特許第5833819号(P5833819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5833819-ゴムホースの製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5833819
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】ゴムホースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20151126BHJP
【FI】
   F16L11/08 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-261328(P2010-261328)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-112439(P2012-112439A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年1月25日
【審判番号】不服2014-20339(P2014-20339/J1)
【審判請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野中 隆史
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 智則
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智則
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直也
【合議体】
【審判長】 和田 雄二
【審判官】 島田 信一
【審判官】 氏原 康宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−64878(JP,A)
【文献】 特開2006−207748(JP,A)
【文献】 特開平6−293087(JP,A)
【文献】 特開昭62−256850(JP,A)
【文献】 特開2004−316027(JP,A)
【文献】 特開2006−52502(JP,A)
【文献】 特開2008−208267(JP,A)
【文献】 特開平7−1663(JP,A)
【文献】 特開平11−311377(JP,A)
【文献】 特開昭51−63015(JP,A)
【文献】 特開平11−323738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L9/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
長手方向に沿って中空部が形成された内層ゴム層と、
該内層ゴム層の外周側に設けられる編組層と、
該編組層の外周に接触させて設けられ、エチレンプロピレンジエンゴムからなる外層ゴム層と、
を有するゴムホースの製造方法であって、
当該製造方法は
前記内層ゴム層の外周側に糸状体を組み合わせて編むことにより形成した前記編組層を設けた後で、該編組層にラテックス成分がポリブタジエンラテックスであるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤を付着させるRFL処理を施すRFL後処理工程と、
チウラム系加硫促進剤チアゾール系加硫促進剤、及びマレイミド基を2つ以上有する加硫助剤を配合して前記外層ゴム層を形成する促進剤及び助剤配合工程と、
前記編組層の外周に前記外層ゴム層を設けた後に加硫処理を行う加硫処理工程と、
を有し、
前記RFL処理によるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤の前記編組層への付着率が3%以上であり、
前記糸状体としてビニロン繊維、前記チウラム系加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド、前記チアゾール系加硫促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、前記加硫助剤としてm−フェニレンジマレイミドを使用した
ことを特徴とするゴムホースの製造方法。
【請求項2】
少なくとも、
長手方向に沿って中空部が形成された内層ゴム層と、
該内層ゴム層の外周側に設けられる編組層と、
該編組層の外周に接触させて設けられ、エチレンプロピレンジエンゴムからなる外層ゴム層と、
を有するゴムホースの製造方法であって、
当該製造方法は
先に糸状体にラテックス成分がポリブタジエンラテックスであるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤を付着させるRFL処理を施し、その後、前記内層ゴム層の外周側に当該RFL処理を施した糸状体を組み合わせて編むことにより形成した前記編組層を設けるRFL先処理工程と、
チウラム系加硫促進剤チアゾール系加硫促進剤、及びマレイミド基を2つ以上有する加硫助剤を配合して前記外層ゴム層を形成する促進剤及び助剤配合工程と、
前記編組層の外周に前記外層ゴム層を設けた後に加硫処理を行う加硫処理工程と、
を有し、
前記RFL処理によるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤の前記編組層への付着率が3%以上であり、
前記糸状体としてビニロン繊維、前記チウラム系加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド、前記チアゾール系加硫促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、前記加硫助剤としてm−フェニレンジマレイミドを使用した
ことを特徴とするゴムホースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムホースの製造方法及びゴムホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキホースは、車両の安全性を確保する上で極めて重要であり、重要保安部品に指定されている。ブレーキホースとして用いられるゴムホースは、車両ハンドルの繰返し動作による屈曲、転舵および揺動など過酷な機械的ストレスに加え、常に高温、高圧、オゾンなどの影響も受ける。
【0003】
このような過酷な環境に耐えうるゴムホースとして、外層ゴム材料にエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。外層ゴム材料にEPDMを用いることで、これまで主流とされていた外層ゴム材料にクロロプレンゴム(CR)を用いたホースと比べ、上記の過酷な環境に耐え、加えて、耐候性などの面に優れたゴムホースが得られる。
【0004】
しかし、EPDMは、その分子構造から極性基を持たないゴムであり、各種材料との相互作用が生まれにくいため、CRをはじめとする極性基を有するゴム材料と比べ、処理糸(補強用の糸状体)との接着力が十分に得られないとされていた。すなわち、ゴムホースにおいて、外層ゴム層にEPDMを使用した場合、外層ゴム層と当該外層ゴム層の内層に形成される編組層との接着力を低下させ、ホースとしての安定性を欠く原因となる。そのため、従来においては、有機溶剤系の接着剤を編組層の上に塗布し、その後外層ゴムを被覆するなどの処置がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55−6021号公報
【特許文献2】特許第4246089号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】久木博、森修著、「ゴムと繊維の接着技術」、社団法人日本ゴム協会、日本ゴム協会誌、1991年、第63巻、第1号、p.3−15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、EPDMを使用した外層ゴム層と編組層とを接着させる為に、有機溶剤系の接着剤を用いると、コスト面や有機溶剤系の接着剤の使用による作業環境(製造時の環境)の悪化といった問題も指摘されていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み為されたものであり、作業環境の悪化を招く有機溶剤系の接着剤を用いずにEPDMと糸状体との接着性を向上させることが可能なゴムホースの製造方法及びゴムホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、少なくとも、長手方向に沿って中空部が形成された内層ゴム層と、該内層ゴム層の外周側に設けられる編組層と、該編組層の外周に接触させて設けられ、エチレンプロピレンジエンゴムからなる外層ゴム層と、を有するゴムホースの製造方法であって、当該製造方法は前記内層ゴム層の外周側に糸状体を組み合わせて編むことにより形成した前記編組層を設けた後で、該編組層にラテックス成分がポリブタジエンラテックスであるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤を付着させるRFL処理を施すRFL後処理工程と、チウラム系加硫促進剤チアゾール系加硫促進剤、及びマレイミド基を2つ以上有する加硫助剤を配合して前記外層ゴム層を形成する促進剤及び助剤配合工程と、前記編組層の外周に前記外層ゴム層を設けた後に加硫処理を行う加硫処理工程と、を有し、前記RFL処理によるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤の前記編組層への付着率が3%以上であり、前記糸状体としてビニロン繊維、前記チウラム系加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド、前記チアゾール系加硫促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、前記加硫助剤としてm−フェニレンジマレイミドを使用したゴムホースの製造方法である。
【0010】
また本発明は、少なくとも、長手方向に沿って中空部が形成された内層ゴム層と、該内層ゴム層の外周側に設けられる編組層と、該編組層の外周に接触させて設けられ、エチレンプロピレンジエンゴムからなる外層ゴム層と、を有するゴムホースの製造方法であって、当該製造方法は先に糸状体にラテックス成分がポリブタジエンラテックスであるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤を付着させるRFL処理を施し、その後、前記内層ゴム層の外周側に当該RFL処理を施した糸状体を組み合わせて編むことにより形成した前記編組層を設けるRFL先処理工程と、チウラム系加硫促進剤チアゾール系加硫促進剤、及びマレイミド基を2つ以上有する加硫助剤を配合して前記外層ゴム層を形成する促進剤及び助剤配合工程と、前記編組層の外周に前記外層ゴム層を設けた後に加硫処理を行う加硫処理工程と、を有し、前記RFL処理によるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤の前記編組層への付着率が3%以上であり、前記糸状体としてビニロン繊維、前記チウラム系加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド、前記チアゾール系加硫促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、前記加硫助剤としてm−フェニレンジマレイミドを使用したことを特徴とするゴムホースの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業環境の悪化を招く有機溶剤系の接着剤を用いずにEPDMと糸状体との接着性を向上させることが可能なゴムホースの製造方法及びゴムホースを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態に係るゴムホースの製造方法で製造するゴムホースの構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るゴムホースの製造方法で製造するゴムホースの構造を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように、ゴムホース1は、例えば、車両用のブレーキホースに好適なものであって、少なくとも、長手方向に沿って中空部2aが形成された内層ゴム層2と、内層ゴム層2の外周側に設けられ、糸状体(図示せず)を組み合わせて編むことにより形成した編組層(第2編組層5)と、編組層(第2編組層5)の外周に設けられ、EDPMからなる外層ゴム層6と、を有している。
【0024】
本実施の形態では、内層ゴム層2の外周に、第1編組層(第1繊維補強層)3、中間ゴム層4、第2編組層(第2繊維補強層)5、外層ゴム層6を順次設けて、ゴムホース1を構成するようにした。
【0025】
内層ゴム層2および中間ゴム層4の材料は、特に限定されるものではないが、EPDM、CRの他にも、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソブチレンゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等が特性に応じて用いられる。
【0026】
第1編組層3、第2編組層5を構成する糸状体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアクリレート繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンペンズビスオキサゾール繊維、ポリイミド繊維、またはポリフェニレンサルファイド繊維のような合成繊維、レーヨンやノボラックのような化学繊維、綿や麻のような天然繊維を用いることができる。本実施の形態では、第1編組層3、第2編組層5を構成する糸状体として、ビニロンからなるものを用いるようにした。ビニロンは、高強力・低伸度・耐候性に優れており、ホース用補強コードをはじめ工業用製品に広く用いられている。
【0027】
外層ゴム層6は、EPDMからなる。外層ゴム層6にEPDMを用いたゴムホース1は、EPDMの分子構造から耐熱性、耐寒性、耐オゾン性、および耐候性に優れる。また、EPDMは極性の低いポリマーであり、ゴムホース1の金具部品(固定金具など)を腐食させる危険性も低いことから、ゴムホース1をブレーキホースとして用いる場合の外周被覆材料として好適である。
【0028】
次に、ゴムホース1の製造方法を説明する。
【0029】
ゴムホース1を製造する際には、まず、マンドレル(心棒)上に内層ゴム層2を押出し、その内層ゴム層2の外周を第1編組層3で覆い、第1編組層3の外周に中間ゴム層4、第2編組層5を順次形成する。
【0030】
中間ゴム層4の形成は、編組層3,5の形成時に、編組層3,5間に未加硫ゴムテープ、フィルム(例えば樹脂)を巻くか、ゴム材料を溶剤に溶かして糊状にしたものをコーティング、あるいはディッピングした後、架橋することによって行われる。中間ゴム層4には、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤などが必要に応じて添加される。
【0031】
本実施の形態に係るゴムホース1の製造方法は、内層ゴム層2の外周側(ここでは中間ゴム層4の外周)に、糸状体を組み合わせて編むことにより形成した第2編組層5を設けた後で、第2編組層5に、ラテックス成分がポリブタジエンラテックス(以下、PBラテックスという)であるレゾルシン・フォルマリン・ラテックス処理剤(以下、RFL処理剤という)を付着させるRFL処理を施すRFL後処理工程と、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を配合して外層ゴム層6を形成する促進剤配合工程と、第2編組層5の外周に押出し等により外層ゴム層6を設けた後に加硫処理を行う加硫処理工程と、を有している。
【0032】
つまり、本実施の形態に係るゴムホース1における第2編組層5は、ラテックス成分がPBラテックスであるRFL処理剤を付着させるRFL処理を施したRFL処理済み編組層であり、外層ゴム層6は、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤が配合された加硫促進剤配合済み外層ゴム層である。
【0033】
なお、本実施の形態では、糸状体を編んで第2編組層5を形成した後でRFL処理を行うRFL後処理工程としたが、これに限らず、先に糸状体にRFL処理を施し、その後、当該RFL処理を施した糸状体を組み合わせて編むことにより第2編組層5を形成するRFL先処理工程としてもよい。
【0034】
RFL処理剤は、レゾルシン・フォルマリン(RF)をアルカリ又は酸性触媒下で反応させて得られる初期縮合物とラテックス成分との混合物であり、本発明では、ラテックス成分がPBラテックスであるRFL処理剤を用いる。これは、PBラテックスのSP値(Solubility Parameter;溶解パラメータ)は8.4であり、EPDMのSP値7.9に対してゴムの中では比較的近い値を示し、また、PBとEPDMは同一加硫系でほぼ同等の加硫速度をもつため、どちらか一方のみに加硫促進剤が消費され、反応が終了してしまうことが低減されるためである。よって、RFL処理剤のラテックス成分をPBラテックスとすることにより、加硫促進剤が適当に消費されることとなり、外層ゴム層6の良好な接着が期待できる。
【0035】
また、RFL処理によるRFL処理剤の第2編組層5への付着率(=(RFL処理後重量−RFL処理前重量)/RFL処理前重量×100)は、3%以上であることが望ましい。これは、付着率が3%以上であると、外層ゴム層6の第2編組層5に対する接着力を20N/cm以上とすることができるためである。
【0036】
外層ゴム層6に添加する加硫促進剤として、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を配合するのは、ゴム種ごとの加硫促進剤の分配係数(この場合、加硫促進剤がPBへ移行する量と加硫促進剤がEPDMへ移行する量との比)が関係している。PB/EPDM系の加硫の場合、加硫促進剤の分配係数は、チウラム系で6.6以上PB側に、チアゾール系で1.69PB側に分配される。これら両方の加硫促進剤を適切に用い(配合す)ることで、外層ゴム層6中の加硫促進剤が、第2編組層5のRFL処理に用いているPB側に速やかに移行され、RFL処理剤と外層ゴム層6のEPDMが共に加硫し、良好な接着力を得ることが可能になる。
【0037】
外層ゴム層6に添加するチウラム加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)などがあるが、この限りではない。
【0038】
外層ゴム層6に添加するチアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、MBTナトリウム塩(NaMBT)、MBT亜鉛塩(ZnMBT)、ジベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−MBTシクロヘキシルアミン塩(CMBT)、N−N’−ジエチルチオカルバモイル−2−ベンゾチアゾイルスルフィド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)などがあるが、この限りではない。
【0039】
また、本実施の形態では、外層ゴム層6に、さらに、加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を配合する。マレイミド基を2つ以上有する化合物としては、例えば、m−フェニレンジマレイミドがある。マレイミド基を2つ以上有する化合物は、加硫時にRFL処理剤のPBに移行し、EPDMとPBの加硫を助ける役割を果たす。
【0040】
加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を配合する工程は、上述の促進剤配合工程の一部としてもよい。すなわち、加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤と同時期に外層ゴム層6(EPDM)に配合してもよい。
【0041】
また、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を外層ゴム層6(EPDM)に配合しておいてから、別途加硫助剤配合工程を設けて加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を配合してもよい。
【0042】
さらには、加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を外層ゴム層6(EPDM)に配合しておいてから、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を配合してもよい。
【0043】
外層ゴム層6中に配合する加硫促進剤および加硫助剤の量は、特に規定されるものではないが、分散具合とコストの兼ね合いから、加硫促進剤をゴム(EPDM)質量100に対して3.0質量部、加硫助剤を2.0質量部程度配合することが望ましい。
【0044】
さらに必要に応じて、外層ゴム層6に、補強材、充填剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防止剤などの配合剤を適宜添加することができる。また、ゴム以外では各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の適用が考えられる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係るゴムホースの製造方法は、糸状体を組み合わせて編むことにより第2編組層5を形成した後で、第2編組層5にラテックス成分がPBラテックスであるRFL処理剤を付着させるRFL処理を施すRFL後処理工程(あるいは先に糸状体にRFL処理を施し、その後、当該RFL処理を施した糸状体を組み合わせて編むことにより第2編組層5を形成するRFL先処理工程)と、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を配合して外層ゴム層6を形成する促進剤配合工程と、第2編組層5の外周に外層ゴム層6を設けた後加硫処理を行う加硫処理工程と、を有している。
【0046】
PBとEPDMは、SP値が近い値であり、同一加硫系でほぼ同等の加硫速度をもつため、ラテックス成分がPBラテックスであるRFL処理剤を第2編組層5に付着させ、RFL処理剤を介して外層ゴム層6と第2編組層5とを接着させることで、外層ゴム層6と第2編組層5との接着力を向上できる。
【0047】
また、外層ゴム層6に、チウラム系加硫促進剤及びチアゾール系加硫促進剤を配合し、その配合比を適宜調節することにより、加硫時に外層ゴム層6からRFL処理剤のPBに加硫促進剤が速やかに移行するようになり、EPDMとPBの両者を共に加硫して、第2編組層5に対する外層ゴム層6の接着力をより向上できる。
【0048】
ゆえに、本発明によれば、作業環境の悪化を招く有機溶剤系の接着剤を用いずに、EPDMと第2編組層5の糸状体との接着性の向上を可能とすることができる。
【0049】
また、本実施の形態に係るゴムホースの製造方法では、編組層3,5の糸状体としてビニロンを用いているため、高強力・低伸度・耐候性に優れた編組層3,5を実現でき、高強度、低膨張で信頼性の高いゴムホース1を実現できる。
【0050】
さらに、本実施の形態に係るゴムホースの製造方法では、RFL処理剤の第2編組層5への付着率を3%以上としているため、接着力が20N/cm以上を確保するようなホース構造体が得られる。
【0051】
さらにまた、本実施の形態に係るゴムホースの製造方法では、外層ゴム層6に、さらに加硫助剤としてマレイミド基を2つ以上有する化合物を配合しているため、第2編組層5に対する外層ゴム層6の接着力をより向上することができる。
【0052】
なお、5マレイミド基を2つ以上有する化合物を含むRFL溶液中で処理した糸状体がEPDMとの接着に有効であることはすでに知られている(特許文献2)が、本発明では、外層ゴム層6に配合することで、混練りによる配合剤の均一分散の力を利用し、被着体である第2編組層5と均一に接着することを可能としている。これにより、外層ゴム層6と被着体である第2編組層5とをムラなく接着でき、接着力をより向上することが可能である。
【0053】
また、特許文献2のようにRFL処理剤にマレイミド基を2つ以上有する化合物を添加する場合、水やRFLとの相互作用により、貯蔵時に沈殿、分離、ゲル化といった品質の劣化が起こり、使用不可となってしまう可能性があるが、本発明では、マレイミド基を2つ以上有する化合物を外層ゴム層6に配合するため、沈殿、分離、ゲル化といった貯蔵時における品質の劣化を防ぎ、取り扱いを容易にすることができる。
【0054】
さらに、マレイミド基を2つ以上有する化合物は架橋性能を有するため、EPDMからなる外層ゴム層6中にマレイミド基を2つ以上有する化合物を配合することにより、架橋成分が接着層(RFL処理剤と外層ゴム層6との境界)の凝集力を高めると共に、RFL処理剤と外層ゴム層6とが共加硫されたゴム構造体も優れた特性を発揮するようになる。さらにまた、マレイミド基を2つ以上有する化合物は、ポリマーラジカルの存在下では、連鎖反応により加硫速度の増大をもたらし、架橋密度を増大させ、かつそのホモポリマーが硬いため、フィラー効果も大きくなり、強度の高い接着凝集層を形成する。よって、第2編組層5に対する外層ゴム層6の接着力をさらに高くすることが可能である。
【0055】
このように、本発明によれば、外層ゴム層6にEPDMを使用しても第2編組層5と優れた接着力を発揮し、強度や耐久性に優れた、ブレーキホースに好適なゴムホース1を製造することが可能であり、その実用性は大きい。
【実施例】
【0056】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0057】
内層ゴム層2をEPDM、第1編組層3を構成する糸状体をビニロン繊維、中間ゴム層4をEPDM、第2編組層5を構成する糸状体をビニロン繊維、外層ゴム層6をEPDMとして、図1に示すような仕様のゴムホース1を作製した。
【0058】
なお、外層ゴム層6中のチウラム系加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド、チアゾール系加硫促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、マレイミド基を2つ以上有する化合物としてm−フェニレンジマレイミドを使用した。
【0059】
ゴムホース1を作製する際には、マンドレル(心棒)上に内層ゴム層2を押出し、これに第1編組層3を編組により作製し、これに中間ゴム層4、第2編組層5、外層ゴム層6を順次形成した後に、加硫を施して完成させた。
【0060】
同様にして、m−フェニレンジマレイミドの添加量を0〜3phr(per hundred rubber)と変化させてゴムホース1を作製し、作製したゴムホース1を所定の長さに切断して、接着試験を行った。接着試験は、JISK6330に準拠し、外層ゴム層6と第2編組層5の接着力(N/cm)を測定した。試験結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
また、RFL処理剤の糸状体への付着率を変化させて、ゴムホース1を作製し、作製したゴムホース1を所定の長さに切断して、接着試験を行った。RFL処理剤の糸状体の付着率は、JISL1017に準拠して測定した。試験結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表1の結果から明らかなように、マレイミド基を2つ以上有する化合物であるm−フェニレンジマレイミドを添加することで、接着力の増加が期待できる。
【0065】
表2の結果から明らかなように、RFL処理剤の付着率を3%以上とすることで、接着力が20N/cm以上と良好な接着力を有するゴムホース1を作製することができる。
【0066】
このように、本発明のゴムホースは、外層ゴム層6と第2編組層5の良好な接着力を有し、ホース構造体として安定した製品となる。
【符号の説明】
【0067】
1 ゴムホース
2 内層ゴム層
3 第1編組層
4 中間ゴム層
5 第2編組層(編組層)
6 外層ゴム層
図1