特許第5827976号(P5827976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827976
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20151112BHJP
   B24B 21/00 20060101ALI20151112BHJP
   B24B 21/04 20060101ALI20151112BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   B24B41/06 L
   B24B21/00 A
   B24B21/04
   H01L21/304 622G
   H01L21/304 622Y
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-156521(P2013-156521)
(22)【出願日】2013年7月29日
(62)【分割の表示】特願2008-55946(P2008-55946)の分割
【原出願日】2008年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-248733(P2013-248733A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2013年7月29日
【審判番号】不服-2694(P-2694/J1)
【審判請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】前田 和昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭瑞
(72)【発明者】
【氏名】関 正也
(72)【発明者】
【氏名】草 宏明
【合議体】
【審判長】 平岩 正一
【審判官】 齋藤 健児
【審判官】 西村 泰英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−241434(JP,A)
【文献】 特開平2−9562(JP,A)
【文献】 特開2001−205549(JP,A)
【文献】 特開2002−329687(JP,A)
【文献】 特開2005−305586(JP,A)
【文献】 特開2000−84838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B21/00-21/22
B24B41/06
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを保持して回転させる基板保持機構と、
スプリングによって押圧力を与えられた加圧パッドによって、研磨具を前記ウエハ上面側の外周部に押圧して該外周部を研磨する研磨機構と、
前記ウエハの外周部を液体で支持する外周部支持機構と、を備え、
前記研磨機構は、前記基板保持機構に保持されたウエハの上面側に配置され、
前記外周部支持機構は、前記基板保持機構に保持されたウエハの下面側に配置され、
前記ウエハの外周部は、前記外周部支持機構から噴射される液体により、該ウエハの下面側から支持されることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記ウエハの外周部は、該ウエハの最端部から内側に向かった平坦部であることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記液体は、圧力調整されていることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記液体は、純水であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記外周部支持機構から噴射される液体の幅が、前記研磨具が前記ウエハの外周部に接触する幅よりも広いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記研磨具は研磨テープであり、
前記研磨装置は、前記研磨機構に研磨テープを供給する研磨テープ供給機構をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の平坦面を含む外周部を研磨する研磨装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、基板としてウエハが使用される。半導体デバイスの製造プロセスには、ウエハに膜を積層するプロセスと、積層された膜を除去するプロセスが複数存在する。これらプロセスの過程でウエハの外周部には表面荒れを生じ、そこからパーティクルと呼ばれる微小な汚染物質が発生する。
【0003】
この汚染物質をそのまま放置すると、その一部は、その後の基板の移送や処理の過程で基板の外周部からウエハの表面中央部に向かって移動することとなる。ウエハの表面には碁盤の目状にデバイスが形成されており、このデバイス上に汚染物質が付着すると、デバイスの品質は低下し、不良品の原因ともなる。このような問題を避けるためには、ウエハの外周部を処理することが必要不可欠である。
【0004】
また、半導体デバイスの製造プロセスでは、先にも述べた通り、ウエハには膜が何層も積層される。この過程の中で、積層した膜の外周部のみを除去したいという要求がある。例えば、ある膜を形成して次の処理に移るとき、ウエハの外周部が搬送機構で把持された状態でウエハが移送される。このとき、ウエハの外周部上にある膜自体が搬送機構に付着し、その後の工程に汚染物質として拡散してしまうことがある。このような汚染物質の拡散を防止するために、ウエハを掴む場所(ウエハ外周部)をあらかじめ処理して、ウエハの外周部から膜を除去しておくのである。
【0005】
ウエハの外周部を処理する方法の一つとして、研磨処理が挙げられる。この研磨処理は、研磨具を基板の片面から当てるものと、両面から当てるもので大きく二つに分かれる。特許文献1には、研磨帯を片面から基板に当てる研磨方法が開示されている。この特許文献1では、研磨帯をウエハの外周側から中心側に向かって移動させつつ、下向きの力を基板の外周部に加えている。特許文献2では、研磨ドラムを下向きの力で上面ベベル部に押付けている。特許文献3では、基板の上方または下方から研磨テープを基板の外周部に押し付けている。これら三つの方法では、ウエハの外周部が押圧力により撓むことが考えられ、平坦な面である外周部に平行に研磨具を接触させて研磨することが困難と思われる。
【0006】
一方、基板の両側から研磨具を当てる研磨方法として、特許文献4および特許文献5に記載されている方法が知られている。これら特許文献4,5に記載された方法によれば、研磨具がウエハの両側からウエハを摘むので、ウエハの撓みについては問題がないと考えられる。しかしながら、研磨具の研磨面とウエハの面とが互いに平行にならないため、基板外周部の平坦な表面をその面の角度を維持しつつ均一に削ることは困難である。
【0007】
そこで、特許文献6では、ウエハの外周部の真上と真下から研磨具を当て研磨する方法が提案されている。この研磨方法は、ウエハの撓みに関しても問題を生じなく、外周部を平坦に研磨することにも適している。しかしながら、この研磨方法では、基板の上面側の外周部と下面側の外周部のうちの一方だけを処理することはできず、必ず両側の外周部を処理することととなり、一方の外周部のみを研磨したいという要請に応えることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−205549号公報
【特許文献2】特開2007−208161号公報
【特許文献3】特開2005−305586号公報
【特許文献4】特開2005−277050号公報
【特許文献5】特開2007−189208号公報
【特許文献6】特開2004−241434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、基板の一方の側の外周部を研磨することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、ウエハを保持して回転させる基板保持機構と、スプリングによって押圧力を与えられた加圧パッドによって、研磨具を前記ウエハ上面側の外周部に押圧して該外周部を研磨する研磨機構と、前記ウエハの外周部を液体で支持する外周部支持機構と、を備え、前記研磨機構は、前記基板保持機構に保持されたウエハの上面側に配置され、前記外周部支持機構は、前記基板保持機構に保持されたウエハの下面側に配置され、前記ウエハの外周部は、前記外周部支持機構から噴射される液体により、該ウエハの下面側から支持されることを特徴とする研磨装置である。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記ウエハの外周部は、該ウエハの最端部から内側に向かった平坦部であることを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記液体は、圧力調整されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記液体は、純水であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記外周部支持機構から噴射される液体の幅が、前記研磨具が前記ウエハの外周部に接触する幅よりも広いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具は研磨テープであり、前記研磨装置は、前記研磨機構に研磨テープを供給する研磨テープ供給機構をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の撓みを防ぐことにより、基板の外周部の平坦面をその元の面の角度を維持したまま研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る研磨装置を示す概略正面図である。
図2】研磨機構を傾動させるチルト機構を示す側面図である。
図3図3(a)乃至図3(c)は、基板と外周部支持機構との位置関係を示す図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、基板と外周部支持機構との位置関係を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る研磨装置の要部を基板の径方向から見た側面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る研磨装置の要部を示す正面図である。
図7図7(a)および図7(b)は、研磨機構の基板の径方向の位置によって基板の撓み具合が変化する様子を示す図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、図7(a)および図7(b)に示す位置で基板を押圧したときの押圧力を示す模式図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る研磨装置の他の構成例を示す正面図である。
図10図9に示す研磨装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る研磨装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る研磨装置を示す概略正面図である。図1に示すように、この研磨装置は、ウエハなどの基板Wを水平に保持して回転させる基板保持機構1と、この基板保持機構1によって保持された基板Wの外周部を研磨する研磨機構2と、基板保持機構1によって保持された基板Wの外周部を支持する外周部支持機構3とを備えている。なお、本明細書では、基板の外周部とは、基板の最端部から内側に向かった平坦部をいう。
【0016】
基板保持機構1は、基板Wを真空吸着力などにより保持する基板ステージ11と、基板ステージ11を回転させる基板回転機構12とを有している。基板ステージ11は、基板Wよりも小さい直径を有し、基板Wの被研磨部である外周部が基板ステージ11の外側に位置した状態で基板が保持される。基板回転機構12は、図には示さないモータを有しており、このモータは基板ステージ11に連結されている。このような構成により、基板回転機構12のモータを回転させると、基板ステージ11に保持された基板Wが水平面内で回転する。
【0017】
研磨機構2は、研磨テープ(研磨具)10を基板Wの上面側の外周部に押圧して該外周部を研磨する機構である。本実施形態では、研磨具として研磨テープ10が用いられている。研磨テープ10は、ベースフィルムの片面に、例えば、ダイヤモンド粒子やSiC粒子などの砥粒をベースフィルムに接着した研磨テープを用いることができる。これら砥粒が固定された研磨テープ10の面が研磨面となる。研磨テープ10に用いられる砥粒は、基板Wの種類や要求される研磨性能に応じて適宜選択される。例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子やSiC粒子を砥粒として用いることができる。また、砥粒を接着させていない帯状の研磨布でもよい。また、ベースフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0018】
基板保持機構1、研磨機構2、外周部支持機構3は、図示しないハウジング内に収容されており、ハウジングの内部空間が研磨室となっている。研磨テープ10は、研磨テープ供給機構15から研磨機構2に送られるようになっており、研磨テープ供給機構15は研磨室の外に配置されている。研磨テープ供給機構15は、ハウジングまたは図示しないフレームに固定されており、その位置は固定されている。研磨テープ供給機構15は、テープ送り機構16とテープ巻取り機構17とを有している。研磨テープ10は、テープ送り機構16から研磨機構2に送られ、さらにテープ巻取り機構17によって研磨機構2から回収される。このように、研磨テープ10は、研磨テープ供給機構15から研磨機構2に少しずつ送り込まれるので、常に新しい研磨面で基板Wの研磨が行われる。
【0019】
研磨機構2は、研磨テープ10の裏側(研磨面とは反対側)に配置された加圧パッド20と、加圧パッド20に押圧力を与える押圧機構としてのスプリング21を有している。加圧パッド20はロッド22の先端に固定され、このロッド22はその長手方向にスライド自在に図示しない軸受により支持されている。加圧パッド20には、ロッド22を介してスプリング21により押圧力が付与され、これにより、研磨テープ10の研磨面を基板Wの表面に対して押圧する。研磨テープ10に与えられる押圧力はスプリング21によって調整され、常に一定の押圧力が得られるようになっている。加圧パッド20を構成する材料の例としては、シリコンゴム、シリコンスポンジ、フッ素ゴムなどの弾性材、またはポリブチレンナフタレート(PBN)、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの硬質材が挙げられる。
【0020】
図2は、研磨機構2を傾動させるチルト機構を示す側面図である。研磨機構2は、アーム26、ベルト27、およびプーリ28A,28Bを介してモータ29に連結されており、モータ29により研磨機構2が、基板保持機構1上の基板Wの最端部を中心に回転するようになっている。これらアーム26、ベルト27、プーリ28A,28B、およびモータ29は、研磨機構2を傾動させるチルト機構を構成する。
【0021】
研磨機構2は、チルト機構を介してプレート30に支持されており、プレート30はスライド機構31上に設置されている。スライド機構31は、その長手方向に沿ってプレート30が移動することを許容する。プレート30はリニアアクチュエータ33に連結されており、このリニアアクチュエータ33を駆動させることにより、基板保持機構1に保持された基板Wの径方向に沿って研磨機構2が移動する。したがって、このリニアアクチュエータ33は、研磨機構2を基板Wの径方向に沿って移動させる移動機構を構成する。
【0022】
研磨機構2は、基板保持機構1に保持された基板Wの上面側に配置され、外周部支持機構3は基板Wの下面側に配置されている。すなわち、研磨機構2と外周部支持機構3とは、基板Wに関して略対称に配置されている。外周部支持機構3は、研磨機構2により押圧されている基板Wの外周部を、以下に説明するように、流体の圧力を利用して基板Wの外周部の反対側から支持するものである。
【0023】
外周部支持機構3は、研磨機構2を支持するプレート30にスライド機構34を介して連結されている。スライド機構34は、プレート30に取り付けられた図には示さないリニアアクチュエータに連結されている。このような構成により、外周部支持機構3は、研磨機構2とは独立して基板Wの径方向に移動が可能となっている。外周部支持機構3は、減圧弁35を経由して液体供給源36に連結されている。液体は、減圧弁35により圧力調整され、外周部支持機構3に供給される。外周部支持機構3は、基板Wの下面側の外周部に近接したノズル37を有している。減圧弁35により圧力調整された液体は、このノズル37より基板Wの下面側の外周部に向けて噴射される。なお、使用される液体の好ましい例としては、純水が挙げられる。
【0024】
次に、本実施形態に係る研磨装置の動作について説明する。
基板Wは、図示しない搬送ロボットにより研磨装置の研磨室に搬送され、基板保持機構1の基板ステージ11上に載置される。基板保持機構1は、基板Wを真空吸着などにより保持し、水平面内で基板Wを回転させる。研磨テープ供給機構15を動作させると、研磨テープ10はテープ送り機構16から研磨機構2を経由してテープ巻取り機構17に巻き取られる。研磨テープ10は、その長手方向に進行しながら、研磨機構2によって基板Wの上面側の外周部に押圧される。同時に、外周部支持機構3のノズル37から液体が基板Wの下面側の外周部に向けて噴射される。
【0025】
回転する基板Wと研磨テープ10とは相対移動し、これにより研磨テープ10の研磨面が基板Wに摺接される。研磨中、研磨機構2および外周部支持機構3は、リニアアクチュエータ33により基板Wの径方向に沿って移動される。必要に応じて、チルト機構により研磨機構2の基板Wに対する角度を変更してもよい。なお、研磨によって発生するパーティクルの飛散を防止するために、研磨中は基板Wの被研磨部(上面側の外周部)に向けて純水を供給することが好ましい。
【0026】
図3(a)乃至図3(c)は、基板Wと外周部支持機構3との位置関係を示す図である。基板Wとノズル37との隙間が小さいほど液体の流量が小さくなり、液体の圧力が大きくなる。そのため、図3(a)に示すように、ノズル37は可能な限り基板Wに近接させて配置される。図3(a)は基板Wの初期位置を示している。この初期位置では、研磨機構2の押圧力とノズル37からの液体の押圧力とは釣り合っている。
【0027】
基板Wが回転中に振れまわりなどで下方に変位して基板Wとノズル37との隙間が初期の隙間より小さくなると、その分基板Wとノズル37との間の液体の圧力が上がる(図3(b)参照)。このとき、スプリング21は伸びるので研磨機構2が基板Wに加える押圧力は小さくなる。この状態では、上下の力が不釣合いとなり、基板Wは液体により上に押し返される。その結果、基板Wは初期の位置に戻ることとなる(図3(c)参照)。
【0028】
基板Wが上方に変位したときも、同じ原理で基板Wは初期位置に戻る。すなわち、図4(a)に示すように、基板Wが上方に変位すると、基板Wとノズル37との間の隙間が大きくなってノズル37からの液体の押圧力が下がり、同時にスプリング21が縮んで研磨機構2が基板Wに与える押圧力が大きくなる。その結果、基板Wに作用する上下の力が不釣合いとなり、基板Wは押し下げられて初期位置に戻る(図4(b)参照)。
【0029】
このように、基板Wが上下に変位した場合でも、基板Wはその初期位置に戻るため、基板Wが撓むこともなく常に一定の力で研磨テープ(研磨具)10により押されることとなる。したがって、本実施形態によれば、基板Wの平坦な面をそのまま平坦に維持したまま研磨することが可能である。特に、積層膜が基板上に形成されている場合に、最上の膜(または所望の層数の膜)のみを除去することが可能である。
【0030】
次に、本発明の第2の実施形態に係る研磨装置について説明する。図5は本発明の第2の実施形態に係る研磨装置の要部を基板の径方向から見た側面図である。本実施形態に係る研磨装置は、外周部支持機構40が、研磨される外周部と同じ側に配置されている点で、第1の実施形態に係る研磨装置と異なっている。その他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
【0031】
図5に示すように、外周部支持機構40は、研磨機構2の下部に取り付けられており、研磨機構2と一体に移動可能となっている。外周部支持機構40は、基板Wの上面側の外周面に対向する平坦な支持面(下面)41aを有する2つの基板支持体41,41を有している。各基板支持体41は、支持面41aで開口する細孔41bを有し、細孔41bの他端は液体供給源43に連結されている。これら基板支持体41,41は加圧パッド20を挟むように基板Wの周方向に沿って配置されている。なお、基板支持体41の数は2つに限られず、1つ、または3つ以上であってもよい。
【0032】
液体は、液体供給源43から細孔41bに供給され、支持面41aに形成されている開口から高速で流出する。液体は、支持面41aと基板Wの上面との間の隙間を高速で流れる。このとき、液体の流速が高いと、ベルヌーイの定理から支持面41aと基板Wとの間に負圧が生じ、これにより基板Wが基板支持体41によって支持される。このような構成によれば、基板Wの研磨側の面から基板Wを保持することが可能である。
【0033】
次に、本発明の第3の実施形態に係る研磨装置について説明する。図6は本発明の第3の実施形態に係る研磨装置の要部を示す正面図である。本実施形態に係る研磨装置は、外周部支持機構を備えていない点、および研磨機構2の押圧力を調整する押圧力調整機構を備えている点で、上述した第1の実施形態に係る研磨装置と異なっている。なお、特に説明しないその他の構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
【0034】
図6に示すように、加圧パッド20が取り付けられているロッド22の端部はシリンダ45に収容されている。シリンダ45は、その長手方向に配列された第1ポート46Aおよび第2ポート46Bを有しており、これら第1ポート46Aおよび第2ポート46Bは、それぞれ第1電空レギュレータ48Aおよび第2電空レギュレータ48Bを経由して気体供給源50に連結されている。本実施形態では、第1電空レギュレータ48A、第2電空レギュレータ48B、シリンダ45、および気体供給源50により押圧力調整機構が構成されている。
【0035】
これら第1電空レギュレータ48Aおよび第2電空レギュレータ48Bによりシリンダ45に送る気体の圧力を調整することにより、加圧パッド20が研磨テープ10を介して基板Wを押圧する押圧力(研磨圧力)を調整することができる。すなわち、第2ポート46Bを介してシリンダ45に供給される気体の圧力を一定に維持しつつ、第1ポート46Aを介してシリンダ45に供給される気体の圧力を、第2ポート46Bを介して供給される気体の圧力よりも大きくする。これにより、研磨圧力を基板Wに与えることができる。そして、この圧力の大きさの関係を維持しつつ、第1ポート46Aを介してシリンダ45に供給される気体の圧力を調整すれば、研磨圧力を調整することができる。
【0036】
研磨テープ10の基板Wとの接触箇所が基板Wの端部に近づくに従って、基板Wの撓みが大きくなり、研磨圧力が低下する。そこで、本実施形態では、研磨テープ10の接触箇所によらず、研磨圧力を一定に保つために、図7(a)および図7(b)に示すように、研磨圧力が一定となるように、シリンダ45に供給される気体の圧力を第1電空レギュレータ48Aおよび第2電空レギュレータ48Bにより調整する。これにより、常に一定の研磨圧力で基板Wの外周部を研磨することができる。
【0037】
具体的には、次のようにして研磨圧力が一定に調整される。図8(a)及び図8(b)は、それぞれ図7(a)および図7(b)に示す位置で基板を押圧したときの押圧力を示す模式図である。図8(a)に示すように、基板Wが撓むと、真上から基板Wに加えた力Fは、基板Wに垂直な成分Fcosθと基板に平行な成分Fsinθとに分解される。これらの成分のうち、基板Wの研磨には、基板に垂直な成分Fcosθが作用する。したがって、研磨機構2を基板Wの半径方向に移動する際に、成分Fcosθを常に一定にすることが必要となる。撓み角θは、押圧力Fと基板Wの中心からの半径方向の距離との関数として表すことができ、この関数は計測により求めることができる。ここで、撓み角θは押圧力Fに依存して変わってくるが、上記関数を用いて繰り返し演算を行うことにより、Fcosθが基板Wの半径方向のどの位置においても一定となるように押圧力Fを求めることができる。このように、予め得られた押圧力Fを基板Wの半径位置に応じて基板Wに加えることにより、押圧力Fcosθを一定に保つことができる。
【0038】
図9は、本実施形態に係る研磨装置の他の構成例を示す正面図である。この例では、内部に液体が封入された変形自在な加圧パッド52が使用されている。このような加圧パッド52によれば、図10に示すように、パスカルの原理により、基板Wに対して均一な押圧力を与えることができる。すなわち、基板Wが撓んだ場合でも、基板Wの表面に対して垂直な力を均一に加えることができるので、結果として、基板Wの外周部の平坦面をそのまま平坦に維持しつつ研磨することができる。
【0039】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その特許請求の範囲によって定められる技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 基板保持機構
2 研磨機構
3 外周部支持機構
10 研磨テープ(研磨具)
11 基板ステージ
12 基板回転機構
15 研磨テープ供給機構
16 テープ送り機構
17 テープ巻取り機構
20 加圧パッド
21 スプリング
22 ロッド
26 アーム
27 ベルト
28A,28B プーリ
29 モータ
30 プレート
31 スライド機構
33 リニアアクチュエータ
34 スライド機構
35 減圧弁
36 液体供給源
37 ノズル
40 外周部支持機構
41 基板支持体
43 液体供給源
45 シリンダ
46A 第1ポート
46B 第2ポート
48A 第1電空レギュレータ
48B 第2電空レギュレータ
50 気体供給源
52 加圧パッド
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図8
図9
図10
図5