特許第5825629号(P5825629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立研究開発法人産業技術総合研究所の特許一覧
<>
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000002
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000003
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000004
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000005
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000006
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000007
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000008
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000009
  • 特許5825629-把持検出センサ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825629
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】把持検出センサ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20151112BHJP
   B25J 7/00 20060101ALI20151112BHJP
   B21D 43/05 20060101ALN20151112BHJP
【FI】
   B25J15/08 T
   B25J7/00
   !B21D43/05 W
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-221737(P2011-221737)
(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公開番号】特開2013-82015(P2013-82015A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年6月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度独立行政法人科学技術振興機構委託研究「マイクロトランスファプレス加工システムの開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 一朗
(72)【発明者】
【氏名】芦田 極
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−290388(JP,A)
【文献】 特開昭62−9891(JP,A)
【文献】 実開平3−109753(JP,U)
【文献】 特開2005−353988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極の全てが導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、
左前電極及び左後電極が非導通であり、右前電極及び右後電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極及び左後電極が導通であり、右前電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、右後電極が導通であり、左後電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、左後電極が導通であり、右後電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする把持検出センサ。
【請求項2】
試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、さらに、適正な把持位置より奥の左奥、右奥にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左奥電極、右奥電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、左奥電極、右奥電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、及び、右後電極が導通し、左奥電極及び右奥電極が非導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、左奥電極、右奥電極の全てが導通であれば把持位置が奥方向にずれていると判定し、
左前電極、左後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であり、右前電極及び右後電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極及び左後電極が導通であり、右前電極、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、右後電極が導通であり、左後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、左後電極が導通であり、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする把持検出センサ。
【請求項3】
試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、さらに、前記印加電極と平行にマニピュレータフィンガの中央であって、適正な把持位置内及び適正な把持位置の奥側まで複数並べたモニタリング電極である複数の中央電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、複数の中央電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、あるいは、適正な把持位置内の複数の中央電極が奥側からどこまで非導通であるかにより前方向のずれの程度を判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、複数の中央電極が全て導通であれば把持位置が奥方向にずれていると判定し、
左前電極、左後電極、及び、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であり、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、左後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、左後電極及び適正な把持位置より奥の中央電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、右後電極及び適正な把持位置より奥の中央電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする把持検出センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の把持検出センサにおいて、
前記一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極に換えて印加電極を他方のマニピュレータフィンガの試料側の面に、全てのモニタリング電極と対向するように設け、さらに、マニピュレータフィンガ開閉の変位量を検出する変位量検出手段を設け、
前記判定手段は、把持ミスであることの判定を、マニピュレータフィンガ全閉状態以前にいずれかのモニタリング端子に導通が確認されたときは試料ありであって把持ミスではなく、マニピュレータフィンガ全閉状態ではじめて全てのモニタリング端子の導通が確認されたときに試料なしの把持ミスと判別することを特徴とする把持検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造装置等に用いる把持センサに関するものであって、マニピュレータを使って試料を搬送する際の、把持ミスの検出や把持位置姿勢をモニタリングするための把持検出センサに関する。特に、マイクロトランスファマシンでの、マイクロトランスファハンドのマニピュレータフィンガで導電性の試料を把持する際の、把持ミスや把持位置姿勢のずれの検出に好適な把持検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプレス加工では帯状のフープ材を金型に順送りし、多段のプレス処理を行って最終的に母材から切り離すことで複雑形状の製品を得ている。この順送り金型プレスは、帯状の材料を搬送・位置決めに利用するため安定な連続加工が可能であるものの、製品を得るために材料の大部分が廃棄されるという材料歩留まりの問題を抱えている。材料歩留まりを向上させるため、予め材料を製品大に切り出しプレス加工中の金型が持ち上がっている間に試料を順次搬送し製品を得る、トランスファプレス加工という手法が実用化されている。トランスファ作業は装置組み込み式のトランスファハンドという一種のマニピュレータで行われている。通常の大きさのモータケースなどをトランスファプレス加工する場合、試料の把持・搬送は比較的容易であるため、トランスファハンドの状態をモニタリングしなくても製品を搬送できる。しかし製品形状がミリメートルオーダーとなるマイクロプレスにおいては、把持する際に試料をトランスファハンドのマニピュレータフィンガで弾いてしまうことや、搬送中に試料が脱落したりずれたりするといった、把持ミスの可能性がある。加工試料が所定の位置にない状態でプレス加工を行うと金型を破損させる原因となるため、トランスファハンドにセンサを取り付け、搬送中の把持状態をモニタリングし、把持ミスが検出された場合プレス加工を中断する必要がある。
そこで、マニピュレータを使って試料を搬送する際、把持ミスの検出や把持位置姿勢をモニタリングするために、センサをマニピュレータ先端に取り付ける必要がある。このセンサの原理として、抵抗体に列状の端子を並べた電気抵抗式センサ(特許文献1参照)や、マトリクス状に電極を配置した面圧力式(特許文献2参照)を挙げることができる。電気抵抗式は検出回路を含め単純な構造で把持ミスや把持位置を検出できるという長所があるものの、位置検出が1次元に限られるため姿勢検出することに向いていない。面圧力式は電極パターンをマトリクス状に設置しているため、把持姿勢まで検出できるが、把持対象がミリメートルオーダーになると、求められる電極パターンが極めて小さいものとなり製造が難しく、コストもかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2003−121105号公報
【特許文献2】特開2007−10482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決すべき課題は、トランスファプレスの試料搬送時に試料の位置姿勢ずれを含めた把持ミスを精度よく、確実に、素早く行い、製造コストがかからない把持検出センサを提供することである。把持する対象を導体に限定するならば、単純な電気導通検出式の原理で、様々な電極パターンを採用することが望ましい。
把持ミス検出は、プレス金型間を試料搬送している間に行われる。このとき、試料を把持したか把持していないかの判断だけでなく、把持されているがその試料がマニピュレータフィンガの所定の位置にあり、位置や姿勢にずれがないかを判断する必要がある。マイクロプレスで搬送の対象となる試料は数ミリメートルの大きさのものであり、この大きさの位置姿勢を少なくともサブミリメートルオーダーの分解能と精度で検出しなければならない。把持ミスや把持位置姿勢のずれがあってもそれを検出できない場合、プレス金型の所定の位置に試料を正しく置くことができないため、金型の破損を招く。そのため、把持ミス検出には高い信頼性と確実性が求められる。そして検出の高速性も求められる。マイクロプレス間の搬送に求められる時間は、通常の工作機械のタクトタイムにならい1秒程度である。搬送作業は往復動作なので、把持ミス検出は少なくとも往路の0.5秒間で行わなければならない。さらにセンサ自体のコストが安いことも要求される。トランスファプレス加工は通常多段の加工工程で行われるため、一つの生産ラインであっても複数のトランスファハンドが必要である。各ハンドに取り付ける把持検出センサが高価であるとシステム全体の製造コストを押し上げる要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の把持検出センサは、試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極の全てが導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、
左前電極及び左後電極が非導通であり、右前電極及び右後電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極及び左後電極が導通であり、右前電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、右後電極が導通であり、左後電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、左後電極が導通であり、右後電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする。
また、本発明の把持センサは、試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、さらに、適正な把持位置より奥の左奥、右奥にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左奥電極、右奥電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、左奥電極、右奥電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、及び、右後電極が導通し、左奥電極及び右奥電極が非導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、左奥電極、右奥電極の全てが導通であれば把持位置が奥方向にずれていると判定し、
左前電極、左後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であり、右前電極及び右後電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極及び左後電極が導通であり、右前電極、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、右後電極が導通であり、左後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、及び、左後電極が導通であり、右後電極、左奥電極、及び、右奥電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする。
また、本発明の把持センサは、試料側の面が電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガで導電性の試料を挟んで搬送するマイクロトランスファマシンの把持検出センサにおいて、
一方のマニピュレータフィンガの試料側の面の、前端側に設けた印加電極と、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ設けられたモニタリング電極である左前電極、右前電極、左後電極、右後電極と、さらに、前記印加電極と平行にマニピュレータフィンガの中央であって、適正な把持位置内及び適正な把持位置の奥側まで複数並べたモニタリング電極である複数の中央電極と、試料を把持した際にそれぞれのモニタリング電極が導電性の試料を介して印加電極と導通したかどうかをモニタリングして把持ミス・把持位置姿勢ずれを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、複数の中央電極の全てが非導通であれば試料の把持が行われていない把持ミスであると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であれば試料の把持が適正であると判定し、
左前電極及び右前電極が導通し、左後電極及び右後電極が非導通であれば把持位置が前方向にずれていると判定し、あるいは、適正な把持位置内の複数の中央電極が奥側からどこまで非導通であるかにより前方向のずれの程度を判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、右後電極、複数の中央電極が全て導通であれば把持位置が奥方向にずれていると判定し、
左前電極、左後電極、及び、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であり、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であれば把持位置が右方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、左後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置より奥の中央電極が非導通であれば把持位置が左方向に横ずれしていると判定し、
左前電極、右前電極、右後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、左後電極及び適正な把持位置より奥の中央電極が非道通であれば把持姿勢が右斜めにずれていると判定し、
左前電極、右前電極、左後電極、及び、適正な把持位置内の中央電極が導通であり、右後電極及び適正な把持位置より奥の中央電極が非道通であれば把持姿勢が左斜めにずれていると判定することを特徴とする把持検出センサ。
また、本発明は、上記の把持検出センサにおいて、前記印加電極を他方のマニピュレータフィンガの試料側の面に、全てのモニタリング電極と対向するように設け、さらに、マニピュレータフィンガ開閉の変位量を検出する変位量検出手段を設け、
前記判定手段による、把持ミスであることの判定を、マニピュレータフィンガ全閉状態以前にいずれかのモニタリング端子に導通が確認されたときは試料ありであって把持ミスではなく、マニピュレータフィンガ全閉状態ではじめて全てのモニタリング端子の導通が確認されたときに試料なしの把持ミスと判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、簡単な原理と構造で、試料の把持ミスを検出できる把持検出センサおよび把持検出方法を提供することが可能となる。マニピュレータによる一般的な物体搬送における把持状態のモニタリングについては、画像認識や抵抗体に列状の端子を並べた電気抵抗式、マトリクス状に電極を配置した面圧力式を挙げることができるが、画像認識はシステムが複雑になりがちであり、電気抵抗式は1次元的検出しかできず、面圧力式はミリメートルサイズの試料への適用が難しいといった問題があったが、本発明は、小さな導電性試料の把持状態を位置姿勢含めて、簡単な原理で確実に検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の把持検出センサを備えたマニピュレータフィンガの概要を示す図(実施例1)。
図2図1のマニピュレータフィンガで試料を適正な把持位置に把持した場合を示す図。
図3図1のマニピュレータフィンガで試料を適正な把持位置よりフィンガ手前に把持した場合を示す図。
図4図1のマニピュレータフィンガで試料を適正な把持位置よりフィンガ横方向にずれて把持した場合を示す図。
図5図1のマニピュレータフィンガで試料を適正な把持位置より把持姿勢がずれて(斜めにずれて)把持した場合を示す図。
図6図1のマニピュレータフィンガで試料を適正な把持位置よりフィンガの奥方向にずれて把持した場合を示す図。
図7図1に示した実施例1の変形例1を示す図。
図8】本発明の把持検出センサの実施例2を示す図。
図9】本発明の把持検出センサが適用されるトランスファハンドの全体図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図9は、本発明の把持センサが搭載されるトランスファハンドの全体図を示しており、図9では、マイクロトランスファプレスに用いられるトランスファハンド71に本発明の把持検出センサを取り付けた状態を示している。
図において、トランスファハンドのマニピュレータフィンガ1,2はフィンガ開閉機構72とロッド73によって図中+y方向に駆動されるとともに開閉動作を行い、プレス金型に設置されている導電性の試料5を把持する。その後トランスファハンド全体が+z方向に動き試料を持ち上げ、+x方向に搬送動作を行い、−z方向に動いて試料を設置する。そしてロッド73を−y方向に動かしマニピュレータフィンガ1,2が開くことで、試料5を次のプレス金型位置である53の場所に解放する。
今、マニピュレータフィンガ2の試料側の面に印加電極3とモニタリング電極41(印加電極3とモニタリング電極41の詳細については、以下の実施例に基づいて後述する)が設置されている。各電極はフレキシブルケーブル6を介してマニピュレータフィンガ2の下面、開閉機構7の間を通り端子31,42として入出力回路につなげられる。印加端子31には外部電源からTTL電圧に相当する電圧が印加され、モニタリング端子42はTTL電圧変化のモニタリングに使用される。
試料の把持動作中に導電性の試料5が弾かれ把持が行われなかった場合、または搬送動作中に導電性の試料5がマニピュレータフィンガからずれた場合は、モニタリング端子42の全てもしくはいずれかが31と導通しないため、TTL電圧がLレベルになる。どのモニタリング端子42が導通しないかに基づいて把持ミスや把持位置姿勢のずれが生じたと判断することにより、マニピュレータフィンガの搬送動作、およびプレス動作を中止する。
【実施例】
【0009】
(実施例1)
本発明の概要を図1に示す。試料5はプレス加工用の金属であるため、導電性がある。導電性の試料5を、トランスファハンドのマニピュレータフィンガ1,2で挟んで搬送するとき、電気的に絶縁されたマニピュレータフィンガ2の試料側の面に、印加電極3とモニタリング電極41a〜41fを設ける。各電極の配置は、図示のごとく、印加電極3はマニピュレータフィンガ2の前端側に配置し、モニタリング電極は、適正な把持位置内の左前、右前、左後、右後にそれぞれ左前電極(電極41a)、右前電極(電極41b)、左後電極(電極41c)、右後電極(電極41d)を配置し、適正な把持位置より奥側の左奥、右奥にそれぞれ左奥電極(41e)、右奥電極(41f)を配置する。そして、印加電極3に印加端子31を介して電圧を印加し、モニタリング電極41a〜fに繋がるモニタリング端子42a〜42fの電圧を測定する。
この実施例1では、マニピュレータフィンガ1,2を閉じて試料5を挟むとき、図2に示すような位置姿勢が適正な把持であるとする。その場合印加電極3とモニタリング電極41a,41b,41c,41dが試料5を介して導通されるため、図1の端子42a,42b,42c,42dの電圧が変化し、42e,42fは変化しない。
試料5が把持されていないときは、モニタリング端子42a〜42fの全ての電圧が変化しないことから、把持ミスが検出される。
図3に示すように、試料5が適正な把持位置51よりフィンガ手前に位置し、把持が十分でない場合は電極41aと41bの導通しか確保されないため、端子42aと42bの電圧のみ変化し、42c,42d,42e,42fは変化しない。
また図4のように試料5の位置がフィンガの右方向に横ずれした場合は、電極41bと41dの導通しか確保されないため、端子42bと42dの電圧のみ変化し、端子42a,42c,42e,42fは変化しない。なお、図4とは逆向きに左方向に横ずれした場合には、電極41aと41cの導通しか確保されないため、端子42aと42cの電圧のみ変化する。
そして図5のように把持姿勢にずれがある場合(右斜めにずれた場合)は、電極41c,41e,41fの導通が確保されないため、端子42a,42b,42dの電圧だけ変化する。なお、図5とは逆向きに把持姿勢のずれがある場合(左斜めにずれた場合)には、電極41d,41e,41fの導通が確保されないため、端子42a,42b,42cの電圧だけ変化する。
さらに把持が適正位置より奥になり、図6の状態になった場合は全ての電極が導通するため、端子42a〜42fの全ての電圧が変化する。
上記説明では、一つの把持位置姿勢ずれが単独で生じた場合について説明したが、複数の把持位置姿勢ずれが同時に発生した場合でも、単独の場合を組み合わせれば、同様にして判別することができる。例えば、前方向へのずれと右方向への横ずれが同時に生じている場合には、電極41c、41dの導通が確保されないこと(前方向へのずれ)と、電極41a、41cの導通が確保されないこと(右方向への横ずれ)とが同時に発生しているので、結局、電極41bの導通しか確保されないため、モニタリング端子42bの電圧のみ変化する。
このようにモニタリング端子の電圧変化を調べることで、試料の把持ミス・把持位置姿勢ずれを簡単に知ることができる。
【0010】
(実施例1の変形例1)
図1に示した上記実施例1では、印加電極3とモニタリング電極41a〜41fを同一のマニピュレータフィンガ2の試料側の面に配置したが、図7のように一方のマニピュレータフィンガ1の試料側の面に印加電極3を、もう一方のマニピュレータフィンガ2の試料側の面にモニタリング電極41a〜41fを配置する方法も考えられる。この変形例の場合、印加電極3を全てのモニタリング電極41a〜41fに対向するように広げて設けてあるので、把持試料5がない場合でもマニピュレータフィンガ1,2を閉じると全ての電極が導通し、全てのモニタリング端子の電圧が変化する。したがって、この変形例1の場合は、マニピュレータフィンガ開閉の変位量を同時に検出し、マニピュレータフィンガ全閉状態以前に電圧変化が確認されたときは試料あり、全閉状態ではじめて電圧変化が確認されたときは試料なしと判別すればよい。それ以外については、上記実施例1と同様である。
【0011】
(実施例1の変形例2)
図1に示した上記実施例1では、電極41e,41fを設け、把持が適正位置より奥になった場合を判別していたが、適正位置より奥になる場合の検出を必要しないときには、電極41e,41fの電極を除くこともできる。
【0012】
(実施例2)
図8に、本発明の実施例2を示す。図1の上記実施例1では、2つの左奥電極(41e),右奥電極(41f)をマニピュレータフィンガの適正な把持位置より奥側の左奥、右奥に設けていたが、本実施例2では、上記実施例1における2つの電極41e,41fに代えて、図8に示すように、複数の中央電極41eを、印加電極3と平行にマニピュレータフィンガ中央部に奥まで並べて配置し、これら複数の中央電極41aに繋がる複数の端子42eを設けた点が、実施例1と異なっており、その他の印加電極3及び電極41a〜41dの配置等については実施例1と同じである。
また、把持が行われなかったこと(把持試料が無いこと)の判別、横ずれの判別、把持姿勢のずれの判別については実施例1と同様に判別し、適正位置よりマニピュレータフィンガ手前の把持の判別、及び、適正位置より奥での把持の判別に、印加電極3と平行にマニピュレータフィンガ中央部に配置した複数の中央電極41eを用いる。すなわち、把持が適正位置より奥になったときは、複数の中央電極41eの全ての電極が導通するので、複数の端子42eの全てが電圧変化したことで把持位置が奥にずれたと判別する。把持が適正位置よりマニピュレータフィンガ手前に位置したことの判別は、上記実施例1と同様に電極41aと41bの導通しか確保されないため、端子42aと42bの電圧のみ変化し、42c,42dの電圧が変化しない場合として判別することもできるが、あるいは、複数の中央電極41eのうちマニピュレータフィンガ手前側からどこまでの電極で導通が確保されたかにより判別することもできる。
【0013】
(実施例2の変形例1)
上記実施例2において、上記実施例1の変形例1と同様に、他方の面に印加電極3を、一方の面にモニタリング電極41a〜41d及び複数の中央電極41eを配置する方法も考えられる。この変形例1の場合、把持試料が無い場合でもマニピュレータフィンガを閉じると電極が導通し、モニタリング端子の電圧が変化する。したがって、この変形例1の場合はフィンガ開閉の変位量を同時に検出し、マニピュレータフィンガ全閉状態以前に電圧変化が確認されたときは試料あり、全閉状態ではじめて電圧変化が確認されたときは試料なしと判別すればよい。それ以外については、上記実施例1と同様である。
【0014】
(実施例2の変形例2)
上記実施例2では、電極41a〜41dを設けて、把持位置が適正位置から横ずれの場合及び把持姿勢のずれの(斜めにずれた)場合を判別していたが、横ずれ及び把持姿勢のずれを検出する必要がない場合には、電極41a〜41dを省いて、印加電極3と、該印加電極3と平行にマニピュレータフィンガ中央部に配置した複数の電極41e(中央電極)のみで構成してもよい。
【0015】
上記実施例1及び2の説明に用いた図1図9では、試料5の形状が平板状で、マニピュレータフィンガ1,2の形状も平板状であるものを図示したが、試料5の形状が任意の立体形状である場合には、マニピュレータフィンガ1,2の試料側の面を、試料5の立体形状の外形に合わせた面形状とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
マイクロトランスファプレス加工など、微小な導電性金属を搬送するシステムにおいて、搬送ハンドの先端に本発明を取り付け、試料の把持状態をモニタリングするとともに、把持ミスが検出された場合は加工を中断させる装置として利用される。さらに、左右方向への横ずれ、手前方向あるいは奥方向へのずれ、把持姿勢のずれ(斜めずれ)などの発生傾向から、例えば一方向への横ずれの発生が頻発するのであれば、マニピュレータフィンガのx方向位置制御の修正、手前方向あるいは奥方向へのずれであれば、マニピュレータフィンガのy方向位置制御の修正あるいは把持タイミングの修正を行うなどして把持ミスの発生原因そのものを解消することにも役立てることができる。また、ロボットハンドによる導電性試料のマイクロマニピュレーション全般において、把持状態のモニタリングに利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9