(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷却機構を有するベースプレートと、前記ベースプレートの上面に接着層を介して接続され、基板載置面に搭載される基板を吸着するための静電電極と前記基板を加熱する抵抗発熱体を含む静電チャック基板とを有する静電チャックの製造方法であって、
前記静電チャック基板を形成する工程と、
前記基板載置面における発熱密度分布を算出する工程と、
前記静電チャック基板の下面であって、前記発熱密度分布に応じた位置に調整部を凹設する工程と、
前記調整部に前記発熱密度分布に応じた熱伝導率の調整用樹脂を充填する工程と、
前記ベースプレートの上面に、前記接着層を介して前記静電チャック基板を接着する工程と、
を含む静電チャックの製造方法。
前記静電チャック基板を形成する工程において、前記基板が搭載される部分となる第1のグリーンシートと、前記静電電極が形成される第2のグリーンシートと、前記抵抗発熱体が形成される第3のグリーンシートと、を積層した第1の構造体を焼成して前記静電チャック基板を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャックの製造方法。
前記発熱密度分布を算出する工程では、前記第3のグリーンシートの上に形成された前記抵抗発熱体の形状を非接触にて測定し、測定結果に基づいて前記発熱密度分布を算出することを特徴とする請求項3に記載の静電チャックの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部のハッチングを省略している。
【0009】
(一実施形態)
以下、一実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、静電チャックは、ベースプレート(基台)10と、接着層20と、静電チャック(ESC)基板30を有している。静電チャック基板30は、接着層20によりベースプレート10上に接着されている。
【0010】
ベースプレート10には、その上面10aと平行する面内で複数の冷却用流路12が並列して形成されている。各冷却用流路12は、ベースプレート10内で連通している。ベースプレート10において、左端の冷却用流路12から右端の冷却用流路12に、冷却媒体を流すことにより、静電チャック基板30上に保持される基板Wの温度を所定の温度とするように調整することができる。冷却媒体は、例えば水やガルデンである。基板Wは、例えばシリコンウェハである。冷却用流路12は、冷却機構の一例である。
【0011】
ベースプレート10の材料としては、例えばアルミニウムや超硬合金等の金属材料や、その金属材料とセラミックス材との複合材料等を用いることができる。本実施形態では、入手のし易さ、加工のし易さ、熱伝導性が良好であることなどの点から、アルミニウム又はその合金を使用し、その表面にアルマイト処理(絶縁層形成)を施したものを使用している。なお、ベースプレート10の厚さは、例えば35〜40mmである。
【0012】
接着層20は、ベースプレート10の上に静電チャック基板30を接着する。また、接着層20は、静電チャック基板30の熱をベースプレート10に伝導する。静電チャック基板30は、後述する抵抗発熱体33により加熱される。ベースプレート10は、冷却媒体により冷却される。従って、静電チャック基板30の熱を、接着層20を介してベースプレート10に伝導することで、静電チャック基板30の温度を所定の温度に一致させるように抵抗発熱体33に供給する電流等が制御される。接着層20の材料としては、熱伝導率の高い材料を選択するのが好ましく、例えばシリコーン樹脂などを用いることができる。なお、接着層20の厚さは、例えば0.5〜2.0mmである。
【0013】
図1(b)に示すように、静電チャック基板30は、円盤状に形成されている。静電チャック基板30の大きさ(直径)は例えば300mmである。また、静電チャック基板30の厚さは、例えば、2〜3mmである。
【0014】
図1(a)に示すように、静電チャック基板30は、基板本体(基体)31と、基板本体31に内蔵された静電電極32及び抵抗発熱体33を有している。基板本体31は、基板Wが載置される基板載置面31a(
図1(a)において上面)と、接着層20側であってベースプレート10の上面10aと対向し、接着層20により接着される接着面31b(
図1(a)において下面)を有している。基板載置面31aと接着面31bは、互いに平行である。
【0015】
図1(b)に示すように、基板本体31には、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔34が形成されている。貫通孔34は例えば、リフトピンを配置するためや、温度センサ等のセンサを配置するために形成される。なお、
図1(a)では、貫通孔34について省略している。
【0016】
基板本体31の材料は、絶縁性を有する材料である。例えば、基板本体31の材料は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等のセラミックスや、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機材料である。本実施形態では、入手のし易さ、加工のし易さ、プラズマ等に対する耐性が比較的高いなどの点から、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを使用している。とくに、窒化アルミニウムを使用した場合、その熱伝導率は150〜250W/(m・K)と大きいため、ESC基板30に吸着保持される被吸着物の面内の温度差を小さくする上で好ましい。
【0017】
静電電極32は、薄膜状に形成された電極である。静電電極32は、基板本体31において、基板載置面31aの近傍に位置する部分に内設されている。静電電極32は、電極35a,35bと電気的に接続されている。静電電極32は、電極35a,35bを介して図示しない吸着用電源と電気的に接続される。静電電極32は、吸着用電源から印加される電圧により生じる静電力によって、基板載置面31aに基板Wを固定する。静電電極32の材料として、例えば、タングステン(W)やモリブデン(Mo)を用いることができる。
【0018】
抵抗発熱体33は、基板本体31において、静電電極32と、接着面31bとの間に内設されている。
抵抗発熱体33は、第1の抵抗発熱体33aと第2の抵抗発熱体33bを含む。第1及び第2の抵抗発熱体33a,33bは、基板本体31内において、基板載置面31aと平行な面上に配置されている。第1及び第2の抵抗発熱体33a,33bは静電電極32と電気的に絶縁されている。
【0019】
図2(a)に示すように、第1の抵抗発熱体33aは、基板本体31の中央部に配置されている。第2の抵抗発熱体33bは、基板本体31の外周部に配置されている。尚、
図2(a)は、第1及び第2の抵抗発熱体33a,33bが形成された領域を示すものである。即ち、
図2(b)に示すように、第1及び第2の抵抗発熱体33a,33bは、所定の抵抗値となるように幅が設定された配線パターンにより構成されている。配線パターンは、第1及び第2の抵抗発熱体33a,33bが形成された領域において、発熱密度が均一となるように配設されている。なお、第1の抵抗発熱体33aの抵抗値は例えば82オーム(Ω)に設定され、第2の抵抗発熱体33bの抵抗値は例えば75オーム(Ω)に設定されている。
【0020】
図1(a)に示すように、第1の抵抗発熱体33aは、電極36a,36bと電気的に接続されている。第1の抵抗発熱体33aは、電極36a,36bを介して図示しない加熱用電源と電気的に接続される。第1の抵抗発熱体33aは、加熱用電源から印加される電圧に応じて発熱する。第1の抵抗発熱体33aは、基板本体31の基板載置面31aに保持された基板Wの中央部を加熱するためのものである。
【0021】
第2の抵抗発熱体33bは、電極36c,36dと電気的に接続されている。第2の抵抗発熱体33bは、電極36c,36dを介して図示しない加熱用電源と電気的に接続される。第2の抵抗発熱体33bは、加熱用電源から印加される電圧に応じて発熱する。第2の抵抗発熱体33bは、基板本体31の基板載置面31aに保持された基板Wの外周部を加熱するためのものである。
【0022】
基板本体31には、接着面31bに調整部37が形成されている。調整部37は、接着面31bにおいて、少なくとも1つ(
図1(a)における断面では5つ)形成されている。調整部37は、接着面31bから基板載置面31aに向って凹設されている。調整部37は、接着面31bに、例えば円形の開口を有する凹部である。調整部37には、調整用樹脂38が充填されている。調整用樹脂38の材料は、例えば接着層20の材料と同じシリコーン樹脂である。
【0023】
調整部37の位置,形状,数、充填する調整用樹脂38は、静電チャック基板30の形状に応じて、基板載置面31aにおいて均一な発熱密度が得られるように設定されている。静電チャック基板30の形状は、例えば、基板本体31に内蔵された抵抗発熱体33の形状(配線パターンの幅、厚さ、等)を含む。
【0024】
次に、静電チャックの作用を説明する。
上記したように、抵抗発熱体33の形状は、各抵抗発熱体33a,33bが形成された領域において、均一な発熱密度が得られるように設計されている。しかし、抵抗発熱体33を形成する面内において、抵抗発熱体33の形状、例えば配線パターンの幅や厚さは、製造工程においてばらつきを生じる。このようなばらつきは、抵抗発熱体33における部分的な抵抗値のばらつき、つまり発熱量の部分的な変化を生じさせる。従って、抵抗発熱体33における形状のばらつきは、基板載置面31aにおける発熱密度の不均一性を招く。
【0025】
例えば、抵抗発熱体33のパターン幅が設計値よりも大きいと、パターン幅と設計値の間の差に応じて抵抗値が低くなり、発熱温度が低くなる。発熱温度と設計値の間の差は、パターン幅と設計値の差に対応する。そして、調整部37の大きさと、その調整部37に充填される樹脂の熱伝導率は、発熱温度と設計値との間の差、すなわちパターン幅と設計値の差に対応する。従って、基板本体31の基板載置面31aにおける発熱密度を均一とするように、調整部37の形状と充填する調整用樹脂38が設定される。
【0026】
例えば、シリコーン樹脂の熱伝導率は、基板本体31(例えば、アルミナセラミック)の熱伝導率よりも低い。従って、調整部37の形状、例えば深さ(基板本体31の厚さ方向の長さ)に応じて、調整部37を形成しない部分との間に、熱伝導に差が生じる。この熱伝導に差が生じる範囲は、調整部37の形状、例えば穴の面積(開口面積)に対応する。従って、調整部37の大きさ、数を適宜設定することにより、基板本体31の基板載置面31aにおける発熱密度、発熱密度の分布を調整することができる。これにより、基板本体31の基板載置面31aに保持した基板Wの温度を均一に制御することができる。
【0027】
次に、上記静電チャックの製造方法を説明する。
先ず、
図3に示すように、複数(
図3において3枚)のグリーンシート51〜53を準備する。各グリーンシート51〜53は、矩形板状に形成されている。各グリーンシート51〜53の材料は例えばアルミナをバインダ、溶剤等と混合したシート状のものである。各グリーンシート51〜53の大きさは、
図1(a)に示す静電チャック基板30の大きさに対応する。
【0028】
グリーンシート51は、焼成されることにより、
図1(a)に示す基板Wが搭載される部分の基板本体31となるものである。グリーンシート52は、焼成されることにより、
図1(a)に示す静電電極32を形成するためのものであり、静電電極32と抵抗発熱体33の間の部分の基板本体31となるものである。グリーンシート53は、焼成されることにより、
図1(a)に示す抵抗発熱体33を形成するためのものであり、接着層20に接着される部分の基板本体31となるものである。
【0029】
次いで、
図4に示すように、グリーンシート52の上面に、例えば印刷法(スクリーン印刷)により、導体ペースト(例えば、タングステンペースト)を用いて配線パターン54を形成する。この配線パターン54は、後述する工程において焼成されることにより、静電電極32となるものである。なお、導体ペーストとして、モリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。
【0030】
次いで、
図5に示すように、グリーンシート53の上面に、例えば印刷法(スクリーン印刷)により、導体ペースト(例えば、タングステンペースト)を用いて配線パターン55を形成する。この配線パターン55は、後述する工程において焼成されることにより、抵抗発熱体33となるものである。なお、導体ペーストとして、モリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。
【0031】
次いで、測定装置61を用いて、グリーンシート53の上面に形成した配線パターン55の形状を測定する。測定装置61には、例えば非接触式の膜厚測定装置、撮影画像により配線パターン55の幅を測定する装置、等が用いられる。そして、測定装置61は、測定した配線パターン55の形状(厚さ、幅)により、発熱密度分布を算出する。例えば、測定装置61は、形状と発熱密度が対応付けられたデータベースを有している。このデータベースは、複数のサンプル基板を作成し、そのサンプル基板における配線パターンの形状と、サンプル基板の上面における発熱密度を測定した結果により作成される。測定装置61は、データベースを用いて、測定した配線パターン55の形状から、発熱密度を求め、その発熱密度分布を算出する。なお、発熱密度分布の算出に、一次式や多項式等の演算式を用いてもよい。
【0032】
次いで、
図6に示すように、配線パターン54,55を形成した面を上にしてグリーンシート52,53を配置する。更に、グリーンシート52の上にグリーンシート51を配置する。そして、
図7に示すように、各グリーンシート51〜53が積層されて構造体71aが形成される。各グリーンシート51〜53は、例えばホットプレス法により加熱され、互いに接着される。
【0033】
次いで、
図8に示すように、構造体71aの周囲を切断して円盤状の構造体71bが形成される。
次いで、構造体71bを焼成して、
図9に示すセラミック基板72aが得られる。焼成する際の温度は、例えば、1600℃である。このセラミック基板72aは、
図3,
図4に示す配線パターン54,55を焼結して得られた静電電極32、抵抗発熱体33を内蔵する。なお、図示しないが、
図1(a)に示す電極35a,35b,36a〜36dは、静電電極32、抵抗発熱体33と同様に形成される。
【0034】
次いで、セラミック基板72aの上下両面が研磨され、
図10に示すセラミック基板72bが得られる。なお、
図10に示すセラミック基板72bにおいて、上面は基板載置面31aとなり、下面(
図10において裏側の面)は接着面31bとなる。
【0035】
次いで、
図10に示すセラミック基板72bに対して機械加工が施され、
図11に示すように、厚さ方向に貫通する貫通孔34を有するセラミック基板72cが得られる。これらの貫通孔34は例えば、リフトピンを配置するためや、温度センサ等のセンサを配置するために形成される。
【0036】
次いで、
図11に示すセラミック基板72cの下面(接着面31b)に対して、
図12に示すように、機械加工により凹部(調整部37)が形成され、セラミック基板72dが得られる。このセラミック基板72dは、
図1(a)に示す静電チャック基板30に対応する。この調整部37の位置、形状(内径)、数は、上記の測定装置61により算出された発熱密度分布に応じて設定される。調整部37の位置の設定は、例えば、発熱密度分布と凹部の形状を対応付けたデータベースや、発熱密度分布から凹部の形状を算出する演算式、等が用いられる。このように、機械加工により調整部37を形成することにより、貫通孔34の加工と同じ工程で処理することができる。このため、調整部37のために新たな工程を追加する必要がない。
【0037】
次いで、
図13に示すように、ベースプレート10上に、
図1(a)に示す接着層20を形成するための樹脂81(例えば、シリコーン樹脂)を塗布する。
次いで、
図14に示すように、樹脂81上に、調整部37(
図12参照)を形成した接着面31bを下にして静電チャック基板30を重ね合わせ、貼り合わせる。このとき、減圧雰囲気において、例えば静電チャック基板30をベースプレート10に向って加圧することで、静電チャック基板30に形成した調整部37(
図12参照)に、ベースプレート10上に塗布した樹脂81が充填される。次いで、樹脂81を熱硬化させる。
【0038】
次いで、
図15に示すように、静電チャック基板30の表面を平坦に研削する表面仕上げを行い、静電チャックが得られる。
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
【0039】
(1)静電チャック基板30は、基板載置面31aを有する基板本体31と、基板本体31に内蔵された静電電極32及び抵抗発熱体33を有している。基板本体31において、基板載置面31aと反対側の接着面31bは、接着層20を介してベースプレート10の上面10aに接着されている。
【0040】
基板本体31の接着面31bには、基板載置面31aの発熱密度分布に応じた位置に、調整部37が形成されている。この調整部37には、発熱密度分布に応じた熱伝導率の調整用樹脂38が充填されている。調整用樹脂38の材料は、例えば接着層20の材料と同じシリコーン樹脂である。
【0041】
調整用樹脂38(シリコーン樹脂)の熱伝導率は、基板本体31(例えば、アルミナセラミック)の熱伝導率よりも低い。従って、調整部37の形状、例えば深さ(基板本体31の厚さ方向の長さ)に応じて、調整部37を形成しない部分との間に、熱伝導に差が生じる。従って、調整部37を形成した部分において、静電チャック基板30の表面(基板載置面31a)と垂直な方向に伝達する熱量は、調整部37を形成していない部分よりも少なくなる。従って、調整部37に対応する基板載置面31aの部分における発熱密度を大きくすることができる。これにより、基板本体31の基板載置面31aにおける発熱密度、発熱密度の分布を調整することができる。そして、基板本体31の基板載置面31aに保持した基板Wの温度を均一に制御することができる。
【0042】
(2)グリーンシート53に、焼成により抵抗発熱体33となる配線パターン55を形成し、この配線パターン55の形状(膜厚、幅)を測定装置61により測定する。そして、その測定結果に基づいて、基板載置面31aにおける発熱密度分布を求めるようにした。これにより、容易に基板載置面31aの発熱密度分布を得ることができる。
【0043】
(3)静電チャック基板30の基板本体31に形成した調整部37に、調整用樹脂38を充填した。熱伝達率が基板本体31(セラミック)と異なる固体(例えば、金属)柱を調整部37に挿入することで、調整部37における熱伝達を、調整部37が形成されていない部分における熱伝達と異なるようにすることもできる。しかし、固体を個々の調整部37に挿入する手間がかかる。また、固体を挿入する方法では、調整部37の大きさの変更に容易に対応することができない。これに対し、調整用樹脂38を用いることにより、調整部37に対する充填性が良く、作業効率が良い。また、調整部37の形状の変更に対して容易に対応することができる。
【0044】
(4)静電チャック基板30をベースプレート10に接着する際に、静電チャック基板30の基板本体31に形成した調整部37に対し、接着層20を形成する樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を調整部37に充填して調整用樹脂38とした。これにより、調整部37に調整用樹脂38を充填する工程を、静電チャック基板30をベースプレート10に接着する工程において行うことができ、工程数の増加を抑制することができる。このため、静電チャックの製造に要する時間の増加を抑制することができる。
【0045】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様とすることもできる。
・上記実施形態では、基板本体31の接着面31bに調整部37を形成し、その調整部37に調整用樹脂38を充填した。調整部37の設定位置は、抵抗発熱体33と冷却用流路12の間において、適宜変更が可能である。
【0046】
例えば、
図16に示すように、ベースプレート10の上面10aに調整部37を形成する。そして、この調整部37に、接着層20の材料と同じ調整用樹脂38(シリコーン樹脂)を充填する。ベースプレート10の材料、例えばアルミニウムと比べ、シリコーン樹脂の熱伝導率は低い。従って、上記実施形態と同様に、基板本体31の基板載置面31aにおける発熱密度を均一とすることができ、基板Wを均一の温度に制御することができる。
【0047】
また、
図17に示すように、静電チャック基板30(基板本体31)の接着面31bとベースプレート10の上面10aに調整部37を形成してもよい。
また、各調整部37に充填する樹脂を適宜変更してもよい。例えば、接着層20の材料(例えば、シリコーン樹脂)よりも熱伝導率を高くした樹脂を用いる。このような樹脂は、例えば、銀(Ag)や銅(Cu)等の金属、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、等を充填材とした樹脂ペーストが用いられる。銀や銅などの金属は、基板本体31の材料であるセラミックよりも熱伝導率が高い。これを用いて発熱密度を低下させることで、基板本体31の基板載置面31aにおける発熱密度を均一とすることができ、基板Wを均一の温度に制御することができる。
【0048】
また、静電チャック基板30とベースプレート10とを互いに接続する接続層において、熱伝導を調整するようにしてもよい。例えば、接続層に、その接続層の材料(樹脂)と異なる熱伝導率の樹脂を埋め込むことで、静電チャック基板30(抵抗発熱体33)からベースプレート10(冷却用流路12)までの熱伝導を調整する。このような接続層は、例えば
図18(a)〜(d)に示す工程により形成することができる。
【0049】
即ち、
図18(a)に示すように、ベースプレート10上に樹脂91を塗布し、この樹脂91を硬化させる。この樹脂91は、例えば熱硬化性樹脂、紫外線等の光硬化性樹脂を用いることができる。
【0050】
そして、硬化後の樹脂91を、化学機械研磨(CMP)等により研磨し、樹脂91の上部91a(
図18(a)においてハッチングを付した部分)を除去する。
次いで、
図18(b)に示すように、樹脂91bに調整部37を形成し、この調整部37に調整用樹脂38を充填する。この調整部37に充填する調整用樹脂38は、樹脂91bの熱伝導率と異なる熱伝導率の樹脂、例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の金属、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、等を充填材とした樹脂ペーストを用いることができる。この調整用樹脂38を充填後、例えば加熱により硬化させる。なお、調整用樹脂38として、充填材を含む光硬化性樹脂を用いることもできる。
【0051】
次いで、
図18(c)に示すように、樹脂91bの上に樹脂92を塗布する。次いで、樹脂92上に、静電チャック基板を貼り合わせる。なお、樹脂92に貼り合わせる基板として、調整部37が形成されていない基板(例えば、
図10に示すセラミック基板72)や、調整部37が形成された静電チャック基板30を用いることができる。そして、樹脂92を硬化する。これにより、
図18(d)に示すように、調整部37及び調整用樹脂38を含む接着層93を介してベースプレート10と静電チャック基板30が互いに接続された静電チャックが得られる。
【0052】
・上記の発熱密度分布を測定するために用いる装置として、他の装置を用いてもよい。
例えば、X線装置を用いる。この場合、測定対象として、焼成後、例えば、
図9に示すセラミック基板72bを用いる。X線を用いてセラミック基板72bを撮影した画像を解析することで、抵抗発熱体33の形状(厚さ、幅)を測定することができる。X線は、所定の電磁波の一例である。この測定結果を用いて、上記と同様に発熱密度分布を算出することができる。なお、機械加工後のセラミック基板72b(
図10参照)や、積層状態のグリーンシート51〜53を用いて抵抗発熱体33(配線パターン55)の形状を測定し、発熱密度分布を算出するようにしてもよい。
【0053】
また、温度計を用いる。焼成後、例えば、
図9に示すセラミック基板72bを用いる。抵抗発熱体33に接続された電極36a〜36d(
図1(a)参照)を加熱用電源に接続し、抵抗発熱体33を発熱させ、セラミック基板72bの表面温度を測定する。温度測定には、接触式温度計(例えば、熱電対を用いた温度計)又は非接触式温度計(例えば、赤外線放射温度計)を用いることができる。このように測定した表面温度から発熱密度分布を算出することができる。