特許第5817018号(P5817018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5817018
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20151029BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20151029BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   G01R33/02 A
   G01R33/06 H
   G01R33/06 R
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2008-305367(P2008-305367)
(22)【出願日】2008年11月28日
(65)【公開番号】特開2010-127857(P2010-127857A)
(43)【公開日】2010年6月10日
【審査請求日】2011年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
(74)【復代理人】
【識別番号】100115624
【弁理士】
【氏名又は名称】濱中 淳宏
(74)【復代理人】
【識別番号】100136490
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 英一
(72)【発明者】
【氏名】高塚 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】岡本 太一
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特表平3−504194(JP,A)
【文献】 特開2005−283503(JP,A)
【文献】 特開2003−142165(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/107018(WO,A1)
【文献】 特開2008−107119(JP,A)
【文献】 特開2004−264158(JP,A)
【文献】 特開平4−233411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 33/07
G01R 33/09
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電流路に流れる電流から発生する磁束密度を検出する複数の磁気検出部と、
30A/m以下の保磁力を有し、前記磁気検出部の各々と前記複数の電流路の各々との間に配置された複数の磁性体と、
前記複数の磁気検出部の各磁気検出部の出力信号のそれぞれをサンプリング処理する複数のサンプリング処理部と、
外部トリガ信号を検出するトリガ検出部と、
前記複数の磁気検出部の出力信号を保持するホールド処理部とを有し、
前記外部トリガ信号に同期して、スリープ状態を解除し、前記複数の磁気検出部および前記複数のサンプリング処理部を駆動し、前記複数のサンプリング処理部でサンプリングした前記複数の磁気検出部の前記出力信号を前記ホールド処理部で保持し、
前記サンプリング処理部は、前記各磁気検出部の前記出力信号に含まれるオフセット成分を除去するオフセットキャンセル回路を含むことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
複数の電流路に流れる電流から発生する磁束密度を検出する複数の磁気検出部と、
30A/m以下の保磁力を有し、前記磁気検出部の各々と前記複数の電流路の各々との間に配置された複数の磁性体と、
前記複数の磁気検出部の各磁気検出部の出力信号のそれぞれをサンプリング処理する複数のサンプリング処理部と、
外部トリガ信号を検出するトリガ検出部と、
前記複数の磁気検出部の出力信号を保持するホールド処理部とを有し、
前記外部トリガ信号に同期して、スリープ状態を解除し、前記複数の磁気検出部および前記複数のサンプリング処理部を駆動し、前記複数のサンプリング処理部でサンプリングした前記複数の磁気検出部の前記出力信号を前記ホールド処理部で保持し、
前記複数個の磁気検出部の出力差が第1の閾値をこえた場合、出力を外部に出すことを特徴とする電流センサ。
【請求項3】
前記複数のサンプリング処理部でオフセットキャンセルおよびサンプリングをされた前記複数の磁気検出部の出力信号がラッチされることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記磁気検出部が検出する磁束密度に比例した出力を外部に出すことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の電流センサ。
【請求項5】
前記複数個の磁気検出部の出力差が第1の閾値をこえた場合、出力を外部に出すことを特徴とする請求項1、3または4のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項6】
前記磁気検出部は、ホール効果を利用した磁気検出部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項7】
前記ホール効果を利用した磁気検出部は、InSb、InAs、GaAsなどのIII−V族化合物半導体を有していることを特徴とする請求項6に記載の電流センサ。
【請求項8】
前記磁気検出部は、磁気抵抗効果を利用した磁気検出部であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項9】
前記磁性体の厚みは、15μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項10】
前記磁性体は、前記磁気検出部に略平行な磁束が発生した場合、前記磁束の進行方向を前記磁気検出部に略垂直な方向に変化させるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項11】
前記磁気検出部は、電流センサの筐体側面より200μm以下の場所にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項12】
前記複数のサンプリング処理部でサンプリングをされた前記複数の磁気検出部の出力信号がラッチされることを特徴とする請求項2または請求項4乃至11のいずれかに記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関するものであり、より詳細には、磁気検出部を備え、被測定電流により発生される磁束密度を検出する、小型で高精度な電流センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の組電池においては、複数の電池セルを直列または並列に接続して構築し、組電池に装着した各種センサからの出力信号にて組電池の温度や電圧や電流を検出し、その検出結果に応じて各種制御や異常検出を行うように構成されている。
【0003】
図1は、従来の組電池の概略構成を示す回路構成図である。ノートパソコン等で使用される電池は、図1に示すように、電池セル3個(1a〜1c、2a〜2c)を並列に接続したものを2ブロック直列接続したものや、電池セル2個を並列に接続したものを3ブロック直列接続したものが利用されており、このような組電池においては、通常全電流が流れる箇所に電流センサとしてシャント抵抗5が配設されている。なお、符号3a,3bは放電回路、4a,4bはスイッチ、6は充放電切替スイッチを示している。
【0004】
なお、組電池システムの異常検出方法及びその異常検出装置については、例えば、特許文献1がある。この特許文献1に記載のものは、組電池システムを構成している組電池ブロックの何れかに異常が発生したときに電流検出にてそれを的確に検出できるようにしたもので、複数の単電池(電池セル)を直列接続した組電池ブロックを、複数個直列と並列とを組み合わせて接続した組電池システムにおいて、各組電池ブロックにその電流値を検出する電流センサを配設し、検出結果が入力される制御部で、組電池ブロックの接続形態に応じたアルゴリズムにて検出された各組電池ブロックの電流値を処理することで組電池ブロックの異常を検出するようにしたものである。
【0005】
しかしながら、図1に示したような組電池では、いずれかの電池セルの内部インピーダンスが異常に上昇するなどの異常が発生した場合でも、電流センサ5にはその影響が部分的にしか現れないため異常を的確に検出する事が困難であり、検出できた場合でも、どの電池セルに不良が発生しているかが直ちには判明せず、容易に適切な対処を行う事ができないという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、各電池セルの電流系路上に電流センサ(7a〜7c、8a〜8c)を置くことによって、各電池セルに流れる電流を検出し、並列関係にある電池セルの電流値を比較して内部インピーダンスが異常である電池セルを判別する方法が考えられる。
【0007】
例えば、特許文献2のように、電流センサとしてシャント抵抗を使用する方法がある。しかし、電流センサとしてシャント抵抗を用いた場合は、電池に蓄えられた電力の一部がシャント抵抗においてジュール熱として消費されるため、電力ロスの問題があるうえ、電池容量が低下するので電池の連続使用時間が短くなるという問題が発生する。特に、各電池セルの電流経路上にシャント抵抗を配置した場合、シャント抵抗の数だけ電力ロスも倍加する。このため、シャント抵抗を採用するのは現実的ではない。
【0008】
また、電流センサとして磁気センサを用いることも考えられる。磁気センサを使う場合、通常、電流路の周辺を磁性体コアで囲み、その磁性体中に磁気センサを配設することで磁束密度を増幅し、電流検出精度を向上させる。磁性体コアを使用した電流センサとしては、例えば、特許文献3が挙げられる。この特許文献3に記載の電流センサは、部品点数を減らして形状を小型化でき、生産・組立性を向上可能にし、安価で大量生産に適したもので、U字形状の導体と、磁気センサと、磁性体コアと、保持材のみを使用してコンパクトな構成とした電流センサである。しかし、特許文献3の実施例においても電流センサのサイズは20mm×8mm×t19mm程度あり、これを電池セルの電流検出に用いようとすると、組電池が大型化するという問題が生じる。
【0009】
さらに、近年の電子機器の処理速度向上に伴い、組電池に接続される負荷は高周波で変化する場合がある。このような場合は各電池セルに流れる電流も高速で時間変化しており、例えば各電池セルの電流を電流センサで順次サンプリングすると、各電流センサのサンプリング開始時間によって異なる電流を検出してしまい、各電池セルの内部インピーダンスが揃っている正常な状態であっても異常と判断してしまう問題が発生する。
【0010】
【特許文献1】特開2003−142165号公報
【特許文献2】特開2003−513596号公報
【特許文献3】国際公開WO2003/046584パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型化可能で電力ロスのない組電池を構成でき、組電池を構成する複数の電池セルの電流検出に適した、同時に複数の被測定電流検出が可能である電流センサを提供することにある。
【0012】
また、この電流センサの最良の実施形態においては、複数の電池セルを並列接続したものを複数直列接続した組電池において、それぞれの並列関係にある電池セルに流れる電流を検出し、これを適切な方法で比較する事で、組電池の電池セルのいずれかに異常があったことを検出することができる。また、より精密な制御が可能となる組電池の充放電管理に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数の電流路に流れる電流から発生する磁束密度を検出する複数の磁気検出部と、30A/m以下の保磁力を有し、前記磁気検出部の各々と前記複数の電流路の各々との間に配置された複数の磁性体と、前記複数の磁気検出部の各磁気検出部の出力信号のそれぞれをサンプリング処理する複数のサンプリング処理部と、外部トリガ信号を検出するトリガ検出部と、前記複数の磁気検出部の出力信号を保持するホールド処理部とを有し、前記外部トリガ信号に同期して、スリープ状態を解除し、前記複数の磁気検出部および前記複数のサンプリング処理部を駆動し、前記複数のサンプリング処理部でサンプリングした前記複数の磁気検出部の前記出力信号を前記ホールド処理部で保持し、前記サンプリング処理部は、前記各磁気検出部の前記出力信号に含まれるオフセット成分を除去するオフセットキャンセル回路を含むことを特徴とする電流センサである。
また、請求項2に記載の発明は、複数の電流路に流れる電流から発生する磁束密度を検出する複数の磁気検出部と、30A/m以下の保磁力を有し、前記磁気検出部の各々と前記複数の電流路の各々との間に配置された複数の磁性体と、前記複数の磁気検出部の各磁気検出部の出力信号のそれぞれをサンプリング処理する複数のサンプリング処理部と、外部トリガ信号を検出するトリガ検出部と、前記複数の磁気検出部の出力信号を保持するホールド処理部とを有し、前記外部トリガ信号に同期して、スリープ状態を解除し、前記複数の磁気検出部および前記複数のサンプリング処理部を駆動し、前記複数のサンプリング処理部でサンプリングした前記複数の磁気検出部の前記出力信号を前記ホールド処理部で保持し、前記複数個の磁気検出部の出力差が第1の閾値をこえた場合、出力を外部に出すことを特徴とする電流センサである。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記複数のサンプリング処理部でオフセットキャンセルおよびサンプリングをされた前記複数の磁気検出部の出力信号がラッチされることを特徴とする。
【0014】
電流センサとして磁気センサを採用する事で、シャント抵抗を用いる非測定電流路に抵抗を挿入する方式で問題となる電力ロスの問題が解決できる。
【0015】
さらに、外部トリガによって磁気センサを駆動する事によって、本発明の磁気センサを複数個使用した場合においても、全ての磁気検出部について出力信号のサンプリング処理を同期させ、同じ時間における各電流路の電流値の比較が可能となる。また、電流検出を行わない間は磁気センサを駆動しないため、消費電流を低減し、電力ロスを抑えることができる。
【0016】
同時に磁気検出部の出力信号のサンプリング処理を行った場合、この出力信号を処理するためには、出力信号の取り込みも同時に行う必要がある。このため、通常であれば出力と同数のA/D変換器が必要となり、処理回路が大型化してしまう。
【0017】
そこで、出力信号を保持し続けるホールド処理部を導入する事により、同時に出力信号を取り込む必要を無くした。この場合、出力信号を一つのA/D変換器で順次取り込むことができるため、処理回路が小型で済むことになる。
【0018】
また、出力信号はアナログ値ではなく、デジタル値にし、順次出力を読みにいくことも当然可能である。
【0019】
本発明の磁気センサは、複数の電池セルを並列接続したものを複数直列接続した組電池において、それぞれの並列関係にある電池セルに流れる電流を検出し、組電池の異常検出を行う異常検出方法において、特に好適である。
【0021】
本構成をとることで、本発明の磁気センサが各電池セルを流れる電流値に比例した出力を出力でき、電圧値モニターの出力を併用すれば、各電池セルの内部インピーダンスの値も検出可能になる。
【0023】
複数個の磁気検出部を備え、これらの出力信号のサンプリング処理を同期させることによって、同じ時間における各電流路の電流値の比較が可能となる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記磁気検出部が検出する磁束密度に比例した出力を外部に出すことを特徴とするものである。
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1、3または4のいずれかに記載の発明において、前記複数個の磁気検出部の出力差が第1の閾値をこえた場合、出力を外部に出すことを特徴とするものである。
【0025】
複数の電池セルを並列接続したものを複数直列接続した組電池において、それぞれの並列関係にある電池セルに流れる電流を検出する場合、それぞれの電池セルに流れる電流値を出力するのではなく、それぞれの電流値(または、セルの内部インピーダンス)のアンバランスを検出して、ある閾値をこえた場合にアラームを出力するような構成にできる。
【0026】
たとえば、各電池セルの内部インピーダンスの値が15%ずれたらアラームを出力し、電池の使用中止を促すなどの応用が考えられる。この値は15%に限られるものではなく、たとえば10%から40%程度の値まで適宜選択可能であり、それぞれの状態で出すアラームを変更することも可能である。
【0027】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁気検出部が、ホール効果を利用した磁気検出部であることを特徴とするものである。
【0028】
ホール効果を利用した磁気検出部を用いることにより、磁気検出部の出力が、検知した磁束密度に比例することになるので、電流量や内部インピーダンスを検知する用途において、特に好適である。
【0029】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記ホール効果を利用した磁気検出部が、InSb、InAs、GaAsなどのIII−V族化合物半導体を有していることを特徴とするものである。
【0030】
III−V族化合物半導体を用いることで、ホールセンサのS/Nが向上するので、高分解能の磁気センサが必要な場合に好適となる。それほど分解能が必要でない用途においては、III−V族化合物半導体を用いることは必須ではなく、SiなどIV族半導体を用いることも可能である。
【0031】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁気検出部が、磁気抵抗効果を利用した磁気検出部であることを特徴とするものである。
【0033】
例えば、磁気センサ内部に一片の磁性体を有することで、磁気センサの検出磁界方向を90度回転させる事ができる。このような構成を採用することで、小型で配置自由度の高い磁気センサを提供可能となる。また、磁性体のもつ磁気増幅効果で、検出磁束密度を3〜4倍程度に増幅する事も可能であり、磁性体コアを使用しない小型電流センサの提供が可能となる。
【0034】
さらに、請求項に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明において、前記磁性体の厚みが15μm以下であることを特徴とするものである。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明において、前記磁性体は、前記磁気検出部に略平行な磁束が発生した場合、前記磁束の進行方向を前記磁気検出部に略垂直な方向に変化させるように配置されていることを特徴とするものである。
【0035】
磁気センサ内部に磁性体を有する場合、この材料がもつ残留磁束密度が電流検出精度に悪影響を及ぼす可能性がある。この影響が低減できるよう、磁性体材料として保磁力が小さいものを選定することが好ましい。例えば、硼素を添加することで保磁力を30A/mに抑えたNiFe(パーマロイ)材料を使用した場合、後で説明する実施例において、磁性体のヒステリシス分に起因する検出電流エラーは1Aの電流を流した場合で約40mAに抑えることができる。他の実施例では、磁気検出部の感度などを変更した場合、保磁力の値は150A/m程度まで適宜変更できる。
【0036】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明において、前記磁気検出部が、電流センサの筐体側面より200μm以下の場所にあることを特徴とするものである。
また、請求項12に記載の発明は、請求項または請求項4乃至11のいずれかに記載の発明において、前記複数のサンプリング処理部でサンプリングをされた前記複数の磁気検出部の出力信号がラッチされることを特徴とするものである。
【0037】
磁性体コアを用いない場合、電流路を取り囲むように発生する磁束密度は、電流路からの距離に反比例して小さくなる。このため、電流検出精度を向上させるためには、磁気検出部を電流路に近接して配置できる構造が好ましい。磁気センサ筐体における磁気検出部上の樹脂層厚みが薄い構造とすることで、樹脂層表面を電流路直上に配置する構成において、磁気検出部をより電流路に近接させることが可能となる。
【0038】
また、被測定電流路に磁気検出部を近づけるため、磁気センサ筐体の実装面側に磁気検出部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の磁気センサによれば、磁気検出部と、磁気検出部の出力信号をサンプリング処理するサンプリング処理部と、外部トリガ信号を検出するトリガ検出部と、前記磁気検出部の出力信号を保持するホールド処理部と、を有し、前記外部トリガ信号に同期して、スリープ状態を解除し、前記磁気検出部と前記サンプリング処理部を駆動し、前記サンプリング処理部でサンプリングした前記磁気検出部の出力信号をホールド処理部で保持するので、小型化可能で電力ロスのない組電池を構成でき、組電池を構成する複数の電池セルの電流検出に適した、同時に複数の被測定電流検出が可能である磁気センサを提供する事ができる。
【0040】
なお、この磁気センサの最良の実施形態においては、複数の電池セルを並列接続したものを複数直列接続した組電池において、それぞれの並列関係にある電池セルに流れる電流を検出し、これを適切な方法で比較する事で、組電池の電池セルのいずれかに異常があったことを検出することができる。また、より精密な制御が可能となる組電池の充放電管理に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0042】
図2は、本発明に係る磁気センサの一実施例を説明するためのブロック構成図で、本発明の磁気センサ9は、複数の磁気検出部11a〜11cと、サンプリング処理部12a〜12cと、トリガ検出部13と、ホールド処理部14a〜14cとを備えている。本実施例での磁気検出部の数は3個であるが、用途に応じて適宜変更可能である。また、磁気センサ3個を一体の筐体に包含する必要もなく、磁気センサの配置場所の制約で、それぞれ3個を別筐体で設置することも当然可能である。
【0043】
複数の磁気検出部11a〜11cによる検出信号は、それぞれサンプリング処理部12a〜12cによってサンプリング処理されるように構成されている。
【0044】
また、サンプリング処理部12a〜12cでサンプリング処理された信号は、それぞれホールド処理部14a〜14cに入力され、次の信号が入力されるまで信号を保持し、適切に外部に出力するように構成されている。
【0045】
また、サンプリング処理部12a〜12cは、トリガ検出部13に入力される外部トリガ信号に同期して駆動され、一回のみサンプリングを行うように構成されている。また、磁気センサ11a〜11bの駆動回路も、トリガ検出部13に入力される外部トリガ信号に同期して駆動させることができる。
【0046】
図3は、図2に示した磁気センサを複数使用する場合の一実施例を説明するためのブロック構成図で、本発明に係る磁気センサ9a,9bと、制御部15から構成されている。電流検出を行う際には制御部15が共通のトリガ信号を磁気センサ9a,9bに入力し、それぞれの磁気センサ9a,9bの検出信号を適宜取り込むように構成されている。
【0047】
なお、この実施例では、3つの磁気検出部を持つ磁気センサを、2つ使用したブロック構成で説明しているが、本発明の適用範囲は、このような構成に限定されるものではない。
【0048】
図10は、本発明に係る磁気センサの一実施例の、より詳細なブロック構成図である。磁気センサ9は、磁気検出部11と、オフセットキャンセル回路24と、信号増幅回路25と、A/D変換回路及びレジスタ回路26と、スイッチ27とを備えている。
【0049】
磁気検出部11による検出信号は、オフセットキャンセル回路24によってサンプリングされ、同時に検出信号に含まれるオフセット成分が除去されるように構成されている。サンプリングされた信号は信号増幅回路25によって所定のA/D変換分解能が得られるように増幅され、A/D変換回路及びレジスタ回路26によってデジタル値に変換された後、レジスタに値を保管される。
【0050】
これら一連の信号処理回路は、電源端子28aとグラウンド端子28b間に入力される電源電圧Vddによって駆動する。ただし、この電源電圧Vddはスイッチ27がONとなることで初めて信号処理回路に印加される。スイッチ27は、トリガ端子28cから入力されるトリガ信号ME_TRGによってONされる。
【0051】
また、レジスタに保管された値は、シリアルクロック端子28dとシリアルデータ端子28eを使用して、I2Cシリアル通信方式によって出力することができる。
【0052】
なお、図10においては磁気検出部を1つのみ設けているが、磁気検出部を複数設けていても、同様の構成が可能であることは言うまでもない。
【0053】
図11は、図10に示した磁気センサブロックの動作を示す簡易的なタイミングチャートである。なお、本図上のME_TRGは、図10に示した信号ME_TRGの電圧波形を示している。外部トリガ信号MEG_TRGが入力されていない間は、回路はスリープ状態となり、消費電力を抑える構成になっている。ME_TRGが入力された場合、ME_TRGの立ち上がりに同期してサンプリングが開始される。オフセットキャンセル、及びサンプリングが終わった後は、出力がラッチされ、自動的に回路はスリープ状態に戻る。
【0054】
図4は、図3に示した磁気センサブロックを、組電池の異常検出装置へ適用する場合の回路構成図である。この組電池は、互いに直列に接続された2つの電池ブロック10a,10bと、この電池ブロックに接続された充放電切替スイッチ6と、この充放電切替スイッチ6に接続された電流センサとしてのシャント抵抗5とから構成されている。シャント抵抗5は、当然省略することも可能である。
【0055】
電池ブロック10aは、互いに並列に接続されている複数の電池セル1a〜1cと、この電池セル1a〜1cに流れる電流を検出するために設けられている、図2に示したブロック構成から成る磁気センサ9aと、これら電池セル1a〜1c及び磁気センサ9aのグループに並列に接続されている放電回路3aとスイッチ4aとから構成されている。また、磁気センサ9aは、磁気検出部7a〜7cを有しており、磁気検出部7a〜7cは、それぞれ電池セル1a〜1cの電流を検出するように配置されている。
【0056】
また、電池ブロック10bは、互いに並列に接続されている複数の電池セル2a〜2cと、この電池セル2a〜2cに流れる電流を検出するために設けられている、図2に示したブロック構成から成る磁気センサ9bと、これら電池セル2a〜2c及び磁気センサ9bのグループに並列に接続されている放電回路3bとスイッチ4bとから構成されている。また、磁気センサ9bは、磁気検出部8a〜8cを有しており、磁気検出部8a〜8cは、それぞれ電池セル2a〜2cの電流を検出するように配置されている。
【0057】
磁気センサ9a,9bのトリガ信号は、制御部15から出力され、磁気センサ9a,9bによる出力信号は、制御部15に入力されるように構成されている。この出力信号はアナログ値でもデジタル値でもかまわない。
【0058】
また、上述したように、各電池ブロック10a,10bには、放電回路3a,3bが配置されており、必要時にスイッチ4a,4bを用いて使用される。さらに、全電流が流れる箇所に単一の電流センサ(シャント抵抗)5が配設されている。これは、磁気センサ9aもしくは9bでも代用可能である。また、充放電時の切り替えを行う充放電スイッチ6を用いて、電流の進行方向を適宜安全に切り替えている。
【0059】
その他にも、組電池の温度や電池セルの電圧を検出する電圧検出部(Vmid)なども設けられ、その出力信号は、制御部15に入力されるように構成されている。また、制御部15は、温度や電圧検出部ならびに磁気センサの検出結果に応じて、各電池セルの異常検出を行うように構成されている。また、組電池の精密な充放電管理に用いることができる。
【0060】
図5は、本発明に係る磁気センサの、電流センサとしての実装例を示した図である。プリント基板もしくはフレキシブル基板などに設けられた複数の電流路に電流が流れると、それぞれの電流を取り囲むように磁束密度が発生する。これを磁気センサ内の各磁気検出部が個別に検知可能となる位置に磁気センサを配置する。本実施例では、電流路を跨ぐように磁気センサを配置した。磁気センサは内部に磁性体を有しており、後で説明するように基板表面と平行かつ電流の進行方向に垂直な磁束密度を検出可能なものである。
【0061】
磁気センサを用いた電流センサでは、電流路を磁性体で囲む閉磁路を形成するタイプが一般的であるが、閉磁路を設けない図5に示す例は小型であり、組電池に内蔵しやすい。また、図5に示す例は磁気センサ内部の磁性体により磁場の進行方向を変換しているが、同時に電流から発生する磁場を増幅することも可能であり、微弱な電流検出に好適に使用可能である。
【0062】
図6は、図5の実装例において最適となる磁気センサの構造を概略的に示した断面図である。なお、説明を簡略化するため、処理ICなど一部省略し、磁気検出部のみを記載してある。
【0063】
図6において、リードフレーム17上に配置された半導体基板20a〜20c上には、それぞれ磁気検出部11a〜11cが配置されており、磁気検出部11a〜11cの上には厚さが高々15μm以内の磁性体21a〜21cが配置されている。ここで、磁性体21a〜21cは、磁気検出部11a〜11cに平行な磁束が発生した場合、磁束の進行方向を磁気検出部11a〜11cに垂直な方向に変化させるように配置されてある。
【0064】
半導体基板20a〜20c上には、磁気検出部と電気的に接続された図示しない電極が形成されており、リードフレーム17と、ボンディングワイヤ19により電気的に接続されている。そして、これらの磁気センサの構成部材は、磁気検出部11a〜11cの表面上の樹脂層厚みがdとなるようにモールド樹脂18により封止されて、湿度や腐食性ガスとの化学反応による腐食や、機械的な衝撃によるセンサの破壊から保護されるようになっている。
【0065】
リードフレーム17は、磁気検出部11a〜11cが実装基板23と対向するように整形されている。最適な実施例においては、実装基板23上に設けられた複数の電流路22a〜22cの中心軸が、それぞれ磁気検出部11a〜11cの真下に配設されるようになっている。
【0066】
図9は、図6の実装例における磁性体周りの配置と磁力線の詳細を示した図である。磁気センサに基板表面と平行かつ電流の進行方向に垂直な磁束が印加された場合、磁束の進行方向は図9に示すように磁性体21のエッジ付近で基板表面に垂直方向に変化する。このため、磁気検出部11を磁性体21のエッジ上に配置する事で、磁気検出部11上に磁束の垂直成分が発生することになる。この配置は、感磁面を垂直に貫く磁束を検出するホール素子において、特に好適である。
【0067】
図7は、図5及び図6の実装例において、磁気検出部上の樹脂層の厚さdと、電流路11a〜11cから、それぞれ磁気検出部22a〜22cに発生する磁束密度との関係を説明するための図で、断面形状が2mm×t35μmである一般的な配線基板上の電流路(最大電流2A)について、樹脂層の厚さdを変化させながら磁気検出部に発生する磁束密度を計算したものである。なお、磁気検出部と電流路の組み合わせ(11aと22a、11bと22b、及び11cと22c)は複数存在し、配線層の厚さにより、磁気センサの出力が変化することがわかる。
【0068】
この図7に示した計算結果から、磁気検出部上の樹脂層の厚さdを薄くすると、電流路から磁気検出部に発生する磁束密度が大きくなる事がわかる。
【0069】
ノートパソコンなどで使用されるリチウムイオン電池セルを複数用いた組電池において、電流検出により各電池セルの異常検出を行うためには50mA以上の精度が必要と言われている。磁気検出部としてS/N比に優れるInSbを使用したホール素子を適用し、また磁性体の配置が最適化されている場合、InSbを使用したホール素子のS/N比を考慮すると、50mA以上の精度を確保するためには少なくとも1Aあたり0.27mTの発生磁束密度が必要である。従って、磁気検出部上の樹脂層の厚さdは200μm以下である必要があることがわかる。
【0070】
なお、上述の実施例では、複数の電流路を一方向に並べた基板を仮定し、最適な磁気センサの構成を示したが、本発明の適用範囲は、このような構成に限定されるものではない。例えば、被測定電流以外の電流路から発生する磁束密度の影響を低減するために、それぞれの電流路が直交するような電流路に対しても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0071】
図8は、本発明の最良の実施形態において、電池セルの電流検出を行う際の検出精度を示す図であり、充放電テスタを使用して電池セルを0.75Cの負荷で充放電した際の電流履歴を、シャント抵抗と、本発明における磁気センサとを使用して測定したものである。なお、この測定結果は組電池を構成するある一つの電池セルの電流に関するものである。
【0072】
この図8に示した測定結果から、磁気センサによって検出される電流値は、シャント抵抗によって検出される電流値と比較しても遜色ないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】従来の組電池の概略構成を示す回路構成図である。
図2】本発明に係る磁気センサの一実施例を説明するためのブロック構成図である。
図3図2に示した磁気センサを複数使用する場合の一実施例を説明するためのブロック構成図である。
図4図3に示した磁気センサブロックを、組電池の異常検出装置へ適用する場合の回路構成図である。
図5】本発明に係る磁気センサの、電流センサとしての実装例を示した図である。
図6図5の実装例において最適となる磁気センサの構造を概略的に示した断面図である。
図7図5及び図6の実装例において、磁気検出部上の樹脂層の厚さと、電流路からそれぞれ磁気検出部に発生する磁束密度との関係を説明するための図である。
図8】本発明の最良の実施形態において、電池セルの電流検出を行う際の検出精度を示す図である。
図9図6の実装例における磁性体周りの配置と磁力線の詳細を示した図である。
図10】本発明に係る磁気センサの一実施例の、より詳細なブロック構成図である。
図11図10に示した磁気センサブロックのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1a〜1c,2a〜2c 電池セル
3a,3b 放電回路
4a,4b スイッチ
5 シャント抵抗
6 充放電スイッチ
7a〜7c,8a〜8c 磁気検出部
9,9a,9b 磁気センサ
10a,10b 電池ブロック
11,11a〜11c 磁気検出部
12a〜12c サンプリング処理部
13 トリガ検出部
14 ホールド処理部
15 制御部
17 リードフレーム
18 モールド樹脂
19 ボンディングワイヤ
20 半導体基板
21,21a〜21c 磁性体
22,22a〜22c 電流路
23 実装基板
24 オフセットキャンセル回路
25 信号増幅回路
26 A/D変換回路及びレジスタ回路
27 スイッチ
28a〜e 外部端子(28a 電源端子、28b 接地端子、28c トリガ端子、28d シリアルクロック端子、28e シリアルデータ端子)
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図8
図10
図11
図5
図9