経系において発現し、疼痛、認知及び不安の制御を処理し、嘔吐、偏頭痛、薬物依存症、並びに神経変性及び精神疾患(例えば、不安及び鬱病 (Hewlett et al., 2003 J. Clin. Psychiatry 64, 1025-1030; Kelley et al., 2003a, Eur J. Pharmacol., 461, 19-25; Haus et al., 2000 Scand J Rheumatol Suppl 113, 55-58; and Faris et al., 2006 J affect Disorder 92, 79-90参照)、摂食障害 (Hammer et al., 1990 Am J Physiol 259, R627-R636, and Jiang & Gietzen 1994 Pharmacol Biochem Behav 47, 59-63)、統合失調症 (Hermann et al. 1996 Biochem Biophys Res Commun 225, 957-960; Sirota et al., 2000 Am J Psychiatry 157, 287-289; Adler et al., 2005 Am J Psychiatry 162, 386-388; Koike et al., Levkovitz et al, 2005 Schizophr Res 76, 67-72参照)、統合失調症に伴う認知機能障害 (Zhang et al., 2006 Schizophr Res 88, 102-110; Akhondzadeh et al., 2009 Schizophr Res 107, 206-212参照)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、初老期認知症及びアルツハイマー病を伴う認知機能障害 (Costall and Naylor 2004 CNS Neurol Disord 3, 27-37参照)、物質乱用及び中毒 (Johnson et al., 2002 Psycho-pharmacology (Berl) 160, 408-413; Johnson, 2004 CNS Drugs 18, 1105-1118; Dawes et al., 2005 Addict Behav 30, 1630-1637, Johnson 2006 Drug Alcohol Depend 84, 256-263参照)、及び疼痛 (Kayser et al, 2007 Pain 130, 235; Glaum et al., 1998 Neurosci Lett 95, 313-317; Schworer & Ramadori 1993 Clin Investig 71, 659; Thompson and Lummis 2007 Exp Opin Ther Targets, 11, 527-540参照))のような疾患の発症において役割を果たしていることが知られている。さらに、5−HT3受容体は、胃腸管で発現し、それにより、消化不良、胃食道逆流症及び過敏性大腸症候群のようなGI障害において役割を果たしている可能性がある(Graeff 1997 Psychiatr Clin North Am 20, 723; Thompson and Lummis 2007 Exp Opin Ther Targets, 11, 527-540; Barnes et al. 2009 Neuropharmacology 56, 273参照)。また、5−HT3Aサブユニットの発現が、単球、軟骨細胞、T細胞、滑膜組織及び血小板のような免疫細胞の神経外 (Fiebich et al., 2004 Scan J Rheumatol Suppl, 9-11, Stratz et al., 2008 Thromb Haemost 99, 784)、腸粘膜の上皮における粘膜固有層内の5−HT3A、C−Eの神経外 (Kapeller et al., J Comp Neuro., 2008; 509: 356-371)で見出されている。このように、アテローム性動脈硬化症、腱筋障害及び線維筋痛症のような免疫性及び炎症性疾患に関与している可能性を示唆している。
【0099】
(試験)
本発明の化合物の5−HT3阻害活性は、下記の生物試験例1、2及び3に記載されているインビトロアッセイおよびインビボアッセイを用いて試験することができる。
【0100】
(投与及び医薬組成物)
一般的に、本発明の化合物は、同様の効用を持つ薬剤のための許容される投与様式のいずれかで治療有効量が投与され得る。式(I)の化合物の治療有効量は、単一又は複数用量で投与することができる、1日、患者体重kgあたり約0.01から約75mgの範囲であればよい。投薬量水準は、好ましくは、1日あたり約0.01から約10mg/kg;より好ましくは1日あたり約0.5から約5mg/kg又は0.1〜2mg/kg/日であり得る。経口投与に関し、組成物は、好ましくは、約0.5から約200ミリグラム(約0.5、1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150又は200ミリグラムから)の活性成分を含む錠剤の形態で提供される。本発明の化合物、即ち、活性成分の実際の量は、非常に多くの要素(例えば、治療される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康状態、利用する化合物の効力、投与経路及び形態、及びその他の要因)に依存し得る。これらの用量は、約60kg〜約70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づくが、医師は、この体重の範囲外である患者(例、幼児)に対する適切な用量を決定することができるであろう。
【0101】
一般的に、本発明の化合物は、以下の経路のいずれか1つにより医薬組成物として投与され得る:経口、全身(例、経皮的、鼻腔内、或いは坐剤による)、又は非経口(例、筋肉内、静脈内又は皮下)投与。好ましい投与方法は、苦痛の程度に従って調整することができる使用が容易な1日投与量の投薬計画を用いる経口投与である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体剤、散剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、又はその他の適切な組成物の形態をとり得る。
【0102】
製剤の選択は、薬剤投与(例えば、経口投与のためには、錠剤、丸剤又はカプセル剤の形態の製剤が好ましい)、及び薬剤物質の生物学的利用能の状態のような様々な要因に依存する。近年、医薬製剤については、生物学的利用能が、表面積を増加させる(即ち粒径を減らすこと)により増加させることができるという原理に基づいて、低い生物学的利用能を示す薬剤について開発されてきた。例えば、米国特許No.4,107,288には、活性原料が高分子の架橋マトリクスに支持された10から1,000nmのサイズ範囲の粒子を有する医薬製剤が開示されている。米国特許No.5,145,684には、薬剤物質を、表面改質剤の存在下でナノ粒子(平均粒径400nm)に粉砕した後、液体媒体中に分散し、顕著に高い生物学的利用能を示す医薬製剤を得るという医薬製剤の製造が記載されている。
【0103】
組成物は、一般的に、式(I)の化合物と、少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤との組み合わせで構成される。許容される賦形剤は、非毒性であり、投与を助け、式(I)の化合物の治療的利益に影響を与えない。そのような賦形剤は、一般的に当業者に利用可能な、任意の固体、液体、半固体賦形剤、或いはエアロゾル組成物の場合は、ガス状の賦形剤であってもよい。
【0104】
固体の医薬上の賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク等が挙げられる。液体及び半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレン グリコール、水、エタノール、及び石油、動物、野菜又は合成由来のものを含む様々な油(例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等)から選ばれ得る。好ましい液体担体、特に注射用液剤のための担体としては、水、食塩水、水性デキストロース及びグリコールが挙げられる。
【0105】
圧縮ガスを、エアロゾル形態で本発明の化合物を分散させるために用いてもよい。この目的に適している不活性ガスは、窒素、二酸化炭素等である。
【0106】
他の適切な医薬上の賦形剤及びそれらの製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, edited by E. W. Martin(マック・パブリッシング社、第18版、1990年)に記載されている。
【0107】
製剤中の化合物の水準は、当業者によって用いられる全範囲内で変化させることができる。通常、製剤は、重量パーセント(重量%)ベースで、全製剤に基づき、約0.01〜99.99重量%の式(I)の化合物が含まれ、残りに1種以上の適切な医薬上の賦形剤が含まれ得る。好ましくは、化合物が約1〜80重量%の水準で存在する。
【0108】
本発明の化合物は、本発明の化合物と他の薬剤が有効な疾患又は状態の治療において、1種以上の他の薬剤と組み合わせて用いてもよく、薬剤を一緒に組み合わせた場合、どちらかの薬剤を単独で用いるよりも安全であるか或いは効果的であり得る。そのような他の薬剤は、一般的に用いられる経路及び量にて、同時に或いは順次、本発明の化合物と共に用いてもよい。本発明の化合物を1種以上の他の薬剤と同時に用いる場合、そのような他の薬剤と本発明の化合物を含む単位剤形の医薬組成物を用いることができる。しかしながら、組み合わせ治療には、本発明の化合物と1種以上の他の薬剤とを異なる重複スケジュールで投与する治療法も含まれ得る。また、1種以上の他の活性成分と組み合わせ用いる場合、本発明の化合物と他の活性成分は、それぞれ単独で用いるよりも低用量で使用することができると考えられる。
【0109】
従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の活性成分を含むものも包含する。
【0110】
上記の組み合わせには、本発明の化合物と、1種の他の活性化合物との組み合わせのみならず、2種以上の他の活性化合物との組み合わせが含まれる。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用な疾患又は状態の予防、治療、管理、改善、或いはリスクを減らすために用いられる他の薬剤と組み合わせて用いてもよい。従って、そのような他の薬剤は、一般的に用いられる経路及び量にて、同時に或いは順次、本発明の化合物と共に投与してもよい。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の活性成分を含むものも包含する。本発明の化合物の第二の活性成分に対する重量比は、変動し得るものであり、それぞれの成分の有効量に依存するであろう。一般的にそれぞれの有効量が用いられるであろう。
【0111】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、アルツハイマー病治療剤、ベータ−セクレターゼ阻害剤、ガンマ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含むNSAID、ビタミンE及び抗アミロイド抗体と組み合わせて投与してもよい。他の実施形態において、本発明の化合物は、鎮静薬、催眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、弱精神安定剤、メラトニン作動薬及び拮抗薬、メラトニン作用薬、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸、mGlu2/3作動薬、5HT−2拮抗薬、PDE10拮抗薬、GlyT1阻害剤等、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルピリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロぺリドン、クロラゼプ酸、クロルジアゼポキシド、クロレタート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキシクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、フォサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゾパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゾパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゾパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、カニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル][5−メタンスルホニル−2−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ)フェニル]メタノン(RG1678)、US特許7538114(カラム14の表1)に開示されたGlyT1阻害剤及びその塩、及びそれらの組み合わせと組み合わせて投与してもよい。
【0112】
他の実施形態において、本発明の化合物は、レボドパ(カルビドパ又はベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤を伴う或いは伴わない)、ビペリデン(その塩酸塩又は乳酸塩であってもよい)及びトリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン作用薬、エンタカポンのようなCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化薬、A2aアデノシン受容体拮抗薬、コリン作動薬、NMDA受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬、並びにアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールのようなドーパミン受容体と組み合わせて用としてもよい。ドーパミン作動薬は、医薬上許容される塩の形態であってもよく、例えば、臭化水素酸アレンテモール、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸フェノルドパム、塩酸ナキサゴリド及びメシル酸ペルゴリドであってもよいと理解されるであろう。リスリド及びプラミペキソールは一般的に非塩形態で使用される。
【0113】
他の実施形態において、本発明の化合物は、神経弛緩剤のフェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロン類からなる化合物と組み合わせて投与してもよい。フェノチアジンの望ましい例としては、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが挙げられる。チオキサンテンの望ましい例としては、クロルプロチキセン及びチオチキセンが挙げられる。ジベンゾアゼピンは、例えばクロザピンである。ブチロフェノンは、例えばハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンは、例えばピモジドである。インドロンは、例えばモリンドロンである。その他の神経弛緩剤としては、ロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが挙げられる。神経弛緩剤は、主題化合物と組み合わせて用いる場合、医薬上許容される塩の形態であってもよく、例えば、塩酸クロルプロマジン、ベシル酸メソリダジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸チオチキセン、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン及び塩酸モリンドンであってもよい理解されるであろう。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは一般的に非塩形態で使用される。したがって、本発明の化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルピリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパとベンセラジド、レボドパとカルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン又はジプラシドンと組み合わせて投与してもよい。
【0114】
他の実施形態において、本発明の化合物は、抗鬱剤又は抗不安薬(ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(三級アミン三環系及び二級アミン三環系を含む)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼ可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRl)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)拮抗薬、副腎受容体拮抗薬、ニューロキニン−1受容体拮抗薬、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン類、5−HTA作動薬又は拮抗薬(特に5−HTA部分作動薬及び副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)拮抗薬)を含む)と組み合わせて投与してもよい。具体的な薬剤としては:アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレギリン;モクロベミド、ベンラファキシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン並びにこれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【実施例】
【0115】
以下の式(I)の化合物の調製法は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することを可能にするために与えられる。それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単なるその代表的な例示であると考えるべきである。
【0116】
(合成法)
参考例1
(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-ヒドロキシ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラートの合成
【0117】
【化10】
【0118】
水素化ホウ素ナトリウム(259 mg, 6.84 mmol)を、(1R,5S)-tert-ブチル 7-オキソ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(550 mg, 2.279 mmol)のMeOH(4559 μl)溶液に0℃で少しずつ加えた。5分後、反応混合物を室温に昇温し、次いで30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcに溶解し、食塩水で洗浄した。まとめた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0119】
参考例2
(1R,5S,7S)-9-メチル-d3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミンの合成
【0120】
【化11】
【0121】
工程1: (1R,5S)-9-メチル-d3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オン
リン酸二水素ナトリウム水和物(22.30 g, 162 mmol)及び2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸(4.90 g, 25.5 mmol)の水(体積: 506 ml)溶液に、メチル-d3-アミン塩酸塩(5 g, 70.9 mmol)及び3-オキソペンタン二酸(11.91 g, 82 mmol)を順に加えた。10%NaOH水溶液でpHを4.6に調整した。2,2’-オキシジアセトアルデヒド (3.62 g, 35.4 mmol)の8 mL MeOH溶液を、室温で加え、得られた混合物を室温で3日間撹拌した。10%NaOH水溶液を用いて反応溶液を塩基性化し、DCM (100 mL)で抽出した。カラムクロマトグラフィー(SiO2; DCM/MeOH)で精製し、白色固体として標題化合物を得た。
【0122】
工程2: (1R,5S)-9-メチル-d3-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オン オキシム
(1R,5S)-9-メチル-d3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オン(1.65 g, 10.43 mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.761 g, 10.95 mmol)及びピリジン(0.843 ml, 10.43 mmol)のEtOH溶液(体積: 52.1 ml)を75℃で3時間加熱した。0.2 mLのトリエチルアミンを、反応溶液に加えた後、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2; DCM/MeOH)で精製し、白色固体として標題化合物を得た。
【0123】
工程3: (1R,5S,7S)-9-メチル-d3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミン
硫酸 (1.108 ml, 20.78 mmol)を、よく撹拌した水素化アルミニウム(III)リチウム(1.0 M THF中, 41.6 ml, 41.6 mmol)のTHF(体積: 41.6 ml)溶液に、0℃で15分かけて滴下した。混合物をさらなる時間0℃で撹拌し、次いで(1R,5S)-9-メチル-d3-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オンオキシム(1.8 g, 10.39 mmol)を、少しずつ0℃で加えた。反応混合物を、還流下(80 ℃)で1.5時間加熱した。よく撹拌した反応混合物に、1.58 mLの水、2.37 mLの10 M NaOH及び3.95 mLの水を0℃で加えた。結果として得られた懸濁液をセライトパッドでろ過し、THFで洗浄した。まとめた有機相を減圧下で濃縮し、淡黄色油状物として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0124】
参考例3
(1R,5S,7S)--9-(トリフルオロメチル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミン 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の合成
【0125】
【化12】
【0126】
工程1: ベンジル (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イルカルバメート
ベンジル クロロホルマート(330 μl, 2.319 mmol)を、(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-アミノ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩 (751.3 mg, 2.108 mmol)及びトリエチルアミン (619 μl, 4.43 mmol)のDCM(10 ml)溶液に室温で加えた。14時間後、トリフルオロ酢酸(2.4 mL, 31.6 mmol)を、反応混合物に加えた。15分後、混合物を濃縮し、DMFに溶解し、ろ過し、HPLCで精製し、続いて中和(K2CO3)し、無色油状物として標題化合物を得た。
【0127】
工程2: ベンジル ((1R,5S,7S)-9-(トリフルオロメチル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)カルバメート
ベンジル (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イルカルバメート(27 mg, 0.098 mmol)及びジブロモジフルオロメタン(18.06 μl, 0.195 mmol)のDMSO (489 μl)溶液を、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(50.1 μl, 0.215 mmol)で処理した(0℃で滴下した)。混合物を室温に終夜ゆっくり昇温し、次いでNaHCO3/Na2S2O3の1:1 混合物に注ぎ、Et2Oで二回抽出した。まとめた抽出物を濃縮し、prep-TLCで精製し、黄色油状物として標題化合物を得た。
【0128】
工程3: (1R,5S,7S)--9-(トリフルオロメチル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミン 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
ベンジル ((1R,5S,7S)-9-(トリフルオロメチル)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)カルバメート (10 mg, 0.029 mmol)、パラジウム炭素 (10 wt%, 1.020 mg, 9.58 μmol)及びTFA (4.47 μl, 0.058 mmol) / MeOH (体積: 145 μl)を含むバイアル中を、水素ガスでパージして、1 atmのH2雰囲気下で2時間そのままにした。セライトパッド/MgSO4(1:1)でろ過し、続いて濃縮し、無色フィルムとして標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0129】
参考例4
(1S,5R,6S)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オール; (1R,5S,6R)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オールの合成
【0130】
【化13】
【0131】
工程1: エチル 4-(3-エトキシ-3-オキソプロピル)モルホリン-2-カルボキシラート
エチル モルホリン-2-カルボキシラート(3 g, 18.85 mmol)及びアクリル酸エチル(5 ml, 18.85 mmol)の混合物を100℃で14時間加熱した。反応を室温に放冷し、次いでEt2Oで希釈し、3M HCl水で抽出した。まとめた水層を、固体K2CO3で塩基性化し、DCMで抽出し、まとめた有機層を、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、淡黄色油状物として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0132】
工程2: (1S,5R)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オン(1R,5S)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オン
エチル 4-(3-エトキシ-3-オキソプロピル)モルホリン-2-カルボキシラート(3.07 g, 11.84 mmol)のトルエン(8 ml)溶液を、カリウム 2-メチルプロパン-2-オレート(3.65 g, 32.6 mmol)のトルエン(39.5 ml)の懸濁液に120℃で加えた。120℃で3時間撹拌した後、反応混合物を室温に放冷し、水(20 mL)で抽出した。水層を濃HCl(20 ml, 240 mmol)で処理し、次いで110℃で14時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、次いで減圧下で濃縮した。得られた固体を、飽和K2CO3水溶液に溶解し、DCMで抽出した。まとめた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、褐色油状物として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0133】
工程3: (1S,5R,6S)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オール; (1R,5S,6R)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オール
水素化ホウ素ナトリウム (53.6 mg, 1.417 mmol)を、(1S,5R)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オン及び(1R,5S)-4-オキサ-1-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-6-オン(100 mg, 0.708 mmol)のMeOH(3542 μl)溶液に0℃で加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、食塩水で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、黄色油状物として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0134】
参考例5
1-(ピリジン-4-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸の合成
【0135】
【化14】
【0136】
工程1: メチル 1-(ピリジン-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート
メチル 1H-インドール-3-カルボキシラート (402 mg, 2.297 mmol)、ピリジン-4-イルボロン酸 (847 mg, 6.89 mmol)、酢酸銅(II) (542 mg, 2.99 mmol)、4Aモレキュラーシーブス(4 g)及び1,10-フェナントロリン(828 mg, 4.59 mmol)を含むバイアルに、DCM (9 ml)及びトリエチルアミン(0.320 ml, 2.297 mmol)を加えた。混合物を室温で4日間撹拌し、次いでセライトパッド (MeOHで洗浄した)でろ過した。エバポレーションし、HPLC (DMFで希釈し、ろ過した後)で精製し、黄色固体として標題化合物を得た。
【0137】
工程2: 1-(ピリジン-4-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸
メチル 1-(ピリジン-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート (92 mg, 0.365 mmol)の水 (365 μl)及びMeOH (365 μl)溶液に、KOH (102 mg, 1.823 mmol)を加えた。混合物を90℃で1時間加熱し、次いでMeOHを減圧下で除去した。残りの水層を、1M HCl (pH = 6-7)で中和し、次いでEtOAcで抽出した。まとめた有機層を、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、黄色固体として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
上記記載の手順で、1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸を得た。
【0138】
参考例6
1-(ピリジン-2-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸の合成
【0139】
【化15】
【0140】
工程1: メチル 1-(ピリジン-2-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート
水素化ナトリウム(45.7 mg, 1.142 mmol, 60% 鉱油中分散)を、メチル 1H-インドール-3-カルボキシラート(200 mg, 1.142 mmol)のDMF(2283 μl)溶液に室温で加えた。30分後、2-フルオロピリジン(99 μl, 1.142 mmol)を混合物に加え、得られた懸濁液を120℃で14時間加熱した。反応混合物をDMFで希釈し、ろ過し、HPLCで精製し、白色固体として標題化合物を得た。
【0141】
工程2: 1-(ピリジン-2-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸
標題化合物を、参考例5工程2の記載と同様の条件を用いて合成した。
【0142】
参考例7
(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1H-インドール-3-カルボキシラートの合成
【0143】
【化16】
【0144】
1H-インドール-3-カルボン酸(250 mg, 1.551 mmol)のPhMe (5171 μl)の溶液にTFAA (219 μl, 1.551 mmol)を加え、次いでTFA (1293 μl)を加えた。混合物を30分間撹拌し、次いで市販の(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オール(203 mg, 1.293 mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでpH=7になりバブリングが止まるまでNaHCO3水溶液を注ぎ、撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、MgSO4で乾燥した。ISCO (0-20% MeOH/DCM)で精製し、桃色固体として標題化合物を得た。
【0145】
参考例8
(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-((1H-インドール-3-カルボニル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラートの合成
【0146】
【化17】
【0147】
工程1: (1R,5S,7S)-9-ベンジル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オール
水素化ホウ素ナトリウム(24.54 g, 649 mmol)を、(1R,5S)-9-ベンジル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オン(50 g, 216 mmol)のMeOH (540 ml)及びTHF (540 ml)懸濁液に0℃で30分かけて少しずつ加えた。混合物を、1時間かけて徐々に室温に昇温した。室温にてさらなる時間経過後、混合物を濃縮し、白色残渣を、酢酸エチル及び食塩水で分配した。まとめた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0148】
工程2: (1R,5S,7S)-9-ベンジル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オール
次いで、2,2,2-トリフルオロ酢酸無水物(34.5 ml, 244 mmol)及びTFA (123 ml)を、1H-インドール-3-カルボン酸(39.4 g, 244 mmol)のトルエン(987 ml)溶液に室温で加えた。30分後、(1R,5S,7S)-9-ベンジル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-オール(51.8 g, 222 mmol)を、混合物に室温で一度に加えた。2 時後、混合物を減圧下で初めの体積の半分に濃縮した。次いで、800 mLの10% Na2CO3水溶液を加えた。混合物を減圧下で濃縮し、有機溶媒の大部分を除去した。生成物を酢酸エチルで抽出し、まとめた有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣の暗紫色固体を、Et2O/EtOAc(4:1)で粉砕し、白桃色固体として標題化合物を得た。
【0149】
工程3: (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1H-インドール-3-カルボキシラート, 塩酸塩
(1R,5S,7S)-9-ベンジル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1H-インドール-3-カルボキシラート(2 g, 5.31 mmol)及びパラジウム炭素(200 mg, 1.879 mmol, 10 重量%)のEtOH (4.43 ml)、THF (4.43 ml)及び3N HCl (4.43 ml)懸濁液を室温で水素雰囲気下(風船)にて14時間撹拌した。次いで、混合物をセライトパッドでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、桃色固体として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0150】
工程4: (1R,5S,7S)-tert-ブチル7-((1H-インドール-3-カルボニル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
ジ-tert-ブチル ジカーボネート(1.275 g, 5.84 mmol)を、(1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1H-インドール-3-カルボキシラート塩酸塩(1.714 g, 5.31 mmol)及びトリエチルアミン(1.628 ml, 11.68 mmol)のTHF (26.6 ml)懸濁液に室温で一度に加えた。1時間後、混合物を飽和NH4Cl(水溶液)及び酢酸エチルで分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、まとめた有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、淡褐色油状物として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0151】
参考例9
1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸の合成
【0152】
【化18】
【0153】
工程1: メチル 1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボキシラート
水素化ナトリウム(22.70 mg, 0.568 mmol, 60 % 鉱油懸濁液)を、メチル 1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボキシラート(100 mg, 0.568 mmol)のDMF (1419 μl)溶液に室温で加えた。10分後、2-フルオロピリジン(48.8 μl, 0.568 mmol)を混合物に加え、混合物を100℃で14時間加熱した。室温に放冷した後、反応混合物を直接HPLCで精製し、続いて中和(NaHCO3水溶液)し、無色フィルムとして標題化合物を得た。
【0154】
工程2: 1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸
水酸化カリウム(11.30 mg, 0.201 mmol)を、メチル 1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボキシラート(10.2 mg, 0.040 mmol)のMeOH(67.1 μl)及び水(67.1 μl)溶液に室温で加えた。混合物を90℃で2時間加熱した。有機層を酢酸エチルに抽出し、0.5 Nクエン酸で混合物を酸性化した後、まとめた有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
以下のカルボン酸を、同様の手順により調製した:
5-フルオロ-1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸及び1-(ピリジン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボン酸.
【0155】
実施例1
(1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート ビス(2,2,2-トリフルオロ酢酸塩)の合成
【0156】
【化19】
【0157】
工程1: (1R,5S,7S)-tert-ブチル7-((1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボニル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
ヨウ化銅(I) (21.99 mg, 0.115 mmol)を、(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-((1H-インドール-3-カルボニル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(163.6 mg, 0.423 mmol)、3-ブロモピリジン(37.1 μl, 0.385 mmol)、trans-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン (36.9 μl, 0.231 mmol)及びリン酸カリウム(172 mg, 0.808 mmol)のトルエン(体積: 770 μl)懸濁液に室温で加えた。混合物を110℃で14時間加熱した。次いで混合物を濃縮し、直接カラムクロマトグラフィー(SiO2: EA/hex)で精製し、黄色発泡体として標題化合物を得た。
【0158】
工程2 (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート ビス(2,2,2-トリフルオロ酢酸塩)
TFA (体積: 356 μl, 比率: 1.000)を、(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-((1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボニル)オキシ)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート(164.8 mg, 0.356 mmol)のDCM(体積: 356 μl, 比率: 1.000)溶液に室温で加えた。15分後、混合物をDMFで希釈し、ろ過し、HPLCで精製し、淡黄色油状物として標題化合物を得、黄色油状物として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 364.2 (M+1).
以下の化合物を、同様の手順により調製し、Boc基はTFA又はHClのいずれかで除去した: (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩; (1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩;及び(1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩。
【0159】
実施例2
1-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の合成
【0160】
【化20】
【0161】
1-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸 塩酸塩 (25 mg, 0.090 mmol)のDMF (体積: 900 μl)の混合物に、HATU(37.7 mg, 0.099 mmol)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(79 μl, 0.450 mmol)を加えた。反応混合物を15分間室温で撹拌した後、(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミン 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩 (29.2 mg, 0.108 mmol)を加え、2時間撹拌し続けた。HPLCで精製し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 380.25 (M+1)
以下の化合物を、市販のカルボン酸を用いて或いは参考例化合物の手順に従って合成したものを用いて、同様の手順により調製した: 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド、1-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩;及び1-(1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩。
【0162】
実施例3
(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の合成
【0163】
【化21】
【0164】
工程1: 4-ブロモ-1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール
水素化ナトリウム (24.22 mg, 0.606 mmol, 60 % 鉱油懸濁液)を、4-ブロモ-1H-ピラゾール (89 mg, 0.606 mmol)のDMF(3028 μl)溶液に室温で加えた。15分後、1-ブロモ-2-フルオロエタン(100 mg, 0.787 mmol)を混合物に加えた。30分後、混合物をDMFで希釈し、HPLCで精製し、続いて中和(K2CO3)し、無色油状物として標題化合物を得た。
【0165】
工程2: (1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル 1H-インドール-3-カルボキシラート(50 mg, 0.166 mmol)、4-ブロモ-1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール(35.3 mg, 0.183 mmol)、ヨウ化銅(I) (9.51 mg, 0.050 mmol)、N1,N1-ジメチルエタン-1,2-ジアミン (8.80 mg, 0.100 mmol)及びリン酸カリウム(74.2 mg, 0.350 mmol)のトルエン(333 μl)の混合物を120℃で5時間加熱した。HPLCで精製し、薄褐色油状物として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 413.30 (M+1).
【0166】
実施例4
N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の合成
【0167】
【化22】
【0168】
1-(1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(85 mg, 0.149 mmol)及び10% Pd-C (120 mg)のMeOH(1.0 ml)の混合物をH2下で2日間撹拌した。ろ過し、濃縮し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 366.20 (M+1).
【0169】
実施例5
1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩の合成
【0170】
【化23】
【0171】
工程1: メチル 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, TFA
密封管に、ヨウ化銅(I) (65.2 mg, 0.342 mmol)、メチル 1H-インドール-3-カルボキシラート(200 mg, 1.142 mmol)及びリン酸カリウム(509 mg, 2.397 mmol)を加え、次いで反応容器を真空にし、窒素(3x)でパージした。次いで、4-ブロモ-1-メチル-1H-ピラゾール(184 mg, 1.142 mmol)及び(1R,2R)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン (109 μl, 0.685 mmol)を加え、続いてトルエン(1142 μl)を加えた。反応管を真空にし、窒素でパージし、次いで密封し、110℃で24時間加熱した。HPLCで精製し、無色油状物として標題化合物を得た。
【0172】
工程2: 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸 塩酸塩
メチル 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキシラート, TFA (3.5 mg, 9.48 μmol)のMeOH(95 μl)溶液に、KOH水溶液(33.2 μl, 0.066 mmol, 2 M)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いで1N HClで酸性化した。溶媒を減圧留去し、残渣を真空下で終夜乾燥した。標題化合物をさらに精製することなく用いた。
【0173】
工程3: 1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸塩酸塩(2.6 mg, 9.36 μmol)のDMF (187 μl)の混合物にHATU (4.27 mg, 0.011 mmol)及びDIPEA (8.18 μl, 0.047 mmol)を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した後、(1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-アミン, TFA (3.04 mg, 0.011 mmol)を加え、2時間撹拌し続けた。HPLC精製で精製し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 380.30 (M+1).
【0174】
実施例6
1-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
【0175】
【化24】
【0176】
工程1: 1-(1-(ブロモジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩 (30 mg, 0.063 mmol)のDMF(体積: 626 μl)溶液に、0℃で、水素化ナトリウム (7.51 mg, 0.188 mmol)及びテトラブチルアンモニア ブロミド(0.202 mg, 0.626 μmol)を加えた。得られた溶液を1時間撹拌した後、ジブロモジフルオロメタン (5.78 μl, 0.063 mmol)の0.1 mL DMF溶液を加えた。反応混合物を2時間かけて室温に徐々に昇温し、室温で2時間撹拌した。HPLCで精製し、白色固体として標題化合物を得た。
【0177】
工程2: 1-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
1-(1-(ブロモジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩 (4 mg, 6.58 μmol)及びTBAF(3.44 mg, 0.013 mmol)のスルホラン(体積: 32.9 μl)溶液を、170〜180℃にゆっくり加熱した。HPLCで精製し、白色固体フィルムとして標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 416.30 (M+1).
【0178】
実施例7
N-((1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
【0179】
【化25】
【0180】
工程1: tert-ブチル(1R,5S,7S)-7-(1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート
1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボン酸塩酸塩 (25 mg, 0.090 mmol)及びHATU(37.7 mg, 0.099 mmol)のDMF(体積: 450 μl)溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン (62.9 μl, 0.360 mmol)を加えた。反応溶液を室温で15分間撹拌した後、(1R,5S,7S)-tert-ブチル 7-アミノ-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート (24.00 mg, 0.099 mmol)を加えた。1時間撹拌し続けた。HPLCで精製し、続いてISCO(0-20% MeOH in DCM)で精製し、白色固体として標題化合物を得た。
【0181】
工程2: N-((1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
tert-ブチル(1R,5S,7S)-7-(1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-カルボキシラート (18.1 mg, 0.039 mmol)のTFA (体積: 194 μl, 比率: 1)及びDCM(体積: 194 μl, 比率: 1)溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒を除去し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 366.25 (M+1).
以下の化合物を同様の方法で調製した:
N-((1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド。
【0182】
実施例8
N-((1R,5S,7S)-9-エチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
【0183】
【化26】
【0184】
N-((1R,5S,7S)-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(1H-ピラゾール-4-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩 (12 mg, 0.025 mmol)、トリエチルアミン (5.13 μl, 0.038 mmol)及びアセトアルデヒド(2.120 μl, 0.038 mmol)のDCE(体積: 250 μl)の混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、ナトリウム トリアセトキシヒドロボレート (10.61 mg, 0.050 mmol)を室温で加えた。混合物を16時間撹拌し、数滴の水でクエンチした。HPLCで精製し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 394.35 (M+1).
【0185】
実施例9
3-(3-(((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)カルバモイル)-1H-インドール-1-イル)ピリジン 1-オキシド, 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
【0186】
【化27】
【0187】
N-((1R,5S,7S)-9-メチル-3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-7-イル)-1-(ピリジン-3-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド (20 mg, 0.053 mmol)及びメタ-クロロペルオキシ安息香酸 (10.08 mg, 0.058 mmol)のDCM (体積: 0.8 ml)の混合物を室温で2時間撹拌した。HPLCで精製し、白色固体として標題化合物を得た。MS (ESI, pos. ion) m/z: 393.30 (M+1).
【0188】
(生物試験例)
生物試験例1
5-HT3のカルシウムフラックス活性阻害のインビトロアッセイ
本発明の化合物の5-HT3アンタゴニスト活性を、HEK-293T細胞で発現する3HT3a受容体のカルシウムフラックス活性を阻害する化合物の能力を測定することにより決定した。HEK-293T細胞を、150 mm組織培養処理プレートにおいてXtreme Gene 9 (Roche)を用いて5-HT3a発現構築物でトランスフェクトし、37℃で24時間インキュベートした。次いで細胞を分割し、透明な底のポリリジン被覆ブラック96ウェルプレート (BD BioSciences) に60K細胞/ウェルの密度で播種し、37℃で終夜インキュベートした。増殖培地を除去し、細胞を20 mM HEPESを含むHBSS中の200uLカルシウム指示色素 (Calcium 5 Assay kit, Molecular Devices) に加え、37℃で1時間インキュベートした。細胞をインキュベートしている間、10X拮抗薬及び作動薬/拮抗薬添加プレートを作製した。10X拮抗薬プレートについて: ハーフログの連続希釈液 (最終濃度がウェル底で10-7ないし10-10の範囲a negative, no ligand control) を、1000倍濃度のDMSO中の試験化合物から作製し、次いで、HBSS/20mM HEPES中10倍に希釈した。添加プレートについて: 5HTを、HBSS/20mM HEPES中100倍に希釈し(アッセイにおける最終濃度216nM)、15 uLを、添加プレートの各ウェルに加え、 15uLの10倍化合物を、添加プレートに加え、最後に、120 uLのHBSS/20mM HEPES (トータル150 uL)に加えた。次いで細胞をインキュベーターから除去し、室温に10分間平衡化し、次いで22.5uLの10倍の試験化合物を、プレートに三連添加し、室温で10分間インキュベートした (トロピセトロンを各アッセイで陽性対照として用いた。)。試験プレート及び添加プレートを、FlexStation III (Molecular Devices)にロードし、流体工学を用いて、22.5uL 化合物を添加し(t = 〜17秒で)、蛍光を90秒間測定し、2.2秒ごとに読み取った。データセットは、Software Max Pro (Molecular Devices)を用いて最大マイナス最小として分析した。IC50曲線をGraphPad Prismで非線形回帰を用いて作製した。
【0189】
本アッセイの代表的な式(I)の化合物の番号のおおよそのIC50値を下記表2に示した。
【0190】
【表2】
【0191】
さらに、一対一比較検討で、表1の化合物15(実施例5)は、本アッセイにおいて3.48 nMのIC50を有していた一方で、上記参考例7の化合物は、本アッセイにおいて89.1 nMのIC50を有していた。
【0192】
生物試験例2
フェンシクリジン誘発性認知障害モデリング統合失調症におけるげっ歯類の新規物体認識(NOR)アッセイ
本研究の目的は、統合失調症における認知に関連性のパラダイムである、ラットにおけるNORタスクを用いて認知記憶における亜慢性PCP誘発性障害を改善させる本発明の化合物の能力を調査することである。成体雄性Sprague-Dawleyラット(250 - 350 g; Harlan, USA)を実験に用いる。動物を実験前7日間施設に順応させる。7グループ(グループあたり14動物の)を実験に用いる。7日間、1グループの動物にビヒクルを与え(1日二回0.9%の食塩水)、残りの6グループにPCPを与える(2.5 mg/kg, s.c. 1日二回)。続いて5日薬剤を与えない。試験日、動物を実験開始前30分間試験室に順応させる。実験を、実験アリーナとして設計されたホワイトプレキシガラスチャンバー内で行う。アリーナを、アリーナへ薄暗い光を提供するハロゲンランプで照明される暗実験室に設置する。
【0193】
動物を、オブジェクト(馴化)非存在下、自由にテストチャンバーを探索させるため5分間アリーナの中に入れる。次いで120分にわたり馴化が終了するとすぐに動物をホームケージに戻す。試験化合物(0.1, 1, 10 mg/kg s.c.)又はビヒクル(veh, 食塩水)を、T1の120分前に投与し、ガランタミン(5 mg/kg, i.p.)をT1の30分前に投与する。動物を、一端に設置した2つの同一のオブジェクト (プラスチックボール)を備えたアリーナに戻し(取得, T1)、5分間探索させる。2つのオブジェクトを探索するのに費やした時間を記録する。動物を、120分間ホームケージに再び戻す(ITI)。
【0194】
ITIには、最初の試験で設置したオブジェクトの一つを新しいオブジェクトに置き換え、動物をさらなる5分間探索させる保持段階(T2)を続ける。ここでも、2つのオブジェクトを探索するのに費やした時間を記録した。
【0195】
保持段階では、見慣れたオブジェクトと新しいオブジェクトの探索に費やした時間の違いを検討する。すべてのセッションで、物体を探索する時間を盲目的に記録し採点する。探索は、オブジェクトに触れるか、2センチメートル距離以下でオブジェクトに向かって鼻を向けることと定義する。最小の探索基準は、オブジェクトごとに5秒以上の探索時間を有する動物のみが含まれるように使用される。
【0196】
全ての処置群の比較は、one-way ANOVAを使用して行われ、続いて多重比較のためのボンフェローニの事後検定が行われる。
【0197】
生物試験例3
ニコチンα-7受容体結合アッセイ
ニコチンα-7受容体での結合評価を、Eurofins Pharma Servicesで行った。表1の化合物15(実施例5)は、本アッセイにおいて>10 μMのIC50を有していた一方で、上記参考例7の化合物は、本アッセイにおいて1.66 μMのIC50を有していた。
【0198】
製剤例
以下は、式(I)の化合物を含む代表的な医薬製剤である。
【0199】
錠剤製剤
以下の成分を十分に混合し、単一分割錠にプレスする。
【0200】
【表3】
【0201】
カプセル製剤
以下の成分を十分に混合し、ハードシェルゼラチンカプセルに充填する。
【0202】
【表4】
【0203】
注射用製剤
2% HPMC中、本発明の化合物(例、化合物 1)、脱イオン水中1% Tween 80、適量のMSAでpH 2.2とし、 少なくとも20 mg/mLとする。