(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
用紙処理装置及び画像形成装置を備えた画像形成システムでは、画像形成装置によって用紙上に画像が形成され、当該画像が形成された用紙に対して、ユーザの要求に応じて穴明け、整合、綴じ、折りなどの所謂後処理を行うことができる。後処理は用紙処理装置によって実行されることから、この種の用紙処理装置を用紙後処理装置と称している。以下、用紙後処理装置として説明する。
【0003】
このような後処理の1つに、中綴じ製本がある。中綴じ製本は、前記綴じのうち用紙の中央部で綴じる中綴じ処理と、中綴じされた位置で2つに折り込む中折り処理が実行され、週刊誌のような形状の製本が行われるものである。中綴じ製本における画像形成後の用紙の後処理工程は、束揃え工程、中綴じ工程、中折り工程、排紙工程の順で処理される。中には折り工程、束揃え工程、綴じ工程、排紙工程の順で処理する後処理機が存在するが、折った紙を搬送し束にして揃えるには折り目が搬送抵抗となり綺麗に揃えるのが困難であったり、1度折った用紙の中央を綴じるためには鞍掛け方式など機械のスペースが大きくなったりする。そこで、綴じ処理後の後に折り工程を行う前者の工程で処理することが一般的に行われている。
【0004】
このような処理を行う場合、折り処理後の下流には中綴じ処理した用紙をスタックする工程のみなので、折り機構において下流側に大きな駆動機構があっても問題にならない。しかし、折り処理前の上流側では中綴じ処理を行うために、搬送経路上に中綴じステープラを配置するためのスペースが必要である。
【0005】
図10は、プレス折りプレートと中綴じステープラの配置について示す図である。
図10(a)は垂直搬送路を基準に中折り刃の上流側と下流側に駆動機構を設けた例、
図10(b)は中折り刃の上流側に駆動機構を設けた例、
図10(c)は中折り刃の下流側に駆動機構を設けた例、をそれぞれ示す。中綴じ製本ではステープル処理と折り処理を同じ位置に行い、綴じ位置で折るようになっている。そのため、中折りユニット(中折り刃1、搬送ローラ対2、上下両側のプレス折りプレート3,4)から離れた位置に中綴じステープラ8を配置すると、綴じてから折るまでの搬送距離が長くなり(距離L1)、生産性が悪くなる。加えて、用紙枚数が多い場合、例えば、20枚以上の用紙束を製本する場合には、20枚以上の用紙をまとめて搬送する必要があるが、用紙枚数が多いと搬送中に傾いてしまう場合や、用紙の整合性が崩れる場合がある。このように傾いた場合も整合性が崩れた場合も、その後の工程で2つに折るため、斜めに折れたり、用紙がずれて折れたりして折り品質の低下を招くことになる。なお、前記かっこ内の参照符号は後述の
図1を参照のこと。
【0006】
他方、このような装置として、例えば特許文献1(特開2010−006602号公報)に記載された発明が公知である。この発明は、用紙束を中央部で綴じ、綴じた位置で2つ折りして中綴じ折り冊子を作成する中綴じ折り装置において、強い折り目が付与された中綴じ折り冊子を短時間で効率よく作成するためのものである。本発明では、綴じられた用紙束を2つ折りする折り部の下流側に、2つ折りされた用紙束の折り目を、互いに対向するプレス面で表裏から挟んでプレス圧をかけるプレス部を有し、このプレスの回数とプレス動作を制御し、用紙束が多枚数であっても確実に折り目を強化するようにしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、搬送方向の中央部を綴じられた用紙束に折りを施すに際して、上側のプレス折りプレートを固定し、下側のプレス折りプレートを上側のプレス折りプレートに対して可動に設け、両者間の間隔と加圧力を可変としたことを特徴とする。
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る用紙後処理装置における中折りユニットを示す図である。同図において、中折りユニットは、中折り刃1、搬送ローラ対2、上側プレス折りプレート3、下側プレス折りプレート4、プレス折りプレート駆動機構5、垂直搬送路6、及び折り搬送路7から基本的に構成されている。
【0016】
中折り刃1と搬送ローラ対2は垂直搬送路6を挟んで図示両側に配置されている。中折り刃1は水平方向に可動であり、先端部1aは少なくとも搬送ローラ対2のニップまで進出し、垂直搬送路6を開放する位置まで後退する。この進出、後退動作は図示しないモータ及びその動力伝達機構により行われる。中折り刃1は
図1の状態がホームポジションであり、ホールポジションはホームポジションセンサ9によって検出される。ホームポジションセンサ9は光透過型の光センサであり、中折り刃1から突出した突片10が発光素子と受光素子間の光路を遮断したことを検出する。中折り刃1は、最大幅(用紙搬送方向に直交する方向)の用紙束に突き当てて、搬送ローラ対2のニップに押し込み可能な寸法に設定され、例えば櫛歯状に形成されている。
【0017】
搬送ローラ対2は、用紙束の折り部がニップに進入してきたときに、当該折り部に対してニップ位置で所定の荷重をかけて折り込む機能を有する。図示されていないが、搬送ローラ対2は相対的にニップに所定の荷重を加える荷重付与機構が設けられている。荷重付与機構としては、弾性部材によって弾性的に荷重をかける機構、あるいはモータとその駆動力伝達機構により荷重をかける機構、両者を組み合わせた機構などがある。また、搬送ローラ対2の下流側には、搬送方向(本実施形態では、水平方向)に折り搬送路7が設けられ、その下流側の図示しない排紙経路へと用紙束を案内する。折り搬送路7は折りプレート1の進出方向の延長上に延びている。
【0018】
折り搬送路7は、搬送ローラ対2の下流側に設置された上側及び下側プレス折りプレート3,4の間に形成され、垂直搬送路6の垂直ガイド板6cから湾曲した折り方向ガイド板6a,6bの間から下流側に延びている。上側プレス折りプレート3は固定され、下側プレス折りプレート4は、常時搬送方向上流側と下流側に設けた引っ張り方向に弾性力を付与する弾性部材、例えば引っ張りスプリング12a,12bと、当該下側プレス折りプレート4の下部に設置されたプレス折りプレート駆動機構5により、図において上下方向に可動である。引っ張りスプリング12a,12bは下端がプレス折りプレート移動機構5のベースに突設されたフック5a,5bに引っ掛けられ、上端は用紙後処理装置の図示しないフレームに取り付けられ、両者間に引っ張り力が発生するようになっている。これにより、下側プレス折りプレート4は固定側に対して常時上方向(矢印D1方向)に引っ張られている。プレス折りプレート駆動機構5は、モータ及びその動力伝達機構からなり、モータの回転駆動トルクを上下方向の直線的な移動力に変換する。これにより、引っ張りスプリング12a,12bの弾性力に抗して下側プレス折りプレート4を下方向(矢印D2方向)に移動させることができる。
【0019】
図2は前述のように構成された中折りユニットにおける中折り処理の動作を示す動作説明図である。同図(a)に示すように、用紙は、垂直搬送路6に沿って垂直下方に搬送され、図示しないストッパに用紙の下端が突き当たり、スタックされる。そして、同図(b)に示すように綴じ枚数分だけの用紙Pがスタックされると、スタックされた用紙束PBは、搬送方向中央部の綴じ位置が中綴じステープラ8(
図10参照)と対向する位置までストッパの移動により移動し、その位置で中綴じステープラ8によって中綴じされる。
【0020】
中綴じ終了後、ストッパはさらに下降し、同図(c)に示すように綴じ部PB1が中折り刃1の先端部1aに対向した位置で停止する。そして、その位置で、同図(d)に示すように中折り刃1が用紙束PBの綴じ部(搬送方向中央部)PB1に向かって水平方向から進出し、用紙束PBの綴じ部PB1に前記先端部1aが突き当たり、用紙束を線状に変形させながら搬送ローラ対2のニップに押し込む。
【0021】
押し込まれた用紙束PBは、同図(e)に示すように搬送ローラ対2で用紙束PBの折り部(綴じ部)PB1が撓んだ状態で搬送する。撓んだ状態で搬送される用紙束PBは、同図(f)に示すように折り搬送路7に導かれ、上側及び下側プレス折りプレート3,4の加圧位置まで導かれる。この位置では、図からも分かるように折られた用紙束PBは搬送ローラ対2のニップから開放されて膨らんでいる。この状態で、プレス折りプレート駆動機構5が作動し、同図(g)に示すように駆動側である下側プレス折りプレート4を上昇させ、所定圧を付与し、折り目PB2を付ける。所定圧は、用紙束の枚数、用紙の厚さ(重さ)、用紙の種類(コート紙などの特殊紙、普通紙、再生紙、非パルプ紙等)などの用紙情報に応じてプレス折りプレート駆動機構5を制御する後述のCPUが決定する。なお、用紙情報は画像形成装置側から送られてくる。
【0022】
上側及び下側プレス折りプレート3,4による加圧処理が終了すると、同図(h)に示すように下側プレス折りプレート4が下降し、上側プレス折りプレート3から離れ、搬送ローラ対2によってさらに下流側に搬送される。そして、同図(i)に示すように折り搬送路7を通過して下流の搬送ローラ対11に受け渡され、搬送ローラ対11からさらに下流へと搬送される。この状態では、所定圧で折り部(綴じ部PB1)が加圧されて折り目PB2が形成され、膨らみが抑えられた良好な製本状態となっている。
【0023】
このように下側プレス折りプレート4の下部にはプレス折りプレート駆動部5が設けられているので、その分の機構を設置するスペースが必要であるが、上側プレス折りプレート3は固定されているので、駆動部を設ける必要がなく、その分のスペースが不要となる。その結果、
図10(c)に示すように中綴じステープラ8を前記駆動部が不要となった分折りプレート1側に近接させることが可能となり、中綴じ位置から中折り位置までの距離をL1からL2へと短くすることができる。
【0024】
ところで、
図2に示すように下側プレス折りプレート4が平面であると、折り加圧力が分散する。このことは、加圧部の荷重を単位面積当たりの荷重に換算すると自明である。そのため、加えた荷重に対して折り目PB2に加わる加圧力が小さくなり、折った用紙束PBの折り高さが低く、折りが甘くなる所謂スプリングバックが発生する。
【0025】
そこで、本実施形態では、下側プレス折りプレート4を上に凸の形状に湾曲させ、プレス折りプレート駆動部5からの加圧力が用紙束PBの折り部に線的に集中するようにする。しかし、折り部である綴じ部PB1からずれた位置を加圧すると用紙束PBに折り目PB2がうまく形成されず、折り高さが高くなる。そこで、下側プレス折りプレート4を搬送方向に移動させ、折り加圧点が移動するようにする。これにより、所望の加圧位置である折り部の折り目PB2となる部分を的確に加圧することができる。その結果、綺麗な折り目PB2が確実に形成される。
【0026】
図3は、下側プレス折りプレートが搬送方向(矢印D3方向)に移動し、加圧点を変化させる動作を示す動作説明図である。下側プレス折りプレート4を搬送方向に移動させる機構は、詳細には
図1に図示されている。
図1において、下側プレス折りプレート4は、上側プレス折りプレート3と平行な平面部4aと、上側プレス折りプレート3に対して湾曲した湾曲部4bとを備え、湾曲部4bが平面部4aよりも用紙束搬送方向下流側に位置するようになっている。なお、上側プレス折りプレート3には用紙搬送方向上流側に用紙搬送方向上流側が開いた形状のガイド部3aが設けられている。下側プレス折りプレート4の下面には、当該下側プレス折りプレート4の下面に当たった状態で用紙搬送方向と平行な方向(矢印D3又はD4方向)に移動する加圧軸13が設けられている。加圧軸13の矢印D3又はD4方向の移動は、図示しないモータと当該モータによって駆動される移動機構によって行われる。
【0027】
下側折りプレート4の下面4c,4dは上面の平面部4a及び湾曲部4bと平行に構成され、加圧軸13は支持板14の移動ガイド14a上を接触した状態で移動する。移動は転がりあるいはスライドによって行われる。加圧軸13が
図1において平行部4cから矢印D3方向に移動すると、下側プレス折りプレート4の下面の湾曲部4dと接触し、この湾曲部4dを上方に押し上げる。これにより、下側プレス折りプレート4は傾き、用紙束PBとの接触点が変化する。
【0028】
一方、下側プレス折りプレート4の両端部にはピン4e,4fが用紙束搬送方向に対して直交する方向に突設されている。ピン4e,4fは下側プレス折りプレート4の姿勢を規定するガイド溝15a,15bにスライド移動自在に装着されている。ガイド溝15a,15bは
図1に示す位置に固定されており、加圧軸13が移動すると、その移動に伴って移動ピン4e,4fが移動範囲を規制された状態でガイド溝15a,15b内を移動し、この三者によって下側プレス折りプレート4の移動軌跡が規定される。そして、この移動軌跡に基づいて下側プレス折りプレート4の水平方向の位置と湾曲部4bの用紙束PBへの接触位置が変化する。すなわち、
図3(a)のような初期位置から、
図3(b)のようにして用紙束PBへの加圧位置が変化する。これにより、用紙束PBを折り部(綴じ部PB1)の手前側から加圧し、初期の第1の加圧点16aが搬送方向(矢印D3方向)に移動して折り目PB2となる用紙束中央を第2の加圧点16bとして加圧することが可能になる。
【0029】
第1の加圧点16aが矢印D3方向に移動して第2の加圧点16bを加圧する際、この加圧軸13の移動速度を遅くすると、下側プレス折りプレート4が用紙束PBを加圧している時間がより長くなる。その結果、より多くのエネルギを用紙束PBの折り部(綴じ部PB1)の折り目PB2となる部分に与えることになり、折り高さを低減することができる。
【0030】
図4は下側プレス折りプレートを湾曲した板材で構成したときの動作を示す動作説明図である。
図4(a)のように同一曲率で下側プレス折りプレート4を上に凸の形状とした場合、用紙束PBを加圧するときに、
図4(b)に示すように用紙搬送方向上流側の湾曲部4gで、当該湾曲部4gの湾曲形状の傾斜面に沿って用紙束PBが滑り落ち、用紙束PBの加圧点から用紙束PBが逃げてしまうことがある。そこで、本実施形態では、前述の
図1及び
図5に示すように下側プレス折りプレート4の上流側を上側プレス折りプレート3と平行な平面状にした。
【0031】
このように下側プレス折りプレート4の上流側に平面部4a、下流側に湾曲部4bを設けると、用紙束PBは
図4(b)に示すように湾曲形状の斜面4gに沿って用紙束PBが滑り落ち、加圧点から用紙束PBが逃げてしまうことがなくなる。
【0032】
図6は上側(固定側)プレス折りプレートが平面(平板)状の場合の加圧動作を示す動作説明図である。
図6に示すように上側プレス折りプレート3を平面状に形成し、折り方向ガイド板6aの用紙搬送方向下流側の端部に対して連続した位置に配置すると、同図(a)に示すように固定側の上側プレス折りプレート3と、用紙束PBの折り部が位置する部分の間隔が広くなる。折りは固定側の上側プレス折りプレート3に用紙束PBを押し付けて行われるので、折り位置は同図(b),(c)に示すように搬送中心7aから上側にずれた位置となる。このずれが用紙束PBの折り目PB2のずれに繋がる。
【0033】
これを防止するには、折り方向ガイド6a,6bの間隔、ひいては折り搬送路7の搬送間隔を狭くすればよい。しかし、狭くすると折り込むことができる用紙束PBの厚さ、あるいは枚数が狭くした幅で規定され、用紙束PBが厚い場合や多数枚の折り処理はできなくなる。
【0034】
そこで、本実施形態では、
図1に示したように上側プレス折りプレート3の用紙搬送方向上流側に用紙搬送方向上流側が開いた形状のガイド部3aを設けた。
図7はガイド部3aを設けた場合の加圧動作を示す動作説明図である。このようにガイド部3aを設けると、同図(a)に示すように、ガイド部3aによって用紙束PBの折り部側をガイドすることができるので、上側プレス折りプレート3をより搬送中心側に位置させることが可能となる。
【0035】
同図(a)は
図6(a)と同じ位置に用紙束PBが進入し、下側プレス折りプレート4による加圧動作が行われる前の状態を示すが、
図7では
図6における上側プレス折りプレート3の下面3uが、3u’の位置まで下がっているのが分かる。この位置は、
図7(b)の加圧状態で、綴じ部(折り部)PB1が搬送中心7aと一致する位置に設定され、この位置で用紙束PBの撓みに対して加圧力が加えられる。同図(c)で最終的な加圧が行われ、用紙束の折り部(綴じ部PB1)に折り目PB2が付けられる。このようにガイド部3aを設けると、折り処理時に用紙束PBの折り目PB2が搬送中心7aに位置するように上側プレス折りプレート3を配置することができるので、用紙束PBの中央の綴じ部PB1からずれた位置で用紙束PBが折られることを防止することが可能となる。
【0036】
なお、折り方向ガイド板6a,6bは上側プレス折りプレート3の平面部と平行に形成され、上側プレス折りプレート3の用紙束PBとの接触面が折り方向ガイド板6a,6bの用紙束搬送方向(矢印D1方向)に平行な仮想平面3u,3p内に位置していれば、上側プレス折りプレート3の下面にあたる用紙束PBとの接触面は用紙搬送中心7aにより近い位置で用紙束PBを加圧できる。その際、前記ガイド部3aが用紙束PBの案内に必要となる。
【0037】
図8は本実施形態における用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態における制御構成は、画像形成装置PR及び用紙後処理装置FRからなる。用紙後処理FRと画像形成装置PRは通信インターフェイスPR2で接続され、用紙情報、後処理モード、異常情報等の通知が双方向に行われ、また、画像形成装置PRからの制御情報も用紙後処理装置FRに通知される。
【0038】
用紙後処理装置FRは、用紙後処理装置FR全体及び各部を制御するCPU_FR2、CPU_FR2と各センサ、ソレノイド、モータなどを駆動するドライバとの入出力を司るI/OユニットFR3等が搭載された制御回路FR1を備えている。CPU_FR2は図示しないROMに格納されたプログラムコードを図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに沿った制御を実行し、前記各ドライバ等を通じて各部を動作させる。また、データを保持するためにEEPROMなどのメモリも備えている。
【0039】
中折りユニットFUは第1及び第2のモータFU1、FU2、並びにセンサFU3を含む。第1のモータFU1は下側プレス折りプレート4を上下方向に移動させるためのモータであり、第2のモータFU2は下側プレス折りプレート4の加圧軸13を水平方向に移動させるためのモータである。センサFU3は用紙束PBの位置を検出するためのセンサであり、
図1には図示されていないが、複数設けられている。
【0040】
図8における用紙後処理装置FRの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われ、画像形成装置PRと操作パネルPR1は通信インターフェイスPR2を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからは用紙後処理装置FRへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、用紙後処理装置FRの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0041】
このように画像形成装置PRの制御系を構成すると、CPU_FR2は、画像形成装置PR側から送られてくる用紙情報、用紙の搬送情報、及び用紙後処理装置FRに設けられたセンサFU3の検知出力に基づいて中折りユニットFUの第1のモータFU1及び第2のモータFU2を制御し、用紙束の折り処理を行う。なお、用紙情報には、用紙サイズ、用紙の厚さ、仕分けする用紙束の1部の枚数(綴じ枚数)などが含まれる。また、用紙後処理装置FRは、第1及び第2のモータ11,20を駆動するためのモータドライバFU1a,FU2a、センサFU3からの検出出力を増幅してCPU_FR2側に出力する増幅器FU3aも構成要素として備えている。
【0042】
図9は用紙後処理装置で実行される中綴じ製本モード時の処理手順を示すフローチャートである。用紙後処理装置FRで実行される処理モードの1つである中綴じ製本モードは、前にも触れたが、複数枚の用紙Pを整合した用紙束PBを搬送方向の中央部で綴じ(中綴じ)、その綴じ部PB1から折り込んで2つ折りするモードである。このモードは画像形成装置PRの操作パネルPR1からユーザが操作入力し、用紙後処理装置FRのCPU_FR2が設定し、実行する。
【0043】
本実施形態において、この中綴じ製本モードを実行する場合、さらに、折り高さを低くするか否かを設定することができる。この設定もユーザが操作パネルPR1から入力する。この処理手順では、まず、ユーザが操作パネルPR1から中綴じ製本モードを選択する(ステップS1)。次いで、折り高さをより低くするか否かを選択する(ステップS2)。そして、折り高さをより低くするモードが選択されなかった場合(ステップS2:NO)、そのまま通常の中綴じ中折りが実行される。通常の中綴じ中折りとは、搬送ローラ対2のニップに用紙束PBの綴じ部PB1を中折り刃1によって押し込み、搬送ローラ対2のニップで所定の荷重をかけて用紙束PBを撓ませ、撓んだ状態で搬送ローラ対2によって搬送し、下側プレス折りプレート4を上昇させて加圧し、加圧解除後に排紙する
図2に示した動作を実行することを意味する。あるいは、
図3に示したように加圧軸13を移動させる場合、生産性が低下しないように考慮された第1の速度で下側プレス折りプレート4による加圧処理を実行する。
【0044】
他方、ステップS2で折り高さをより低くするモードが選択された場合(ステップS2:YES)、下側プレス折りプレート4による加圧時間を長くし、折り高さが低くなる処理が選択される(ステップS3)。この処理では、中折り処理時に下側プレス折りプレート4による加圧時間を長くするため、加圧軸13の移動速度を遅くし、十分に折り部が加圧され、折り高さを低く保持することができる第2の速度で加圧処理を実行する(ステップS4)。
【0045】
このようにユーザ選択に応じて通常の中折り処理あるいは折り高さを低くする中折り処理を選択できるので、生産性重視の場合には前者を、製本後の折り高さの品質を重視する場合には後者を、それぞれ選択すれば、ユーザの要求に応じた中綴じ製本が可能となる。
【0046】
なお、前記第1及び第2の速度は、予めこれらの速度を設定するためのデータとしてはメモリにデータベース(速度決定テーブル)として格納されている。CPU_FR2は、綴じ対象となる用紙束SBに関する用紙情報に基づいて前記速度決定テーブルを参照し、加圧軸13の移動速度を決定し、第2のモータFU2を駆動する。
【0047】
前記速度決定テーブルは綴じる用紙の厚さ(秤量)、用紙サイズ、綴じ枚数、紙種(普通紙、上質紙、特殊紙(コート紙、光沢紙,etc.)等の条件を種々変更し、折り目PB2が確実に形成され、かつ、折り部の膨らみが最小となる加圧軸13の移動速度データを、実験室などで求めておき、このデータを蓄積し、テーブル化したものである。この速度決定テーブルは、EEPROMなどのメモリに格納され、このテーブルを保持した状態で工場から出荷される。CPU_FR2bは画像形成装置PRのCPUから通知される用紙情報に基づいて前記テーブルを参照して加圧軸13の速度を決定する。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)上側プレス折りプレート3は固定され、下側プレス折りプレート4が上下方向へ移動可能に設定され、用紙束PBを下側プレス折りプレート4によって上側プレス折りプレート3側に加圧するので、上側プレス折りプレート4の駆動機構が不要になり、その分、垂直搬送路における搬送距離を短くすることができる。その結果、用紙処理の生産性の向上と折り品質の低下を防ぐことが可能となる。加えて、装置の機械構成の小型化とコスト削減を図ることができる。
【0049】
2)搬送距離が短くなった分、短くなった上流側の搬送経路にステープラを配置することができ、綴じ処理位置から中折り位置までの搬送距離を短くし、中綴じ製本処理の生産性を上げることができる。
【0050】
3)下側プレス折りプレート4の形状が湾曲しており、用紙束PBの搬送方向に平行に下側プレス折りプレート4が移動するので、面ではなく湾曲した面の接触部で線的に用紙束PBの折り部(綴じ部PB1)の折り目PB2部分を加圧することができる。その結果、折った用紙束PBのスプリングバックを防ぐことが可能となる。
【0051】
4)下側プレス折りプレート4の形状を上流側に平面部4aを有し、下流側に湾曲部4bを有し、用紙束PBが搬送ローラ対2によって折られて上下のプレス折りプレート3,4間に搬送したとき、用紙束PBの折り部先端(綴じ部PB1の先端)が平面部4aを越えて湾曲部4bに至った後で用紙束PBの搬送を停止し、下側プレス折りプレート4を上昇させて平面部4aと上側プレス折りプレート3の平面部で用紙束PBを加圧し、その後、用紙束PBの搬送方向に下側プレス折りプレート4を移動させて湾曲部4bで用紙束の折り部を線的に加圧して潰し、折り目PB2を形成するので、用紙束PBを加圧する際に用紙束PBの折り目PB2側が下側プレス折りプレート4の湾曲部4bから逃げることを防ぐことができる。これにより、搬送ローラ対2で撓んだ状態で搬送された用紙の中央部を確実に加圧し、折り目PB2を付けることが可能となる。
【0052】
5)枚数、紙厚が増すにつれて用紙束にはより多くの加圧力を与える必要があるが、用紙束PBの枚数、紙厚などの用紙情報に基づいて下側プレス折りプレート4の用紙束搬送方向に平行な方向(矢印D1方向)の移動速度を変更するので、枚数や紙厚が増したときには移動速度を遅くして折り高さをより低くすることができる。
【0053】
6)ユーザが下側プレス折りプレートの用紙束搬送方向の移動速度を遅くするモード(折り高さを低くするモード)を選択したときに、前記移動速度を遅くするので、ユーザの意志に応じて生産性あるいは折り品質のいずれを優先するかを選択することができる。
【0054】
7)垂直搬送路6に位置する用紙束PBを上側及び下側プレス折りプレート3,4間に案内する折り方向ガイド板6a,6bを上側プレス折りプレート3の平面部と平行に設け、上側プレス折りプレート3の用紙束PBに接する面を、前記一対の折り方向ガイド板6a,6bを仮想的に延長した平行2平面間に配置したので、用紙束PBの折り位置が用紙束PBの搬送中心7aにより近い位置で折り目PB2を付けることができる。その結果、折り目PB2が用紙束PBの中央からずれた位置に形成されるのを防ぐことができる。
【0055】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。