特許第5828728号(P5828728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5828728
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20151119BHJP
   G01N 21/47 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   G01N35/02 Z
   G01N21/47 B
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-213151(P2011-213151)
(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-72799(P2013-72799A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】大沼 満
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 庸子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 創
(72)【発明者】
【氏名】和久井 章人
【審査官】 土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−262642(JP,A)
【文献】 特開昭63−132169(JP,A)
【文献】 特開2004−101290(JP,A)
【文献】 特開平10−048195(JP,A)
【文献】 特開2005−181007(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3141576(JP,U)
【文献】 特開平08−094623(JP,A)
【文献】 特開2010−256345(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/013777(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00〜21/61、35/00〜37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筺体の上面に配置された、複数のサンプルを保持するサンプルディスクと、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを保持する反応ディスクと、回動するアームと前記アームに固定されたノズルを備え前記サンプルや前記試薬を前記反応ディスクに保持された前記反応セルに分注する複数の分注機構と、
前記本体筐体の内部に設置され、前記反応セルに光照射する光源と、前記光照射によって前記反応セル内の反応液から発生した散乱光を受光する受光器とを備える散乱光測定部と、
前記本体筺体の上面を覆うように配置され、外光を遮蔽する遮光部と内部を透視できる透視部とが設けられた保護カバーとを備え、
前記保護カバーは前記遮光部を形成する第1の保護カバーと前記透視部が設けられた第2の保護カバーからなり、
前記第2の保護カバーは独立して開閉可能であり、前記第1の保護カバーは前記第2の保護カバーを開けた後に開けることができ、
前記遮光部は、少なくとも前記散乱光測定部の上方に当たる前記反応ディスクの領域を覆うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、前記透視部の一部が独立に開閉可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項に記載の自動分析装置において、前記第1の保護カバーと前記第2の保護カバーを閉じた状態で、前記第1の保護カバーの一部の上に前記第2の保護カバーの一部が重なっていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項に記載の自動分析装置において、前記第1の保護カバーを開けると前記第2の保護カバーも付随して開くことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記第2の保護カバーは前記第1の保護カバーの両側にそれぞれ位置し、各々に前記透視部が設けられた右側の保護カバーと左側の保護カバーとを備え、
前記右側の保護カバーと前記左側の保護カバーはそれぞれ独立して開閉可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項に記載の自動分析装置において、
前記第1の保護カバーと前記右側の保護カバーを閉じた状態で、前記第1の保護カバーの一部の上に前記右側の保護カバーの一部が重なっており、
前記第1の保護カバーと前記左側の保護カバーを閉じた状態で、前記第1の保護カバーの一部の上に前記左側の保護カバーの一部が重なっていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項に記載の自動分析装置において、前記第1の保護カバーは、前記右側の保護カバーと前記左側の保護カバーを開けた後に開けることができることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項に記載の自動分析装置において、前記第1の保護カバーを開けると前記右側の保護カバー及び前記左側の保護カバーも付随して開くことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析装置において、前記遮光部は前記分注機構の運動を阻害しない形状であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項に記載の自動分析装置において、前記分注機構のノズルの移動経路に沿った形状を有して前記本体筐体の上面に配置された遮光壁を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載の自動分析装置において、前記遮光部が開放されていることを検知する検知部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項1に記載の自動分析装置において、前記遮光部を開放できないようにロックするロック機構を有することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの生体サンプルを分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断用の臨床検査においては、血液や尿などの生体サンプル中のタンパク、糖、脂質、酵素、ホルモン、無機イオン、疾患マーカー等の生化学分析や免疫学的分析を行う。臨床検査では、複数の検査項目を信頼度高くかつ高速に処理する必要があるため、その大部分を自動分析装置で実行している。
【0003】
自動分析装置で測定される反応には主に基質と酵素との呈色反応と、抗原と抗体との免疫反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析は生化学分析と呼ばれ、検査項目としてLDH、ALP、ASTなどがある。生化学分析は、例えば、血清等のサンプルに所望の試薬を混合して反応させた反応液を分析対象とし、その吸光度を測定することで行われる。後者の反応を用いた分析は免疫分析と呼ばれ、検査項目としてCRP、IgG、RFなどがある。後者で測定される被測定物質の中には、血中濃度が低い低濃度領域において定量が要求される検査項目が存在し、そのような項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子を増感剤として用いたラテックス免疫分析が用いられる。
特許文献1には、液体試料の濁度等を散乱光変化から測定する自動分析装置において、反応容器ホールディングディスクを覆うように分注孔付の遮光用回転カバーを設置することが記載されている。遮光用回転カバーの分注孔を通して試薬を反応容器に分注した後、遮光用回転カバーを回転させて分注孔を光度計の上から反対側まで回転することで、光度計を暗室状態にして測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−132169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラテックス免疫分析では、サンプルに含まれる被測定物質である抗原を、試薬に含まれるラテックス粒子表面の抗体が認識し結合した結果、ラテックス粒子が抗原を介して凝集し、ラテックス粒子の凝集体が生成される。従来の自動分析装置では、この凝集体が分散した反応液に光を照射し、ラテックス粒子の凝集体に散乱されずに透過した透過光量を測定する。抗原の濃度が高いほど一定時間後の凝集体の大きさは大きくなり、より多くの光が散乱されるため透過光量が減少する。そのため、反応過程データとして測定した光量から抗原の濃度を定量できる。
【0006】
近年、ラテックス免疫分析のさらなる高感度化が望まれている。ラテックス免疫分析の高感度化の方法として、ラテックス凝集反応を透過光ではなく散乱光によって測定する方法が考えられる。散乱光測定方式の場合、ラテックス粒子の凝集体によって散乱される散乱光強度が微弱であるため、外光の影響を受けやすい。従って、自動分析装置の外部からの光が光散乱光度計に入射するのを防ぐ必要がある。また、自動分析装置はサンプル分注機構や試薬分注機構などの機構部を備え、運転中に機構部が正常に機能しているかどうか目視で確認したいという要求がある。
【0007】
引用文献1に記載された技術では、遮光用回転カバーを回転駆動するために新たな駆動系を用意する必要がある。また、分析中も機器上面が開放状態になっているため、塵埃などによって機器が汚染されたり、オペレータが不用意に機器に触れることによって思わぬ怪我をしたりする恐れがある。
【0008】
本発明は、光散乱光度計を組み込んだ自動分析装置において、外光の影響を低減して分析精度を上げると共に、安全で使い勝手のよい自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動分析装置は、本体筺体の上面に、複数のサンプルを保持するサンプルディスク、複数種の試薬を保持する試薬ディスク、複数の反応セルを保持する反応ディスク、回動するアームに固定されたノズルを備えサンプルや試薬を反応ディスクに保持された反応セルに分注する複数の分注機構が配置されている。本体筐体の内部には、反応セルに光照射する光源と、光照射によって反応セル内の反応液から発生した散乱光を受光する受光器とを備える散乱光測定部が設けられている。また、本体筺体の上面を開閉可能に覆う保護カバーを備える。保護カバーには、外光を遮蔽する遮光部と内部を透視できる透視部とが設けられ、保護カバーの遮光部は、少なくとも散乱光測定部の上方に当たる反応ディスクの領域を覆う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、外光の影響を低減して高精度な分析を行うことができ、かつ、安全で使い勝手のよい自動分析装置が得られる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による自動分析装置の一例の本体筺体上面における要素の概略配置図。
図2】自動分析装置の全体構成例を示す概略図。
図3】散乱光測定部の概略図。
図4】本発明による自動分析装置の実施例を示す概略斜視図。
図5】保護カバーの重なり状態を示す断面模式図。
図6】ロック機構の一例を示す断面模式図。
図7】右側の保護カバーを開けた状態を示す図。
図8】全ての保護カバーを開けた状態を示す図。
図9】保護カバーによる遮光範囲を示す図。
図10】保護カバーと遮光壁の関係を示す詳細図。
図11】遮光壁と分注機構の関係を示す説明図。
図12】本発明による自動分析装置の実施例を示す概略斜視図。
図13】本発明による自動分析装置の実施例を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による自動分析装置の一例の本体筺体上面410における要素の概略配置図である。本実施例の自動分析装置は、本体筺体の上面に、サンプルディスク110、試薬ディスク120、反応ディスク150、サンプル分注機構210、試薬分注機構220が配置されている。本実施例では、本体筐体の上面410において、反応ディスク150を図の左右方向の中央に配置し、反応ディスクの右側に試薬ディスク120と試薬分注機構220を配置した。また、反応ディスク150の左側に、サンプルディスク110とサンプル分注機構210を配置した。試薬ディスクは、試薬を保存するために、冷蔵機能を備えており、その上部は試薬ディスク蓋で覆われている。ここでは、試薬ディスクを単一としたが、複数配置しても良いことは云うまでも無く、試薬ディスクの数や配置に応じて試薬分注機構を増やすことも可能である。
【0013】
なお、自動分析装置は、反応セル内で混合液を攪拌するための攪拌部、反応セルを洗浄するための反応セル洗浄部、分注機構のノズルを洗浄するためのノズル洗浄部等を備える。また、本体筺体の内部には、分析装置を構成する図示しない各機器や、それらの機器を駆動するための電源、制御機構、恒温槽、洗浄ポンプなどが設けられている。これらは、本発明の構成として重要なものではなく、従来の自動分析装置にも備えられているものであるので、図示及び詳細な説明を省略する。
【0014】
本発明の自動分析装置は、吸光度測定と同時に散乱光測定を実行できる。本体筺体内には、反応ディスク150の円周上の決められた領域に、反応液からの散乱光を測定するための散乱光測定部310が配置されている。本実施例では、散乱光測定部310は、図1で見て反応ディスク150の中心から左側寄りの領域に配置されている。また、散乱光測定部310は、サンプル分注機構210の移動経路と重なる領域に配置されている。
【0015】
図2は、図1に示した自動分析装置の制御系も含めた全体構成例を示す概略図である。
サンプルディスク110には、サンプルを収めたサンプルカップ111が複数配置されている。試薬ディスク120には、試薬を収めた試薬ボトル121が複数配置されている。反応ディスク150の円周上には、内部でサンプルと試薬とを混合させて反応液とする反応セル151が複数配置されている。サンプル分注機構210は、支柱を軸として回動するアームとアームに固定されたノズルを備え、サンプルカップ111から反応セル151にサンプルを一定量分注する。試薬分注機構220は、支柱を軸として回動するアームとアームに固定されたノズルを備え、試薬ボトル121から反応セル151に試薬を一定量分注する。攪拌部155は、反応セル151内でサンプルと試薬を攪拌し混合させる。反応セル洗浄部156は、分析の終了した反応セル151から反応液を排出し洗浄する。洗浄された反応セル151には再びサンプル分注機構210から次のサンプルが分注され、試薬分注機構220から新しい試薬が分注されて、別の反応に使用される。反応セル151は温度・流量が制御された恒温槽内の恒温流体157に浸漬されており、反応セル151及びその中の反応液が一定温度に保たれた状態で移動される。恒温流体157には例えば水を用い、恒温流体温度は制御部により37±0.1℃に温調される。反応ディスク150の円周上の一部に、散乱光測定部310が設けられている。
【0016】
図3は、散乱光測定部の概略図である。散乱光測定部は本体筐体の内部に設けられ、反応セルに光照射する光源、光照射によって反応セル内の反応液から発生した散乱光を受光する受光器を備える。光源311としては例えばLED光源を用いることができ、光源311からの照射光312を移動中の反応セル151に照射し、散乱光313を散乱光受光器314で受光する。光源311からの照射光の波長は、例えば700nmとすることができる。散乱光受光器314は、光軸に対して角度θだけ離れた方向に散乱された散乱光313を測定する。角度θは、例えばθ=20゜とすることができる。散乱光受光器314で受光した散乱光量のデータは、測定部を通じてPC内のデータ格納部に送られる。
【0017】
サンプル中の被測定物質の濃度定量は、次の手順で行われる。まず、サンプル分注機構210によりサンプルカップ111内のサンプルを反応セル151内に一定量分注する。次に、試薬分注機構220により試薬ボトル121内の試薬を反応セル151内に一定量分注する。これら分注の際は、サンプルディスク110、試薬ディスク120、反応ディスク150は、制御部の制御下にそれぞれの駆動部によって回転駆動され、サンプルカップ111、試薬ボトル121、反応セル151を分注機構210,220の分注タイミングに合わせて移動する。続いて、反応セル151内に分注されたサンプルと試薬を攪拌部155により攪拌し、反応液とする。反応液からの散乱光は、反応ディスク150の回転中に、散乱光測定部310を通過するたびに測定され、測定部からデータ格納部に反応過程データとして順次蓄積される。一定時間、例えば約10分間測定後、反応セル洗浄部156により反応セル151内を洗浄し、次の検査項目の分析を行う。こうして一定の時間間隔を持った反応液の反応過程データがデータ格納部に格納される。格納された散乱光測定部の反応過程データから、解析部において一定時間の反応による光量の変化を求め、あらかじめデータ格納部に保持された検量線データに基づき、定量結果が算出され、出力部より表示される。各部の制御・分析に必要なデータは、入力部からデータ格納部に入力される。データ格納部に格納された各種データや解析結果、及びアラームは出力部により表示等にて出力される。
【0018】
本発明の自動分析装置は、分析精度を高めるために、反応液から散乱される散乱光を検出する散乱光測定部を備える。ところが散乱光測定部で検出される散乱光は微弱であり、外光の影響が無視できないため、散乱光測定部に外光が入らないように遮光する必要がある。ここで、外光が散乱光測定部の散乱光受光器に入る主な経路は、反応セルの上方開口部である。サンプルや試薬を分注するために開口している反応セルの上部開口部から外光が反応セル内に入ると、その一部が反応セルの壁部や周囲の構造物で散乱されて散乱光受光器で検出され、ノイズの原因となる。また、反応ディスクには、狭い間隔で複数の反応セルが隣接配置されているため、散乱光測定を行っている反応セルに隣接する反応セルを経由して外乱光が散乱光測定部の散乱光受光器に入射することが考えられる。従って、外光が散乱光受光器に入るのを防止するためには、少なくとも散乱光測定部の上方領域と重なる反応ディスクの領域を可能な限り広い範囲にわたって遮光するのが効果的である。
【0019】
一方、サンプルディスクには、新しいサンプルカップのセットを装着したり、割り込みで分析が必要になったサンプルの入ったサンプルカップを装填したりするために、頻繁なアクセスが生じる。従って、自動分析装置は、散乱光測定部の外光に対する遮光状態を保ったまま、サンプルディスクにアクセスできる構造を備える必要がある。更に、自動分析装置は、運転中に分注機構などの動きを目視で確認できる構造を有するのが好ましい。
【0020】
本発明では、自動分析装置の本体筺体の上部を覆う開閉可能な保護カバーの構造を工夫することによって上記要求に応える。保護カバーには、外光を遮蔽する遮光部を形成し、また、内部を透視できる透視部を設ける。遮光部は、少なくとも散乱光測定部の上方に当たる反応ディスクの領域を覆うことで散乱光測定部に漏れ入る外光を低減し、散乱光測定が外光の影響を受けないようにする。
【0021】
開閉可能な保護カバーは、2分割構造あるいは3分割構造としてもよい。2分割構造の保護カバーは、遮光部を形成する第1の保護カバーと、透視部が設けられた第2の保護カバーとで構成する。この場合、第2の保護カバーは独立して開閉可能とするが、遮光部を形成する第1の保護カバーは、第2の保護カバーを開けた後に、あるいは第2の保護カバーと同時にでなければ開けることができないようにする。
【0022】
3分割構造の保護カバーは、遮光部を形成する第1の保護カバーと、第1の保護カバーの両側にそれぞれ位置し、各々に透視部が設けられた第2の保護カバーと第3の保護カバーとで構成する。この場合、第2の保護カバーと第3の保護カバーはそれぞれ独立して開閉可能とするが、遮光部を形成する第1の保護カバーは、第2の保護カバーと第3の保護カバーを開けた後に、あるいは第2及び第3の保護カバーと同時にでなければ開けられない構造とする。
以下、開閉可能な保護カバーを備える自動分析装置の具体的な構造について説明する。
【0023】
[実施例1]
図4は、本発明による自動分析装置の第1実施例を示す概略斜視図である。本実施例の自動分析装置は、分析装置本体400と操作・制御部500を備える。本実施例では、分析装置本体の筺体上面を3枚の保護カバー610,620,630で覆う。中央に位置する第1の保護カバー610は、本体の筺体内部に設置された散乱光測定部に外光が入らないように遮光するための遮光カバーであり、光を透過しない不透明材料によって構成される。第1の保護カバー610の左に配置された第2の保護カバー620は、サンプルディスク110上を覆う保護カバーであり、内部の様子を観察できるように光透過性の材料で構成された透視部621を有する。また、第1の保護カバー610の右に配置された第3の保護カバー630は、試薬ディスク120の上を覆うカバーであり、内部の様子を観察できるように光透過性の材料で構成された透視部631を有する。透視部621,631は内部を透視できればよいのであって必ずしも無色透明で光透過率の高い材料で構成する必要はなく、着色していても構わない。また、第2の保護カバー620や第3の保護カバー630の全体を光透過性の材料で構成しても構わない。オペレータは保護カバーを閉めたまま、保護カバーの透視部621,631を通して各種ディスクの様子や分注機構の動きを目視で確認することができ、装置の運転状態を容易に把握できるため安心して分析を継続することができる。
【0024】
操作・制御部500は、PC510と、キーボード520やマウス530を備える入力部、ディスプレイ540を備える出力部を有する。PC510は、図2に示した測定部、解析部、制御部、データ格納部の各機能を実現するためのソフトウエアをメモリに記憶している。
【0025】
図5は、3枚の保護カバーの重なり状態を示す断面模式図である。反応ディスク及び散乱光測定部の上方を覆う中央の第1の保護カバー610は遮光カバーであるが、より高い遮光性を確保するため、中央の第1の保護カバー610は左右に位置する第2の保護カバー620及び第3の保護カバー630の下にもぐりこむ構造とした。換言すると、全部のカバーを閉じた状態で、第1の保護カバー610の一部の上に第2の保護カバー620の一部が重なり、第1の保護カバー610の一部の上に第3の保護カバー630の一部が重なる構造を有する。この構造のため、第2及び第3の保護カバー620,630は、それぞれ単独で自由に開閉することができるが、中央の第1の保護カバー610は左右の保護カバーを開けてから、あるいは左右の保護カバーと一緒にでなければ開けることができない構造になっている。
【0026】
反応ディスク、サンプルディスク、試薬ディスクのうち、自動分析装置の運転中にオペレータがアクセスする必要があるのはサンプルディスクと試薬ディスクである。また、運転中に中央の第1の保護カバー610を開けると、散乱光測定部の散乱光受光器に外光が入って誤検出が生じ、それまで時系列測定してきた測定データが無駄になる。従って、自動分析装置の運転中には、中央の第1の保護カバー610を開けることは極力避けなければならない。実際、中央の第1の保護カバー610を開ける必要があるのは、装置のメンテナンス時に限られる。このような装置運転中におけるサンプルディスクと試薬ディスクへのアクセスの必要性、及び散乱光測定部の外光に対する遮光状態を維持する必要性からも、開ける頻度の少ない中央の第1の保護カバー610を左右の保護カバー620,630を開けてから開ける構造、あるいは左右の保護カバー620,630と同時でなければ開けることができない構造とすることは意味のあることである。
【0027】
外光を遮光する機能を有する中央の第1の保護カバー610は、自動分析装置の運転中に不用意に開けられることがないようにロックするロック機構を設けてもよい。図6は、ロック機構の一例を示す断面模式図である。本実施例のロック機構は、第1の保護カバー610の本体筺体面に面する個所に下方に延びる舌部611を設け、舌部611に形成した穴に、本体筐体に固定されたピン612を挿入することで、第1の保護カバー610を本体筐体に固定して動かなくするものである。ピン612は、第1の保護カバーを閉めて、その舌部611を下方に押し込む動作によって自動的に舌部611の穴に挿入される構造であってもよいし、操作・制御部500から第1の保護カバー610のロックを指示することで、ピン612が突出方向に駆動されるものであってもよい。装置のメンテナンス時などにロックを解除する際には、操作・制御部500からロック解除を指示する。すると、ピン612が後退して舌部611から外れ、第1の保護カバー610を開けることができるようになる。
【0028】
また、第1の保護カバー610の開閉状態を感知するセンサを設け、第1の保護カバー610が閉じていなければ表示部540に警告を表示したり、自動分析装置の運転が開始しないようにしてもよい。第1の保護カバー610の開閉状態を感知するセンサとしては、既存の近接センサ、接触センサなど任意のものを用いることができる。また、上記ロック機構による第1の保護カバーのロック状態を保護カバー閉、ロックされていない状態を保護カバー開とみなすことで、上記ロック機構を第1の保護カバーの開閉状態感知センサの代わりに用いることも可能である。
【0029】
図7は、試薬ディスク120の上を覆う第3の保護カバー630を開けた状態を示す図である。この状態で、試薬ディスク120の上部を覆っている試薬ディスク蓋を取り外し、試薬の追加・補充を行うことができる。このように開閉の頻度が高い左右の第2の保護カバー620あるいは第3の保護カバー630は、中央の第1の保護カバー610を閉じたままで開けることができ、散乱光測定部が外光から遮光された状態を維持できるため、自動分析装置の運転中に、測定を中断することなく、いつでもサンプルの割り込みや、試薬の追加・補充を行うことができる。
【0030】
図8は、第1、第2、第3の保護カバー610,620,630をすべて開けた状態を示す図である。第1、第2、第3の保護カバーの回動軸はそれぞれの保護カバーの後端部にあり、一点鎖線で図示すように同軸に設定されている。従って、3枚の保護カバーをスムーズに同時開閉することが可能である。このように3枚の保護カバーを全て開けることで本体筺体上面410へのフルアクセスが可能となり、本体筺体上面410の清掃、サンプル分注機構210や試薬分注機構220のノズルの状態確認及び清掃、反応容器の洗浄や交換などのメンテナンス作業を制約なしに自由に行うことができる。なお、図示するように、本体筺体の上面410には、反応ディスク150の近くに、第1の保護カバー610と協同して遮光機能の一端を担う遮光壁613が設けられている。この遮光壁613の詳細については後述する。第1の保護カバー610は、遮光壁613と協同して、散乱光測定部の上方領域に、上方及び側方からの外光の入り込みを極力低減した準閉鎖空間を形成し、反応ディスク150に配置された反応セルなどを通して外光が散乱光測定部の散乱光受光器に入射するのを防止する。
【0031】
図9は、第1の保護カバー610による遮光範囲を示す図である。本実施例では、散乱光測定部310は、本体筺体の内部の、図示する領域に配置されている。特に散乱光測定部310は、反応液から生じる散乱光の強度が弱く、散乱光受光器に外光が漏れ込むと測定精度が低下するため、散乱光測定部310を外光から遮断する必要がある。外光は、主に反応ディスク150に配置された反応セルの上方開口部を通って筺体内部に入り、筺体内部に配置された散乱光測定部310の散乱光受光器314に漏れ込む。散乱光測定を行っている反応セルを介して漏れ込む外光が散乱光測定に一番大きな影響を与え、次いで隣接する反応セルを介して入り込む外光の影響が大きく、反応セルが散乱光受光器から遠くに離れるほどその反応セルを通る外光の影響は少ないと考えられる。
【0032】
反応ディスク150の上方領域全体を遮光できれば万全ではあるが、試薬分注機構220やサンプル分注機構210などの機構系との干渉、及びサンプルディスク110や試薬ディスク120へのアクセス性も考慮する必要がある。また、機構系の動きを目視にて確認したいという要求もある。そのため、遮光範囲は、少なくとも散乱光測定部310の上方に当たる反応ディスク150の領域を覆うできるだけ広い範囲とする必要があるが、本実施例ではハッチングにて図示した範囲とした。すなわち、試薬ディスク120が配置された反応ディスク150の右側、つまり反応ディスク150の中心に対して散乱光測定部310が設置されている側と反対側の筐体上部では、遮光範囲の限界を試薬分注機構220の可動範囲と重ならないように設定した。また、サンプルディスク110が配置された反応ディスク150の左側、すなわち反応ディスク150の中心に対して散乱光測定部310が設置されている側の筐体上部では、サンプルディスク110へのアクセスに邪魔にならないように、サンプルディスク110の上方を開放するようにして遮光範囲の限界を設定した。
【0033】
図10は、第1の保護カバー610と遮光壁613の関係を示す詳細図である。図10(a)では、サンプル分注機構210は、上下動可能な支柱211と、支柱の上部に固定されたアーム212と、アーム先端に固定されて下方に延びるノズル213とを備える。従って、サンプルや試薬の吸引、吐出を行うノズル213の先端は、支柱211を軸として回転すると共に上下動可能になっている。サンプルを反応セルに分注する際には、サンプル分注機構210は、支柱211を軸に回転運動して、ノズル213の先端をサンプルディスク110上と反応ディスク150上の間に移動させる。また、図10(b)の様に、反応セルに対して別途試薬を保持する試薬保持領域140を設け、当該領域140より試薬を分注する際には、サンプル分注機構210は、支柱211を軸に回転運動して、ノズル213の先端を試薬保持領域140上と反応ディスク150上の間を移動させるように構成してもよい。
【0034】
第1の保護カバー610は、本体部615と、その本体部615から第2の保護カバー620の下方に延びる突出部616とを有する。本体部615は、一定の幅を有し、その左右の第2の保護カバー620及び第3の保護カバー630とほぼ同じ形状に湾曲した表面を有し、3枚の保護カバーを閉じたとき、図4に示すように連続した一つの曲面表面を形成する。ここで本例では保護カバーが湾曲した例を示したが、階段状に形状が変化する構成でも良いし、直線的な形状であっても良い。
【0035】
突出部616は、屋根部617と側壁618を有し、側壁618には開口619が設けられている。突出部616の屋根部617は、サンプル分注機構210のノズル移動経路の一部の上方を覆うように張り出して、本体筐体の上面410に上方から入射する光線が第1の保護カバー610によって形成される内部空間に入らないように遮断する。
【0036】
一方、サンプル分注機構210のアーム212とノズル213は、サンプルディスク110と反応ディスク150の間、もしくは図10(b)の例においては、試薬保持領域140と反応ディスク150との間を運動する。第1の保護カバー610は、その運動を妨げないように、サンプル分注機構210のノズル移動経路と交差する領域では側壁618に開口619を設けたため、そのままでは遮光が不完全になる。そこで本実施例では、サンプル分注機構210の円弧状のノズル移動経路から少し支柱211寄りの位置に、アーム212及びノズル213の移動を妨げない形状を有して、ノズル移動経路に沿って円弧状に湾曲した遮光壁613を設けた。この遮光壁613によって、突出部616の側壁618に設けた開口619の大部分を塞ぎ、第1の保護カバー610の屋根部617の下側で側方から外光が反応ディスク150上に入射するのを防ぎ、遮光性能を高めた。遮光壁613は本体筺体の上面410に固定されている。第1の保護カバー610のサンプル分注機構210に面する側壁618に設けた開口619と遮光壁613とによって、サンプル分注機構210のアーム212とノズル213が自由に運動できる大きさのスリット状の隙間が形成される。この構造により、サンプル分注機構210のノズル213が反応ディスク150上にアクセスするのを許容しながら、反応ディスク150の下方に位置する散乱光測定部310に漏れ入る外光を低減するという要求を満たした。
【0037】
上記では、サンプル分注機構210の円弧状のノズル移動経路から少し支柱211寄りの位置に、アーム212及びノズル213の移動を妨げない形状を有して、ノズル移動経路に沿って円弧状に湾曲した遮光壁613を設けた例を示したが、遮光壁は必ずしも湾曲している必要はなく、ノズルの移動を妨げない形状であれば良い。また、ノズル213は、その移動経路を円弧状としたが、これに限るものではない。
【0038】
図11は、遮光壁613とサンプル分注機構210の関係を説明する図である。遮光壁613の上部には、ノズル213を反応ディスクの反応セルに位置付けたときのアーム位置に対応する位置に切り欠き614が設けられている。
【0039】
図11(a)は、サンプル分注機構210のノズル213がサンプルディスク上に位置して、サンプルを吸引している状態を示す図である。サンプルディスクに保持されたサンプルカップ中のサンプルを確実に吸引するために、アーム212を下降させてノズル213をサンプルカップの底部にまで挿入した状態で吸引する。図11(b)は、吸引したサンプルを反応ディスクに保持された反応セルに吐出している状態を示す図である。アーム212を回転させて、ノズル先端を反応ディスクに保持された反応セル上方に位置づける。このとき、サンプル分注機構のアーム212は、遮光壁613に設けられた切り欠き614の上方に位置する。この位置で、サンプル分注機構のアーム212及びノズルを下降させる。遮光壁613の切り欠き614は、この位置でのアーム212の所定量の下降を妨げない寸法に設計されている。こうして、サンプル分注機構210は、ノズル先端を確実に反応セル中に挿入して、吸引したサンプルを反応セル中に吐出する。
【0040】
サンプル分注機構210のアーム212は、第1の保護カバー610の側壁618に設けた開口619と遮光壁613の上端部との間に形成された水平方向の隙間を通り、また、ノズル213は側壁618に設けられた開口619と遮光壁613の側端部との間に形成された垂直方向の隙間を通るため、サンプル分注機構210は運動を妨げられることがない。第1の保護カバー610の側壁に設けた開口619と遮光壁613とによって形成されるスリット状の隙間は、サンプル分注機構210のアーム212及びノズル213を通すだけの狭い隙間とする。こうして、サンプル分注機構210の運動を妨げることなく、第1の保護カバー610のサンプルディスク110側の側面から反応ディスク150上に入射する外光を最小限にしている。
【0041】
[実施例2]
図12は、本発明による自動分析装置の第2実施例を示す概略図である。第2実施例は、自動分析装置の本体筺体の上部に設置する保護カバーだけが第1実施例と異なり、他の構成は第1実施例と同じである。
【0042】
第1実施例では、保護カバーを、遮光機能を有する中央部の第1の保護カバーと、その左右に設けられた第2及び第3の保護カバーからなる3分割構造とした。本実施例では、保護カバーを、左右の2つの保護カバーからなる2分割構造とした。本実施例の右側に配置された第1の保護カバー710は、実施例1で説明した第1の保護カバー610と第3の保護カバー630を一体化したものに相当し、散乱光測定部を外光から遮光する機能を担う。また、本実施例の左側に配置された第2の保護カバー720は、第1の実施例における第2の保護カバー620と実質的に同じ構造を有する。
【0043】
第1の保護カバー710と第2の保護カバー720を閉じたとき、第1の保護カバー710の測端部の上に第2の保護カバー720の測端部が重なる。そのため、第2の保護カバー720は第1の保護カバー710とは無関係に、独立して開閉可能である。一方、第1の保護カバー710は、第2の保護カバーを開けた後に、あるいは第2の保護カバーと同時にでなければ開けることができない。
【0044】
従って、自動分析装置の運転途中で、サンプルディスクにアクセスする必要が生じた場合には、左側の第2の保護カバー720を開けてサンプルディスクに自由にアクセスすることが可能である。このとき右側の第1の保護カバー710は閉じられているため、散乱光測定部は外光に対する遮光状態が維持され、散乱光測定への影響はない。また、左右の保護カバー710,720には各々透視部711,721が設けられている。従って、オペレータは保護カバーを閉めたまま、保護カバーの透視部を通して各種ディスクの様子や分注機構の動きを目視で確認することができ、装置の運転状態を容易に把握できるため安心して分析を継続することができる。透視部711,721は内部を透視できればよいのであって必ずしも無色透明で光透過率の高い材料で構成する必要はなく、着色していても構わない。また、左側の第2の保護カバー720は、全体を光透過性の材料で構成しても構わない。
【0045】
自動分析装置の運転中に、分析が終了したサンプルと新しいサンプルとの取替えや、早く分析結果を知りたいサンプルを既にサンプルディスクにセットされているサンプルに割り込ませて配置する必要などのため、サンプルディスクには頻繁にアクセスする必要が生じる。一方、試薬は、自動分析装置の運転開始前に試薬ディスクに装填しておけば、頻繁に追加・補充する必要がない。従って、分析すべきサンプル数が一定数以下で、例えば一日の運転時間中に試薬を補充する必要がないことが分かっているような使用場所では、本実施例の2分割構造の保護カバーでも使い勝手を損なうことはない。そして、本実施例においても、散乱光測定部に外光が漏れ入ることを防止することができるので、高精度な散乱光測定を行うことができる。
【0046】
左右の保護カバー710,720の回動軸はそれぞれの保護カバーの後端部にあり、同軸に設定されている。従って、2枚の保護カバー710,720は同時に滑らかに開閉することが可能である。2枚の保護カバーを同時に開けることで本体筺体上面410へのフルアクセスが可能となり、本体筺体上面の清掃、サンプル分注機構や試薬分注機構のノズルの清掃、反応セルの洗浄や交換などのメンテナンス作業を制約無しに自由に行うことができる。
【0047】
本実施例においても、散乱光測定部への外光遮光機能を有する右側の保護カバー710が運転中に不用意に開けられることがないように、右側の保護カバー710に実施例1と同様なロック機構を設けてもよい。また、外光遮光機能を有する右側の保護カバー710の開閉状態を感知するセンサを設け、右側の保護カバーが閉じていないときには操作・制御部に警告を表示したり、装置の運転ができないようにしてもよい。
【0048】
[実施例3]
図13は、本発明による自動分析装置の第3実施例を示す概略図である。第3実施例は、自動分析装置の本体筺体の上部に設置する保護カバーだけが第1実施例及び第2実施例と異なり、保護カバー以外の構成は第1実施例及び第2実施例と同じである。
【0049】
本実施例の保護カバーは、基本的には、第2実施例で説明した2分割タイプの左右の保護カバーを一体化して1枚の保護カバー810としたものである。但し、実施例2の左側カバーは透明カバーであったが、本実施例ではそれに相当する部分を遮光性のある不透明部材で構成し、その代わり、サンプルディスク110の上方に対応する領域に、透視部としても機能する、透明材料からなる小さな開閉扉820を設けた。従って、実施例1の中央の第1保護カバー610に付随して第2保護カバー620に覆われるように設けられた突出部616のうち屋根部617は、本実施例の保護カバー810そのもので代用できるため不要である。ただし、図10で説明した突出部616の側壁618と遮光壁613は、遮光性能を上げるためには設けた方がよい。本実施例によると、サンプル分注機構の上方が保護カバー810の遮光性のある不透明な部分で覆われているため、散乱光測定部に入射する外光を少なくすることができ、測定精度の向上に寄与する。
【0050】
本実施例では、保護カバー810がサンプルディスク110へのアクセス用の小さな透明開閉扉820を有するため、自動分析装置の運転途中で、サンプルディスク110にアクセスする必要が生じた場合には、測定に影響を与えることなく、開閉扉820を開けてサンプルディスク110に自由にアクセスすることが可能である。保護カバー810及び開閉扉820を閉じたまま、透明な開閉扉820を通して、サンプルディスクに装着されたサンプルの分析に対する進捗状況を確認することも可能である。また、試薬ディスク及び試薬分注機構の上方位置には透視部830が設けられている。従って、オペレータは保護カバー810を閉めたまま、透視部830を通して試薬ディスクの様子や試薬分注機構の動きを目視で確認することができ、装置の運転状態を容易に把握できるため安心して分析を継続することができる。透明な開閉扉820及び透視部830は、内部を透視できればよいのであって必ずしも無色透明で光透過率の高い材料で構成する必要はなく、着色していても構わない。
【0051】
保護カバー810を開けることで本体筺体上面410へのフルアクセスが可能となり、本体筺体上面の清掃、サンプル分注機構や試薬分注機構のノズルの清掃、反応容器の洗浄や交換などのメンテナンス作業を行うことができる。
【0052】
本実施例においても、散乱光測定部への外光遮光機能を有する保護カバー810が運転中に不用意に開けられることがないように、保護カバー810に実施例1で説明したようなロック機構を設けてもよい。また、外光遮光機能を有する保護カバー810の開閉状態を感知するセンサを設け、保護カバー810が閉じていないときには操作・制御部に警告を表示したり、装置の運転ができないようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
110 サンプルディスク
111 サンプルカップ
120 試薬ディスク
121 試薬ボトル
150 反応ディスク
151 反応セル
155 攪拌部
156 洗浄部
157 恒温流体
210 サンプル分注機構
211 支柱
212 アーム
213 ノズル
220 試薬分注機構
310 散乱光測定部
311 光源
313 散乱光
314 散乱光受光器
400 分析装置本体
410 筐体上面
500 操作・制御部
510 PC
610 第1の保護カバー
611 舌部
612 ピン
613 遮光壁
614 切欠き
615 本体部
616 突出部
617 屋根部
618 側壁
619 開口
620 第2の保護カバー
621 透視部
630 第3の保護カバー
631 透視部
710 第1の保護カバー
711 透視部
720 第2の保護カバー
721 透視部
810 保護カバー
820 透明な開閉扉
830 透視部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13