特許第5825159号(P5825159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825159
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】画像形成用回路基板
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/385 20060101AFI20151112BHJP
【FI】
   B41J2/385 D
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-56541(P2012-56541)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-190588(P2013-190588A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 堪
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−187801(JP,A)
【文献】 特開平08−258320(JP,A)
【文献】 特開平09−295421(JP,A)
【文献】 特開2001−277579(JP,A)
【文献】 特開2009−039977(JP,A)
【文献】 特開2010−219103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/385
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが通過可能な複数の開口部を有する絶縁性基材と、
該絶縁性基材の第1の面の前記開口部の周囲に設けられたリング状制御電極と、
前記絶縁性基材の第2の面の前記開口部の周囲に設けられた個別背面電極と、
前記絶縁性基材の前記第1の面の前記リング状制御電極以外の領域を、前記リング状制御電極とは非接続で覆う第1の基材補強金属層と、
前記絶縁性基材の前記第2の面の前記個別背面電極以外の領域を、前記個別背面電極とは非接続で覆う第2の基材補強金属層と、を有することを特徴とする画像形成用回路基板。
【請求項2】
前記絶縁性基材は、耐熱性樹脂材料から構成され、厚さが10〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成用回路基板。
【請求項3】
前記耐熱性樹脂材料は、ポリイミド樹脂又はポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成用回路基板。
【請求項4】
前記リング状制御電極は、交番電圧の印加により、トナーを吸引する電気力線を発生させるための電極であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成用回路基板
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成用回路基板及びその製造方法に関し、特に、トナー担持体とトナーが付着させられる記録媒体との間に配置されたときに、複数のトナー通過穴が形成された画像形成用回路基板によって直接記録方式で画像を形成することのできる画像形成装置に用いられる画像形成用回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機などの画像形成装置として、トナージェット、ダイレクトトーニング、トナープロジェクション等と呼ばれる方式でトナー(記録材)によって紙などの記録媒体上に画像を直接記録する方法が知られている。
【0003】
このような画像を直接記録する画像形成装置としては、トナー担持体から飛翔させたトナーを開閉制御するトナー通過穴を介して、記録媒体手段に付着させて画像を形成する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置は、トナーを担持するトナー担持体と、トナーが付着させられる記録媒体手段と、トナー担持体と記録媒体手段との間に配置された複数のトナー通過穴を有するトナー制御手段とを備えている。
【0005】
このトナー制御手段は、トナー担持体側の絶縁性基板表面に、トナー通過穴を囲む形でリング状の制御電極が設けられている。また、記録媒体手段側には、トナー通過穴を囲む形で、制御電極よりも径が大きいリング状の制御電極が設けられ、表裏で異なるバイアス電圧を印加して制御する画像形成用回路基板を用いて、記録媒体手段にトナー画像を形成する。
【0006】
ここで、上記画像形成用回路基板は、トナー通過穴が開けられた厚さが10μm〜38μmのポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムの両面に、銅などの導電性の良い金属を蒸着法やスパッタ法、及び無電解法と電気めっき方式の組合せで電極を形成することにより製造される(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2の実施例に記載されたような導電性フィルムを用いれば、表面に形成された銅などの導電層を、エッチング方式によって除去することで、配線を形成できる。また、この基板を用いるためには、トナーが通過する穴を形成する必要があるが、この穴の形成においても、一般的に知られているパンチング法やレーザー法などの方法、並びにポリイミドなどの樹脂を化学的に溶解することができる。これらの加工によって配線形成された基板は、特許文献1の実施例においても、その効果が確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−61022号公報
【特許文献2】特開2009−147081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、プリンタやファクシミリにおいては写真等を含む画像の記録が多くなり、従来と比べてより高解像度で、鮮明な画像記録が要求されつつある。そのため、画像を記録するためのドット数が1200DPI以上など、1000DPIを超える画素数が求められるようになり、画像形成回路基板のトナー通過穴もより小径化が求められている。この小径化は、単純に600DPIでφ200μmであれば、1200DPIではφ71μmと面積比で1/2になるが、ドットの重なりも考慮するとφ80μm程度の開口径が必要になる。
【0010】
しかしながら、トナー通過穴の形成において、一般的に知られている金型によるパンチング法では穴周辺のバリや位置精度の問題があり、かつパンチの小径化も困難であった。また、レーザー法では、穴あけ時に生ずるスミアが発生するため、発生したスミアを除去するためのデスミア処理で必要であるが、トナー通過穴が小さくなると、デスミア処理液が穴へ浸透しにくく、気泡などにより、デスミア処理ができない複数の穴が発生するという問題があった。更に、多くのトナー通過穴を外見検査でデスミア処理が未処理の開口部を検出することも困難であった。
【0011】
かかる状況下で、複数の開口部加工には、ポリイミドなどの樹脂を化学的に溶解する方法が適していることが判っている。ポリイミド溶解による複数の開口部形成は、工程の順序が2通りある。一つは、配線パターン形成前の銅ベタに開口部を形成し、ポリイミド溶解するメタルマスク方式である。もう一つは、配線パターン形成後に耐ポリイミド溶解性DFR(Dry Film Resist、ドライフィルムレジスト)を貼り、露光工程において開口する部分のみ現像で溶解してポリイミドを露出させ、その後ドライフィルムレジストを剥離するDFR方式である。共に必要になるのが配線上の保護層の形成であり、複数の開口部形成後に行うため、感光性などの機能があり、複数の開口部上の保護層を除去できる。
【0012】
しかしながら、リング状の制御電極は、絶縁性基材の表裏に形成されており、かつ、制御電極の周辺の絶縁性基材が露出した状態である。銅等の導電性のよい金属が溶解されていた場所の絶縁基材は、蒸着法やスパッタ法により熱の影響で延びており、近傍のリング状の制御電極の存在により逃げ場が無いため、絶縁性基材は凹凸状態となっている。この状態で、ロール状の感光性機能を有する保護層であるカバーフィルムをラミネータ装置で貼り付けると、制御電極近傍に存在する絶縁性基材の凹凸状態がラミネータ装置の熱ロールに押されてしまい、画像形成用回路基板にシワ状の折れが発生するという問題を生じた。
【0013】
そこで、本発明は、絶縁性基材を補強することができ、保護層を貼り付けても、シワ折れが発生しない画像形成用回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る画像形成用回路基板は、トナーが通過可能な複数の開口部を有する絶縁性基材と、
該絶縁性基材の第1の面の前記開口部の周囲に設けられたリング状制御電極と、
前記絶縁性基材の第2の面の前記開口部の周囲に設けられた個別背面電極と、
前記絶縁性基材の前記第1の面の前記リング状制御電極以外の領域を、前記リング状制御電極とは非接続で覆う第1の基材補強金属層と、
前記絶縁性基材の前記第2の面の前記個別背面電極以外の領域を、前記個別背面電極とは非接続で覆う第2の基材補強金属層と、を有することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記絶縁性基材は、耐熱性樹脂材料から構成され、厚さが10〜100μmであってもよい。
【0016】
なお、前記耐熱性樹脂材料は、ポリイミド樹脂又はポリアミド樹脂であってもよい。
【0017】
また、前記リング状制御電極は、交番電圧の印加により、トナーを吸引する電気力線を発生させるための電極であることが好ましい。
【0018】
本発明の他の態様に係る画像形成用回路基板の製造方法は、トナーを周囲に保持する現像ローラーに対向して設けられて用いられる画像形成用回路基板の製造方法であって、
表面に金属膜が形成された絶縁性基材を用意する工程と、
前記金属膜をエッチングし、円形部分を含む金属配線パターンの輪郭の部分のみ前記絶縁性基材を露出させる工程と、
前記金属配線パターンの前記円形部分の領域内に、円形の開口を形成し、前記金属配線パターンが前記開口を囲むリング状になるように加工する工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
ここで、前記金属膜は、前記絶縁性基材の両面に形成されており、
前記金属配線パターンの前記円形部分は、中心が両面で一致するように形成され、
前記金属配線パターンの前記円形部分は、両面においてリング状に形成されることが好ましい。
【0020】
なお、前記円形の開口は、露光及び現像と、エッチングとの組み合わせにより形成されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成用回路基板を補強し、画像形成用回路基板の保護層をシワ状の折れなく貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例を示した図である。図1(A)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の表面側を示した図であり、図1(B)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の裏面側を示した図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の断面構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の絶縁性基材用意工程の一例を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例を示した図である。図4(A)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例の表面側を示した図である。図4(B)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例の表面側を示した図である。
図5】本発明の画像形成用回路基板の製造方法の開口部形成工程の一例を示した図である。
図6】開口部形成工程における表面側金属層のエッチング工程の一例を示した図である。
図7】開口部形成工程における表面側金属層のエッチング工程の一例を示した図である。
図8】開口部形成工程における絶縁性基材エッチング工程の一例を示した図である。
図9】開口部形成工程における裏面側金属層の露光工程の一例を示した図である。
図10】開口部形成工程における裏面側金属層のエッチング工程の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例を示した図である。図1(A)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の表面側を示した図であり、図1(B)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の裏面側を示した図である。
【0025】
図1(A)において、本実施形態に係る画像形成用回路基板10は、表面側に、絶縁性基材20と、開口部30と、リング状制御電極40と、配線41と、基材補強金属層60とを備える。本実施形態に係る画像形成用回路基板10の表面側は、絶縁性基材20に、これを貫通する開口部30が形成され、開口部30の周囲にリング状制御電極40が形成された構成を有する。また、リング状制御電極40には、配線41が接続されて横方向に延びている。リング状制御電極40及び配線41の周囲は、リング状制御電極40及び配線41の輪郭を形成するように絶縁性基材20が露出しているが、それ以外の領域は、基材補強金属層60が形成されており、絶縁基材10の表面を覆っている。つまり、リング状制御電極40の周囲は、絶縁領域である絶縁性基材20を介して、電気的に非接続で基材補強金属層60に囲まれている。
【0026】
図1(B)において、本実施形態に係る画像形成用回路基板10は、裏面側に、絶縁性基材20と、開口部30と、個別背面電極50と、配線51とを備える。本実施形態に係る画像形成用回路基板10の裏面側においては、絶縁性基材20に、表面側の開口部30に対応して開口部30が形成され、開口部30の周囲に個別背面電極50が形成されている。つまり、開口部30が絶縁性基材20を貫通し、表面側と裏面側を貫通する開口部30が形成されているので、裏面側の開口部30は、当然に表面側の同位置の開口部30と同一であり、対応している、個別背面電極50には、配線51が接続されて横方向に延びている。個別背面電極50及びこれに接続される配線51の周囲には、個別背面電極50及びこれに接続される配線51の輪郭を形成するように絶縁性基材20が露出しており、その他の領域は、基材補強金属層61に覆われている。
【0027】
図1(A)、(B)において、絶縁性基材20は、耐熱性樹脂材料のフィルムであり、電子部品の材料として使用されている一般的なフィルムを用いることができる。絶縁性基材の材質は、例えばポリイミド、ポリアミド、から選ばれるいずれかの耐熱性樹脂材料が挙げられる。なかでも、柔らかく、溶解性の良いポリイミド樹脂が好ましく、例えば、東レ・デュポン社製の商品名:カプトン、宇部興産社製の商品名:ユーピレックスなどを用いることができる。
【0028】
絶縁性基材20の厚さは、材料の種類にもよるが、10〜100μmの絶縁性フィルムを用いることができ、20〜80μmであることが好ましい。厚さが10μm未満であると薄すぎて取扱いが困難になり、また、厚さが100μmを超えるものは、経済的ではない。高精細な画像を得るためには、絶縁性基材20の厚みは薄いほうが望ましい。絶縁性基材20の大きさは、画像形成装置の大きさなどにより異なるので一概に規定できないが、例えば、縦横がそれぞれ、50〜100mm、230〜320mmとされる。
【0029】
開口部30は、トナーを通過させるための穴であり、トナーが通過できる大きさの径を有して形成される。開口部30の形状は、必ずしも円形である必要は無いが、粒状のトナーを通過させるため、円形又はこれに近い形状であることが好ましい。開口部30は、絶縁性基材20に複数形成され、図1(A)、(B)においては、2列に互い違いに配置されている。開口部30の配置は、用途に応じて、種々の配置とすることができる。
【0030】
リング状制御電極40は、トナーを吸引するような電気力線又は電界を発生させ、トナーの落下を制御するための電極であり、薄い金属層として構成される。リング状制御電極40は、開口部30の周囲を囲むように設けられ、リング状の平面形状を有する。例えば、リング状制御電極40に、トナーの帯電極性と反対極性の電圧を印加すれば、リング状制御電極40がトナーを吸引し、トナーが開口部30を通過するように作用することができる。一方、トナーの帯電極性と同極性の電圧をリング状制御電極40に印加すれば、リング状制御電極40はトナーを吸引せず、開口部30をトナーが通過するように作用しない。よって、リング状制御電極40に交番電圧を印加することにより、トナーの開口部30の通過を制御することができる。
【0031】
なお、リング状制御電極40は、例えば、配線に用いられるAl、Au、Cu等の種々の金属材料からなる薄い金属槽として構成される。
【0032】
配線41は、リング状制御電極40に電圧を印加するために設けられており、一方がリング状制御電極40に接続され、他方が外部に備えられた図示しない電源に接続される。
【0033】
基材補強金属層60は、絶縁性基材20を覆い、絶縁性基材20を補強するための金属層である。本実施形態に係る画像形成用回路基板10は、絶縁性基材20の両面に、蒸着法やスパッタ法を用いて金属薄膜を形成し、不要な金属薄膜を除去する加工を行い、最終的に画像形成用回路基板10として構成するが、蒸着法やスパッタ法で金属薄膜を形成した際に、熱で絶縁性基材20が伸長して表面に凹凸が発生している場合が多い。このような状態で、絶縁性基材20が露出していると、画像形成用回路基板10の配線パターン等の加工が完了し、最後に保護膜を形成する際に、延びて表面に存在する凹凸がシワ状になり、シワが残って表面に凹凸がある画像形成用回路基板20が形成されるおそれがある。また、絶縁性基材20は、フィルム状の基材であるため、強度が非常に弱く、またそれが上述のシワや凹凸発生の原因ともなっている。
【0034】
よって、本実施形態に係る画像形成用回路基板10においては、必要とされる開口部30の周囲のリング状制御電極40以外の領域は、基材補強金属層60で覆ってしまい、絶縁性基材20を補強し、表面にシワ及び凹凸が形成されるのを抑制している。これにより、表面にシワや凹凸が無い高品質な画像形成用回路基板10を構成することができる。なお、基材補強金属層60は、リング状制御電極40と非接続の浮島状の金属層として構成される。
【0035】
また、基材補強金属層60は、絶縁性基材20の露出を抑制できれば、用途に応じて種々の金属材料が用いられてよいが、例えば、リング状制御電極40及び配線41と同一の金属材料のAl、Au、Cu等が用いられてもよい。同一種類の金属を用いることにより、余分な成膜工程を行う必要が無いので、簡素な工程で画像形成用回路基板10を製造することができる。
【0036】
個別背面電極50は、裏面側の開口部30の周囲を囲むように設けられたリング状の電極であり、リング状制御電極40よりも幅が太い。表面側のみならず、裏面側の開口部30の周囲にも個別背面電極50を設けることにより、表面側のリング状制御電極40と協働して電界を発生させることができ、トナーの落下をより高精度に制御することができる。
【0037】
配線51は、個別背面電極50に電圧を印加するために設けられており、一方が個別背面電極50に接続され、他方が外部に設けられた図示しない電源に接続される。
【0038】
基材補強金属層61は、裏面側において、絶縁性基材20を覆い、絶縁性基材20を補強するとともに、絶縁性基材20の露出を抑制するための金属層である。その役割は、表面側の基材補強金属層60と同様であり、絶縁性基材20の強度を補強し、表面にシワ及び凹凸が発生するのを抑制する役割を果たす。裏面側にも基材補強金属層61を形成することにより、絶縁性基材20の殆どが金属薄膜で覆われ、シワや凹凸の発生を両面に亘り防止することができる。なお、裏面側の基材補強金属層61の構成及び機能は、表面側の基材補強金属層と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0039】
本実施形態に係る画像形成用回路基板は以上のような構成を有するが、具体的な開口部30の大きさは、例えば、φ30〜200μmとされる。また、リング状制御電極40は、開口部30を取り囲む形でリング状(環状)に幅10〜100μmの電極として構成され、隣り合うリング状制御電極40との間隔は、例えば、リング状制御電極40の直径の2〜4倍とされる。リング状制御電極40から横方向に延びる配線41の配線幅は、例えば、10〜100μmとされる。基材補強金属層と電極配線との間隔は30μm〜150μmとすることが望ましい。上記間隔が30μmより狭くなると、基材補強金属層に影響により電極に生ずる電気力線に乱れが生じ、150μmより広くなるとシワや凹凸の抑制効果が弱くなってしまうからである。また、リング状制御電極40以外の配線41、個別背面電極50、配線51及び基材補強金属層60、61も、リング状制御電極40と同様に、Al、Au、Cu等の薄い金属層として構成されてよい。
【0040】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の一例の断面構成図である。図2の断面は、図1(A)で示したA−A’断面に相当する。また、図2においては、本実施形態に係る画像形成用回路基板10の関連構成要素として、現像ローラー70と、トナー80が示されている。
【0041】
現像ローラー70は、トナー80を供給するためのローラーであり、現像ローラー70の周面にトナー80を浮遊させるような電界を発生させ、トナー80を画像形成用回路基板10の表面側の上方に供給する。
【0042】
現像ローラー70は、円筒形状又は円柱形状の基体71と、接着剤層72と、絶縁性フィルム73と、金属配線74とを備える。絶縁性フィルム73と金属配線74とは、絶縁性フィルム73の表面上に金属配線74が形成されたフィルム状回路基板75を構成する。かかるフィルム状回路基板75の金属配線74は、例えば、櫛歯状又はストライプ状の配線パターンに構成され、交番電圧を印加することにより、現像ローラー70の周囲の電気力線を変化させ、トナー80を静電気力により現像ローラー70の周面付近に浮遊させる。そして、トナー80を浮遊させた状態で画像形成用回路基板10の上方に供給する。
【0043】
トナー80は、用紙に印刷記録を行うため、帯電性を持ったプラスチック粒子に黒鉛・顔料等の色粒子を付着させたミクロサイズの粒である。よって、トナー80の帯電極性と異なる極性にリング状制御電極40が帯電したときに、トナー80に吸引力が作用し、開口部30を通過することになる。
【0044】
本実施形態に係る画像形成用回路基板10は、現像ローラー70の周面に対向して設けられる。図1(A)に示した表面側、つまり開口部30の周囲にリング状制御電極40が設けられた側が、現像ローラー70に対向して設けられる。画像形成用回路基板10の開口部30は、画像形成用回路基板10の面に略垂直な側面を有する。かかる形状を有することにより、開口部30に入ってきたトナー80は、そのままスムーズに直進し、開口部30の側面に平行に開口部30を通過する。
【0045】
なお、開口部30のトナー80の入口側の周囲には、リング状制御電極40が形成されているため、リング状制御電極40に印加する電圧によりリング状制御電極40から発する電気力線を制御し、トナー80を開口部30に吸引する吸引力を制御することができる。また、開口部30のトナー80の出口側の周囲には、やはりリング状の個別背面電極50が形成されているため、個別背面電極50から発する電気力線及び個別背面電極50とリング状制御電極40とで発生する電界を用いて、トナー80の開口部30への吸引力を総合的に制御し、トナー80による印刷の階調等を高精度に制御することができる。
【0046】
特に、本実施形態に係る画像形成用回路基板10においては、表面にシワや凹凸が存在しないため、表面電位が安定しており、電界の乱れが少ないため、トナー80による印刷の階調等を高精度に制御することができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る画像形成用回路基板10によれば、絶縁性基材20の表面の大分部を基材補強金属層60、61で覆い、絶縁性基材20の露出を抑制しているので、画像形成用回路基板10の表面に、シワや凹凸が発生することを効果的に防止でき、表面電位を安定させて高精度にトナー80の落下量を制御することができる。
【0048】
なお、図2において、開口部30は、画像形成用回路基板10の表面と垂直な開口形状に構成されているが、トナー80の目詰まりを防止するために、表面側(トナー入口側)から裏面側(トナー出口側)にかけて開口径が大きくなる逆テーパー形状に構成したり、トナー80の落下の直進性を高めるために、表面側(トナー入口側)から裏面側(トナー出口側)にかけて開口径が小さくなるテーパー形状に構成したりしてもよい。また、これらのテーパー形状は、直線的なものだけでなく、曲線的なものであってもよい。このように、開口部30の断面形状は、用途に応じて種々の構成とすることができる。
【0049】
次に、図3乃至図10を用いて、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の一例について説明する。なお、今までと同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の絶縁性基材用意工程の一例を示した図である。絶縁性基材用意工程においては、絶縁性基材20の両面に金属層62、63が形成された両面金属基板11を用意する。
【0051】
なお、絶縁性基材20は、最初から金属層62、63が形成されている市販の2層金属基板を用意してもよいし、絶縁性基材20の両面に、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等の成膜法を用いて形成するようにしてもよい。市販品としては、例えば、住友金属鉱山(株)社製のS’perFlexを用いるようにしてもよい。
【0052】
なお、絶縁性基材20は、例えば、ポリイミド、ポリアミド等の絶縁性樹脂からなる基材を用いることができる。また、両面金属基板11の金属層62、63は、導電性を有するものであればよく、絶縁性フィルムとの密着性、配線形成時の簡便性等より、Al、Au、Cu、Ni、Cr等の金属やこれらの合金とすることが好ましい。また、金属膜42、52を成膜法により形成する場合には、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、金属箔を張り合わせる方法等の公知の方法を用いることができる。
【0053】
金属層の厚さは、特に制限されるわけではないが、1〜20μmとすることが好ましい。1μmより薄くなると、めっき層の欠陥などで耐屈折性が低下し、また、20μmより厚くなると屈折したときの表面近傍の引っ張り応力が大きくなるため破断しやすくなり、耐屈折性が低下することがある。
【0054】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例を示した図である。図4(A)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例の表面側を示した図であり、図4(B)は、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法の金属配線パターン形成工程の一例の表面側を示した図である。
【0055】
金属配線パターン形成工程においては、金属層62、63が両面に形成された両面金属基板11の両面に、円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52及び基材補強金属層60、61を形成する。より具体的には、図4(A)に示すように、両面金属基板11の表面側には、円形金属配線パターン42、配線41及び基材補強金属層60を形成するとともに、図4(B)に示すように、両面金属基板11の裏面側には、円形金属配線パターン52、配線51及び基材補強金属層61を形成する。
【0056】
なお、円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52等の形成は、その外形、つまり輪郭部分の絶縁性基材20が露出するように、ライン状に金属膜62、62を除去する。これにより、円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52以外の領域に、基材補強金属層60、61を同時に形成することができる。
【0057】
また、円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52及び基材補強金属層60、61の形成は、例えば、レジストを用いて露光し、エッチングにより不要部分の金属膜62、63を除去することにより行ってよい。
【0058】
具体的には、まず、図3の状態から、両面金属基板11の金属層62上にレジスト層を形成する。形成するレジスト層は、液状レジスト、またはフィルム状レジストのいずれを用いても良い。またネガ型、ポジ型いずれのレジストも用いることができる。
【0059】
次に、電極形成用のパターンが印刷されたマスクを用い、レジスト層に露光処理を行い、その後、レジスト層を現像した後に該レジスト層から露出した金属層をエッチングし、電極パターンを形成した後にレジスト層を除去する。例えば、このような処理を行うことにより、円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52を形成する。
【0060】
図5は、本発明の画像形成用回路基板の製造方法の開口部形成工程の一例を示した図である。開口部形成工程においては、円形に形成された円形金属配線パターン42、52の領域内に、両面金属基板11を貫通する所定のサイズの開口部30を形成し、画像形成用回路基板10が完成する。開口部30の具体的な形成方法については、図6乃至図10を用いて、以下に説明する。
【0061】
図6は、開口部形成工程における表面側金属層の露光工程の一例を示した図である。まず、露光工程においては、レジスト層が円形金属パターン42上に形成される。形成するレジスト層は、液状レジスト、またはフィルム状レジストのいずれを用いても良い。またネガ型、ポジ型いずれのレジストも用いることができる。
【0062】
次に、リング状制御電極形成用のパターンが印刷されたマスクを用い、レジスト層に露光処理を行い、その後、レジスト層を現像して除去し、レジストパターン90を形成する。
【0063】
図7は、開口部形成工程における表面側金属層のエッチング工程の一例を示した図である。エッチング工程においては、レジストパターン90から露出した金属層40をエッチングし、電極パターンを形成した後にレジストパターン90を除去する。これにより、絶縁性基板20を露出させることができる。
【0064】
なお、図4で説明した円形部分を含む金属配線パターン41、42、51、52は、図6及び図7に示した工程と同様の工程を実施することにより形成できる。
【0065】
図8は、開口部形成工程における絶縁性基材エッチング工程の一例を示した図である。絶縁性基材エッチング工程においては、円形金属パターン40の表面上に、絶縁性基材20の溶剤に耐性を有するレジスト91を、開口部30上を覆わずに露出させるようにパターニングする。そして、絶縁性基材20を溶解可能なエッチング液を用いて、絶縁性基材20を溶解除去する。なお、レジスト91は、例えば、絶縁性基材20の溶剤に耐性を有するドライフィルムレジストを用いるようにしてもよい。
【0066】
図9は、開口部形成工程における裏面側金属層の露光工程の一例を示した図である。裏面側金属層の露光工程においては、レジスト層を露光及び現像によりパターニングし、レジストパターン92を形成する。
【0067】
図10は、開口部形成工程における裏面側金属層のエッチング工程の一例を示した図である。裏面側金属層のエッチング工程においては、レジストパターン92をマスクとしてエッチングを行い、裏面側金属層50をエッチングする。裏面側金属層50の底面までエッチングが終了すれば、両面金属基板11を貫通する開口部30が形成され、画像形成用回路基板10が完成する。
【0068】
このように、本実施形態に係る画像形成用回路基板の製造方法によれば、露光及び現像と、エッチングとを組み合わせることにより、絶縁性基材20を補強する絶縁性基材補強金属層60、61及びトナー80を通過させるために開口部30を形成することができ、簡素な工程でシワや凹凸を低減できる画像形成用回路基板を製造することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成用回路基板及びその製造方法を実施した実施例について、比較例とともに説明する。なお、今までの実施形態で説明したのと同様の構成要素については、理解の容易のため、同一の参照符号を付すものとする。但し、本実施例においては、実施形態とは異なり、裏面側からエッチングが開始されている例について説明する。
【0070】
〔実施例〕
まず、本実施例に係る画像形成用回路基板10を製造するために、厚さ25μmのポリイミド20の両面に厚さ2μmの銅層62、63が形成された両面金属基板11(住友金属鉱山(株)製S’perFlex)を用意した。この銅層63の表面にドライフィルムレジスト(旭化成株式会社製 商品名 AQ−1158)を貼り、電極配線形状のマスクパターン90を有するマスクを用いて露光・現像し、ドライフィルムレジストから露出した銅層63をエッチングし、トナー突出側開口径100μmφで300dpi用の画像形成回路として304個の個別背面電極50用の円形金属配線パターン52を形成した。また、円形金属配線パターン52に接続される配線51も併せて形成した。更に、円形金属配線パターン52及び配線52以外の領域には、円形金属配線パターン52及び配線51から80μmの間隔を空けて、基材補強金属層61を形成した。
【0071】
他方の表面には、制御電極40用の円形金属配線パターン42を形成するとともに、円形金属配線パターン42に接続される配線41を形成した。また、円形金属配線パターン42及び配線41以外の領域には、円形金属配線パターン42及び配線41から80μmの間隔を空けて、基材補強金属層60を形成した。
【0072】
ポリイミドエッチングは、ドライフィルムレジストを剥離後、耐ポリイミド溶解性ドライフィルムレジスト91(旭化成株式会社製 商品名 AQ4038)を貼り、露光・現像し、電極配線のリング状の開口部30と一部リングが露出するように耐ポリイミド溶解性ドライフィルムレジスト91をパターニングした。なお、トナー入口側の面には、ドライフィルウレジストを貼った。全面露光で現像後も、露出エリアは存在しない。
【0073】
次に、ポリイミドエッチング液(東レ製TPE3000)を使用し、液温70〜100℃で2分〜6分浸漬し、リング状の配線に形成された個別背面電極50側からポリイミドを熔解させた。その後、ドライフィルムレジストを剥離し、カバーフィルムのロール材を貼り付け、露光及び現像を行い、開口部30を形成した。これにより、表面側にも、リング状制御電極40が形成された。
【0074】
このように、本実施例に係る画像形成用回路基板10においては、制御電極40周辺の絶縁性基材20の露出を、浮島銅パターンである基材補強金属層60を形成することにより抑制した。
【0075】
〔比較例〕
比較例に係る画像形成用回路基板の製造においても、厚さ25μmのポリイミドに厚さ2μmの銅層が表裏両面に形成された両面基板(住友金属鉱山(株)製S’perFlex)を用意した。この銅層表面にドライフィルムレジスト(旭化成株式会社製 商品名 AQ−1158)を貼り、配線形状を有するマスクを用いて露光し、現像し、露出した銅層をエッチングし、トナー突出側開口径100μmφで300dpi用の画像形成用回路基板として、304個の個別背面電極用の円形金属配線パターン及び配線を形成した。なお、それ以外の領域は、銅層をエッチングし、ポリイミドを露出させた。
【0076】
また、他方の面には、制御電極用の円形配線パターン及び配線を形成した、更に、円形配線パターン及び配線から80μmの間隔を空けて共通バイアス印加用の共通電極を形成した。
【0077】
これ移行の開口部30の形成は、実施例と同様のプロセスを実行し、比較例に係る画像形成用回路基板を完成させた。
【0078】
〔実施例と比較例の比較〕
実施例及び比較例に係る画像形成回路基板に、カバーフィルム(日立化成製 商品名レイテックFR5750)を貼り付けた。具体的には、大気ラミネータ(大成ラミネータ VA−400)を用いて熱ロール 90℃、0.3MPa線圧、搬送速度1m/minで貼り付けを行った。
【0079】
表1は、本実施例及び比較例に係る画像形成用回路基板のカバーフィルムの貼り付けを行った結果を示している。
【0080】
【表1】
表1に示すように、比較例に係る画像形成用回路基板では、5ロット(10m/ロット)投入して全てにシワによる基材折れ発生した。一方、本実施例に係る画像形成用回路基板では、5ロット投入してシワによる基材折れ発生はゼロであった。
【0081】
このように、本実施例に係る画像形成用回路基板によれば、基材補強金属層60、61を設けることにより、表面にシワが発生することを防止し、シワによる基材折れを効果的に防ぐことができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及ぶ実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、プリンタやファクシミリ等のトナーを用いる画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成用回路基板
11 両面金属基板
20 絶縁性基材
30 開口部
40 リング状制御電極
41、51 配線
42、52 円形金属配線パターン
50 個別背面電極
60、61 基材補強金属層
62、63 金属層
70 現像ローラー
71 基体
72 接着剤層72
73 絶縁性フィルム
74 金属配線
75 フィルム状回路基板
80 トナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10