特許第5835200号(P5835200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5835200表面電極付透明導電ガラス基板及びその製造方法、並びに薄膜太陽電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835200
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】表面電極付透明導電ガラス基板及びその製造方法、並びに薄膜太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20151203BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20151203BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01L31/04 266
   H01B5/14 A
   H01B13/00 503B
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-265635(P2012-265635)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-110405(P2014-110405A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 康徳
(72)【発明者】
【氏名】松村 文彦
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−089682(JP,A)
【文献】 特開2012−146873(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013719(WO,A1)
【文献】 特開2011−077306(JP,A)
【文献】 特開平07−235684(JP,A)
【文献】 特表2007−505771(JP,A)
【文献】 特開2012−142499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜が膜厚50nm〜150nmで形成され、さらに第2層として酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜、第3層として酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜が順次形成されてなり、
前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする表面電極付透明導電ガラス基板。
【請求項2】
前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜では、表面粗さRaが1.0nm以下の平滑性を有することを特徴とする請求項1記載の表面電極付透明導電ガラス基板。
【請求項3】
前記第2層を構成する酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜が、Tiをドープした酸化インジウムからなり、
前記第3層を構成する酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜が、Al及び/又はGaをドープした酸化亜鉛からなる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の表面電極付透明導電ガラス基板。
【請求項4】
前記酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜の膜厚が、100〜200nmであることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の表面電極付透明導電ガラス基板。
【請求項5】
前記酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜の膜厚が、500〜1200nmであることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の表面電極付透明導電ガラス基板。
【請求項6】
透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜を膜厚50nm〜150nmでスパッタリング法により形成する低屈折率透明薄膜形成工程と、
前記低屈折率透明薄膜上に、前記透光性ガラス基板の温度を室温以上50℃以下の範囲に保持して、第2層としての酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜をスパッタリング法により形成した後、前記透光性ガラス基板の温度を250℃〜400℃に保持して、第3層としての酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜をスパッタリング法により形成する表面電極形成工程と
を有し、
前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする表面電極付透明導電ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜が膜厚50nm〜150nmで形成され、さらに第2層として酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜、第3層として酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜が順次形成されてなる表面電極付透明導電ガラス基板と、
光電変換半導体層と、
少なくとも光反射性金属電極からなる裏面電極と
が順次形成されてなり、
前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする薄膜太陽電池。
【請求項8】
表面電極付透明導電ガラス基板と、光電変換半導体層と、少なくとも光反射性金属電極からなる裏面電極とが順次形成されてなる薄膜太陽電池の製造方法であって、
透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜を膜厚50nm〜150nmでスパッタリング法により形成する低屈折率透明薄膜形成工程と、
前記低屈折率透明薄膜上に、前記透光性ガラス基板の温度を室温以上50℃以下の範囲に保持して、第2層としての酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜をスパッタリング法により形成した後、前記透光性ガラス基板の温度を250℃〜400℃に保持して、第3層としての酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜をスパッタリング法により形成する表面電極形成工程と
を有する表面電極付透明導電ガラス基板形成工程を含み、
前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性ガラス基板に透明な低屈折率膜及び透明導電膜からなる表面電極(膜)を形成した表面電極付透明導電ガラス基板及びその製造方法、並びに、その表面電極付透明導電ガラス基板を用いた薄膜太陽電池及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透光性ガラス基板側から光を入射させて発電を行う薄膜太陽電池にあっては、ガラス基板等の透光性基板の上に酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等の透明導電性膜を光入射側電極(以下、「表面電極」と称する。)として単独あるいは積層してなる透明導電ガラス基板が利用される。薄膜太陽電池には、多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン薄膜や、アモルファスシリコン薄膜を利用した太陽電池があり、それぞれについて開発が精力的に行われているが、これらの薄膜太陽電池の開発においては、安価な基板上に低温プロセスで良質のシリコン薄膜を形成することによる低コスト化と高性能化の両立が目的となっている。
【0003】
そのような薄膜太陽電池の一つとして、透光性基板上に、透明導電膜からなる表面電極と、p型半導体層、i型半導体層、n型半導体層の順に積層された光電変換半導体層と、光反射性金属電極を含む裏面電極とを順次形成した構造を有するものが知られている。
【0004】
このような構造の薄膜太陽電池では、光電変換作用が主としてi型半導体層内で生じるため、i型半導体層が薄いと光吸収係数が小さい長波長領域の光が十分に吸収されず、光電変換量は本質的にi型半導体層の膜厚によって制約を受ける。そこで、i型半導体層を含む光電変換半導体層に入射した光をより有効に利用するために、光入射側の表面電極に表面凹凸構造を設けて光を光電変換半導体層内へ散乱させ、さらに裏面電極で反射した光を乱反射させる工夫がなされている。
【0005】
光入射側の表面電極に表面凹凸構造を有するシリコン系の薄膜太陽電池においては、一般には、その光入射側の表面電極として、ガラス基板にフッ素をドープした酸化錫薄膜を熱CVD法に基づく原料ガスの熱分解による方法によって成膜した酸化錫膜が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、表面凹凸構造を有する酸化錫膜は、500℃以上の高温プロセスを要する等の理由によりコストが高い。また、膜の比抵抗が高くなるため、その膜の抵抗値を下げるために膜厚を厚くしようとすると、透過率が下がり、光電変換効率が下がるという問題点がある。
【0007】
そこで、酸化錫膜又はSnをドープした酸化インジウム(ITO)膜からなる下地電極上に、Alをドープした酸化亜鉛(AZO)膜、又はGaをドープした酸化亜鉛(GZO)膜をスパッタリングにより形成し、エッチングされ易い酸化亜鉛膜をエッチングすることで、表面凹凸構造を有する表面電極を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
また、近赤外域の光透過性に優れたTiをドープした酸化インジウム膜からなる下地電極上に、成膜時にアーキングやパーティクルの発生が少ないAlとGaをドープした酸化亜鉛(GAZO)膜をスパッタリングにより形成し、上述した特許文献2と同様に、酸化亜鉛膜をエッチングすることによって表面凹凸構造を有する表面電極を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
また、下地膜として酸化インジウムからなるアモルファス質の透明導電膜を形成し、その上に酸化亜鉛からなる結晶質透明導電膜を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。このような方法によれば、エッチング手法を用いなくても良好な凹凸膜からなる表面電極が形成され、結果としてより光閉じ込め効果の高い表面電極を提供することが可能となり、より光電変換効率の高い薄膜太陽電池を得ることができる。
【0010】
さらに、透光性ガラス基板に適当な屈折率の膜をつけて反射を防止し、透過光を大きくすることで発電に寄与する光量を稼ぐ方法が報告されているが、一般に導電膜を有する反射防止膜は、ベースとなる基板(ガラスやフィルム)上に大きな屈折率を有する膜と小さな屈折率を有する膜とを交互に積層して形成されている。小さな屈折率を有する膜には、酸化シリコン(以下、「SiO」という。)膜を用い、大きな屈折率を有し且つ導電性を有する膜には、インジウムスズ酸化膜(以下、「ITO膜」という。なお、ITOはIndium Tin Oxideの略。)がよく用いられている。例えば、樹脂のベースフィルム上にITO膜、SiO膜、ITO膜、SiO膜の順に積層されたものが用いられている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表平2−503615号公報
【特許文献2】特開2000−294812号公報
【特許文献3】特開2010−34232号公報
【特許文献4】特開2012−009755号公報
【特許文献5】特開平9−197102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来の技術を踏まえ、表面凹凸構造による光閉じ込め効果を有効に発現しつつ、且つ、透過率の高い薄膜シリコン太陽電池用の透明電極として使用するためには、ガラス基板と表面凹凸膜との間の反射を防止し、効率よく光を凹凸膜内に導く必要がある。
【0013】
そこで、本発明は、反射率が低く、低吸収であって透過率の高い表面電極付透明導電ガラス基板と、この表面電極を用いた従来よりも光電変換効率の高い薄膜太陽電池を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、かかる従来技術の問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、透光性ガラス基板上に酸化インジウム系及び酸化亜鉛系の透明導電膜を形成する前に、波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜を形成することで、各層間の屈折率差を少なくすることができ、その結果として光吸収を増やすことなく反射率を低下させ、透過率を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明に係る表面電極付透明導電ガラス基板は、透光性ガラス基板上に、第1層とし波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜が膜厚50nm〜150nmで形成され、さらに第2層として酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜、第3層として酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜が順次形成されてなり、前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る表面電極付透明導電ガラス基板の製造方法は、透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜を膜厚50nm〜150nmでスパッタリング法により形成する低屈折率透明薄膜形成工程と、前記低屈折率透明薄膜上に、前記透光性ガラス基板の温度を室温以上50℃以下の範囲に保持して、第2層としての酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜をスパッタリング法により形成した後、前記透光性ガラス基板の温度を250℃〜400℃に保持して、第3層としての酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜をスパッタリング法により形成する表面電極形成工程とを有し、前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る薄膜太陽電池は、透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜が膜厚50nm〜150nmで形成され、さらに第2層として酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜、第3層として酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜が順次形成されてなる表面電極付透明導電ガラス基板と、光電変換半導体層と、少なくとも光反射性金属電極からなる裏面電極とが順次形成されてなり、前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、表面電極付透明導電ガラス基板と、光電変換半導体層と、少なくとも光反射性金属電極からなる裏面電極とが順次形成されてなる薄膜太陽電池の製造方法であって、透光性ガラス基板上に、第1層として波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8である低屈折率透明薄膜を膜厚50nm〜150nmでスパッタリング法により形成する低屈折率透明薄膜形成工程と、前記低屈折率透明薄膜上に、前記透光性ガラス基板の温度を室温以上50℃以下の範囲に保持して、第2層としての酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜をスパッタリング法により形成した後、前記透光性ガラス基板の温度を250℃〜400℃に保持して、第3層としての酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜による凹凸膜をスパッタリング法により形成する表面電極形成工程とを有する表面電極付透明導電ガラス基板形成工程を含み、前記第1層を構成する低屈折率透明薄膜が、インジウムとシリコンを主成分とする酸化物薄膜であり、インジウムに対するシリコンのモル比が0.2〜0.5であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る表面電極付透明導電ガラス基板によれば、エッチング手法を用いなくても良好な凹凸膜となり、結果として、従来よりも低反射率で透過率に優れた透明導電電極であって、且つ、光閉じ込め効果の高い表面電極となる。そして、この表面電極を用いることで、より光電変換効率の高い薄膜太陽電池を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。
図2】低屈折率透明薄膜を構成するISiO膜における、SiのInに対するモル比とその膜の屈折率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る表面電極付透明導電ガラス基板及びそれを適用した薄膜太陽電池についての具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
[1.薄膜太陽電池の構成]
図1は、本実施の形態に係る表面電極付透明導電ガラス基板を適用した薄膜太陽電池10の模式断面図である。
【0023】
図1に示すように、この薄膜太陽電池10は、透光性ガラス基板1と、低屈折率透明薄膜5と、表面電極2と、光電変換半導体層3と、裏面電極4とが順次積層された構造を有する。この薄膜太陽電池10において、低屈折率透明薄膜5上に形成される表面電極2は、下地膜21と、凹凸膜22とから構成される。また、その表面電極2上に形成される光電変換半導体層3は、p型半導体層31と、i型半導体層32と、n型半導体層33とが順次積層されて構成され、また、裏面電極4は、透明導電性酸化膜41と、光反射性金属電極42とから構成される。この薄膜太陽電池10に対しては、図1中の白抜き矢印に示すように、光電変換されるべき光が透光性ガラス基板1側から入射される。
【0024】
[2.透光性ガラス基板]
透光性ガラス基板1としては、ソーダライムシリケートガラスや、ボレートガラス、低アルカリ含有ガラス、石英ガラス、その他の各種ガラスからなる透明なガラス基板を用いることができる。
【0025】
この透光性ガラス基板1は、太陽光のスペクトルを透過できるように、350nmから1200nmの波長域にて高い透過率を有するものであることが望ましい。また、屋外環境下での使用を考慮して、電気的、化学的、物理的に安定なものであることが望ましい。また、透光性ガラス基板1には、そのガラスから、基板上面に成膜される透明導電膜からなる表面電極2へのイオンの拡散を防止して、ガラス基板の種類や表面状態による膜の電気特性への影響を最小限度に抑えるために、酸化シリコン膜等のアルカリバリヤ膜をガラス基板上に施すようにしてもよい。
【0026】
[3.低屈折率透明薄膜]
低屈折率透明薄膜5は、波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8の範囲となる透明薄膜である。この低屈折率透明薄膜5の組成は、屈折率が上述した範囲となるものであれば、特に限定されないが、インジウム(In)とシリコン(Si)とからなる酸化物膜であることが好ましい。InとSiからなる酸化物膜は、波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8となる低屈折率透明薄膜であり、具体的にInに対するSiのモル比(Si/Si+In)が0.2〜0.5となる組成の酸化物膜とすることにより、その屈折率が1.6〜1.8となる。
【0027】
また、このInとSiとからなる酸化物膜は、酸化インジウムと酸化シリコン、金属シリコンの混合物からなる原料粉を成形、焼結したターゲット材を用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより生成することができる。このような方法によれば、絶縁物でありながら量産性に優れた成膜を行うことができる。
【0028】
ここで、図2に、SiのInに対するモル比(Si/Si+In)とDCスパッタにより成膜される透明薄膜(酸化物膜)の屈折率の関係を示す。図2に示すように、Si非ドープ時には、膜の屈折率が2.0であってITiO膜やITiTO膜と同等の屈折率であるが、Siドープ量が増えるに従って、その屈折率がSiOの屈折率に近づいていくことが分かる。しかしながら、シリコンモル比が0.6を超えると、高密度なターゲットの合成が困難となり、量産性に優れた成膜を行うことが困難となる。
【0029】
また、この低屈折率透明薄膜5の膜厚としては、透過率を向上させる観点から、50〜150nmであることが好ましい。膜厚が50nm未満であると、この低屈折率透明薄膜5上にヘイズ率が10%以上となる透明導電膜からなる表面電極2を形成することができない。また、膜厚が150nmを超える場合においても、その表面電極2のヘイズ率が10%以上とならず著しく低下する。
【0030】
また、この低屈折率透明薄膜5は、その表面粗さRa(算術平均粗さ)が1.0nm以下の平滑性を有するものであることが好ましい。表面粗さRaが1.0nmを超える場合は、後述する下地膜21の膜質にも悪影響を与え、凹凸膜22における酸化亜鉛結晶の成長が阻害されてしまい、結果としてヘイズ率が10%以上とならず著しく低下する。
【0031】
[4.表面電極]
表面電極2は、透光性ガラス基板1上に第1層として成膜された低屈折率透明薄膜5の上に設けられ、下地膜21と、凹凸膜22とが順次積層されて構成される。すなわち、透光性ガラス基板1に、第1層としての低屈折率透明薄膜5と、第2層としての下地膜21と、第3層として凹凸膜とが順次形成されて、表面電極付透明導電ガラス基板を構成する。
【0032】
表面電極2は、透光性ガラス基板1と同様に、350〜1200nmの波長の光に対して80%以上の高い透過率を有することが好ましく、同波長域における透過率が85%以上であることがより好ましい。また、表面電極2の膜厚は、シート抵抗が10Ω/□以下となるように調節することが好ましい。なお、以下に示すパラメータは、上述した透過率85%以上、シート抵抗10Ω/□以下を志向した、薄膜太陽電池用の透明電極としては、ハイスペックな仕様を例に挙げて説明する。
【0033】
[4−1.下地膜]
表面電極2を構成する下地膜21は、酸化インジウム系のアモルファス質透明導電膜を用いる。また、その酸化インジウム系の透明導電膜の中でも、酸化インジウムにチタン(Ti)をドープした膜(以下、「ITiO膜」と略記する。)であることが、近赤外域の光の透過率が高くなる点で好ましい。またそれだけでなく、ITiO膜によれば、アモルファス質の膜が得られ易くなり、後述する凹凸膜22における酸化亜鉛結晶の成長を助長することができるため好ましい。さらに、酸化インジウム系の透明導電膜の中でも、ITiO膜に更にスズ(Sn)をドープした膜(以下、「ITiTO膜」と略記する。)であることが、ITiO膜に比べてもより一層に、凹凸膜22における酸化亜鉛結晶の成長を助長させることができるため、より好ましい。
【0034】
また、下地膜21の膜厚は、特に限定されないが、60〜400nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。膜厚が60nmを下回ると、この下地膜21によるヘイズ率増加の効果が著しく小さくなり、一方で、400nmを上回ると、透過率が減少してヘイズ率増加による光閉じ込め効果を相殺してしまう。また、より好ましく膜厚を100〜200nmの範囲とすることにより、表面電極2の特性としてのヘイズ率を10%以上に増加させることができるとともに、高い透過率を有する表面電極2を形成することができる。
【0035】
このアモルファス質の酸化インジウム系導電膜からなる下地膜21の成膜に際しては、例えば特許文献4における記載にもある通り、透光性ガラス基板1を冷却し、結晶化を抑えてアモルファス化することが重要である。具体的には、透光性ガラス基板1の温度を室温以上50℃以下の範囲に保持してスパッタリング法等により成膜する。また、結晶化温度を上げてアモルファス化をより確実にするために、スパッタ時のチャンバー内の水分圧を10−2Pa台に維持することが好ましい。
【0036】
[4−2.凹凸膜]
表面電極2を構成する凹凸膜22は、上述した酸化インジウム系からなるアモルファス質透明導電膜の下地膜21の上に成膜されてなり、酸化亜鉛系の結晶質透明導電膜からなる。この凹凸膜22の表面凹凸構造22aにおける凹凸形状の形成は、アモルファス質の下地膜21のアモルファス性の程度や、スパッタリング時のガス圧、DC電力といったスパッタリング条件によって制御することができるが、上述した下地膜21のアモルファス性が重要なパラメータとなる。具体的に、凹凸膜22の表面凹凸構造22aにおける凹凸の程度としては、ヘイズ率が10%以上となり、算術平均粗さ(Ra)で30〜100nmの凹凸を有することが好ましい。
【0037】
また、凹凸膜22は、酸化亜鉛を主成分(重量割合で90%以上)としていれば、添加金属元素をドープしてもよい。酸化亜鉛膜にドープする元素としては、例えば、Al、Ga、B、In、F、Si、Ge、Ti、Zr、Hf等が挙げられる。その中でも、Al又はGaをドープした酸化亜鉛膜、あるいはAlとGaを共にドープした酸化亜鉛膜(以下、「GAZO膜」と略記する。)とすることが、スパッタリングによる成膜の際にアーキングが発生し難くなるため、より好ましい。
【0038】
また、凹凸膜22の膜厚は、特に限定されないが、400〜1500nmであることが好ましく、500〜1200nmであることがより好ましい。膜厚をこのような範囲とすることにより、所望とする性質の凹凸膜を得ることができる。膜厚が400nmよりも薄いと、凹凸が大きくなりきらず、膜のヘイズ率が10%を下回ることがある。一方で、膜厚が1500nmを超えると、透過率が著しく低下する。また、より好ましく膜厚を500〜1200nmの範囲とすることにより、ヘイズ率を確実に10%以上にすることができるとともに、高い透過率を有する表面電極2を形成することができる。
【0039】
この結晶質の酸化亜鉛系導電膜からなる凹凸膜22の成膜に際しては、透光性ガラス基板1の温度を250℃〜400℃に保持し、スパッタリング法により成膜する必要がある。透光性ガラス基板1の温度が250℃を下回ると、酸化亜鉛膜の成膜中に酸化亜鉛の結晶化が進まず、ヘイズ率が10%以上となるような凹凸膜にならない。一方で、基板温度が400℃を上回ると、酸化亜鉛膜の結晶化にとっては有利であるものの、下地膜21のアモルファス性が悪化するか、あるいは凹凸膜22を構成する酸化亜鉛膜のC軸配向性が強くなり平坦な表面を有するようになるためか、ヘイズ率が10%以上となるような凹凸膜が得られ難くなる。
【0040】
[5.光電変換半導体層]
光電変換半導体層3は、上述した表面電極2上に形成されてなる。この光電変換半導体層3は、例えば、p型半導体層31と、i型半導体層32と、n型半導体層33とが順次積層されて構成される。なお、p型半導体層31とn型半導体層33は、その順番が逆に積層されてもよいが、通常、太陽電池では光の入射側にp型半導体層が配置される。
【0041】
p型半導体層31は、例えばボロン(B)等の不純物原子をドープした微結晶シリコンの薄膜からなる。ドープされる不純物原子としては、特に限定されず、p型半導体の場合にはアルミニウム(Al)等でもよい。また、微結晶シリコンの代わりに、多結晶シリコンや非晶質シリコン、あるいはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いることもできる。なお、必要に応じて、堆積された半導体層にパルスレーザ光を照射(レーザーアニール)することで、結晶化分率やキャリア濃度の制御を行ってもよい。
【0042】
i型半導体層32は、ドープされていない微結晶シリコンの薄膜からなる。このi型半導体層32としては、多結晶シリコンや非晶質シリコン、又は微量の不純物を含む弱p型半導体若しくは弱n型半導体で光電変換機能を十分に備えたシリコン系の薄膜材料を用いることができる。また、これらの材料に限定されず、微結晶シリコン以外にも、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いることもできる。
【0043】
i型半導体層32上に形成されるn型半導体層33は、不純物原子としてP(リン)がドープされたn型微結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、又はシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料の薄膜からなる。ドープされる不純物原子としては、特に限定されず、n型半導体では窒素(N)等でもよい。
【0044】
このような構成の光電変換半導体層3は、例えば、下地温度を400℃以下に設定したプラズマCVD法を用いて形成することができる。用いるプラズマCVD法としては、特に限定されず、一般的によく知られている平行平板型のRFプラズマCVD等を用いてもよいし、周波数150MHz以下のRF帯からVHF帯までの高周波電源を利用するプラズマCVD法を用いてもよい。
【0045】
[6.裏面電極]
裏面電極4は、上述した光電変換半導体層3を構成するn型半導体層33上に形成されてなる。この裏面電極4は、例えば、透明導電性酸化膜41と、光反射性金属電極42とが順次積層されて構成される。
【0046】
透明導電性酸化膜41は、必ずしも要するものではないが、上述したn型半導体層33と光反射性金属電極42との付着性(密着性)を高めることで光反射性金属電極42の反射効率を高め、またn型半導体層33を化学変化から防止する機能を有する。
【0047】
また、透明導電性酸化膜41は、例えば、酸化亜鉛膜、酸化インジウム膜、酸化錫膜等から選択される少なくとも1種で形成される。特に、酸化亜鉛膜においては、Al、Gaのうちの少なくとも1種類を、酸化インジウム膜においては、Sn、Ti、W、Ce、Ga、Moのうちの少なくとも1種類をドープすることで導電性を高めた透明導電膜とすることが好ましい。また、n型半導体層33に隣接する透明導電性酸化膜41の比抵抗は、1.5×10−3Ωcm以下であることが好ましい。
【0048】
光反射性金属電極42は、真空蒸着又はスパッタ等の方法によって形成され、Ag、Au、Al、Cu、及びPtの中から選択される1種、又は、これらを含む合金で形成することが好ましい。この光反射性金属電極42は、例えば、光反射性の高いAgを100〜330℃、より好ましくは200〜300℃の温度で真空蒸着することによって形成するとよい。
【実施例】
【0049】
以下、本発明についての実施例を比較例と対比しながら説明する。なお、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。
【0050】
<評価方法>
(1)膜厚は、以下の手順で測定した。すなわち、成膜前に基板の一部を予め油性マジックインクを塗布しておき、成膜後にエタノールでマジックをふき取り、膜の無い部分を形成し、膜の有る部分と無い部分の段差を、接触式表面形状測定器(KLA Tencor社製 Alpha−StepIQ)で測定して求めた。
【0051】
(2)シート抵抗値は、抵抗率計ロレスタEP(ダイアインスツルメンツ社製MCP−T360型)による四探針法で測定した。
【0052】
(3)ヘイズ率は、JIS規格K7136に基づいてヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製HM−150)で評価した。
【0053】
(4)光透過率は、分光光度計(日立製作所社製、U−4000)を用いて測定した。
【0054】
[実施例1]
以下の製造条件により、図1に示すような構造のシリコン系薄膜太陽電池を作製した。
【0055】
(表面電極の評価)
先ず、透光性ガラス基板1としてソーダライムシリケートガラス基板を用い、このガラス基板上に、低屈折率透明薄膜5として、酸化インジウム、酸化シリコン、シリコンの合成粉末からなる焼結体を用いて、膜厚50nmのISiO膜をDCスパッタリング法により形成した。このとき、Siの組成は、Inに対するモル比で0.2に調整した。なお、ISiO膜成膜後の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))は0.5nmであった。なお、表1に、低屈折率透明薄膜5の成膜条件及び表面粗さを示す。
【0056】
次に、低屈折率透明薄膜5上に、表面電極2として、ITiO膜からなる下地膜21と、GAZO膜からなる凹凸膜22とから構成された表面電極2を形成した。下地膜21を構成するITiO膜としては、酸化インジウムに酸化チタンを1質量%ドープした膜を用い、凹凸膜22を構成するGAZO膜としては、酸化亜鉛に酸化ガリウム0.58質量%、酸化アルミニウム0.32質量%をドープした膜を用いた。
【0057】
具体的に、ITiO膜からなる下地膜21は、スパッタリング法により、透光性ガラス基板1の温度を25℃に設定し、導入ガスとしてアルゴンと酸素の混合ガス(アルゴン:酸素=99:1)を用いて、ITiO膜の膜厚が100nmとなるよう成膜した。次に、GAZO膜を、透光性ガラス基板1の温度を300℃に設定し、スパッタパワーDC400W、導入ガスはアルゴンガス100%で、膜厚が500nmとなるよう形成した。なお、表1に、表面電極2の成膜条件を示す。
【0058】
このようにして得られた表面電極2の算術平均粗さ(Ra)は63nmであった。また、表2に、得られた表面電極2の特性を示す。表2に示すように、表面電極2のシート抵抗値は9.1Ω/□であり、ヘイズ率が15%であった。
【0059】
(薄膜太陽電池の評価)
続いて、上述した表面電極2上に、プラズマCVD法により、厚み10nmのボロンドープのp型微結晶シリコン層からなるp型半導体層31、厚み3μmのi型微結晶シリコン層からなるi型半導体層32、厚み15nmのリンドープのn型微結晶シリコン層からなるp型半導体層33を、順次成膜してpin接合の光電変換半導体層3を形成した。
【0060】
そして、この光電変換半導体層3上に、GAZO膜からなる厚み70nmの透明導電性酸化膜41、Ag製の厚み300nmの光反射性金属電極42からなる裏面電極4を、スパッタリングにより成膜した。この透明導電性酸化膜41は、酸化亜鉛に酸化ガリウム2.3重量%、酸化アルミニウム1.2重量%をドープしたものを用いた。
【0061】
このようにして得られた薄膜太陽電池に、AM(エアマス)1.5の光を100mW/cmの光量で照射して、25℃での光電変換効率を測定した。その結果、表2に示すように、この薄膜太陽電池の光電変換効率は、10.3%であった。
【0062】
[実施例2〜4]
実施例2では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例3では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例4では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0063】
表2に示すように、実施例2〜4において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.5Ω/□、8.8Ω/□、8.3Ω/□であり、ヘイズ率が18%、20%、21%であった。
【0064】
また、実施例2〜4において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、それぞれ光電変換効率は10.3%、10.5%、10.4%であった。
【0065】
[実施例5〜8]
実施例5では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を100nmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、実施例6では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例7では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例8では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例5と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0066】
表2に示すように、実施例5〜8において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.8Ω/□、8.7Ω/□、8.8Ω/□、8.9Ω/□であり、ヘイズ率が15%、16%、23%、22%であった。
【0067】
また、実施例5〜8において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、それぞれ光電変換効率は10.6%、10.7%、10.6%、10.6%であった。
【0068】
[実施例9〜12]
実施例9では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を150nmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、実施例10では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例11では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例12では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例9と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0069】
表2に示すように、実施例9〜12において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.6Ω/□、8.9Ω/□、8.7Ω/□、8.5Ω/□であり、ヘイズ率が17%、18%、20%、21%であった。
【0070】
また、実施例9〜12において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、実施例9〜12にて形成した全ての薄膜太陽電池の光電変換効率が10.4%であった。
【0071】
[実施例13〜16]
実施例13では、低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用いてISiO膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、実施例14では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例15では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例16では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例13と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0072】
表2に示すように、実施例13〜16において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.3Ω/□、8.2Ω/□、8.0Ω/□、8.8Ω/□であり、ヘイズ率が20%、21%、22%、20%であった。
【0073】
また、実施例13〜16において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、それぞれ光電変換効率は10.8%、10.8%、10.7%、10.8%であった。
【0074】
[実施例17〜20]
実施例17では、第1層の低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用い、膜厚が100nmのISiO膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、実施例18では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例19では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例20では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例17と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0075】
表2に示すように、実施例17〜20において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.2Ω/□、7.8Ω/□、9.0Ω/□、7.7Ω/□であり、ヘイズ率が18%、19%、14%、17%であった。
【0076】
また、実施例17〜20において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、実施例17〜20にて形成した全ての薄膜太陽電池の光電変換効率が10.4%であった。
【0077】
[実施例21〜24]
実施例21では、低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用い、膜厚が150nmのISiO膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、実施例22では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を200nmに変え、実施例23では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を1200nmに変え、実施例24では、下地膜21の膜厚を200nm、凹凸膜22の膜厚を1200nmに変えた。それ以外は、それぞれ、実施例21と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0078】
表2に示すように、実施例21〜24において得られた表面電極2は、それぞれ、シート抵抗値が8.6Ω/□、8.7Ω/□、8.9Ω/□、8.7Ω/□であり、ヘイズ率が15%、13%、14%、18%であった。
【0079】
また、実施例21〜24において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、表2に示すように、それぞれ光電変換効率は10.8%、10.9%、10.3%、10.6%であった。
【0080】
[比較例1〜2]
比較例1では、第1層の低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、ISiO膜の膜厚を30nmとし、比較例2では、ISiO膜の膜厚を200nmとしたこと以外は、それぞれ、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。なお、比較例2では、形成したISiO膜の表面粗さ(算術平均粗さRa)が1.1nmであり、平滑性が損なわれていた。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0081】
表2に示すように、比較例1及び2において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.3Ω/□、8.2Ω/□であったものの、そのヘイズ率が、それぞれ、9%、7%であり低いものであった。
【0082】
また、比較例1及び2において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.2%と低調であった。
【0083】
[比較例3〜4]
比較例3及び4では、第1層の低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用い、それぞれ、膜厚が30nm、200nmのISiO膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。なお、比較例4では、形成したISiO膜の表面粗さ(算術平均粗さRa)が1.2nmであり、平滑性が損なわれていた。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0084】
表2に示すように、比較例3及び4において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.3Ω/□、8.1Ω/□であったものの、そのヘイズ率が、それぞれ、7%、3%であり極めて低いものであった。
【0085】
また、比較例3及び4において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.3%と低調であった。
【0086】
[比較例5〜6]
比較例5及び6では、第1層の低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.1に調整した焼結体を用い、それぞれ、膜厚が50nm、150nmのISiO膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0087】
表2に示すように、比較例5及び6において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.1Ω/□、8.2Ω/□であったものの、そのヘイズ率が、それぞれ、3%、2%であり極めて低いものであった。
【0088】
また、比較例5及び6において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.1%と低調であった。
【0089】
[比較例7〜8]
比較例7及び8では、第1層の低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.6に調整した焼結体を用い、それぞれ、膜厚が50nm、150nmのISiO膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。なお、第1層のISiO膜の屈折率は1.55であった。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0090】
表2に示すように、比較例7及び8において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.4Ω/□、7.9Ω/□であったものの、そのヘイズ率が、それぞれ、7%、8%であり低いものであった。また、これら表面電極2の透過率は、それぞれ、79.8%、79.7%であり低いものであった。
【0091】
また、比較例7及び8において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.0%と低調であった。
【0092】
[比較例9]
比較例9では、第1層としての低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜を成膜せずに、透光性ガラス基板1上に、表面電極2として、ITiO膜からなる下地膜21と、GAZO膜からなる凹凸膜22とから構成された表面電極2を形成し、特性を評価した。なお、表面電極2は、実施例1と同様にして形成した。表2に、評価結果を示す。
【0093】
表2に示すように、得られた表面電極2の透過率は78.5%と極めて低かった。
【0094】
また、比較例9において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、光電変換効率は8.7%と極めて低調であった。
【0095】
[比較例10〜11]
比較例10及び11では、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を、それぞれ、40nm、250nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0096】
表2に示すように、比較例10及び11において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、9.0Ω/□、8.9Ω/□であった。しかしながら、比較例10では、そのヘイズ率が、7%であり低いものであった。また、比較例11では、その表面電極2の透過率が、77.9%と極めて低いものであった。
【0097】
また、比較例10及び11において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.3%と低調であった。
【0098】
[比較例12〜13]
比較例12及び13では、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を、それぞれ、400nm、1500nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0099】
表2に示すように、比較例12及び13において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.2Ω/□、8.3Ω/□であった。しかしながら、それぞれのヘイズ率が、7%であり低いものであった。また、比較例13では、その表面電極2の透過率が、75.6%と極めて低いものであった。
【0100】
また、比較例12及び13において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.5%、9.3%と低調であった。
【0101】
[比較例14〜16]
比較例14及び15では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を100nmとし、また、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を、それぞれ、40nm、250nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、比較例16では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を100nmとし、また、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を、400nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0102】
表2に示すように、比較例14〜16において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、8.1Ω/□、8.2Ω/□、8.4Ω/□であった。しかしながら、比較例14及び15では、そのヘイズ率が、それぞれ、3%、2%であり極めて低いものであった。また、比較例14及び16では、その表面電極2の透過率が、それぞれ、78.0%、75.9%と低いものであった。
【0103】
また、比較例14〜16において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.3%と低調であった。
【0104】
[比較例17〜20]
比較例17及び18では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を150nmとし、また、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を、それぞれ、40nm、250nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、比較例19及び20では、低屈折率透明薄膜5を構成するISiO膜の膜厚を150nmとし、また、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を、それぞれ、400nm、1500nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0105】
表2に示すように、比較例17〜20において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、7.9Ω/□、9.2Ω/□、9.0Ω/□、8.9Ω/□であった。しかしながら、比較例17〜20では、そのヘイズ率が、それぞれ、8%、9%、10%、9%であり低いものであった。
【0106】
また、比較例17〜20において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は9.3%と低調であった。
【0107】
[比較例21〜23]
比較例21及び22では、低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用い、膜厚が50nmのISiO膜を成膜し、また、表面電極2を構成する下地膜21の膜厚を、それぞれ、40nm、250nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。また、比較例23では、低屈折率透明薄膜5を成膜するに際して、Siの組成がInに対するモル比で0.5に調整した焼結体を用い、膜厚が50nmのISiO膜を成膜し、また、表面電極2を構成する凹凸膜22の膜厚を400nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして表面電極2を形成し、特性を評価した。表2に、評価結果をそれぞれ示す。
【0108】
表2に示すように、比較例21〜23において得られた表面電極2では、シート抵抗値は、それぞれ、9.8Ω/□、8.5Ω/□、9.6Ω/□であった。しかしながら、比較例21及び23では、そのヘイズ率がそれぞれ7%であり低いものであった。また、比較例22では、その表面電極2の透過率が78.6%と低いものであった。
【0109】
また、比較例21〜23において形成したそれぞれの表面電極2上に、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を形成し、その特性を評価した。その結果、それぞれ光電変換効率は、それぞれ、9.3%、8.9%、8.6%と低調であった。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【符号の説明】
【0112】
1 透光性ガラス基板、2 表面電極、21 下地膜、22 凹凸膜、22a 表面凹凸構造、3 光電変換半導体層、31 p型半導体層、32 i型半導体層、33 n型半導体層、4 裏面電極、41 透明導電性酸化物、42 光反射性金属電極、5 低屈折率膜
図1
図2