特許第5835395号(P5835395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835395
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】セラミックハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/20 20060101AFI20151203BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20151203BHJP
   C04B 35/195 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   B01D39/20 D
   C04B38/06 D
   C04B35/16 A
【請求項の数】3
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-84596(P2014-84596)
(22)【出願日】2014年4月16日
(62)【分割の表示】特願2011-529946(P2011-529946)の分割
【原出願日】2010年9月2日
(65)【公開番号】特開2014-166635(P2014-166635A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2009-205153(P2009-205153)
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 俊二
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/048156(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/090262(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/072671(WO,A1)
【文献】 特開2005−103469(JP,A)
【文献】 特表2006−524630(JP,A)
【文献】 特開2008−308378(JP,A)
【文献】 特開2002−121084(JP,A)
【文献】 特開平07−163823(JP,A)
【文献】 特開2006−089329(JP,A)
【文献】 特開2002−326879(JP,A)
【文献】 特表2009−517207(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/108428(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/095835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/20
C04B 35/195
C04B 38/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーディエライト化原料及び造孔材を含む坏土を押出成形し、フィルタとして使用されるハニカム状のセラミック構造体を製造する方法であって、
前記コーディエライト化原料が15〜25質量%のシリカを含み、
前記シリカが、平均粒子径20〜30μm、粒子径10μm以下の粒子が5質量%以下、粒子径100μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上であり、
前記造孔材の量が、コーディエライト化原料に対して5〜40質量%であり、
前記造孔材が、平均粒子径15〜50μm、粒子径5μm以下の粒子が10質量%以下、粒子径80μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上の多孔質ポリマーであり、前記造孔材粒子が30%以上50%未満の空隙を有し、前記空隙の80%以上に水分が含有されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法[ただし、SD=log(d80)-log(d20)であり、d20は、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の20%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示し、d80は同様に全体積の80%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示し、d20<d80である。]。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法において、前記コーディエライト化原料にタルクを40〜43質量%含み、前記タルクの平均粒子径が1〜10μmであり、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径d90が30μm以下であり、粒度分布偏差SDが0.7以下であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセラミックハニカム構造体の製造方法において、前記タルク粒子の平板度を示す形態係数が0.77以上であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル機関の排出ガス中に含まれる微粒子を除去するためのセラミックハニカムフィルタに用いられるセラミックハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス中には、炭素質からなる煤と高沸点炭化水素成分からなるSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とするPM(Particulate Matter:粒子状物質)が含まれており、これが大気中に放出されると、人体や環境に悪影響を与えるおそれがある。このため、ディーゼルエンジンの排気管の途中に、PMを捕集するためのセラミックハニカムフィルタを装着することが従来から行われている。
【0003】
排気ガス中のPMを捕集、浄化するセラミックハニカムフィルタの一例を図1及び図2に示す。セラミックハニカムフィルタ10は、多数の流出側封止流路3及び流入側封止流路4を形成する多孔質隔壁2と外周壁1とからなるセラミックハニカム構造体と、流出側封止流路3及び流入側封止流路4の排気ガス流入側端面8及び排気ガス流出側端面9を市松模様に交互に封止する上流側封止部6aと下流側封止部6cとからなる。セラミックハニカムフィルタの前記外周壁1は、金属メッシュ又はセラミックス製のマット等で形成された把持部材(図示せず)で使用中に動かないように把持され、金属製収納容器(図示せず)内に配置されている。
【0004】
セラミックハニカムフィルタ10において、排気ガスの浄化は次の通り行われる。排気ガスは図2に点線矢印で示すように、排気ガス流入側端面8に開口している流出側封止流路3から流入する。そして、隔壁2を通過する際に、詳しくは隔壁2の表面及び内部に存在する互いに連通した細孔により形成される連通孔を通過する際に、排気ガス中のPMが捕集される。浄化された排気ガスは、排気ガス流出側端面9に開口している流入側封止流路4から流出し、大気中に放出される。
【0005】
隔壁2にPMが捕集され続けると、隔壁2の表面及び内部の連通孔がPMにより目詰まりしてしまい、排気ガスがセラミックハニカムフィルタを通過する際の圧力損失が増加する。このため、圧力損失が規定値に達する前にPMを燃焼除去してセラミックハニカムフィルタを再生する必要がある。
【0006】
セラミックハニカムフィルタは、微粒子の捕集率が高いこと、圧力損失が低いことを満足する必要がある。しかしながらこれらの特性は相反する関係にあるため、気孔率、細孔容積、隔壁表面に存在する細孔の大きさ等を制御して両者をともに満足させるように最適化する検討が従来から行われている。
【0007】
特許文献1は、端部を閉塞したコーディエライト・ハニカム構造体からなり、細孔径分布から求めた値d50/(d50+d90)が、0.70未満であり、式[d50/(d50+d90)]/[%多孔率/100]により定義されるすす付着時透過率因子Sfが、1.55未満であり、熱膨張係数(25〜800℃)が、17×10-7/℃以下である、ディーゼル排気微粒子を捕捉しかつ燃焼させるセラミックフィルタを開示しており、このような細孔構造(細孔径分布及び細孔連結性)を有することにより、炭素ススが付着している状態であっても小さい圧力損失を維持することができると記載している。
【0008】
特許文献2は、細孔分布を制御したコーディライトを主結晶相とする材料からなり、前記細孔分布が、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の15%以下であり、細孔径10〜50μmの細孔容積が全細孔容積の75%以上であり、細孔径50μmを超える細孔容積が全細孔容積の10%以下である多孔質ハニカムフィルタを開示しており、この多孔質ハニカムフィルタは、前記のような細孔分布を有するため、PM等の捕集効率が高く、かつ細孔の目詰まりによる圧力損失の増大を防止することができると記載している。特許文献2は、このような細孔分布は、コーディライト化原料のシリカ成分の粒径を制御するとともに、カオリンを低濃度化することにより制御できると記載している。
【0009】
特許文献3は、隔壁の少なくとも導入通路側の表面に、孔径5〜40μmの小孔と、孔径40〜100μmの大孔からなり、小孔の数が大孔の数の5〜40倍となるように構成された、隔壁の内部の内部細孔と連通する表面細孔を具備している排出ガス浄化用フィルタを開示しており、この排出ガス浄化用フィルタは、微粒子の捕集効率が使用時期によらずほとんど一定で高い値を示すと記載している。
【0010】
特許文献4は、コージェライトを主成分とし、気孔率が55〜65%、平均細孔径が15〜30μm、隔壁表面に開口した細孔の総面積が、隔壁表面の総面積の35%以上であるハニカムセラミックス構造体を開示しており、このハニカムセラミックス構造体により、低い圧力損失と高い捕集効率を達成することができると記載している。
【0011】
特許文献5は、隔壁表面に担持された触媒を有し、隔壁の気孔率が55〜80%、隔壁表面に開口した細孔の総面積が、隔壁表面の総面積の20%以上である、セラミック製のハニカム構造を有する排ガス浄化フィルタを開示しており、この排ガス浄化フィルタは、隔壁に担持された触媒と堆積したPMとの接触面積を増加させることができ、触媒によるPMの酸化反応能力を向上させる効果、及び圧力損失の増大を抑制する効果を有すると記載している。
【0012】
特許文献6は、触媒が担持され、隔壁表面に開口するオープンポアの合計面積が、隔壁の全表面積に対して30%以上であり、開口径が30μm以上の大オープンポアの開口面積の合計が、前記オープンポアの全開口面積の50%以上である排ガス浄化フィルタを開示しており、このような構造を有することにより、PMの酸化燃焼効率が大幅に向上するとともに、熱応力による破損を防止することができると記載している。
【0013】
しかしながら、特許文献1〜6に記載された排ガス浄化フィルタのPMの捕集性能は、PMがある程度堆積することにより高くなるものの、使用開始初期のPMが堆積する前の状態(セラミックハニカムフィルタを未使用の状態から使用する時、又は再生処理した後再び使用する時)では必ずしも十分でない。特に排ガス規制の強化に伴い問題視されるようになったナノサイズのPMの捕集効率が不十分であり、有害なナノサイズのPMが捕集されずに排出されるという問題がある。
【0014】
これらの問題を解決するため、特許文献7は、隔壁の気孔率が55〜75%、平均細孔径が15〜40μm、隔壁表面に開口した細孔の総面積が隔壁表面の総面積の10〜30%、隔壁表面に開口した細孔のうち円相当径が5〜20μmである細孔が300個/mm2以上存在するセラミックハニカムフィルタを開示している。しかしながら、特許文献7に記載したセラミックハニカムフィルタであっても、セラミックハニカムフィルタが再生された後の使用開始初期でのPM捕集効率が低いという問題を解決するには至っていない。
【0015】
一方、安定した気孔率を有する多孔質セラミックス構造体を製造する方法として、特許文献8は平均粒径が10〜50μmで、気孔率が50〜90%の多孔質樹脂粒子を造孔材として使用する技術を開示している。特許文献8は、中実粒子よりも焼成時の発熱量が小さく、中空粒子よりも潰れにくい多孔質樹脂粒子を造孔材として使用することにより、造孔材粒子の成形原料混合・混練時における潰れと、焼成時における過剰な発熱とを抑えることができ、その結果、安定した気孔率を持った多孔質セラミックス構造体を歩留良く製造することができると記載している。しかしながら、多孔質樹脂粒子を造孔材として使用した場合、造孔材粒子同士の摩擦抵抗のため押出し成形時に高い圧力が必要となり、押出し後の成形体や金型が変形してしまうトラブルが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特表2005−530616号公報
【特許文献2】特開2002−219319号公報
【特許文献3】特開昭61-129015号公報
【特許文献4】特開2003−40687号公報
【特許文献5】特開2002−355511号公報
【特許文献6】特開2002−349234号公報
【特許文献7】特開2004−360654号公報
【特許文献8】特開2007−45686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、セラミックハニカムフィルタが再生された後の使用開始初期でのPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失の上昇が低減されたセラミックハニカム構造体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、コーディエライト化原料及び造孔材を含む坏土を押出成形し、フィルタとして使用されるハニカム状のセラミック構造体を製造する本発明の方法は、
前記コーディエライト化原料が15〜25質量%のシリカを含み、
前記シリカが、平均粒子径20〜30μm、粒子径10μm以下の粒子が5質量%以下、粒子径100μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上であり、
前記造孔材の量が、コーディエライト化原料に対して5〜40質量%であり、
前記造孔材が、平均粒子径15〜50μm、粒子径5μm以下の粒子が10質量%以下、粒子径80μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上の多孔質ポリマーであり、前記造孔材粒子が30%以上50%未満の空隙を有し、前記空隙の80%以上に水分が含有されていることを特徴とする [ただし、SD=log(d80)-log(d20)であり、d20は、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の20%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示し、d80は同様に全体積の80%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示し、d20<d80である。]。
【0021】
前記コーディエライト化原料にタルクを40〜43質量%含み、前記タルクの平均粒子径が1〜10μmであり、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径d90が30μm以下であり、粒度分布偏差SDが0.7以下であるのが好ましい。
【0022】
前記タルク粒子の平板度を示す形態係数は0.77以上であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の方法により製造したセラミックハニカム構造体は、低い圧力損失を維持しつつ、再生後の捕集開始初期のPM捕集率が改善されるので、特に排ガス規制の強化に伴い問題視されるようになったナノサイズのPMを効率よく捕集することができ、有害なナノサイズのPMが排出されるという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】セラミックハニカムフィルタの一例を示す正面図である。
図2】セラミックハニカムフィルタの一例を示す模式断面図である。
図3】セラミックハニカム構造体の隔壁表面に開口した細孔の円相当径と累積面積との関係を模式的に示すグラフである。
図4】実施例11のセラミックハニカム構造体の細孔径と細孔容積との関係を示すグラフである。
図5】本発明の実施例で使用したシリカEの粒度分布を示すグラフである。
図6】シリカ粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
図7】実施例11のセラミックハニカム構造体の隔壁の表面を示す電子顕微鏡写真である。
図8】実施例11のセラミックハニカム構造体の隔壁の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1] セラミックハニカム構造体の製造方法
コーディエライト化原料及び造孔材を含む坏土を押出成形し、フィルタとして使用されるハニカム状のセラミック構造体を製造する本発明の方法は、
前記コーディエライト化原料が15〜25質量%のシリカを含み、
前記シリカが、平均粒子径20〜30μm、粒子径10μm以下の粒子が5質量%以下、粒子径100μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上であり、
前記造孔材の量が、コーディエライト化原料に対して5〜40質量%であり、
前記造孔材が、平均粒子径15〜50μm、粒子径5μm以下の粒子が10質量%以下、粒子径80μm以上の粒子が5質量%以下、粒度分布偏差SDが0.5以下、及び真球度が0.5以上の多孔質ポリマーであり、前記造孔材粒子が30%以上50%未満の空隙を有し、前記空隙の80%以上に水分が含有されていることを特徴とする。
【0026】
ここで、シリカ粒子及び造孔材粒子の粒度分布偏差SDは、SD=log(d80)-log(d20)で表され、d20は、図5に示すように、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の20%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示し、d80は同様に全体積の80%に相当する累積体積での粒子径(μm)を示す。なおd20<d80である。粒度は、例えば、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定することができる。シリカ粒子及び造孔材粒子の平均粒子径は、メジアン径(d50)、つまり前述の粒子径と累積体積との関係を示す曲線において、全体積の50%に相当する累積体積での粒子径で表す。本願において、特に断りのない限り、他の粒子についても同様にして粒度分布偏差SD及び平均粒子径を定義する。
【0027】
本発明の方法により、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有し、前記隔壁の気孔率が40〜60%であり、前記隔壁表面に開口した細孔の開口面積率(隔壁表面の単位面積当たりに開口する細孔の総開口面積)が15%以上であり、前記隔壁表面に開口した細孔の開口径を円相当径(細孔の開口面積と同等の面積を有する円の直径)で表した場合、前記開口した細孔のメジアン開口径が10μm以上、40μm未満であり、前記円相当径が10μm以上、40μm未満の細孔密度が350個/mm2以上であり、前記円相当径が10μm以上、40μm未満の細孔の「外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の前記細孔の開口面積に対する比」の平均値が1〜2であることを特徴とするセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0028】
コーディエライト化原料は、主結晶がコーディエライト(主成分の化学組成が42〜56質量%のSiO2、30〜45質量%のAl2O3及び12〜16質量%のMgO)となるように、シリカ源成分、アルミナ源成分及びマグネシア源成分を有する各原料粉末を配合する必要がある。コージェライトを主結晶とするセラミックスに形成される細孔は、コーディエライト化原料のシリカ及びタルクが焼成されて生じる細孔と、造孔材が燃焼されて生じる細孔によるものである。
【0029】
中でもシリカ及び造孔材は、形成される細孔の大部分に寄与することから、それらの平均粒子径や粒度分布を調節することにより、コーディエライト質セラミックスが焼成された際に生じる細孔を制御することができる。従って、使用量、平均粒子径及び粒度分布が前述の範囲にあるシリカ及び造孔材を使用することにより、好ましい細孔構造を有する隔壁が形成され、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失が低減されたセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0030】
(1) シリカ粒子
シリカは、他の原料に比べて高温まで安定に存在し、1300℃以上で溶融拡散し、細孔を形成することが知られている。このため、15〜25質量%のシリカを含有すると、所望の量の細孔が得られる。25質量%を超えてシリカを含有させると、主結晶をコーディエライトに維持するために、他のシリカ源成分であるカオリン、タルクを低減させなければならず、その結果、カオリンによって得られる低熱膨張化の効果(押出し成形時にカオリンが配向されることで得られる効果)が低減し耐熱衝撃性が低下する。一方、15%未満の場合、隔壁表面に開口した細孔の量が少なくなるので、PMが捕集された際の低い圧力損失が得られなくなる場合がある。シリカの含有量は、好ましくは17〜23%である。
【0031】
シリカの平均粒子径が20μm未満の場合、隔壁表面に開口した細孔のうち、PMが捕集された際の低い圧力損失の維持に悪い影響を与える微小細孔の割合が多くなる。一方、30μmを超える場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる粗大細孔が多くなる。シリカの平均粒子径は、好ましくは22〜28μmである。
【0032】
シリカの粒子径10μm以下の粒子が5質量%を超える場合、隔壁表面に開口した細孔のうち、PMが捕集された際の低い圧力損失の維持に悪い影響を与える微小細孔の割合が多くなる。シリカの粒子径10μm以下の粒子の割合は、好ましくは3質量%以下である。
【0033】
シリカの粒子径100μm以上の粒子が5質量%を超える場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる粗大細孔が多くなり、再生後の使用開始初期のPM捕集性能が悪くなる場合がある。シリカの粒子径100μm以上の粒子の割合は、好ましくは3質量%以下である。
【0034】
シリカ粒子の平均粒子径が20〜30μm、粒子径10μm以下の粒子が5質量%以下、粒子径100μm以上の粒子が5質量%以下である場合、シリカ粒子の粒度分布偏差SDを0.5以下とすることで、隔壁表面に形成される細孔のうち、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させず、PMが捕集された際の低圧力損失の維持に貢献する細孔の割合が多くなる。
【0035】
粒度分布偏差SDが0.5を超えると、粒度分布がブロードになり、形成される細孔分布もブロードになる。そのため、PM捕集率及び圧力損失特性に悪影響を与える細孔の割合が多くなり、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下し、PMが捕集された際の低い圧力損失が維持されなくなる。粒度分布偏差SDは、好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.4以下である。前述のような所望の粒子径分布を有するシリカ粒子は、分級装置によるシリカ粒子の分級、いくつかの粒子径に分級した複数のシリカ粒子の混合、又は粉砕条件の最適化により得ることができる。
【0036】
シリカ粒子は、0.5以上の真球度のものを用いる。シリカ粒子の真球度が、0.5未満である場合、隔壁表面に開口した細孔の「外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の前記細孔の開口面積に対する比」が大きくなり、再生後の使用開始初期のPM捕集を悪化させる粗大細孔が増加するとともに、PMが捕集された際の低い圧力損失の維持に悪い影響を与える微小細孔が増加する。シリカ粒子の真球度は、好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。シリカ粒子の真球度は、シリカ粒子の投影面積を、シリカ粒子の重心を通り粒子外周の2点を結ぶ直線の最大値を直径とする円の面積で割った値であり、電子顕微鏡写真から画像解析装置で求めることができる。
【0037】
前記シリカ粒子は結晶質のものであっても、非晶質のものであってもよいが、粒度分布を調整する観点から非晶質のものが好ましい。非晶質シリカは高純度の天然珪石を高温溶融して製造したインゴットを粉砕して得ることができる。シリカ粒子は不純物としてNa2O、K2O及びCaOを含有しても良いが、熱膨張係数が大きくなるのを防止するため、前記不純物の含有量は合計で0.1%以下であるのが好ましい。
【0038】
真球度の高いシリカ粒子は、高純度の天然珪石を微粉砕し高温火炎の中に溶射することにより得られる。高温火炎の中への溶射によりシリカ粒子の溶融と球状化とを同時に行い、図6に示すような球状の非晶質シリカを得ることができる。この球状シリカ粒子は、さらに分級等の方法により粒度の調整を行うのが好ましい。
【0039】
(2) 造孔材
造孔材は、コーディエライト化原料に対して5〜40質量%含まれ、コージェライト質セラミックスの焼成過程において、コージェライトが合成される前に燃焼消失して細孔を形成する。造孔材の含有量が5質量%未満である場合、造孔材により形成される細孔の量が少なくなるので、PMが捕集された際の低い圧力損失が維持されなくなる。造孔材の含有量が40質量%を超えると、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる細孔の割合が多くなる。造孔材の含有量は、好ましくは5〜15質量%であり、さらに好ましくは7〜13質量%である。
【0040】
造孔材粒子の平均粒子径は15〜50μmである。平均粒子径が15μm未満の場合、低い圧力損失の維持に寄与する細孔が少なくなり、PMが捕集された際に圧力損失が上昇する。造孔材粒子の平均粒子径が50μmを超えると、形成される細孔が粗大になるので再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる細孔の割合が多くなる。造孔材粒子の平均粒子径は、好ましくは17〜45μmである。
【0041】
造孔材の粒度分布偏差SDは0.5以下である。造孔材の粒度分布偏差SDを0.5以下とすることで、形成される細孔分布がシャープになるため、PMが捕集された際の低い圧力損失の維持に貢献し、再生後の使用開始初期のPMを捕集することのできる細孔の割合が多くなる。その結果、本発明に記載の気孔構造を有する多孔質隔壁が形成され、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持しつつ、再生後の使用開始初期のPM捕集率を改善したセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0042】
造孔材の粒度分布偏差SDが0.5を超えると、粒度分布がブロードになり、形成される細孔分布もブロードになる。そのため、PM捕集率及び圧力損失特性に悪影響を与える細孔の割合が多くなり、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下し、PMが捕集された際の低い圧力損失が維持されなくなる。造孔材の粒度分布偏差SDは、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.35以下である。
【0043】
造孔材粒子は、0.5以上の真球度のものを用いる。造孔材粒子の真球度が、0.5未満である場合、隔壁表面に開口した細孔の「外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の前記細孔の開口面積に対する比」が大きくなり、再生後の使用開始初期のPM捕集を悪化させる粗大細孔が増加するとともに、PMが捕集された際の低い圧力損失の維持に悪い影響を与える微小細孔が増加する。造孔材粒子の真球度は、好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは0.8以上である。なお、造孔材粒子の真球度は、シリカ粒子と同様にして求めることができる。
【0045】
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法において、前記造孔材粒子が多孔質ポリマーであり、前記造孔材粒子が30%以上50%未満の空隙を有、さらに前記空隙の80%以上に水分が含有されているものとする。造孔材粒子が多孔質ポリマーで、30%以上50%未満の空隙を有している場合、焼成時の燃焼発熱量が少なくなり、焼成時の割れを生じ難くなるとともに、押出し成形時に造孔材粒子が潰れ難いため、所望の細孔を安定して得ることができる。
【0046】
造孔材粒子として用いる多孔質ポリマーとしては、(ポリ)メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレン等の樹脂が好適である。
【0047】
造孔材粒子の空隙が30%未満である場合、焼成時の燃焼発熱量が多くなり、セラミックハニカム構造体に割れが生じ易くなる。一方、50%以上の場合、成形原料を混合及び混練した際に造孔材粒子が潰れ易くなり、所望の細孔分布を安定して得られ難くなる。
【0048】
通常、造孔材を含む成形原料を使用すると、造孔材粒子同士の摩擦抵抗のため押出し成形に高い圧力が必要となり、押出し後の成形体に変形が生じることがある。場合によっては、高い圧力によって金型が変形してしまい成形できなくなる。しかしながら、空隙の80%以上に水分を含有させた多孔質ポリマーを造孔材として使用することで、造孔材粒子間の摩擦抵抗が低減され、高い押出し圧力を必要とすることなく、押出し成形が可能となる。空隙に水分を含有させた多孔質ポリマーは、真空含浸装置を使用して作製することができる。
【0049】
(3) タルク
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法において、コーディエライト化原料にタルクを40〜43質量%含み、前記タルクの平均粒子径が1〜10μm、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径d90が30μm以下であり、粒度分布偏差SDが0.7以下であるのが好ましい。
【0050】
隔壁には、コーディエライト化原料中のシリカ及びタルクが焼成されて生じる細孔と、造孔材が燃焼されて生じる細孔とを有しているが、シリカ及び造孔材により形成された細孔間に、シリカ及び造孔材の平均粒子径よりも小さい平均粒子径1〜10μmのタルク粒子が細孔を形成することで、シリカ及び造孔材により形成された細孔が、タルク粒子により形成された細孔で連通され、隔壁内の細孔の連通性が向上する。その結果、PMが捕集された際の低い圧力損失が維持される。特に、前述の多孔質ポリマーの造孔材を用いることで、隔壁内に所望の細孔が安定して得られ、PMが捕集された際の低い圧力損失が安定して得られる。しかし、タルクの平均粒子径が1μm未満の場合、細孔の連通性が確保され難くなり、PMが捕集された際の低い初期圧力損失が得られ難くなる。一方、10μmを超える場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる粗大細孔が多くなる。タルク粒子の平均粒子径は、好ましくは2〜8μmである。
【0051】
タルクの粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径d90が30μmを超える場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率を悪化させる粗大細孔が多くなる。d90は、好ましくは25μm以下である。
【0052】
タルク粒子の平均粒子径が1〜10μm、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径d90が30μm以下である場合、タルクの粒度分布偏差SDを0.7以下とすることで、形成される細孔分布がシャープになるため、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持でき、かつ再生後の使用開始初期のPMを捕集することのできる細孔の割合が多くなる。
【0053】
粒度分布偏差SDが0.7を超えると、粒度分布がブロードになり、形成される細孔分布もブロードになる。そのため、PM捕集率及び圧力損失特性に悪影響を与える細孔の割合が多くなり、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下し、PMが捕集された際の低い圧力損失が維持されなくなる。粒度分布偏差SDは、好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.6以下である。前述のような所望の粒子径分布を有するタルク粒子は、分級装置によるタルク粒子の分級、いくつかの粒子径に分級した複数のタルク粒子の混合、又は粉砕条件の最適化により得ることができる。
【0054】
タルクは、結晶相の主成分がコーディエライトであるセラミックハニカム構造体の熱膨張係数を低減する観点から、板状粒子であるのが好ましい。タルク粒子の平板度を示す形態係数は、0.77以上であるのが好ましく、0.8以上であるのがより好ましく、0.83以上であるのが最も好ましい。前記形態係数は、米国特許第5,141,686号に記載されているように、板状のタルク粒子を配向させた状態でX線回折測定を行い、タルクの(004)面の回折強度Ix、及び(020)面の回折強度Iyから式:
形態係数 = Ix/(Ix+2Iy)、
により求めることができる。形態係数が大きいほどタルク粒子の平板度が高い。
【0055】
タルクは、不純物としてFe2O3、CaO、Na2O、K2O等を含有しても良い。Fe2O3の含有率は、所望の粒度分布を得るために、マグネシア源原料中、0.5〜2.5質量%であるのが好ましく、Na2O、K2O及びCaOの含有率は、熱膨張係数を低くするという点から、合計で0.50質量%以下であるのが好ましい。
【0056】
(4) カオリン
シリカ源原料として、前記シリカ粉末に加えて、カオリン粉末を配合することができる。カオリン粉末の含有量は1〜15質量%であるのが好ましい。カオリン粉末の含有量が15質量%を超えると、セラミックハニカム構造体の細孔径2μ未満の細孔を10%以下に調整することが困難になる場合があり、カオリン粉末の含有量が1質量%未満の場合は、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が大きくなる。カオリン粉末の含有量は、さらに好ましくは、4〜8質量%である。
【0057】
カオリン粒子を、そのc軸が押出し成形されるハニカム構造体の長手方向と直交するように配向させると、コーディエライト結晶のc軸がハニカム構造体の長手方向と平行となり、ハニカム構造体の熱膨張係数を小さくすることができる。カオリン粒子の形状は、成形体中のカオリン粒子の配向に大きく影響を与える。カオリン粒子を前述のように配向させるためには、カオリン粒子の形状を定量的に示す指数である、へき開指数が0.80以上であるのが好ましく、0.85以上であるのがさらに好ましい。へき開指数が大きいほどカオリン粒子の配向が良好となる。
【0058】
カオリン粒子のへき開指数は、一定量のカオリン粒子を容器内にプレス充填し、X線回折によりカオリン粒子の(200)面、(020)面及び(002)面の各ピーク強度を測定し、得られた測定値から以下の式:
へき開指数 = I(002)/(I(200)+I(020)+I(002))
[式中、I(200)、I(020)及びI(002)は、それぞれX線回折により測定されたカオリン粒子の(200)面、(020)面、(002)面における各ピーク強度の値である。]により求めることができる。
【0059】
(5) アルミナ源原料
アルミナ源原料としては、不純物が少ないという点で酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが好ましい。酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウム中の不純物であるNa2O、K2O及びCaOの含有量の合計は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。水酸化アルミニウムを用いる場合のコージェライト化原料中の水酸化アルミニウムの含有量は、好ましくは6〜42質量%である。酸化アルミニウムを用いる場合のコージェライト化原料中の酸化アルミニウムの含有量は、好ましくは35質量%以下である。
【0060】
(6) 製造方法
上記のように調整された、コーディエライト化原料粉末及び造孔材に対して、バインダー、必要に応じて分散剤、界面活性剤等の添加剤を加えて乾式で混合した後、水を加えて混練を行い可塑化可能な坏土を作製する(前記添加剤が液体の場合は、混練の際に加えることもできる。)。この坏土を公知のハニカム構造成形用の金型から、公知の押出成形法により押出してハニカム構造の成形体を形成する。得られた成形体を乾燥した後、必要に応じて端面及び外周等の加工を施し、焼成してセラミックハニカム構造体を得る。
【0061】
焼成は、連続炉又はバッチ炉を用いて、速度を調整しながら昇温し、1350〜1450℃の間で1〜50時間保持し、コーディエライト主結晶が十分生成した後、室温まで冷却して行う。前記昇温速度は、特に外径150 mm以上、全長150 mm以上の大型のセラミックハニカム構造体の場合、焼成過程でセラミックハニカム構造体に亀裂が発生しないよう、バインダーが分解する温度範囲、例えば、150〜350℃では0.2〜10℃/hr、コーディエライト化反応が進行する温度域、例えば、1150〜1400℃では5〜20℃/hrが好ましい。冷却は、特に1400〜1300℃の範囲では20〜40℃/hの速度で行うのが好ましい。
【0062】
得られたハニカム構造体に対して公知の方法で目封止部を形成して所望の流路の端部が目封止されたセラミックハニカムフィルタとする。なお、この目封止部は、焼成前に形成してもよい。
【0063】
本発明の製造方法では、前述のようにシリカ、タルク、造孔材の粒度分布を調整することが重要である。従って、本発明では、シリカ粒子、タルク粒子、カオリン粒子、アルミナ粒子等からなるコージェライト化原料に、造孔材やバインダーを加えた後、ヘンシェルミキサー等の粉砕メディアを有さない方法により混合を行い、水を加えた後は、ニーダー等の過剰なせん断を加えない方法により混練を行って押出成形用の可塑化された杯土を作製するのが好ましい。
【0064】
粉砕メディアを有さない方法により混合を行うことにより、シリカ粒子、特に非晶質シリカ粒子が混合過程で粉砕されることを防ぎ、所望の粒度分布及び粒子形状を有するシリカ粒子を、押出成形後の成形体にそのまま存在させることができる。そのため、低い圧力損失を維持しつつ、再生後の捕集開始初期のPM捕集率を改善したセラミックハニカム構造体を得ることができる。特に球状シリカを用いる場合、前記混合方法を採用する効果が大きい。混合工程でボールミル等の粉砕メディアを有する混合方法を採用した場合は、シリカ粒子、特に球状シリカ粒子が混合過程で粉砕されその形状や粒径が変化するため好ましくない。
【0065】
[2] セラミックハニカム構造体
(1) 構造
本発明の方法により製造したセラミックハニカム構造体は、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有し、
前記隔壁の気孔率が40〜60%であり、
前記隔壁表面に開口した細孔の開口面積率(隔壁表面の単位面積当たりに開口する細孔の総開口面積)が15%以上であり、
前記隔壁表面に開口した細孔の開口径を円相当径(細孔の開口面積と同等の面積を有する円の直径)で表した場合、前記開口した細孔のメジアン開口径が10μm以上、40μm未満であり、
前記円相当径が10μm以上、40μm未満の細孔密度が350個/mm2以上であり、
前記円相当径が10μm以上、40μm未満の細孔の外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の前記細孔の開口面積に対する比の平均値が1〜2であることを特徴とする。このような構造を有することにより、本発明の方法により製造したセラミックハニカム構造体は、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失の上昇が低減される。
【0066】
(i) 気孔率
隔壁の気孔率が40%未満の場合、圧力損失が大きくなり、PMが捕集された際に低い圧力損失を維持することができず、一方、気孔率が60%を超えると、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下する。隔壁の気孔率は、好ましくは43〜57%であり、さらに好ましくは45〜55%である。
【0067】
(ii) 開口面積率
隔壁表面に開口した細孔の開口面積率は、隔壁表面の単位面積当たりに開口する細孔の総開口面積である。開口面積率は、隔壁の表面を撮影した電子顕微鏡写真から、画像解析装置(例えば、Media Cybernetics 社製 Image-Pro Plus ver.3.0)で各細孔の開口面積の合計を求め、測定視野面積で除算して算出する。
【0068】
開口面積率が15%未満である場合、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持し難くなる。一方、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下するのを防止するためには、開口面積率は40%以下であるのが好ましい。前記開口面積率は、より好ましくは18〜38%である。
【0069】
(iii) メジアン開口径
開口した細孔のメジアン開口径は、図3に示すように、円相当径(細孔の開口面積と同等の面積を有する円の直径)に対して、隔壁表面に開口した細孔の累積面積(特定の円相当径以下の細孔の開口面積を累積した値)をプロットしたグラフにおいて、全細孔面積の50%に相当する累積面積となる細孔の円相当径である。細孔の開口面積及び円相当径は、隔壁の表面を撮影した電子顕微鏡写真を、画像解析装置(例えば、Media Cybernetics 社製 Image-Pro Plus ver.3.0)で解析することによって求めることができる。
【0070】
メジアン開口径が10μm未満である場合、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持することができず、一方、40μm以上である場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下する。前記メジアン開口径は、好ましくは15〜35μmである。
【0071】
(iv) 細孔密度
隔壁表面に開口した細孔の円相当径が10μm以上40μm未満の細孔密度とは、隔壁表面の単位面積あたりに開口する細孔のうち、円相当径が10μm以上40μm未満の細孔の数である。
【0072】
前記円相当径が10μm以上、40μm未満である細孔密度が350個/mm2未満である場合、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下する。前記細孔密度は、好ましくは400個/mm2以上である。
【0073】
(v) 細孔の外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の開口面積に対する比
前記円相当径が10μm以上、40μm未満の細孔の外形長さ(L)と同等の円周長さを有する円の面積A1の前記細孔の開口面積A0に対する比A1/A0の平均値が2を超える場合、PMが捕集された際の低い圧力損失を維持し難く、再生後の使用開始初期のPM捕集率が低下する。前記比A1/A0の平均値は、好ましくは1〜1.5である。なお比A1/A0は1以上の値となる。
【0074】
(vi) ダルシー透過定数
セラミックハニカム構造体の隔壁のダルシー透過定数は0.1×10-12〜2×10-12 m2であるのが好ましい。前記ダルシー透過定数を有することで、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持でき、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失が低減される。ダルシー透過定数が0.1×10-12 m2未満である場合、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持することが難しくなる。一方、2×10-12 m2を超える場合、PM捕集性能が悪くなる場合がある。ダルシー透過定数は、好ましくは0.2×10-12〜1.5×10-12 m2である。
【0075】
(vii) 細孔径及び細孔分布
セラミックハニカム構造体の隔壁の細孔径を水銀圧入法により測定した時のメジアン細孔径が5μm以上、20μm未満であり、細孔径2μm未満の細孔容積が全細孔容積の10%以下であり、細孔径40μm以上の細孔容積が全細孔容積の10%以下であり、細孔分布偏差σが0.5以下であるのが好ましい。このような細孔構造を有することにより、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持でき、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失が低減される。
【0076】
ここで細孔分布偏差σは、log(D20)-log(D80)であり、図4に示すように、D20は、水銀圧入法で測定した細孔径と累積細孔容積(最大の細孔径から特定の細孔径までの細孔容積を累積した値)との関係を示す曲線において、全細孔容積の20%に相当する細孔容積での細孔径(μm)を示し、D80は同じく全細孔容積の80%に相当する細孔容積での細孔径(μm)を示す。D80<D20である。
【0077】
前記メジアン細孔径が5μm未満である場合、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持することが難しくなる。一方、20μm以上の場合、PM捕集に有効な細孔径5μm以上、20μm未満の細孔容積が少なくなり、PM捕集性能が悪くなる場合がある。前記メジアン細孔径は、好ましくは7〜18μmである。
【0078】
細孔径2μm未満の細孔は、それよりも径の大きな細孔を連通させる効果があり、初期圧力損失特性を向上させる。細孔径2μm未満の細孔容積が10%を超えると細孔の連通性は確保されるものの、細孔径2μmを超える細孔の割合が相対的に少なくなり、初期圧力損失を低く維持することが難しくなる。一方、細孔径2μm未満の細孔が少な過ぎる場合、細孔の連通性が十分確保されず初期圧力損失が大きくなるので、細孔径2μm未満の細孔容積は、好ましくは1〜8%である。
【0079】
細孔径40μm以上の細孔容積が全細孔容積の10%を超える場合、PM捕集に有効な細孔径5μm以上、20μm未満の細孔容積が少なくなり、PM捕集性能が悪くなる場合がある。細孔径40μm以上の細孔容積は、好ましくは8%以下である。
【0080】
細孔径2μm未満の細孔容積が10%以下であり、細孔径40μm以上の細孔容積が10%以下であり、細孔分布偏差σが0.5以下である時、メジアン細孔径5μm以上、20μm未満の細孔の割合が多くなり、細孔分布がシャープとなる。このような構造の隔壁は低い初期圧力損失を有するが、細孔分布偏差σが0.5を超えると、初期圧力損失特性に悪影響を与える細孔の割合が多くなり、低い初期圧力損失を維持することが難しくなる。細孔分布偏差σは、好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.4以下である。
【0081】
(viii) ハニカム構造
セラミックハニカム構造体は、平均隔壁厚さが0.229〜0.305 mm(9.0〜12 mil)の範囲にあり、平均セル密度が23.3〜46.5セル/cm2(150〜300 cpsi)の範囲にあるのが好ましい。このようなハニカム構造を有することで、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低くでき、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失が低減される。平均隔壁厚さが0.229 mm(9.0 mil)未満の場合、隔壁の強度が低下し、一方、0.305 mm(12 mil)を超える場合、低い圧力損失を維持することが難しくなる。平均セル密度が23.3セル/cm2(150 cpsi)未満の場合、隔壁の強度が低下し、一方、46.5セル/cm2(300 cpsi)を超える場合、低い圧力損失を維持することが難しくなる。
【0082】
(2) 熱膨張係数
セラミックハニカム構造体は、20〜800℃間の熱膨張係数が13×10-7/℃以下であるのが好ましい。このような熱膨張係数を有することで、ディーゼル機関の排出ガス中に含まれる微粒子を除去するためのセラミックハニカムフィルタとして用いた際、耐熱衝撃性を維持することができ、実用に耐え得る強度を維持することができる。熱膨張係数は、好ましくは、3×10-7〜11×10-7/℃である。
【0083】
(3) 材質
セラミックハニカム構造体を構成する隔壁は、本用途がディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するためのフィルタであることから、耐熱性を有するセラミックス、すなわち、アルミナ、ムライト、コーディエライト、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、チタン酸アルミニウム、リチウムアルミニウムシリケート等のセラミックスからなるのが好ましく、中でも耐熱衝撃性に優れる低熱膨張のコーディエライト、チタン酸アルミニウムが好ましい。主結晶相がコーディエライトである場合、スピネル、ムライト、サフィリン等の他の結晶相を含有しても良く、さらにガラス成分を含有しても良い。
【0084】
(4) セラミックハニカムフィルタ
本発明の方法により製造したセラミックハニカム構造体は、前記流路の排気ガス流入側及び排気ガス流出側を市松模様に交互に目封止することにより、再生後の使用開始時の初期圧力損失を低く維持でき、再生後の使用開始初期のPM捕集率が改善されるとともに、PMが捕集された際の圧力損失が低減されたセラミックハニカムフィルタとすることができる。ここで、排気ガス流入側及び排気ガス流出側が市松模様に交互に目封止されるのであれば、目封止は必ずしも流路の端面部に形成される必要はなく、流入側端面又は流出側端面からハニカム構造体の内部に入った位置に形成してもよい。
【0085】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
表1〜表4に示す粒子形状(粒径、粒度分布等)を有するシリカ粉末、カオリン粉末、タルク粉末、アルミナ粉末及び水酸化アルミニウム粉末を表6に示す添加量で配合して、化学組成が50質量%のSiO2、35質量%のAl2O3及び13質量%のMgOとなるコーディエライト化原料粉末を得た。このコーディエライト化原料粉末に対し、表5に示す粒子形状の造孔材を表6に示す量で添加し、メチルセルロースを添加した後、水を加えて混練し、可塑性のあるコーディエライト化原料からなるセラミック坏土を作製した。なお造孔材A〜Mは、真空含浸装置を用いて各多孔質ポリマーの空隙に水を含浸させて使用した。表5に多孔質ポリマーの空隙に占める水の容積を含水率として示す。
【0086】
得られた坏土を押出してハニカム構造の成形体を作製し、乾燥後、周縁部を除去加工し、焼成炉にて200時間のスケジュールで焼成した。ただし、150〜350℃及び1150〜1400℃はそれぞれ2℃/hr及び10℃/hrの速度で昇温し、最高温度1410℃で24hr保持し、1400〜1300℃は30℃/hrの速度で冷却した。焼成されたセラミックハニカム体の外周に、非晶質シリカとコロイダルシリカとからなる外皮材をコーティングして乾燥させ、外径266.7 mm及び全長304.8 mmで、表7に示すセルピッチと隔壁厚さを有する実施例1〜23、参考例1〜3及び比較例1〜9のセラミックハニカム構造体を得た。実施例11のセラミックハニカム構造体の隔壁表面及び断面の電子顕微鏡写真を、ぞれぞれ、図7及び図8に示す。
【0087】
シリカ粉末及びタルク粉末の粒度分布は、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定し、平均粒子径(メジアン径d50)、粒子径10μm以下の割合、100μm以上の割合、及び粒度分布偏差を求めた。シリカ粒子の真球度は、電子顕微鏡により撮影した粒子の画像から画像解析装置で求めた、投影面積A1と、重心を通り粒子外周の2点を結ぶ直線の最大値を直径とする円の面積A2とから、式:A1/A2で算出した値であり、20個の粒子についての平均値で表した。
【0088】
これらのセラミックハニカム構造体の流路端部に、交互に目封止されるように、コーディエライト化原料からなる目封止材スラリーを充填した後、目封止材スラリーの乾燥及び焼成を行い、実施例及び比較例の各コーディエライト質セラミックハニカムフィルタを作製した。焼成後の目封止材の長さは7〜10 mmの範囲であった。各実施例、参考例及び比較例で同じセラミックハニカムフィルタを2個ずつ作製した。
【0089】
得られた実施例1〜23、参考例1〜3及び比較例1〜9のセラミックハニカムフィルタの1個に対して、隔壁表面に開口する細孔の数の測定、及びダルシーの透過定数の測定を行った。結果を表7に示す。
【0090】
隔壁表面に開口した細孔の開口面積率は、ハニカムフィルタから切り出した隔壁の表面の電子顕微鏡写真を画像解析装置(Media Cybernetics 社製 Image-Pro Plus ver.3.0)で解析し、測定視野の面積に対する各細孔の開口面積の合計の割合として求めた。また、隔壁表面に開口した細孔の円相当径(細孔の開口面積と同一の面積を有する円の直径)を算出し、隔壁表面に開口した細孔の累積面積(特定の円相当径以下の細孔の開口面積を累積した値)を円相当径に対してプロットしたグラフ(図3を参照)において、全細孔面積の50%に相当する累積面積となる細孔の円相当径をメジアン開口径として算出した。隔壁表面に開口した細孔の円相当径が10μm以上40μm未満の細孔密度は、隔壁表面の単位面積あたりに開口する細孔のうち、円相当径が10μm以上40μm未満の細孔の数として算出した。
【0091】
気孔率、メジアン細孔径、5μm以上20μm未満の細孔容積、20μm以上の細孔容積、及び細孔分布偏差の測定は、水銀圧入法により行った。セラミックハニカムフィルタから切り出した試験片(10 mm×10 mm×10 mm)を、Micromeritics社製オートポアIIIの測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して、加圧した。加圧時の圧力と試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係から、細孔径と累積細孔容積との関係を求めた。水銀を導入する圧力は0.5 psi(0.35×10-3 kg/mm2)とし、圧力から細孔径を算出する際の常数は、接触角=130°、表面張力484 dyne/cmとした。気孔率は、全細孔容積の測定値から、コージェライトの真比重を2.52 g/cm3として、計算によって求めた。
【0092】
20〜800℃間の熱膨張係数(CTE)は、ハニカムフィルタから切り出した別の試験片を用いて測定した。
【0093】
ダルシーの透過定数は、Perm Automated Porometer(登録商標)6.0版(ポーラスマテリアルズ社)を使用し、エア流量を30 cc/secから400 cc/secまで増加させながら測定した通気度の最大値とした。
【0094】
実施例1〜23、参考例1〜3及び比較例1〜9のセラミックハニカムフィルタのうち、残りの1個に対して、初期圧力損失、煤2 g/リットル捕集した時の圧力損失、及び捕集効率の評価を行った。結果を表7に示す。
【0095】
初期圧力損失は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気を流量10 Nm3/minで送り込み、流入側と流出側との差圧(圧力損失)で表した。圧力損失が0.7を超え1.0 kPa以下の場合を「○」、0.7 kPa以下の場合を「◎」、1.0 kPaを越える場合を「×」として初期圧力損失を評価した。
【0096】
煤2 g/リットル捕集した時の圧力損失は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10 Nm3/minで、粒径0.042μmのカーボン粉を3 g/hの速度で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が2 gとなった時の流入側と流出側との差圧(圧力損失)で表した。圧力損失が1.2を超え1.5 kPa以下の場合を「○」、1.2 kPa以下の場合を「◎」、1.5 kPaを越える場合を「×」として煤捕集圧力損失を評価した。
【0097】
捕集効率は、上記と同じく、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10 Nm3/minで、粒径0.042μmのカーボン粉を3 g/hの速度で投入しながら、1分毎にハニカムフィルタに流入するカーボン粉の粒子数とハニカムフィルタから流出するカーボン粉の粒子数とをSMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)(TIS社製モデル3936)を用いて計測し、投入開始3分から4分までのハニカムフィルタに流入するカーボン粉の粒子数Nin、及びハニカムフィルタから流出するカーボン粉の粒子数Noutから、式:(Nin-Nout)/Nin により求めた。捕集効率が95%以上98%未満の場合を「○」、98%以上の場合を「◎」、95%未満の場合を「×」として評価した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1(続き)
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
表3(続き)
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
表5(続き)
【0106】
【表6】
【0107】
表6(続き)
【0108】
表6(続き)
【0109】
【表7】
【0110】
表7(続き)
【0111】
表7(続き)
【0112】
表7(続き)
【0113】
表7(続き)
【0114】
表7より、本発明の実施例1〜23のセラミックハニカムフィルタは、低い圧力損失を維持しつつ、再生後の捕集開始初期のPM捕集率が改善されていることがわかる。このうち、それぞれ50%、10%及び0%の水分を含有する多孔質造孔材を用いて製造された参考例1〜3のセラミックハニカムフィルタは、低い圧力損失を維持しつつ、再生後の捕集開始初期のPM捕集率が改善されたが、押出し成形時に高い圧力がかかったため、押出し後の成形体が変形し、さらに金型にも変形が認められた。特に、含有水分が0%である多孔質造孔材を用いた参考例3では、金型が大きく変形してしまったため以後の押出成形ができなくなった。
【0115】
一方、比較例1及び4の、隔壁表面に開口した細孔のメジアン開口径が大きく、10μm以上40μm未満の細孔密度が低いセラミックハニカムフィルタは、捕集効率が低いことがわかる。比較例2及び5の、隔壁表面に開口した細孔の開口面積率及びメジアン開口径が小さいセラミックハニカムフィルタは、初期圧力損失及び煤2g/L捕集時の圧損がともに大きく、比較例5のセラミックハニカムフィルタは、さらに10μm以上40μm未満の細孔密度が低いため比較例2のセラミックハニカムフィルタに対して捕集効率がやや低いことがわかる。比較例3の、隔壁表面に開口した細孔のメジアン開口径が大きいセラミックハニカムフィルタは、捕集効率が低いことがわかる。比較例6の、隔壁表面に開口した細孔の開口面積率及び10μm以上40μm未満の細孔密度が低く、10μm以上40μm未満の細孔の円形度の平均値が大きいセラミックハニカムフィルタは、煤2g/L捕集時の圧損が大きく、捕集効率が低いことがわかる。比較例7の、隔壁表面に開口した細孔の開口面積率及び10μm以上40μm未満の細孔密度が低いセラミックハニカムフィルタは、初期圧力損失及び煤2g/L捕集時の圧損がともに大きいことがわかる。比較例8の、気孔率が60%を超えるセラミックハニカムフィルタは、捕集効率が低く、熱膨張係数が大きいことがわかる。比較例9の、10μm以上40μm未満の細孔密度が低く、10μm以上40μm未満の細孔の「外形長さと同等の円周長さを有する円の面積の前記細孔の開口面積に対する比」の平均値が大きいセラミックハニカムフィルタは、煤2g/L捕集時の圧損がやや大きく、捕集効率が低いことがわかる。
【符号の説明】
【0116】
1 外周壁
2 隔壁
3 流出側封止流路
4 流入側封止流路
6a 上流側封止部
6c 下流側封止部
8 排気ガス流入側端面
9 排気ガス流出側端面
10 セラミックハニカムフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8