特許第5825964号(P5825964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧
特許5825964検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法
<>
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000002
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000003
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000004
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000005
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000006
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000007
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000008
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000009
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000010
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000011
  • 特許5825964-検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825964
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】検査又は観察装置及び試料の検査又は観察方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/18 20060101AFI20151112BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20151112BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20151112BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   H01J37/18
   H01J37/28 B
   H01J37/22 502L
   H01J37/20 D
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2011-220606(P2011-220606)
(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公開番号】特開2013-80642(P2013-80642A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】大南 祐介
(72)【発明者】
【氏名】許斐 麻美
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐博
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 智久
(72)【発明者】
【氏名】河西 晋佐
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−509709(JP,A)
【文献】 特開2006−318903(JP,A)
【文献】 特開2010−080144(JP,A)
【文献】 特開2000−228166(JP,A)
【文献】 特開2005−026530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/18
H01J 37/20
H01J 37/22
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次荷電粒子線を照射する荷電粒子照射部と、
前記荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が試料に到達する間の少なくとも一部の領域となる真空状態に維持可能な第一空間の少なくとも一部を形成する第一の筐体と、
該第一筐体に具備され前記試料を格納可能な第二空間の少なくとも一部を形成する第二筐体と、
前記第一空間を排気する排気装置と、
前記荷電粒子照射部からの照射により得られる荷電粒子線を検出する検出器と、
前記荷電粒子照射部から照射された一次荷電粒子線が試料上に照射する際の前記荷電粒子照射部の同軸上に配置され、前記第一空間と前記第二空間とを隔てる隔壁部と、
前記試料に対し光を照射する光源と、前記荷電粒子照射部と同方向から前記試料からの光を検出する光学式観察部とを含む光学顕微鏡と、
前記第二空間に具備された前記試料を載置する試料載置部と、を備え、
前記第二空間に配置された状態の前記試料に対して、前記荷電粒子照射部による観察と前記光学式観察部による観察を可能とする検査又は観察装置。
【請求項2】
前記試料載置部を前記荷電粒子照射部から照射された一次荷電粒子線が試料上に照射する第一位置と、前記光学式観察部により前記試料からの光を検出する第二位置との間で移動可能に構成される移動機構を備える請求項1の検査又は観察装置。
【請求項3】
前記検出器は、前記第一空間で前記試料からの荷電粒子線を検出し、
前記光学式観察部は、前記第二空間で前記試料からの光を検出する請求項1の検査又は観察装置。
【請求項4】
前記第二空間にガスを導入するためのガス導入口が具備された請求項1の検査装置又は観察装置。
【請求項5】
前記光学式観察部の一部または全部が前記第二空間に設けられる請求項1の検査又は観察装置。
【請求項6】
前記光学式観察部の一部または全部を前記試料に対して遠近方向に移動させる駆動機構が具備されている請求項1の検査又は観察装置。
【請求項7】
前記光源が、前記第二空間に配置されている請求項1の検査又は観察装置。
【請求項8】
前記光源が、前記光学式観察部と対向して配置されており、前記試料載置部に光が透過可能な透過部が具備される請求項1の検査又は観察装置。
【請求項9】
前記荷電粒子照射部と前記光学式観察部は、前記第二空間から前記試料載置部を取り出す取り出し口の蓋部材の可動方向に垂直な方向に並列されている請求項1の検査又は観察装置。
【請求項10】
前記光学式観察部が前記第一筐体外及び前記第二筐体外に配置されており、
前記第二筐体の前記光学式観察部に対向する位置に、光を通過させることが可能な窓が具備されている請求項1の検査又は観察装置。
【請求項11】
前記試料載置部を前記第二空間から着脱する方向に垂直な面内で水平方向に、前記荷電粒子照射部と前記光学式観察部が並んでいる請求項1の検査又は観察装置。
【請求項12】
前記第二空間に試料を搬送するための試料導入室を具備した請求項1の検査又は観察装置。
【請求項13】
試料の検査又は観察方法であって、
前記試料が格納可能な第二の空間に具備された試料載置部に載置された試料に対し光を照射し、光学式観察部により前記試料からの光を検出し、
前記試料載置部に載置された試料を、前記第二の空間であって、荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が照射可能な位置に移動させ、
前記試料に対する前記光学式観察部と同方向に設けられた荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が、真空状態に維持可能な第一空間を通り、
前記荷電粒子照射部の同軸上に配置された、前記第一空間と前記第二空間とを隔てる隔壁部を通り、
前記試料載置部に載置された試料に照射し、検出部により荷電粒子線を検出する試料の検査又は観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子技術及び光学技術にて検査又は観察可能な技術に関する。例えば、被観察試料を大気圧あるいは所定のガス雰囲気中で観察可能な荷電粒子顕微鏡及び光学顕微鏡にて観察可能な観察技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の微小な領域を観察するために、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などが用いられる。一般的に、これらの装置では試料が配置するための第二の筐体を真空排気し、試料雰囲気を真空状態にして撮像する。一方、生物化学試料や液体試料など真空によってダメージを受ける、あるいは状態が変わる試料を大気圧下で光学顕微鏡及び電子顕微鏡の両方を用いて観察したいというニーズは大きく、近年、観察対象試料を大気圧下で観察可能なSEM装置が開発されている。
【0003】
これらの装置は、原理的には電子光学系と試料の間に電子線が透過可能な隔膜を設けて真空状態と大気状態を仕切るもので、いずれも試料と電子光学系との間に薄膜を設ける点で共通する。
【0004】
特許文献1には、電子光学鏡筒の電子源側を下向きに配置し、対物レンズ側を上向きに配置し、電子光学鏡筒末端の電子線の出射孔側に電子線が透過できる薄膜を設けた大気圧SEMが記載されている。特許文献1に記載された発明では、観察対象試料を薄膜上に直接載置し、試料の下面から一次電子線を照射して、反射電子あるいは二次電子を検出してSEM観察を行う。試料は、薄膜の周囲に設置された環状部材と薄膜の液体内に配置されており、特に液体中の試料観察に好適な大気圧SEMが記載されている。また、光学顕微鏡の光軸と電子顕微鏡の光軸とが同軸となるように配置することによって、光学顕微鏡観察と電子顕微鏡観察を行うことができることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、光学顕微鏡と隔膜が配置された電子顕微鏡を並べることによって、大気圧下に配置された試料の光学顕微鏡及び電子顕微鏡にて交互に観察する装置構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−153086号公報(米国特許公開公報2010/0096549号)
【特許文献2】特開2001−241940号公報(米国特許公開公報2001/0008272号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大気圧下での観察機能を備えた従来の荷電粒子顕微鏡あるいは荷電粒子線装置は、いずれも大気圧下での観察専用に製造された装置であり、通常の高真空荷電粒子顕微鏡を使用して大気圧/ガス雰囲気下の観察を簡便に行える装置は存在しなかった。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の大気圧SEMは構造的に非常に特殊な装置であり、通常の高真空雰囲気でのSEM観察は実行不可能である。また、光学顕微鏡と電子顕微鏡が対向しているために、光学顕微鏡と電子顕微鏡により試料の両面から観察可能な試料としては液体などの透明試料のみと限られるものとなり、使い勝手に問題があった。
【0009】
例えば、本装置ではシリコン基板上に作成された半導体微細パターンなどの同部位を光学顕微鏡及び電子顕微鏡にて観察することできない。また、同じ試料でも光学顕微鏡と電子顕微鏡とで観察方向が正反対となるため、夫々の観察結果を照合しようとすると複雑な処理が必要となってしまうものである。
【0010】
特許文献2も構造的に非常に特殊な装置であり、通常の試料を真空下に配置した電子顕微鏡にて観察することはできない。特に、電子ビームレンズが大気にむき出しになっている装置であるため、電子ビームによる試料の的確な観察が困難となり、限られた使用しかできないため、使い勝手に問題があった。
【0011】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたもので、使い勝手良く試料を荷電粒子技術及び光学技術にて的確に検査又は観察することが可能な検査装置、観察装置、検査方法又は観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、一次荷電粒子線を照射する荷電粒子照射部と、前記荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が試料に到達する間の少なくとも一部の領域となる真空状態に維持可能な第一空間の少なくとも一部を形成する第一の筐体と、該第一筐体に具備され前記試料を格納可能な第二空間の少なくとも一部を形成する第二筐体と、前記第一空間を排気する排気装置と、前記荷電粒子照射部からの照射により得られる荷電粒子線を検出する検出器と、前記荷電粒子照射部から照射された一次荷電粒子線が試料上に照射する際の前記荷電粒子照射部の同軸上に配置され、前記第一空間と前記第二空間とを隔てる隔壁部と、前記試料に対し光を照射し、前記荷電粒子照射部と同方向から前記試料からの光を検出する光学式観察部と、前記試料を載置する試料載置部と、を備える検査又は観察装置が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、試料の検査又は観察方法であって、試料載置部に載置された試料に対し光を照射し、光学式観察部により前記試料からの光を検出し、前記試料載置部に載置された試料を、荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が照射可能な位置に移動させ、前記試料に対する前記光学式観察部と同方向から荷電粒子照射部から放出された一次荷電粒子線が、真空状態に維持可能な第一空間を通り、前記荷電粒子照射部の同軸上に配置された、前記第一空間と第二空間とを隔てる隔壁部を通り、前記試料載置部に載置された試料に照射し、検出部により荷電粒子線を検出する試料の検査又は観察方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使い勝手良く、試料を荷電粒子技術及び光学技術にて的確に検査又は観察することが可能な検査装置、観察装置、検査方法又は観察方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施形態における光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図2】第二の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図3】第三の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図4】第四の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図5】第五の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図6】第六の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図7】第七の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図8】第八の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図9】第八の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の試料ステージを蓋部材ごと引き出した構成図。
図10a】第九の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
図10b】第九の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて各実施形態について説明する。
【0017】
なお、本発明の一態様としては、荷電粒子顕微鏡に備えられた真空室に対して、内部の圧力を前記真空室の圧力よりも高い状態に維持しつつ前記試料を格納できるアタッチメントを、上記真空室の開口部から挿入及び装着することにより、使い勝手を向上させる。真空室の開口部は、例えば、真空室の側面に設けられる。また、上記のアタッチメントは、一次荷電粒子線をアタッチメント内部に透過あるいは通過させる薄膜を保持する機能を備えており、これにより、真空室とアタッチメント内部との圧力差を確保可能に構成される。さらに光を光源とし光を検出する光学顕微鏡を上記真空室若しくは上記アタッチメントに取り付けることにより、荷電粒子顕微鏡及び光学顕微鏡による観察を行うことが可能となる。
【0018】
ここで、上記アタッチメントは、上記真空室の開口部から筐体内部に挿入されて使用される。以下の説明では、上記真空室を第1筐体、上記アタッチメントを上記真空室に対する第2筐体と呼ぶこともある。
【0019】
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、最も基本的な実施形態について説明する。図1には、本実施形態における光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。図1に示される荷電粒子顕微鏡は、主として、一次荷電粒子線を照射する荷電粒子照射部としての荷電粒子光学鏡筒2、荷電粒子光学鏡筒2を装置設置面に対して支持する第1筐体(真空室)7、第1筐体7に挿入して使用される第2筐体(アタッチメント)121、光学顕微鏡、及びこれらを制御する制御系によって構成される。第1筐体7は、荷電粒子光学鏡筒2から放出された一次荷電粒子線が試料に到達する間の少なくとも一部の領域となる真空状態に維持可能な第一空間の少なくとも一部を形成する。また、第2筐体121は、第1筐体7に具備され、試料を格納可能な第二空間の少なくとも一部を形成する。
【0020】
荷電粒子顕微鏡の使用時には荷電粒子光学鏡筒2と第1筐体の内部は真空ポンプ4により真空排気される。真空ポンプ4の起動・停止動作も制御系により制御される。図中、真空ポンプ4は一つのみ示されているが、二つ以上あってもよい。
【0021】
荷電粒子光学鏡筒2は、荷電粒子線を発生する荷電粒子源0、発生した荷電粒子線を集束して鏡筒下部へ導き、一次荷電粒子線として試料6を走査する光学レンズ1などの要素により構成される。荷電粒子光学鏡筒2は第1筐体7内部に突き出すように設置されており、真空封止部材123を介して第1筐体7に固定されている。荷電粒子光学鏡筒2の端部には、上記一次荷電粒子線の照射により得られる二次荷電粒子(二次電子あるいは反射電子)を検出する検出器3が配置される。検出部としての検出器3は、好適には図1に示すように第1筐体7の内部に設けると良い。これにより、上記一次荷電粒子線の照射により得られる二次荷電粒子(二次電子あるいは反射電子)を真空中にて検出することが可能となり、より正確に検出することが可能となる。また、好適には、検出器3は、荷電粒子光学鏡筒2内に設けるようにしても良い。また、検出器3は、場合により、第2筐体121の内部に配置してもよい。
【0022】
本実施形態の荷電粒子顕微鏡は、制御系として、装置使用者が使用するパソコン35、パソコン35と接続され通信を行う上位制御部36、上位制御部36から送信される命令に従って真空排気系や荷電粒子光学系などの制御を行う下位制御部37を備える。パソコン35は、装置の操作画面(GUI)が表示されるモニタと、キーボードやマウスなどの操作画面への入力手段を備える。上位制御部36、下位制御部37およびパソコン35は、各々通信線43、44により接続される。
【0023】
下位制御部37は真空ポンプ4、荷電粒子源0や光学レンズ1、光源201、鏡筒200等を制御するための制御信号を送受信する部位であり、さらには検出器3の出力信号をディジタル画像信号に変換して上位制御部36へ送信する。図では検出器3からの出力信号を下位制御部37に接続しているが、プリアンプなどの増幅器を間にいれてもよい。
【0024】
上位制御部36と下位制御部37ではアナログ回路やディジタル回路などが混在していてもよく、また上位制御部36と下位制御部37が一つに統一されていてもよい。なお、図1に示す制御系の構成は一例に過ぎず、制御ユニットやバルブ、真空ポンプあるいは通信用の配線などの変形例は、本実施形態で意図する機能を満たす限り、本実施形態のSEMないし荷電粒子線装置の範疇に属する。
【0025】
第1筐体7には、一端が真空ポンプ4に接続された真空配管16が接続され、内部を真空状態に維持できる。同時に、筐体内部を大気開放するためのリークバルブ14を備え、メンテナンス時などに、第1筐体7の内部を大気開放することができる。リークバルブ14は、なくてもよいし、二つ以上あってもよい。また、第1筐体7での配置箇所は、図1に示された場所に限られず、第1筐体7上の別の位置に配置されていてもよい。更に、第1筐体7は、側面に開口部を備えており、この開口部を通って上記第2筐体121が挿入される。
【0026】
第2筐体121は、直方体形状の本体部131と合わせ部132と保持部132Aにより構成されている。本体部131は、観察対象である試料6を格納する機能を持ち、上記の開口部を通って第1筐体7内部に挿入される。合わせ部132は、第1筐体7の開口部が設けられた側面側の外壁面との合わせ面を構成し、真空封止部材126を介して上記側面側の外壁面に固定される。保持部132Aは、光学顕微鏡(鏡筒200等)を保持するように構成されている。
【0027】
これによって、第2筐体121全体が第1筐体7に嵌合される。上記の開口部は、荷電粒子顕微鏡の真空試料室にもともと備わっている試料の搬入・搬出用の開口を利用して製造することが最も簡便である。つまり、もともと開いている穴の大きさに合わせて第2筐体121を製造し、穴の周囲に真空封止部材126を取り付ければ、装置の改造が必要最小限ですむ。すなわち、従来の高真空型の荷電粒子顕微鏡の構成を大きく変更することなく、装置の改造をすることができる。
【0028】
本体部131の上面側には、第2筐体121全体が第1筐体7に嵌合された場合に上記荷電粒子光学鏡筒2の直下になる位置に薄膜10を備える。この薄膜10は、荷電粒子光学鏡筒2の下端から放出される一次荷電粒子線を透過ないし通過させることが可能であり、一次荷電粒子線は、薄膜10を通って最終的に試料6に到達するよう構成されている。 荷電粒子線が電子線の場合には、薄膜10の厚さは、好適には、電子線が透過できる程度の厚さ、典型的には20μm程度以下とすると良い。薄膜に替えて、一次荷電粒子線の通過孔を備えるアパーチャ部材を用いてもよく、その場合の孔径は、現実的な真空ポンプで差動排気可能という要請から、面積1mm2程度以下であることが望ましい。荷電粒子線がイオンの場合は、薄膜を破損させる事なしに貫通させることが困難であるため、面積1mm2程度以下のアパーチャを用いる。
【0029】
図中の一点鎖線は、一次荷電粒子線の光軸203を示しており、荷電粒子光学鏡筒2と第1筐体7および薄膜10は、一次荷電粒子線光軸と同軸に配置されるように構成されている。試料6と薄膜10との距離は、適当な高さの試料台17にて調整する。試料台17は、試料を載置する試料載置部として構成されている。
【0030】
光学顕微鏡は、第2筐体121の保持部132Aに保持されている。光学顕微鏡は、少なくとも光を照射するための光源201と光学顕微鏡の鏡筒200とで構成されている。鏡筒200は、光学レンズと、画像を検出するための画像検出部とを少なくとも備えている。光学顕微鏡は、画像をディジタル信号などの信号とし、通信線43でデータ転送するよう構成されている。光学式観察部としての鏡筒200は、荷電粒子光学鏡筒2と同方向から試料6からの光を検出するよう構成されている。
【0031】
なお、光学顕微鏡等の光検出部は、光を直接ディジタル信号に変換するCCD素子のような検出素子で構成されてもよいし、直接目視にて観察できる接眼レンズなどで構成されてもよい。
【0032】
鏡筒200の光軸204と電子顕微鏡の光軸203間の距離は既知の距離として、所定の距離に設定されている。
【0033】
光学顕微鏡にて試料を観察した後に、試料台17を前記所定の距離分だけ移動させることによって、光学顕微鏡と電子顕微鏡にて同部位を観察することが可能となる。また、引用文献1に記載のような光学顕微鏡と電子顕微鏡が対向している構成とは異なり、同方向から同部位を観察することが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0034】
図1に示すように第2筐体121の側面は開放面であり、第2筐体121の内部(図の点線より右側;以降、第2空間12とする)に格納される試料6は、観察中、大気圧状態に置かれる。一方、第1筐体7には真空ポンプ4が接続されており、第1筐体7の内壁面と第2筐体121の外壁面および薄膜10によって構成される閉空間(以下、第1空間11とする)を真空排気可能である。よって、特許文献2に記載のような、電子ビームレンズが大気にむき出しになっている装置ではなく、装置の動作中、荷電粒子光学鏡筒2や検出器3を真空状態に維持でき、かつ試料6を大気圧に維持することができ、試料6の的確な観察が可能となる。また、試料台17に載置された試料6に対して、光を照射し、鏡筒200により試料6からの光を検出し、試料台17に載置された試料6を、荷電粒子光学鏡筒2から放出された一次荷電粒子線が照射可能な位置に移動させ、試料6に対する鏡筒200と同方向から荷電粒子光学鏡筒2から放出された一次荷電粒子線が、真空状態に維持可能な第1空間11を通り、荷電粒子光学鏡筒2の同軸上に配置された、第1空間11と第2空間12とを隔てる薄膜10を通り、試料台17に載置された試料6に照射し、検出器3により荷電粒子線を検出することができ、試料の検査又は試料の観察方法が実現される。
【0035】
さらに、第2筐体121が開放面を有するので、光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察中に、試料6を自由に交換できる。
【0036】
また、比較的大きなサイズの試料であっても大気圧で検査又は観察可能な検査装置又は観察装置が実現される。
【0037】
なお、好適には、光学顕微鏡の鏡筒200の光軸204と荷電粒子光学鏡筒2の光軸203とが平行になるように設けると良い。これにより、さらに同方向から同部位を観察することが可能となる。概ね同方向から同部位を観察可能であれば、鏡筒200の光軸204と電子顕微鏡の光軸203とが斜めになるように配置されてもよい。なお、本明細書における荷電粒子光学鏡筒2と同方向から試料6からの光を検出する光学顕微鏡の鏡筒200とは、引用文献1に記載のような光学顕微鏡と電子顕微鏡が対向している構成とは異なり、荷電粒子光学鏡筒2と鏡筒200とが、試料6に対して上方に配置されていれば、含まれるものとする。
【0038】
また、薄膜10は、荷電粒子光学鏡筒2から照射された一次荷電粒子線が試料6上に照射する際の荷電粒子光学鏡筒2の同軸上に配置され、第1空間11と第2空間12とを隔てる隔壁部として機能する。
【0039】
<第二の実施形態>
第二の実施形態について、説明する。図2に、第二の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第二の実施形態が、第一の実施形態と異なる点は、概ね、薄膜保持部材47を備えている点と、第2筐体121内が1気圧の大気雰囲気下やガス雰囲気下や真空雰囲気にすることができるように構成されている点、試料載置部としての試料ステージ5が駆動系を備えている点である。以下の説明では、第一の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。
【0040】
本実施形態では、薄膜10は、第一の実施形態とは異なり、第2筐体121の本体部131の上面に対して薄膜保持部材47を介して脱着可能に固定されている。薄膜10は、薄膜保持部材47に対して真空シールするように固着されているが、Oリングなどの真空封止部材124を使用しても良いし、接着剤等の有機材料あるいはテープなどで固着してもよい。
【0041】
薄膜保持部材47は、第2筐体121の天井板の下面側に真空封止部材を介して脱着可能に固定される。薄膜10は、電子線が透過する要請上、厚さ20μm程度以下と非常に薄いため、経時劣化あるいは観察準備の際に破損する可能性がある。一方、薄膜10は薄いため直接ハンドリングすることが非常に困難である。本実施形態のように、薄膜10を直接ではなく薄膜保持部材47を介してハンドリングできることで、薄膜10の取扱い(特に交換)が非常に容易となる。つまり、薄膜10が破損した場合には、薄膜保持部材47ごと交換すればよく、万が一薄膜10を直接交換しなければならない場合でも、薄膜保持部材47を装置外部に取り出し、薄膜10の交換を装置外部で行うことができる。なお、薄膜に替えて、面積1mm2以下程度の穴を有するアパーチャ部材を使用できる点は、第一の実施形態と同様である。
【0042】
第2筐体121の開放面を蓋部材122で蓋うことができるようになっており、種々の機能が実現できる。以下ではそれについて説明する。
【0043】
本実施形態の観察装置においては、第2筐体121内に置換ガスを供給する機能を備えている。荷電粒子光学鏡筒2の下端から放出された電子線は、高真空に維持された第1空間11を通過して、図2に示す薄膜10(あるいはアパーチャ部材)を通過し、更に、大気圧あるいは(第1空間よりも)低真空度に維持された第2空間12に侵入する。ところが、真空度の低い空間では電子線は気体分子によって散乱されるため、平均自由行程は短くなる。つまり、薄膜10と試料6の距離が大きいと電子線あるいは電子線照射により発生する二次電子または反射電子が試料まで届かなくなる。一方、電子線の散乱確率は、気体分子の質量数に比例する。従って、大気よりも質量数の軽いガス分子で第2空間12を置換すれば、電子線の散乱確率が低下し、電子線が試料に到達できるようになる。置換ガスの種類としては、窒素や水蒸気など、大気よりも軽いガスであれば画像S/Nの改善効果が見られるが、質量のより軽いヘリウムガスや水素ガスの方が、画像S/Nの改善効果が大きい。
【0044】
光学顕微鏡の鏡筒200は上部分が装置外部の外気空間にあり、下部分、すなわち、少なくとも対物レンズが第2空間12に配置されるように構成されている。鏡筒200は、第2筐体121に対して真空シールするように固着されているが、Oリングなどの真空封止部材124を使用しても良いし、接着剤等の有機材料あるいはテープなどで固着してもよい。光学顕微鏡の鏡筒200の光源201は第2空間12に配置されるように構成されている。
【0045】
一般的な光学顕微鏡は対物レンズと試料間の距離が近いほうが高倍率で観察できるが、本実施形態では、光学顕微鏡の光源201と鏡筒200の検出部としての対物レンズとが、第2空間12内に位置するように配置されているので、より近い位置で試料6を観察することができる。
【0046】
以上の理由から、本実施形態の観察装置では、蓋部材122にガス供給管100の取り付け部(ガス導入部)を設けている。ガス供給管100は連結部102によりガスボンベ103と連結されており、これにより第2空間12内に置換ガスが導入される。ガス供給管100の途中には、ガス制御用バルブ101が配置されており、管内を流れる置換ガスの流量を制御できる。このため、ガス制御用バルブ101から下位制御部37に信号線が伸びており、装置ユーザは、パソコン35のモニタ上に表示される操作画面で、置換ガスの流量を制御できる。
【0047】
置換ガスは、軽元素ガスであるため、第2空間12の上部に溜まりやすく、下側は置換しにくい。そこで、好適には、蓋部材122でガス供給管100の取り付け位置よりも下側(図2では圧力調整弁104の取り付け位置)に開口を設けると良い。これにより、ガス導入部から導入された軽元素ガスに押されて大気ガスが下側の開口から排出されるため、第2筐体121内を効率的に置換できる。なお、この開口を後述する粗排気ポートと兼用しても良い。
【0048】
第2筐体121あるいは蓋部材122に真空排気ポートを設けてもよい。この真空排気ポートに真空ポンプを接続させることで、第2空間12を真空状態にすることも可能である。こうすることで、通常のSEMでは実現できない例えば0.1気圧などといった超低真空状態での電子顕微鏡観察が可能となる。
【0049】
また、好適には、真空排気ポートから第2筐体121内を一度真空排気してから置換ガスを導入してもよい。この場合の真空排気は、第2筐体121内部に残留する大気ガス成分を一定量以下に減らせればよいので高真空排気を行う必要はなく、粗排気で十分である。ただし、生体試料など水分を含む試料などを観察する場合、一度真空状態に置かれた試料は、水分が蒸発して状態が変化する。従って、上述のように、大気雰囲気から直接置換ガスを導入する方が好ましい。上記の開口は、置換ガスの導入後、蓋部材で閉じることにより、置換ガスを効果的に第2空間12内に閉じ込めることができる。
【0050】
上記開口の位置に三方弁を取り付ければ、この開口を粗排気ポートおよび大気リーク用排気口と兼用することができる。すなわち、三方弁の一方を蓋部材122に取り付け、一方を粗排気用真空ポンプに接続し、残り一つにリークバルブを取り付ければ、上記の兼用排気口が実現できる。
【0051】
上述の開口の代わりに圧力調整弁104を設けても良い。当該圧力調整弁104は、第2筐体121の内部圧力が1気圧以上になると自動的にバルブが開く機能を有する。このような機能を有する圧力調整弁を備えることで、軽元素ガスの導入時、内部圧力が1気圧以上になると自動的に開いて窒素や酸素などの大気ガス成分を装置外部に排出し、軽元素ガスを装置内部に充満させることが可能となる。なお、図示したガスボンベ103は、観察装置に備え付けられる場合もあれば、装置ユーザが事後的に取り付ける場合もある。
【0052】
次に、試料6の位置調整方法について説明する。本実施形態の観察装置は、観察視野の位置調整手段として試料ステージ5を備えている。試料ステージ5には、面内方向へのXY駆動機構および高さ方向へのZ軸駆動機構を備えている。蓋部材122には試料ステージ5を支持する底板となる支持板107が取り付けられており、試料ステージ5は支持板107に固定されている。支持板107は、蓋部材122の第2筐体121への対向面に対し第2筐体121の内部に向かって延伸するよう取り付けられている。Z軸駆動機構およびXY駆動機構からはそれぞれ支軸が伸びており、各々操作つまみ108および操作つまみ109と繋がっている。装置ユーザは、これらの操作つまみ108および操作つまみ109を操作することにより、試料6の第2筐体121内での位置を調整する。
【0053】
試料位置を調整する際には、通常、面内方向の位置を決めてから高さ方向の位置を調整するが、薄膜10の破損を防止するため、試料6の高さ方向の位置は薄膜10に近づき過ぎないように調整する必要がある。そこで、本実施形態の観察装置では、光学顕微鏡(光源201と鏡筒200)により、予め試料6と鏡筒200との距離を測定し、この測定値と、予め求めておいた薄膜10の下面の高さと鏡筒200の下端の高さとの関係とに基づいて、試料6と薄膜10の距離を設定するようにしてもよい。
【0054】
次に、光学顕微鏡で試料6を観察可能な位置との荷電粒子顕微鏡で試料6を観察可能な位置とで試料ステージ5を移動可能な移動機構について、説明する。本移動機構は、試料載置部を荷電粒子光学鏡筒2から照射された一次荷電粒子線が試料6上に照射する第一位置と、光学顕微鏡の鏡筒200により試料6からの光を検出する第二位置との間で移動可能に少なくとも構成される。なお、本移動機構は、試料6の交換機能も兼ねることができる。本実施形態の観察装置は、第1筐体7の底面および蓋部材122の下端部に、底板20、蓋部材用支持部材19をそれぞれ備える。
【0055】
底板20には、試料ステージ5の移動の際にガイドとして使用される支柱18を備える。通常の状態では、支柱18は底板20に設けられた格納部に格納されており、試料ステージ5の移動の際に蓋部材122の引出し方向に延伸するように構成される。支柱18及び底板20に設けられた格納部は、少なくとも試料ステージ5を光学顕微鏡で試料6を観察可能な位置との荷電粒子顕微鏡で試料6を観察可能な位置とで移動可能な長さで構成されている。この移動機構を用いることにより、光学顕微鏡にて試料6を観察した後に、荷電粒子顕微鏡で試料6を観察することができる。つまり、蓋部材122の引き出し方向に支柱18を延伸させる若しくは延伸されたままの状態とすることで、試料ステージ5を、光学顕微鏡で試料6を観察可能な位置、すなわち、光学顕微鏡の鏡筒200の光軸204上に試料6の観察対象部位を配置させることが可能となる。また、蓋部材122の引出し方向と反対方向に支柱18を底板20の格納部に格納させる若しくは格納されたままの状態とすることで、試料ステージ5を、荷電粒子顕微鏡で試料6を観察可能な位置、すなわち、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子光学鏡筒2の光軸203上に試料6の同観察対象部位を配置させることが可能となる。
【0056】
また、支柱18は、取り外しの際にガイドとして使用される機能を備える。取り外しの際に蓋部材122の引出し方向に延伸するような機能を備えるように構成される。同時に、支柱18は蓋部材用支持部材19に固定されており、蓋部材122を第2筐体121から取り外した際に、蓋部材122と観察装置本体とが完全には分離しないようになっている。これにより、試料ステージ5あるいは試料6の落下を防止することができる。蓋部材122は第2筐体121に真空封止部材125を介して取り外し可能に固定される。一方、蓋部材用支持部材19も底板20に対して取り外し可能に固定されており、蓋部材122および蓋部材用支持部材19を丸ごと第2筐体121から取り外すことが可能である。
【0057】
光学顕微鏡にて試料6を観察した後に、荷電粒子顕微鏡で試料6を観察する場合には、まず、試料ステージ5を、光学顕微鏡で試料6を観察可能な位置、すなわち、光学顕微鏡の鏡筒200の光軸204上に試料6の観察対象部位を配置させて、観察する。次に、蓋部材122を第2筐体121内に押し込み、試料ステージ5を、概ね荷電粒子顕微鏡で試料6を観察可能な位置に試料6を配置させる。図示しない締結部材にて蓋部材122を合わせ部132に固定後、置換ガスを導入する。次に、試料ステージ5のZ軸操作つまみを回して試料6を薄膜10へ近づける等位置調整手段にて位置調整し、荷電粒子顕微鏡にて光学顕微鏡で観察した試料6の同観察対象部位を観察する。以上の操作は、荷電粒子光学鏡筒2の動作を継続したまま実行することができ、従って本実施形態の観察装置は、迅速に観察を開始することができる。
【0058】
また、第2筐体121内に試料を搬入する場合には、まず試料ステージ5のZ軸操作つまみを回して試料6を薄膜10から遠ざける。次に、圧力調整弁104を開放し、第2筐体内部を大気開放する。その後、第2筐体内部が減圧状態あるいは極端な与圧状態になっていないことを確認後、蓋部材122を装置本体とは反対側に引き出す。これにより試料6を交換可能な状態となる。試料交換後は、蓋部材122を第2筐体121内に押し込み、図示しない締結部材にて蓋部材122を合わせ部132に固定後、置換ガスを導入する。以上の操作は、荷電粒子光学鏡筒2の動作を継続したまま実行することができ、従って本実施形態の観察装置は、試料交換後、迅速に観察を開始することができる。
【0059】
本実施形態では、試料ステージ5およびその操作つまみ108、109、ガス供給管100、圧力調整弁104が全て蓋部材122に集約して取り付けられている。従って装置ユーザは、上記操作つまみ108、109の操作、試料ステージの移動操作、試料の交換作業、あるいはガス供給管100、圧力調整弁104の脱着作業を第1筐体の同じ面に対して行うことができる。よって、上記構成物が試料室の他の面にバラバラに取り付けられている構成の走査電子顕微鏡に比べて操作性や使い勝手を向上させることができる。
【0060】
<第三の実施形態>
第三の実施形態について、説明する。図3に、第三の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第三の実施形態が、第二の実施形態と異なる点は、概ね、光学顕微鏡の鏡筒200の全てを第2空間12内に収納し、通信線43を装置外部に引き出すように構成されている点と、光学顕微鏡の位置を変更するための駆動機構205を備えている点である。以下の説明では、第二の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。
【0061】
本実施形態では、第2筐体121の保持部132Aの上方側が突起し、保持部132Aの上面の高さ位置と第1筐体7の上面の高さ位置とが概ね一致するように構成されている。保持部132Aの内側壁には、光学顕微鏡を試料6に対し遠近方向(上下方向)へ移動させる駆動機構205が備えられている。一般的な光学顕微鏡では対物レンズなどの光学レンズと試料との距離を制御することで画像の焦点を合わせることができる。駆動機構205により、光学顕微鏡全体を試料6に対して遠近方向へ移動させることで、試料6の高さ位置を変更することになく焦点を合わせることができる。本実施形態では、特に、光学顕微鏡に備えられた、画像を検出する画像検出部がCCD素子の場合に好適となる。
【0062】
なお、駆動機構205を、光学顕微鏡の光源201と鏡筒200とを移動可能に構成しても良いし、光源201と鏡筒200の対物レンズなどの光学レンズのみを移動可能に構成しても良いし、光源201は移動させずに、鏡筒200のみを移動可能に構成しても良いし、光源201は移動させずに、鏡筒200の対物レンズなどの光学レンズのみを移動可能に構成しても良い。すなわち、光学顕微鏡の一部または全部を試料6に対して遠近方向に移動させるように構成されると良い。
【0063】
鏡筒200の光軸204と電子顕微鏡の光軸203間の距離は既知の距離として、所定の距離に設定されている。
【0064】
光学顕微鏡にて試料を観察した後に、試料台17を前記所定の距離分だけ移動させることによって、光学顕微鏡と電子顕微鏡にて同部位を観察することが可能となる。また、引用文献1に記載のような光学顕微鏡と電子顕微鏡が対向している構成とは異なり、概ね同方向から同部位を観察することが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0065】
<第四の実施形態>
第四の実施形態について、説明する。図4に、第四の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第四の実施形態が、第二の実施形態と異なる点は、概ね、光学顕微鏡の光源201を試料6の下側に配置するように構成されている点と、試料載置部としての試料ステージ5に光源201からの光が透過可能な透過部としての空洞部206が構成されている点である。以下の説明では、第二の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。
【0066】
試料6が透明でない場合、光源201は試料6の上側から照射させる必要があるが、試料6が透明な場合や光を透過させる場合には、光源201を試料6よりも下側に配置することにより、試料6中を光が透過された光学顕微鏡画像を取得することができる。好適には、図4に示すように、光源201を試料ステージ5よりも下側に配置すると良い。この場合、光が透過可能なように試料ステージ5に空洞部206が構成されている。
【0067】
なお、光学顕微鏡は、着脱可能として構成してもよい。光学顕微鏡が、保持部132Aからはずされている場合には、装置外部と第2空間12内部とが雰囲気分離できるように光学顕微鏡が存置されていた箇所に蓋などをかぶせるようにすれば良い。
【0068】
<第五の実施形態>
第五の実施形態について、説明する。図5に、第五の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第五の実施形態が、第二の実施形態と異なる点は、概ね、光学顕微鏡を具備した高真空SEMとして使用する形態を示す点である。以下の説明では、第二の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。
【0069】
本実施形態で示すように、光学顕微鏡を具備した高真空SEMとして使用することも可能である。
【0070】
図5は、蓋部材122を第2筐体121に固定した状態で、ガス供給管100と圧力調整弁104を蓋部材122から取り外した後、ガス供給管100と圧力調整弁104の取り付け位置を蓋部材130で塞いだ状態の光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡を示している。この前後の操作で、薄膜保持部材47を第2筐体121から取り外しておけば、第1空間11と第2空間12をつなげることができ、第2筐体内部を真空ポンプ4で真空排気することが可能となる。これにより、第2筐体121を取り付けた状態で、高真空SEM観察が可能となる。
【0071】
なお、図5の構成の変形例として、薄膜保持部材47が取り付けてある状態の第2筐体121および、光学顕微鏡を丸ごと取り外し、蓋部材122を第1筐体7の合わせ面に直接固定してもよい。
【0072】
本構成によっても第1空間11と第2空間12をつなげることができ、第2筐体121内部を真空ポンプ4で真空排気することが可能となる。なお、この構成は一般的なSEM装置の構成と同じである。
【0073】
以上説明したように、本実施例では、試料ステージ5およびその操作つまみ108、操作つまみ109、ガス供給管100、圧力調整弁104が全て蓋部材122に集約して取り付けられている。従って装置ユーザは、上記操作つまみ108、操作つまみ109の操作、試料の交換作業、あるいはガス供給管100、圧力調整弁104の脱着作業を第1筐体の同じ面に対して行うことができる。よって、上記構成物が試料室の他の面にバラバラに取り付けられている構成の走査電子顕微鏡に比べて操作性が非常に向上している。
【0074】
<第六の実施形態>
第六の実施形態について、説明する。図6に、第六の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第六の実施形態が、第二の実施形態と異なる点は、概ね、光学顕微鏡が装置外部に配置されている点と、第2筐体121の保持部132Aの光学顕微鏡の鏡筒200に対向する位置に窓215が構成されている点である。以下の説明では、第二の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。
【0075】
図6に示すように、本実施形態では、光学顕微鏡の鏡筒200および光源201、全てを装置外部に配置されており、少なくとも第2筐体121の保持部132Aに光を通すための窓215が構成されている。
【0076】
一般的な光学顕微鏡は、対物レンズと試料間距離が短いほうが高倍率で観察できるため、本実施形態の鏡筒200の配置よりも第一の実施形態〜第五の実施形態で説明した例えば、図1図5に示す構成のほうが光学顕微鏡の分解能が高くなるため、好適である。しかしながら、図6の構成では光学顕微鏡全体を装置外(第2空間12外)に配置できるため、封止部材202などで第2筐体を外気と雰囲気遮断する手間が省ける構成とすることができ、より簡便な構成とすることができる。なお、試料6が透明材若しくは光を透過する部材である場合には、図4に示すように光源201が試料ステージ5よりも下側に配置されてもよい。
【0077】
<第七の実施形態>
第七の実施形態について、説明する。図7に、第七の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第七の実施形態は、第二の実施形態の変形例であり、第二の実施形態と異なる点は、概ね、支持板107に代えて、試料載置部としての試料ステージ5を鏡筒200の光軸204と電子顕微鏡の光軸203との間で移動させる試料ステージ移動機構107Aを備えている点と、第2筐体121の保持部132Aが、試料ステージ5の鏡筒200の光軸204側への移動が可能なように第2空間12を大きく構成している点である。
【0078】
移動機構としての試料ステージ移動機構107Aは、試料ステージ移動機構107Aを駆動させて試料ステージ5を移動させる信号を、通信線43にて下位制御部37との間でデータ送受信するよう構成されている。本移動機構は、試料ステージ5を荷電粒子光学鏡筒2から照射された一次荷電粒子線が試料6上に照射する第一位置と、光学顕微鏡の鏡筒200により試料6からの光を検出する第二位置との間で移動可能に少なくとも構成される。
【0079】
光学顕微鏡にて試料6を観察した後に、試料ステージ5を試料ステージ移動機構107Aにより、上述した所定の距離分だけ移動させることによって、光学顕微鏡と電子顕微鏡にて同部位を観察することが可能となる。
【0080】
また、引用文献1に記載のような光学顕微鏡と電子顕微鏡が対向している構成とは異なり、概ね同方向から同部位を観察することが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0081】
また、前述の通り、第2筐体121は1気圧の大気雰囲気下やガス雰囲気下や真空雰囲気にすることができるため、各種雰囲気条件で光学顕微鏡と電子顕微鏡にて交互に観察することが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態においては、上述した第三の実施形態〜第六の実施形態にも適用可能である。
【0083】
<第八の実施形態>
第八の実施形態について、説明する。図8に、第八の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第八の実施形態は、第六の実施形態の変形例であり、第六の実施形態と異なる点は、概ね、第2筐体121の保持部132Aが合わせ部132と一体化されている(若しくは、合わせ部132が保持部132Aの機能を兼ねている)点と、光学顕微鏡の鏡筒200が試料6に対し遠近方向(上下方向)に移動する位置調整機構209を備えている点である。以下の説明では、第六の実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。図8に示すように、第2筐体121の保持部132Aが合わせ部132と一体化されており、光学顕微鏡(鏡筒200及び光源201)が試料6に対し遠近方向(上下方向)に移動する位置調整機構209が、当該保持部132Aに具備されている。位置調整機構209は、光学顕微鏡を保持する保持体207と、保持体を支持する支持棒208と、支持棒208における保持体207の上下方向の位置を調整可能に構成される調整部209Aとで構成されている。
【0084】
図9に試料ステージ5を蓋部材122ごと引き出した構成を示す。試料ステージ5を引き出した後に、位置調整機構209を用いて試料6を観察できる位置まで光学顕微鏡を試料6に近づけるように移動させて観察する。蓋部材122を閉じるときは、位置調整機構209を用いて光学顕微鏡を下端の位置が蓋部材122の上端よりも高くなるように変更することで観察が可能となる。本構成の場合、第2筐体121の合わせ部132に例えば、ねじ穴を設け、そのねじ穴に支持棒208を取り付けることで光学顕微鏡を装着可能となり、その逆にねじ穴から支持棒208と取り外すことで光学顕微鏡を脱離可能となり、光学顕微鏡の着脱が簡便となる。そのため、第二の実施形態の構成と比較し第2筐体121の構造が非常に簡素でシンプルなものとすることができる。なお、光学顕微鏡は第1筐体7に支持されるように構成されてもよく、蓋部材122にて支持されるように構成されてもよい。
【0085】
<第九の実施形態>
第九の実施形態について、説明する。図10a、図10bに、第九の実施形態おける光学顕微鏡を具備した荷電粒子顕微鏡としての観察装置(検査装置)の全体構成図を示す。第九の実施形態は、図10a、図10bに示すように、概ね、荷電粒子顕微鏡の荷電粒子光学鏡筒2及び光学顕微鏡の鏡筒200の配置に対する蓋部材122の配置(試料ステージ5の移動方向)関係が上述した実施形態とは異なる構成例である。荷電粒子光学鏡筒2と光学顕微鏡の鏡筒200との並んでいる方向に対して試料ステージ5を取り外す方向が水平方向、垂直な方向となっている。試料ステージ5を第2空間12から着脱する方向に垂直な面内で水平方向に、荷電粒子光学鏡筒2と光学顕微鏡の鏡筒200が並んでいるように構成されている。
【0086】
以下の説明では、上述した実施形態と重複する部分については極力説明を割愛する。図10a、図10bに示すように、第2筐体121は、試料ステージ5を保持する蓋部材122を開けて、試料ステージ5を取り出す取出し口が開放された状態で、薄膜10を配置可能に構成された第2筐体121を荷電粒子光学鏡筒2の下側を覆うように配置する。第2筐体121の上端と第1筐体7の上部下面との間には、封止部材125が具備されている。第1空間11と第2空間12が第2筐体121により、雰囲気分離されるように構成されている。試料ステージ5を取り出す取出し口が荷電粒子光学鏡筒2と光学顕微鏡の鏡筒200とが対向するように並んでいるため、蓋部材122を開けて、試料ステージ5を取り出す取出し口が開放された状態で、荷電粒子光学鏡筒2と光学顕微鏡の鏡筒200とを容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0087】
なお、第2筐体121は図中下側から第1筐体7に対してネジ止めされるように構成されてもよいし、第1筐体7の上部上面側から第1筐体7に対してネジ止めされるように構成されてもよい。
【0088】
図10a、図10bで示した構成は、第2筐体121を取り付けるだけで第2空間12の圧力が第1空間11の圧力よりも高い状態で電子顕微鏡観察が可能とすることができる。なお、好適には、光学顕微鏡の鏡筒200の光軸204と荷電粒子光学鏡筒2の光軸203とが平行になるように設けると良い。これにより、さらに同方向から同部位を観察することが可能となる。なお、概ね同方向から同部位を観察可能であれば、鏡筒200の光軸204と電子顕微鏡の光軸203とが斜めになるように配置されてもよい。
【0089】
また、光学顕微鏡は取り外しても荷電粒子顕微鏡での観察が可能なように着脱可能としてもよい。
【0090】
好適には、図10a、図10bに示すように、試料導入室210を形成する筐体214を配備するように構成しても良い。この場合、好適には、試料ステージ5及び蓋部材122を常に固定しておき、試料導入室210から第2空間12へ試料6を搬送可能に構成するとよい。図10bに示したように、試料導入室210には、扉211と扉212、試料導入ロッド213が構成されるとよい。なお、光学顕微鏡は、試料導入室210に具備されていてもよい。
【0091】
次に試料導入室210を配備するように構成した場合の作用について説明する。
【0092】
はじめに、扉211をあけて、試料6または試料6が搭載された試料ホルダを試料導入室210内に配置する。その後、扉211を閉じて、扉212を開ける。そして、試料導入ロッド213にて、試料6または試料6が配置された試料ホルダを試料ステージ5上に搬送する。これにより、試料ステージ5を備えた蓋部材122をはずすことなく試料6を第2空間へ搬送することが可能となる。
【0093】
この構成の特徴としては、第2空間12内にガス供給口100経由で軽元素ガスなどが入っている場合に、試料6を交換したとしても第2空間12内の雰囲気に大気が混入しにくくなり、交換に伴い、大量の軽元素ガスを導入させる必要がなく、当該ガスの使用量、頻度を大幅に減らすことができる。
【符号の説明】
【0094】
0 荷電粒子源
1 光学レンズ
2 荷電粒子光学鏡筒
3 検出器
4 真空ポンプ
5 試料ステージ
6 試料
7 第1筐体
10 薄膜
11 第1空間
12 第2空間
14 リークバルブ
16 真空配管
18 支柱
19 蓋部材用支持部材
20 底板
35 パソコン
36 上位制御部
37 下位制御部
43、44 通信線
47 薄膜保持部材
100 ガス供給口
101 ガス制御用バルブ
102 連結部
103 ガスボンベ
104 圧力調整弁
107 支持板
108、109 操作つまみ
121 第2筐体
122、130 蓋部材
123、124、125、126、128、202 封止部材
131 本体部
132 合わせ部
200 鏡筒
201 光源
203、204 光軸
205 駆動機構
206 空洞部
207 保持体
208 支持棒
209 位置調整機構
210 試料導入室
211、212 扉
213 試料導入ロッド
214 筐体
215 窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b