特許第5835190号(P5835190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835190
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】サンプル採取袋の保持治具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   G01N1/04 J
   G01N1/04 U
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-248481(P2012-248481)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-95666(P2014-95666A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寿幸
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−070109(JP,A)
【文献】 実開昭60−016401(JP,U)
【文献】 米国特許第04021956(US,A)
【文献】 登録実用新案第3162407(JP,U)
【文献】 実開平03−022648(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3065116(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3064852(JP,U)
【文献】 特開平11−059806(JP,A)
【文献】 特開平01−139401(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3111072(JP,U)
【文献】 実開昭62−062605(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
B65F 1/14
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の針金材を左右対称に折り曲げて2つの連続する円弧部からなる略8の字状に形成し、
上記2つの連続する円弧部のうち第1の円弧部は、頂上部から左右対称に所定の長さにおいて、略8の字状の長さ方向の中心線から大きく遠ざかるように拡がったのち中心線に向かって折り曲げられることによりサンプル採取袋取付部となり、
第1の円弧部に隣接する第2の円弧部は、上記第1の円弧部の終端が中心線上において交差して交差部を形成した後、さらに中心線より手で握れる程度に細長く拡げられたのち中心線に向かって折り曲げられ、その両端が最低部において接続されて把持部が形成され
上記交差部は、上記サンプル採取袋取付部に取り付けられるサンプル採取袋の端部を挟み込んで固定保持してなるサンプル採取袋の保持冶具。
【請求項2】
上記第1の円弧部は、頂上部から略8の字状の長さ方向の中心線に対し、略15度の角度をもって中心線から遠ざかるように拡げられてサンプル採取袋取付部が構成されてなる請求項1記載のサンプル採取袋の保持冶具。
【請求項3】
上記第2の円弧部は、略7cmから13cmの範囲で細長く拡げられ、
上記最低部で2本の針金が相対する距離が、3cmから7cmであって、
且つ、上記略8字状の最低部から上記交差部までの距離が、9cmから15cmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のサンプル採取袋の保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉱石のサンプルを採取する技術に関する。詳しくは、切羽(坑道先端の、ほぼ垂直な岩盤)にあらわれた鉱脈から鉱石サンプルを採取する際に使用する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
金属鉱山の操業においては、鉱山から岩石および鉱石を掘り出す。坑内掘りの場合、坑道の先端で、鉱脈を含んだ岩盤を、掘削、発破することにより、運搬可能な大きさにして、坑外に搬出する。この時点では、鉱脈を含み、目的金属の品位が高い鉱石と、鉱脈以外の岩盤を構成する岩石の混合物(以下、混合岩石という)となっている。
【0003】
坑外では、例えば、混合岩石を破砕し、目視判断でいわゆる「手選」等をして選別し、製品としての鉱石を生産している。
【0004】
また、鉱山には、多数の鉱脈と、それにつながる坑道が設けられているのが一般的である。また、鉱脈ごと、坑道の深度ごとに目的金属の品位が違うのが一般的である。従って、無計画に混合岩石を掘り出して鉱石を生産しても、品位が安定せず、効率的な操業を行うことができない。
【0005】
生産する鉱石の品位を安定させ、また、操業日数の計画を含め、効率的な操業を行うためには、前記した、複数の鉱脈の品位を把握、推定する必要があり、具体的には、各切羽の鉱脈から鉱石サンプルを採取し、分析することが重要である。
【0006】
前記のような切羽において鉱石サンプルを採取する際には、鉱脈の幅にもよるが、通常は、まず、鉱脈の水平方向にサンプル採取のための高さで「サンプル採取ライン」を定めて、このライン上の両端部、および中央部の3箇所のポイントを定めて、鉱石サンプルを採取するという方法が行われている。
【0007】
また、上記の切羽には、複数の鉱脈が現れているのが一般的であり、従って、切羽ごとの鉱脈の数に応じて複数箇所のポイントから鉱石サンプルを採取する必要がある。
【0008】
また、切羽を掘削、発破して混合岩石を搬出して、その後、新しい切羽が現れると、新たに鉱石サンプルを採取する。これは、鉱脈の品位が、坑道の奥行き方向に対して一定というわけではなく、新しい切羽が現れた際に、表面を観察し、新たに鉱石サンプルを採取し、分析しなければならないからである。
【0009】
以上説明したように、前記した効率的で計画的な操業を行うためには、鉱石サンプルの採取は重要であり、精度をあげるためには、鉱石サンプル採取の回数は大変に大きな数値となる。
【0010】
もちろん、鉱石サンプル採取のために必要な作業時間が、鉱山操業の全体を遅らせることも避けなければならず、従来は、図4に示すような簡便な袋を用いた作業が行われてきた。
【0011】
この作業は、作業者が、通常利き手にハンマーを持って前記した鉱脈のポイントを打撃し、破砕された鉱石サンプルが切羽から脱落する際に、その下方に構えた利き手ではないほうの手に、図4に示すように、サンプル採取袋10の口を拡げるようにして持ち、落下する鉱石サンプルをサンプル採取袋内部に回収する、というものである。
【0012】
この作業に必要なのは、ハンマーとサンプル採取袋10だけであり、簡便なだけでなく治具の所持重量としても少ないので、従来広く行われていた。
【0013】
しかし、この従来のサンプル採取法だと、作業員の熟練度によっては、鉱脈を打撃する際にハンマーの軌道がずれると、サンプル採取袋10を保持した方の手を打撃してしまう恐れがある。
【0014】
また、思ったより大きな鉱石サンプルの塊が落下した際に、急にサンプル採取袋10の重量が増加してしまい、サンプル採取袋10を落としてしまうので、サンプル作業をやりなおす必要がある。
【0015】
さらに、サンプル採取袋10の口をあまり大きく広げられず、サンプルの回収効率が悪い。
【0016】
従って、このような従来のサンプル採取法における問題点を解決すべき要請がある。
【0017】
例えば、特開2008-110551号公報(特許文献1)、実案登録第3153732号(特許文献2)には、ハンマー打撃を伴う作業において、ハンマーの軌道がずれても作業者の怪我を防止する技術が記載されているが、前者は貴金属インゴットへの刻印作業であり、後者は、ケーブルのステップ設置作業にかかる技術であり、上記の問題点には適用できない。
【0018】
また、ドリルやサンプル回収装置を備えた装置を準備することも想起できるが、設備導入コストの増大だけでなく、設定や操作に余計な時間が必要となるため、不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008-110551号公報
【特許文献2】実案登録第3153732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、鉱石サンプル採取作業において、作業員の熟練度によらず、作業員の怪我を防止し、サンプル採取袋の落下を防止し、サンプル回収効率を向上させ、しかも簡便な方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究し、特定形状の治具を利用できることを見出し、本発明を完成した。
【0022】
すなわち、本発明に係るサンプル採取袋の保持冶具は、一本の針金材を左右対称に折り曲げて2つの連続する円弧部からなる略8の字状に形成し、上記2つの連続する円弧部のうち第1の円弧部は、頂上部から左右対称に所定の長さにおいて、略8の字状の長さ方向の中心線から大きく遠ざかるように拡がったのち中心線に向かって折り曲げられることによりサンプル採取袋取付部となり、第1の円弧部に隣接する第2の円弧部は、上記第1の円弧部の終端が中心線上において交差して交差部を形成した後、さらに中心線より手で握れる程度に細長く拡げられたのち中心線に向かって折り曲げられ、その両端が最低部において接続されて把持部が形成され、上記交差部は、上記サンプル採取袋取付部に取り付けられるサンプル採取袋の端部を挟み込んで固定保持してなることを特徴とするものである。
【0023】
このとき本発明においては、上記第1の円弧部は、頂上部から略8の字状の中心線に対し、略15度の角度をもって中心線から遠ざかるように拡げられてサンプル採取袋取付部が構成されるようにしてもよい。
【0024】
また、本発明は、上記第2の円弧部は、略7cmから13cmの範囲で細長く拡げられ、上記最低部で2本の針金が相対する距離が3cmから7cmであって、略8の字状の最低部から上記交差部までの距離が9cmから15cmであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のサンプル採取袋の保持治具によれば、鉱石サンプル採取作業において、作業員の熟練度によらず、作業員の怪我を防止し、サンプル採取袋の落下を防止することができる。
【0026】
よって、サンプル回収効率を向上させ、しかも簡便な方法であるため、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のサンプル採取袋の保持治具の一例を示す平面図である。
図2】本発明のサンプル採取袋の保持治具において採取袋を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】本発明のサンプル採取袋の保持治具を用いて鉱石サンプルを採取している状況を示す斜視図である。
図4】従来のサンプル採取袋によるサンプル採取の保持状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るサンプル採取袋の保持治具1を図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
【0029】
本発明に係るサンプル採取袋の保持冶具1は、図1に示すように、一本の針金材Sを左右対称に折り曲げて2つの連続する円弧部2、3からなる略8の字状に形成してなるものである。
【0030】
上記2つの連続する円弧部2、3のうち第1の円弧部2は、頂上部4から左右対称に所定の長さにおいて、略8の字状の長さ方向の中心線から大きく遠ざかるように拡がったのち中心線に向かって折り曲げられることによりサンプル採取袋取付部5とされる。
【0031】
上記第1の円弧部の終端が上記中心線上において交差して交差部6を形成する。
【0032】
そして、第1の円弧部2に隣接する第2の円弧部3は、上記交差部6からさらに延在されて、上記中心線より手で握れる程度に細長く拡げられたのち中心線に向かって折り曲げられ、その両端が最低部7において接続されて把持部8が形成されてなる。
【0033】
以上から、図1に示す上半分のサンプル採取袋取付部5は、頂上部4から左右対称の長さ方向の中心線から広がるように横方向(中心線と直交する方向)に向かって伸びており、所定の長さからは、略8の字の中央の交差部6にむけて曲げられている。すなわち、このサンプル採取袋取付部5は、頂上部4側がやや突出する一方、交差部6側が大きく膨らんでおり、一体として変形した「輪」を形成している。
【0034】
なお、上記説明においては、1本の針金材Sを頂上部4側から折り曲げて冶具1を作成する場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば逆に、最低部7側から折り曲げて、頂上部4側において針金材Sの両端部を接続するものであってもよいことは言うまでもない。
【0035】
次に、図2及び図3を参照しながら、この保持治具1を使用して、鉱石サンプルを採取する手順について説明する。
【0036】
図2に示すように、サンプル採取袋10は、通常縦長の長方形であり、短い辺に開口部10aがある。
【0037】
この開口部10aを、上記「輪」の下方内側から上方に向けて通し、長い辺の1/10程度の長さを「輪」の上に出す。
【0038】
そして開口部10aを広げて、「輪」にかぶせる。
【0039】
上記交差部6以外では、開口部10aは、下方に折り曲げられる。
【0040】
そして、交差部6付近の袋の端部は、交差部6から把手部8に沿って広がり、または把手部8に巻きつく形となる。なお、交差部6の間に挟み込むようにしてもよい。
【0041】
このように使用することで、作業員の熟練度によらず、サンプル採取袋10を本発明に係る冶具1のサンプル採取袋取付部5にしっかりと固定することができる。従って、上記従来の方法に比べて、より広くサンプル採取袋10の開口部分を確保することが可能となり、サンプル回収効率を向上させることができる。
【0042】
また、把手部8は手で握れる形状となっているので、把手部8を握って保持治具1の全体を保持し、図3に示すように使用する。
【0043】
このとき、保持治具1を保持する手で、上記交差部6の付近の袋の端部を同時に握り締めることにより、把手部6だけでなく、手をもってサンプル採取袋10を保持する。
【0044】
このように使用することで、作業員の熟練度によらず、サンプル採取袋の落下を防止することができる。よって、従来の方法に比べて、しっかりとサンプル採取袋10を保持できる。
【0045】
以上のように、本発明の保持治具1を使用してサンプル採取袋10を保持すれば、作業員の熟練度によらず、作業員の怪我を防止することができる。従来の方法とは違い、よほど大きくハンマーHの軌道がずれない限り、把手部8を握った手をハンマーHが打撃することは無い。
【0046】
また、本発明においては、上記第1の円弧部2は、頂上部4から略8の字状の長さ方向の中心線に対し、略15度の角度をもって中心線から遠ざかるように拡げられてサンプル採取袋取付部5が構成されるようにしてもよい。
【0047】
このようにすれば、把手部8とサンプル採取袋10の端部を握った直近位置から、サンプル採取袋10が大きく開口しているので、サンプル採取袋10に大きなサンプル鉱石が入り当該袋が落下しそうな場合でも、強く保持することができる。すなわち、サンプル採取袋10が落下しにくくなる。
【0048】
次に、本発明は、把手部8となる上記第2の円弧部3は、略7cmから13cmの範囲で細長く拡げられ、上記最低部7で2本の針金が相対する距離が3cmから7cmであって、上記最低部7から、上記交差部6までの距離が9cmから15cmであるようにしてもよい。
【0049】
上記第2の円弧部3は、略7cmから13cmの範囲、すなわち10cm±3cmで細長く拡げられるとするのは、一般的な成人男子の握りこぶしで、把手部を握ったときに、上記垂直の方向にしめる幅を考慮したものである。作業者は通常成人であり、上記サイズとすることで握りやすくなる。
【0050】
同様に、上記最低部7で2本の針金が相対する距離が3cmから7cm、すなわち、5±2cmとなし、しかも、この最低部7から上記交差部6までの距離が、9cm〜15cm、すなわち、12cm±3cmとするのは、一般的な成人男子の握りこぶしで、把手部8を握ったときに、上記中心線の方向にしめつけやすい幅を考慮したものである。
【0051】
これは作業者は通常成人であり、上記サイズとすることで握りやすくするためである。
【0052】
尚、針金材Sは、サンプル採取袋10が一杯になる量を採取しても曲がらない程度の太さ、材質であればどのような物でもよい。通常は、一般鋼の針金で、4mm程度の太さがあればよい。
【0053】
また、針金材Sは上記説明した形状とするが、その両端部では溶接して一体化することが好ましい。サンプル量の増加で負荷が発生した際、両端部が自由端だと、ずれが発生して持ちにくくなるからである。
【0054】
以上詳細に説明したとおり、本発明の保持治具1を適用すれば、鉱石サンプル採取が効率的に行われるようになり、それだけでなく、生産する鉱石の品位を安定させ、また、操業日数の計画を含め、効率的な操業を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 保持治具、S 針金材、2 第1の円弧部、3 第2の円弧部、4 頂上部、5 サンプル採取袋取付部、6 交差部、7 最低部、8 把持部、10 サンプル採取袋、H ハンマー
図1
図2
図3
図4