【実施例】
【0042】
(実施例1)
樹脂基材として、ポリイミド基材の片面に銅箔を貼り合せた、銅箔付きポリイミド基材(日立化成工業株式会社製 MCF−5000I、ポリイミド厚み25μm、銅箔厚み18μm)を準備した。この銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、4mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。また、同時にICチップを搭載するダイパッド(図示しない。)を形成した。
【0043】
次に、ICチップとして、大きさが0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量が0.77pF、動作周波数が0.86〜0.96GHz付近のものを用いた。このICチップを、ダイパッド上に、ダイボンディング材を用いて搭載し、ワイヤボンディングにより、アンテナとICチップとを直接接続した。次に、基材の片面上のアンテナとICチップ、ワイヤボンディングのワイヤを含めて、封止材で封止した。最後に、必要なサイズにダイシング加工し、RFIDタグを作製した。
【0044】
(実施例2)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(4)に示すようなループアンテナBを、4mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0045】
(比較例1)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(2)に示すようなメアンダラインアンテナを、4mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0046】
(比較例2)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(1)に示すようなループアンテナAを、4mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0047】
(比較例3)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(3)に示すような渦アンテナを、4mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0048】
(実施例3)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.1mm/0.1mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0049】
(実施例4)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(4)に示すようなループアンテナBを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0050】
(比較例4)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(2)に示すようなメアンダラインアンテナを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0051】
(比較例5)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(1)に示すようなループアンテナAを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0052】
(比較例6)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(3)に示すような渦アンテナを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.05mm/0.05mm、0.1mm/0.1mm、0.2mm/0.2mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0053】
(実施例5)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、1.7mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.1mm/0.1mmで形成した。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0054】
(実施例6)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、9mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.1mm/0.1mmで形成した。また、ICチップとして、大きさが0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量が17pF、動作周波数が13.56GHz付近のものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0055】
(実施例7)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、13mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.1mm/0.1mmで形成した。それ以外は、実施例6と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0056】
(実施例8)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.2mm/0.2mmで形成した。また、ICチップとして、大きさが0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量が0.7pF、動作周波数が2.45GHz付近のものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0057】
(実施例9)
銅箔付きポリイミド基材の銅箔をエッチングすることにより、
図3(5)に示すようなコイルアンテナを、2.5mm角の範囲内に、導線幅/導線間幅が0.1mm/0.1mmで形成した。それ以外は、実施例8と同様にしてRFIDタグを作製した。
【0058】
以下、読取り評価の方法と実験結果について説明する。リーダライタはLS産電株式会社製 製品名:UI−9061(出力1W)を用いた。リーダライタの読取り部を中心として、周囲25cm四方に障害物がない状態で、RFIDタグ80の読取り評価を行った。リーダライタでRFIDを読取れる時の、リーダライタ読取り部からRFIDタグ80までの最大距離を測定した。
【0059】
実施例1〜5及び比較例1〜6についての、シミュレーション結果および読み取り評価の結果を、表1に示す。使用したICチップの大きさは0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量は0.77pF、動作周波数は0.86〜0.96GHz付近である。 この表1から、ICチップと接続されて電気的閉回路を形成する、コイルアンテナ及びループアンテナBでは、電磁界シミュレータによる共振周波数が、0.2〜2GHzであり、概ね、他のアンテナに比べて、ICチップの動作周波数0.9GHz程度に近い。また、読み取り距離も、電気的閉回路を形成しない、メアンダラインアンテナ、ループアンテナA、渦アンテナに比べて、読取り良好な結果となっている。また、電磁界シミュレータによる共振周波数が、0.5〜1.5GHzとなった、実施例1a、1b、2a、2b、3b、4c、5bでは、5mm以上の通信距離が得られた。特に、ICチップの動作周波数0.9GHz程度に近い、共振周波数1〜1.1GHzとなった、実施例1a、2b、3bでは、20mmを超える通信距離が得られた。
【0060】
【表1】
※ 表1中の「読取り距離」欄の「×」は、RFIDタグをリーダライタに接触させても、読取りできなかったことを表す。
【0061】
エッチングによってアンテナを形成するにあたり、導線幅および導線間距離は太いほうが歩留まりよく安定して量産することが可能である。そこで、プロセス上の制約から導線幅/導線間距離が決められた場合、10mm程度の読み取り距離を確保しつつ、どれだけ小型化できるかを考察した。その結果、導線幅/導線間距離が0.2mm/0.2mmの場合は、RFIDタグのサイズを4mm角程度まで小さくできることが判明した。また導線幅/導線間距離が0.1mm/0.1mmの場合は、RFIDタグのサイズを2.5mm角程度まで小さくできることが判明した。また導線幅/導線間距離が0.05mm/0.05mmの場合はRFIDタグのサイズを1.7mm角程度まで小さくできることが判明した。
【0062】
実施例6及び7のシミュレーション結果および読み取り評価結果を、表2に示す。使用したICチップの大きさは0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量17pF動作周波数13.56MHzである。電磁界シミュレータによる共振周波数が29MHzとなった実施例6では、12mmの通信距離が得られ、特に、電磁界シミュレータによる共振周波数が14MHzとなった実施例7では、110mmの通信距離が得られた。また、HF帯(High Frequency Band)の動作周波数13.56MHzにおいては、周波数がUHF帯よりも低くなるが、コイルアンテナのインダクタンスを大きくすることにより、導線幅/導線間距離が0.1mm/0.1mmの場合は、RFIDタグのサイズを13mm角程度まで小さくできることが判明した。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例8及び9のシミュレーション結果および読み取り評価結果を、表3に示す。使用したICチップの大きさは0.5mm×0.5mm×0.1mm程度、静電容量0.7pF、動作周波数2.45GHzである。電磁界シミュレータによる共振周波数が2GHzとなった実施例8及び電磁界シミュレータによる共振周波数が2.1GHzとなった実施例9では、4mmの通信距離が得られた。また、導線幅/導線間距離が0.1mm/0.1mmの場合はRFIDタグのサイズを1.7mm角程度まで小さくできることが判明した。
【0065】
【表3】