特許第5822017号(P5822017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5822017電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池
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  • 特許5822017-電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5822017
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20151104BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20151104BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20151104BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20151104BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20151104BHJP
【FI】
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M4/485
   H01M4/36 C
   H01M4/58
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-240201(P2014-240201)
(22)【出願日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年1月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118050
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 将之
(72)【発明者】
【氏名】北川 高郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 健太
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/146168(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/185494(WO,A1)
【文献】 特開2014−146514(JP,A)
【文献】 特開2007−191389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質粒子の表面に炭素質被膜が形成されてなる粒子状の電極材料であって、前記電極活物質粒子の表面における前記炭素質被膜の被覆率が80%以上であり、前記電極材料の炭素量、前記電極材料の比表面積、及び前記炭素質被膜の平均膜厚から算出される炭素質被膜の見かけ密度(ρV)が0.10g/cm以上1.08g/cm以下であり、前記電極材料の全質量に占める炭素成分の割合が0.6質量%以上5.0質量%以下であり、前記炭素質被膜の気相置換法により求められる真密度(ρT)が1.80g/cm以上2.50g/cm以下であり、前記炭素質被膜の見かけ密度(ρV)と前記炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)が0.04以上0.60以下であることを特徴とする電極材料。
【請求項2】
前記炭素質被膜の全質量に占める炭素成分の割合が50質量%以上である請求項に記載の電極材料。
【請求項3】
前記電極活物質粒子は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム及びLiPO(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y及び希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5である。)の群から選択される1種を主成分とする請求項1又は2に記載の電極材料。
【請求項4】
請求項1〜の何れか1項に記載の電極材料及び結着剤を含有してなる電極用ペースト。
【請求項5】
金属箔上に、請求項に記載の電極用ペーストから形成されてなる電極材料層を有する正極集電体を備えてなるリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型化、軽量化、高容量化が期待される電池として、リチウムイオン電池等の非水電解液系の二次電池が提案され、実用に供されている。リチウムイオン電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極及び負極と、非水系の電解質と、により構成されている。
リチウムイオン電池の負極材料の負極活物質としては、チタン酸リチウム(LiTi12)等のリチウム含有金属酸化物または炭素系材料が用いられている。
一方、リチウムイオン電池の正極材料の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム含有金属酸化物、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のオキソ酸塩リチウム系化合物等が用いられている。リチウムイオン電池の正極は、例えば、集電体と称される金属箔の表面に、正極活物質及び結着剤等を含有する電極用ペーストを塗布、乾燥することにより形成できる。
【0003】
このようなリチウムイオン電池は、従来の鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等の二次電池と比べて、軽量かつ小型であるとともに、高エネルギーを有している。そのため、リチウムイオン電池は、携帯用電話機、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯用電子機器に用いられる小型電源のみならず、定置式の非常用大型電源としても用いられている。
また、近年、リチウムイオン電池は、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、産業用機器、電動工具等の高出力電源としても検討されている。これらの高出力電源として用いられる電池は、屋外での使用を想定されているアプリケーションに多く使用されるため、寒冷地での使用を想定した場合に室温のみならず低温での高速充放電特性が求められている。
【0004】
電極活物質の中でオキソ酸塩リチウム系化合物(特にリン酸鉄リチウム)は、安全性に優れ、かつ資源的及びコスト的にも問題がない点で注目されている。しかし、オキソ酸塩リチウム系化合物は、その結晶構造(オリビン型結晶構造)の影響で電子伝導性が低いという問題がある。
そこで、オキソ酸塩リチウム系化合物を電極活物質として用いた電極材料の電子伝導性を高めるために、特許文献1の手段が提案されている。特許文献1では、リン酸鉄リチウムからなる電極活物質の粒子表面を炭素源である有機化合物で覆い、その後、有機化合物を炭化することにより、電極活物質の表面に炭素質被膜を形成し、この炭素質被膜中の炭素を電子伝導性物質として作用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−15111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、炭素質被膜はリチウムイオンが酸化還元反応する際の障壁になるとともに、リチウムイオンの拡散障壁にもなる。また、炭素質被膜の見かけ密度が高い場合、炭素質被膜の被覆率、炭素質被膜の膜厚、及び炭素質被膜の結晶性が増加する傾向となり、リチウムイオンの伝導性が損なわれる。つまり、電子伝導性向上とリチウムイオン伝導性向上とはトレードオフの関係となる。例えば、炭素質被膜が担持された電極活物質においては、電子伝導性が向上する反面、リチウムイオン伝導性が損なわれることによって電池内部抵抗の総和が上昇し、高速放電を行った際に電圧が著しく低下することとなる。
【0007】
本発明は、本発明は、表面に炭素質被膜が形成された電極活物質を用いた電極材料であって、炭素質被膜中のリチウムイオンが拡散する移動経路を保ち、炭素質被膜により電子伝導性が担保されながらも、リチウムイオン伝導性をも向上した電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明は、以下[1]〜[6]の発明を提供する。
[1]電極活物質粒子の表面に炭素質被膜が形成されてなる粒子状の電極材料であって、前記電極活物質粒子の表面における前記炭素質被膜の被覆率が80%以上であり、前記電極材料の炭素量、前記電極材料の比表面積、及び前記炭素質被膜の平均膜厚から算出される炭素質被膜の見かけ密度(ρV)が0.10g/cm以上1.08g/cm以下であることを特徴とする電極材料。
[2]前記電極材料の全質量に占める炭素成分の割合が0.6質量%以上5.0質量%以下であり、前記炭素質被膜の気相置換法により求められる真密度(ρT)が1.80g/cm以上2.50g/cm以下であり、前記炭素質被膜の見かけ密度(ρV)と前記炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)が0.04以上0.60以下である上記[1]に記載の電極材料。
[3]前記炭素質被膜の全質量に占める炭素成分の割合が50質量%以上である上記[1]または[2]に記載の電極材料。
[4]前記電極活物質粒子は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム及びLiPO(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y及び希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5である。)の群から選択される1種を主成分とする上記[1]〜[3]の何れかに記載の電極材料。
[5]上記[1]〜[4]の何れかに記載の電極材料及び結着剤を含有してなる電極用ペースト。
[6]金属箔上に、上記[5]に記載の電極用ペーストから形成されてなる電極材料層を有する正極集電体を備えてなるリチウムイオン電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電極材料、電極用ペースト及びリチウムイオン電池は、表面に炭素質被膜が形成された電極活物質を用いているにも関わらず、リチウムイオン伝導性を損なうことなく、電子伝導性を向上させることができる。したがって、本発明の電極材料、電極及びリチウムイオン電池は、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、その結果、電圧が著しく低下する虞もなく、高速の充放電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電極材料の炭素質被膜のリチウムイオンの移動経路を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電極材料]
本発明の電極材料は、電極活物質粒子の表面に炭素質被膜が形成されてなる粒子状の電極材料であって、前記電極活物質粒子の表面における前記炭素質被膜の被覆率が80%以上であり、前記電極材料の炭素量、前記電極材料の比表面積、及び前記炭素質被膜の平均膜厚から算出される炭素質被膜の見かけ密度(ρV)が0.10g/cm以上1.08g/cm以下であるものである。
本発明では、かかる条件を満たす電極材料を用いることにより、リチウムイオン電池正極に用いた場合に、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、その結果、電圧が著しく低下する虞もなく、高速の充放電を行うことができる。
【0012】
(電極活物質粒子)
電極活物質粒子を構成する電極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム、LiPO(ただし、Aは、Co、Mn、Ni、Fe、Cu、及びCrからなる群より選択される1種または2種以上、Dは、Mg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、及び希土類元素からなる群より選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5である。)等が挙げられる。
電極活物質粒子は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム、及びLixAyDzPOからなる群より選択される少なくとも1種を主成分とすることが好ましく、その中でも、LiPOで表されるオキソ酸塩リチウム系化合物は、オリビン型結晶構造を有し、高速の放電を行った際の電圧低下が生じやすく、本発明の構成とすることによる効果を発揮しやすい点で好適である。
ここで、主成分とは、電極活物質粒子全質量中の含有量が50質量%を越えることをいう。また、主成分は、電極活物質粒子全質量中の80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0013】
LiPOのAについては、Co、Mn、Ni及びFeが高い放電電位が得られやすいため好ましい。LiPOのDについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn及びAlが高い放電電位が得られやすいため好ましい。
また、希土類元素とは、ランタン系列であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの15元素のことである。
以上の中でも、電極活物質としては、LiFePO(AがFe)であることが好ましく、LiFePO(AがFe、かつzが0)であることがより好ましく、LiFePOであることがさらに好ましい。
【0014】
LiPOで表されるオキソ酸塩リチウム系化合物(オリビン型リチウム系化合物)は、固相法、液相法、気相法等の従来の方法により製造したものを用いることができる。
LiPOは、例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてD源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成し、得られた沈殿物を水洗して、電極活物質の前駆体物質を生成し、さらに前駆体物質を焼成することで得られる。水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
ここで、Li源としては、酢酸リチウム(LiCHCOO)、塩化リチウム(LiCl)等のリチウム塩及び水酸化リチウム(LiOH)等が挙げられ、酢酸リチウム、塩化リチウム及び水酸化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
A源としては、Co、Mn、Ni、Fe、Cu、及びCrからなる群より選択される少なくとも1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。例えば、AがFeである場合、Fe源としては、塩化鉄(II)(FeCl)、酢酸鉄(II)(Fe(CHCOO))、硫酸鉄(II)(FeSO)等の2価の鉄塩が挙げられ、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、及び硫酸鉄(II)からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
D源としては、Mg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、及び希土類元素からなる群より選択される1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
P源としては、リン酸(HPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)等のリン酸化合物が挙げられ、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びリン酸水素二アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0015】
電極活物質粒子の大きさは、特に制限されず、1次粒子の平均粒子径は10nm〜20,000nmであることが好ましく、20nm〜5,000nmであることがより好ましい。
電極活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が10nm以上であることで、1次粒子の表面を炭素質被膜で充分に被覆することができ、高速充放電レートにおける放電容量の低下を抑制し、充分な充放電レート性能を実現しやすくできる。また、電極活物質粒子の1次粒子の平均粒子径が20,000nm以下であることで、1次粒子の内部抵抗が大きくなりにくく、高速充放電レートにおける放電容量を損ねにくい。
なお、本発明において、平均粒子径とは、粒度分布における累積体積百分率が50%のときの粒子径D50を意味する。
電極活物質粒子の一次粒子の平均粒子径は、無作為に500個の粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡にて個々の粒子の一次粒子径を測定し、累積体積百分率50%の粒子径を算出することにより得ることができる。なお、粒子が球形ではない場合、粒子を縦断する線分のうち最も長くなる線分の長さ(長径)と、粒子を縦断する線分のうち該長径の中点に直交する線分の長さ(短径)との平均を、個々の粒子の一次粒子径とする。
【0016】
電極活物質粒子の形状は、特に制限されないが、球状であることが好ましく、真球状であることがより好ましい。電極活物質粒子が球状であることで、本発明の電極材料を用いて正電極用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができるとともに、正電極用ペーストの集電体への塗工も容易となる。なお、正電極用ペーストは、例えば、本発明の電極材料と、バインダー樹脂(結着剤)と、溶媒とを混合して調製することができる。
また、電極活物質粒子の形状が球状であることで、電極活物質粒子の表面積が最小となり、電極材料に添加するバインダー樹脂(結着剤)の配合量を最小限にすることができ、得られる正電極の内部抵抗を小さくすることができるので、好ましい。
さらに、電極活物質粒子の形状が球状であれば、電極活物質が最密充填しやすいので、単位体積あたりの正極材料の充填量が多くなり、よって、電極密度を高くすることができる。その結果、リチウムイオン電池の高容量化を図ることができるので、好ましい。
【0017】
電極活物質粒子は、一次粒子が凝集した凝集体であってもよい。凝集体の平均粒子径(平均二次粒子径)は0.5〜100.0μmが好ましく、1.0〜50.0μmであることがより好ましい。凝集体の平均粒子径を0.5μm以上とすることにより、高速充放電レートにおける放電容量が低くなることを防止しやすくできる。また、凝集体の平均粒子径を100μm以下とすることにより、正極の表面に凝集体に起因する凹凸が生じ、高速充放電の際に局所的に充放電ルートが生じ、放電容量が低下することを防止しやすくできる。
なお、凝集体の平均粒子径(平均二次粒子径)は、粒度分布における累積体積百分率が50%のときの粒子径D50を意味し、レーザー散乱法により測定することができる。
【0018】
ここで、一次粒子が凝集した凝集体とは、表面に炭素質被膜が形成された電極活物質粒子同士が、点接触の状態で凝集することにより、電極活物質粒子同士の接触部分が断面積の小さい頸部状となって強固に接続された状態の凝集体のことである。このように、電極活物質粒子同士の接触部分が断面積の小さい頸部状となることで、凝集体内部にチャネル状(網目状)の空隙が三次元に広がった構造となる。
【0019】
凝集体の体積密度とは、水銀ポロシメーターを用いて測定することができるものであり、凝集体により構成される電極材料全体の質量と、凝集体を構成する粒子の間隙の体積とから算出されるものである。換言すれば、凝集体を構成している粒子間隙の体積の総和から凝集体粒子間の間隙を除いた凝集体の粒子内部の粒子間隙と、凝集体により構成される電極材料全体の質量から算出される凝集体の密度のことである。
【0020】
凝集体の体積密度としては、凝集体を中実とした場合の体積密度の50体積%以上80体積%以下が好ましく、より好ましくは55体積%以上75体積%以下、さらに好ましくは60体積%以上75体積%以下である。
ここで、中実な凝集体とは、空隙が全く存在しない凝集体のことであり、中実な凝集体の密度は電極活物質の理論密度に等しいものとする。
【0021】
凝集体の体積密度を50体積%以上80体積%以下とすることで、凝集体がある一定量の細孔(空隙)を有する状態で緻密化することにより、凝集体全体の強度が増し、例えば、電極活物質粒子を結着剤、導電助剤、溶媒と混合して電極スラリーを調製する際に凝集体が崩れ難くなり、その結果、電極スラリーの粘度の上昇が抑制され、かつ流動性が保たれることにより、塗工性が良くなると共に、電極スラリーの塗膜における電極活物質の充填性の向上をも図ることができる。
ここで、凝集体の体積密度が上記の範囲外、例えば、凝集体を中実とした場合の体積密度の50体積%未満では、電極活物質の凝集体内部の細孔における芳香族炭素化合物の蒸気の濃度が低くなりすぎてしまい、凝集体の中心部における炭素質被膜の膜厚が薄くなり、電極活物質の内部抵抗が高くなるので好ましくなく、一方、凝集体の体積密度が、凝集体を中実とした場合の体積密度の80体積%を超えると、凝集体の内部の密度が高くなりすぎて、凝集体内部のチャネル状(網目状)の細孔が小さくなってしまい、その結果、凝集体内部に有機化合物の炭化の際に生成するタール状物質が閉じ込められてしまうので、好ましくない。
【0022】
(炭素質被膜)
炭素質被膜は、電極材料に所望の電子伝導性を付与する役割を有するが、その一方で、リチウムイオンが酸化還元反応する際の障壁になるとともに、リチウムイオンの拡散障壁にもなる。したがって、炭素質被膜の被覆率が高い程、また、炭素質被膜の膜厚が厚い程、リチウムイオンの伝導性が損なわれる。このため、電子伝導性向上とリチウムイオン伝導性向上とがトレードオフの関係となる。例えば、炭素質被膜が担持された電極活物質においては、電子伝導性が向上する反面、リチウムイオン伝導性が損なわれることによって電池内部抵抗の総和が上昇し、高速の放電を行った際に電圧が著しく低下することとなる。
本発明では、炭素質被膜の被覆率を80%以上として、かつ炭素質被膜の見かけ密度(ρV)を0.10g/cm以上1.08g/cm以下とすることにより、炭素質被膜のトレードオフの問題を解消している。
【0023】
電極活物質粒子の表面における炭素質被膜の被覆率は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
電極活物質粒子の表面における炭素質被膜の被覆率は、実施例に記載の方法で算出できる。
【0024】
炭素質被膜の見かけ密度(ρV)は、0.15g/cm以上0.80g/cm以下であることが好ましく、0.20g/cm以上0.60g/cm以下であることがより好ましい。
炭素質被膜の見かけ密度は、電極材料の炭素量、電極材料の比表面積、及び炭素質被膜の平均膜厚から算出できる。
【0025】
炭素質被膜は、炭素質被膜の原料となる有機化合物を炭化することにより得られる。炭素質被膜の原料となる有機化合物、及び炭素質被膜の形成手段の詳細は、後述する。
【0026】
炭素質被膜は、電極材料のリチウムイオン伝導性が損なわれないために、リチウムイオンの移動経路が短いことが好ましい。
炭素質被膜中にリチウムイオンの移動を阻害する要因となる構造が存在する場合、リチウムイオンは該構造を迂回して移動する。該構造としては、例えば、炭素の六角網面のような電子が非局在化された構造が挙げられる。
【0027】
図1は、炭素質被膜のリチウムイオンの移動経路を説明するイメージ図である。
図1(a)のように、炭素質被膜を形成するグラフェン層が密集して配置されている場合、電子伝導性は向上するが、リチウムイオンの移動経路は長くなり、リチウムイオンの伝導性が悪化する。
一方、図1(b)のように、炭素質被膜を形成するグラフェン層が隙間を多く配置されている場合、リチウムイオンの移動経路は短くなり、リチウムイオンの伝導性が向上するが、グラフェン同士の接触が少なくなり、電子伝導性が悪化する。
図1(c)のように、炭素質被膜を形成するグラフェンが隙間を有し、かつ、適度にグラフェンが接触している状態が、リチウムイオンの伝導性を損なうことなく、電子伝導性が向上し、トレードオフの問題を解消しており好ましい。
炭素質被膜の被覆率及び見かけ密度を上述した範囲とすることにより、図1(c)のような炭素被膜の構造を得やすくできる。
【0028】
また、本発明では、電極材料の全質量に占める炭素成分の割合が0.6質量%以上5.0質量%以下であり、炭素質被膜の気相置換法により求められる真密度(ρT)が1.80g/cm以上2.50g/cm以下であり、炭素質被膜の見かけ密度(ρV)と炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)が0.04以上0.60以下とすることにより、電極活物質と炭素質被膜との関係、炭素質被膜の被覆率、膜厚等も考慮した上で、最適な炭素質被膜が形成された電極活物質粒子を得ることができる点で好適である。
【0029】
炭素質被膜の見かけ密度(ρV)と炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)の技術的意義についてより詳述すると、ρV/ρTが0.60より大きい場合には炭素質被膜中の電荷移動抵抗が高くなり、その結果として電池の内部抵抗が上昇し、高速充放電レートにおける電圧低下が著しくなる。一方、ρV/ρTが0.04より小さい場合にはリチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際に立体障害によってリチウムイオン移動抵抗が高くなり、その結果として電池の内部抵抗が上昇し、高速充放電レートにおける電圧低下が著しくなる。このため、ρV/ρTを0.04以上0.60以下とすることには、本発明の効果をより良好にする点において大きな意義がある。
なお、ここでいう「内部抵抗」とは、主として電荷移動抵抗とリチウムイオン移動抵抗とを合算したものであり、電荷移動抵抗は炭素質被膜の膜厚、炭素質被膜の密度及び結晶性と反比例し、リチウムイオン移動抵抗は炭素質被膜の膜厚、炭素質被膜の密度及び結晶性と比例する。
この内部抵抗の評価方法としては、例えば、電流休止法等が用いられる。この電流休止法では、内部抵抗は、配線抵抗、接触抵抗、電荷移動抵抗、リチウムイオン移動抵抗、正負電極におけるリチウム反応抵抗、正負極間距離によって定まる極間抵抗、リチウムイオンの溶媒和、脱溶媒和に関わる抵抗およびリチウムイオンのSEI(Solid Electrolyte Interface)移動抵抗の総和として測定される。
【0030】
電極材料の全質量に占める炭素成分の割合は、0.7質量%以上4.0質量%以下とすることがより好ましく、0.8質量%以上2.5質量%以下とすることがさらに好ましく、0.9質量%以上1.5質量%以下とすることがよりさらに好ましい。電極材料の炭素量は実施例に記載の方法により算出できる。
炭素質被膜の真密度(ρT)は、1.85g/cm以上2.35g/cm以下とすることがより好ましく、1.90g/cm以上2.20g/cm以下とすることがさらに好ましい。
炭素質被膜の見かけ密度と炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)は、0.08以上0.50以下とすることがより好ましく、0.12以上0.40以下とすることがさらに好ましい。
【0031】
炭素質被膜の膜厚は0.5〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましく、1〜5nmであることがさらに好ましい。
炭素質被膜の膜厚が0.5nm以上であることで、炭素質被膜中の電子の移動抵抗の総和が高くなりにくく、電池の内部抵抗の上昇が抑えられ、高速充放電レートにおける電圧低下を防止しやすくできる。炭素質被膜の膜厚が20nm以下であることで、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際の立体障害が抑制され、リチウムイオンの移動抵抗が低くなる結果、電池の内部抵抗の上昇が抑えられ、高速充放電レートにおける電圧低下を防止しやすくできる。
炭素質被膜の膜厚は、20個の電極材料の単粒子の炭素質被膜の膜厚を平均した値とする。また、1個の電極材料の単粒子の炭素質被膜の膜厚は、電極材料の表面の炭素質被膜の任意の20箇所の膜厚を測定し、20箇所の膜厚の平均値とする。炭素質被膜の膜厚は、具体的には、実施例に記載の方法で算出することができる。
【0032】
炭素質被膜の全質量に占める炭素成分の割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。該割合を50質量%以上とすることにより、炭素質被膜の電荷移動抵抗を抑制し、その結果として電池の内部抵抗が低下し、高速充放電レートにおける電圧低下を抑制できる。
炭素質被膜は、炭素の前駆体である有機化合物の熱分解によって形成するものであるから、必然的に炭素の他に水素、酸素等の元素を含んでいる。このため、焼成条件を適切にしないと、炭素質被膜の全質量に占める炭素成分の割合が50質量%を下回り、炭素質被膜の電荷移動抵抗が高くなり、その結果として電池の内部抵抗が上昇し、高速充放電レートにおける電圧低下が著しくなる。一方、焼成条件を適切にすることにより、炭素質被膜の全質量に占める炭素成分の割合を50質量%以上とすることができ、炭素質被膜の電荷移動抵抗を抑制し、その結果として電池の内部抵抗が低下し、高速充放電レートにおける電圧低下を抑制できる。
【0033】
(炭素質被膜の原料、炭素質被膜の形成手段)
炭素質被膜の原料となる有機化合物としては、電極活物質粒子の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースあるいはエチルセルロース等のセルロース、デンプン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ブドウ糖(D−グルコース)、果糖(D−フルクトース)、ショ糖、乳糖等の糖類、ヘキサノール、オクタノール等の高級一価アルコール、アリルアルコール、プロピノール(プロパルギルアルコール)、テルピネオール等の不飽和一価アルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテル等が挙げられる。
【0034】
炭素質被膜は、以下(1)、(2)の工程により電極活物質粒子の表面に形成することができる。言い換えると、本発明の電極材料は、以下(1)、(2)の工程により製造することができる。
(1)電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体と、有機化合物とを含むスラリーを調製するスラリー調整工程。
(2)該スラリーを乾燥して、有機化合物を含む膜を表面に有する造粒体を生成し、該造粒体を非酸化性雰囲気で焼成することにより、該有機化合物を炭素化して、該造粒体の表面に該有機化合物に基づく炭素質からなる炭素質被膜を形成する工程。
【0035】
工程(1)では、スラリー中にさらに水等の溶媒を添加することが好ましい。
有機化合物は、電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体に対して、有機化合物中の炭素量が所定の量となるように用いることが好ましい。具体的には、有機化合物は、電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体の合計100質量部に対して、有機化合物中の炭素量が0.6質量部〜8.0質量部となるように配合することが好ましく、1.1質量部〜4.0質量部となるように配合することがより好ましい。
ここで、有機化合物の炭素量換算の配合比が0.6質量部以上であることで、電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が低くなりにくく、充分な充放電レート性能を実現することができる。有機化合物の炭素量換算の配合比が8.0質量部以下であることで、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際に立体障害が少なく、リチウムイオン移動抵抗が低くなる。その結果、電池を形成した場合に電池の内部抵抗が上昇しにくく、高速充放電レートにおける電圧低下を抑制することができる。
【0036】
スラリーを調製する際は、電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体と、有機化合物とを、水に溶解又は分散させればよい。溶解あるいは分散の際には、分散剤を添加することが好ましく、また、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の分散装置を用いることが好ましい。
また、溶解又は分散の際は、電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体を水に一次粒子として分散し、その後、有機化合物を添加して溶解するように攪拌することが好ましい。このようにすることにより、電極活物質粒子の1次粒子の表面を有機化合物で被覆しやすくできる。
【0037】
工程(2)では、工程(1)で調製したスラリーを乾燥して、有機化合物を含む膜を表面に有する造粒体を生成し、該造粒体を非酸化性雰囲気で焼成することにより、該有機化合物を炭素化して、該造粒体の表面に該有機化合物に基づく炭素質からなる炭素質被膜を形成する工程を行う。該造粒体は、通常は電極活物質粒子の一次粒子が凝集した凝集体の形態である。なお、電極活物質粒子前駆体は、焼成により電極活物質粒子となる。
スラリーを乾燥して造粒体を生成する手段としては、高温雰囲気中にスラリーを噴霧する手段が挙げられる。ここでの高温雰囲気とは、例えば70〜250℃程度である。
【0038】
非酸化性雰囲気としては、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを用いた不活性雰囲気が好ましく、より酸化を抑えたい場合には水素(H)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。
焼成温度は、500℃〜1000℃が好ましく、650℃〜900℃がより好ましい。焼成時間は0.1時間〜40時間程度である。
焼成温度を500℃以上とすると、有機化合物の炭化を充分に行いやすい。焼成温度を1000℃以下とすることで、電極活物質中のLiが蒸発しにくく、また、電極活物質の粒成長が抑制される。その結果、高速充放電レートにおける放電容量が低くなることを防止することができ、充分な充放電レート性能を実現することができる。
【0039】
また、炭素質被膜は、以下(1’)、(2’)の工程により電極活物質粒子の表面に形成することが好ましい。言い換えると、本発明の電極材料は、以下(1’)、(2’)の工程により製造することが好ましい。
(1’)電極活物質粒子及び/又は電極活物質粒子の前駆体と、有機化合物iと、有機化合物iiとを含むスラリーを調製するスラリー調整工程。
(2’)該スラリーを乾燥して、有機化合物i及びiiを含む膜を表面に有する粒状物を生成し、該粒状物を非酸化性雰囲気で焼成することにより、該膜から該有機化合物iiを除去するとともに、該有機化合物iを炭素化して、該造粒体の表面に有機化合物iに基づく炭素質からなる炭素質被膜を形成する工程。
【0040】
上記工程(1’)、(2’)により得られた電極材料は、高速の充放電を行った際の電圧の低下を抑制しやすく、高速充放電特性を満足する電子伝導性およびリチウムイオン伝導性を有するリチウムリン酸塩化合物を実現することができる。
この理由は、粒状物を形成した段階では、造粒体の表面に、有機化合物i及び有機化合物iiを含む膜を有しているが、炭素質被膜を形成する焼成段階で、造粒体の膜を構成する一方の成分である有機化合物iiが除去されるため、炭素質被膜を構成するグラフェン層に隙間が多くなり、リチウムイオンが移動しやすくなると考えられる。
なお、有機化合物iiは、焼成段階で、有機化合物ii自身あるいはその分解物が燃焼あるいは蒸発することにより、造粒体の膜中から除去されると考えられる。
したがって、上記工程(1’)、(2’)により得られた電極材料は、「炭素質被膜の被覆率」、「炭素質被膜の見かけ密度」、「炭素質被膜の真密度」及び「炭素質被膜の見かけ密度と炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)」を上述した範囲としやすくできる。
【0041】
工程(2’)の後の炭素質被膜の具体的な構造は明らかではないが、模式的に示すと、図1(c)のような状態であると考えられる。
なお、工程(2’)の後の炭素質被膜は、有機化合物iに基づく炭素質からなるものであるが、本発明の効果を阻害しない程度に、有機化合物iiに基づく炭素質からなる炭素質が少量含まれていることは差し支えない。
【0042】
工程(2’)の焼成は、不活性ガス及び必要に応じて添加する還元性ガスを用いた非酸化性雰囲気で行うが、有機化合物iiを除去しやすくするために、酸素(O)、低級アルコール類等の支燃性ガス及び/又は可燃性ガスを少量導入することが好ましい。非酸化性雰囲気を構成する全ガス成分に占める支燃性ガス及び/又は可燃性ガスの割合は、1.0〜8.0体積%であることが好ましく、2.0〜4.0体積%であることがより好ましい。
【0043】
工程(2’)の焼成温度は、500℃〜1000℃が好ましく、650℃〜900℃がより好ましい。また、焼成温度は、有機化合物iiの非酸化性雰囲気における熱分解温度よりも100℃以上高くすることが好ましい。焼成時間は0.1時間〜40時間程度である。
【0044】
有機化合物iは、焼成工程により造粒体の膜から除去されることなく、炭素質被膜を形成可能な有機化合物であれば特に制限されることなく使用できる。
有機化合物iはポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ブドウ糖(D−グルコース)、果糖(D−フルクトース)、ショ糖、乳糖等の糖類、ポリ酢酸ビニルが好ましい。高分子材料においては重量平均分子量が5000以上のものが好ましく、8000〜100000のものがより好ましい。
【0045】
有機化合物iiは、焼成工程により造粒体の膜から除去される有機化合物であれば特に制限されることなく使用できる。
特に、有機化合物iiとしては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、等の高級飽和一価アルコール、アリルアルコール、プロピノール(プロパルギルアルコール)、テルピネオール等の不飽和一価アルコール、ポリエチレン、ポリプロレン、ポリブチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、カルボキシメチルセルロースあるいはエチルセルロース等のセルロース、植物繊維、フィブリン、化学繊維等が好適である。
【0046】
有機化合物iiの配合量は、スラリー中における有機化合物iの配合量を100質量部とした際に、5〜100質量部とすることが好ましく、10〜80質量部とすることがより好ましく、15〜60質量部とすることがさらに好ましい。該配合量とすることにより、「炭素質被膜の被覆率」、「炭素質被膜の見かけ密度」、「炭素質被膜の真密度」及び「炭素質被膜の見かけ密度と炭素質被膜の真密度との比(ρV/ρT)」を上述した範囲としやすくできる。
【0047】
(電極材料の物性)
本発明の電極材料は、電子伝導性の向上の観点から、粉体抵抗値が300Ω・cm以下であることが好ましく、250Ω・cm以下であることがより好ましく、230Ω・cm以下であることがさらに好ましく、100Ω・cm以上220Ω・cm以下であることがよりさらに好ましい。
粉体抵抗値は、電極材料を50MPaの圧力で成形した試料から測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0048】
本発明の電極材料は、粉体抵抗値(Ω・cm)と、電極材料の全質量に占める炭素成分の割合(質量%)との比が300以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましく、1以上230以下であることがさらに好ましい。かかる条件を満たす電極材料は、電子伝導性を上げるために必要な電極材料の炭素量が少なく、電子伝導性及びリチウムイオン伝導性を両立し、トレードオフの問題を解消できることを表している。
【0049】
[電極用ペースト]
本発明の電極用ペーストは、本発明の電極材料及び結着剤を含有する。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等の高分子樹脂が好適に用いられる。
電極材料と結着剤との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対して結着剤を1質量部〜30質量部とすることが好ましく、3質量部〜20質量部とすることがより好ましい。
電極用ペーストは、さらに溶媒及び導電助剤を含有することが好ましい。
【0050】
電極形成用塗料又は電極形成用ペーストに用いる溶媒としては、バインダー樹脂の性質に合わせて適宜選択すればよい。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
[電極及びリチウムイオン電池]
本発明の電極は、本発明の電極用ペーストを金属箔の一方の面に塗布、乾燥して塗膜を形成し、次いで、塗膜を加圧圧着して電極材料層とすることにより、得ることができる。
このようにして、出力特性に優れた電極を作製することができる。該電極は、リチウムイオン電池用の正極として有用である。
また、本発明のリチウムイオン電池は、金属箔上に、本発明の電極用ペーストから形成されてなる電極材料層を有する正極集電体を備えてなるリチウムイオン電池である。
本発明の電極及びリチウムイオン電池は、本発明の電極材料を用いて電極を作製することにより、電極の内部抵抗を小さくすることができる。したがって、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、その結果、電圧が著しく低下する虞もなく、高速の充放電を行うことができるリチウムイオン電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池では、負極、電解液、セパレーター等は特に限定されない。例えば、負極としては、金属Li、炭素材料、Li合金、LiTi12等の負極材料を用いることができる。また、電解液とセパレーターの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
【実施例】
【0052】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの例によってなんら限定されるものではない。
【0053】
1.測定
実施例及び比較例の電極材料について、以下の測定を行った。結果を表1〜3に示す。
【0054】
(1)炭素質被膜の被覆率
電極材料の炭素質被膜を、透過型電子顕微鏡(TEM)及びエネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて観察し、電極材料の表面のうち炭素質被膜が覆っている部分の割合を算出し、被覆率とした。
(2)炭素質被膜の見かけ密度
電極材料中の炭素量、電極材料の比表面積、及び炭素質被膜の膜厚から算出した。
(3)炭素質被膜の真密度
電極材料100gを8N塩酸1Lに浸漬して1日撹拌した後に固液分離した。固相分を洗浄・乾燥して得られたものを酸溶解残渣炭素質被膜とした。酸溶解残渣炭素質被膜を島津製作所製のガス置換式密度計(商品名AccuPyc1330)を用いて真密度を測定した。真密度の測定にはヘリウムガスを用い、何度かパージを行ってサンプルと試料室内部の空気、水分を完全に除去した後、容積を校正した試料室中のヘリウムの圧力変化を測定して試料の容積と密度を算出する。
(4)電極材料の炭素量
炭素分析計を用いて、電極材料の全質量に占める炭素成分の割合(質量%)を測定した。
(5)炭素被膜中の炭素量
炭素分析計を用いて、上記(3)で得られた酸溶解残渣炭素質被膜中の炭素成分の割合(質量%)を測定した。
【0055】
(6)比表面積
比表面積計(日本ベル社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて、電極材料の比表面積を、窒素(N)吸着によるBET法により測定した。
(7)炭素質被膜の平均膜厚
電極活物質粒子上の任意の20箇所の炭素質被膜の膜厚を透過型電子顕微鏡を用いて測定し、20箇所の膜厚を平均して算出した。
(8)平均粒子径(D50)
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、商品名:SALD−1000)を用いて電極材料の平均粒子径(D50)を測定した。
(9)粉体抵抗値
電極材料を金型に投入して50MPaの圧力にて成形し、試料を作製した。低抵抗率計(三菱化学社製、商品名:Loresta−GP)を用いて、25℃にて四端子法により、試料の粉体抵抗値(Ω・cm)を測定した。
【0056】
2.電極材料の作製
[実施例1]
水2Lに、4molの酢酸リチウム(LiCHCOO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO)、2molのリン酸(HPO)を、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、200℃にて1時間、水熱合成を行った。次いで、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体を得た。
次いで、ポリビニルピロリドン1.5g、及びカルボキシメチルセルロース0.15gを水100gに溶解した水溶液と、電極活物質の前駆体100g(固形分換算)とを混合してスラリーとし、このスラリーを、二流体式湿式ジェット粉砕機を用いて、スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の一次粒子の平均粒子径(D50)が50nmとなるように、分散処理を行った。実施例1のスラリー中の有機化合物の含有量は、ポリビニルピロリドン(有機化合物i)100質量部に対して、カルボキシメチルセルロース(有機化合物ii)が10質量部であった。
次いで、この分散処理を行ったスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、表面にポリビニルピロリドン及びカルボキシメチルセルロースを含む膜を有する造粒体を得た。
次いで、得られた造粒体を700℃の非酸化性雰囲気(窒素100体積%、酸素0体積%)にて0.1時間、焼成し、前記膜からカルボキシメチルセルロースを除去するとともに、ポリビニルピロリドンを炭素化し、オリビン型結晶構造を有するLiFePOからなる電極活物質の表面に炭素質被膜が形成されてなる電極材料を得た。
【0057】
[実施例2]
スラリーを作製する際のカルボキシメチルセルロースの添加量を0.375gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を720℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。実施例2のスラリー中の有機化合物の含有量は、ポリビニルピロリドン(有機化合物i)100質量部に対して、カルボキシメチルセルロース(有機化合物ii)が25質量部であった。
【0058】
[実施例3]
スラリーを作製する際のカルボキシメチルセルロースの添加量を0.75gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を740℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。実施例3のスラリー中の有機化合物の含有量は、ポリビニルピロリドン(有機化合物i)100質量部に対して、カルボキシメチルセルロース(有機化合物ii)が50質量部であった。
【0059】
[実施例4]
スラリーを作製する際のカルボキシメチルセルロースの添加量を1.2gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を780℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。実施例4のスラリー中の有機化合物の含有量は、ポリビニルピロリドン(有機化合物i)100質量部に対して、カルボキシメチルセルロース(有機化合物ii)が100質量部であった。
【0060】
[実施例5]
水2Lに、4molの酢酸リチウム(LiCHCOO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO)、2molのリン酸(HPO)を、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、200℃にて1時間、水熱合成を行った。次いで、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体を得た。
次いで、果糖1.0g、及びポリブチレングリコール0.05gを水100gに溶解した水溶液と、電極活物質の前駆体100g(固形分換算)とを混合してスラリーとし、このスラリーを、二流体式湿式ジェット粉砕機を用いて、スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の一次粒子の平均粒子径(D50)が50nmとなるように、分散処理を行った。実施例のスラリー中の有機化合物の含有量は、果糖(有機化合物i)100質量部に対して、ポリブチレングリコール(有機化合物ii)が5質量部であった。
次いで、この分散処理を行ったスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、表面に果糖及びポリブチレングリコールを含む膜を有する造粒体を得た。
次いで、得られた造粒体を700℃の非酸化性雰囲気(窒素95体積%、酸素5体積%)にて2時間、焼成し、前記膜からポリブチレングリコールを除去するとともに、果糖を炭素化し、オリビン型結晶構造を有するLiFePOからなる電極活物質の表面に炭素質被膜が形成されてなる電極材料を得た。
【0061】
[実施例6]
スラリーを作製する際の果糖の添加量を3.0g、ポリブチレングリコールの添加量を0.15gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を720℃とした以外は、実施例5と同様にして、電極材料を得た。実施例6のスラリー中の有機化合物の含有量は、果糖(有機化合物i)100質量部に対して、ポリブチレングリコール(有機化合物ii)が5質量部であった。
【0062】
[実施例7]
スラリーを作製する際の果糖の添加量を7.0g、ポリブチレングリコールの添加量を0.35gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を740℃とした以外は、実施例5と同様にして、電極材料を得た。実施例7のスラリー中の有機化合物の含有量は、果糖(有機化合物i)100質量部に対して、ポリブチレングリコール(有機化合物ii)が5質量部であった。
【0063】
[実施例8]
スラリーを作製する際の果糖の添加量を7.0g、ポリブチレングリコールの添加量を0.35gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を780℃とした以外は、実施例5と同様にして、電極材料を得た。実施例8のスラリー中の有機化合物の含有量は、果糖(有機化合物i)100質量部に対して、ポリブチレングリコール(有機化合物ii)が5質量部であった。
【0064】
[実施例9]
水2Lに、4molの酢酸リチウム(LiCHCOO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO)、2molのリン酸(HPO)を、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、200℃にて1時間、水熱合成を行った。次いで、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体を得た。
次いで、ショ糖2.0g、及びテルピネオール0.02gを水100gに溶解した水溶液と、電極活物質の前駆体100g(固形分換算)とを混合してスラリーとし、このスラリーを、二流体式湿式ジェット粉砕機を用いて、スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の一次粒子の平均粒子径(D50)が50nmとなるように、分散処理を行った。実施例のスラリー中の有機化合物の含有量は、ショ糖(有機化合物i)100質量部に対して、テルピネオール(有機化合物ii)が1質量部であった。
次いで、この分散処理を行ったスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、表面にショ糖及びテルピネオールを含む膜を有する造粒体を得た。
次いで、得られた造粒体を700℃の非酸化性雰囲気(窒素90体積%、酸素10体積%)にて5時間、焼成し、前記膜からテルピネオールを除去するとともに、ショ糖を炭素化し、オリビン型結晶構造を有するLiFePOからなる電極活物質の表面に炭素質被膜が形成されてなる電極材料を得た。
【0065】
[実施例10]
スラリーを作製する際のショ糖の添加量を2.5g、テルピネオールの添加量を0.025gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を720℃とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。実施例10のスラリー中の有機化合物の含有量は、ショ糖(有機化合物i)100質量部に対して、テルピネオール(有機化合物ii)が1質量部であった。
【0066】
[実施例11]
スラリーを作製する際のショ糖の添加量を3.0g、テルピネオールの添加量を0.03gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を740℃とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。実施例11のスラリー中の有機化合物の含有量は、ショ糖(有機化合物i)100質量部に対して、テルピネオール(有機化合物ii)が1質量部であった。
【0067】
[実施例12]
スラリーを作製する際のショ糖の添加量を4.5g、テルピネオールの添加量を0.045gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を780℃とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。実施例12のスラリー中の有機化合物の含有量は、ショ糖(有機化合物i)100質量部に対して、テルピネオール(有機化合物ii)が1質量部であった。
【0068】
[比較例1]
スラリーを作製する際のカルボキシメチルセルロースの添加量を10.50gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を720℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。
【0069】
[比較例2]
スラリーを作製する際のポリビニルピロリドン添加量を2.0g、カルボキシメチルセルロースの添加量を16.0gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を780℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。
【0070】
[比較例3]
スラリーを作製する際のポリビニルピロリドン添加量を4.0g、カルボキシメチルセルロースの添加量を36.0gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を850℃とした以外は、実施例1と同様にして、電極材料を得た。
【0071】
[比較例4]
造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を600℃とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。
【0072】
[比較例5]
スラリーを作製する際のショ糖添加量を4.0g、テルピネオールの添加量を0.04gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を720℃、非酸化性雰囲気を(窒素85体積%、酸素15体積%)とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。
【0073】
[比較例6]
スラリーを作製する際のショ糖添加量を10.0g、テルピネオールの添加量を0.10gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を740℃、非酸化性雰囲気を(窒素82体積%、酸素18体積%)とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。
【0074】
[比較例7]
スラリーを作製する際のショ糖添加量を14.0g、テルピネオールの添加量を0.14gに変更し、造粒体の非酸化性雰囲気焼成温度を780℃、非酸化性雰囲気を(窒素80体積%、酸素20体積%)とした以外は、実施例9と同様にして、電極材料を得た。
【0075】
3.電極用スラリー及び電極の作製
電極材料と、バインダー樹脂(ポリフッ化ビニリデン)と、導電助剤(アセチレンブラック)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、電極用スラリーを作製した。
次いで、この電極用スラリーを膜厚15μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布し、乾燥した。その後、600kgf/cmの圧力にて加圧し、リチウムイオン電池の正極を作製した。
【0076】
4.電極の作製
リチウムイオン電池の正極に対し、負極としてリチウム金属を配置し、正極と負極との間に多孔質ポリプロピレンからなるセパレーターを配置し、電池用部材とした。
一方、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを1:1(質量比)にて混合し、さらに1MのLiPF溶液を加えて、リチウムイオン伝導性を有する電解質溶液を作製した。
次いで、電池用部材を電解質溶液に浸漬し、リチウムイオン電池を作製した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1〜2から明らかなように、実施例1〜12の電極材料は、比較例1〜7の電極材料と比べて内部抵抗が低く、リチウムイオン電池の電極材料として用いた場合に、内部抵抗を低下させることができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、電池用の正極材料、さらにはリチウムイオン電池用の正極材料として用いる電極材料、及びこの電極材料を含有した電極、並びにこの電極からなる正極を備えたリチウムイオン電池に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1:電極活物質粒子
2:炭素質被膜
3:リチウムイオン
【要約】
【課題】炭素質被膜中のリチウムイオンが拡散する移動経路を保ち、炭素質被膜により電子伝導性が担保されながらも、リチウムイオン伝導性をも向上した電極材料を提供すること。
【解決手段】電極活物質粒子の表面に炭素質被膜が形成されてなる粒子状の電極材料であって、前記電極活物質粒子の表面における前記炭素質被膜の被覆率が80%以上であり、前記電極材料の炭素量、前記電極材料の比表面積、及び前記炭素質被膜の平均膜厚から算出される炭素質被膜の見かけ密度(ρV)が0.10g/cm以上1.08g/cm以下である電極材料。
【選択図】なし
図1