特許第5821137号(P5821137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5821137電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダー、電池電極形成用合剤スラリー、電池電極形成用合剤スラリー製造方法、電池電極および電池電極形成方法
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  • 特許5821137-電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダー、電池電極形成用合剤スラリー、電池電極形成用合剤スラリー製造方法、電池電極および電池電極形成方法 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5821137
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダー、電池電極形成用合剤スラリー、電池電極形成用合剤スラリー製造方法、電池電極および電池電極形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20151104BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20151104BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20151104BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20151104BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20151104BHJP
   C08K 3/10 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   C08G73/10
   H01M4/62 Z
   H01M4/139
   C08L79/08 A
   C08K3/34
   C08K3/10
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-507175(P2013-507175)
(86)(22)【出願日】2012年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2012002092
(87)【国際公開番号】WO2012132396
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2011-68608(P2011-68608)
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-68595(P2011-68595)
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業「次世代リチウムイオン電池を実現するバインダおよびセパレータ」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】391059399
【氏名又は名称】株式会社アイ.エス.テイ
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山田 弘志
(72)【発明者】
【氏名】澤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】仁村 佳史
(72)【発明者】
【氏名】江田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】奥山 妥絵
(72)【発明者】
【氏名】幸 琢寛
(72)【発明者】
【氏名】境 哲男
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−204609(JP,A)
【文献】 特開2000−007783(JP,A)
【文献】 特開2001−194796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00−73/26
C08L 79/00−79/08
C08K 3/00− 3/40
H01M 4/00− 4/98
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸エステル化合物と、
アニオン性基を有するジアミン化合物と、
前記テトラカルボン酸エステル化合物および前記ジアミン化合物を溶解する溶媒と
を含有する電池電極用バインダー組成物。
【請求項2】
前記アニオン性基は、カルボキシル基である
請求項1に記載の電池電極用バインダー組成物。
【請求項3】
前記ジアミン化合物は、3,4−ジアミノ安息香酸または3,5−ジアミノ安息香酸である
請求項2に記載の電池電極用バインダー組成物。
【請求項4】
前記テトラカルボン酸エステル化合物は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸エステルである
請求項1から3のいずれかに記載の電池電極用バインダー組成物。
【請求項5】
テトラカルボン酸エステル化合物と、
アニオン性基を有するジアミン化合物と
を含有する電池電極用バインダー。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の電池電極用バインダー組成物と、
活物質粒子と
を含有する電池電極形成用合剤スラリー。
【請求項7】
集電体と、
請求項6に記載の電池電極形成用合剤スラリーから得られ、前記集電体を被覆する活物質層と
を備える電池電極。
【請求項8】
集電体と、
活物質粒子と、前記活物質同士を結着させると共に前記集電体と前記活物質粒子とを結着させる多孔質構造のポリイミド樹脂とを有し、前記集電体を被覆する活物質層と
を備え、
前記ポリイミド樹脂は、アニオン性基を有する
電池電極。
【請求項9】
前記ポリイミド樹脂は、架橋構造を有する
請求項8に記載の電池電極。
【請求項10】
テトラカルボン酸エステル化合物と、アニオン性基を有するジアミン化合物と、前記テトラカルボン酸エステル化合物および前記ジアミン化合物を溶解する溶媒とを含有する電池電極用バインダー組成物に、カーボンブラックを、実質的にせん断応力を加えることなく混合して、カーボンブラック添加電池電極用バインダー組成物を調製する第1混合工程と、
前記カーボンブラック添加電池電極用バインダー組成物に活物質粒子を混合して、合剤スラリーを調製する第2混合工程と
を備える電池電極形成用合剤スラリー製造方法。
【請求項11】
請求項6に記載の電池電極形成用合剤スラリーを集電体上に塗布して、前記集電体上に合剤スラリー塗膜を形成する塗布工程と、
前記合剤スラリー塗膜を加熱して、多孔質活物質層を形成する加熱工程と
を備える電池電極形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、電池電極用バインダー組成物および電池電極用バインダーに関する。また、本発明は、電池電極用バインダー組成物に活物質粒子を含んだ電池電極形成用合剤スラリー、特に負極形成用の合剤スラリーに関する。また、本発明は、その電池電極形成用合剤スラリーの製造方法にも関する。また、本発明は、その電池電極形成用合剤スラリーから得られる電池電極(負極)に関する。さらに、本発明は、その電池電極の形成方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「リチウムイオン二次電池等の負極を形成する負極合剤スラリーに添加するバインダーとして、モノマー型ポリイミド前駆体を利用すること」が提案されている(例えば、特開2008−034352号公報等参照)。このモノマー型ポリイミド前駆体は、主に、テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミン化合物とからなり、例えば、加熱されることによりイミド化して高分子量化しながら多孔質構造を形成する。モノマー型ポリイミド前駆体が高分子量化することにより、活物質粒子と集電体とを強固に結着させるので、このようなモノマー型ポリイミド前駆体を負極合剤スラリーに添加すれば、活物質粒子の膨張収縮によって、活物質層が負極集電体から剥がれ落ちることを十分に抑制することができる。さらに、多孔質構造を形成することにより、活物質を包含する強固な鋳型(MOLD)を形成するので、活物質粒子はその孔内で強力に結着されることとなり、活物質粒子が激しい膨張収縮を繰り返してもその多孔質構造は崩壊することなく維持され、延いては、リチウムイオン二次電池等の充放電サイクルを飛躍的に向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−034352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、活物質粒子と集電体とをさらに強固に結着させることができる電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダーを提供すること、および、リチウムイオン二次電池等の充放電サイクルをさらに向上させることができる電池電極形成用合剤スラリーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1局面に係る電池電極用バインダー組成物は、テトラカルボン酸エステル化合物、アニオン性基を有するジアミン化合物および溶媒を含有する。溶媒には、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物が溶解される。
【0006】
テトラカルボン酸エステル化合物は芳香族テトラカルボン酸エステル化合物であることが好ましい。また、テトラカルボン酸エステル化合物はテトラカルボン酸ジエステル化合物であることが好ましい。
【0007】
テトラカルボン酸エステル化合物は、対応するテトラカルボン酸二無水物をアルコールでエステル化することにより極めて簡単に得られる。なお、テトラカルボン酸二無水物のエステル化は50度C以上150度C以下の温度で行うのが好ましい。
【0008】
テトラカルボン酸エステル化合物を誘導形成するためのテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス[3,4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物、チオジフタル酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4’−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。なお、これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0009】
また、テトラカルボン酸エステル化合物を誘導形成するためのアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フェノール、1−ヒドロキシ−2−プロパノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、2−フェニルエタノール、1−フェニル−1−ヒドロキシエタン、2−フェノキシエタノールなどが挙げられ、さらに1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセロール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2’−ジヒドロキシジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコールも挙げられる。なお、これらのアルコールは、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0010】
なお、テトラカルボン酸エステル化合物は、他の方法、例えばテトラカルボン酸の直接エステル化によっても製造することができる。
【0011】
なお、本発明の第1局面に係る電池電極用バインダー組成物では、テトラカルボン酸エステル化合物の中でも3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸エステルが特に好ましい。
【0012】
また、ジアミン化合物は芳香族ジアミン化合物であることが好ましい。また、アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、硫酸エステル基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。なお、これらのアニオン性官能基の中でもカルボキシル基が特に好ましい。このようなジアミン化合物としては、例えば、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、メタフェニレンジアミン4−スルホン酸等が挙げられる。
【0013】
なお、本局面に係る電池電極用バインダー組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲で、アニオン性基を有しないジアミン化合物が含有されてもかまわない。
【0014】
アニオン性基を有しないジアミン化合物としては、例えば、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、2,2−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(33DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPSM)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,3−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、2,6−ジアミノフェノール、3,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、2,3−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジンが挙げられる。これらのジアミン化合物は、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0015】
また、テトラカルボン酸エステル化合物とジアミン化合物とのモル比は、通常、55:45から45:55の範囲内である。なお、テトラカルボン酸エステル化合物とジアミン化合物とのモル比は、本発明の趣旨を損なわない限り、上記以外の比に適宜変更可能である。
【0016】
溶媒は、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物を溶解する。溶媒としては、例えば、上述のテトラカルボン酸エステルを誘導形成するためのアルコール類であるのが好ましい。なお、この溶媒には、アルコール類以外にN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素等が添加されていてもかまわない。
【0017】
なお、この電池電極用バインダー組成物には、導電性フィラーや分散剤等が含有されてもかまわない。
【0018】
導電性フィラーは、導電助剤として機能する。このような導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック(オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンマイクロコイル、グラファイト(天然グラファイト、人造グラファイト等)、カーボンブラック、カーボンファイバー短繊維(PAN系カーボン短繊維、ピッチ系カーボン短繊維等)等が挙げられる。これらの導電性フィラーは、単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。また、分散剤は、合剤スラリー中の活物質粒子を均一に分散させるために添加される。なお、このような分散剤としては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパン等が挙げられる。なお、これらの分散剤は、単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。
【0019】
また、このような導電性フィラー含有電池電極用バインダー組成物は、電池電極用バインダー組成物中に導電性フィラーが均一に分散するように、ロールミル、アトライター、バールミル、ペブルミル、サンドミル、ケディミル、メカノフュージョン、らいかい機等の混練機により十分に混練されるのが好ましい。
【0020】
本発明の第2局面に係る電池電極形成用合剤スラリーでは、第1局面に係る電池電極用バインダー組成物に、さらに活物質粒子が含有される。
【0021】
活物質粒子としては、例えば、ケイ素(Si)粒子、酸化ケイ素(SiO)粒子、ケイ素合金粒子、錫(Sn)粒子等が挙げられる。
【0022】
ケイ素合金としては、ケイ素と他の1種以上の元素との固溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げられる。ケイ素合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、およびガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。
【0023】
また、活物質粒子は、上述の活物質粒子を金属等で被覆したコア−シェル型の活物質粒子であってもかまわない。このようなコア−シェル型の活物質粒子は、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などによって製造される。シェル部分は、集電体を形成する金属と同じ金属で形成されるのが好ましい。このような活物質粒子を焼結すると、集電体との結合性が大きく向上し、優れた充放電サイクル特性を得ることができるからである。また、活物質粒子には、リチウムと合金化する材料からなる粒子が含まれていてもよい。そのような材料としては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びこれらの合金などが挙げられる。
【0024】
また、活物質粒子は、シランカップリング剤で表面処理されてもよい。このように活物質粒子を処理すれば、電池電極形成用合剤スラリー中に活物質粒子を良好に分散することができると共に、ポリイミド樹脂に対する活物質の結着性を高めることができるからである。
【0025】
活物質粒子は、平均粒子径が0.5μm以上20μm未満であるのが好ましく、0.5μm以上10μm未満であるのがより好ましい。活物質粒子の粒子径が小さいほど、良好なサイクル特性が得られる傾向がある。なお、ここにいう平均粒子径は、粒径分布測定装置マイクロトラックMT3100II(日機装株式会社製)を用いてレーザ回折・散乱法により測定される。また、平均粒子径が小さい活物質粒子を用いると、充放電反応でのリチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の体積の膨張・収縮の絶対量が小さくなる。このため、充放電反応時の電極内での活物質粒子間の歪みの絶対量も小さくなる。したがって、ポリイミド樹脂製の鋳型の破壊が生じず、電池電極内の集電性の低下を抑制することができ、良好な充放電特性を得ることができる。また、活物質粒子の粒度分布は、できる限り狭いのが好ましい。粒度分布が幅広いと、粒度が大きく異なる活物質粒子間において、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積の膨張・収縮の絶対量に大きな差が存在することになるため、活物質層内に歪みが生じ、ポリイミド樹脂製の鋳型の破壊が生じるおそれが高くなるからである。
【0026】
なお、活物質粒子は、主にテトラカルボン酸エステル化合物、アニオン性基を有するジアミン化合物および溶媒からなる電池電極用バインダー組成物中に分散された状態で存在する。また、本局面に係る活物質粒子は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極用の活物質粒子である。
【0027】
本発明の第3局面に係る電池電極用バインダーは、テトラカルボン酸エステル化合物およびアニオン性基を有するジアミン化合物を含有する。
【0028】
「テトラカルボン酸エステル化合物」および「アニオン性基を有するジアミン化合物」は、第1局面に記載の「テトラカルボン酸エステル化合物」および「アニオン性基を有するジアミン化合物」と同様である。また、電池電極用バインダーに、上述の導電性フィラーや分散剤等が含有されてもかまわない。このような電池電極用バインダーは、「テトラカルボン酸エステル化合物」と「アニオン性基を有するジアミン化合物」とを混合して得られてもよいし、上述の電池電極用バインダー組成物を乾燥させて得られてもよい。なお、「テトラカルボン酸エステル化合物」および「アニオン性基を有するジアミン化合物」は、液状であってもよいし、粉末状であってもよい。
【0029】
本発明の第局面に係る電池電極は、集電体および活物質層を備える。
【0030】
集電体は導電性金属箔であるのが好ましい。このような導電性金属箔は、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属、または、これらの金属を組み合わせて得られる合金から形成される。
【0031】
また、集電体は、活物質層との結着性を向上させるために、粗面化されるのが好ましい。なお、その箔表面に電解銅または電解銅合金を設けることにより、集電体を粗面化させてもかまわない。また、粗面化処理を施すことにより、集電体を粗面化させてもかまわない。このような粗面化処理としては、例えば、気相成長法、エッチング法、研磨法などが挙げられる。気相成長法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などが挙げられる。エッチング法としては、物理的エッチングや化学的エッチングによる方法が挙げられる。研磨法としては、サンドペーパーによる研磨やブラスト法による研磨などが挙げられる。
【0032】
また、活物質層との結着性を向上させるために、集電体上にアンダーコート層が形成されてもかまわない。アンダーコート層は、ポリイミド樹脂が良好に接着することができる樹脂と、アンダーコート層に導電性を付与する導電性フィラーとから形成されるのが好ましい。アンダーコート層は、例えば、モノマー型ポリイミド前駆体溶液に導電性フィラーが分散されたものや、ポリアミック酸型ポリイミド前駆体溶液に導電性フィラーが分散されたものから形成されるのが好ましい。
【0033】
なお、導電性フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック(オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンマイクロコイル、グラファイト(天然グラファイト、人造グラファイト等)、導電性チタン酸カリウムウィスカー、フィラメント状ニッケル、カーボンファイバー短繊維(PAN系カーボン短繊維、ピッチ系カーボン短繊維等)、ウィスカー繊維、金属粒子(銅粒子、錫粒子、ニッケル粒子、銀粒子等)、金属酸化物(二酸化チタン、二酸化錫、二酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銅等)、金属炭化物(チタンカーバイド、シリコンカーバイド等)等が挙げられる。これらの導電性フィラーは、単独で用いられてもよいし、組み合わされて用いられてもよい。
【0034】
上述の通り、集電体上にアンダーコート層が形成される場合、アンダーコート層形成用の「導電性フィラー入り電池電極用バインダー組成物」を50度Cから100度Cの間の温度で数十分間加熱した後に、上述の電池電極形成用合剤スラリーを塗布するのが好ましい。このようにすれば、アンダーコート層が完全に固化されない状態で電池電極形成用合剤スラリーが塗布されることになるので、アンダーコート層と活物質層とが良好に接着することになる。
【0035】
なお、本局面に係る集電体は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極用の集電体である。
【0036】
活物質層は、上述の合剤スラリーから得られる。また、この活物質層は、集電体を被覆する。つまり、活物質層は、集電体上に形成される。なお、この活物質層は、主に、活物質粒子およびポリイミド樹脂から構成される。この活物質層において、ポリイミド樹脂は、多孔質構造を有し、活物質を包含する鋳型材料として機能し、その孔内の活物質粒子を結着させると共に集電体と活物質粒子とを結着させる役目を担っている。なお、このとき、ポリイミド樹脂は、通常、20体積部から40体積部の範囲程度の多孔質度を有する。また、このポリイミド樹脂は、上述の通り、アニオン性基を有する。なお、ポリイミド樹脂は、主に、テトラカルボン酸由来単位とジアミン由来単位とから形成されている。そして、アニオン性基は、上述の通り、ジアミン由来単位に結合されている。
【0037】
上述の電池電極形成用合剤スラリーから本局面に係る電池電極を形成するには、上述の電池電極形成用合剤スラリーを集電体上またはアンダーコート層に塗布した後、その塗膜を焼成すればよい。なお、塗膜の焼成は、例えば、真空下・窒素雰囲気下・アルゴン雰囲気下などの非酸化性雰囲気下や、水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行なわれるのが好ましい。焼成温度は、上記電池電極形成用合剤スラリー中のモノマー型ポリイミド前駆体がイミド化し十分に高分子量体になる温度以上であり、且つ、集電体及び活物質粒子の融点以下であるのが好ましい。なお、本発明に係る電池電極形成用合剤スラリーの推奨焼成温度は、100度Cから400度Cの間の温度である。なお、この合剤スラリーの焼成温度は、100度Cから300度Cの間の温度であることがより好ましく、150度Cから300度Cの間の温度であることがさらに好ましく、200度Cから300度Cの間の温度であることがさらに好ましい。これは、熱による集電体の劣化を防ぐと共に、ポリイミド樹脂の架橋構造を保つためである。焼成方法としては、例えば、通常の恒温炉を使用する方法や、放電プラズマ焼結法、ホットプレス法が挙げられる。このようにして集電体上またはアンダーコート層上に活物質層が形成されることにより、活物質層において、多孔質性のポリイミド樹脂により活物質粒子同士のみならず活物質粒子と集電体とが強固に結着される。
【0038】
また、塗膜の焼成前に、その塗膜を集電体とともに圧延してもよいし、圧延しなくてもよいが、圧延しない方が好ましい。なお、塗膜を集電体とともに圧延すれば、「塗膜中の活物質粒子の充填密度」、「活物質粒子間の密着性」および「活物質粒子と集電体との密着性」が高くなりすぎ、充放電サイクルの寿命が低下するからである。その一方、圧延しなければ、集電体やポリイミド樹脂製の鋳型の破壊を防ぎ、その結果、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
【0039】
本局面に係る電池電極において、活物質層中のポリイミド樹脂の含有量は、活物質層の総重量の5重量%以上50重量%以下であるのが好ましく、5重量%以上30重量%以下であるのがより好ましく、5重量%以上20重量%以下であるのがさらに好ましい。また、活物質層中に占めるポリイミド樹脂の体積含有量は、活物質層の総体積の5体積%以上50体積%以下であるのが好ましい。活物質層におけるポリイミド樹脂の含有量が5重量%未満または5体積%未満であると、活物質粒子同士の密着性、活物質粒子と集電体との密着性が不十分となるおそれがあり、活物質層におけるポリイミド樹脂の含有量が50重量%超または50体積%超であると、電池電極内の抵抗が増加し、初期の充電が困難になるおそれがあるからである。
【0040】
本発明の第局面に係る電池電極形成用合剤スラリー製造方法は、第1混合工程および第2混合工程を備える。第1混合工程では、電池電極用バインダー組成物に、実質的にせん断応力が加えられることなくカーボンブラックが混合されて、カーボンブラック添加電池電極用バインダー組成物が調製される。なお、ここにいう「実質的にせん断応力を加えることなく」とは、カーボンブラックの組織が破壊されない程度のせん断応力は許容されることを意味する。
【0041】
また、電池電極用バインダー組成物には、テトラカルボン酸エステル化合物、アニオン性基を有するジアミン化合物および溶媒が含有される。なお、溶媒には、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物が溶解されている。第2混合工程では、カーボンブラック添加電池電極用バインダー組成物に、活物質粒子が混合されて電池電極形成用合剤スラリーが調製される。なお、活物質粒子を100重量部とした場合、電池電極用バインダー組成物の固形分は、5重量部から11重量部の範囲内であるのが好ましい。
【0042】
このため、この電池電極形成用合剤スラリー製造方法を利用すれば、カーボンブラックの組織が破壊されることなく、カーボンブラックが電池電極用バインダー組成物に分散される。したがって、この電池電極形成用合剤スラリー製造方法を利用すれば、電池電極形成用合剤スラリー製造方法から得られる活物質層の導電性を良好なものとすることができる。
【0043】
本発明の第局面に係る電池電極形成方法は、塗布工程および加熱工程を備える。塗布工程では、上述の電池電極形成用合剤スラリーが集電体上に塗布されて、集電体上に電池電極形成用合剤スラリー塗膜が形成される。なお、ここで、集電体上に予めアンダーコート層が形成されていてもよい。加熱工程では、電池電極形成用合剤スラリー塗膜が加熱されて、多孔質活物質層が形成される。なお、この加熱工程では、電池電極形成用合剤スラリー塗膜が、100度C以上400度C未満の温度で加熱されるのが好ましく、150度C以上350度C未満の温度で加熱されるのがより好ましい。
【0044】
また、通常、電池電極を形成する場合、「活物質粒子の充填密度」、「活物質粒子間の密着性」および「活物質粒子と集電体との密着性」を高めるために、活物質層が集電体と共に圧延される。しかし、この電池電極形成方法では、合剤スラリーから多孔質活物質層が形成される。つまり、この電池電極形成方法では、活物質層は圧延されない。このように活物質層中のポリイミド樹脂が多孔質化されると、その多孔質化されたポリイミド樹脂中に活物質粒子が、包括される。このため、活物質粒子が激しい膨張収縮を繰り返しても、活物質粒子がポリイミド樹脂から脱落しにくくなる。
【0045】
また、この電極形成方法では、電池電極形成用合剤スラリー塗膜が、比較的低温で加熱される。このため、この電池電極形成方法を利用すれば、ポリイミド樹脂を比較的柔らかいものとすることができる。したがって、この電池電極形成方法を利用すれば、ポリイミド樹脂が活物質粒子の膨張に追随しやすくなり、ポリイミド樹脂から活物質粒子が脱落することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダーは、従前の電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダーよりも活物質粒子と集電体とをさらに強固に結着(特に点結着)させることができ、リチウムイオン二次電池の負極の活物質層のバインダーとして利用された場合、リチウムイオン二次電池等の充放電サイクルをさらに向上させることが期待される。
【0047】
また、本発明に係る電池電極用バインダー組成物、電池電極用バインダーは、活物質粒子のバインダーとして利用される場合、活物質粒子と集電体とを強固に結着(特に点結着)させるだけでなく、フリーのカルボキシル基によりカチオン(リチウムイオン等)の取り込みを促進することが期待され、その結果、リチウムイオン二次電池等の放電容量を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の実施例1および比較例1に係るポリイミドフィルム片のFT−IR(フーリエ変換−赤外分光分析)による測定チャートである。
図2】本発明の実施例1および比較例1に係るポリイミドフィルム片の動的粘弾性の測定チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、以下に示される実施例は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0050】
1.モノマー型ポリイミド前駆体溶液の調製
500mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製の攪拌羽を取り付けた攪拌棒を取り付けて合成容器とした。そして、その合成容器に、ポリイミド前駆体溶液の固形分が28重量%となるように10.19g(0.032mol)の3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)(ダイセル化学工業株式会社製)と、2.91g(0.063mol)のエタノール(上野化学工業株式会社製)とを投入した後、合成容器中の内容物を90度Cで加熱しながら1時間攪拌してBTDAジエステル溶液を調製した。BTDAジエステル溶液を45度C以下に冷却した後、そのBTDAジエステル溶液に4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)(東京化成工業株式会社製)を添加し、再び50度Cに加熱しながら1時間攪拌してモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製した。
【0051】
2.リチウムイオン二次電池の作製
(1)負極の作製
上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液を、#300のSUSメッシュでろ過した。この濾過後のモノマー型ポリイミド前駆体溶液からフィルムを作成し、ガラス転移点(Tg)を測定したところ、331度Cであった。濾過前のポリイミド前駆体溶液から作成したフィルムよりTgが下降しているが、不純物が濾過により除去されたため、又は実験誤差のためと考えられる。この濾過した後のモノマー型ポリイミド前駆体溶液 7.3gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)39.0gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)2.4gとを添加した後に遊星式(自公転式)ミキサー(株式会社シンキー製)によりよく混ぜ合わせて、負極合剤スラリーを調製した。
【0052】
この負極合剤スラリーを、集電体である粗面粗さ(算術平均粗さ)Rzが4.0μmである電解銅箔(厚み35μm)の片面(粗面)に、乾燥後の厚みが19μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製した。
【0053】
(2)対極
対極は、厚み0.5mmのリチウム金属箔をφ13mmの円形状に切り抜いて作製した。
【0054】
(3)非水電解液
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で調合した溶媒に対してLiPF6が1モル/LとなるようにLiPFを溶解させた非水電解液を用いた。
【0055】
(4)リチウムイオン二次電池の作製
上述ようにして作製された負極、対極および非水電解液をCR2032型SUS製コインセル内部に組み込んでリチウムイオン二次電池を作製した。
【0056】
なお、正極と対極とは、ポリプロピレン製セパレータ(Celgard2400:セルガード社製)をガラス繊維布帛で補強したものを介して対向するように配置された。
【0057】
3.各種物性の測定
(1)FT−IR(フーリエ変換−赤外分光分析)によるアミド基の確認
上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液をガラス板上に流延した後、ドクターブレードにより薄く引き延ばし、200度Cで1時間、250度Cで1時間、300度Cで1時間、350度Cで1時間焼成した。その後、ガラス板上に形成されたポリイミドフィルム片をガラス板から引き剥がしてポリイミドフィルム片を得た。
【0058】
そして、そのポリイミドフィルム片を島津製作所製のFTIR−8400にセットし、薄膜透過法によりFT−IR(フーリエ変換−赤外分光分析)測定を行った。得られたIR(赤外)スペクトルの3350cm−1及び3100cm−1それぞれの付近に、会合しないアミド基のN−H間伸縮運動に帰属するピーク、会合するアミド基のN−H間伸縮運動に帰属するピークが確認された(図1参照)。したがって、このポリイミドフィルム片中にアミド基が存在することが確認された。よって、ジアミノ安息香酸のカルボキシル基は加熱によりアミド基に変換されるものと推察される。
【0059】
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液をガラス板上に流延した後、ドクターブレードにより薄く引き延ばし、200度Cで1時間、250度Cで1時間、300度Cで1時間、350度Cで1時間焼成した。その後、ガラス板上に形成されたポリイミドフィルム片をガラス板から引き剥がしてポリイミドフィルム片を得た。
【0060】
このポリイミドフィルム片をセイコーインスツルメンツ製の動的粘弾性測定装置EXSTAR6000にセットした後、測定周波数1Hz、昇温速度2度C/分の条件下で貯蔵弾性率の測定を行い、このポリイミドフィルム片の貯蔵弾性率曲線を得た。このポリイミドフィルム片のガラス転移温度(Tg)は、図2に示されるように、「貯蔵弾性率曲線の低温側直線部の外挿接線」と「ガラス転移領域の曲線上の点における接線のうち勾配が最大となる接線」との交点とした。このポリイミドフィルム片のガラス転移温度(Tg)は339度Cであった。
【0061】
(3)架橋点間分子量(Mx)
上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液をガラス板上に流延した後、ドクターブレードにより薄く引き延ばし、200度Cで1時間、250度Cで1時間、300度Cで1時間、350度Cで1時間焼成してポリイミドフィルム片を作製した。
【0062】
このポリイミドフィルム片をセイコーインスツルメンツ製の動的粘弾性測定装置EXSTAR6000にセットした後、測定周波数1Hz、昇温速度2度C/分の条件下で貯蔵弾性率の測定を行い、このポリイミドフィルム片の貯蔵弾性率曲線を得た。このポリイミドフィルム片の架橋点間分子量(Mx)は、下式(1)により求めた。なお、式(1)中、ρはポリイミドの密度(1.3g/cm)であり、Tは「貯蔵弾性率が極小となる点での絶対温度」であり、E’は「極小点における貯蔵弾性率」であり、Rは気体定数である。このポリイミドフィルム片の架橋点間分子量Mxは2.9であった(図2参照)。
Mx=ρRT/E’・・・(1)
【0063】
(4)碁盤目付着性試験
福田金属箔粉工業社製の銅箔「CF−T8(膜厚18μm)」を日本研紙製のサンドペーパー「P−2000C−Cw」で研磨した後、その銅箔の研磨面上に、焼成後の膜厚が約10μmから20μmの間の値になるように上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液を塗布した。そして、そのモノマー型ポリイミド前駆体溶液を空気雰囲気下において100度Cで10分間乾燥した後、減圧下において220度Cで1時間加熱し、空気雰囲気下において250度Cで1時間、275度Cで1時間焼成して、試験片を得た。
【0064】
「自動車部品の塗膜通則 4.15碁盤目付着性試験方法(JIS D0202(1998))」に準じて、ポリイミド樹脂の銅箔に対する付着強さを測定した。なお、セロハンテープとしてアスクル社製「アスクルセロハンテープ」を用いた。その結果、上述のポリイミド樹脂の銅箔に対する付着強さは28/100であった。
【0065】
また、フジミファインテクノロジー社製のシリコンウエハ「半導体ハンドリング用4インチシリコンウエハ表面ミラー仕上げ」を日本研紙製「P−2000C−Cw」で研磨した後、そのシリコンウエハの研磨面上に、焼成後の膜厚が約10μmから30μmの間になるように上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液を塗布した。そして、そのモノマー型ポリイミド前駆体溶液を空気雰囲気下において100度Cで10分間乾燥した後、減圧下において220度Cで1時間加熱し、空気雰囲気下において250度Cで1時間、275度Cで1時間焼成して、試験片を得た。
【0066】
「自動車部品の塗膜通則 4.15碁盤目付着性試験方法(JIS D0202(1998))」に準じて、ポリイミド樹脂のシリコンウエハに対する付着強さを測定した。なお、セロハンテープとしてアスクル社製「アスクルセロハンテープ」を用いた。その結果、上述のポリイミド樹脂のシリコンウエハに対する付着強さは100/100であった。
【0067】
(5)リチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験
リチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は、環境温度を30℃とし、充放電速度を0.1Cとし、カットオフ電圧を充電時0.0V、放電時1.0Vとし、充放電サイクルを50回として行い、1サイクル毎に放電容量(mAh/g)を計測した。また、維持率として、「第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比」および「第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比」を求めた。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.62mAh/cmであった(表1参照)。
【0068】
その結果、第1サイクルの放電容量が4309.6mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3584.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3115.0mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2689.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は86.89%(=3115.0/3584.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は75.03%(=2689.8/3584.8×100)であった(表1参照)。
【実施例2】
【0069】
「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが14μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.70mAh/cmであった(表2参照)。
【0070】
その結果、第1サイクルの放電容量が4194.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3470.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3026.7mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2614.1mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.22%(=3026.7/3470.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は75.33%(=2614.1/3470.1×100)であった(表2参照)。
【実施例3】
【0071】
「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが23μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.75mAh/cmであった(表2参照)。
【0072】
その結果、第1サイクルの放電容量が4238.8mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3500.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3014.6mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2601.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は86.11%(=3014.6/3500.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.31%(=2601.3/3500.8×100)であった(表2参照)。
【実施例4】
【0073】
「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが16μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.80mAh/cmであった(表2参照)。
【0074】
その結果、第1サイクルの放電容量が4121.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3414.3mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2945.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2544.7mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は86.27%(=2945.5/3414.3×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.53%(=2544.7/3414.3×100)であった(表2参照)。
【実施例5】
【0075】
「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.90mAh/cmであった(表2参照)。
【0076】
その結果、第1サイクルの放電容量が4144.9mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3412.6mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2959.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2531.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は86.72%(=2959.5/3412.6×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.18%(=2531.3/3412.6×100)であった(表2参照)。
【実施例6】
【0077】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.3780gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.82mAh/cmであった(表2参照)。
【0078】
その結果、第1サイクルの放電容量が4425.8mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3843.5mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3364.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が3021.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.54%(=3364.5/3843.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は78.62%(=3021.8/3843.5×100)であった(表2参照)。
【実施例7】
【0079】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.0836gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、本実施例では、維持率として、「第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比」も求めた。また、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.12mAh/cmであった(表3参照)。
【0080】
その結果、第1サイクルの放電容量が3541.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3076.5mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3026.4mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2803.4mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2424.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は98.37%(=3026.4/3076.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は91.12%(=2803.4/3076.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は78.81%(=2424.6/3076.5×100)であった(表3参照)。
【実施例8】
【0081】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.3780gを使用したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.69mAh/cmであった(表3参照)。
【0082】
その結果、第1サイクルの放電容量が4700.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が4124.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3401.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2955.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は82.46%(=3401.5/4124.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は71.65%(=2955.6/4124.8×100)であった(表3参照)。
【実施例9】
【0083】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.0836gを使用したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.00mAh/cmであった(表3参照)。
【0084】
その結果、第1サイクルの放電容量が3898.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3384.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2997.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2559.5mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は88.57%(=2997.9/3384.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は75.62%(=2559.5/3384.8×100)であった(表3参照)。
【実施例10】
【0085】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.3780gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.77mAh/cmであった(表3参照)。
【0086】
その結果、第1サイクルの放電容量が4282.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3748.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3113.2mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2704.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は83.05%(=3113.2/3748.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は72.15%(=2704.6/3748.8×100)であった(表3参照)。
【実施例11】
【0087】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.0836gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.95mAh/cmであった(表3参照)。
【0088】
その結果、第1サイクルの放電容量が3714.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3231.6mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2835.7mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2405.2mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.75%(=2835.7/3231.6×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.43%(=2405.2/3231.6×100)であった(表3参照)。
【実施例12】
【0089】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.3780gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、400℃で1時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.69mAh/cmであった(表3参照)。
【0090】
その結果、第1サイクルの放電容量が4424.0mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3873.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3226.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2686.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は83.32%(=3226.9/3873.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は69.36%(=2686.3/3873.1×100)であった(表3参照)。
【実施例13】
【0091】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)43.0836gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、400℃で1時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.87mAh/cmであった(表4参照)。
【0092】
その結果、第1サイクルの放電容量が3870.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3391.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2977.3mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2524.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.78%(=2977.3/3391.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.43%(=2524.6/3391.8×100)であった(表4参照)。
【実施例14】
【0093】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)38.9802gを使用したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、本実施例では、充放電サイクルを30回とし、維持率として「第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比」および「第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比」を求めた。また、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.07mAh/cmであった(表4参照)。
【0094】
その結果、第1サイクルの放電容量が4448.6mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3820.2mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3738.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3448.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は97.85%(=3738.1/3820.2×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は90.28%(=3448.6/3820.2×100)であった(表4参照)。
【実施例15】
【0095】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)46.9837gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、本実施例では、充放電サイクルを10回とし、維持率として「第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比」を求めた。また、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.67mAh/cmであった(表4参照)。
【0096】
その結果、第1サイクルの放電容量が3736.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3195.2mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3083.1mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は96.49%(=3083.1/3195.2×100)であった(表4参照)。
【実施例16】
【0097】
「負極の作製において平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)46.9837gを使用したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、本実施例では、充放電サイクルを10回とし、維持率として「第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比」を求めた。また、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.49mAh/cmであった(表4参照)。
【0098】
その結果、第1サイクルの放電容量が4022.2mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3490.8mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3441.9mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は98.60%(=3441.9/3490.8×100)であった(表4参照)。
【0099】
(比較例1)
4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を、3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に代えた以外は、実施例1と同様にしてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製し、実施例1と同様にして各物性の測定を行った(表1参照)。
【0100】
その結果、得られたIRスペクトルの3350cm−1及び3100cm−1それぞれの付近には、ピークが認められなかった。また、上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液から得られたポリイミド樹脂は、ガラス転移温度が308度Cであり、架橋点間分子量が181であり、銅箔に対する付着強さが0/100であった。なお、このポリイミド樹脂は、付着強さが弱く、カッターナイフで碁盤目状に切断した時点で既に剥離していた。
【0101】
(参考例1)
フジミファインテクノロジー社製のシリコンウエハ「半導体ハンドリング用4インチシリコンウエハ表面ミラー仕上げ」を日本研紙製「P−2000C−Cw」で研磨した後、そのシリコンウエハの研磨面上に、焼成後の膜厚が約10μmから30μmの間になるように比較例1と同様のモノマー型ポリイミド前駆体溶液を塗布した。そして、そのモノマー型ポリイミド前駆体溶液を空気雰囲気下において100度Cで10分間乾燥した後、減圧下において220度Cで1時間加熱し、空気雰囲気下において250度Cで1時間、275度Cで1時間焼成して、試験片を得た。
【0102】
「自動車部品の塗膜通則 4.15碁盤目付着性試験方法(JIS D0202(1998))」に準じて、ポリイミド樹脂のシリコンウエハに対する付着強さを測定した。なお、セロハンテープとしてアスクル社製「アスクルセロハンテープ」を用いた。その結果、上述のポリイミド樹脂のシリコンウエハに対する付着強さは100/100であった。
【表1】
【0103】
(比較例2)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、6.31mAh/cmであった(表5参照)。
【0104】
その結果、第1サイクルの放電容量が3654.3mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2857.9mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1645.6mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が1224.9mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は57.58%(=1645.6/2857.9×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は42.86%(=1224.9/2857.9×100)であった(表5参照)。
【0105】
(比較例3)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、10.13mAh/cmであった(表5参照)。
【0106】
その結果、第1サイクルの放電容量が3533.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2661.4mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1453.3mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が1067.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は54.61%(=1453.3/2661.4×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は40.10%(=1067.3/2661.4×100)であった(表5参照)。
【0107】
(比較例4)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」および「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが27μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、7.27mAh/cmであった(表5参照)。
【0108】
その結果、第1サイクルの放電容量が3410.2mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2757.5mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1207.2mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が762.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は43.78%(=1207.2/2757.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は27.66%(=762.8/2757.5×100)であった(表5参照)。
【0109】
(比較例5)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが37μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、9.50mAh/cmであった(表5参照)。
【0110】
その結果、第1サイクルの放電容量が3780.1mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2709.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1202.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が825.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は44.40%(=1202.9/2709.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は30.46%(=825.3/2709.1×100)であった(表5参照)。
【0111】
(比較例6)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが28μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、6.74mAh/cmであった(表5参照)。
【0112】
その結果、第1サイクルの放電容量が3724.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2911.2mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1860.4mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が1410.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は63.91%(=1860.4/2911.2×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は48.46%(=1410.8/2911.2×100)であった(表5参照)。
【0113】
(比較例7)
「4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を3.47g(0.032mol)のm−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製したこと」、「負極合剤スラリーを電解銅箔の片面に、乾燥後の厚みが31μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製したこと」および「負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、8.86mAh/cmであった(表5参照)。
【0114】
その結果、第1サイクルの放電容量が3431.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が2629.7mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が1036.1mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が746.9mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は39.40%(=1036.1/2629.7×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は28.40%(=746.9/2629.7×100)であった(表5参照)。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0115】
上述の結果より、本発明に係るモノマー型ポリイミド前駆体溶液は、従前のモノマー型ポリイミド前駆体溶液よりも活物質粒子と集電体とをさらに強固に結着させることができ、曳いては、リチウムイオン二次電池の充放電サイクルをさらに向上させることができると共に、リチウムイオン二次電池の放電容量を増大させることができることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明に係る電池電極用バインダー組成物は、従前の電池電極用バインダー組成物よりも活物質粒子と集電体とをさらに強固に決着させることができるため、リチウムイオン二次電池の負極の活物質層のバインダーとして有用である。
【0117】
また、本発明に係る合剤スラリーは、従前の合剤スラリーよりもリチウムイオン二次電池等の充放電サイクルをさらに向上させることができると共に、リチウムイオン二次電池等の放電容量を増大させることができるため、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極活物質層を形成する負極合剤スラリーとして有用である。
図1
図2