【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の例示的な硬化性組成物は、環状エーテル基(cyclic ether group)を含むシリコーン樹脂及びシリコーン変性脂環式酸無水物硬化剤を含むことができる。上記シリコーン樹脂は、アリール基、例えば、ケイ素原子に結合しているアリール基を含むことができる。また、上記硬化剤は、アリール基、例えば、ケイ素原子に結合しているアリール基を含むことができる。
【0006】
本明細書で用語「M単位」は、通常、式[R
3SiO
1/2]で表示される場合があるいわゆる1官能性シロキサン単位を意味し、用語「D単位」は、通常、式[R
2SiO
2/2]で表示される場合があるいわゆる2官能性シロキサン単位を意味し、用語「T単位」は、通常、式[RSiO
3/2]で表示される場合があるいわゆる3官能性シロキサン単位を意味し、用語「Q単位」は、通常、式[SiO
4/2]で表示される場合があるいわゆる4官能性シロキサン単位を意味することができる。上記で、Rは、ケイ素原子に結合している置換基であって、例えば、後述するように、水素、ヒドロキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、環状エーテル基または1価炭化水素基などであることができる。
【0007】
シリコーン樹脂は、環状エーテル基を含む。用語「環状エーテル基」は、特に別途規定しない限り、環状構造内に配置されているエーテル官能基を含む化合物またはその誘導体から誘導される1価残基を意味する。
【0008】
環状エーテル基としては、エポキシ基;オキセタン基;エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などが例示されることができる。エポキシアルキル基またはグリシドキシアルキル基としては、2、3−エポキシプロピル基、3、4−エポキシブチル基、4、5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基または4−グリシドキシブチル基などのように炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を含むエポキシアルキル基またはグリシドキシアルキル基が例示されることができる。また、脂環式エポキシ基としては、3、4−エポキシシクロペンチル基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、3、4−エポキシシクロペンチルメチル基、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル基、2−(3、4−エポキシシクロペンチル)エチル基、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3、4−エポキシシクロペンチル)プロピル基または3−(3、4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などの官能基が例示されることができる。耐熱性などを考慮して、環状エーテル基としては、例えば、脂環式エポキシ基が使用されることができるが、これに制限されるものではない。
【0009】
シリコーン樹脂で、上記樹脂に含まれる全体ケイ素原子Siに対する環状エーテル基のモル比(環状エーテル基/Si)が0.05〜0.3、0.1〜0.2または0.1〜0.18程度であることができる。上記モル比を0.05以上にして、組成物の硬化性を優秀に維持することができ、0.3以下にして、組成物の粘度及び耐熱性などの物性を優秀に維持することができる。
【0010】
上記シリコーン樹脂は、例えば、下記化学式1の平均組成式を有することができる。
【0011】
[化学式1]
(R
3SiO
1/2)
a(R
2SiO
2/2)
b(RSiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d
【0012】
上記化学式1で、Rは、ケイ素原子に結合している置換基であり、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、環状エーテル基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、アルコキシ基または1価炭化水素基であり、且つRのうち少なくとも1つは、環状エーテル基であり、Rのうち少なくとも1つは、アリール基であり、a+b+c+dを1に換算する場合、aは、0〜0.5であり、bは、0〜0.3であり、cは、0.3〜0.85であり、dは、0〜0.2である。
【0013】
本明細書でシリコーン樹脂が所定の平均組成式で表示されるというのは、組成物にその所定の平均組成式で表示される1つのシリコーン樹脂が含まれる場合と組成物に多数のシリコーン樹脂成分が存在し、その多数の樹脂成分の組成の平均を取れば、その所定の平均組成式で表示される場合をも含む。
【0014】
上記化学式1で、Rは、ケイ素原子に直接結合されている置換基であり、それぞれのRは、互いに同一であるか、異なることができ、独立的に水素、ヒドロキシ基、環状エーテル基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、アルコキシ基または1価炭化水素基であり、且つRのうち少なくとも1つは、環状エーテル基であり、また、Rのうち少なくとも1つは、アリール基である。上記でRは、場合によって、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。Rに置換されていてもよい置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、アルコキシ基、チオール基または1価炭化水素基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0015】
用語「アルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味することができる。上記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状または環状であることができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
用語「1価炭化水素基」は、炭素及び水素よりなる化合物または炭素及び水素よりなる化合物の水素のうち少なくとも1つが任意の置換基によって置換されている化合物から誘導される1価残基を意味することができる。上記1価炭化水素基は、例えば、1個〜20個、1個〜16個、1個〜12個、1個〜8個または1個〜4個の炭素原子を含むことができる。1価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基などや脂環式炭化水素基(alicyclic hydrocarbon)などが例示されることができる。
【0017】
用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8、または炭素数1〜4のアルキル基を意味することができる。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であることができ、任意に1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0018】
また、用語「アルケニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8、または炭素数2〜4のアルケニル基を意味することができる。アルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基であることができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0019】
また、用語「アルキニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8、または炭素数2〜4のアルキニル基を意味することができる。アルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状であることができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
用語「アリール基」は、特に別途規定しない限り、ベンゼン環を有するか、2個以上のベンゼン環が連結または縮合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味することができる。用語「アリール基」の範囲には、通常、アリール基と呼称されている官能基はもちろん、いわゆるアルアルキル基(aralkyl group)またはアリールアルキル基などをも含まれることができる。アリール基は、例えば、炭素数6〜25または炭素数6〜21のアリール基であることができ、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが含まれることができる。1つの例示で、上記アリール基は、フェニル基であることができる。
【0021】
用語「脂環式炭化水素基」は、環状に結合している炭素原子を含む化合物であって、芳香族化合物ではない化合物や、そのような化合物の誘導体から由来する1価の残基を意味することができる。上記脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20または炭素数5〜20の炭化水素基であることができる。このような炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、ノルボルナニル基(norbornanyl)、ノルボルネニル基(norbornenyl)、ジシクロペンタジエニル基、エチニルシクロヘキサン基、エチニルシクロヘキセン基またはエチニルデカヒドロナフタレン基などが例示されることができ、1つの例示では、ノルボルナニル基であることができるが、これに制限されるものではない。
【0022】
化学式1で、a、b、c及びdは、各シロキサン単位のモル分率を示し、その総計を1に換算する場合、aは、0〜0.5であることができ、bは、0〜0.3であることができ、cは、0.3〜0.85であることができ、dは、0〜0.2であることができ、但し、b及びcは、同時に0ではない。すなわち、化学式1の樹脂は、T単位を必須に含む樹脂であることができる。
【0023】
シリコーン樹脂は、環状エーテル基を含み、したがって、上記化学式1のRのうち少なくとも1つは、環状エーテル基、例えば脂環式エポキシ基であることができる。シリコーン樹脂では、環状エーテル基が結合されたケイ素原子は、T単位に含まれることが好ましい。例えば、化学式1のシリコーン樹脂は、環状エーテル基が結合されているT単位としてする化学式2で表示される単位を含むことができる。
【0024】
[化学式2]
[R
1SiO
3/2]
【0025】
上記化学式2で、R
1は、環状エーテル基、例えば、脂環式エポキシ基を示す。
【0026】
上記シリコーン樹脂は、硬化物の屈折率及び硬度特性を考慮して、1つ以上のアリール基を含むことができる。したがって、化学式1で、Rのうち少なくとも1つは、アリール基、例えば、フェニル基であることができる。1つの例示で、シリコーン樹脂に含まれた全体ケイ素原子Siに対する、アリール基Arのモル比Ar/Siは、0.5超過、0.6以上または0.7以上であることができる。このような範囲で組成物の粘度、硬化物、屈折率及び硬度などの特性を適切に維持することができる。上記アリール基のモル比Ar/Siの上限は、特に制限されず、例えば、2.0、1.5、1.0、0.9、0.89または0.85であることができる。
【0027】
シリコーン樹脂では、アリール基が結合されたケイ素原子は、D単位またはT単位に含まれることができる。1つの例示で、化学式1の平均組成式を有するシリコーン樹脂に含まれるアリール基は、いずれもDまたはT単位に含まれることができる。
【0028】
例えば、アリール基が結合されているD単位は、下記化学式3で表示されるシロキサン単位であり、アリール基が結合されているT単位は、下記化学式4で表示されるシロキサン単位であることができる。
【0029】
[化学式3]
[R
2R
3SiO
2/2]
【0030】
[化学式4]
[R
4SiO
3/2]
【0031】
上記化学式3及び4で、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、アルキル基またはアリール基であり、且つR
2及びR
3のうち少なくとも1つは、アリール基であり、R
4は、アリール基である。
【0032】
化学式3の単位は、少なくとも1つのケイ素原子に結合されたアリール基を含むD単位である。化学式3のシロキサン単位は、例えば、下記化学式5または6のシロキサン単位であることができる。
【0033】
[化学式5]
(C
6H
5)(CH
3)SiO
2/2
【0034】
[化学式6]
(C
6H
5)
2SiO
2/2
【0035】
1つの例示で、シリコーン樹脂に含まれる全体ケイ素原子Siに対する化学式3のシロキサン単位に含まれるアリール基Arのモル比Ar/Siまたはシリコーン樹脂に含まれる全体ケイ素原子Siのモル数に対する化学式3のシロキサン単位に含まれるアリール基Arのモル数とアルキル基Akのモル数の和の比率(Ar+Ak)/Siは、0.5〜0.9または0.7〜0.85であることができる。上記のような範囲で硬化物の光抽出効率を優秀に維持し、また、組成物の粘度を工程に適した範囲に維持することができる。
【0036】
化学式4は、ケイ素原子に結合されているアリール基を含むT単位であり、例えば、下記化学式7で表示されるシロキサン単位であることができる。
【0037】
[化学式7]
(C
6H
5)SiO
3/2
【0038】
シリコーン樹脂では、上記樹脂に含まれる全体ケイ素原子Siに対する化学式4の単位に含まれるアリール基Arのモル比Ar/Siは、例えば、0.5〜0.9または0.7〜0.85程度であることができる。このような範囲で硬化物の光抽出効率を優秀に維持し、また、組成物の粘度を工程に適した範囲に維持することができる。
【0039】
シリコーン樹脂は、耐熱性などの物性を考慮して、脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含むことができる。したがって、化学式1で、Rのうち少なくとも1つは、脂環式炭化水素基であることができる。樹脂で脂環式炭化水素基の量は、特に制限されず、例えば、耐熱性などを考慮して適切に選択されることができる。
【0040】
シリコーン樹脂は、例えば、25℃での粘度が1,000mPa・s〜20,000mPa・sまたは3,000mPa・s〜7,000mPa・s程度であることができる。このような粘度範囲で組成物の加工性や硬化後の硬度などを優秀に維持することができる。
【0041】
シリコーン樹脂は、例えば、1,500〜7,000または3,000〜5,000の重量平均分子量(M
w:Weight Average Molecular Weight)を有することができる。重量平均分子量を上記範囲に調節し、組成物の粘度や工程性などを優秀に維持することができる。用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。本明細書で、特に別途規定しない限り、用語「分子量」は、重量平均分子量を意味することができる。
【0042】
シリコーン樹脂を製造する方法は、特に制限されず、この分野で公知されている一般的な方法で合成することができる。シリコーン樹脂は、例えば、(1)ケイ素原子に結合された水素原子を含むシリコーン化合物とケイ素原子に結合されたアルケニル基を含むシリコーン化合物の水素ケイ素化(hydrosilylation)反応、(2)オルガノハロシラン及び/またはオルガノアルコキシシランなどの加水分解及び縮合反応、(3)再平衡化重合反応または(4)環状オルガノシロキサンの開環重合反応などを使用して製造することができる。この分野では、目的する樹脂を考慮して使用することができる多様な原料及び反応条件などが公知されており、平均的な技術者は、上記のような公知の原料及び条件を採用して目的シリコーン樹脂を容易に製造することができる。
【0043】
硬化性組成物は、硬化剤としてシリコーン変性脂環式酸無水物硬化剤を含む。用語「シリコーン変性脂環式酸無水物硬化剤」は、シロキサン単位を含み、且つ上記シロキサン単位内のケイ素原子に結合されている置換基中の1つ以上または2つ以上が脂環式酸無水物(alicyclic anhydride)官能基である硬化剤を意味する。このような硬化剤を使用して、適正なガラス転移温度及び優れた硬度を有する硬化物を提供することができる。また、優秀な可撓性を有し、クラックや内部応力による素子の機能低下または破損などを誘発しない硬化物を提供することができる。
【0044】
1つの例示で、上記硬化剤は、下記化学式8で表示されることができる。
【0045】
[化学式8]
R
6eR
7fSiO
(4−e−f)/2
【0046】
上記化学式8で、R
6は、
【0047】
【化1】
【0048】
であるか、または
【0049】
【化2】
【0050】
で置換されたアルキル基であり、R
7は、水素、ヒドロキシ基、1価炭化水素基または−OR
8であり、上記R
8は、1価炭化水素基であり、e及びfは、それぞれ0<e≦3、0<f≦2.5、0<e+f≦3を満たす数であり、R
6とR
7がそれぞれ複数の場合、それぞれは、同一であるかまたは異なることができる。
【0051】
化学式8の置換基の定義で、*の表示は、その部分がケイ素原子に結合されているか、またはアルキル基に置換されていることを意味する。
【0052】
化学式8でR
6は、例えば、
【0053】
【化3】
【0054】
であるか、
【0055】
【化4】
【0056】
であるか、上記で置換されたアルキル基であることができる。
【0057】
また、上記化学式8で、R
7は、1価炭化水素基、例えば、アルキル基またはアリール基であることができる。
【0058】
上記硬化剤は、硬化物の屈折率及び硬度特性を考慮して、1つ以上のアリール基を含むことができる。したがって、化学式8で、R
7のうち少なくとも1つは、アリール基、例えば、フェニル基であることができる。1つの例示で、硬化剤に含まれた全体ケイ素原子Siに対する、アリール基Arのモル比Ar/Siは、0.6超過、0.6〜2.0または0.6〜1.5であることができ、このような範囲で組成物の粘度特性、硬化物の屈折率及び硬度特性などを優秀に維持することができる
【0059】
1つの例示で、化学式8の化合物は、下記化学式9で表示されることができる。
【0060】
【化5】
【0061】
上記化学式9で、R
9は、それぞれ独立して、上記R
6またはR
7を示し、且つR
9のうち少なくとも1つは、R
6を示し、nは、0〜10である。
【0062】
化学式9で、R
6、すなわち脂環式酸無水物基は、シロキサン鎖の末端のケイ素原子に結合していてもよいが、これに制限されるものではない。また、上記で、nは、1〜10であり、例えば、1〜6である。
【0063】
化学式8の化合物は、例えば、下記化学式10、または下記化学式11で表示されることができる。
【0064】
【化6】
【0065】
上記化学式10で、R
6は、上記R
6と同一であり、R
7は、アルキル基またはアリール基であり、且つR
7の少なくとも1つは、アリール基であり、x及びyは、それぞれ0以上の数であり、且つx+yは、0〜10、1〜10または1〜6である。
【0066】
【化7】
【0067】
上記化学式11で、R
6は、上記R
6と同一であり、R
7は、アルキル基またはアリール基であり、且つR
7の少なくとも1つは、アリール基であり、nは、0〜10、1〜10または1〜6である。
【0068】
上記脂環式酸無水物硬化剤を製造する方法は、特に制限されず、例えば、適切な原料の水素ケイ素化反応などを通じて製造することができる。
【0069】
上記組成物は、上記シリコーン変性脂環式酸無水物硬化剤を、例えば、上記シリコーン樹脂100重量部に対して5重量部〜60重量部、5重量部〜40重量部または5重量部〜30重量部で含むことができる。
【0070】
本明細書で、単位重量部は、各成分間の重量の比率を意味する。
【0071】
上記組成物は、シリコーン変性脂環式酸無水物硬化剤にさらに必要な場合、他の硬化剤を含むこともできる。硬化剤の種類としては、環状エーテル基と反応することができる官能基を少なくとも1つ含む化合物を挙げることができ、例えば、カルボン酸化合物;酸無水物;アミノ化合物;エポキシ樹脂−ジエチレントリアミン付加物、アミン−エチレンオキシド付加物またはシアノエチル化ポリアミンなどのような変性樹脂ポリアミン;またはフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFまたはテトラブロモビスフェノールAなどのようなフェノール化合物などがあり、このような硬化剤のうちカルボン酸化合物または酸無水物、好ましくは、脂環式カルボン酸化合物または脂環式酸無水物、より好ましくは、脂環式酸無水物硬化剤を使用することができるが、これに制限されるものではない。上記で脂環式カルボン酸化合物の例としては、シクロヘキサン−1、2、4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1、3、5−トリカルボン酸またはシクロヘキサン−1、2、3−トリカルボン酸などのシクロヘキサントリカルボン酸を挙げることができる。また、上記で脂環式酸無水物硬化剤の例としては、シクロヘキサン−1、3、4−トリカルボン酸−3、4−無水物、シクロヘキサン−1、3、5−トリカルボン酸−3、5−無水物、シクロヘキサン−1、2、3−トリカルボン酸−2、3−無水物などを挙げることができるが、これに制限されるものではない。
【0072】
上記さらなる硬化剤の組成物内での含量は、特に制限されず、組成物の硬化性を考慮して適切に選択されることができる。
【0073】
硬化性組成物は、また、硬化触媒をさらに含むことができる。硬化触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン/トリフェニルボレイトまたはトリフェニルホスフィン/テトラフェニルボレイトなどのホスフィン化合物;ホスホニウム塩;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミンまたはアルファ−メチルベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン化合物;または2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールまたは2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0074】
硬化触媒の含量は、例えば、前述したシリコーン樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜2重量部であることができる。
【0075】
硬化性組成物は、また、1分子の中に2つ以上のエポキシ基を有する有機化合物をさらに含むことができる。上記有機化合物としては、例えば、公知の液相または固相のエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)とビスフェノールを原料とする各種ノボラック樹脂から合成されたエポキシ樹脂(例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)、エポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ樹脂(例えば3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたはビス(3、4−シクロヘキシルメチル)アジペートなど)、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル化合物、多価カルボン酸のグリシジルエステル化合物、トリグリシジルイソシアヌレートまたは塩素やフッ素原子などのハロゲン原子を導入したエポキシ樹脂などを使用することができ、上記のうち一種または二種以上の組合を使用することができる。上記有機化合物のうち特に着色が少ないビスフェノール型エポキシ樹脂(例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはビスフェノールS型エポキシ樹脂など)または脂環式エポキシ樹脂などを使用することが好ましい。
【0076】
上記有機化合物の含量は、目的する物性を考慮して適切に選択されることができ、例えば、シリコーン樹脂100重量部に対して、5重量部〜25重量部で含まれることができる。
【0077】
硬化性組成物は、また、必要に応じて、可塑剤、剥離剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料または染料(例えば二酸化チタン、カーボンブラックまたは酸化鉄など)をさらに含むことができる。また、上記組成物は、シリカ、シリカエアロゲル、シリカゲル及び上記のうちいずれか1つを有機シラン、有機シロキサンまたは有機シラザンで処理した補強性シリカ充填剤、さらにアスベスト、粉砕溶融石英、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、ケイ藻土、雲母、炭酸カルシウム、クレイ、ジルコニア、ガラス、黒煙、酢酸バリウム、硫酸亜鉛、アルミニウム粉末、フルオロカーボンの重合体粉末、シリコーンゴム粉末またはシリコーン樹脂粉末などを含むことができる。上記添加剤が含まれる場合、その含量は、特に制限されず、目的する物性を考慮して適切に選択することができる。
【0078】
本出願は、また、上記硬化性組成物の硬化物で封止された発光素子を含む発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)に関する。
【0079】
上記で発光素子の種類は、特に限定されない。例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光素子を使用することができる。半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlNまたはSiCなどを挙げることができる。基板としては、例えば、サファイア、スピンネル、SiC、Si、ZnOまたはGaN単結晶などが使用されることができるが、これに制限されるものではない。
【0080】
上記発光ダイオードでは、また、必要に応じて、基板と半導体材料との間にバッファー層を形成することもできる。バッファー層としては、GaNまたはAlNなどが使用されることができる。基板上への半導体材料の積層方法は、特に制限されず、例えば、MOCVD法、HDVPE法または液状成長法などを使用することができる。また、上記発光素子の構造は、例えば、MIS接合、PN接合、PIN接合を有するモノ接合、ヘテロ接合、二重ヘテロ接合などであることができる。また、単一または多重量子井戸構造で上記発光素子を形成することができる。
【0081】
1つの例示で、発光素子の発光波長は、例えば、250nm〜550nm、300nm〜500nmまたは330nm〜470nmであることができる。発光波長は、主発光ピーク波長を意味することができる。発光素子の発光波長を上記範囲に設定することによって、さらに長い寿命で、エネルギー効率が高くて、色再現性に優れた白色発光ダイオードを得ることができる。
【0082】
上記発光ダイオードは、発光素子、特に発光波長が250nm〜550nmの発光素子を上記硬化性組成物で封止することによって製造することができる。この場合、発光素子の封止は、上記硬化性組成物だけで行われることができ、場合によっては、他の封止材と併用して行われることができる。併用する場合、上記硬化性組成物を使用した封止後に、その周りを他の封止材で封止することもでき、まず他の封止材で封止した後、その周りを上記硬化性組成物で封止することもできる。他の封止材としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂またはガラスなどが使用されることができる。
【0083】
上記硬化性組成物で発光素子を封止する方法としては、例えば、モールド型金型に硬化性組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレームなどを浸漬した後、硬化させる方法、発光素子を挿入した金型中に硬化性組成物を注入し硬化する方法などを使用することができる。硬化性組成物を注入する方法の例としては、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形などを挙げることができる。また、その他の封止方法としては、硬化性組成物を発光素子上に滴下、孔板印刷、スクリーン印刷またはマスクを媒介に塗布して硬化させる方法、底部に発光素子を配置したカップなどに硬化性組成物をディスペンサーなどによって注入し、硬化させる方法などが使用されることができる。また、硬化性組成物を、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド材、発光素子上にパッシベーション(passivation)膜、パッケージ基板などとして利用することもできる。封止部分の形状は、特に限定されず、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状または薄膜状などで構成することができる。
【0084】
また、従来の公知の方法によって発光ダイオードのさらなる性能向上を図ることができる。性能向上の方法としては、例えば、発光素子の背面に光の反射層または集光層を設ける方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設ける方法、発光素子を封止した後、さらに硬質材料でモルディングする方法、発光ダイオードを貫通ホールに挿入して固定する方法、発光素子をフリップチップ接続などによってリード部材などと接続し、基板方向から光を取り出す方法などを挙げることができる。
【0085】
発光ダイオードは、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)のバックライト、照明器具、各種センサー、プリンター、コピー機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯燈、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾または各種ライトなどに効果的に適用されることができる。