特許第5830796号(P5830796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5830796フッ素化炭化水素化合物の検出方法及び検出センサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830796
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】フッ素化炭化水素化合物の検出方法及び検出センサー
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20151119BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20151119BHJP
   G01N 5/02 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   G01N31/00 Q
   G01N31/00 V
   G01N31/22 121A
   G01N31/22 122
   G01N5/02 A
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-72921(P2011-72921)
(22)【出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2012-207979(P2012-207979A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−249041(JP,A)
【文献】 特開2008−241606(JP,A)
【文献】 特開2012−112846(JP,A)
【文献】 特開2001−324492(JP,A)
【文献】 特開2001−324491(JP,A)
【文献】 特開平10−316596(JP,A)
【文献】 特表2008−532023(JP,A)
【文献】 特表2005−520172(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0223109(US,A1)
【文献】 米国特許第05358875(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0153173(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0042137(US,A1)
【文献】 sub-parts-per-million spectrophotometric determination of cfcs in working environment air, using alkaline pyridine medium,Chemical and Environmental Research,2005;14(3):261-266
【文献】 A fiber-optic sensor system for monitoring chlorinated hydrocarbon pollutants,Talanta. 1994 Dec;41(12):2189-94
【文献】 Spectrophotometric determination of trichlorofluoromethane in air,Fresenius' Zeitschrift fuer Analytische Chemie (1981), 309(5), 400
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00
G01N 5/02
G01N 31/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素と、下記の一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物との反応を用いて、フッ素化炭化水素を検出することを特徴とするフッ素化炭化水素の検出方法。
【化1】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
【請求項2】
前記反応による光学的変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物以外の有機物が共存する態様を用いて検出することを特徴とする請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記フッ素化不飽和炭化水素が、C58又はC46或いはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項5】
前記C58が、オクタフルオロシクロペンテンである請求項4に記載の検出方法。
【請求項6】
前記C46が、ヘキサフルオロブタジエン又はヘキサフオロシクロブテン或いはこれらの混合物である請求項4に記載の検出方法。
【請求項7】
前記フッ素化飽和炭化水素が、C582であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項8】
前記C582が、オクタフルオロシクロペンタンである請求項7に記載の検出方法。
【請求項9】
前記C582が、1H,2H−オクタフルオロシクロペンタン、1H,1H−オクタフルオロシクロペンタン又は1H,3H−オクタフルオロシクロペンタン或いはこれらの混合物である請求項7に記載の検出方法。
【請求項10】
前記反応における、吸光度、反射率、赤外振動、発光、蛍光、燐光、屈折率、液晶状態、及びX線による光電子運動エネルギーの変化から選ばれる1つ又は2つ以上の光学的変化を検出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項11】
前記光学的変化として、紫外可視光領域の吸光度変化又は反射率変化を用いることにより、濃度が0.1%以下のフッ素化炭化水素を検出することを特徴とする請求項10に記載の検出方法。
【請求項12】
前記反応による質量変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項13】
前記ピリジン骨格を有する化合物を一定の周波数で振動する表面に少なくとも吸着させ、それにより形成された膜表面と前記フッ素化不飽和炭化水素もしくは前記フッ素化飽和炭化水素との反応による質量変化を、当該表面における振動の一定の周波数からの変化でとらえることを特徴とする請求項12に記載の検出方法。
【請求項14】
フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素を検出する検出剤であって、下記一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物を有効成分とすることを特徴とするフッ素化炭化水素の検出剤。
【化2】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
【請求項15】
フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素を検出するためのセンサーであって、検出部に、下記の一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物を用いたことを特徴とするフッ素化炭化水素の検出センサー。
【化3】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
【請求項16】
前記ピリジン骨格を有する化合物を含む液体が多孔質材に含浸されていることを特徴とする請求項15に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
【請求項17】
前記多孔質材が、セルロース又はポリマー又は多孔質アルミナである請求項16に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
【請求項18】
前記ピリジン骨格を有する化合物を含有するポリマーを用いることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化炭化水素の検出方法及び検出センサーに関し、特に、オクタフルオロシクロペンテン、ヘキサフルオロブタジエンなどの分子内に炭素の不飽和結合を有するフッ素化炭化水素化合物、及び分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素化合物の検出方法及び検出センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、地球温暖化物質として京都議定書における協議以来、その削減が求められており、地球環境の保全、多くの生物種や人類の存続のため、その微量検出や除去、分解、使用量の削減、回収技術が求められている。
特に、ドライエッチングガスとして用いられてきた四フッ化炭素、オクタフルオロシクロブタンなどの飽和フルオロカーボン類は地球温暖化への悪影響から使用が制限されており、これらの代替物として、オクタフルオロシクロペンテン(C58)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、ヘキサフオロシクロブテン(C46)などの分子内に炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物が開発されてきている。これらの炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物(以下、「フッ素化不飽和炭化水素」という)は、選択比が高く微細加工のための高性能なマテリアルとして知られ、各半導体プロセスにおいて一部使用されている。これらは、地球温暖化係数は改善されているものの、元来その蒸気圧の高さや毒性の課題から管理基準濃度2ppmの規制が布かれている。さらには、現存する環境負荷の観点から、またプロセス現場において環境中のガスコンタミ源ともなり、高感度に検出する技術等が求められている。
【0003】
フッ素化不飽和炭化水素の検出手法としては、現在までに、過マンガン酸塩を用いた手法と熱分解を用いた手法が開発されている。
前者の手法は、C58やC46と過マンガン酸塩との反応により、過マンガン酸塩の消色を利用した方法である(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)反応が鈍く、測定する濃度は50ppm以上の濃い条件でないと感知が難しい、(2)検出するまでの時間が50ppmで平均約19分以上と長くかかる、(3)無機物を使用しているため加工性に難点があり、検出のための形態が制限される、(4)強い酸化剤である過マンガン酸塩を使用するため、ボロン誘導体などの水素化物や錯化物などの試剤により消色が起こり誤報の原因となる。
【0004】
後者の手法は、C58やC46の熱分解を用いた方法であって、気体中に存在するC58やC46を熱分解炉において熱分解し、その際発生する酸性ガスを敏速に光学的に検出する方法である(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)熱分解を行うため大きなエネルギーを消費する、(2)高温における熱分解を行うため、洗浄剤、絶縁体等で多用されるフッ素系液体などのガスからも同様の酸性ガスが発生し誤報の原因となる、(3)高温における熱分解を行うため、非常に危険な酸性ガスHFを発生させてしまう、(4)最終的にはその非常に危険な酸性ガスを検出しているので、他の類似の酸性ガスそのものが混入した場合に、これも誤報の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−324492号公報
【特許文献2】特開2001−324491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、これまでのフッ素化不飽和炭化水素の検出方法には、種々の問題があるため、これまでの手法とは原理の全く異なる、新たな方法を用いた、高性能で、より経済的な検出方法が必要とされている。
本発明は、上記の従来の技術における実状に鑑みてなされたものであって、高温熱分解や強い酸化剤を使用せずに室温付近で検出でき、簡便にC58やC46等のフッ素化炭化水素の検出方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、C58やC46等のフッ素化不飽和炭化水素の選択的な反応を利用することにより、上記の目的を達成しうるという知見を得た。すなわち、C58やC46等のフッ素化不飽和炭化水素との選択的な反応について鋭意検討を重ねた結果、特定の窒素化合物群を用いた、選択的で高感度な特殊発色反応を見出し、対象とするフッ素化不飽和炭化水素を見分けて検出することが可能となることが判明した。さらに、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素との選択的な反応についても同様に、対象とするフッ素化飽和炭化水素を見分けて検出することが可能となることが判明した。
【0008】
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素と、下記の一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物との反応を用いて、フッ素化炭化水素を検出することを特徴とするフッ素化炭化水素の検出方法。
【化1】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
[2] 前記反応による光学的変化を検出することを特徴とする[1]に記載の検出方法。
[3] 前記一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物以外の有機物が共存する態様を用いて検出することを特徴とする請求項[1]または[2]に記載の検出方法。
[4] 前記フッ素化炭化水素が、C58又はC46或いはこれらの混合物であることを特徴とする請求項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の検出方法。
[5] 前記C58がオクタフルオロシクロペンテンである[4]に記載の検出方法。
[6] 前記C46がヘキサフルオロブタジエン又はヘキサフオロシクロブテン或いはこれらの混合物である[4]に記載の検出方法。
[7] 前記フッ素化飽和炭化水素が、C582であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の検出方法。
[8] 前記C582が、オクタフルオロシクロペンタンである[7]に記載の検出方法。
[9] 前記C582が、1H,2H−オクタフルオロシクロペンタン、1H,1H−オクタフルオロシクロペンタン、又は1H,3H−オクタフルオロシクロペンタン或いはこれらの混合物である[7]に記載の検出方法。
[10] 前記反応における、吸光度、反射率、赤外振動、発光、蛍光、燐光、屈折率、液晶状態、及びX線による光電子運動エネルギーの変化から選ばれる1つ又は2つ以上の光学的変化を検出することを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[11] 前記光学的変化として、紫外可視光領域の吸光度変化又は反射率変化を用いることにより、濃度が0.1%以下のフッ素化炭化水素を検出することを特徴とする[10]に記載の検出方法。
[12] 前記反応による質量変化を検出することを特徴とする[1]に記載の検出方法。[13] 前記ピリジン骨格を有する化合物を一定の周波数で振動する表面に少なくとも吸着させ、それにより形成された膜表面と前記フッ素化不飽和炭化水素もしくは前記フッ素化飽和炭化水素との反応による質量変化を、当該表面における振動の一定の周波数からの変化でとらえることを特徴とする[12]に記載の検出方法。
[14] フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素を検出する検出剤であって、下記一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物を有効成分とすることを特徴とするフッ素化炭化水素の検出剤。
【化2】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
[15] フッ素化不飽和炭化水素、又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素を検出するためのセンサーであって、検出部に、下記の一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物を用いたことを特徴とするフッ素化炭化水素の検出センサー。
【化3】
[式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
[16] 前記ピリジン骨格を有する化合物を含む液体が多孔質材に含浸されていることを特徴とする[15]に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
[17] 前記多孔質材が、セルロース又はポリマー又は多孔質アルミナである[16]に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
[18] 前記ピリジン骨格を有する化合物を含有するポリマーを用いることを特徴とする[15]〜[17]のいずれか一項に記載のフッ素化炭化水素の検出センサー。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高温を使用せず、室温付近で簡便に迅速に、C58やC46等のフッ素化不飽和炭化水素、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素を検出でき、さらにフッ素系液体からの妨害ガスの干渉を受けず、それらを検出することができる。また、本発明の方法は、C58やC46等のフッ素化不飽和炭化水素や前記フッ素化飽和炭化水素を効率よく検出する、センサー、警報装置、測定機器等に適用でき、さらには選択的な除去分解技術に応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、C58やC46等のフッ素化不飽和炭化水素を、下記一般化学式(I)で表される化合物に接触させることで、反応を起こさせ、前記フッ素化炭化水素の検出を行うことを特徴とするものである。
【0011】
【化4】
【0012】
上記の一般式(I)で表される化合物は、R1〜R5のそれぞれは、水素、アルキル基、複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する、或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。
【0013】
すなわち、上記の一般式(I)において、R1〜R5のそれぞれは、ピリジン骨格における炭素と化学結合をする始点を表わしており、基本的にメチレン基(CH2)であって、他のヘテロ原子で置換されてもよい。また、上記の一般式(I)において、R1〜R5のそれぞれは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子であってもよい。
1〜R5の先には、一般的な炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が結合するもしくは挿入される場合もあり、また、隣どうしのR間で環状の構造をとり、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合も含まれ、例えば、イソキノリン、フェナントロリン、アクリジン等を含む。
ここで、一般的な炭化水素基とは、有機化学における一般的な官能基;ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある。例えば一例として、アルキル、アルケン、アルキン、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルデヒド、ケトン、エーテル、クラウンエーエル、ポリエチレングリコール、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アセタール、エポキシ、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、シアノ、イソシアノ、チオイソシアノ、アゾ、アゾキシ、ポルフィリン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルフィン酸エステル、スルホン酸エステル、それら酸の塩、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、キノリン、チオフェン、フラン、遷移金属錯体などの置換基が結合もしくは途中に入り込む形で結合し、またそれらを介して有機ポリマーが結合した化合物群を意味する。
【0014】
一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する窒素化合物の例を実施例で記述しているが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、有機合成などで用いられる塩基性試薬として既に公知のもの、或いは、それらから誘導される化合物である。
【0015】
前述のとおり、一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する窒素化合物は、R1〜R5中にポリマーが置換された骨格を有する場合もあり、その一例として、コポリマーPoly(4-vinylprydine-co-butyl methacrylate)がある。
【0016】
本発明における検出対象であるフッ素化炭化水素は、少なくとも炭素とフッ素から成り、分子内に炭素−炭素二重及び/又は炭素−炭素三重結合化合物を少なくとも有するフッ素化不飽和炭化水素を含む。これらの中には、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素など他の原子が置換されている化合物も含み、京都議定書において、評価した一連のフッ素化不飽和炭化水素が一部属する。
例えば一例として、C24、C36、C46、c−C48、c−C58、CF3OCF=CF2、C25OCF=CF2(c−はcyclic:環状を表し、c-C58は、前述のC58と同じである、C46には前述の2種類がある)等がある。またこれらの一部は、半導体プロセスでエッチングガスとして使われることが多い。
【0017】
また、本発明における検出対象であるフッ素化炭化水素には、前述のフッ素化不飽和炭化水素と同様の反応をする別のフッ素化炭化水素も含まれる。該フッ素化炭化水素としては、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基(例えば、フッ素、塩素などのハロゲン、アルコキシ、エーテル、スルフィド等の含カルコゲン基、カルボン酸、スルホン酸等の置換基)が結合しているフッ素化飽和炭化水素が含まれ、これらの中には、京都議定書において、評価した一連のガス状化合物であるフッ素化不飽和炭化水素が一部属する。
例えば一例として、CF3CHF2、CHF2CHF2、CF3CHFCF3、CF3CF2CHF2、CHF2CF2CHF2、CF3OCHFCF3、c−C582などがある。またこれらの一部は、半導体プロセスでエッチングガスとして使われることがある。
これらのフッ化物も、前記の一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物に接触させることで、発色反応を起こし、その光学的な変化を用いて検出を行うことができる。
【0018】
一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物は、それ以外の有機物と共存させて、混合物として使用できる。
混合する有機物としては、一般的な有機溶媒(例えば、エタノールやエチレングリコールやグリセリンなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)やN−メチル−2−ピロリドン(NMP)やヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)などのアミド類、テトラヒドロフラン(THF)やジオキサンなどのエーテル類)、ジイソプロピルアミン(LDA用)やトリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンやペンタメチルピペリドンなどの有機液体、ウレア類などの有機固体、セルロースやポリエチレンやポリブタジエンやポリエチレンアクリレートやポリイミドポリ安息香酸などの有機ポリマー、などが挙げられる。
一般式(I)で表される、ピリジン骨格を有する化合物の含有量は、0.1〜99.9質量%の範囲である。好ましくは、10〜80質量%の範囲である。
【0019】
検出のための反応は、ピリジン骨格を有する化合物と、検出対象とする前述のフッ素化炭化水素が接触すればよく、該化合物の使用形態は、有機溶剤に溶解して液体として用いる、該液体を基材に塗布する、該液体を多孔質材に含浸させる、或いは、該化合物を含有するポリマーを基板に塗布する等、どんな態様であってもよい。
これらの種々の形態を用いた検出の形態としては、例えば、
(1)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだ液体へ接触させる態様、
(2)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだポリマー膜に接触させる態様、
(3)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだセルロースに接触させる態様、
(4)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだテープ上もしくはシート上に接触させる態様、
(5)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだビーズもしくは粒子を内包した筒の内部に接触させる態様、
(6)検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだビーズもしくは粒子を固定したテープに接触させる態様、
などがあり、あらゆる態様を含む。例えば、検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだ液体へバブリングする態様や、検出対象とするフッ素化炭化水素を、ピリジン骨格を有する化合物を含んだセルロースに通過させる態様のように、検知対象とするフッ素化炭化水素があらゆる基材や物質に接触するなどがあり、あらゆる態様を含む。尚、ピリジン骨格を有する化合物を含有するポリマーとは、有機ポリマー中に物理的にピリジン骨格を有する化合物が混合されている場合、もしくは、ピリジン骨格を有する化合物が化学的な結合形態をとっている場合を意味する。
【0020】
本発明は、ピリジン骨格を有する化合物を利用したスムーズに進行する反応により対象とするフッ素化炭化水素を検出することができる。設定される反応温度は、摂氏100度以下であり、0〜60度が好ましい。室温付近(摂氏20度±10度)が最も好ましい。
【0021】
本発明において、光学的な変化は、分子の反応に伴うすべての光学的変化を使うことができる。
例えば、吸光度の変化は、紫外可視光領域における波長の光の透過率の変化に起因するもので、本発明における紫外可視光領域とは、真空紫外線含む紫外光領域から紫、青、緑、黄、橙、赤色を含む可視光領域の光の領域を意味し、波長では200〜800nmの範囲が好ましい。光源の観点から特に300〜700nmの範囲が最も好ましい。
【0022】
また、反射率の変化は、紫外可視光領域における波長の光の透過率の変化や散乱の変化による表面の反射率変化に起因するもので、吸光度の変化と強い関連がある。吸光度の変化と同様に、紫外可視光領域とは、真空紫外線含む紫外光領域から紫、青、緑、黄、橙、赤色を含む可視光領域の光の領域を意味し、波長では200〜800nmの範囲が好ましい。光源の観点から特に300〜700nmの範囲が最も好ましい。可視光において、目視による比色で検出も可能である。また紫外可視光において、機械を用いて光学的変化の検出も可能である。
【0023】
赤外振動の変化は、赤外線領域における分子内の各結合における伸縮や振動の変化に起因するもので、本発明における赤外振動とは、近赤外から赤外、さらには遠赤外の領域における振動である。カイザーでは、10〜4000cm-1の範囲が好ましい。測定の観点から特に1000〜1500cm-1の範囲が最も好ましい。
【0024】
発光や燐光の変化は、分子の反応に伴って変化する分子の励起状態から基底状態へのエネルギー移動の際放出される光の変化であり、本発明において、励起状態は励起光により生成される。従って使用する光の領域は、吸光度や反射率の変化において用いられた領域と同じである。発光や燐光の変化は、その強度が増大する場合と減少する場合がある。屈折率の変化は、分子の反応に伴って変化する部分の誘電率の変化に起因する。測定は空気中で行われることが多く、使用する光は紫外可視光領域のものが好ましく、値は0.1〜3.2の範囲における変化が好ましい。液晶状態の変化は分子の反応に伴って変化する分子の配向状態の変化に起因するもので、特に等方的液体状態とネマティック液晶もしくはスメクティック液晶との間の変化を用いる。偏光した紫外可視光領域の光を用いる。
【0025】
X線による光電子運動エネルギーの変化は、分子の反応に伴って変化する分子内の原子状態の変化に起因するもので、観測される光電子運動エネルギーの変化を測定する。光源として、MgKαやAlKαのX線を用いるのが好ましい。反応の観点から測定する光電子運動エネルギーの変化は200〜800eVの範囲を測定することが好ましい。以上の1つもしくは2つ以上の組み合わせの光学的変化を用いることで、感度よく、検出対象とするフッ素化炭化水素を検出できる。
【0026】
また、本発明において、反応による質量変化を用いることもでき、ピリジン骨格を有する化合物を、一定の周波数で振動する表面、例えば、QCM(Quarts Crystal Microbalance:水晶天秤)基板上に少なくとも吸着させ、その膜表面と前記のフッ素化炭化水素との反応による質量変化を、QCMの周波数変化でとらえることで、検出対象とするフッ素化炭化水素を検出できる。一定の周波数で振動する表面はQCMに限られることはなく他の態様のものでもよい。振動の周波数はあらゆる値をとることができる。精度の観点からkHzからMHzのオーダーが好ましい。またさらに、その他の手法で質量変化を測定できる天秤を用いることもできる。
【0027】
本発明を用いることで、短時間で検出対象とするフッ素化不飽和炭化水素、或いは、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素(以下、両者を併せて、単に「検出対象とするフッ素化炭化水素」ということもある。)を検出できる。
【0028】
本発明を用いることで、感度よく、検出対象とするフッ素化炭化水素を検出できる。例えば、50〜1000ppmの検出対象のガス状のフッ素化炭化水素の検出ができる。実用化の観点から、5ppmの濃度の検出が望ましくそれが可能である。管理基準濃度の観点からは、2ppmの濃度の検出が望ましくそれが可能である。事業化および信頼性の向上のためには、1分以内で0.1ppm以下の濃度の検出が望ましい。
【0029】
本発明は、ピリジン骨格を有する化合物を利用した室温付近でスムーズに進行する特殊な反応により、光学的変化を測定するが、有機分子特有の反応群を利用するため、特徴的な選択性が発揮される。すなわち、洗浄剤、絶縁体等で多用されるフッ素系液体、例えば、フロリナート(登録商標)(フッ素系不活性液体 成分;パーフルオロカーボン)、ガルデン(登録商標)(フッ素系不活性液体 成分;パーフルオロカーボン)、ノベック(登録商標)(成分:HFE ハイドロフルオロエーテル)等の、妨害ガスであるガス状の飽和炭化水素のフッ化物が過剰に存在しているにもかかわらず反応性を示さず、すなわち、誤報の原因とならず、選択的に検出対象とするフッ素化炭化水素を感度よく検出できる。
【0030】
本発明は、ピリジン骨格を有する化合物を利用した室温付近でスムーズに進行する特殊な反応により、光学的変化を測定するが、そのシグナルの処理は、装置、パソコン、ソフトを組み合わせることで測定でき、それらの機種や種類、形態に限定されることはなく、現存するもしくは作製されたものを工夫して用いることで十分に測定できる。光学的変化は、各スペクトルの特定の波長のピーク強度の変化やある波長域の積分値の変化やスペクトル形状の変化で捉えることができる。その際、基準となる各スペクトルの特定の波長のピーク強度やある波長域の積分値やスペクトル形状を設定することでより正確な変化を捉えることができる。これらの組み合わせにより、最終的に、検出対象とするフッ素化炭化水素を、選択的に感度よく検出できる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内での変更及び他の態様又は実施例は、全て本発明に含まれる。
(実施例1)
4,4'-ビピリジル約50mgを有機溶媒の1種であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)1mLに混合した。そこへ濃度20mMのC58のTHF溶液0.5mLを加えると黄褐色の変化が、紫外可視吸収420nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58を検出できた。
【0032】
(実施例2)
4,4'−ビピリジル約50mgをヌジョール(流動パラフィン)約1mLに混合した。そこへ冷却した濃度10mMのC58のテトラヒドロフラン(THF)溶液0.1mLを加えると褐色の変化が、紫外可視吸収450nm前後±100nmにおいて確認できた。紫外可視光の測定はオーシャンオプティクス社(Ocean Optics)のSpectraSuiteを用いた。紫外可視光用の光源はHg−Xeランプを用いた。以下の実施例も同様である。
この褐色の物質の赤外吸収スペクトルからC−F振動特有の1100〜1300cm-1のシグナルが観測できる。この変化は、X線光電子分光法の観測においても検出できる。F1sに特有の、C58と4,4'−ビピリジルとの反応による光電子運動エネルギーに対応する約690eVのピークが検出される。赤外吸収およびX線光電子分光の測定はそれぞれBioRadおよびESCA−KMを用いた。以下の実施例も同様である。
以上、光学的変化の各手法により、フッ素化不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC58を検出できた。
【0033】
(実施例3)
ピリジン約5mLの液体へドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5810mLと濃度5ppmのC4610mLを1:1で混合し注射器でとり、該4,4'−ビピリジル溶液にバブリングすると、紫外可視吸収変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58とC46の混合ガスを検出できた。
【0034】
(実施例4)
2−ブロモ−4−ヨードピリジン約300mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ溶解させた。そこへドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5810mLを注射器でとり、該溶液にバブリングすると、紫外可視吸収変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58ガスを検出できた。
【0035】
(実施例5)
コポリマーPoly(4-vinylprydine-co-butyl methacrylate) 約200mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1.5mLへ溶解した。そこへドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5810mLを注射器でとり、該溶液に吹き付けると、紫外可視吸収400nm前後±100nmにおいて、まず吸収の減少がみられ、その後新たな吸収の増大が450nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58ガスを検出できた。
【0036】
(実施例6)
3−ピリジンカルボアルデヒド約200mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ溶解させた。そこへドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5810mLを注射器でとり、該溶液にバブリングすると、紫外可視吸収変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58ガスを検出できた。
【0037】
(実施例7)
4,4'−ビピリジル約50mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLとピリジン40mgに混合し、その混合液を室温から約60度に昇温した。そこへドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のオクタフルオロシクロペンタン(C582)を注射器でとり、該溶液にバブリングすると、紫外可視吸収変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。
以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているフッ素化飽和炭化水素の一種であるC582ガスを検出できた。
【0038】
(実施例8)
金を蒸着してあるQCM(Quarts Crystal Microbalance:水晶天秤)の表面を6−ヒドロキシヘキサンチオール(6-hydroxyhexanethiol)のエタノール溶液に浸漬した。得られた表面に4、4’−ビピリジルのエタノール溶液をキャストし、窒素雰囲気下、乾燥させた。その膜表面をチャンバー内のQCM装置にセットし、0.1%のC58のガスを流入すると、QVCM上に形成した該膜表面の質量変化に伴い、QCMの周波数の変化(基準となる周波数=6MHz)が確認できた。
以上、ピリジン骨格を有する化合物の反応による質量変化を用いて、フッ素化不飽和炭化水素の一種であるC58を検出できた。
【0039】
(実施例9)
金を蒸着してあるQCM(Quarts Crystal Microbalance:水晶天秤)の表面を6−ヒドロキシヘキサンチオール(6-hydroxyhexanethiol)のエタノール溶液に浸漬した。得られた表面に4、4’−ビピリジルのエタノール溶液をキャストし、窒素雰囲気下、乾燥させた。その膜表面をチャンバー内のQCM装置に表面温度を約50度に昇温した状態でセットし、0.1%のC582のガスを流入すると、QVCM上に形成した該膜表面の質量変化に伴い、QCMの周波数の変化(基準となる周波数=6MHz)が確認できた。
以上、ピリジン骨格を有する化合物の反応による質量変化を用いて、フッ素化飽和炭化水素の一種であるC582を検出できた。