特許第5828459号(P5828459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5828459
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】遠心血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/10 20060101AFI20151119BHJP
   F04D 29/047 20060101ALI20151119BHJP
   F04D 13/02 20060101ALI20151119BHJP
   F16C 17/10 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   A61M1/10 535
   F04D29/047 Z
   F04D13/02 C
   F16C17/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-83186(P2012-83186)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-212218(P2013-212218A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】小阪 亮
(72)【発明者】
【氏名】山根 隆志
(72)【発明者】
【氏名】安井 和哉
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−106632(JP,A)
【文献】 特開2009−254436(JP,A)
【文献】 特開2004−011525(JP,A)
【文献】 特開2005−270345(JP,A)
【文献】 特開2009−197736(JP,A)
【文献】 特開2006−325984(JP,A)
【文献】 特開2006−200584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/10 − 1/12
F16D 13/02
F16D 29/047
F16C 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に流入口と径方向外側に流出口を有するケーシングと、ケーシング内部に回転自在に収容された羽根車と、ケーシングの中心であって前記流入口と反対の側にはケーシング内方に凹んだ内筒を有し、該内筒は固定軸として、回転する羽根車を支え、ケーシングの内筒で囲まれた空間内でモータにより回転駆動される永久磁石と、羽根車内に内蔵された永久磁石とで、ケーシングの内筒の隔壁越しに磁気カップリングを形成した回転駆動装置と、羽根車上部に設けられ羽根車の回転により流入口からの液体を流出口に向けて送り出すベーンと、羽根車上下面とそれに対向するケーシング内面とで構成されたスラスト動圧軸受と、内筒とそれに対向する羽根車の内周面とで構成されたラジアル動圧軸受とを備えた遠心血液ポンプであって、
前記羽根車上部はケーシングの内筒端面の上部空間内に張り出すと共に、
前記ラジアル動圧軸受は、円筒外周面とこれに対向する羽根車の内周面の何れか一方に形成された動圧溝からなり、該動圧溝は、回転面内形状が多円弧形状であって、軸方向形状は回転軸と平行な方向に変化しないスプライン軸状であることを特徴とする遠心血液ポンプ。
【請求項2】
前記ラジアル動圧軸受の最少軸受隙間を10μm以上とすることにより、血液適合性を向上させたことを特徴とする請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項3】
前記動圧溝の多円弧形状のエッジ部と溝部の少なくとも一方に、R又は面取り有することを特徴とする請求項2に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項4】
前記ラジアル動圧軸受の動圧溝を形成する部分の材料に金属又は高分子材料を使用したことを特徴とする請求項3に記載の遠心血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工心臓用、補助循環用及び心臓手術用の遠心型の血液ポンプに関するものであって、軸受の構造に特徴を有する。また、人工心臓用、補助循環用及び心臓手術用以外の、医療用ポンプ、あるいは、生物分野用ポンプ、産業用ポンプ等としても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、医療技術等の進歩に伴い、人工心臓用、補助循環用及び心臓手術用のポンプとして遠心血液ポンプが用いられるようになってきた。
例えば、特許文献1に記載の遠心血液ポンプでは、接触軸受が血液の障害物となり流れが滞り血栓等が生じることを減じるために、球状の1個の接触軸受で支持するように接触軸受に工夫を施したものである。
しかしながら、接触軸受では、どうしてもその部分で血液の流れが滞り血栓等が生じることがさけられないことや、長期使用による接触軸受部分での摩耗粉の発生の可能性が残るため、非接触軸受を用いた遠心血液ポンプが、例えば特許文献2〜6等のように多数提案されている。
特許文献2では、スラスト方向(軸方向)軸受及びラジアル方向(半径方向)軸受に非接触軸受である流体力学的動圧軸受を採用しており、動圧軸受はスラスト方向及びラジアル方向いずれもスパイラル溝を用いている。
特許文献3では、スラスト方向軸受に非接触軸受である流体力学的スラスト軸受を用い、ラジアル方向は、モータ固定子と羽根車の磁気領域との間の磁気的な相互作用が半径方向の羽根車剛性を創出することで行っておりいわゆる非接触軸受である磁気軸受に当たる。なお、ケーシング内部に回転固定軸を有していない。
特許文献4では、スラスト方向の非接触軸受としては動圧溝による流体力学的スラスト軸受と複数の永久磁石の吸引力の組合せ、ラジアル方向の非接触軸受としては、上記特許文献3と同様に永久磁石の磁気的吸引力により支持剛性を高めることにより実現(いわゆる磁気軸受に当たる)している。
特許文献5は、本出願人等が先に出願したものであり、スラスト方向軸受及びラジアル方向軸受に非接触軸受である流体力学的動圧軸受を採用しているが、動圧軸受はいずれも螺旋状溝形状である。
特許文献6は、本出願人が先に出願したものであり、スラスト方向軸受及びラジアル方向軸受に非接触軸受である流体力学的動圧軸受を採用しているが、動圧軸受はいずれも螺旋状溝形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−144070号公報
【特許文献2】特開2005−61543号公報
【特許文献3】特表2010−525871号公報
【特許文献4】特開2010−209691号公報
【特許文献5】特開2004−245303号公報
【特許文献6】特開2009−254436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したとおり、遠心血液ポンプの長期使用を実現させるため、非接触軸受である磁気軸受と動圧軸受を用いた遠心血液ポンプが開発されている。しかし、磁気軸受を用いたポンプでは、羽根車浮上用の変位センサと複雑なフィードバック用の電気回路が必要となるため、システムが複雑になってしまうばかりか、長期の信頼性を低下させていた。一方、動圧軸受を用いたポンプは、受動的な軸受を採用しているため、羽根車浮上用の変位センサや電気回路が必要なく、安全かつ長期の信頼性が高い。また、モータとドライバを結ぶ電気ケーブルの素線数も少ないため、断線のリスクも少ない。
これまで遠心血液ポンプのラジアル方向の安定化のために動圧軸受を設ける場合、螺旋溝の形状であるヘリンボーン動圧軸受が主に用いられている。しかし、螺旋溝形状では、軸受側面に動圧溝を形成する必要があるため、切削加工の場合は、軸受側面より切削加工を行う必要がある。金型による射出成形の場合は、金型は螺旋溝と同じ方向に回転させながら製品を引き抜く必要がある。そのため、製作コストの増加と溝形状の精度悪化と製作時間の増加が問題となっている。また、動圧溝による発生力を増加するためには、固定軸と回転軸の間の軸受隙間を狭くしたり、動圧溝のエッジと溝部を鋭くしたりすることで、動圧溝での局所圧を高くする方法がある。一般的に、ハードディスク等の産業用の動圧軸受では、軸受隙間は数μm程度である。しかし、作動流体に血液を使用する遠心血液ポンプにおいては、産業用の動圧軸受のような狭い軸受隙間や鋭いエッジと溝部での高剪断応力による赤血球の血球破壊や血栓形成が大きな問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、中心に流入口と径方向外側に流出口を有するケーシングと、ケーシング内部に回転自在に収容された羽根車と、ケーシング下部中心にはケーシング内方に凹んだ内筒を有し、該内筒は固定軸として、回転する羽根車を支え、ケーシングの内筒で囲まれた空間内でモータにより回転駆動される永久磁石と、羽根車内に内蔵された永久磁石とで、ケーシングの内筒の隔壁越しに磁気カップリングを形成した回転駆動装置と、羽根車上部に設けられ羽根車の回転により流入口からの液体を流出口に向けて送り出すベーンと、羽根車上下面とそれに対向するケーシング内面とで構成されたスラスト動圧軸受と、内筒とそれに対向する羽根車の内周面とで構成されたラジアル動圧軸受とを備えた遠心血液ポンプであって、前記羽根車上部はケーシングの内筒端面の上部空間内に張り出すと共に、前記ラジアル動圧軸受は、円筒外周面とこれに対向する羽根車の内周面の何れか一方に形成された動圧溝からなり、該動圧溝は、回転面内形状が多円弧形状であって、軸方向形状は溝部分が回転軸と平行であることを特徴とする。
また、本発明は、上記遠心血液ポンプにおいて、前記ラジアル動圧軸受の最少軸受隙間を10μm以上とすることにより、血液適合性を向上させたことを特徴とする。
また、本発明は、上記遠心血液ポンプにおいて、前記動圧溝の多円弧形状のエッジ部と溝部の少なくとも一方に、R加工又は面取り加工を施したことを特徴とする。
また、本発明は、上記遠心血液ポンプにおいて、前記ラジアル動圧軸受の動圧溝を形成する部分の材料に金属又は高分子材料を使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、羽根車浮上用の変位センサや電気回路が必要なく、安全かつ長期信頼性が高い遠心血液ポンプを提供することが出来る。血液ポンプの製作面に関しても、従来の螺旋溝を付加したラジアル方向の動圧溝を有する遠心血液ポンプと比べて、本発明では、ラジアル軸受の回転面内形状が多円弧形状であり、軸方向形状は溝部分が回転軸と平行であるため、底面方向のみの切削あるいは、金型による射出成形時の型抜きが容易にできるため、製作コストと製作時間を削減しながら高精度の軸受形状を提供することが出来る。
また、固定軸と回転軸の軸受隙間を10μm以上、好ましくは50μm以上に広げることにより、溶血や血栓形成などの血液適合性の問題を解決することができる。
さらに、軸受のエッジや溝部にR加工あるいは面取り加工を実施することで、急激な角や溝のない軸受部が形成できるため、高剪断部位による溶血や溝部での血栓形成が抑制できる。
また、本発明のラジアル動圧軸受式の遠心血液ポンプによれば、他の人工心臓で用いられている真円形状のジャーナル軸受(非接触軸受)と比べても、動圧軸受(非接触軸受)の発生力が大きいため、安定駆動を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の遠心血液ポンプの一実施例の断面図。
図2】多円弧形状の動圧ラジアル軸受を説明する図であって、固定軸に付加された4円弧軸受の下面図(左:内周側が固定軸、右:外周側が固定軸)。
図3】多円弧形状の動圧ラジアル軸受を説明する図であって、回転軸に付加された4円弧軸受の下面図(左:内周側が固定軸、右:外周側が固定軸)。
図4】多円弧形状の動圧ラジアル軸受を説明する図であって、固定軸に付加されたエッジにR加工を施された4円弧軸受の下面図。
図5】多円弧形状の動圧ラジアル軸受を説明する図であって、固定軸に付加された溝部にR加工を施された4円弧軸受の下面図。
図6】従来の固定軸に付加された真円のラジアル軸受(いわゆるジャーナル軸受)と本発明の多円弧形状動圧ラジアル軸受(4円弧の場合)の半径方向の軸受剛性の数値流体解析による比較例。
図7】遠心血液ポンプ(ポンプタイプA〜F)における軸受隙間と溶血量を示す溶血指数の比較例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、中心に流入口と径方向外側に流出口を有するケーシング内に羽根車を回転自在に収納し、ケーシングの内筒で囲まれた空間内でモータにより回転駆動される永久磁石と、羽根車内に内蔵された永久磁石と有し、ケーシングの内筒の隔壁を介しての磁気カップリングにより羽根車を回転駆動し、羽根車上部に設けたベーンにより流入口からの液体を流出口に向けて送り出し、羽根車のスラスト方向軸受及びラジアル方向軸受に動圧軸受を用いた遠心血液ポンプであって、羽根車上部はケーシングの内筒端面の上部空間内に張り出すと共に、ラジアル方向の動圧軸受として、回転面内形状が多円弧形状であって、軸方向形状は溝部分が回転軸と平行であることを特徴とする。
ラジアル動圧軸受の溝部分が回転軸と平行であるので、ラジアル動圧軸受の製作が、円筒面の軸方向のみの切削あるいは、金型による射出成形時の型抜きが容易に(回転させながら抜いたり、無理抜きしたりする必要がない)できるため、製作コストと製作時間を削減しながら高精度の軸受形状を提供でき、動圧軸受の発生力も大きい。羽根車上部を中心に向けて張り出すために羽根車上面でのスラスト動圧軸受を大面積化できて動圧軸受の発生力が大きく、また、張り出し部があることで回転時の軸振れなども少なく安定した回転が得られる。
また、多円弧形状ラジアル動圧軸受部での固定軸と回転軸の最少隙間を10μm以上、好ましくは50μm以上にすることで、血液適合性が向上する。多円弧形状のエッジ部あるいは溝部の少なくとも一方にR加工又は面取り加工を施せば、さらに血液適合性を向上できる。
【実施例】
【0009】
本発明の遠心血液ポンプの一実施例の断面図を、図1に示す。ケーシングは中心に流入口と径方向外側に流出口を有し、ケーシング内部に羽根車を回転自在に収容する。ケーシング下部中心にはケーシング内方に凹んだ内筒を設け、該内筒は固定軸として、回転する羽根車を支える。羽根車の回転駆動は、ケーシングの内筒で囲まれた空間内でモータにより回転駆動される永久磁石(駆動磁石)と、羽根車内に内蔵された永久磁石(従動磁石)との、内筒の隔壁を介した磁気カップリングにより行われる。羽根車が回転すると羽根車上部に設けたベーンにより流入口からの血液を流出口に向けて送り出す。羽根車のスラスト方向軸受とラジアル方向の軸受はいずれも動圧軸受を用いた非接触軸受とする。ここまで説明した構成は、先に出願人が出願した上記特許文献6と変わらない。なお、説明をわかりやすくするために、図1で上方向を『上』、下方向を『下』で表現したが、例えば、人工心臓用の遠心血液ポンプであれば、人体の姿勢は変化するのであって、『上』『下』はあくまで便宜上用いたものである。
本発明の特徴的構成は、ラジアル方向の動圧軸受の構造に有り、羽根車の固定軸となるケーシングの内筒の外周面に設けた動圧溝が、回転面内形状が多円弧形状であって、軸方向形状は溝部分が回転軸と平行であることを特徴とする。言い換えれば、円筒の外周面形状は、軸方向に平行な溝を備えたスプライン軸状に形成されており、そのスプライン軸の横断面が多円弧形状となっているともいえる。このため、ラジアル動圧軸受の製作が、円筒面の軸方向のみの切削で加工できあるいは、金型による射出成形時の型抜きが容易にできるため、製作コストと製作時間を削減しながら高精度の軸受形状を提供でき、動圧軸受の発生力も大きい。なお、図1では、ケーシングの内筒側に動圧溝を形成した場合が示されているが、羽根車側の内周面に動圧溝を形成しても同様である。多円弧形状ラジアル動圧軸受については、後述の図2〜7の説明でも詳述する。
本発明の他の特徴的構成は、羽根車上部が、図1に示すようにケーシングの内筒端面の上部空間内に張り出している点であり、このため、羽根車上面に形成するスラスト動圧軸受の動圧溝を大面積に形成できて発生力が大きく、また、張り出し部があることで回転時の軸振れなども少なく安定した回転が得られる。また、張り出した分だけベーンが長くとれることも有利となる。なお、羽根車上下面に形成するスラスト動圧軸受は従来の動圧溝を使用しても問題はなく、例えば上記特許文献6と同じらせん形状等を用いればよい。また、図1では、スラスト動圧軸受の動圧溝は、羽根車の上下面側に形成したが、対向するケーシング側内面に形成しても良い。
【0010】
図2及び図3は、本発明の多円弧形状(図では4円弧形状)のラジアル動圧軸受を説明した図であり、いずれも回転面内の軸と穴の形状を示したものである。なお、図示されていないが、軸方向形状は、溝部分が回転軸と平行となっているものであることは云うまでもない。また、図2及び図3は4円弧軸受の例を示しているが、円弧軸受の円弧数を2円弧、3円弧、5円弧と変えた場合でも同じである。
図2は、固定側に動圧溝を設けた例であり、左図は、軸が固定で穴が(図で反時計回りに)回転する場合であり、右図は穴が固定で軸が(図で時計回りに)回転する場合を示しており、本発明の図1で示したものは左図のものに該当する。
図3は、回転側に動圧溝を設けた例であり、左図は、穴が固定で軸が(図で時計回りに)回転する場合であり、右図は軸が固定で穴が(図で反時計回りに)回転する場合を示している。
【0011】
図4は、本発明の多円弧形状(図では4円弧形状)のエッジ部にR加工を施した図であり、図5は本発明の多円弧形状(図では4円弧形状)の溝部にR加工を施した図である。
また、図4及び図5のR加工に代えて、面取り加工を施してもよい。
【0012】
図6は、従来の固定軸に付加された真円のラジアル軸受(いわゆるジャーナル軸受)と本発明の多円弧形状動圧ラジアル軸受(4円弧形状の場合)の半径方向の軸受剛性の数値流体解析による比較例を示しており、縦軸に正規化した半径方向力、横軸に公転半径をとり、●が本発明の4円弧形状、◆が従来のジャーナル軸受を表す。図より、本発明の4円弧形状の動圧軸受の方が、従来の軸受よりも本発明の多円弧形状動圧溝による発生力が大きいことがわかる。
【0013】
図7は、本発明の遠心血液ポンプ(ポンプタイプA〜F)における軸受隙間と溶血量を示す溶血指数の比較を示した図であり、血液ポンプとして問題ない溶血指数である0.01(g/100L)を破線で示したが、実用的には0.05(g/100L)程度以下であれば問題はない。なお、軸受隙間は最少軸受隙間で表す。各ポンプモデルA〜Fについて、溶血指数(g/100L)を網掛け棒グラフ、軸受隙間(μm)を黒棒グラフで示している。図7において、A〜Fに順に軸受隙間が大きくなっており、軸受隙間が大きくなるにつれて、溶血指数は小さくなっており、図から血液ポンプとして問題ない0.01(g/100L)以下となるのは、EタイプとFタイプの中間の略50μm以上の軸受隙間を構成すれば良いことがわかる。なお、実用的に問題のない0.05(g/100L)以下のときには、BタイプとCタイプの中間の略10μm以上の軸受隙間を構成すれば良いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の遠心血液ポンプは、人工心臓用、補助循環用及び心臓手術用として使用するものであるが、それ以外の医療用ポンプ、培養や薬液輸送用の生物分野のポンプ、摩耗分を発生しない産業用ポンプとしても使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7