特許第5834960号(P5834960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5834960鉱石スラリー製造工程におけるシックナー装置及びその操業管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5834960
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】鉱石スラリー製造工程におけるシックナー装置及びその操業管理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/30 20060101AFI20151203BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20151203BHJP
   B01D 21/08 20060101ALI20151203BHJP
   G01F 23/28 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B01D21/30 J
   C22B23/00 101
   B01D21/30 A
   B01D21/08 C
   G01F23/28
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-14556(P2012-14556)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-154262(P2013-154262A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西川 勲
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201324(JP,A)
【文献】 特開平04−264235(JP,A)
【文献】 特開2001−183354(JP,A)
【文献】 特開2011−104510(JP,A)
【文献】 特開2011−047760(JP,A)
【文献】 特開2011−047761(JP,A)
【文献】 特開2002−336602(JP,A)
【文献】 特開2009−250702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00−34
C22B 23/00−06
G01F 23/00−76
G01N 29/00−52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において使用されるシックナー装置であって、
供給された鉱石スラリーを沈降させることにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるシックナーと、
上記鉱石スラリーへ凝集剤および希釈水を混合するフィードウェルと、
上記シックナー内の上澄み液部分の上部に位置するように設置され、超音波を送信し、上記上澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面による反射波を受信する超音波トランスジューサが、超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて上記界面までの距離を計測処理部により算出する超音波式レベル測定装置と、
上記超音波式レベル測定装置による計測結果に基づいて、上記超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態層とみなし、上記シックナー内部の上記浮遊状態層の厚みを時系列で定量的に評価して、上記鉱石スラリー、上記凝集剤、および上記希釈水を混合する際に、上記凝集剤の添加量を最適化するために、上記シックナー内部のスラリー沈降状況に応じた上記超音波の反射状態を連続的に画面表示するモニタリング装置と、
を備えることを特徴とするシックナー装置。
【請求項2】
高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において使用されるシックナー装置の操業管理方法であって、
供給された鉱石スラリーを沈降させることにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるシックナー内の上澄み液部分の上部に位置するように設置され、超音波を送信し、上記上澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面による反射波を受信する超音波トランスジューサが超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて上記界面までの距離を計測処理部により算出し、
上記計測処理部による算出結果に基づいて、上記シックナー内部のスラリー沈降状況に応じた上記超音波の反射状態をモニタリング装置により連続的に画面表示し、
上記モニタリング装置による画面表示に基づいて、上記超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態層とみなして、上記シックナー内部の上記浮遊状態層の厚みを時系列で定量的に評価して、上記鉱石スラリー、上記凝集剤、および上記希釈水を混合する際に、上記凝集剤の添加量を最適化することを特徴とするシックナー装置の操業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石スラリー製造工程におけるシックナー装置及びその操業管理方法に関し、特に、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程のシックナー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、非鉄金属を含有する鉱石から形成されるスラリーに添加剤を添加し、その後、スラリーを沈降濃縮して回収する手段として、一般的にシックナーが用いられている。シックナーの構造としては、スラリー及び添加剤が供給されるフィードウェルと、駆動部と回転軸で接続されたレーキのゆっくりした回転により、沈降したスラリーを濃縮する沈降濃縮部から構成される形式のものが使用されている。ここで、フィードウェル内では、例えば、スラリーの沈降性を向上させるため、添加剤として凝集剤を用いてフロックを形成させること、或いはスラリーを中和処理するため、添加剤として中和剤を用いて沈殿生成を促進させること等がなされる。
【0003】
また、ボーキサイトからアルミナを製造するバイヤー法で副生する赤泥、石灰泥、鉱石泥等のスラリーの沈降分離の際にシックナーの管理に用いるシックナー濃縮スラリー界面の測定方法及びその装置として、シックナー内で沈降濃縮されたスラリーの上澄み層と濃密層との界面の位置を、人手によらず安全で正確に測定するために、超音波濃度計を用いたシックナー濃縮スラリー界面の測定方法及びその装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、リモナイト鉱等に代表される低ニッケル含有量のニッケル酸化鉱石からニッケル、コバルト等の有価金属を回収する湿式製錬法として、硫酸を用いた高圧酸浸出法(HPAL(High Pressure Acid Leaching)の硫酸浸出法が行なわれている。
【0005】
ニッケル・コバルト混合硫化物を得るための高圧酸浸出法では、例えば、図6に示すように、前処理工程(1)と、浸出工程(2)と、固液分離工程(3)と、中和工程(4)と、脱亜鉛工程(5)と、硫化工程(6)と、無害化工程(7)とを含む。
【0006】
前処理工程(1)では、ニッケル酸化鉱石を解砕分級してスラリーとする。
【0007】
浸出工程(2)では、前処理工程(1)で得られたスラリーに硫酸を添加し、220〜280℃で攪拌して高温加圧酸浸出し、浸出スラリーを得る。
【0008】
固液分離工程(3)では、浸出工程(2)で得られた浸出スラリーを固液分離して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液(以下、「粗硫酸ニッケル水溶液」という。)と浸出残渣とを得る。
【0009】
中和工程(4)では、固液分離工程(3)で得られた粗硫酸ニッケル水溶液を中和する。
【0010】
脱亜鉛工程(5)では、中和工程(4)で中和した粗硫酸ニッケル水溶液に硫化水素ガスを添加して亜鉛を硫化亜鉛として沈殿除去する。
【0011】
硫化工程(6)では、脱亜鉛工程(5)で得られた脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加してニッケル・コバルト複合硫化物とニッケル貧液を得る。無害化工程(7)では、固液分離工程(3)で発生した浸出残渣と、硫化工程(6)で発生したニッケル貧液とを無害化する(例えば、特許文献2を参照)。
【0012】
ここで、低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧硫酸浸出に基づく湿式製錬方法において、高温加圧硫酸浸出工程に送られる鉱石は、湿式篩を使用して、所定の大きさ以下に分類され、スラリー化される。また、通常、高温加圧硫酸浸出工程に送られる鉱石スラリーは、高温加圧硫酸浸出工程における酸消費量、得られる浸出液のニッケル濃度及びその他の不純物濃度が所定の割合となる様に、数種類のニッケル酸化鉱石をブレンドして作られる。
【0013】
この時点で得られる鉱石スラリーのSolid%(固形分濃度(重量%))は、10〜20%と低い為、このまま、高温加圧硫酸浸出工程に送ると高温加圧浸出工程後の浸出液のニッケル濃度が低く、同じニッケル量を処理するための液量が多くなり効率的にニッケルを回収出来ない問題が生じる。そこで、高温加圧硫酸浸出工程に送られる鉱石スラリーは、高温加圧硫酸浸出工程への単位時間当たりのニッケル通過量を増加させる為、シックナーを用いてSolid%を上昇させ、40〜45%に調整される。
【0014】
すなわち、Solid%の低い鉱石スラリーはシックナーを利用して、鉱石スラリーのSolid%を上げてから高温加圧硫酸浸出工程へ送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2000−055714号公報
【特許文献2】特開2005−350766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧硫酸浸出に基づく湿式製錬方法において、シックナーから得られるスラリーのSolid%は、鉱石種により沈降挙動が異なるため、ブレンドした鉱石の種類、ブレンドの比率及び用いる凝集剤の種類、量等に依存する。
【0017】
しかし、鉱石は鉱石種によりシックナー内部での沈降挙動が異なる為、目的とするSolid%を得るためにはブレンドした鉱石種およびその比率に応じて過去のデータおよび作業者の経験則で凝集剤添加量を変更し、加えて、ベッドレベル(完全沈降したスラリー層の厚み)測定治具を用いて作業者による凝集状態の確認と最適なシックナーベッドレベルの維持が必要となる。
【0018】
従来はブレンドした鉱石種およびその比率に応じて過去のデータおよび作業者の経験則で凝集剤添加量を変更し、加えて、ベッドレベル測定治具を用いて作業者による凝集状態、沈降状態の確認と最適なシックナーベッドレベルを管理することで目的とするSolid%を得ていた。
【0019】
そのため鉱石種変更時はシックナーの安定的な管理が困難となり、しばしば凝集剤不足による凝集性悪化やベッドレベルの変動を引き起こし、特に凝集性の悪化によりシックナー下部にスラリー浮遊状態の層を形成した際は人間による感度測定ではその凝集状態の判断が困難であること、また測定頻度が少ないと沈降状態が改善しているのか悪化しているのか時系列情報が得られないことから対応が遅れ、結果としてスラリーが充分沈降せずシックナーからオーバーフローするトラブルが多々発生していた。特に、凝集性の悪化によりスラリーの沈降性が悪化し、シックナー下部に浮遊状態の層を形成した際はその判断が困難であった。
【0020】
そこで、本発明は、上述の如き従来の実情に鑑み案出されたものであって、その目的は、ニッケル酸化鉱石から高温加圧硫酸浸出法を用いたニッケル湿式製錬方法におけるニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において、鉱石種類やブレンド比率に影響されずに、目的とするSolid%の鉱石スラリーを得て、常に高Solid%の鉱石スラリーを高温加圧浸出工程に送ることができるようにするとともに、凝集剤の使用量削減にも寄与することができる鉱石スラリー製造工程におけるシックナー装置及びその操業管理方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、上記目的を達成するために、シックナー操業の管理方法について鋭意研究の結果、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において、超音波レベル測定装置による液面レベルの測定結果を画像データとして操業管理に応用することで、異なる鉱石比率、鉱石種に関わらず目的とするSolid%の鉱石スラリーを得る方法を見出し、本発明を完成した。
【0023】
すなわち、本発明は、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において使用されるシックナー装置であって、供給された鉱石スラリーを沈降させることにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるシックナーと、上記鉱石スラリーへ凝集剤および希釈水を混合するフィードウェルと、上記シックナー内の上澄み液部分の上部に位置するように設置され、超音波を送信し、上記上澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面による反射波を受信する超音波トランスジューサが、超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて上記界面までの距離を計測処理部により算出する超音波式レベル測定装置と、上記超音波式レベル測定装置による計測結果に基づいて、上記超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態層とみなし、上記シックナー内部の上記浮遊状態層の厚みを時系列で定量的に評価して、上記鉱石スラリー、上記凝集剤、および上記希釈水を混合する際に、上記凝集剤の添加量を最適化するために、上記シックナー内部のスラリー沈降状況に応じた上記超音波の反射状態を連続的に画面表示するモニタリング装置と、を備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において使用されるシックナー装置の操業管理方法であって、供給された鉱石スラリーを沈降させることにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるシックナー内の上澄み液部分の上部に位置するように設置され、超音波を送信し、上記上澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面による反射波を受信する超音波トランスジューサが超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて上記界面までの距離を計測処理部により算出し、上記計測処理部による算出結果に基づいて、上記シックナー内部のスラリー沈降状況に応じた上記超音波の反射状態をモニタリング装置により連続的に画面表示し、上記モニタリング装置による画面表示に基づいて、上記超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態層とみなして、上記シックナー内部の上記浮遊状態層の厚みを時系列で定量的に評価して、上記鉱石スラリー、上記凝集剤、および上記希釈水を混合する際に、上記凝集剤の添加量を最適化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
鉱石スラリー製造工程のシックナーにおけるシックニング工程で、従来の作業者による測定治具を用いてのシックナー内部のスラリー沈降状態確認に代えて、本発明では、連続的にモニタリング可能な超音波式レベル測定装置を利用することでスラリーの沈降状態と凝集状態を連続的且つ定量的に得ることができ、シックナー内部の凝集状態を的確に把握し、凝集剤の過不足を調整すると共に悪化が進行する前にシックナーへの供給量あるいはシックナーからの抜き取り量の調整を行いベットレベルの調整を行うことで、目的とするSolid%を維持すること、およびスラリーオーバーフロートラブルを未然に防ぐことが可能となる。
【0028】
すなわち、本発明により、鉱石スラリー製造工程において、鉱石種類やブレンド比率に影響されずに、目的とするSolid%の鉱石スラリーを得ることが可能となり、常に高Solid%の鉱石スラリーを高温加圧浸出工程に送ることができる。また、凝集剤の使用量削減にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を適用したシックナー装置の構成を示す模式的な縦断面図である
図2】上記シックナー装置に備えられる超音波レベル装置による計測結果として得られた画像データの一例を図である。
図3】上記シックナー装置に備えられる超音波レベル装置による計測結果として得られた画像データの一例を図である。
図4】上記シックナー装置に備えられる超音波レベル装置による計測結果として得られた画像データの一例を図である。
図5】上記シックナー装置に備えられる超音波レベル装置による計測結果として得られた画像データの一例を図である。
図6】ニッケル・コバルト混合硫化物を得るための高圧酸浸出法の工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
本発明は、例えば図1に示すような構成のシックナー装置100に適用される。
【0032】
このシックナー装置100は、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において使用されるもので、定常状態において、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるように設計されたシックナー10と、このシックナー10内におけるスラリーの沈降状態と凝集状態を連続的且つ定量的に得るために超音波レベル測定装置20とその超音波の反射状態をモニタリングするためのモニタリング装置30を備える。
【0033】
上記シックナー10は、円筒状外枠1と中心に向かって次第に低くなった円錐状の底部2とからなるシックナー本体3を備える。このシックナー本体3には、上記円錐状の底部2の中央にスラリー回収口4が形成されている。また、上記シックナー10の内部には、上記円錐状の底部2の内面に沿ってレーキ5が配置されているとともに、上記レーキ5の回転軸5Aを中心とする円筒形状のフィードウェル6が当該シックナー10内の上澄み液部分の上部に位置するように設けられている。
【0034】
上記フィードウェル6は、シックナー10の上部に設けられた蓋7に固定されている。また、上記フィードウェル6には、該フィードウェル6の上部位置に、沈降濃縮に付すスラリーを送入するスラリー供給管11、及び凝集剤等の添加剤を送入する添加剤供給管12が連結されるとともに、希釈水流入口13が設けられている。さらに、上記フィードウェル6の下部位置に、該フィードウェル6からスラリーを排出する分散コーン14が設けられている。
【0035】
上記シックナー10では、沈降濃縮に付す鉱石スラリー、凝集剤および希釈水がフィードウェル6において混合され、該フィードウェル6から該シックナー10内に供給される。そして、上記シックナー10内に供給された鉱石スラリーは、凝集剤および希釈水との混合状態で沈降して凝集することにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部を形成し、上記シックナー10の最下部に設けられているスラリー回収口4から所望の濃度のスラリーとして回収される。上記レーキ5は、その回転軸5Aに接続されている図示しない駆動部によりゆっくりと回転されることにより、沈降濃縮部でスラリーの沈降濃縮をすすめ、一様な堆積状態を確保する。
【0036】
また、超音波レベル測定装置20は、超音波を送信し、その反射波を受信する超音波トランスジューサ21と、上記超音波トランスジューサ21が超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて対象物までの距離を算出する計測処理部22からなり、上記超音波トランスジューサ21が上記シックナー10内の上澄み液部分の上部に位置するように設置されている。この超音波レベル測定装置20には、市販の超音波レベル計を使用することができる。そして、上記モニタリング装置30は、上記超音波レベル測定装置20の計測処理部22に接続されており、上記超音波レベル測定装置20による超音波の反射状態をモニタリングするために、上記計測処理部22による演算結果を画面表示する。
【0037】
このシックナー装置100において、上記超音波レベル測定装置20で計測する対象物は、澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面であって、上記モニタリング装置30では、上記計測処理部22による演算結果すなわち上記超音波レベル測定装置20による計測結果を画面表示することにより、沈降凝集層と液面の界面レベルを連続的に把握すると同時に、超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態である層とみなすことで、凝集途中の浮遊状態層厚みの定量評価を行うことができる。
【0038】
ここで、鉱石は鉱石種によりシックニング挙動が異なり、特に鉱石スラリー中のSi品位とシックニング挙動には強い相関が得られており、Si品位が上昇すると沈降性が悪化し、Solid%が低下する傾向がある。しかしながら、鉱石スラリー中のニッケルを制御する上では高Si品位の鉱石処理を余儀なくされる場合があり、鉱石ブレンドを変更しSi品位が変動した際、特にSi品位が上昇した際には凝集剤の調整が間に合わず、シックナー10の沈降層上部でスラリーが浮遊した状態が生じやすくなる。
【0039】
上記シックナー装置100では、上記超音波レベル測定装置20による計測結果を上記モニタリング装置30で画面表示することにより、スラリーの浮遊状態を把握することができる。
【0040】
上記超音波レベル測定装置20による計測結果として得られた画像データの一例を図2(参考図としてカラー図面を提出する。)に示す。
【0041】
図2中のAの範囲(赤色部分)がトランスジューサ21から発せられた超音波からの反射量が多いことを意味しており、この部分より下部がシックナー10内でスラリーが完全に沈降している固形部分(スラリー沈降層)の範囲である。超音波の反射量が多い赤色部分Aの範囲は言い換えれば沈降層上部でスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態である層とみなすことができ、このAの範囲の層厚みを時系列で評価することで沈降状態の管理、ひいてはSolid%の管理を行うことができる。
【0042】
また、上記超音波レベル測定装置20による計測結果として得られた種々の画像データとAの範囲、およびその時のSolid%を図3〜5(参考図としてカラー図面を提出する。)に示す。
【0043】
図3に示すように、Aの範囲が小さくなるほど沈降状態が良好で高いSolid%が得られ、図4に示すように、Aが大きくなると沈降性が悪化し、Solid%が低下する。また、図4の状態で凝集剤の添加量調整等の対応をせず長時間放置させてしまうと、図5のBに示すように、沈降層との界面が上昇し始め、最終的にはスラリーがシックナー上部からオーバーフローしてしまい、シックナー底部から抜いているスラリーのSolid%は急激に低下してしまう。
【0044】
上記シックナー装置100では、これらの現象を踏まえた上で操業管理上では図3に示す状態(スラリー浮遊層として30cm以下)を連続的に監視維持し、Aの範囲が拡大してきた際に凝集剤の添加量を増量させることでスラリーオーバーフローを抑え、安定的に高Solid%のスラリーを得ることが可能となる。
【0045】
上記シックナー装置100では、超音波レベル測定装置20とその超音波の反射状態をモニタリングできるモニタリング装置30を備えることで、シックナー10内の沈降凝集層と液面の界面レベルを連続的に把握すると同時に、超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態である層とみなすことで、凝集途中の浮遊状態層の厚みを定量的に評価することができ、シックナー10内部の凝集状態を的確に把握し、凝集剤の過不足を調整すると共に悪化が進行する前にシックナー10への供給量あるいはシックナー10からの抜き取り量の調整を行いベットレベルの調整を行うことで、目的とするSolid%を維持すること、およびスラリーオーバーフロートラブルを未然に防ぐことが可能となる。
【0046】
また、従来は、定期的にシックナー下部から抜き取ったサンプルを分析し、そのSolid%をシックナー全体の代表値として評価することで内部凝集状態の把握を行っていたが、上記シックナー装置100では、供給されたスラリーが沈降層上部に達した時点で沈降性を判断できるため時間のずれを生じさせること無く凝集剤の増減を判断することが可能である。そのため、凝集剤の過剰添加をも防ぐことができ、凝集剤の添加量を最適化することができる。
【0047】
すなわち、上記シックナー装置100では、高温加圧硫酸浸出工程に送るニッケル酸化鉱石のスラリー製造工程において、供給された鉱石スラリーを沈降させることにより、上部の上澄み液部分と下部の沈降濃縮部が形成されるシックナー10内の上澄み液部分の上部に位置するように設置され、超音波を送信し、上記上澄み液部分の液面と沈降濃縮部の沈降凝集層との界面による反射波を受信する超音波トランスジューサ21が超音波を送信して反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて上記界面までの距離を計測処理部22により算出し、上記計測処理部22による算出結果に基づいて、上記シックナー10内部のスラリー沈降状況に応じた上記超音波の反射状態をモニタリング装置30により連続的に画面表示し、上記モニタリング装置30による画面表示に基づいて、上記シックナー10内部のスラリー沈降状況を時系列で定量的に評価して、操業が管理される。
【0048】
また、上記シックナー装置100では、さらに、上記モニタリング装置30による画面表示に基づいて、上記超音波式レベル測定装置20により上記超音波のノイズとして検出される層をスラリーが沈降状態から凝集状態になる途中の浮遊状態層とみなして、操業が管理される。
【0049】
そして、上記シックナー装置100では、上記シックナー10内部の上記浮遊状態層の厚みを定量的に評価して、上記シックナー10内の鉱石スラリーへの凝集剤の添加量が最適化される。
【0050】
このような操業管理方法の採用前後での鉱石1tあたりの凝集剤使用量(g)(凝集剤原単位)を次の表1に示す。上記操業管理方法の採用前における測定回数は26回、同じく採用後における測定回数は52回の測定結果を用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から、ほぼ同等のSolid%を得るために必要な凝集剤添加量は上記操業管理方法の採用後は採用前に比べ低減できていることが分かる。加えて、凝集剤使用量のばらつきも低減できており、当該操業管理方法は凝集剤使用量の削減に寄与できていると言える。
【符号の説明】
【0053】
1 円筒状外枠、2 底部、3 シックナー本体、4 スラリー回収口、5 レーキ、5A 回転軸、6 フィードウェル、7 蓋、10 シックナー、11 スラリー供給管、
12 添加剤供給管、13 希釈水流入口、14 分散コーン、20 超音波レベル測定装置、21 超音波トランスジューサ、22 計測処理部、30 モニタリング装置、100 シックナー装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6