(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825448
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】一体型正極リード及び負極リードを含む二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/08 20060101AFI20151112BHJP
H01M 2/06 20060101ALI20151112BHJP
H01M 2/34 20060101ALI20151112BHJP
H01M 2/30 20060101ALI20151112BHJP
H01M 2/12 20060101ALN20151112BHJP
【FI】
H01M2/08 K
H01M2/06 K
H01M2/34 B
H01M2/30 C
!H01M2/12 101
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-556500(P2014-556500)
(86)(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公表番号】特表2015-510240(P2015-510240A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】KR2013011075
(87)【国際公開番号】WO2014109481
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2014年6月27日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0003456
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0147809
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リュ、サン−バク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン−ミュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ−ウーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヒャン−モク
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−048852(JP,A)
【文献】
特開2008−192451(JP,A)
【文献】
特開2000−353504(JP,A)
【文献】
特開2005−026181(JP,A)
【文献】
特開2008−277238(JP,A)
【文献】
特開2003−086153(JP,A)
【文献】
特開2009−026739(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/020595(WO,A1)
【文献】
特表2013−502676(JP,A)
【文献】
特開2006−310308(JP,A)
【文献】
特開2003−168403(JP,A)
【文献】
特開2008−235256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/08
H01M 2/06
H01M 2/34
H01M 2/30
H01M 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極タブが付着されている1つ以上の正極と、
負極タブが付着されている1つ以上の負極と、
前記正極及び負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成された電極組立体と、
前記電極組立体を収容し、上部と下部からなるパウチと、
前記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部と、
前記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部と、
前記正極タブ接合部に連結された正極リードと、
前記負極タブ接合部に連結された負極リードと、
前記正極リード及び負極リードがその一部面積が外部に露出した形態に介在されているリードフィルムと、
前記リードフィルムが介在された状態で上部パウチと下部パウチを熱融着することでパウチの外周面に形成されるシーリング部を含む二次電池であって、
前記正極リードと負極リードは平行に配列され、一枚のリードフィルムに同時に介在され、
前記リードフィルムは、前記正極リードと前記負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含む、二次電池。
【請求項2】
前記正極リードと負極リードの間隔は4〜14mmである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記切取部は、前記リードフィルムの外側の辺と一辺が一致する逆三角形、半円形、四角形、及び台形からなる群より選択された少なくとも一つである、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記切取部が形成された部位のシーリング部は他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記リードフィルムはポリプロピレンまたはポリエチレンである、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記リードフィルムの厚さは0.05〜0.15mmである、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記二次電池はリチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池である、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
正極タブが付着されている1つ以上の正極及び負極タブが付着されている1つ以上の負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成され、
前記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部に連結された正極リードと前記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部に連結された負極リードを含み、
前記正極リードと負極リードが平行に配列された電極組立体を用意する段階と、
1枚のリードフィルムを使用して、前記正極リードと負極リードの一部面積が外部に露出した形態に同時に介在する段階と、
前記電極組立体を上部パウチと下部パウチの間に形成された内部空間に収容する段階と、
前記リードフィルムが上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在された状態でパウチの外周面を熱融着してシーリング部を形成する段階と、を含み、
前記リードフィルムには、前記正極リードと前記負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部が形成される、二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記切取部は、前記リードフィルムの外側の辺と一辺が一致する逆三角形、半円形、四角形、及び台形からなる群より選択された少なくとも一つである、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在されるリードフィルムは1つ以上の切取部を含む、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記シーリング部を形成する段階で、パウチの外周面のうち切取部と重なる部分を除いて熱融着が行われる、請求項10に記載の二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記切取部は、シーリング部を形成する段階後に、シーリング部で包まれたリードフィルムを外側から切り取って形成する、請求項8または請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記切取部が形成された部位のシーリング部は他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有する、請求項11または請求項12に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極リードと負極リードが一枚のリードフィルムにより同時に介在された一体型正極リード及び負極リードを含む二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ビデオカメラ、携帯電話、携帯用コンピュータ、デジタルカメラなどの携帯用無線機器の軽量化と電気自動車の開発及び高機能化に伴って、その駆動用電源として用いられる二次電池に対し、小型軽量でありながらも、エネルギー密度が高く、充放電特性に優れることが求められてきた。
【0003】
このような二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、中でも、特に、リチウム二次電池は、寿命が長く、エネルギー密度が高いという利点がある。また、リチウム二次電池は、電解質の種類によって、液体電解質を使用するリチウム金属電池及びリチウムイオン電池と、高分子固体電解質を使用するリチウムポリマー電池とに区分することができる。
【0004】
図1は一般的なリチウム二次電池の斜視図を示したもので、リチウム二次電池は正極と負極(不図示)が備えられた電極組立体と、該電極組立体の周面を包んで密封し、内部には電解液が充填されているパウチ外装材120と、電極組立体の正極と負極にそれぞれ溶接され、平行に配列されている正極リード130と負極リード140(以下、「正/負極リード」という。)と、で構成される。
【0005】
このとき、正極リード130は、アルミニウム箔にリチウムイオンの充放電が可能なリチウム複合酸化物を塗布して形成し、負極リード140は、ニッケル箔にリチウムイオンの吸脱着が可能な炭素材を塗布して形成する。当該正/負極リード130、140の各々には、絶縁性を上げ、パウチシーリング時の密封力をさらに向上させるために、リードフィルム150、160を付着する。
【0006】
上記リードフィルム150、160は、正/負極リード130、140の所定長さが外部に露出するように、それぞれのリード130、140の両面に付着されて、上部パウチと下部パウチ120の外周面との間に介在されるが、このとき、上記パウチ120は、リードフィルム150、160が介在された部分を含んで外周面に沿って熱融着されてシーリング部180が形成される。これにより、二次電池はパウチ120の外周面の隙間が気密処理され、パウチ120の内部に充填されている電解液の漏れが遮断されることができる。
【0007】
一方、上記リードフィルム150、160を正/負極リード130、140のそれぞれの両面に付着する方法は、通常、2つのリードフィルムを正/負極リードの上下面に位置させた状態で熱を加えることで、リードフィルムを正/負極リードの上下面に熱融着させて付着するが、このとき、正/負極リードの各々をシーリングする場合、2つのリード間の間隔が狭くなると、シーリングが困難となる問題があり、また、リードの揺れにより二次電池が不安定になる問題が発生じ得る。
【0008】
上記問題の他に、一般的なリチウム二次電池は、動作中に内部短絡、過充電及び高温露出などのような異常の動作状態になると、内部電解液が分解されながら高圧のガスが発生し、発生した高圧のガスは電池ケースの変形を誘発し、電池の寿命を短縮させることがあり、酷いときには電池の発火ないし爆発を引き起こす可能性があり、安全上の問題が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、正極リード及び負極リードを各々のリードフィルムを用いてシーリングする際、2つのリードの間隔が狭くなると、シーリングが困難となる問題を防止し、正極リードと負極リードが揺れずに強固に固定されて、これらを一つの部品として管理することができる二次電池及びその製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、電池セル内部の高圧ガスを所望する部位に効果的に放出して向上した安定性と動作の信頼性を確保し、有害なガスの無分別な排出による問題を解決することができる二次電池及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によると、正極タブが付着されている1つ以上の正極と、負極タブが付着されている1つ以上の負極と、上記正極及び負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成された電極組立体と、上記電極組立体を収容し、上部と下部からなるパウチと、上記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部と、上記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部と、上記正極タブ接合部に連結された正極リードと、上記負極タブ接合部に連結された負極リードと、上記正極リード及び負極リードがその一部面積が外部に露出した形態に介在されているリードフィルムと、上記リードフィルムが介在された状態で上部パウチと下部パウチを熱融着することでパウチの外周面に形成されるシーリング部を含む二次電池であって、上記正極リードと負極リードは平行に配列され、一枚のリードフィルムに同時に介在される二次電池を提供する。
【0012】
上記正極リードと負極リードの間隔は4〜14mmであってもよい。
【0013】
上記リードフィルムは、正極リードと負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含んでもよい。
【0014】
上記切取部は逆三角形、半円形、四角形、及び台形からなる群より選択された少なくとも一つであってもよい。
【0015】
上記切取部が形成された部位のシーリング部は他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有してもよい。
【0016】
上記リードフィルムはポリプロピレンまたはポリエチレンであってもよい。
【0017】
上記リードフィルムの厚さは0.05〜0.15mmであってもよい。
【0018】
上記二次電池はリチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池であってもよい。
【0019】
本発明の他の具現例によると、正極タブが付着されている1つ以上の正極及び負極タブが付着されている1つ以上の負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成され、上記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部に連結された正極リードと上記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部に連結された負極リードを含み、上記正極リードと負極リードが平行に配列された電極組立体を用意する段階と、1枚のリードフィルムを使用して、上記正極リードと負極リードの一部面積が外部に露出した形態に同時に介在する段階と、上記電極組立体を上部パウチと下部パウチの間に形成された内部空間に収容する段階と、上記リードフィルムが上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在された状態でパウチの外周面を熱融着してシーリング部を形成する段階と、を含む二次電池の製造方法を提供する。
【0020】
上記リードフィルムは、正極リードと負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含んでもよい。
【0021】
上記切取部は逆三角形、半円形、四角形、及び台形からなる群より選択された少なくとも一つであってもよい。
【0022】
上記上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在されるリードフィルムは、1つ以上の切取部を含んでもよい。
【0023】
上記シーリング部を形成する段階で、パウチの外周面のうち切取部と重なる部分を除いて熱融着が行われてもよい。
【0024】
上記切取部は、シーリング部を形成する段階後に、シーリング部で包まれたリードフィルムを外側から切り取って形成してもよい。
【0025】
上記切取部が形成された部位のシーリング部は他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、一枚のリードフィルムを使用して二次電池の正極リードと負極リードをともにその間に介在させることにより、リード間の間隔を狭めてもシーリングに困難がなく、電極リードの揺れを防止して1つの部品として二次電池を管理することができる。
【0027】
また、本発明は、リードフィルムの正極リード及び負極リードの間に切取部を形成することで、電池セル内部の高圧ガスを両リードの間の特定部位に放出できるようにして、動作の信頼性を確保し、高圧ガスの排出を通じて電池の発火ないし爆発の危険性を未然に防止して、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一般的なリチウム二次電池の斜視図を示したものである。
【
図2】本発明の二次電池の一例の斜視図を示したものである。
【
図3】本発明の二次電池の他例の透視断面図を示したものである。
【
図4】本発明の二次電池のさらに他例の透視断面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されてもよく、本発明の範囲は以下に説明する実施形態に限定されない。
【0030】
本発明は、正極リードと負極リードの各々を別途のリードフィルムを用いてシーリングする際、2つのリードの間隔が狭くなると、シーリングが困難となる問題が防止できるように、一枚のリードフィルムを使用して正極リードと負極リードを同時に介在させることにより、揺れないように強固に固定して一つの部品として管理できるようにする二次電池とその製造方法を提供する。
【0031】
本発明の一具現例によると、一体型正極リード及び負極リードを含む二次電池に関するもので、具体的には、正極タブが付着されている1つ以上の正極、負極タブが付着されている1つ以上の負極、上記正極及び負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成された電極組立体、上記電極組立体を収容し、上部と下部からなるパウチ、上記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部、上記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部、上記正極タブ接合部に連結された正極リード、上記負極タブ接合部に連結された負極リード、上記正極リード及び負極リードがその一部面積が外部に露出した形態に介在されているリードフィルム、及び上記リードフィルムが介在された状態で上部パウチと下部パウチを熱融着することでパウチの外周面に形成されるシーリング部を含む二次電池であり、上記正極リードと負極リード線は平行に配列され、一枚のリードフィルムに同時に介在されることを特徴とする。
【0032】
まず、本発明の二次電池に含まれる電極組立体は、1つ以上の正極と1つ以上の負極が分離膜が介在された状態で積層されて正極/分離膜/負極の構造を成し、積層された正極及び負極の各々には、正極タブ及び負極タブが付着されており、また、正極タブ同士が積層された部分には正極タブ接合部が、負極タブ同士が積層された部分には負極タブ接合部が電気的に接続されており、上記正極タブ接合部及び負極タブ接合部の各々には正極リード及び負極リードが連結されている。
【0033】
但し、本発明では、同じ極性の電極板の軸方向のタブを全て同一位置に積層して電極組立体を形成することにより、正極リードと負極リード(以下、正極リードと負極リードは「正/負極リード」と記載する。)は平行に配列されることができ、これにより、積層された正極タブ及び負極タブの各々に正極リードと負極リードを容易に溶接することができる。
【0034】
また、本発明において、上記正極リードと負極リードの間隔は特に限定されないが、間隔が4mm未満では、リードを通じた電流の大きさが大きくなるにつれて熱発生率が高くなり、安全性の側面で好ましくなく、特に高エネルギーを充放電するために電極組立体の面積が225cm
2以上に製作された高エネルギー特性が求められる大面積電池の場合は、なおさらである。また、間隔が14mmを超えると、却って管理しにくくなるという問題が発生する恐れがあるため、本発明では、正極リードと負極リードの間隔が4〜14mmであることが好ましい。
【0035】
図2は本発明の一例の二次電池の斜視図を示したもので、正極リード130と負極リード140は平行に配列され、両方のリードの一部分は一枚のリードフィルム170により同時に介在され、残りの部分はパウチの一端に所定の長さ分だけ外部に露出されており、上記リードフィルム170は上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在されてパウチの外周面とともに熱融着されることでシーリング部180が形成される。
【0036】
本発明では、上記のように両電極リードがともに一枚のリードフィルム170により同時に介在されることにより、正/負極リードを一つの部品として管理することができ、リードが不安定に揺れる現象を防止することができ、両リードの間隔が狭くても容易にシーリングすることができる。
【0037】
また、本発明で使用されるリードフィルムの種類は特に限定されないが、材質は、絶縁性のためにポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましく、その厚さが0.05mm未満では、絶縁性が低下して、電池使用時に電流が漏電して危ない恐れがあり、厚さが0.15mmを超えると、リードフィルムのシーリングがうまく行われず、隙間が発生して電解液が漏れる問題が発生し得るため、厚さは0.05〜0.15mmであることが好ましい。
【0038】
また、本発明の二次電池に含まれるリードフィルムは、正極リードと負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含んでもよく、シーリング部はパウチの外周面に沿って連続するが、パウチの外周面のうち切取部と重なる部分にはシーリング部が形成されなくてもよい。
【0039】
具体的には、上記パウチの外周面のうちリードフィルムに存在する切取部と重なる部分はシーリングされず、開口された状態で上部パウチと下部パウチがそれぞれ存在してもよく、または、上記切取部と重なる部分のパウチ外装材が切取部と同じ形態にともに除去されてシーリング部が形成されなくてもよい。
【0040】
従って、本発明では、上記したように、リードフィルムに形成された切取部と重なるパウチの外周面にはシーリング部が形成されないため、上記切取部が形成された部位のシーリング部は、他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有することができる。
【0041】
一方、二次電池は、異常な動作状態になると、内部の電解液が分解されながら高圧のガスが発生するが、本発明では、上記のように、リードフィルムに切取部を含み、切取部が形成された部位のシーリング部が他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有するようにしてシーリングされている幅が比較的小さい切取部の形成された部位に膨張応力を集中させて、その部分が優先的に開封するように誘導することで、切取部を介してガスを外部に排出させて、製造される電池の作動時の安全性と信頼性を向上させることができる。
【0042】
但し、本発明において、切取部が形成された部位のシーリング部の幅は、他の部位のシーリング部の幅より小さくてもよいが、その幅の差が小さ過ぎると、ガスの排出経路誘導効果が僅かであるため、電池セル内部の高圧ガス発生時、切取部の形成された部分が優先的に開放される効果を発揮することができず、幅の差が大き過ぎると、電池の密封性を保障することができないため、上記切取部が形成されたシーリング部の幅は、他の部位のシーリング部の幅を基準として40〜80%のサイズであることが好ましい。
【0043】
また、上記切取部の数は特に限定されず、正/負極リードの間隔、予測されるガスの圧力及び形成工程の作業性と効率性を考慮して適切に調節することができるが、上記一般的な要件を全て考慮すると、1つまたは2つ形成されることが好ましい。
【0044】
また、上記切取部の形状は様々であってもよく、例えば、逆三角形、半円形、四角形及び台形からなる群より選択された少なくとも一つであってもよいが、好ましくは、切取部が形成しやすいように逆三角形であってもよく、あるいは効率的なガス排出誘導効果のために長方形であってもよい。
【0045】
図3は、本発明において切取部が形成されたリードフィルムを含む二次電池の他例の透視断面図を示したものであり、正極リード130と負極リード140は平行に配列され、両電極リード130、140の一部分は一枚のリードフィルム170により同時に介在されている。ここで、上記リードフィルム170は上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在され、上記リードフィルム170がパウチ120の間に介在される部分170−aを含んでパウチ120の外周面に沿って熱融着されることにより、シーリング部180が形成される。
【0046】
但し、上記リードフィルム170には、正極リード130と負極リード140の間に長方形の切取部300が形成されており、上記切取部300が形成された部分と重なる部分のパウチ外装材120には熱溶着が行われないため、上部パウチと下部パウチが分離された状態で存在する。
【0047】
従って、上記リードフィルムのうち切取部300が形成された部分にはシーリング部180が形成されず、切取部が形成された部位のシーリング部の幅Wbが他の部位のシーリング部の幅Waより比較的小さいため、二次電池の内部でガスが発生したときに、切取部300の形成された部位に膨張応力が集中して、その部分が優先的に開封されるように誘導することができる。
【0048】
図4は、本発明において切取部が形成されたリードフィルムを含む二次電池の一例の透視断面図を示したものであり、正極リード130と負極リード140は平行に配列され、両電極リード130、140の一部分は一枚のリードフィルム170により同時に介在されている。ここで、上記リードフィルム170は上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在され、上記リードフィルム170がパウチ120の間に介在される部分170−aを含んでパウチ120の外周面に沿って熱融着されることにより、シーリング部180が形成される。
【0049】
但し、上記リードフィルム170には正極リード130と負極リード140の間に逆三角形の切取部300が形成されており、切取部300が形成された部分のパウチ外装材120が切取部と同じ逆三角形に除去され、その部分にはシーリング部180だけでなく、パウチ外装材120自体が存在しない。
【0050】
従って、切取部が形成された部分のシーリング部の幅Wbは、他の部分のシーリング部の幅Waより相対的に小さいため、二次電池の内部でガスが発生したときに、切取部300の形成された部分に膨張応力が集中して、その部分が優先的に開封されるように誘導することができる。
【0051】
本発明により提供される二次電池の種類は特に限定されないが、電解質の種類によって、液体電解質を使用するリチウムイオン二次電池、または高分子固体電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池であってもよい。
【0052】
本発明の他の具現例は、一体型正極リードと負極リードを含む二次電池の製造方法に関するもので、具体的には、正極タブが付着されている1つ以上の正極及び負極タブが付着されている1つ以上の負極が分離膜が介在された状態で積層されて形成され、上記正極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された正極タブ接合部に連結された正極リードと上記負極タブ同士が積層された部分に電気的に接続された負極タブ接合部に連結された負極リードを含み、上記正極リードと負極リードが平行に配列された電極組立体を用意する段階と、1枚のリードフィルムを使用して、上記正極リードと負極リードの一部面積が外部に露出した形態に同時に介在する段階と、上記電極組立体を上部パウチと下部パウチの間に形成された内部空間に収容する段階と、上記リードフィルムが上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在された状態でパウチの外周面を熱融着してシーリング部を形成する段階と、を含む。
【0053】
まず、本発明で使用する電極組立体は、1つ以上の正極と1つ以上の負極が分離膜が介在された状態で積層されて正極/分離膜/負極の構造を成し、積層された正極と負極のそれぞれには正極タブ及び負極タブが付着され、正極タブ同士が積層された部分には正極タブ接合部が、負極タブ同士が積層された部分には負極タブ接合部が電気的に接続されており、また、上記正極タブ接合部及び負極タブ接合部の各々には溶接などの方法で正極リード及び負極リードが連結されて、パウチの外部に露出されている。
【0054】
但し、本発明では、特に同じ極性の電極板の軸方向のタブを全て同一位置に積層し、正/負極リードをタブに各々接続することで両電極リードが平行に配列されることができ、積層されたタブに正極リードと負極リードを溶接しやすくなる。
【0055】
また、上記電極組立体において、平行に配列された正極リードと負極リードの間隔は特に限定されないが、間隔が4mm未満では、リードを通じた電流の大きさが大きくなるにつれて熱発生率が高くなり、安全性の側面で好ましくなく、特に高エネルギーを充放電するために電極組立体の面積が225cm
2以上に製作された高エネルギーの特性が求められる大面積電池の場合はなおさらである。また、間隔が14mmを超えると、却って管理しにくくなるという問題が発生する恐れがあるため、本発明では、正極リードと負極リードの間隔が4〜14mmであることが好ましい。
【0056】
上記のような電極組立体が用意されると、パウチの密封力を上げ、絶縁性を向上させるために、電極組立体の電極端子に電気的に接続された正極リードと負極リードにリードフィルムを付着することができるが、本発明では、1枚のリードフィルムを使用して、上記正極リードと負極リードの一部面積が外部に露出した状態に同時に介在することで、リードの間隔を狭めてもシーリングに困難がなく、電極リードの揺れを防止して1つの部品として二次電池を管理することができるようにする。
【0057】
上記したように、正/負極リードの一部分にリードフィルムが付着されると、アルミラミネートシートからなり、電極組立体を収容することができる内部空間が形成された上部パウチと下部パウチの間に電極組立体を収容することができる。
【0058】
但し、本発明では、正/負極リードにリードフィルムを付着した後、電極組立体をパウチ内に収容することに限定されず、工程の必要に応じて、予め上記電極組立体をパウチの内部空間に収容した後、パウチの外周面と正/負極リードが接する部分に両電極リードを1枚のリードフィルムで同時に介在させることができる。
【0059】
また、本発明では、上記電極組立体をパウチの内部空間に収容するとき、リードフィルムが上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在されるようにして、パウチの外周面に沿って熱融着することができ、該熱融着工程によりリードフィルムがパウチの間に介在された部分を含んでパウチの外周面に沿って連続するシーリング部が形成されることができる。
【0060】
但し、上記したように、パウチを熱融着する工程は、160〜220℃の温度で行うことが好ましく、熱融着温度が160℃未満では、リードフィルムのシーリングがうまく行われないため、正極リードと負極リードの両側に隙間が必然的に発生し、このような隙間から電解液が漏れるなどの問題が発生する恐れがある。また、熱溶着の温度が220℃を超えると、リードフィルムが過溶融して、絶縁保持及びフィルム形状保持が困難となる恐れがある。
【0061】
一方、本発明で使用するリードフィルムの種類は特に限定されないが、材質は、絶縁性のためにポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましく、その厚さが0.05mm未満では、絶縁性が低下して、電池使用時に電流が漏電して危ない恐れがあり、厚さが0.15mmを超えると、リードフィルムのシーリングがうまく行われずに隙間が発生し、電解液が漏れる問題が発生する恐れがあるため、厚さは0.05〜0.15mmであることが好ましい。
【0062】
また、本発明において、上記リードフィルムは、正極リードと負極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含んでもよい。但し、パウチの外周面のうち上記切取部と重なる部分には、シーリング部が形成されなくてもよい。
【0063】
具体的には、本発明において、電極組立体の正/負極リードが同時に介在されているリードフィルムは、両電極リードの間に外側から内側方向に湾入された構造の切取部を1つ以上含むことができ、該切取部は、リードフィルムが上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在されるようにすることで、パウチの外周面と重なる部分が形成される。
【0064】
但し、本発明は、シーリング部を形成する段階において、パウチの外周面のうち切取部と重なる部分は除いて熱融着を行うことで、シーリング部がパウチの外周面に沿って連続するが、上記切取部と重なる部分にはシーリング部が形成されないようにして、切取部が形成された部位のシーリング部が他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有するように形成することができる。
【0065】
一方、本発明では、リードフィルムに形成される切取部を、上記した工程とは異なる方法で形成してもよい。まず、正極リードと負極リードを同時に包むが、切取部が形成されていないリードフィルムを上部パウチと下部パウチの外周面の間に介在させ、パウチの外周面に沿って熱融着してシーリング部を形成した後、正極リードと負極リードの間のシーリング部で包まれたリードフィルムを外側から切り取ることで形成することができる。
【0066】
即ち、正極リードと負極リードの間に存在するリードフィルムとそれを包む熱融着されたパウチ外装材を全て除去する工程により形成されることができる。但し、このとき形成されるシーリング部は、パウチの外周面に沿って連続するが、上記切取部が形成された部位のシーリング部は他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有することができる。
【0067】
一方、二次電池は、異常な動作状態になると、内部電解液が分解されながら高圧のガスが発生するが、本発明では、上記のようにリードフィルムに切取部を含み、切取部の形成された部位のシーリング部が他の部位のシーリング部の幅より小さい幅を有するようにしてシーリングされている幅が比較的小さい切取部が形成された部位に膨張応力を集中させて、その部分が優先的に開封されるように誘導し、切取部を通じてガスを外部に排出させることで、製造される電池の動作時の安全性と信頼性を向上させることができる。
【0068】
また、本発明で切取部が形成された部位のシーリング部の幅は、他の部位のシーリング部の幅より小さくてもよいが、その幅の差が小さ過ぎると、ガスの排出経路誘導効果が僅かであり、電池セル内部の高圧ガス発生時、切取部の形成された部分が優先的に開放される効果を発揮することができず、幅の差が大き過ぎると、電池の密封性を保障することができないため、上記切取部が形成されたシーリング部の幅は、他の部位のシーリング部の幅を基準として40〜80%のサイズであることが好ましい。
【0069】
また、上記切取部の数は特に限定されず、正/負極リードの間隔、予測されるガスの圧力、形成工程の作業性と効率性を考慮して適切に調節してもよいが、1つまたは2つ形成されることが好ましい。
【0070】
また、上記切取部の形状は様々であってもよく、例えば、逆三角形、半円形、四角形、及び台形からなる群より選択された少なくとも一つであることができるが、好ましくは、切取部を形成しやすいように逆三角形であってもよく、あるいは効率的なガスの排出誘導効果のために長方形であってもよい。
【0071】
本発明により提供される二次電池の種類は特に限定されないが、電解質の種類によって、液体電解質を使用するリチウムイオン二次電池、または高分子固体電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
120 パウチ
130 正極リード
140 負極リード
150 正極リードに付着されたリードフィルム
160 負極リードに付着されたリードフィルム
170 本発明のリードフィルム
170−a パウチの間にリードフィルムが介在された部分またはシーリング部のうちリードフィルムが介在された部分と重なる部分
180 シーリング部
300 切取部
Wa 切取部が形成されていない部位のシーリング部の幅
Wb 切取部が形成された部位のシーリング部の幅