(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方側の光ファイバを保持する第1光ファイバ接続用ユニットと、前記一方側の光ファイバと突き合わせる他方側の光ファイバを固定する第1光ファイバ固定部と、これらが載置される接続治具と、を備え、
前記接続治具は、前記第1光ファイバ固定部を保持する保持部と、前記第1光ファイバ接続用ユニットを、前記第1光ファイバ固定部に接近する方向に導く案内部とを有し、
前記保持部は、前記第1光ファイバ固定部に代えて、第2光ファイバ固定部を保持可能であり、
前記案内部は、前記第1光ファイバ接続用ユニットに代えて、第2光ファイバ接続用ユニットを前記第2光ファイバ固定部に接近する方向に導くことができ、
前記第1光ファイバ固定部は、前記他方側の光ファイバが固定される基体部と、前記基体部から前記案内部に向けて延出する一対の延出部とを備え、これら延出部の間に確保された第1ユニット収容空間には、前記第1光ファイバ接続用ユニットの先端部が進入可能であり、
前記第2光ファイバ固定部は、前記他方側の光ファイバが固定される基体部と、前記基体部から前記案内部に向けて延出する一対の延出部とを備え、これら延出部の間に確保された第2ユニット収容空間には、前記第2光ファイバ接続用ユニットの先端部が進入可能であり、
前記第1光ファイバ固定部の延出部の少なくとも一方には、前記第2光ファイバ接続用ユニットが前記第1ユニット収容空間に進入するのを妨げる第1進入阻止部が形成され、
前記第2光ファイバ固定部の延出部の少なくとも一方には、前記第1光ファイバ接続用ユニットが前記第2ユニット収容空間に進入するのを妨げる第2進入阻止部が形成されている光ファイバ接続工具。
前記第1光ファイバ接続用ユニットは、一端側から挿入された前記一方側の光ファイバを、他端側から挿入された前記他方側の光ファイバに突き合わせ接続させる第1メカニカルスプライスを有し、
前記第2光ファイバ接続用ユニットは、フェルールに内蔵された前記一方側の光ファイバを前記他方側の光ファイバに突き合わせ接続させる第2メカニカルスプライスを有する
請求項1に記載の光ファイバ接続工具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の光ファイバ接続工具の第1の実施形態を説明する。
図1〜
図4に示すように、光ファイバ接続工具100は、光ファイバケーブル24の端末24aに取り付けられた光ファイバ接続用ユニット10と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持した第1ファイバホルダ90(第1光ファイバ固定部)と、これらが載置される接続治具110と、を備えている。
以下の説明において、
図3における上下方向に即して上下方向を規定して説明を行うことがある。
【0009】
光ファイバ接続用ユニット10(第1光ファイバ接続用ユニット)は、光ファイバケーブル24の端末から引き出される延出光ファイバ21(第1の光ファイバ、一方側の光ファイバ)を、挿入光ファイバ1(第2の光ファイバ、他方側の光ファイバ)と突き合わせて把持固定するメカニカルスプライス30(第1メカニカルスプライス、接続機構)と、光ファイバケーブル24を把持するケーブル把持部材70(光ファイバ把持部)と、これらを保持するユニットベース11と、スライダ120(被案内部)とを備えている。
光ファイバ接続用ユニット10については、ファイバホルダ90に近づく方向(
図3の右方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。また、メカニカルスプライスは、単に「スプライス」とも言う。
【0010】
図2、
図5、
図6、
図16に示すように、ユニットベース11は、スプライス30を脱着可能に保持するメカニカルスプライス保持部60(以下、スプライス保持部60と言う)と、光ファイバケーブル24の端末24aを脱着可能に把持するケーブル把持部材70が保持される把持部材保持部50と、を有する。
スプライス保持部60は、基体部61と、基体部61の一側縁に立設された一側突壁部62と、基体部61の他側縁に立設された他側突壁部63と、一側突壁部62の前端に設けられた前側突壁部64と、突壁部62、63の後端にそれぞれ設けられた後側突壁部65とを有する。
スプライス保持部60は、スプライス30を、向かい合う一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納して保持することができる。
【0011】
突壁部62、63の上縁には、長さ方向の中間位置に、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82(受圧壁部86)が嵌合する嵌合凹部62c、63cが形成されている。
【0012】
図6および
図26に示すように、一側突壁部62の外面62a(ファイバホルダ90の一側延出部96側に相当)には、光ファイバ接続用ユニット10の前端部をファイバホルダ90のユニット収容空間99に収容したときに、ファイバホルダ90の照合用凸部96bが入り込むことができる照合用凹部62bが形成されている。図示例の照合用凹部62bは、断面矩形の照合用凸部96bに沿う断面矩形状である。照合用凹部62bは、前後方向に沿う溝状に形成されている。
【0013】
前側突壁部64と後側突壁部65との離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に応じて設定されており、スプライス30は、前側突壁部64と後側突壁部65によって基体部61に対する前後方向の位置ずれが規制される。
スプライス保持部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
【0014】
図6、
図17に示すように、把持部材保持部50は、基体部51と、基体部51の一側縁に立設された一側突壁部52と、基体部51の他側縁に立設された他側突壁部53と、ケーブル把持部材70を位置決めするレバー部材150とを有し、ケーブル把持部材70を基体部51上で保持できる。
【0015】
図6、
図12、
図17に示すように、レバー部材150は、把持部材保持部50に保持されたケーブル把持部材70に被せるカバー板151と、その両側に設けられた側板152、152、後退規制片154とを有する。
レバー部材150は、把持部材保持部50の両側部の回転軸55を中心として回動することにより、ケーブル把持部材70を保持してその後退を規制する規制位置(
図12の実線で示す位置)と、ケーブル把持部材70の後退を規制しない待機位置(
図12の2点鎖線で示す位置)とを切り替え可能である。
【0016】
側板152は、把持部材保持部50の両側部に突設された回転軸55が挿入される軸受穴152aを有する。回転軸55を軸受穴152aに挿入すると、レバー部材150が把持部材保持部50に対して回動可能に枢着される。
レバー部材150は、規制位置において、後退規制片154(
図17参照)をケーブル把持部材70の後側に配置することにより、ユニットベース11に対するケーブル把持部材70の後退を規制することができる。
側板152は、把持部材保持部50の外面50aに突出された係合突起50bに係合する係合穴152bを有する。係合突起50bを係合穴152bに係合させることにより、レバー部材150を規制位置に維持することができる。
【0017】
把持部材保持部50及びスプライス保持部60は一体に形成することが好ましい。例えば、プラスチック製の一体成形品とすることができる。
なお、改変例として、把持部材保持部50が、ケーブル把持部材70を載せてスライド可能に設けられる板状のガイド部材(図示せず)を有する構造を挙げることができる。ガイド部材は、ケーブル把持部材70とともに前進することで、把持部材保持部50の内部へと収容される。
【0018】
図4、
図5に示すように、把持部材保持部50とスプライス保持部60の間には、ケーブル把持部材70の前側突出部75から突出する延出光ファイバ21の先端を、スプライス30のテーパ状開口部34b(
図3参照)に向けて案内する光ファイバ案内部13が設けられている。
光ファイバ案内部13は、テーパ状開口部34bの中央部に向けて傾斜する内面を有し、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入するときに、延出光ファイバ21の先端をスプライス30のテーパ状開口部34bへと案内することができる。
【0019】
ユニットベース11内には、スプライス30と、ケーブル把持部材70の把持ベース71との間に、延出光ファイバ21が撓み変形することが可能な撓み空間12が確保されている。
【0020】
図7〜
図9に示すように、スプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32と、これらを互いに閉じ合わせる方向に弾性付勢する細長形状のクランプばね33とを有する。
ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とは、半割り把持部材34を構成する。
【0021】
スプライス30については、その長手方向において、延出光ファイバ21が挿入される側(
図9の左側)を後、反対側(
図9の右側)を前として説明する。
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を後蓋部材とも言い、最も前側に位置する符号323の蓋部材を前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を中蓋部材とも言う。
【0022】
図8、
図9に示すように、スプライス30のベース部材31は、その長手方向の全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが形成されている。対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、ベース部材31の長手方向に沿う調心溝31bが形成されている。
調心溝31bは、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心する。調心溝31bは、例えばV溝(断面V字状の溝)である。調心溝31bはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝(断面U字状の溝)等も採用可能である。
調心溝31bは、ベース部材31の対向面31aの中蓋部材322に対向する部分に形成されている。
【0023】
対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において調心溝31bの両側に、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
【0024】
前蓋部材323の対向面323aには、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。
後蓋部材321の対向面321aには、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝321bが形成されている。
【0025】
スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34aの後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
【0026】
図7に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、介挿部材81の介挿片部81aを挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。
介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向の中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。
【0027】
図7〜
図9に示すように、クランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。
スプライス30のベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。
一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0028】
クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、切り込み部33dによって、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。
第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0029】
図9に示すように、延出光ファイバ21の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入される。
延出光ファイバ21のうち、半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0030】
延出光ファイバ21の挿入端部は、その先端の裸光ファイバ21aの部分がベース部材31と中蓋部材322との間に配置され、被覆21bを有する部分がベース部材31と後蓋部材321との間に配置される。
スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材322との間に、他の光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた挿入光ファイバ1とを、クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0031】
図8、
図9に示すように、挿入光ファイバ1の挿入端部は、その先端に口出しされた裸光ファイバ1aの部分がベース部材31と中蓋部材322との間に配置され、被覆1bを有する部分(被覆部)がベース部材31と前蓋部材323との間に配置される。
【0032】
図14(a)に示すように、ケーブル把持部材70は、光ファイバケーブル24を嵌め込むケーブル嵌合溝71aが形成された把持ベース71と、把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの溝幅方向両側の側壁部71b、71cの一方に枢着された押さえ蓋72と、把持ベース71から突出する前側突出部75と、を有する。
【0033】
把持ベース71は、底壁部71dに一対の側壁部71b、71cが立設され、これらの間にケーブル嵌合溝71aが確保されている。
側壁部71b、71cの互いに対向する面には、光ファイバケーブル24の端末24aを把持する複数の把持用突起71fが形成されている。図示例のケーブル把持部材70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
【0034】
押さえ蓋72は、薄肉部73を介して把持ベース71の第1側壁部71bに繋がっている天板部72aと、天板部72aの薄肉部73とは反対側の端部から天板部72aに垂直に形成された係止板部72bとを有する。
薄肉部73はヒンジ部として機能するため、押さえ蓋72は、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て回動可能とされている。
把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
【0035】
図14(b)に示すように、押さえ蓋72は、天板部72aがケーブル嵌合溝71aを閉じる状態で(閉状態)、第2側壁部71c外面の係止用爪71eを係止用窓孔72cに係止させることによって、把持ベース71に対する閉状態を安定維持できる。
ケーブル把持部材70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
【0036】
前側突出部75は、底壁部75bと、底壁部75bの上面側に突設された側壁部75cとを有するL字板状とされ、把持ベース71の前端部71gに、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に突出して形成されている。
底壁部75bの上面には、前側突出部75の延在方向に沿って、延出光ファイバ21を収容する光ファイバ保持溝74が形成されている。
光ファイバ保持溝74は、上に向けて開放されて形成されているため、内部に収容した延出光ファイバ21の上方移動を規制しない。このため、光ファイバ保持溝74に保持された部分の延出光ファイバ21は、上方に撓み変形することができる。
【0037】
図14(a)に示すように、押さえ蓋72を開放状態として、光ファイバケーブル24の端末24aをケーブル嵌合溝71aに嵌め込むと、把持ベース71の側壁部71b、71cの把持用突起71fが光ファイバケーブル24の外被25の側面に当接し、光ファイバケーブル24の端末24aが把持固定される。
光ファイバケーブル24の外被25の前端は、ケーブル嵌合溝71aの前端に達することが好ましい。
【0038】
図14(b)に示すように、押さえ蓋72を閉状態として側壁部71cに係止させることによって、ケーブル把持部材70は光ファイバケーブル24の端末24aに取り付けられる。
【0039】
図5に示すように、スライダ120は、基板部121と、その上面に立設された一対の側壁部122とを有する。
スライダ120は、側壁部122間の空間であるユニット収納空間126に、ユニットベース11を保持することができる。
【0040】
側壁部122の外面には、凹部122aが形成されている。凹部122aには、スプライス用工具80の係合壁部87が嵌合され、係合壁部87の前後方向の位置を規定する。
側壁部122の外面には、接続治具110の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
側壁部122には、係合壁部87の突爪87aが挿入される孔部125が形成されている。
【0041】
図16に示すように、光ファイバケーブル24は、例えば光ファイバ21を、該光ファイバ21に縦添えした一対の線状の抗張力体26とともに樹脂被覆材25(外被とも言う)中に埋め込んで一体化した構成の断面略長方形の光ファイバケーブルであり、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いられるものである。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
【0042】
延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0043】
図1、
図10〜
図12に示すように、スプライス30には、スプライス用工具80を取り付けることができる。
スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間を押し広げる介挿片部81aを有する2つの介挿部材81と、介挿部材81を駆動するスリーブ状の介挿部材駆動部82と、介挿部材駆動部82から突出する一対の係合壁部87とを有する。
【0044】
図12に示すように、2つの介挿部材81は、介挿部材駆動部82に、その軸線方向(前後方向)に互いに離隔させて取り付けられている。
介挿部材81は、介挿部材駆動部82に設けられた介挿部材支持部89に支持された幹部84と、幹部84から介挿部材駆動部82の中心軸線方向に延出する介挿片支持部83と、介挿片支持部83の延在方向複数箇所(図示例では2箇所)に突設された介挿片部81aとを有する。これら介挿片部81aは、介挿部材本体83の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0045】
図10および
図12に示すように、介挿部材駆動部82は、スプライス30に対面する受圧壁部86と、受圧壁部86に対向する対向壁部85と、受圧壁部86と対向壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88とを有する。
受圧壁部86は、突壁部62、63の嵌合凹部62c、63cに嵌合することによって、ユニットベース11に対してスプライス用工具80の前後方向の移動が規制され、位置決めされる。
介挿部材支持部89は、介挿部材駆動部82の対向壁部85の下面に、受圧壁部86に向かって突出して形成されており、その内部に、この方向(上下方向)に沿う貫通孔89aを有する。貫通孔89aの内部には、段差面89cを有する凹部89bが形成されている。
【0046】
図12に示すように、幹部84は、貫通孔89aに挿通して介挿部材駆動部82に取り付けられている。
幹部84先端部(延出端部)の側面には、外方に突出する係合爪84aが形成されている。係合爪84aは、貫通孔89a内の段差面89cに係合可能である。
【0047】
図11に示すように、スプライス用工具80は、介挿片部81aをスプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませた状態でスプライス30に取り付けられる。
【0048】
図10に示すように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の両側部分(駆動部側壁部88)を押圧して(側圧Pを参照)互いに接近させることができる。
すなわち、駆動部側壁部88(押圧用板部88c)に側圧Pを作用させて、これら押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、駆動部側壁部88を変形させて受圧壁部86と対向壁部85との間の離隔距離が増大させ、段差面89cに係合した幹部84を押し上げ、介挿片部81aをスプライス30から抜き去ることができる。
【0049】
係合壁部87は、受圧壁部86の両側部からそれぞれ介挿部材駆動部82外側に突出して形成されている。
係合壁部87の突端部には、内方に突出された突爪87aが形成されている。
係合壁部87は、スライダ120の凹部122a内に配置するとともに、突爪87aを側壁部122の下縁(孔部125の内縁)に係合させることができ、これによって、スプライス用工具80は、ユニットベース11およびスライダ120を抱え込んだ形でスプライス30に取り付けられ、これら相互の移動が規制される。
【0050】
図15に示すように、接続治具110は、光ファイバ接続用ユニット10を案内する第1案内部132と、ファイバホルダ90を保持する第2案内部142(ファイバホルダ保持部)とを有する治具基部130を備えている。
第1案内部132は、光ファイバ接続用ユニット10をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部135、135とを有する。
【0051】
一対の案内壁部135は、第1案内部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ120の基板部121の両側縁部121aが当接することによって、光ファイバ接続用ユニット10の幅方向の移動を規制できる。
案内壁部135の下部内面には、光ファイバ接続用ユニット10の浮き上がり(接続治具110から離れる方向の光ファイバ接続用ユニット10の移動)を規制する溝部135aが形成されている。
溝部135aは、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
【0052】
治具基部130には、第1案内部132上の光ファイバ接続用ユニット10を位置決めする一対の弾性係止片136が形成されている。
弾性係止片136は、第1案内部132の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1案内部132の前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端はスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出して形成されている。
【0053】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1案内部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1案内部132に沿って前進させた光ファイバ接続用ユニット10(スライダ120)に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0054】
第2案内部142は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部145、145とを有する。
一対の案内壁部145は、第2案内部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90の幅方向の移動を規制できる。
【0055】
治具基部130には、ファイバホルダ90を位置決めする一対の弾性係止片146が形成されている。
弾性係止片146は、治具基部130から突出する突出板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
係合片部146bは、突出板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出して形成されている。
【0056】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2案内部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、突出板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2案内部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
【0057】
第1案内部132のスライド面133には、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って、溝部139が形成されている。
溝部139の底部には、スライド面133上に突出する弾性突出片137が形成されている。
弾性突出片137は、前後方向に沿って、第2案内部142に近づく方向に徐々に上昇しつつ延出する傾斜板部137aと、傾斜板部137aの延出端から前後方向に沿って、スライド面133と平行に延出する延出板部137bとを有する。
延出板部137bの上面の高さ位置は、第2案内部142上で位置決めされたファイバホルダ90から延出した挿入光ファイバ1に近接する位置であることが好ましい(
図19(a)参照)。
【0058】
弾性突出片137は、基端部137cにおいて弾性的に曲げ変形可能である。
このため、光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上で前進させる際には、傾斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
【0059】
弾性突出片137には、ファイバホルダ90からメカニカルスプライス30に向けて突出する挿入光ファイバ1の位置確認用の1または複数の表示140を形成することができる。
図示例では、表示140は、傾斜板部137aまたは延出板部137bに形成された凹部または孔部である。なお、表示140は識別可能であればよく、その形態は図示例に限定されず、凸部や着色によって形成してもよい。
図示例の表示140は、光ファイバカッター(図示略)によって長さ調整される前の挿入光ファイバ1の先端の位置確認用の表示140aと、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aの先端の位置確認用の表示140bと、挿入光ファイバ1の被覆1bの先端の位置確認用の表示140cとを有する。
表示140aは傾斜板部137aに形成されている。表示140b、140cは、延出板部137bに、長さ方向に位置を違えて形成されている。
挿入光ファイバ1の先端を、表示140(140a〜140c)と照合することによって、ファイバホルダ90から突出する挿入光ファイバ1の処理長さ(長さ調整前の挿入光ファイバ1の長さ、裸光ファイバ1aの先端までの長さ、および被覆1bの先端までの長さ)を容易に確認でき、精度の高い接続作業が可能となる。
【0060】
治具基部130の第2案内部142の下部には、光ファイバ接続工具100を仮置きするための切欠き130aが形成されている。切欠き130aは、第2案内部142の下縁から後方に行くに従って徐々に上昇するように斜め方向に形成されている。
光ファイバ接続工具100は、例えばクロージャのケース(図示略)の端縁部を切欠き130aに挿入した状態で前記ケースに係止させることによって、仮置きすることができる。
【0061】
図13に示すように、光ファイバホルダ90(第1光ファイバ固定部)は、ベース部91と、ヒンジ部となる基端部92aでベース部91に対し回動自在に結合された蓋体92とを有し、ベース部91上の挿入光ファイバ1を、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
ファイバホルダ90については、光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向(
図3の左方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。
【0062】
ベース部91は、基体部95と、その前端面の一側部から前方に延出する一側延出部96と、基体部95の前端面の他側部から前方に延出する他側延出部97とを備えている。
一側延出部96および他側延出部97の間に確保されたユニット収容空間99(第1ユニット収容空間)には、光ファイバ接続用ユニット10の前端部を収容できる。
【0063】
ベース部91(基体部95)の上面91bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部93aを有する第1保持壁部93と、位置決め凹部94aを有する第2保持壁部94とが形成されている。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成されている。
【0064】
ベース部91(基体部95)の上面には、位置決め凹部93aから位置決め凹部94aを経て前後方向に延在する直線状の位置決め溝91aが形成されている。位置決め溝91aは、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
一側延出部96および他側延出部97の外側面には、弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0065】
一側延出部96の内面96aには、内方に突出する照合用凸部96b(第1進入阻止部)が前後方向に沿って延在して形成されている。
照合用凸部96bは、光ファイバ接続用ユニット10の照合用凹部62bに入り込む形状のものであって、光ファイバ接続用ユニット10以外の光ファイバ接続用ユニット(例えば
図22の光ファイバ接続用ユニット20)に対して用いられたときに、その先端部がユニット収容空間99に進入するのを阻止する。
図示例の照合用凸部96bは、断面矩形状である。
【0066】
蓋体92をベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)では、蓋体92は保持壁部93、94の間に配置される。
蓋体92の基端部92a(ヒンジ部)とは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部91cに係脱自在に嵌合できる。
蓋体92は、ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部91cに係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91(基体部95)に押さえ込んで把持固定できる。
蓋体92はベース部91と一体に成形されてもよい。
【0067】
次に、光ファイバ接続工具100を用いて延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する方法について、
図17〜
図19を参照しつつ説明する。
図17に示すように、予め、スプライス用工具80を光ファイバ接続用ユニット10に取り付けることによって、介挿片部81aをスプライス30の把持部材34間に割り入れ、スプライス30を、挿入された光ファイバ1、21が自由に挿入および抜去方向に移動できる状態としておく。
【0068】
図18に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部91の位置決め溝91a内に配置し、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、前方への所定の突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、挿入光ファイバ1に撓みが生じない場合に、スプライス30内の最適位置で裸光ファイバ1a、21a同士が突き当てられるように設定する。
前記突出長は、例えば、光ファイバ接続用ユニット10およびファイバホルダ90が弾性係止片136、146によって位置決めされたときに、裸光ファイバ1a先端がスプライス30の中央位置に達する長さとすることができる。
【0069】
ファイバホルダ90は、第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起98を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。
【0070】
次いで、
図17に示すように、光ファイバケーブル24を把持したケーブル把持部材70を把持部材保持部50に載せ、基体部51上で前進させることによって、スプライス30の一端側に延出光ファイバ21を挿入する。
把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの前端からの延出光ファイバ21の突出長は、光ファイバ接続用ユニット10が前進限界位置(後述)にあるときに、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くする。
レバー部材150を回動させてケーブル把持部材70の後退を規制する。
【0071】
図18および
図19(a)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10を、接続治具110の第1案内部132のスライド面133上に載置する。光ファイバ接続用ユニット10は、案内壁部135によって幅方向の移動が規制される。
【0072】
次いで、光ファイバ接続用ユニット10をファイバホルダ90に向かって前進させる。
光ファイバ接続用ユニット10の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部135の内面の溝部135aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上でファイバホルダ90に向かって前進させる際には、弾性突出片137の斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
【0073】
図19(b)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、挿入光ファイバ1は、スプライス保持部60内のスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
図19(c)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10をさらに前進させると、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aは調心溝31bに挿入されて、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられる。
符号C1は突き合わせ接続位置である。
【0074】
図19(d)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10をさらに前進させ、係止用突起127を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させる。
これによって、光ファイバ接続用ユニット10は、弾性係止片136によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面133上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット10の位置を前進限界位置と言う。
この際、スプライス30とケーブル把持部材70との間の延出光ファイバ21には、撓み変形21cが生じる。
【0075】
図19(c)等において、L1は、スプライス30の後端とケーブル把持部材70との間に確保される第1の撓み幅であり、L2は、スプライス30とファイバホルダ90との間に確保される第2の撓み幅である。
【0076】
図4および
図13に示すように、前進限界位置では、光ファイバ接続用ユニット10の前端部は、ファイバホルダ90の一側延出部96と他側延出部97との間のユニット収容空間99に進入する。
図26に示すように、この際、ファイバホルダ90の照合用凸部96bは光ファイバ接続用ユニット10の照合用凹部62bに入り込むため、光ファイバ接続用ユニット10の進入が阻止されることはない。
このため、光ファイバ接続用ユニット10は、挿入光ファイバ1の把持位置に十分に近づくことができる。
【0077】
次いで、
図19(e)および
図10に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿片部81aを抜き去る。
スプライス30から介挿片部81aを抜き去ると、スプライス30の半割り把持部材34が、クランプばね33の弾性によって裸光ファイバ1a、21aを、突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
延出光ファイバ21の撓み変形21cの大部分は、ユニットベース11の把持部材保持部50とレバー部材150に囲まれ、外力から保護される。
【0078】
延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続した光ファイバ接続工具100は、光ファイバ接続箱(例えばクロージャ、光成端箱等)内に収納して設置できる。
【0079】
挿入光ファイバ1の突出長および口出し長さの調整は、挿入光ファイバ1を固定したファイバホルダ90を光ファイバカッター(図示略)に載置して挿入光ファイバ1を所定の長さに切断した後、ファイバホルダ90をストリッパ(図示略)に移して挿入光ファイバ1の先端部の被覆を除去する方法がとられる。
光ファイバカッターおよびストリッパは、光ファイバの位置決めのための基準面の位置を変えることができないため、通常は、ファイバホルダと基準面との間に所定の大きさのスペーサを置いてファイバホルダの位置を調整することが必要となり、操作が煩雑となる。
これに対し、光ファイバ接続工具100では、ファイバホルダ90が一側延出部96と他側延出部97とを備えているため、スペーサを使用しなくても、これら延出部96、97によって、光ファイバカッターおよびストリッパの基準面に対する位置調整が可能となる。すなわち、ベース部91(基体部95)を基準面から離れた位置に位置決めできる。
スペーサを使用する必要がないため、ファイバホルダ90からの突出長および口出し長さの調整の際の作業が容易になる。
また、延出部96、97は、それらの間に光ファイバ接続用ユニット10の前端部を進入させることができるため、接続作業では光ファイバ接続用ユニット10を挿入光ファイバ1の把持位置に十分に近づけることができる。よって、延出部96、97があるにもかかわらず、挿入光ファイバ1の余長を必要以上に長く確保する必要はない。
【0080】
次に、光ファイバ接続工具の第2の実施形態を説明する。以下の説明において、第1実施形態との共通部分については同じ符号を付して説明を省略する。
図20〜
図22に示すように、光ファイバ接続工具200は、光ファイバ接続用ユニット20と、挿入光ファイバ1を把持した第2ファイバホルダ190(第2光ファイバ固定部)と、これらが載置される接続治具110と、を備えている。
光ファイバ接続用ユニット20(第2光ファイバ接続用ユニット)は、光コネクタ210と、これを保持するスライダ220(被案内部)とを備えている。
光ファイバ接続用ユニット20については、ファイバホルダ190に近づく方向を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。また、クランプ部付きフェルール160の説明に限っては、フェルール161の接合端面161bに向かう方向を前方ということがある。
【0081】
光コネクタ210は、断面矩形のスリーブ状のつまみ170と、つまみ170内に設けられたスリーブ状のハウジング180と、ハウジング180内に設けられたクランプ部付きフェルール160とを備えている。
【0082】
図21および
図23に示すように、クランプ部付きフェルール160は、光ファイバ162(内蔵光ファイバ162。第1の光ファイバ、一方側の光ファイバ)を内挿固定したフェルール161の後側に、クランプ部163(第2メカニカルスプライス、接続機構)を組み立てたものである。
クランプ部163は、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aと、後側から挿入して内蔵光ファイバ162後端に突き当てた光ファイバ1先端部とを把持固定して光ファイバ162、1同士の突き合わせ接続状態を維持する。
【0083】
クランプ部163は、フェルール161のフランジ部164から後側に延出するベース部材165(後側延出片165)(ベース側素子)と蓋部材166、167(蓋側素子)と、これらを内側に一括保持したクランプばね168とを備えている。
クランプ部163は、ベース部材165と蓋部材166、167との間に、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aと、内蔵光ファイバ162後端に突き当てた挿入光ファイバ1先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0084】
内蔵光ファイバ162は、フェルール161にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔161aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール161に固定されている。このため、フェルール161は内蔵光ファイバ162を、クランプ部163の前側でクランプ部163に対し位置決めする位置決め機構として機能する。
内蔵光ファイバ162の前端の端面は、フェルール161先端(前端)の接合端面161bに露出している。
フェルール161の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部164が一体化されている。
クランプ部163は、フランジ部164からフェルール161後側へ延出された後側延出片165と、蓋部材166、167とを、クランプばね168の内側に一括保持した構成になっている。
【0085】
後側延出片165の蓋部材166、167に対面する対向面165a(溝形成面)には、内蔵光ファイバ162の後側突出部162aをフェルール161のファイバ孔161aの後方延長上に位置決めする調心溝169aと、調心溝169aの後端から後方に延在する被覆部収納溝169bが形成されている。
【0086】
後蓋部材167の対向面167aには、後側延出片165の被覆部収納溝169bに対応する位置に被覆部収納溝169cが延在形成されている。
前蓋部材166には、後側延出片165の対向面165aに対面する平坦な対向面166aが形成されている。
【0087】
後側延出片165と蓋部材166、167との間には、スプライス用工具230の介挿片部231aが抜き去り可能に介挿できる(
図24参照)。
図21に示すように、介挿片部231aは、つまみ170の挿通孔170a、および、ハウジング180の挿通孔181aを介してクランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間に挿入できる。
【0088】
ハウジング180は、スリーブ状(円筒状)の本体部181と、本体部181の後端から後方に延出するスリーブ状(円筒状)の延出筒部182とを有する。
本体部181には、その軸線方向に間隔をおいて、介挿片部231aが挿通可能な2つの挿通孔181aが形成されている。2つの挿通孔181aは、本体部181の軸線方向に間隔をおいて形成されている。
延出筒部182の外周面には、凹凸部182aを形成することが好ましい。図示例の凹凸部182aは、延出筒部182の周方向に沿う複数の環状凸部からなる。
【0089】
図21において、符号171は、フェルール161が挿入される位置決めスリーブである。
符号172は、クランプ部付きフェルール160を保持し、位置決めする保持具である。保持具172は、基部173と、基部173から延出する一対の弾性片174とを有し、弾性片174,174間にクランプ部付きフェルール160を保持できる。
【0090】
図21に示すように、スライダ220は、基板部221と、その上面に立設された一対の側壁部222と、基板部221の前端から前方に突出して形成されたハウジング支持部223と、基板部221から上方に突出して光コネクタ210を位置決めする一対の弾性係止片225と、を有する。
スライダ220は、側壁部222間の空間224に、光コネクタ210を保持することができる。
【0091】
弾性係止片225は、側壁部222の上縁から上方に突出する板状とされ、先端部の内面には、光コネクタ210のつまみ170に係止する係止凸部225aが形成されている。弾性係止片225は、弾性的に曲げ変形可能である。
側壁部222の外面には、接続治具110の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起227が外側方に突出して形成されている。
【0092】
図21および
図22に示すように、ハウジング支持部223は、基体部226と、その上面から突出する一対の側板部227とを有し、側板部227、227間の収容空間228にハウジング180の延出筒部182を保持できる。
【0093】
図22および
図27に示すように、基体部226の一方の側面226a(ファイバホルダ190の他側延出部197側に相当)には、他側延出部197の照合用凸部197bが入り込むことができる照合用凹部226bが形成されている。図示例の照合用凹部226bは、断面矩形の照合用凸部197bに沿う断面矩形状である。照合用凹部226bは、前後方向に沿う溝状に形成されている。
基体部226の他方の側面226c(ファイバホルダ190の一側延出部196側に相当)には、側方に突出する凸部226dが前後方向に沿って延在して形成されている。
【0094】
図21、
図22および
図24に示すように、クランプ部付きフェルール160のクランプ部163には、スプライス用工具230を取り付けることができる。
スプライス用工具230は、クランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間を押し広げる介挿片部231aを有する2つの介挿部材231と、介挿部材231を駆動するスリーブ状の介挿部材駆動部232と、介挿部材駆動部232から突出する一対の係合壁部237とを有する。
【0095】
2つの介挿部材231、231は、介挿部材駆動部232に、その軸線方向に互いに離隔させて設けられている。
スプライス用工具230は、介挿片部231aを後側延出片165と蓋部材166、167との間に割り込ませた状態でクランプ部163に取り付けられる。
【0096】
スプライス用工具230は、介挿部材駆動部232の両側部分を押圧して(
図10を参照)互いに接近させることで、介挿部材駆動部232の受圧壁部236に対して対向壁部235を上昇させることができる。これによって、介挿片部231aをクランプ部163から抜き去ることができる。
【0097】
係合壁部237の突端部には、光ファイバ接続用ユニット20に係止する突爪237aが内方に突出して形成されている。
スプライス用工具230は、係合壁部237、237間に光ファイバ接続用ユニット20を保持することができる。
【0098】
図25に示すように、第2案内部142に保持される光ファイバホルダ190は、ベース部191と、ヒンジ部となる基端部192aでベース部191に対し回動自在に結合された蓋体192とを有し、ベース部191上の挿入光ファイバ1を、蓋体192によってベース部191に押さえ込んで把持固定できる。
蓋体192はベース部191と一体に成形されてもよい。
ファイバホルダ190については、光ファイバ接続用ユニット20に近づく方向を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。
【0099】
ベース部191は、基体部195と、その前端面の一側部から前方に延出する一側延出部196と、基体部195の前端面の他側部から前方に延出する他側延出部197とを備えている。
一側延出部196および他側延出部197は、その間に確保されたユニット収容空間199(第2ユニット収容空間)に、光ファイバ接続用ユニット20の前端部を収容できる。
【0100】
一側延出部196の内面196aには、前後方向に沿う溝状の凹部196bが形成されている。
【0101】
図25および
図27に示すように、他側延出部197の内面197aには、内方に突出する照合用凸部197b(第2進入阻止部)が前後方向に沿って形成されている。
照合用凸部197bは、光ファイバ接続用ユニット20の照合用凹部226bに入り込む形状のものであって、光ファイバ接続用ユニット20以外の光ファイバ接続用ユニット(例えば
図5の光ファイバ接続用ユニット10)に用いられた場合には、その先端部がユニット収容空間199に進入するのを阻止する。
図示例の照合用凸部197bは、断面矩形状である。
【0102】
ベース部191(基体部195)の上面191bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部193aを有する第1保持壁部193と、位置決め凹部194aを有する第2保持壁部194と、位置決め凹部195aを有する台部195bと、が形成されている。
第2保持壁部194は第1保持壁部193の前方に、第1保持壁部193から離間して形成されている。
台部195bは第2保持壁部194の前方に、第2保持壁部194から離間して形成されている。
【0103】
ベース部191(基体部195)の上面には、位置決め凹部193aから位置決め凹部194aを経て前後方向に延在する直線状の位置決め溝191aが形成されている。位置決め溝191aは、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
一側延出部196および他側延出部197の外側面には、弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起198が外側方に突出して形成されている。係止用突起198の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0104】
蓋体192をベース部191の上面191bに被せた状態(閉状態)では、蓋体192は保持壁部193、194の間に配置される。
蓋体192の基端部192a(ヒンジ部)とは反対の端部である先端部192b側に形成された係止突起192cは、ベース部191に形成された係止凹部191cに係脱自在に嵌合できる。
蓋体192は、ベース部191の上面191bに被せた状態(閉状態)で、係止突起192cをベース部191の係止凹部191cに係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部191(基体部195)に押さえ込んで把持固定できる。
【0105】
第1ファイバホルダ90と第2ファイバホルダ190は、互いに異なる色を呈することが好ましい。例えば、第1ファイバホルダ90を黒色とし、第2ファイバホルダ190を白色とすることができる。
これによって、第1ファイバホルダ90と第2ファイバホルダ190とを目視で容易に識別できる。
第1光ファイバ接続用ユニット10の少なくとも一部は、第1ファイバホルダ90と同系の色を呈し、第2光ファイバ接続用ユニット20の少なくとも一部は、第2ファイバホルダ190と同系の色を呈することが好ましい。
同系の色とは、同じまたは近接した色相を有する色である。色相が同じまたは近接していれば、明度や彩度が異なっていてもよい。
例えば、第1ファイバホルダ90が黒色であるときには、第1光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース11またはスライダ120を黒色とすることができる。
また、第2ファイバホルダ190が白色であるときには、第2光ファイバ接続用ユニット20のスライダ220を白色とすることができる。
これによって、光ファイバ接続用ユニット10、20と、ファイバホルダ90、190との正しい組み合わせを目視により確認しやすくなるため、誤操作を確実に防止できる。
光ファイバ接続用ユニット10、20とファイバホルダ90、190に採用できる色としては、白、黒に限らず、赤、青、黄、緑、橙等がある。
【0106】
次に、光ファイバ接続工具200を用いて内蔵光ファイバ162と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する方法について、
図28を参照しつつ説明する。
図22〜
図24に示すように、予め、スプライス用工具230を光ファイバ接続用ユニット20に取り付けることによって、介挿片部231aをクランプ部163の後側延出片165と蓋部材166、167との間に挿入し、挿入光ファイバ1が挿入可能な状態とする。
【0107】
図25に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部191の位置決め溝191a内に配置し、蓋体192によってベース部191に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、前方への所定の突出長を確保してファイバホルダ190に固定する。
ファイバホルダ190は、第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起198を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させて位置決めする。
【0108】
次いで、
図28(a)および
図28(b)に示すように、光ファイバ接続用ユニット20を、接続治具110の第1案内部132のスライド面133上に載置し、案内壁部135によって幅方向の移動が規制された状態で、ファイバホルダ190に向かって前進させる。
光ファイバ接続用ユニット20の移動過程では、基板部221の両側縁部221aが側壁部135の内面の溝部135aに入り込むことによってスライダ220の浮き上がりが規制される。
【0109】
図28(c)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10の前進によって、係止用突起227を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させることによって、光ファイバ接続用ユニット20は、弾性係止片136によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面133上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット20の位置を前進限界位置と言う。
挿入光ファイバ1は、クランプ部付きフェルール160の調心溝169aに挿入され、内蔵光ファイバ162の後端に突き当てられる。符号C1は突き合わせ接続位置である。クランプ部付きフェルール160とファイバホルダ190の間の挿入光ファイバ1には撓みが形成されてもよい。
【0110】
図25に示すように、前進限界位置では、光ファイバ接続用ユニット20の前端部は、ファイバホルダ190の一側延出部196と他側延出部197との間に確保された第2ユニット収容空間199に進入する。
図27に示すように、この際、ファイバホルダ190の照合用凸部197bは光ファイバ接続用ユニット20の照合用凹部226bに入り込むため、光ファイバ接続用ユニット20の進入が阻止されることはない。
このため、光ファイバ接続用ユニット20は、挿入光ファイバ1の把持位置に十分に近づくことができる。
【0111】
図28(d)に示すように、スプライス用工具230を操作して、クランプ部163から介挿片部231aを抜き去ると、クランプばね168の弾性によって、後側延出片165と蓋部材166、167との間に光ファイバ1先端の裸光ファイバ1aが把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール160の内蔵光ファイバ162に対する光ファイバ1の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0112】
図26に示すように、第1の実施形態の光ファイバ接続工具100では、光ファイバ1、21の接続にあたって、第1ファイバホルダ90の一側延出部96の照合用凸部96b(第1進入阻止部)が第1光ファイバ接続用ユニット10の照合用凹部62bに入り込むため、第1光ファイバ接続用ユニット10の前端部は、支障なくユニット収容空間99に進入することができるようになる。
一方、
図27に示すように、第2の実施形態の光ファイバ接続工具200では、光ファイバ162、21の接続にあたって、第2ファイバホルダ190の他側延出部197の照合用凸部197b(第2進入阻止部)が第2光ファイバ接続用ユニット20の照合用凹部226bに入り込むため、第2光ファイバ接続用ユニット20の前端部は、支障なくユニット収容空間199に進入することができる。
【0113】
図26および
図27からわかるように、第2光ファイバ接続用ユニット20の他側面には凹部がないため、仮に、第2光ファイバ接続用ユニット20を第1ファイバホルダ90に使用しようとすると、第1ファイバホルダ90の照合用凸部96bによって、第2光ファイバ接続用ユニット20のユニット収容空間99への進入は阻止される。
逆に、第1光ファイバ接続用ユニット10の一側面には凹部がないため、第1光ファイバ接続用ユニット10を第2ファイバホルダ190に使用しようとすると、第2ファイバホルダ190の照合用凸部197bによって、第1光ファイバ接続用ユニット10のユニット収容空間199への進入が阻止される。
【0114】
すなわち、
図29に示すように、第1光ファイバ接続用ユニット10と第2ファイバホルダ190との組み合わせでは、接続操作に支障が生じ、同様に、第2光ファイバ接続用ユニット20と第1ファイバホルダ190との組み合わせでも接続操作に支障が生じる。
これに対し、第1光ファイバ接続用ユニット10と第1ファイバホルダ190との組み合わせ、または、第2光ファイバ接続用ユニット20と第2ファイバホルダ190との組み合わせでは、問題なく接続作業が可能である。
このように、光ファイバ接続工具100、200によれば、光ファイバ接続用ユニット10、20と、ファイバホルダ90、190との組み合わせが正しくないと接続作業を行うことができないことから、誤操作を確実に防止できる。
【0115】
上述の例では、第1ファイバホルダ90の一側延出部96に、照合用凸部96b(第1進入阻止部)を形成し、第2ファイバホルダ190の他側延出部197に照合用凸部197b(第2進入阻止部)を形成した。すなわち、第1ファイバホルダ90の第1進入阻止部と第2ファイバホルダ190の第2進入阻止部とを、互いに異なる側の延出部に形成した。
このため、ファイバホルダ90、190に対する光ファイバ接続用ユニット10、20の進入位置が変動しても、組み合わせが異なる光ファイバ接続用ユニット10、20の進入を確実に阻止できる。
【0116】
本発明では、第1進入阻止部の形状は、第2光ファイバ接続用ユニットに当接してその進入を妨げるものであれば、図示例に限定されない。同様に、第2進入阻止部の形状は、第1光ファイバ接続用ユニットに当接してその進入を妨げるものであれば、図示例に限定されない。
例えば、図示例ではファイバホルダ側に凸部を形成し、光ファイバ接続用ユニット側にこれに応じた凹部を形成したが、逆に、ファイバホルダに凹部を形成し、光ファイバ接続用ユニットに、これに応じた凸部を形成してもよい。
また、上述の例では、照合用凸部96b(第1進入阻止部)は第1ファイバホルダ90の一側延出部96に形成され、照合用凸部197b(第2進入阻止部)は第2ファイバホルダ190の他側延出部197に形成されているが、第1および第2進入阻止部が、いずれも一側延出部と他側延出部のうち一方にのみ形成されていてもよい。
なお、第1および第2進入阻止部の形状は断面矩形状に限定されず、断面円弧状、断面多角形状などとしてよい。
【0117】
スプライス、介挿部材、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
挿入光ファイバは特に限定されず、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアにわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等を例示できる。