特許第5823927号(P5823927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5823927
(24)【登録日】2015年10月16日
(45)【発行日】2015年11月25日
(54)【発明の名称】光変調回路
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20151105BHJP
【FI】
   G02F1/01 B
   G02F1/01 C
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-142094(P2012-142094)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-6389(P2014-6389A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 清史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕史
(72)【発明者】
【氏名】才田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩
(72)【発明者】
【氏名】美野 真司
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−255283(JP,A)
【文献】 特開2009−175576(JP,A)
【文献】 特開2011−022390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125
H04B 10/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を入力する光入力ポートと、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する1×2光カプラと、前記1×2光カプラの各々の出力に接続された光変調手段と、前記光変調手段の各々の出力を結合して光出力ポートに出力する2×1光カプラとを含む光変調回路において、
Nを2以上の整数とするとき、前記光変調手段は、
前記1×2光カプラの一方の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第1の1×N光分岐手段と、
前記1×2光カプラの他方の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第2の1×N光分岐手段と、
前記第1の1×N光分岐手段の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第1のN×1光合波手段と、
前記第2の1×N光分岐手段の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第2のN×1光合波手段とを含み、
前記1×2光カプラと前記第1および第2の1×N光分岐手段との間、または前記第1および第2のN×1光合波手段と前記2×1光カプラの間の少なくとも一方に、複数の光学的経路に対して光位相変調を行うための光位相変調手段を備え、
前記光入力ポートと前記光出力ポートとの間の2N個の光学的経路に、少なくとも1つ以上の光位相変調手段を備え
nを2以上N以下の整数とするとき、
前記第1及び第2の1×N光分岐手段の第1番目の光学的経路と第n番目の光学的経路の光強度比は、1:1/(2n−1)2であり、
前記第1番目の光学的経路と前記第n番目の光学的経路において、光位相変調手段に与えられる位相変調の入力電圧に対する応答周期比は、1:1/(2n−1)であることを特徴とする光変調回路。
【請求項2】
複数の光位相変調手段の光変調電極が縦続に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光変調回路。
【請求項3】
光信号を入力する光入力ポートと、
入力された光信号を光強度比1:1で分岐する1×2光カプラと、
前記1×2光カプラの各々の出力に接続された請求項1またはに記載の光変調回路と、
前記光変調回路の各々の出力を結合して光出力ポートに出力する2×1光カプラと
を備えたことを特徴とするベクトル変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を生成するための光変調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の光伝送システムにおいては、伝送する光信号の周波数帯域において、光周波数利用効率向上のため、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の多値変調、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の直交周波数多重変調を適用することが盛んに検討されている。
【0003】
図1に、従来の多値光変調回路の一例を示す。多値光変調回路の一つとして、多値電圧信号をマッハツェンダ干渉回路の2つのアーム導波路に逆相で印加するプッシュプル駆動方式の変調器が知られている。入力信号は、光分岐回路101により光導波路102及び光導波路103に分岐される。光分岐回路101は、方向性結合器、MMI(Multimode Interference)、Y分岐1×2カプラ等を用いることができる。光導波路102には第1の光変調電極104、光導波路103には第2の光変調電極105が形成されている。
【0004】
駆動電圧V、光導波路中を伝搬する光信号の位相を半波長変化させる印加電圧Vπとしたとき、φ=(π/Vπ)・Vとして、第1の光変調電極104及び第2の光変調電極105のそれぞれに、+φ/2、−φ/2の位相変調が与えられる。その後、変調された信号は、光結合回路106により結合されて出力信号となる。このとき、出力光信号の電界Eはcos(φ/2)で表される。
【0005】
図2に、駆動電圧に対する出力光信号の応答曲線を示す。図1の多値光変調回路における変調出力は、駆動電圧に対する応答曲線が非線形(正弦波)である。多値の電気信号である駆動電圧を与えた場合に、多値の出力光信号の信号レベルが、理想的な信号レベルからのズレが生じてしまう。すなわち、出力光信号は、応答曲線が線形の三角波である場合に得られる理想的な等間隔の信号レベルを有していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shogo Yamanaka, Takayuki Kobayashi, Akihide Sano, Hiroji Masuda, Eiji Yoshida, Yutaka Miyamoto, Tadao Nakagawa, Munehiko Nagatani, and Hideyuki Nosaka, "11 x 171 Gb/s PDM 16-QAM Transmission over 1440 km with a Spectral Efficiency of 6.4 b/s/Hz using High-Speed DAC," Proc. ECOC 2010, paper We. 8. C. 1 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3に、従来の多値光変調回路における光損失を示す。上述した信号レベルのズレを抑えるために、応答曲線の線形とみなせる領域を利用していた。しかしながら、駆動電圧の振幅を、光損失が最小となる2Vπから小さくすると、図3に示すように光損失が生じてしまうという問題があった(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、出力光信号の非線形性が抑制された光変調回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の一実施態様は、光信号を入力する光入力ポートと、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する1×2光カプラと、前記1×2光カプラの各々の出力に接続された光変調手段と、前記光変調手段の各々の出力を結合して光出力ポートに出力する2×1光カプラとを含む光変調回路において、Nを2以上の整数とするとき、前記光変調手段は、前記1×2光カプラの一方の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第1の1×N光分岐手段と、前記1×2光カプラの他方の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第2の1×N光分岐手段と、前記第1の1×N光分岐手段の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第1のN×1光合波手段と、前記第2の1×N光分岐手段の出力に光学的に接続された少なくとも1つの光カプラから構成される第2のN×1光合波手段とを含み、前記1×2光カプラと前記第1および第2の1×N光分岐手段との間、または前記第1および第2のN×1光合波手段と前記2×1光カプラの間の少なくとも一方に、複数の光学的経路に対して光位相変調を行うための光位相変調手段を備え、前記光入力ポートと前記光出力ポートとの間の2N個の光学的経路に、少なくとも1つ以上の光位相変調手段を備え、nを2以上N以下の整数とするとき、前記第1及び第2の1×N光分岐手段の第1番目の光学的経路と第n番目の光学的経路の光強度比は、1:1/(2n−1)2であり、前記第1番目の光学的経路と前記第n番目の光学的経路において、光位相変調手段に与えられる位相変調の入力電圧に対する応答周期比は、1:1/(2n−1)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、光位相変調を行う光学的経路の並列数Nを増やすことにより、理想的な信号レベルズレが減少し、非線形性を抑制することができる。また、複数の光学的経路に対して、それぞれに変調用電極を形成して変調を行うことにより、印加電圧を低減または電極長を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の多値光変調回路の一例を示す図である。
図2】従来の多値光変調回路における駆動電圧に対する出力光信号の応答曲線を示す図である。
図3】従来の多値光変調回路における光損失を示す図である。
図4】本発明の基本的な考え方を説明するための図である。
図5図4の光変調回路により得られる応答曲線を示す図である。
図6】出力光信号の信号レベルと理想的な信号レベルとのズレを評価する方法を説明するための図である。
図7】光変調部の並列数Nと評価値Dとの関係を示す図である。
図8】本発明の実施例1に係る光変調回路の構成を示す図である。
図9】実施例1に係る光変調回路の等価回路を示す図である。
図10】本発明の実施例2に係る光変調回路の構成を示す図である。
図11】実施例2に係る光変調回路の等価回路を示す図である。
図12】本発明の実施例3に係る光変調回路の構成を示す図である。
図13】実施例3に係る光変調回路により得られる応答曲線を示す図である。
図14】本発明の実施例4に係る光変調回路の構成を示す図である。
図15】本発明の実施例5に係る光変調回路の構成を示す図である。
図16】実施例5に係る光変調回路により得られる応答曲線を示す図である。
図17】本発明の実施例6に係る光変調回路の構成を示す図である。
図18】本発明の実施例7に係る光変調回路の構成を示す図である。
図19】本発明の実施例8に係る光変調回路の構成を示す図である。
図20】本発明の実施例9に係るベクトル変調器の構成を示す図である。
図21】従来のベクトル変調器の一例を示す図である。
図22】ベクトル変調器の4値駆動時の出力信号ダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
(本発明の基本的考え方)
図4を参照して、本発明の基本的考え方を説明する。本発明の一実施形態に係る光変調回路は、光信号を入力する光入力ポート401と、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する第1の1×2光カプラ402とを備える。第1の1×2光カプラ402の各々の出力には、第1および第2の光変調手段が接続されている。
【0014】
第1の光変調手段は、第1の1×2光カプラ402の一方の出力に光学的に接続された第2の1×2光カプラ403と、第2の1×2光カプラ403の2本の出力導波路に光学的に接続された第1の2×1光カプラ405とを含む。
【0015】
第2の光変調手段は、第1の1×2光カプラ402の他方の出力に光学的に接続された第3の1×2光カプラ404と、第3の1×2光カプラ404の2本の出力導波路に光学的に接続された第2の2×1光カプラ406とを含む。
【0016】
第1の2×1光カプラ405及び第2の2×1光カプラ406の出力は、第3の2×1光カプラ407の入力に光学的に接続され、第3の2×1光カプラ407の出力は、光出力ポート408に光学的に接続されている。
【0017】
第1の1×2光カプラ402と第2の1×2光カプラ403との間の導波路には、光位相変調手段として第1の光変調電極409が形成され、第1の1×2光カプラ402と第3の1×2光カプラ404との間の導波路には、光位相変調手段として第2の光変調電極410が形成されている。
【0018】
第2の1×2光カプラ403の一方の出力と第1の2×1光カプラ405との間の導波路には、第3の光変調電極411が形成され、第2の1×2光カプラ403の他方の出力と第1の2×1光カプラ405との間の導波路には、第4の光変調電極412が形成されている。第3の1×2光カプラ404の一方の出力と第2の2×1光カプラ406との間の導波路には、第5の光変調電極413が形成され、第5の1×2光カプラ404の他方の出力と第2の2×1光カプラ406との間の導波路は、第6の光変調電極414が形成されている。
【0019】
第2の1×2の光カプラ403の、第3の光変調電極411に接続されている出力ポートと第4の光変調電極412に接続されている出力ポートとの光強度分岐比は、1:9である。第1の2×1の光カプラ405の、第3の光変調電極411に接続されている入力ポートと第4の光変調電極412に接続されている入力ポートとの光強度結合比も1:9である。第3の1×2の光カプラ404の、第5の光変調電極413に接続されている出力ポートと第6の光変調電極414とに接続されている出力ポートの光強度分岐比は、1:9である。第1の2×1の光カプラ406の、第5の光変調電極413に接続されている入力ポートと第6の光変調電極414に接続されている入力ポートとの光強度結合比も1:9である。
【0020】
このようにして、第1および第2の光変調手段は、1×2光分岐手段と2×1光合波手段とを含む。さらに、第1および第2の光変調手段は、N個(Nは2以上の整数)の並列に接続された光学的経路を含むように、1×N光分岐手段とN×1光合波手段とを含むことができる。
【0021】
ここで、第1の光変調電極409の変調度を+φ1、第2の光変調電極410の変調度を−φ1、第3の光変調電極411の変調度を+φ2、第4の光変調電極412の変調度を+φ3、第5の光変調電極413の変調度を−φ2、第6の光変調電極414の変調度を−φ3としたとき、
φ1+φ2=3×φ/2 かつ φ1+φ3=φ/2
を満たすようにする。
【0022】
この光変調回路の変調度および光強度比は、三角波のフーリエ展開である式(1)による。
【0023】
【数1】
【0024】
このように二次のフーリエ成分を加えることにより、駆動電圧に対する応答曲線の非線形性を抑えることができる。例えば、図4の光変調回路においては、第2の1×2光カプラ403および第3の1×2光カプラ404における光強度分岐比が1:9であり、かつ、第1の2×1光カプラ405および第2の2×1光カプラ406における光強度結合比が1:9である。したがって、±(φ+φ)を付与される光信号と±(φ+φ)を付与される光信号との強度比は、トータルで1:81になる。一方、光信号の電界振幅比は、強度比の平方根となるため、トータルで1:9となり、式(1)を満足する。
【0025】
図5に、図4の光変調回路により得られる応答曲線を示す。応答曲線の線形とみなせる領域が拡大され、線形性が改善されているのがわかる。
【0026】
本実施形態の光変調回路においては、二次の成分のみを検討して説明したが、同様に高次のフーリエ成分を一次の成分に加えていくことによって、駆動電圧に対する応答曲線の非線形性を抑えることができる。一般化すると、本実施形態にかかる光変調回路は、N個(Nは2以上の整数)の並列に接続された光学的経路を有する。nを1以上N以下の整数とし、第n番目の光学的経路は、駆動電圧Vに対して光分岐回路により各経路に分岐された光信号の電界Eを以下のように変化させる。
【0027】
【数2】
【0028】
そして、光結合回路により、各経路で変調された光信号を結合する。ここで、第1番目と第n番目の光学的経路に、光信号が光強度比1:1/(2n−1)で分岐されるように光分岐回路を設計し、第1番目と第n番目の光変調部からの光信号が光強度比1:1/(2n−1)で結合されるように光結合回路を設計する。式(2)から分かるように、第1番目と第n番目の光学的経路において与えられる位相変調の入力電圧に対する応答周期比は1:1/(2n−1)である。
【0029】
本実施形態においては、複数の光学的経路に対して、それぞれに変調用電極を形成して変調を行うことにより、1つの変調用電極により1つの光学的経路に変調を与える構成と比較して、印加電圧を低減または電極長を縮小することができる。
【0030】
また、本実施形態は、基板材料として、XカットLN(LiNbO)と、ZカットLNと、電気光学効果を有する酸化物結晶、半導体またはポリマのいずれかを用いることができる。さらに、マッハツェンダ干渉回路の光変調電極を、シングルエンド信号で駆動するシングル駆動とするか、または差動信号で愚答するデュアル駆動とするかは問わず、同様の効果を奏することに留意されたい。
【0031】
図6を参照して、出力光信号の信号レベルと理想的な信号レベルとのズレを評価する方法について説明する。ズレの評価値を以下のように定義する。
【0032】
【数3】
【0033】
ここで、Mは変調多値数、Eは実際の出力光信号レベル、Ek,idealは理想的な信号レベル、EMAXは最大信号レベルである。EMAXは、ここでは1.00に規格化している。
【0034】
図7に、変調多値数M=4、8、16を変えたときの、第1および第2の光変調手段に含まれるN個(Nは2以上の整数)の並列に接続された光学的経路の並列数Nに対する評価値Dの変化を示す。基本的には、並列数Nの増加に伴い評価値Dは減少する。つまり、並列数Nを増やすことによりズレが減少し、非線形性が抑制される。
【0035】
ただし、変調多値数が小さい場合、必ずしも単調減少にならない。例えばM=4の場合には、D(N=2)=0.8%に対し、D(N=3)=1.1%となる。すなわち、4値変調に対しては、N=2が最適である。8値変調、16値変調に対しては、並列数Nの増加によるズレの減少と、光変調回路の構成が複雑になることとのトレードオフを勘案して、変調多値数を選択する必要がある。
【0036】
以下、実施例を説明する。
【実施例1】
【0037】
図8に、本発明の実施例1に係る光変調回路の構成を示す。実施例1の光変調回路は、光信号を入力する光入力ポート801と、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する第1の1×2光カプラ802とを備えている。第1の1×2光カプラ802の各々の出力には、第1および第2の光変調手段が接続されている。
【0038】
第1の光変調手段は、第1の1×2光カプラ802の一方の出力に光学的に接続された第2の1×2光カプラ803と、第2の1×2光カプラ803の2本の出力導波路に光学的に接続された第1の2×1光カプラ805とを含む。
【0039】
第2の光変調手段は、第1の1×2光カプラ802の他方の出力に光学的に接続された第3の1×2光カプラ804と、第3の1×2光カプラ804の2本の出力導波路に光学的に接続された第2の2×1光カプラ806とを含む。
【0040】
第1の2×1光カプラ805及び第2の2×1光カプラ806の出力は、第3の2×1光カプラ807の入力に光学的に接続され、第3の2×1光カプラ807の出力は、光出力ポート808に光学的に接続されている。
【0041】
第1の1×2光カプラ802と第2の1×2光カプラ803との間の導波路には、光位相変調手段として第1の光変調電極809が形成され、第1の1×2光カプラ802と第3の1×2光カプラ804との間の導波路には、光位相変調手段として第2の光変調電極810が形成されている。
【0042】
第2の1×2光カプラ803の一方の出力と第1の2×1光カプラ805との間の導波路には、光位相変調手段として第3の光変調電極811が形成され、第3の1×2光カプラ804の一方の出力と第2の2×1光カプラ806との間の導波路には、光位相変調手段として第4の光変調電極812が形成されている。
【0043】
第1の光変調電極809、第2の光変調電極810、第3の光変調電極811、第4の光変調電極812の長さは等しく、xを1より大きい実数として、印加される電圧は、されざれV、−V、(x−1)×V、−(x−1)×Vとする。第1の光変調電極809及び第2の光変調電極810は、複数の光学的経路に対して光位相変調を行う。
【0044】
図9に、実施例1に係る光変調回路の等価回路を示す。実施例1の光変調回路と同じ変調度および光強度比を有する光変調回路であって、1つの変調用電極により1つの光学的経路に変調を与える構成とする。この光変調回路における最大の印加電圧はxVである。これに対して、実施例1に係る光変調回路においては、最大の印加電圧は(x−1)×Vであり、印加電圧の低減が実現されていることがわかる。
【実施例2】
【0045】
図10に、本発明の実施例2に係る光変調回路の構成を示す。実施例1の光変調回路の変形例を示す。光変調回路は、光信号を入力する光入力ポート1001と、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する第1の1×2光カプラ1002とを備える。第1の1×2光カプラ1002の各々の出力には、第1および第2の光変調手段が接続されている。
【0046】
第1の光変調手段は、第1の1×2光カプラ1002の一方の出力に光学的に接続された第2の1×2光カプラ1003と、第2の1×2光カプラ1003の2本の出力導波路に光学的に接続された第1の2×1光カプラ1005とを含む。
【0047】
第2の光変調手段は、第1の1×2光カプラ1002の他方の出力に光学的に接続された第3の1×2光カプラ1004と、第3の1×2光カプラ1004の2本の出力導波路に光学的に接続された第2の2×1光カプラ1006とを含む。
【0048】
第1の2×1光カプラ1005及び第2の2×1光カプラ1006の出力は、第3の2×1光カプラ1007の入力に光学的に接続され、第3の2×1光カプラ1007の出力は、光出力ポート1008に光学的に接続されている。
【0049】
第1の1×2光カプラ1002と第2の1×2光カプラ1003との間の導波路には、光位相変調手段として第1の光変調電極1009が形成され、第1の1×2光カプラ1002と第3の1×2光カプラ1004との間の導波路には、光位相変調手段として第2の光変調電極1010が形成されている。
【0050】
第2の1×2光カプラ1003の一方の出力と第1の2×1光カプラ1005との間の導波路には、光位相変調手段として第3の光変調電極1011が形成され、第3の1×2光カプラ1004の一方の出力と第2の2×1光カプラ1006との間の導波路には、光位相変調手段として第4の光変調電極1012が形成されている。
【0051】
yを1より大きい実数として、第1の光変調電極1009、第2の光変調電極1010、第3の光変調電極1011、第4の光変調電極1012の電極長は、各々L、−L、(y−1)×L、−(y−1)×Lであ。各々の電極に印加される電圧の大きさは等しく、かつ印加される電圧の符号は、第1の光変調電極1009及び第3の光変調電極1011が同符号であり、第2の光変調電極1010及び第4の光変調電極1012が同符号であり、前者と後者で反転している。また、第1の光変調電極1009及び第2の光変調電極1010は、複数の光学的経路に対して光位相変調を行う。
【0052】
図11に、実施例2に係る光変調回路の等価回路を示す。実施例2の光変調回路と同じ変調度および光強度比を有する光変調回路であって、1つの変調用電極により1つの光学的経路に変調を与える構成とする。この光変調回路における最長の電極長はyLである。これに対して、実施例2に係る光変調回路においては、最長の電極長は(y−1)×Lであり、電極長の縮小が実現されていることがわかる。
【実施例3】
【0053】
図12に、本発明の実施例3に係る光変調回路の構成を示す。光変調回路は、光信号を入力する光入力ポートと、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する第1の1×2光カプラ1204とを備える。第1の1×2光カプラ1204の一方の出力には、光強度分岐比9:1の第2の1×2光カプラ1205が光学的に接続され、第1の1×2光カプラ1204の他方の出力には、光強度分岐比9:1の第3の1×2光カプラ1206が光学的に接続されている。
【0054】
第2の1×2光カプラ1205の2本の出力導波路は、光強度結合比9:1の第1の2×1光カプラ1207の2本の入力に光学的に接続され、第3の1×2光カプラ1206の2本の出力導波路は、光強度結合比9:1の第2の2×1光カプラ1208の2本の入力に光学的に接続される。第1の2×1光カプラ1207及び第2の2×1光カプラ1208の出力は、光強度結合比1:1で結合する第3の2×1光カプラ1209の入力に光学的に接続され、第3の2×1光カプラ1209の出力は、光出力ポートに光学的に接続されている。
【0055】
第1の1×2光カプラ1204の出力と、第2の1×2光カプラ1205及び第3の1×2光カプラ1206との間に変調電極1201を形成し、第2の1×2光カプラ1205及び第3の1×2光カプラ1206の分岐比9の導波路(破線で示した第1の光変調経路)には変調電極1202を形成し、第2の1×2光カプラ1205及び第3の1×2光カプラ1206の分岐比1の導波路(一点鎖線で示した第2の光変調経路)には変調電極1203を形成する。変調電極1201、1202、1203は、プッシュプル型の変調電極である。また、第1の光変調経路には、2つの光変調部の位相差をゼロにするための位相調整部1221,1222を設けた。
【0056】
変調電極1201と1203とは等しい長さとし、多値電気信号を電気アンプ1231,1232で増幅して、抵抗1235,1236で終端された変調電極1201と1203とを駆動する。変調電極1202は、この長さの3分の1の長さとし、変調電極1201に印加する電圧をインバータ1234により反転させ、電気アンプ1233で増幅して、抵抗1237で終端された変調電極1202を駆動する。
【0057】
分岐比9の導波路からなる第1の光変調経路の応答Eと、分岐比1の導波路からなる第2の光変調経路の応答Eとが、以下を満たすように設計する。
【0058】
【数4】
【0059】
実施例3に係る光変調回路全体の応答は、E=0.9E+0.1Eとなる。
【0060】
図13に、実施例3に係る光変調回路により得られる応答曲線を示す。駆動電圧を等間隔、振幅2Vπの4値で駆動した場合、理想的な出力光信号レベル−1.00、−0.33、+0.33、+1.00に対し、従来の単独MZMでは、−1.00、−0.50、+0.50、+1.00となる一方、実施例3では、−1.00、−0.35、+0.35、+1.00となり、応答の線形性が向上し、より理想に近い信号レベルが得られる。
【実施例4】
【0061】
図14に、本発明の実施例4に係る光変調回路の構成を示す。実施例3に係る光変調回路において、変調電極1202を省略した変形例である。実施例3の変調電極1201に相当する変調電極1401の長さは、実施例3の変調電極1203に相当する変調電極1402の1/2の長さとした。これにより簡易な変調回路が実現でき、駆動系もより簡易になる。実施例4においても光変調回路全体の応答は、E=0.9E+0.1Eとなり、従来の光変調回路と比較して応答の線形性が向上する。
【実施例5】
【0062】
図15に、本発明の実施例5に係る光変調回路の構成を示す図である。光変調回路は、光信号を入力する光入力ポートと、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する第1の1×2光カプラ1506とを備える。第1の1×2光カプラ1506の一方の出力には、光強度分岐比225:34の第2の1×2光カプラ1508が光学的に接続され、第1の1×2光カプラ1506の他方の出力には、光強度分岐比225:34の第3の1×2光カプラ1509が光学的に接続されている。
【0063】
第2の1×2光カプラ1508の一方の出力には、光強度結合比225:34の第1の2×1光カプラ1510が光学的に接続され、第2の1×2光カプラ1508の他方の出力には、光強度分岐比25:9の第4の1×2光カプラ1512が光学的に接続されている。第3の1×2光カプラ1509の一方の出力には、光強度結合比225:34の第2の2×1光カプラ1511が光学的に接続され、第3の1×2光カプラ1509の他方の出力には、光強度分岐比25:9の第5の1×2光カプラ1513が光学的に接続されている。
【0064】
第4の1×2光カプラ1512の2本の出力導波路は、光強度結合比25:9の第4の2×1光カプラ1514の2本の入力に光学的に接続され、第5の1×2光カプラ1513の2本の出力導波路は、光強度結合比25:9の第5の2×1光カプラ1515の2本の入力に光学的に接続される。第4の2×1光カプラ1514の出力は、第1の2×1光カプラ1510の入力に光学的に接続され、第5の2×1光カプラ1515の出力は、第2の2×1光カプラ1511の入力に光学的に接続される。
【0065】
第1の2×1光カプラ1510及び第2の2×1光カプラ1511の出力は、第3の2×1光カプラ1507の入力に光学的に接続され、第3の2×1光カプラ1507の出力は、光出力ポートに光学的に接続されている。
【0066】
第1の1×2光カプラ1506の出力と、第2の1×2光カプラ1508及び第3の1×2光カプラ1509との間に変調電極1501を形成し、第2の1×2光カプラ1508及び第3の1×2光カプラ1509の分岐比225の導波路(一点鎖線で示した第1の光変調経路)には変調電極1504を形成し、第2の1×2光カプラ1508及び第3の1×2光カプラ1509の分岐比34の導波路(破線で示した第2の光変調経路)には変調電極1502を形成する。第4の1×2光カプラ1512及び第5の1×2光カプラ1513の分岐比25の導波路(二点鎖線で示した第3の光変調経路)には変調電極1505を形成する。第4の1×2光カプラ1512及び第5の1×2光カプラ1513の分岐比9の導波路(破線で示した第2の光変調経路)には変調電極1503を形成する。
【0067】
また、第1の光変調経路及び第3の光変調経路には、2つの光変調部の位相差をゼロにするための位相調整部1521,1522及び位相調整部1523,1524を設けた。
【0068】
変調電極1501、変調電極1502、変調電極1503、変調電極1504、及び第5の変調電極の各々の長さの比を、5:5:5:2:1とする。多値電気信号を電気アンプ1531,1532,1533で増幅して、抵抗1537,1538,1539で終端された変調電極1501,1502,1503を駆動する。変調電極1504及び変調電極1505に印加する電圧は、変調電極1501に印加する電圧をインバータ1536により反転させ、電気アンプ1534,1535で増幅する。
【0069】
第1、第2、及び第3の光学的経路の印加電圧に対する光強度の応答が下記を満たすように設計する。
【0070】
【数5】
【0071】
第1、第2、及び第3の光学的経路を通過する光の光強度比を225:25:9(=1:1/9:1/25)となるように設計する。実施例4に係る光変調回路全体の応答は、E=(225E+25E+9E)/259となる。
【0072】
図16に、実施例5に係る光変調回路により得られる応答曲線を示す。実施例3及び実施例4よりも、さらに線形に近い応答が得られることがわかる。
【実施例6】
【0073】
図17に、本発明の実施例6に係る光変調回路の構成を示す。実施例5に係る光変調回路において、変調電極1504.1505を省略した変形例である。実施例5の変調電極1501,1502,1503に相当する変調電極1701,1702,1703の長さは、1:2:2とする。これにより簡易な変調回路が実現でき、駆動系もより簡易になる。実施例6においても光変調回路全体の応答は、下記を満たすように設計する。
【0074】
【数6】
【0075】
実施例6に係る光変調回路全体の応答は、E=(225E+25E+9E)/259となり、実施例5と同様の応答が得られる。
【実施例7】
【0076】
図18に、本発明の実施例7に係る光変調回路の構成を示す。図14に示した実施例4に係る光変調回路において、実施例4の変調電極1401,1402に相当する変調電極1801,1802を、縦続して接続することにより、駆動系(電気アンプ1831と抵抗1832)を一系統に集約することができる。なお、変調電極1802,1801の順に、縦続接続した構成としてもよい。
【実施例8】
【0077】
図19に、本発明の実施例8に係る光変調回路の構成を示す。図17に示した実施例6に係る光変調回路において、実施例6の変調電極1701,1702,1703に相当する変調電極1901,1902,1903を、縦続して接続することにより、駆動系(電気アンプ1931と抵抗1932)を一系統に集約することができる。なお、変調電極1903,1902,1901の順に、縦続接続した構成としてもよい。
【実施例9】
【0078】
図20に、本発明の実施例9に係るベクトル変調器の構成を示す。ベクトル変調器は、光信号を入力する光入力ポートと、入力された光信号を光強度比1:1で分岐する1×2光カプラ2003とを備えている。1×2光カプラ2003の各々の出力には、図18に示した実施例7に係る光変調回路2001,2002が光学的に接続されている。
【0079】
光変調回路2001は、Iチャネルの多値電気信号で変調し、光変調回路2002は、Qチャネルの多値電気信号で変調する。光変調回路2001の出力と、π/2位相差付与回路2004を介した光変調回路2002の出力とを、2×1光カプラ2005の入力に光学的に接続する。
【0080】
図21に、従来のベクトル変調器の一例を示す。比較のために、図1に示した多値光変調回路を並列に配置したベクトル変調器を示す。
【0081】
図22に、ベクトル変調器の4値駆動時の出力信号ダイアグラムを示す。各々4値のI、Qチャネル信号(振幅2Vπ)で駆動した場合の出力信号ダイアグラムであり、◆印は理想的な信号点、△は印は図21に示した従来のベクトル変調器の信号点、○印は図20に示した実施例9のベクトル変調器の信号点である。実施例9のベクトル変調器は、従来のベクトル変調器に比べ、信号点の理想点からのズレが少ないことがわかる。
【符号の説明】
【0082】
101 光分岐回路
102,103 光導波路
104,105,409〜414,809〜812,1009〜1012,1201〜1203,1401,1402,1501〜1505,1701〜1703,1801,1802,1901〜1903 光変調電極
401,801,1001 光入力ポート
402〜404,802〜804,1002〜1004,1204〜1206,1506,1508,1509,1512,1513,2003 1×2光カプラ
405〜407,805〜807,1005〜1007,1207〜1209,1507,1510,1511,1514,1515,2005 2×1光カプラ
408,808,1008 光出力ポート
1221,1222,1521〜1524 位相調整部
1231〜1233,1531〜1525,1831,1931,2011,2012 電気アンプ
1234,1536 インバータ
1235〜1237,1537〜1541,1832,1932,2013,2015 抵抗
2001,2002 光変調回路
2004 π/2位相差付与回路
図1
図2
図3
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図10
図11
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図13
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図15
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図19
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