特許第5835673号(P5835673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧
特許5835673電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法
<>
  • 特許5835673-電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法 図000002
  • 特許5835673-電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法 図000003
  • 特許5835673-電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法 図000004
  • 特許5835673-電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835673
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】電気めっき方法および金属化長尺樹脂フィルム製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 7/06 20060101AFI20151203BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20151203BHJP
   H05K 3/16 20060101ALI20151203BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   C25D7/06 D
   H05K3/18 G
   H05K3/16
   C25D17/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-265026(P2012-265026)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-109065(P2014-109065A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔太
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−292155(JP,A)
【文献】 特開2006−117747(JP,A)
【文献】 特開2010−168597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00− 9/12
C25D 13/00−21/22
H05K 3/10− 3/26
H05K 3/38
C09J 7/00− 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールツーロール方式で、導電性長尺基板を長手方向に搬送して電気めっき液への浸漬を繰り返しながら、電気めっきにより前記導電性長尺基板上にめっき層を設ける電気めっき方法において、
前記導電性長尺基板の搬送方向の先端部に、接続部を介して接続された非導電性長尺基板を有し、前記非導電性長尺基板を先頭に搬送されて前記電気めっきを施され、
前記接続部が、前記導電性長尺基板の端部と前記非導電性長尺基板の端部を、連結手段を用いて接続した重ね合わせ部を有し、
前記重ね合わせ部の導電性長尺基板側の段差を、導電性金属箔テープにより被覆した構造で、
前記導電性金属箔テープが、金属箔と導電性粘着層の積層体からなり、
前記導電性金属箔テープの縦断面形状において、前記導電性粘着層の端部を前記金属箔が覆う断面形状であることを特徴とする電気めっき方法。
【請求項2】
前記電気めっき液が、銅電気めっき液であることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき方法。
【請求項3】
長尺樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層を形成し、前記下地金属層の表面に銅被膜層を形成する金属化樹脂フィルムの製造方法において、
前記銅被膜層の形成が、導電性長尺基板を用いた請求項2記載の電気めっき方法により行われ、
前記導電性長尺基板が、前記長尺樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と前記下地金属層の表面に銅薄膜層を成膜した金属薄膜付き長尺樹脂フィルムであることを特徴とする金属化樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記下地金属層と前記銅薄膜層の成膜が、乾式めっき法を用いて行われることを特徴とする請求項3に記載の金属化樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記長尺樹脂フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルムのいずれかであることを特徴とする請求項3または4に記載の金属化樹脂フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールツーロール方式で長尺導電性基板の表面への電気めっき方法及び、この電気めっき方法を用いた金属化樹脂フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムはフレキシブル性を有し、加工が容易であるため、その表面に金属膜や酸化物膜を形成して電子部品や光学部品、包装材料などに広く産業界で用いられている。例えば、フレキシブル性を有するフレキシブル配線基板が携帯電話など小型電子機器で使用されている。
ところで、フレキシブル配線基板は、樹脂フィルムの一種であるポリイミドフィルムと銅箔の間に接着剤を用いて両者を重ねて張り合わせた3層銅ポリイミド基板からサブトラクティブ法等によって製造されている。
【0003】
近年電子部品の軽薄短小化に伴い、配線を狭ピッチ化する要求が高まってきていることから、従来、使用されてきた3層銅ポリイミド基板から、接着剤を使用しない金属化樹脂フィルム基板の一種である金属化ポリイミド基板が要求されている。この接着剤を使用しないことにより、接着剤の特性に影響を受けず、ポリイミド本来の安定性を利用して配線の狭ピッチ化を実現可能としたものです。
このような金属化ポリイミド基板は、液晶ディスプレイのドライバ回路にCOF(Chip on Film)として採用されている。
【0004】
この金属化ポリイミド基板の製造方法として、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法や蒸着法で金属膜を積層させた後に、電気めっき法を用いて金属層を厚付けする方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、金属被覆ポリイミド基板(めっき法2層回路基材)のロールツーロール方式の電気めっき装置が、特許文献2に開示され、長尺物の連続電気めっきで製造されている。
【0005】
ところで、銅張積層基板の基材にポリイミドフィルムの長尺物を用いても、その長さには限りがあり、ポリイミドフィルムの端部は存在し、ロールツーロール方式で連続製造するには、その端部処理、即ちポリイミドフィルム同士の連結処理が必要であり、その連結部の健全性が生産性、信頼性の観点から問題となってくる。
即ち、この銅張積層板の品質を維持する端部処理方法が、銅張積層板の製造ではもちろん、長尺の銅箔等の表面処理においても必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−252257号公報
【特許文献2】特開2009−026990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、導電性長尺基板をロールツーロール方式で搬送し、電気めっき液を満たした電気めっき槽へ繰り返し浸漬して、電気めっき法により導電性長尺基板表面にめっき層を施す導電性長尺基板の電気めっき方法において、導電性長尺基板を電気めっき槽内への導入と、導電性長尺基板の端部の処理を規程することで、健全なめっき層表面を備えた導電性長尺基板が得られる電気めっき方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況に鑑み、本発明の第1の発明は、ロールツーロール方式で導電性長尺基板を長手方向に搬送して電気めっき液への浸漬を繰り返しながら、電気めっきにより導電性長尺基板上にめっき層を設ける電気めっき方法において、その導電性長尺基板の搬送方向の先端部に、接続部を介して接続された非導電性長尺基板を有し、その非導電性長尺基板を先頭に搬送されて電気めっきを施され、その接続部が、導電性長尺基板の端部と非導電性長尺基板の端部を、連結手段を用いて接続した重ね合わせ部を有し、その重ね合わせ部の導電性長尺基板側の段差を、導電性金属箔テープにより被覆した構造で、その導電性金属箔テープが、金属箔と導電性粘着層の積層体からなり、導電性金属箔テープの縦断面形状において、導電性粘着層の端部を金属箔が覆う断面形状であることを特徴とする電気めっき方法である。
さらに、その電気めっき液が、銅電気めっき液であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の発明は、長尺樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層を形成し、その下地金属層の表面に銅被膜層を形成する金属化樹脂フィルムの製造方法において、銅被膜層の形成が、導電性長尺基板を用いた第1の発明の電気めっき方法により行われ、その導電性長尺基板が長尺樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を介することなく下地金属層と、その下地金属層の表面に銅薄膜層を成膜した金属薄膜付き長尺樹脂フィルムであることを特徴とする金属化樹脂フィルムの製造方法である。
【0010】
さらに、下地金属層と銅薄膜層の成膜が、乾式めっき法を用いて行われることを特徴とし、その長尺樹脂フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルムのいずれかであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロールツーロール方式の連続電気めっき装置などの連続処理装置による長尺物の製造において、外観の不具合がなく特に電気めっき被膜に凹がない信頼性の高い電気めっき膜を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のめっき方法で用いられるめっき装置の一例を示す概略図である。
図2】金属膜付長尺フィルムの接合部分の概略図である。
図3】導電性金属箔テープの縦断面図で、(a)本発明に係る接続部に用いる導電性金属箔テープ、(b)従来の接続部で用いられる導電性金属箔テープである。
図4】プレスカットの際に用いるパンチ型とダイ型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ポリイミドフィルムの表面にニッケル−クロム合金の下地金属層をスパッタリング法を用いて成膜し、その下地金属層の表面に銅層をスパッタリング法で成膜して製造した金属膜付長尺樹脂フィルムに、銅めっきを施すめっき装置を用いる場合に好適な方法である。
そこで、本発明の説明に際して、先ず本発明に係る長尺フィルム同士の接続部の評価に用いためっき装置について、図1を参照して説明する。
【0015】
図1は、長尺フィルムを連続して、その表面に電気めっきするめっき装置の一例を示す概略図である。
めっき装置10は、長尺フィルムである金属膜付長尺樹脂フィルムFを巻き出す巻き出しロール12と、電気めっき液Lが満たされためっき液槽11と、めっき液槽11の内部に配置されたアノード(陽極)14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hと、めっき液槽11の外部にあって金属膜付長尺樹脂フィルムFに電力を給電する給電体の給電ロール(本発明にいう給電体の一例である)16a、16b、16c、16d、16eと、金属膜付長尺樹脂フィルムに電気めっきを施した金属化長尺樹脂フィルム基板Sを巻き取る巻取りロール15とを備えている。
巻き出しロール12と、めっき液槽11内部のロール13と、給電ロール16と、巻取りロール15により金属膜付長尺樹脂フィルムFの搬送手段が構成されており、金属膜付長尺樹脂フィルムFは、その幅方向を水平に保ってその長手方向に搬送されながらめっき液Lに浸漬される。
【0016】
各給電ロール16a、16b、16c、16d、16eと、各アノードごとに設けられる各電源との間は電力線で結ばれている。各電源は直流電源である。それぞれの給電ロール16a、16b、16c、16d、16eとアノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hは対を成し、それぞれ独立した電源から電力を受けており、それぞれが別個の電流制御により電位差の最大値を制御している。
【0017】
また、給電ロール16a、16b、16c、16d、16eとアノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hの対ごとに電源を備えるのでそれぞれの給電ロール16a、16b、16c、16d、16eとアノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hの対は電気的に独立している。同じめっき槽11内に複数のアノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hを有していても、各給電ロール16a、16b、16c、16d、16eとアノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hの対はそれぞれ電気的に独立している。
さらに、アノード14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hは、電気めっきの銅源として溶解する銅アノードや、不溶性アノードを用いることができる。
【0018】
めっき液槽11には、銅めっき液を満たした。
銅めっき液としては公知の銅めっき液、例えば公知の硫酸銅めっき浴(光沢浴)を用いることができる。この硫酸銅めっき浴は、硫酸銅、硫酸、微量の塩素イオンおよび公知の添加剤等で構成することがで、その組成は適宜に選択できる。
【0019】
ところで、図1のようなめっき装置に供給される長尺金属膜付樹脂フィルムFには、その搬送方向の先端部があり、長尺金属薄膜付樹脂フィルムFをめっき装置内を搬送する場合、その先端部の扱いが問題となる。この問題は、長尺金属薄膜付樹脂フィルムに限定されるのではなく、導電性長尺基板に共通するものである。
【0020】
この問題を具体的に説明すると、通常、めっき装置10の運転前に、予め導電性長尺基板を搬送経路に仕掛けておいて運転を開始すると、予め掛けられた陽極14a(搬送経路で一番上流(搬入側:巻出ロール12側)にある陽極)より下流に配されている導電性長尺基板は、所望する膜厚に銅めっき層を成膜することができず、製品ロスとなり、その収率および経済性が損なわれる問題が生じる。
【0021】
さらに、問題となるのは、上記のような状態では銅めっき層の変色や給電ロール等と長尺導電性基板との焼き付き不具合が生じてしまうことである。
通常、用いる長尺導電性基板の導電層(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムの場合では、銅薄膜層が該当)の膜厚は、50nm〜1000nmであり、その単位面積あたりの抵抗値は10−1Ωである。
【0022】
連続めっき装置10は、下流(搬出側:巻取ロール15側)に進むにつれて電流が上昇するように各陽極および各給電ロールでの制御が行われる為、導電性長尺基板を予めめっき装置10に仕掛けて運転を開始すると、給電ロール等の位置によっては銅薄膜層には大過剰な電流が流れることなり、銅めっき層の変色が発生する可能性があり、最悪の事態としては給電ロール等と長尺導電性基板との焼き付き不具合を発生させることになってしまう。
【0023】
そこで、これら不具合を防止する為に、導電性長尺基板をめっき装置10に搬入する際の基板先端部に、PETフィルム等の非導電性長尺基板(所謂、絶縁性のダミー基板)を接続して、最初の給電ロール16aに接触しない位置に、導電性長尺基板が置かれるように設定して電気めっきを開始する。なお、PETフィルムの厚みは、金属膜付長尺樹脂フィルムの搬送に障害が生じない範囲で適宜選択でき、厚くても50μm程度が適切である。
【0024】
このような配置では、導電性長尺基板は、非導電性長尺基板に先導されて連続めっき装置10内を搬送されるので、最初の給電ロール16aから定常状態における電気めっきが可能となり、徐々に銅めっき層の膜厚が増し、大過剰な電流が印可されることは無くなり、これら不具合を発生させることがなくなる。
【0025】
次に、導電性長尺基板と非導電性長尺基板との接続部を、図2を用いて説明する。
図2は、上記のような金属膜付長尺樹脂フィルムFとPETフィルムPとの接続部21の長手方向の断面図(所謂縦断面図)である。図2において、導電性銅箔テープ23、マスキングテープ26、連結手段の両面テープ25、重ね合わせ部24、導電性長尺基板側の段差22a、非導電性長尺基板側の段差22bである。なお、連結手段は、接着テープ、粘着テープ、熱圧着、接着剤などによる連結などの方法を適宜採用できる。
発明者は、種々の検討結果から、この接続部21が、銅電気めっき層の凹み欠陥の原因となることを見出した。
【0026】
即ち、図2に示す接続部21の段差22aを被覆するのに用いられる、導電性銅箔テープ23は、図3(a)に示すように銅箔基材31aと導電性粘着層32aの積層構造の導電性銅箔テープである。銅箔基材に電解銅箔、導電性粘着層の粘着成分にはアクリル系粘着剤が望ましく、導電性粘着層にカーボン等の導電性の成分が含まれている。
図3(b)に示すように、この導電性銅箔テープ23は、その切断の方法によっては、導電性粘着層32bが弾力を有するため、切断面から導電性粘着層32bの端が50μm程度ではみ出してしまうことがある。このはみ出した導電性粘着層32bが、給電ロールなどとの接触により、その表面に付着し、後から搬送されてくる金属膜付長尺樹脂フィルムに再付着することで、めっき層中に取り込まれて、異物起因凹みの原因となってしまう。
【0027】
そこで、このような導電性銅箔テープ23の切断面の側面から導電性粘着層32が、はみ出すことを防止するために、本発明では導電性銅箔テープ23の長さ方向端部1〜2mmを銅箔基材31面側からパンチ型(金型)でプレスカットする。このような切断で、図3(a)に示すように金属膜付長尺樹脂フィルムの長手方向での導電性銅箔テープ23の断面(所謂縦断面)は、銅箔基材31aがダレ面となり導電性粘着層32aを覆うような形状になり、導電性粘着層32aのはみ出しを5μm以内とすることが可能となる。
【0028】
図4は、導電性銅箔テープ23のプレスカットに用いるパンチ型34とダイ型35の位置関係を示す概略図で、導電性銅箔テープ23に対しては、図3に相当する方向から見た図である。なお、符号33は台紙である。
【0029】
導電性銅箔テープ23は、パンチ型34とダイ型35(所謂金型)に挟まれて切断される。そのパンチ型34は、銅箔基材31を切断したい範囲と略同じ間隔をあけて刃が配されている。
一方、ダイ型35は、導電性粘着層32を切断したい範囲と略同じ間隔で開口し、角が刃となっている。
そこで、パンチ型34の刃の間隔をダイ型35の開口部の間隔よりも広くすれば、銅箔基材31が導電性粘着層32よりも幅広い状態で導電性銅箔テープ23を切断することができる。さらに、プレスカットの際に、銅箔基材31がパンチ型で押さえつけることで、銅箔基材31が導電性粘着層32の側面を覆うことになる。
【0030】
なお、パンチ型とダイ型によるプレスカット以外でもカットされた導電性銅箔テープ23が、図3に示す断面形状になるような切断方法であれば適宜選択できる。
【0031】
ひとつの端部において銅箔基材31が導電性粘着層32よりも幅広く切断される幅は1mm以上、2mm未満であり、望ましくは1mm以上1.5mm以下である。ここで、銅箔基材31が導電性粘着層32よりも幅広く切断させる幅とは、パンチ型34とダイ型35でプレスカットされる導電性銅箔テープ23の2箇所の切断面のうち1つの切断面での銅箔基材31が導電性粘着層32より飛び出して切断させる幅のことである。
銅箔基材31が導電性粘着層32よりも幅広く切断させる幅が1mm以上、2mm未満となり、導電性粘着層32の厚みの30μm〜100μmよりもはるかに大きい。銅箔基材31の幅広く切断させる幅が、1mm以上、2mm未満ならば、導電性粘着層32の厚みよりも大きくても、プレスカットの際に、導電性粘着層も図3(a)に示されるように、銅箔基材31の変形に従い変形するのである。
銅箔基材31の導電性粘着層32よりも幅広く切断される幅が、1mm未満では、プレスカットの精度では難しく、パンチ型でプレスカットされる際に銅箔基材31に折れやシワが入ってしまう。銅箔基材31に折れやシワが入ると、巻取ロール15で巻き取られる金属化長尺樹脂フィルム基板にシワが転写されて、不良品となってしまう。
【0032】
一方、銅箔基材31が導電性粘着層32よりも幅広く切断される幅が、2mm越えると、銅箔の幅が広く、導電性粘着層32を覆っても銅箔基材31が、あまり搬送時にばたつくので、銅箔基材31が給電ロールを通過する際の通電が不安定になり金属膜付長尺樹脂フィルムの電気銅めっきの表面に外観不良をきたしてしまう。
【0033】
次に、金属化長尺樹脂フィルム基板Sの一種である銅ポリイミド基板を製造するプロセスを、めっき装置10により製造した例を以って説明する。
接続部21は、図2に示す金属膜付長尺樹脂フィルムFとPETフィルムPを重ね合わせて両面テープ25で張り合わせ、導電性銅箔テープ23とマスキングテープ26とで、重ね合わせ部24の段差22a、22b被覆した構造としている。なお、マスキングテープは絶縁性である。
金属膜付長尺樹脂フィルムFとして、ポリイミドフィルムの表面にニッケル−クロム合金の下地金属層をスパッタリング法で成膜し、下地金属層の表面に銅層をスパッタリング法で成膜して製造した。
【0034】
長尺樹脂フィルムについて説明する。
長尺樹脂フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム等を用いることができる。
これらの樹脂フィルムのうちポリイミドフィルムが、電気絶縁性、耐熱性、フレキシブル性で望ましい。なお、金属膜付長尺樹脂フィルムを重ね合わせて接続部分を構成する場合には、長尺樹脂フィルムの厚みは、金属膜の膜厚と接続部分の段差を考慮して50μm以下が望ましい。
【0035】
金属膜付長尺樹脂フィルムFについて説明する。
金属膜付長尺樹脂フィルムFとは、長尺樹脂フィルムの表面に金属膜を形成した(付した)長尺樹脂フィルムをいうもので、長尺樹脂フィルムの表面への金属膜の形成は、接着剤を用いずに金属膜を形成することを意味するものである。すなわち、金属膜付長尺樹脂フィルムFは、長尺樹脂フィルムの表面に真空成膜法などで金属膜を形成した長尺樹脂フィルムである。
この金属膜付長尺樹脂フィルムFは、電気めっき工程を経ることにより金属化長尺樹脂フィルム基板Sとなる。
【0036】
金属膜付長尺樹脂フィルムFは、真空成膜法で長尺樹脂フィルム上に金属膜を成膜して製造される。
利用できる真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理的成膜法、化学的気相成長法(CVD)等の化学的成膜法がある。
具体的には、真空蒸着法は、抵抗加熱や電子銃照射により蒸発源の成膜材料を加熱蒸発させ、基材上に薄膜を形成する方法である。蒸着の際に、薄膜の密着性、緻密化を目的として、蒸発源と基材の間にプラズマを形成するプラズマアシスト蒸着法も知られているが、真空成膜法のうち、スパッタリング法が望ましい。
スパッタリング法は、成膜材料をプレート状に成形したターゲットを用い、このターゲットを放電用電極として上記プラズマ発生方法を用いて基材とターゲットの間にプラズマを発生させ、電位勾配を用いてターゲット表面にイオンを照射衝突させることによって、ターゲット物質を叩き出して基材上にターゲット物質の薄膜を形成する方法である。スパッタリング法が望ましい理由は、磁場などでプラズマを制御できるからである。
【0037】
金属膜付長尺樹脂フィルムFの「金属膜」は、ニッケル、クロムおよび銅から選ばれた金属または、ニッケル、クロムおよび銅のいずれかを含む合金を選択することができる。
例えば、上記金属化ポリイミド基板(最表面の金属が銅である場合には、銅ポリイミド基板という。)であれば、ポリイミドフィルムの表面に真空成膜法で付する金属には、ニッケルおよびクロムまたは、ニッケルまたはクロムのいずれかを含む合金とすることが望ましい。
ニッケルまたはクロムのいずれかを含む合金の組成は、公知の合金組成を銅ポリイミド基板の用途などから適宜に選択できる。ニッケルやクロムまたはそれらの合金を用いる理由は、ポリイミドフィルムと金属との密着性を向上させるためである。
【0038】
銅ポリイミド基板では、ニッケルやクロムまたはこれらのいずれかを含む合金の膜の表面に、銅薄膜層を真空成膜法で成膜する。
銅薄膜層を成膜する理由は、電気めっきを行う際の導電性を確保するためである。
電気めっきは、金属膜付長尺樹脂フィルムにおける、この銅薄膜層の表面に施されるものであり、銅はニッケルやクロムまたはそれらの合金などと比較して、電気抵抗が低い、即ち高導電性であると共に、扱いやすく、廉価であることなどから、下地金属層上に銅層の銅薄膜層が形成される。
【0039】
ここでは、銅ポリイミド基板用の金属膜付長尺樹脂フィルムについて説明したが、銅ポリイミド基板用の金属膜付長尺樹脂フィルムは、ポリイミドフィルム、ニッケルやクロムまたはこれらのいずれかを含む合金膜、銅薄膜層の順に積層されている。
ここで、ニッケルやクロムまたはこれらのいずれかを含む合金膜を下地金属層と呼ぶ。この下地金属層と銅層の積層膜が、金属膜付長尺樹脂フィルムFの「金属膜」となっている。
さらに、金属膜付長尺樹脂フィルムの製法で真空成膜法の他には、無電解めっき法などを行うこともできる。
【0040】
金属化長尺樹脂フィルム基板Sについて説明する。
金属化長尺樹脂フィルム基板は、上記金属膜付長尺樹脂フィルムFの金属膜上に電気めっき法で、めっき膜を形成して製造される。
例えば、金属化長尺樹脂フィルム基板の一種である銅ポリイミド基板では、ポリイミドフィルムに真空成膜法の一種であるスパッタリング法でニッケルやクロムまたはこれらのいずれかを含む合金層からなる下地金属層と、その下地金属層の上に銅薄膜層を、ポリイミドフィルム上に積層した金属膜付長尺樹脂フィルムFに、銅薄膜層上に銅電気めっきで銅めっき膜を成膜して製造する。
金属膜付長尺樹脂フィルムFの下地金属層と銅薄膜層は、合わせて0.1nmから数百nmまでの厚みであり、銅めっき膜の厚みは数μmから数百μmまでの厚みを形成する。なお、銅電気めっきに先立ち、銅薄膜層上に無電解めっき法によるめっき層の形成を適宜行うことができる。
【0041】
これまで、金属化樹脂フィルムの電気めっきを例に本発明を説明してきたが、本発明の導電性長尺基板は、金属膜付長尺樹脂フィルムに限定されず、金属ストリップや銅箔なども用いることができる。また、電気めっきも電気銅めっきに限定されず、電気めっきであれば適宜実施可能である。
さらに、巻き出し側の導電性長尺基板が電気めっきに供された後、連続して同様のめっきを行う場合、先にめっきされている導電性長尺基板の端部(後端部)と新たにめっきを行う導電性長尺基板の端部(先端部)を接続する場合にも、重ね合わせ段差(図2における段差22a)を被覆する本発明の接続部21の使用は適している。
以下、実施例を用いて本発明を詳細する。
【実施例1】
【0042】
長尺樹脂フィルムに東レ・デュポン株式会社製のポリイミドフィルム「150EN−F(厚さ38μm、幅524mm)」を用い、その表面にスパッタリング法でニッケル7%クロムの下地金属層を膜厚7.5nmに成膜し、その下地金属層の表面に銅薄膜層を成膜して金属膜(合計膜厚110nm)を積層した金属膜付長尺樹脂(ポリイミド)フィルムを得た。
【0043】
電気めっきに際しては、図1のめっき装置を使用し、導電性長尺基板に、作製した金属箔付長尺樹脂フィルムを用い、非導電性長尺基板にPETフィルムを使用して、その両者を接続部21を介して接続した。
接続部21は、金属膜付長尺樹脂フィルムFとPETフィルムPを、図2に示すように重ね合わせ、その重ね合わせにより生じた段差を、導電性銅箔テープ23(大日本インキ化学工業株式会社製、E−1100CD(18μm厚銅箔/粘着層32μm、幅50mm)の端部を銅箔基材31が導電性粘着層32よりも1mm幅広くなるようにプレスカットして図3(a)の縦断面形状の加工品を作製し、その加工品により重ね合わせ段差22aを銅箔基材31で被覆して接続部24を形成した。
【0044】
金属膜付長尺樹脂フィルムFには膜厚8μmとなるように銅めっき膜を形成して金属化長尺樹脂フィルム基板Sとした。
なお、めっきの電位差は3Vとした。電流密度は、電源が0.01A/cmから0.04A/cmの範囲で段階的になるよう設定した。
【0045】
さらに、電気めっきに際しては、導電性テープ(接続部21)が給電ロール16と接触している間の電圧が5Vを超えない様に電流制御し連続製造した。
その結果、接続部21を始点として導電性長尺基板側に10mまでの範囲(接続部による欠陥が発生しやすい部位)の50mm×50mmあたりの異物起因凹みが0.0007個/mとなった。なお、この評価は、50mm□の範囲内に異物起因凹みが1以上存在する場合を「欠陥有」として一つに数え、接続部21から導電性長尺基板側の長さ10mにおける「欠陥有」の個数の合計を、単位長さあたりで評価したものである。
この結果は、接続部分の表面欠陥としては実用の範囲であった。
【0046】
(比較例1)
上記導電性テープの端部を銅箔基材31が導電性粘着層32よりも0.5mm幅広くなるようにプレスカットした加工品を接続した以外は実施例1と同様に、電気めっきを行った。
その導電性テープの端部に、折れシワが発生し、フィルムを巻き取る際にシワが転写した為、実用に耐えないものであった。
【0047】
(比較例2)
上記導電性テープの端部を銅箔基材31が導電性粘着層32よりも2.2mm幅広くなるようにプレスカットした加工品を接続した以外は実施例1と同様に、電気めっきを行った。
表面欠陥の目視で確認できるムラが接続部21を始点に導電性基板側に20mまでの範囲に渡って発生した為、実用に耐えないものであった。
【実施例2】
【0048】
上記導電性テープの端部を銅箔基材31が導電性粘着層32よりも1.5mm幅広くなるようにプレスカットした加工品を接続した以外は実施例1と同様に、電気めっきを行った。
実施例1と同様に異物起因凹み評価したところ0.0007個/mとなり、実用の範囲内であった。
【0049】
(比較例3)
上記導電性テープのプレスカット未加工品を用いた以外は実施例1と同様に、電気めっきを行った。
実施例1と同様に異物起因凹み評価したところ0.2個/mとなり、実用上問題が生じた。
【符号の説明】
【0050】
10 めっき装置
11 めっき液槽
12 巻き出しロール
13 めっき液槽内部のロール
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h アノード(陽極)
15 巻取りロール
16a、16b、16c、16d、16e 給電ロール
21 接続部
22 制御器
22a 導電性長尺基板側の段差
22b 非導電性長尺基板側の段差
23 導電性銅箔テープ
24 重ね合わせ部
25 両面テープ
26 マスキングテープ
31、31a、31b 銅箔基材
32、32a、32b 導電性粘着層
33 台紙
34 パンチ型
35 ダイ型
L めっき液
F 金属膜付長尺樹脂フィルム
S 金属化長尺樹脂フィルム基板
P PETフィルム
図1
図2
図3
図4