(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の
ポリグリシジルチオエーテルの製造方法について詳細に説明する。
本発明に使用される
ポリチオール化合物としては、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオール、ハロゲン置換芳香族ポリチオール;複素環を含有したポリチオールが挙げられる。
脂肪族ポリチオールとしては、例えば、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、ビシクロ(2,2,1)-ヘプタ-exo-cis-2,3-ジチオール、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチル)、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等、及びこれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換化合物が挙げられる。
【0012】
芳香族ポリチオールとしては、例えば、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2'-ジメルカプトビフェニル、4,4'-ジメルカプトビフェニル、4,4'-ジメルカプトビベンジル、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,4-ナフタレンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2,7-ナフタレンジチオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、9,10-アントラセンジメタンチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン等が挙げられる。
【0013】
ハロゲン置換芳香族ポリチオールとしては、例えば、2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール、1,3-ジ(p-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、3,4,5-トリブロム-1,2-ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6-テトラクロル-1,5-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0014】
複素環を含有したポリチオールとしては、例えば、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-エチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-モルホリン-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-シクロヘキシルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-フェノキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-チオベンゼンオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-チオブチルオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン及びこれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換化合物等が挙げられる。
【0015】
本発明において
使用する前記
ポリチオール化合物は、メルカプト基に加え、更に硫黄原子を有する
ポリチオール化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、及び、これらの化合物のベンゼン核をアルキル化した化合物等の芳香族ポリチオール;ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピル)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等の脂肪族ポリチオール;該脂肪族ポリチオールのチオグリコール酸のエステル及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルチオエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-チオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-ジチオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオンビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)等のエステル結合を有する脂肪族ポリチオール;並びに、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール等の複素環化合物等が挙げられる。更に、これらの化合物の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体であってもよい。
これらの
ポリチオール化合物は、単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
本発明に使用されるエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリン、β-メチルエピブロモヒドリン等が挙げられる。
【0017】
本発明に使用されるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられるが、特に水酸化ナトリウムを使用することが好ましい。
これらのアルカリは、水溶液として用いることが好ましいが、必要に応じて、粉末又は固形のアルカリを、水と同時に又は別々に加えることもできる。
【0018】
本発明の
ポリグリシジルチオエーテルの製造方法は、
ポリチオール化合物、エピハロヒドリン及びアルカリを反応させて、副生する水を減圧還流下で脱水しながら1段で反応を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の反応に使用される上記
ポリチオール化合物に対する前記エピハロヒドリンの使用量は、該
ポリチオール化合物のチオール基1当量に対して1当量となる量であれば特に制限されないが、1.0当量(即ち等当量)未満である
と、チオグリシジルエーテル化されないメルカプト基を有する化合物が存在する
こととなるために純度が低下し、10当量を超えても効果が向上しないばかりでなく、反応速度が低下したり、副反応が進行して、
ポリグリシジルチオエーテルの純度が低下したりする。よってエピハロヒドリンは、
ポリチオール化合物のチオール基1当量に対して1.0〜10当量であることが好ましく、2.0〜8.0当量であることが特に好ましい。
【0020】
また、前記
ポリチオール化合物のチオール基1当量に対する前記アルカリの当量
が0.7当量未満の場合には
、グリシジルチオエーテル化されないハロヒドリンチオエーテル基が残存し
て純度が低下するので、0.7当量
以上であれば特に制限されないが、2当量を超えても効果が向上しないばかりでなく、副反応が進行し、目的物の
ポリグリシジルチオエーテルの純度が低下する。
従って、前記
ポリチオール化合物のチオール基1当量に対するアルカリの当量は、0.7〜2.0当量であることが好ましく、1.0〜1.5当量であることが特に好ましい。
【0021】
反応は、減圧下で溶液を還流させながら行われる。圧力は約4kPa〜約27kPaであることが好ましく、約6kPa〜約14kPaであることが特に好ましい。
また、反応系の温度は、30〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることが特に好ましい。
【0022】
また、反応に際しては炭化水素、エーテル又はケトン等の反応に不活性な溶媒を用いることもできるが、エピハロヒドリンを過剰に用いた場合には、エピハロヒドリンが溶媒としても機能するため、前記溶媒は必要ない。
【0023】
反応終了後のポリグリシジルチオエーテルの単離は常法によって行うことができる。例えば、反応終了後、過剰のエピハロヒドリンを留去し、必要に応じて炭化水素等の非水溶性溶媒を加えた後、生成した食塩、触媒及び未反応物又は副生したアルコール成分を、水洗して除去することによって、目的のポリグリシジルチオエーテルを得ることができる。
【0024】
また、本発明の製造方法においては、相間移動触媒の存在下で、前述した
ポリチオール化合物、エピハロヒドリン及びアルカリを反応させることもできる。
ここで使用される相間移動触媒としては、トリメチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミンのような第三級アミン;塩化テトラメチルアンモニウム、塩化メチルトリオトクチルアンモニウム、塩化メチルトリデシルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムのような第四級アンモニウム塩が挙げられ、特に、第四級アンモニウム塩を使用することが好ましい。
【0025】
上記相間移動触媒の使用量は、
ポリチオール化合物の種類、エピハロヒドリンの過剰率、反応溶媒の使用量、反応温度等によっても変化するため、特に制限を受けることはないが、一般には、
ポリチオール化合物とエピハロヒドリンの合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
上述した相間移動触媒の使用量が0.1質量部未満である場合、反応速度が著しく遅くなる。また、10質量部を超えても、それ以上効果が上がらないばかりでなく、副反応が進行し、生成物の純度が低くなる。
【0026】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
尚、以下の実施例において、エポキシ当量とはエポキシ基1個当たりのエポキシ化合物の分子量を表す。
また、GPC測定は以下の方法で実施した。
【0027】
<GPC測定方法>
反応生成物のGPC測定には、昭和電工(株)製Shodex GPC-101を使用し、カラムはShodex KF-802.5、溶媒はTHF及び検出器はShodex RI-71をそれぞれ使用した。
【実施例1】
【0028】
温度計、攪拌機及び冷却管を備えたガラス製フラスコに、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド154.3g(1モル)及びエピクロルヒドリン555.1g(6モル)、を仕込み、50℃まで昇温した後、フラスコ内の圧力を約6.7kPaに保持して環流させた。
反応系の温度と圧力を保ちながら、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液166.7g(水酸化ナトリウムとして2モル)を3時間かけて滴下し、同温度で1時間熟成した後、系内に生成した塩を濾別した。
濾液中の過剰なエピクロルヒドリンを減圧下100℃で留去した後、トルエンを加えた。得られたトルエン溶液を十分に水洗した後、減圧下でトルエンを留去し、濾過して淡黄色液体の生成物203gを得た。収率は76%であった。
【0029】
また、
図1に示されたGPCの結果から、副生成物が少なく、副反応による高分子量化の進行が極めて小さいこと、及び、生成物のエポキシ当量は154g/eq.であり、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィドのジグリシジルチオエーテルのエポキシ当量133g/eq.と近似していることが確認された。
【0030】
[比較例1]
温度計、攪拌機及び冷却管を備えたガラス製フラスコに、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド20g(0.13モル)、水酸化ナトリウム10.4g(0.26モル)及び溶媒としてメタノール500mlを仕込み、完全に溶解するまで攪拌した。
次にエピクロルヒドリン25.2g(0.273モル)を、室温で1時間かけて滴下した後、同温度で3時間熟成した。
【0031】
次に、得られた反応液に水300mlを加え、メタノールを留去し、冷却後、酢酸エチル200mlを加えて抽出し、酢酸エチル相を分離した。抽出後の水相に、酢酸エチル200mlを更に加えて再度抽出し、酢酸エチル相を分離して、1回目の酢酸エチル相と混合した。
酢酸エチル相を、0.1N塩酸水溶液100mlで洗浄し、次いで飽和食塩水100mlで洗浄した後、減圧下で酢酸エチルを留去し、淡黄色液体の生成物を得た。生成物の収量は7.2g(収率21%)と低いことが確認された。
【0032】
また、
図2に示されたGPCには、ピークが複数確認され、目的物であるビス(2-メルカプトエチル)スルフィドのジグリシジルチオエーテルの定量が困難であり、生成物のエポキシ当量も588g/eq.と、前述したビス(2-メルカプトエチル)スルフィドのジグリシジルチオエーテルのエポキシ当量133g/eq.に比べて極めて高いことが確認された。
これらの結果から、本従来法においては、副反応による高分子量化合物が多量に生成されることが確認された。
【0033】
上記の結果から明らかなように、
ポリチオール化合物とエピクロルヒドリン、アルカリを減圧還流下、脱水しながら反応させるという1段の反応によって、エポキシ当量が小さく、反応性、接着性に優れた
ポリグリシジルチオエーテルが、高収率で得られることが確認された。
また、エポキシ当量が小さい
ポリグリシジルチオエーテルの純度が高く、副生成物である高分子量化合物が少ないことも確認された。
【0034】
これに対し、メタノール溶媒を用いて、大気圧下で反応させた場合(比較例1)、得られる
ポリグリシジルチオエーテルは、エポキシ当量が大きく、純度が低い上、収率も低いことが確認された。