特許第5835762号(P5835762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5835762光加入者システム及び光加入者システムの動的波長帯域割当方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835762
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】光加入者システム及び光加入者システムの動的波長帯域割当方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20151203BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20151203BHJP
【FI】
   H04L12/44 200
   H04B9/00 272
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-558455(P2014-558455)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(86)【国際出願番号】JP2013082815
(87)【国際公開番号】WO2014115429
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-11069(P2013-11069)
(32)【優先日】2013年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真也
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−147023(JP,A)
【文献】 特開2007−43270(JP,A)
【文献】 中村浩崇、他,柔軟なサービスアップグレードを実現する波長可変型WDM/TDM-PON,電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集,社団法人 電子情報通信学会,2010年 8月31日,通信2,pp.227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行うPONトポロジの光加入者システムに適用する局側装置であって、
加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示して、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待つ局側装置。
【請求項2】
前記局側装置は、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示してから前記波長切替完了報告を受信するまで、当該加入者装置以外の加入者装置に上り波長及び帯域を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の局側装置。
【請求項3】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示した後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項1又は2に記載の局側装置。
【請求項4】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示する際に、当該加入者装置が蓄積している上り信号を直ちに送出する時刻及び送出継続時間と、当該加入者装置が前記新たな上り波長に切替を開始する時刻と、を併せて指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の局側装置。
【請求項5】
前記局側装置が、前記加入者装置に指示した前記新たな上り波長に切替を開始する時刻の後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項4に記載の局側装置。
【請求項6】
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う局側装置と、
前記局側装置とPONトポロジで接続され、上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う複数の加入者装置と、
を備える光加入者システムであって、
前記局側装置は、前記加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替を完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示して、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待ち、
前記加入者装置は、前記所定周期ごとに上り信号帯域を前記局側装置に要求し、前記局側装置が波長割当を切替えない場合は、前記上り波長を切替えることなく前記局側装置からの前記信号送信開始時刻及び前記送信継続時間の指示に従って送信し、前記局側装置が波長割当を切替える場合は、前記局側装置の指示に従って前記新たな上り波長に切替え、波長切替完了後、前記新たな上り波長で波長切替完了報告を送信する光加入者システム。
【請求項7】
前記局側装置は、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示してから前記波長切替完了報告を受信するまで、当該加入者装置以外の加入者装置に上り波長及び帯域を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の光加入者システム。
【請求項8】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示した後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項6又は7に記載の光加入者システム。
【請求項9】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示する際に、当該加入者装置が蓄積している上り信号を直ちに送出する時刻及び送出継続時間と、当該加入者装置が前記新たな上り波長に切替を開始する時刻と、を併せて指示することを特徴とする請求項6又は7に記載の光加入者システム。
【請求項10】
前記局側装置が、前記加入者装置に指示した前記新たな上り波長に切替を開始する時刻の後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項9に記載の光加入者システム。
【請求項11】
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う局側装置と、
前記局側装置とPONトポロジで接続され、上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う複数の加入者装置と、を備える光加入者システムの動的波長帯域割当方法であって、
前記加入者装置は、前記所定周期ごとに上り信号帯域を前記局側装置に要求し、
前記局側装置は、前記加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示し、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待ち、
前記加入者装置は、前記局側装置が波長割当を切替えない場合は、前記上り波長を切替えることなく前記局側装置からの前記信号送信開始時刻及び前記送信継続時間の指示に従って送信し、前記局側装置が波長割当を切替える場合は、前記局側装置の指示に従って前記新たな上り波長に切替え、波長切替完了後、前記新たな上り波長で波長切替完了報告を送信する光加入者システムの動的波長帯域割当方法。
【請求項12】
前記局側装置は、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示してから前記波長切替完了報告を受信するまで、当該加入者装置以外の加入者装置に上り波長及び帯域を割り当てることを特徴とする請求項11に記載の光加入者システムの動的波長帯域割当方法。
【請求項13】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示した後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項11又は12に記載の光加入者システムの動的波長帯域割当方法。
【請求項14】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示する際に、当該加入者装置が蓄積している上り信号を直ちに送出する時刻及び送出継続時間と、当該加入者装置が前記新たな上り波長に切替を開始する時刻と、を併せて指示することを特徴とする請求項11又は12に記載の光加入者システムの動的波長帯域割当方法。
【請求項15】
前記局側装置が、前記加入者装置に指示した前記新たな上り波長に切替を開始する時刻の後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちすることを特徴とする請求項14に記載の光加入者システムの動的波長帯域割当方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から5のいずれかに記載の局側装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重及び時分割多重を組み合わせたPON(Passive Optical Networks)における、波長及び帯域の割り当て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の急速なインターネットの普及に伴い、アクセスサービスシステムの大容量化、高度化、経済化が求められている中、それを実現する手段としてPONの研究が進められている。PONとは、光受動素子による光合分波器を用いて、1個の局側装置及び伝送路の一部を複数の加入者装置で共有することにより、経済化を図る光通信システムである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
現在、日本では主に1Gbpsの回線容量を最大32ユーザで時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)によって共有する経済的な光加入者システム、GE−PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network)(Ethernetは登録商標)が導入されている。これにより、FTTH(Fiber To The Home)サービスが現実的な料金で提供されるようになった。
【0004】
また、より大容量のニーズに対応するため、次世代光加入者システムとして、総帯域が10Gbps級である10G−EPONの研究が進められており、2009年に国際標準化が完了した。これは、送受信器のビットレートを増大させることにより、光ファイバなどの伝送路部分はGE−PONと同一のものを利用しながら、大容量化を実現する光加入者システムである。
【0005】
さらなる将来には、超高精細映像サービスやユビキタスサービスなど10G級を超える大容量が求められることが考えられるが、単純に送受信器のビットレートを10G級から40/100G級に増大させるだけでは、システムアップグレードにかかるコストの増大により、実用化が難しいという課題があった。
【0006】
これを解決する手段として、帯域要求量に応じて局側装置内の送受信器を段階的に増設することができるように、送受信器に波長可変性を付加し、時分割多重(TDM)及び波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を効果的に組み合わせた波長可変型WDM/TDM−PONが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−87281号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hirotaka Nakamura et al.,“40Gbit/s λ−tunable stacked−WDM/TDM−PON using dynamic wavelength and bandwidth allocation”,OThT4,OSA/OFC/NFOEC2011,2011
【非特許文献2】Michael P. McGarry et al.,“An evolutionary WDM upgrade for EPONs“, Communications Magazine,IEEE,vol.44,No.2,pp.15−22,2006
【非特許文献3】Tsutomu Tatsuta et al.,“Design philosophy and performance of a GE−PON system for mass deployment”, Journal of Optical Networking,vol.6,No.6,pp.689−700,2007
【非特許文献4】Kenji Sato et al.,“Wideband External Cavity Wavelength−Tunable Laser Utilizing a Liquid−Crystal−Based Mirror and an Intracavity Etalon”,Journal of Lightwave Technology,IEEE,Vol.25,No.8,pp.2226−2232,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような波長可変型のWDM/TDM−PONを運用するにあたっては、各加入者装置(ONU:Optical Network Unit)に対してシステムの総帯域、特に上りの総帯域を効率良く分配するべく、動的に波長及び帯域を割り当てるアルゴリズムが必要であり、その方法としては既にいくつかの報告が挙がっている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0010】
一方、従来のGE−PONで用いられてきた、帯域利用効率が高く、遅延の小さい上り信号多重方式として、非特許文献3や特許文献1に示されるような動的帯域割当て(DBA:Dynamic Bandwidth Allocation)方式がある。これを仮に複数リクエスト方式と呼ぶ。この方式は、ある固定された周期内にONUそれぞれが要求する帯域を局側装置(OLT:Optical Line Terminal)が集約し、その情報を基に、必ず最低限の上り信号送信許可を与える、すなわち上り帯域を各ONUに割り当てることを保証している。そのため、一定周期ごとにONUが帯域を要求すれば、送信許可を与えられるまでの待ち時間、すなわち遅延時間が一定周期未満になる、という特徴を持つ。
【0011】
また、上り信号の送信許可が必要なONUすべての情報を集約して、上り信号送信許可を与えるため、上り帯域を効率よくかつ公平に各ONUへの帯域割り当てが行われる。ここで、上りとは、ONUからOLTへの方向をいい、下りとはOLTからONUへの方向をいう。
【0012】
図1を用いて、複数リクエスト方式で用いられる一定周期のDBAアルゴリズムによる上り帯域制御を説明する。図1には時間を横軸に、OLTとONU1〜ONUnとの制御信号および上り信号が送信される様子を記載している。OLT及びONUの時間軸を示す矢印は、上側に上り信号のタイミング、下側に下り信号のタイミングを示す。即ち、OLTでは上側に受信信号のタイミング、下側に送信信号のタイミングを示すことになる。ONUでは下側に受信信号のタイミング、上側に送信信号のタイミングを示すことになる。
【0013】
OLTから送信された信号は光ファイバを介してONUで受信される。ONUnはPONトポロジの中でOLTから一番遠くの距離にあるONUとする。ONUの時間軸を示す矢印においては、上側に信号の送信タイミング、下側に信号の受信タイミングを示している。DBAのi番目の周期において、その1周期の時間をT_dba_iと表記し、その値は固定値とする。
【0014】
次にOLTがONUの上り帯域を制御する動作について説明する。OLTは、各ONUに対しReport信号および上り信号の送信開始時刻および送信継続時間を指示したGATE信号を送信する。ONUnへの周期IのGATE信号をgn_iと表記する。各ONUはg1_i−1〜gn_i−1を受信すると、GATE信号に指示された時刻に、ONUに蓄積されている上り信号用バッファのデータ量をReport信号rep1_i〜repn_iとしてOLTへ送出することで報告する。OLTへ送信する時刻はgn_i−1にて指示されている。また、OLTはg1_i−1〜gn_i−1で指示するReport信号を送信する時刻は、それらReport信号がOLTで衝突しないよう伝搬時間を考慮して指示する。また、上り信号の時刻とデータ量もgn_i−1に指示されており、指定の時刻に上り信号dn_i−1をOLTへ送信する。
【0015】
OLTは、各ONUから受信したReport信号(rep1_i〜repn_i)に記載されている送信要求に基づき、d1_i〜dn_iの各上り信号をそれぞれのONUがどの時刻に、どれだけの時間だけ送出するかの割当を計算する。また、次の周期のReport信号(rep1_i+1〜repn_i+1)を送信する時刻も計算する。それらの計算結果をGATE信号(g1_i〜gn_i)に入れ、各ONUへ送信する。g1_i〜gn_iを受信した各ONUは、再びReport信号rep1_i+1〜repn_i+nを生成し、OLTへ送信し、上り信号d1_i〜dn_iを指定された時刻に送信する。
【0016】
このようにOLTが、各ONUの要求する帯域情報を収集し、上り信号送信開始時刻、送信継続時間を計算してONUに指示し、それに従ってONUが上り信号を送信するため、PONの共有する光ファイバで上り信号が干渉なく、かつONUの要求に応じた柔軟な帯域を割り当てて、効率の高い上り通信が実現されている。
【0017】
DBAは、このようにOLTからGATE信号を送信し、それを受信したONUからReport信号と上り信号を送信し、それを受信したOLTが割り当て時刻、送信データ量を計算して各ONUにGATE信号の送信で次のReport信号と上り信号の送信指示を行うという周期を繰り返す。その周期T_dbaは、Reportの受信時間T_Rrep、ONUの上り信号を割り当てを計算する時間T_calc、GATE信号をONUへ送信する時間T_Sgate、GATE信号が伝搬し、ONUがGATE信号を受信してReport信号を作成してOLTへ送信し、OLTがそのReport信号を受信する直前までの折り返し時間T_rtを用いて、
T_dba=T_Rrep+T_calc+T_Sgate+T_rt
と表される。
【0018】
上記説明した、非特許文献3や特許文献1に記載のDBAである複数リクエスト方式は、単一上り波長を想定した方式であり、複数の波長を用いることを想定していない。
【0019】
したがって、このDBAを波長可変型のWDM/TDM−PONに適用することを想定すると、OLTによる動的帯域割当ての他に、動的に波長を割り当てる動的波長割り当ての仕組みを追加し、ONUが上り信号の波長を切替えることを想定した制御が新たに必要になる。
【0020】
ONUの波長を切替えるかどうかの判断は、例えば、OLTが各ONUからのReport信号を受信し、ある上り信号波長(ここでλ1とする)に収容されているONUからの要求帯域の総和が、その波長の上り帯域を超えており、かつ別の上り信号波長(ここでλ2とする)の上り帯域ではその要求帯域を受信するだけの空き帯域があるという条件を設けることで実現できる。
【0021】
図2に、波長切替指示も含めた動的波長帯域割当(DWBA: Dynamic Wavelength and Bandwidth Allocation)の動作を示す。使用している用語および図の構成は図1と同様である。図2ではi番目のDWBA周期をT_dwba_iと表記する。
【0022】
OLTは送受信する波長ごとに送受信器を有する。各波長の送受信器が実装されている部分をLC(Line Card)と表すこととする。LC1〜LCmまでラインカードがOLTに組み込まれると、送信する波長の数はmで、受信する波長の数もmとなる。LC1が受信する上り信号波長をλ1とし、以降LCmが受信する上り信号波長はλmと表す。上りと下りで別波長を利用する場合は、全部で2mの波長数となり、同一波長を利用する場合は、全部でmの波長数となる。
【0023】
次にOLTがONUの上り送信時刻と割当波長を制御する動作について説明する。
OLTはONUにReport信号と上り信号の送信時刻および送信時間を指示したGate信号を各ONUに送信する。各ONUはg1_i−1〜gn_i−1を受信すると、そのGate信号に指示された時刻に、ONUが上り信号を送出するために必要な帯域をReport信号rep1_i〜repn_iとしてOLTへ要求する。OLTの指示するRepor信号を送信する時刻は、それらReport信号が重なり合ってOLTで衝突しないよう伝搬時間を考慮して計算されている。また、Gate信号には上り信号の送信時刻と送信継続時間もg1_i−1〜gn_i−1に指示されており、指定の時刻に上り信号d1_i−1〜dn_i−1をOLTへ送信する。
OLTは各ONUから受信したReport信号rep1_i〜repn_iに記載されている要求に基づき、ONUの上り信号d1_i〜dn_iをどの時刻に、どのくらいの時間、どの波長で送出するかを計算する。
【0024】
図2においては、周期T_dwba_iにおいてONUnの上り信号波長をλ1からλ2へ変更すると算出された場合を例示する。この時ONUnへのGate信号であるgn_iには波長をλ2へ変更する指示が含まれる。
【0025】
また、次の周期のReport信号rep1_i+1〜repn_i+1を送信する時刻と送信継続時間も計算し、それらの計算結果をGate信号g1_i〜gn_iに入れ、各ONUへ送信する。Report信号の送信する時刻は、ONUnが波長を切替えている時間は信号を送信できないことを考慮して、すべてのONUが信号が送信できるよう時刻を計算して指定する。特に、repn_i+1は切替え後の波長であるλ2のLC配下にあるONUの信号と衝突しないような時刻となる必要がある。gn_iを受信したONUnはλ2へ波長を切替え、λ2でReport信号repn_i+nを送信する。
【0026】
Gate信号g1_i〜gn−1_iを受信したその他のONUは再びReport信号rep1_i+1〜repn−1_i+1を生成し、OLTへ送信し、上り信号d1_i〜dn−1_iを指定された時刻に送信することで、DWBA周期を繰り返す。一方、λ2で新しくReport信号repn_i+1を受信したLC2は新たにONUnが加わったことを認識し、帯域の割当て計算を行い、Gate信号gn_i+1をONUnへ送信する。ONUnはそのGate信号gn_i+1を受信し、gn_i+1で指定された時刻においてλ2に切替えて最初の上り信号であるd2_i+1を送信する。
【0027】
ここで、DWBA周期T_dwbaは複数リクエスト方式で用いられているDBAと同様に、以下の式であらわされる。
T_dwba=T_Rrep+T_calc+T_Sgate+T_rt
【0028】
図2においては、ONUnへのGate信号に波長λ1からλ2への切替指示が含まれており、ONUnはGate信号を受信してから波長切替えを開始し、切替え完了後LC2に対しλ2で要求信号を送信する。したがって、T_rtの最大値は、切替えに要する時間をT_lmaxとすると、最大距離のONUに伝搬に要する伝搬遅延T_propを用いて以下の式であらわされる。
T_rt=2T_prop+T_lmax
つまり、従来の動的波長帯域割当ての周期T_dwbaは従来のDBAに比べ波長切替え時間T_lmax分だけ長くなる。
【0029】
ONUに用いる波長可変送受信器用の部品として、例えば非特許文献4に示すような液晶を用いた波長可変フィルタが挙げられる。液晶の分子の向き(配向)を電場で制御することで光学異方性を変化させ、透過波長を変更させる。この分子の向きの制御に時間がかかり、数ミリ秒から数百ミリ秒の切替え時間が発生する。このような様々な波長可変フィルタの適用を想定すると、上記のT_rtは波長切替え時間が支配的となる可能性がある。
【0030】
波長の切替えに伴ってDWBA周期が長くなると、以下の問題が生じる。
図2に示すように、Report信号rep1_i、rep2_iに対して許可された上り信号であるd1_i、 d2_iは、周期T_dwba_i+1にOLTで受信される。DWBA周期が長くなると、ONU1がrep1_iで要求してから実際に上り信号を送信するd1_iまでの時間が図1で示す従来のTDM−PONにおける動的帯域割当時よりも長くなると想定される。つまり、ONU内のバッファメモリに蓄積されている時間が長くなるため、上り信号の遅延が増加する。さらに、DWBA周期が長くなるということはそのバッファメモリ量を多く持たなくてはならなくなるため、ONUのコスト増を招く。
【0031】
また、DWBA周期が長くなると、1ONUあたりの割り当てることができる時間は大きくなる。例えばONU1がd1_iとして送信できる時間は、ONUの数が等しいとし、各ONUに帯域を案分するとすると、図1の従来のTDM−PONに比べ、図2の方が多くとることができる。このOLTの指示により送信可能となる時間に上り信号を送出するため、ONUのトラフィックが時間的に集中し、バースト性が高くなる。例えばフレーム長とフレーム間隔の短い定常トラフィックをONUに上り信号として入力しても、ONUからOLTに送信される上り信号はd1_iの時間内に一度に送出されるというトラフィック特性に変わる可能性がある。したがって、DWBA周期が長いほど、ONUが受信する上り信号をある時間内にまとめて送出することになり、バースト性の高いトラフィック特性に変換されることになる。
【0032】
一般に伝送システムは、ユーザが送受信する端末に影響を与えないよう、遅延を抑え、かつ入力されるトラフィック特性をできるだけ維持して送信するよう求められる。したがって、遅延の短縮とトラフィック特性の維持という観点では、DWBA周期はできるだけ短くすることが求められる。
【0033】
したがって、波長可変型WDM/TDM−PONにおいて複数リクエスト方式等固定周期を用いた動的波長帯域割当を実現する場合は、上り信号の伝送遅延やバースト性の増加を抑制する、すなわち割当周期の増加を最小限の抑えることのできる波長切替え方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0034】
そこで本発明は、上り信号の送出時刻及び送信継続時間を割り当てるDBA周期と、上り信号の波長を割り当てる動的波長割当周期(DWA周期)とを分けることとした。DBA周期では、その周期ごとにONUが上り信号の帯域を要求し、それに従いOLTが上り信号を送出する時刻、送信継続時間を計算し、指示し、その指示に従ってONUが上り信号を送信する。DWA周期では、その周期ごとにOLTが波長切替えを指示し、ONUが波長を切替えて別のLCに所属を変更する。
また、ONUが波長を切替えている間は、波長を切替えないONUでDBA周期を複数回実施することを可能とし、波長切替え後に波長切替えを確認してから切替え後の波長でのDBA動作を行うこととした。
【0035】
本願発明の光加入者システムは、
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う局側装置と、
前記局側装置とPONトポロジで接続され、上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う複数の加入者装置と、
を備える光加入者システムであって、
前記局側装置は、前記加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替を完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示して、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待ち、
前記加入者装置は、前記所定周期ごとに上り信号帯域を前記局側装置に要求し、前記局側装置が波長割当を切替えない場合は、前記上り波長を切替えることなく前記局側装置からの前記信号送信開始時刻及び前記送信継続時間の指示に従って送信し、前記局側装置が波長割当を切替える場合は、前記局側装置の指示に従って前記新たな上り波長に切替え、波長切替完了後、前記新たな上り波長で波長切替完了報告を送信する。
【0036】
本願発明の光加入者システムの動的波長帯域割当方法は、
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う局側装置と、
前記局側装置とPONトポロジで接続され、上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行う複数の加入者装置と、を備える光加入者システムの動的波長帯域割当方法であって、
前記加入者装置は、前記所定周期ごとに上り信号帯域を前記局側装置に要求し、
前記局側装置は、前記加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示し、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待ち、
前記加入者装置は、前記局側装置が波長割当を切替えない場合は、前記上り波長を切替えることなく前記局側装置からの前記信号送信開始時刻及び前記送信継続時間の指示に従って送信し、前記局側装置が波長割当を切替える場合は、前記局側装置の指示に従って前記新たな上り波長に切替え、波長切替完了後、前記新たな上り波長で波長切替完了報告を送信する。
【0037】
本願発明の局側装置は、
複数の上り波長を切替え、帯域を可変にして送受信を行うPONトポロジの光加入者システムに適用する局側装置であって、
加入者装置からの信号帯域要求に応じて、複数の前記加入者装置の送信する信号が衝突しないように前記加入者装置に上り波長及び帯域を割当て、前記加入者装置への波長割当を切替えない場合は、所定周期ごとに信号送信開始時刻及び送信継続時間を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置への波長割当を切替える場合は、新たな上り波長を前記加入者装置に指示し、前記加入者装置が波長切替完了した波長切替完了報告を新たな上り波長で送信するよう指示して、複数の前記所定周期に跨って前記新たな上り波長で前記波長切替完了報告を待つ。
【0038】
本願発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の局側装置として機能させるためのプログラムである。本願発明のプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【0039】
これら本発明の構成によれば、波長切替え時間が波長切替えない場合の動的帯域割当周期、すなわちDBA周期よりも長い部品を用いた場合においても、ONUに入力される上り信号のトラフィック特性を従来のPONと同程度に保ちつつ、低い遅延で送信することができる波長可変型WDM/TDM−PONシステムを提供することができる。
【0040】
前記局側装置は、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示してから前記波長切替完了報告を受信するまで、当該加入者装置以外の加入者装置に上り波長及び帯域を割り当ててもよい。
この構成によれば、波長切替を行っている当該ONU以外のONUは複数リクエスト方式等の動的帯域割当方法を用いて帯域利用効率の高い上り信号送信が継続できる。
【0041】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示した後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちしてもよい。
この構成によれば、波長切替手順の完了およびその正当性をGate、Reportの交換で確認することができる。また、時間が異なるONUが混在している場合でも、ONUの波長切替時間を正確に規定し、動的波長帯域割当て周期を仕様として一律化する必要がない。ONUに用いられる波長可変にかかわる部品の選択肢が広がることで、ONUの経済性が期待できる。
【0042】
前記局側装置が、前記新たな上り波長を前記加入者装置に指示する際に、当該加入者装置が蓄積している上り信号を直ちに送出する時刻及び送出継続時間と、当該加入者装置が前記新たな上り波長に切替を開始する時刻と、を併せて指示してもよい。
この構成によれば、ONUに蓄積されている上り信号を、波長切替前に送出することができるため、波長切替の間送信できない信号が蓄積されることによる遅延増大を減らすことができる。
【0043】
前記局側装置が、前記加入者装置に指示した前記新たな上り波長に切替を開始する時刻の後、当該加入者装置に前記新たな上り波長で前記所定周期ごとに前記波長切替完了報告を指示することを繰り返し、前記新たな上り波長で前記信号帯域要求を受信待ちしてもよい。
この構成によれば、波長切替手順の完了およびその正当性を、DBA動作に用いられているGate信号、Report信号を利用して確認することができる。また、切替時間が異なるONUが混在している場合でも、ONUの波長切替時間を正確に規定して動的波長帯域割当て周期を仕様として統一する必要がない。ONUに用いられる波長可変にかかわる部品の選択肢が広がることで、ONUの技術革新と経済性が期待できる。
【0044】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、波長可変型WDM/TDM−PONにおいて複数リクエスト方式等固定周期を用いた動的波長帯域割当を実現する場合に、上り信号の伝送遅延やバースト性の増加を抑制することができる。これにより、本発明は、割当周期の増加を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】従来技術のTDM−PONにおけるDBAを用いた上り信号送信シーケンスである。
図2】波長可変型WDM/TDM−PONに従来技術DBAを適用した場合の上り信号送信シーケンスである。
図3】本発明の波長可変型WDM/TDM−PONシステムの構成図である。
図4】本発明の波長可変型WDM/TDM−PONシステムにおけるONUの構成図である。
図5】第1の実施形態における動的波長帯域割当方法の上り信号シーケンスである。
図6】第2の実施形態における動的波長帯域割当方法の上り信号シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0048】
(実施形態1)
図3に本発明における波長可変型WDM/TDM−PONシステム及びそれを構成する局側装置(OLT)と加入者装置(ONU)の構成図を示す。OLT91とONU92間はパワースプリッタまたは波長ルータなどの光合分岐回路93を用いたpoint−to−multipoint構成のPONトポロジで接続される。
【0049】
OLT91にはONU1〜ONUnのn台のONU92が接続され、それぞれのONU92はλ1〜λmの波長を用いて送受信する。ONU92はOLT91からの指示に従ってλ1〜λmの波長を切替えて送受信することができる。各ONU92には設置されるユーザ宅の通信装置からの上り信号が入力され、ONU92内部の光送受信器で上り光信号として送信される。上り信号はONU92側の光合分岐回路93からOLT91に向けて1本の光ファイバに多重されるため、上り信号が重ならないよう各ONU92が送信する上り信号の送信時刻、送信継続時間をOLT91が算出し、制御する。
【0050】
OLT91は各λ1〜λmの波長を送受信するラインカード、LC1〜LCmと動的波長帯域割当回路12で構成され、LC1〜LCmはONU92から送信される各波長の信号を受信し、上り信号として出力する。
【0051】
動的波長帯域割当回路12は、DWBA計算部32、切替指示信号生成部33、制御信号送信部34、要求信号受信部31から成り、各ONU92から送信された帯域要求を含んだReport信号を各LC11を通じて要求信号受信部31で受信し、その要求に基づいて各ONU92に割り当てる上り信号およびReport信号の送信時刻、送信継続時間をDWBA計算部32で算出し、その情報を格納したGate信号を切替指示信号生成部33で生成し、制御信号送信部34から各LCを通じて各ONUへ送信する。
【0052】
図4にONU92の構成を示す。ONU92はデータ受信部21、バッファメモリ22、フレーム送出制御部23、フレーム組立送信部24、波長可変光送受信器25、要求帯域計算部26、要求帯域信号生成部27、フレーム送出及び波長制御信号受信部28、波長切替制御部29から構成される。
【0053】
ユーザからの上り信号はデータ受信部21で受信され、バッファメモリ22内に一時的に蓄積される。フレーム送出制御部23はGate信号によって指定された上り信号の送信時刻および送信継続時間に従って、上り信号をフレーム組立送信部24に送る。フレーム組立送信部24はPON構成でOLT91に信号を送信するために必要なフレーム形式を構成し、波長可変光送受信器25に送る。波長可変光送受信器25は波長切替制御部29で指定された波長λ1〜λmのいずれかで光信号に変換しOLT91へ送信する。
【0054】
波長可変光送受信器25はOLT91からのGate信号を受信して電気信号に変換し、フレーム送出及び波長制御信号受信部28へ送る。フレーム送出及び波長制御信号受信部28はGate信号の指示を解析し、Gate信号に波長切替指示、切替後の波長、切替開始時刻が含まれていれば、指定された時刻に切替先波長と切替指示を波長切替制御部29に送る。波長切替制御部29は前記波長切替制御に従って波長可変光送受信器25の波長を切替える。
【0055】
また、Gate信号にはONUの要求する帯域をReport信号としてONUから送信するよう指示する情報が含まれる。フレーム送出及び波長制御信号受信部28はReport信号送出を要求するGate信号を受信すると、要求帯域信号生成部27へReport信号の生成を指示する。要求帯域信号生成部27は要求帯域計算部26に要求する帯域を算出するよう指示する。要求帯域信号計算部27はバッファメモリ22に蓄積されている上り信号のデータ量を監視、計測しており、そのデータ量に基づき要求帯域量を決定し、要求帯域信号生成部27へ要求帯域量を送る。要求帯域信号生成部27は要求量を含んだReport信号を生成し、フレーム送出制御部23に送る。
【0056】
前記Gate信号はReport信号の送出時刻および送信量の情報が含まれている。フレーム送出及び波長制御信号受信部28はフレーム送出制御部23にGate信号に含まれていたReport信号の送出時刻および送信量の情報を送り、フレーム送出制御部23は指示された時刻にReport信号をフレーム組立送信部24に送り、波長可変光送受信器25を介してOLT91へReport信号を送信する。また、OLT91から送信されるGate信号にはONU92が受信した上り信号を送信する時刻およびデータ量が含まれている。フレーム送出及び波長制御信号受信部28はフレーム送出制御部23にGate信号に含まれていた上り信号の送出時刻および送信量の情報を送り、フレーム送出制御部23は指示された時刻に上り信号をバッファメモリ22から送信量を超えないデータ量のフレームを取り出し、フレーム組立送信部24に送り、波長可変光送受信器25を介してOLT91へReport信号を送信する。
【0057】
次に本実施形態の動作を説明する。
図5は本発明の第1の実施形態として、動的波長帯域割当動作を図1図2の書式に従って記載したものである。動的波長割当のk番目の周期の時間をT_dwa_kとし、動的帯域割当(DBA)のi番目の周期の時間をT_dba_iとする。T_dwa_kは複数のDBA周期倍に設定する。図5の例では3DBA周期を1DWA(動的波長割当)周期としている。
【0058】
各LCに所属するONUは各LCに固定的に割り当てられている波長λ1〜λmをそれぞれ用いて通信を行う。図5の実施形態ではDWA周期T_dwa_k−1において、ONU1、ONU2、ONUnはLC1のλ1を用いて通信を行っているとする。LC1から発せられるGate信号g1_i−1〜gn_i−1を受信した各ONUは、各Gate信号に含まれるReport信号と上り信号の送信時刻および継続時間に従って、まずReport信号rep1_i〜repn_iをOLTへ送信する。また上り信号d1_i−1〜dn_i−1を送信する。
【0059】
DWA周期T_dwa_kかつDBA周期T_dba_iのReport信号を受信したOLT92は、動的波長帯域割当回路12にて、Report信号で要求された帯域から、各ONUに割り当てる帯域と波長を計算する。波長を切替えないと計算されたONU92に対しては、任意のDBA計算手法にしたがった帯域割当計算結果をGate信号に記載し、ONU92に指示する。
【0060】
本実施形態では計算の結果ONUnの波長をλ1からλ2へ変更し、LC2へ所属するよう変更する例として記載する。この場合、割当て計算を実施したOLT91はgn_iを除くGate信号のg1_i〜gn−1_iにT_dba_i周期におけるReport信号および上り信号の送信時刻および継続時間を記載して送信する。以降ONU1〜ONUn−1については、これまで記載したDBAの動作に基づき上り信号を送信することができる。
【0061】
一方、波長を切替えるONUnに対するGate信号gn_iには、波長λ2へ切替える指示を記載して送信する。波長を切替えるONUnはGate信号gn_iを受信し、波長λ2への切替指示が記載されていることを確認した後に、図4に記載の波長切替動作を開始する。波長切替時間はONUに用いる波長可変部品の性能に依存するが、最大でもT_lmax以内と規定されていることとする。
【0062】
OLT91はONUnに対して波長をλ1からλ2へ切替えることを指示した後は、Gate信号の送信およびReport信号受信をLC1からLC2へ引き渡す。LC2へ引き渡された後、LC2はONUnからのReport信号を受信できるまでDBA周期毎に、ONUnからのReport信号の送信タイミングを計算し、その指示を記載したGate信号をONUnに送信することを繰り返す。図5においてLC2からgate信号gn_i+1が送信されるが、ONUnは波長切替中であり、当該Gate信号は受信されない。一方、ONUnからの波長切替完了報告を受信するまでは、上り信号の送信時刻および送信継続時間はDBAの計算には繰り入れなくてもよい。なぜなら、その時点ではONUnはλ2で送受信が不可能であり、上り信号の帯域をその他のLC2に所属する別のONUの帯域として活用することができるからである。また、ONUnからの波長切替完了報告は、例えばReport信号に波長完了情報を記載することが一般的に考えられるが、その他に、切替完了後にONUnから送信されるReport信号による帯域要求をLC2が受信することをもって波長完了報告とみなすこともできる。
【0063】
ONUnの波長切替えが完了すると、ONUnはλ2での送受信が可能になる。図5においてはGate信号gn_i+2は受信することができる。ONUnはそのGate信号に記載されているReport信号の送信時刻および送信継続時間にしたがって、λ2でReport信号repn_i+3を送信する。その際はDBA計算と同様に、ONUnの要求帯域計算部26及び要求帯域信号生成部27と用いて上り信号送信許可の要求をrepn_i+3に記載する。OLTはλ2でのReport信号repn_i+3の受信を以てONUnの波長切替が完了した波長切替完了報告とみなし、L2に所属する上り信号のDBA計算にONUnからのReport信号の情報を繰り入れる。そしてその計算結果をGate信号gn_i+3に記載してONUnに送信し、ONUnはそのGate信号に記載の送信時刻および送信継続時間に従って上り信号dn_i+3をOLTへ送信する。
【0064】
以上、本実施形態ではrep1_i〜repn_iの受信から、rep1_i+3〜repn_i+3の受信の直前を1DWA周期とし、波長の切替シーケンスと周期を設定した。本実施形態では1つのONUに対して波長の切替シーケンスを例示したが、T_dba_iの割当て計算負荷が低い、または動的波長帯域割当回路の計算能力が十分高い場合は、DWA周期内で複数のONUの波長を同時に変更することも可能である。
【0065】
また、波長の切替えの計算タイミングは必ずしもT_dba_iとは限らない。DWA周期T_dwaの先頭のT_dba周期におけるGate信号を送出後、次のDWA周期T_dwaの先頭のT_dba周期の計算時間T_calcまでの間にどのONUの波長を切替えるかを決定すればよい。ただし、波長を切替えないONUに対しては各DBA周期におけるT_calc内で帯域割当計算を実施する必要がある。
【0066】
本実施形態によって、従来技術に比べ、以下の効果が期待できる。
本実施形態では、波長可変型WDM/TDM−PONシステムの波長可変部品が波長切替に時間を要する場合でもONUの上り信号を動的に波長と帯域の割当を効率的に実現するために、そのすべての計算をDBA周期毎に都度行わず、OLTが上り信号を送出する時刻、時間を計算し、指示することでONUが上り信号を送信するDBA周期と、OLTが波長切替を指示し、ONUが波長を切替えて別のLCへ新しく上り信号の送信許可要求を行うDWA周期を分けている。また、ONUが波長を切替えている間は、波長を切替えないONUでDBAを複数周期実施することを可能とし、波長を切替えるONUは、波長切替後に波長切替を確認してから切替後の波長でのDBA動作を行う。この構成により、波長切替時間がDBA周期よりも長い部品をONUに用いた場合において、固定周期の動的波長帯域割当方法を用いたとしても、帯域割当周期が長くなることによる遅延の増大を抑制することができる。
【0067】
また、波長切替中においても、波長切替を行わないONUはDBA動作を継続する。これにより、あるONUが波長切替中であっても、波長を切替えないONUについては、複数リクエスト方式等の既存のDBA方式を用いて、帯域利用効率の高いかつ遅延を抑制した上り信号送信が継続できる。
【0068】
また、波長切替を行うONUは、波長切替後に波長切替手順の完了およびその正当性を、従来のDBA動作であるGate信号、Report信号の交換で確認することができる。これにより、波長の切替に関する確認行為を既存TDM−PONの動的帯域割当における制御フレーム送受信で行うため、波長切替の確認を行うための新しい手順を追加する必要がなく、効率的である。
【0069】
さらに、実装の簡易性のために、T_lmaxの最大値を定め、DWA周期をDBA周期の複数倍とすると本実施形態では説明したが、DWA周期がDBA周期の複数倍であること以外は、DWA周期に対する限定、固定化を行わなくてもDWA動作は実施可能である。したがって、波長切替時間が異なるONUが混在している場合でも、ONUの波長切替時間を正確に規定して動的波長帯域割当て周期を仕様として厳密に統一化する必要がない。すなわち、ONUに用いられる波長可変にかかわる部品の選択肢が広がり、ONUの技術革新と経済化が期待できる。さらに、波長切替を行うONUに対しては、波長切替中に上り信号の送信開始時刻、送信継続時間を指示しない。したがって、ONUのバッファメモリが波長切替時間以上蓄積できる十分な容量を有する場合は、そのバッファメモリに上り信号を蓄積することで、波長切替動作による上り信号のフレーム損を回避することができる。
【0070】
なお、本願明細書においては、理解の容易のため、DBAのi番目の周期の時間が固定値である場合について説明したが、本願発明はこれに限定されない。DBAのi番目の周期の時間が変動する場合であっても、図5におけるT_lmaxがT_dba_iより大きくなるという課題は生じる。本願発明は、そのような場合においても複数DBA周期を跨って波長切替を行うことで、当該課題を解決することができる。すなわち、T_dwa_kを複数DBA周期以上でT_lmaxより十分長く確保し、波長切替完了報告を受信するに十分な期間を有すれば、図5におけるT_dba_i+1以降のDBA割当周期が変動しても、T_dwa_kすなわちDWA周期が変動しても、本実施形態で提示した手順にて波長切替を完了させることは可能である。
【0071】
(実施形態2)
図6は本発明の第2の実施形態を図5と同様の書式に従って記載したものである。OLTおよびONUの構成は図3図4と同一である。図6における動作の記載方法及び基本的な動作も実施形態1とほぼ同様である。本実施形態においても計算の結果ONUnの波長をλ1からλ2へ変更し、LC2へ所属するよう変更する例として記載する。
【0072】
本実施形態の実施形態1との差分は、DWA周期T_dwa_k、DBA周期T_dba_iにおける、波長を切替える場合のONUnに対するDBA計算、Gate信号gn_iに記載の情報、およびONUnの動作である。
【0073】
DBA周期T_dba_iで受信したReport信号により、ONUnの波長をλ1からλ2へ変更すると計算した動的波長帯域割当回路12は、その周期における上り信号の送信をONUnを最優先することとする。具体的にはONUnの上り信号dn_iをDBA周期T_dba_i+1において最初の上り信号受信となるようにスケジューリングを行う。
【0074】
Gate信号gn_iには、波長λ2へ切替える指示とともに、上り信号dn_iの送信時刻、送信時間が含まれて、ONUnへ送信される。波長を切替えるONUnはGate信号gn_iを受信し、波長λ2への切替指示が記載されていることを確認し、上り信号dn_iをλ1で送信した後に、図4に記載の波長切替動作を開始する。
【0075】
実施形態における従来技術に比較しての動作は、第1の実施形態と同様である。加えて本実施形態は以下の効果が期待できる。
第1の実施形態においては、ONUnが帯域を要求するReport信号repn_iを送信してから、実際にデータが送信される上り信号はdn_i+3となる。すなわち、repn_i−1からrepn_iまでに蓄積されたデータは、最悪の場合1DWA周期以上待たされることになり、遅延が増大する。
【0076】
本実施形態では、Report信号repn_iに対する上り信号を先に送信してから波長を切替える動作を行うため、repn_i−1からrepn_iまでに蓄積されたデータをDBA周期T_dba_i+1に送信することが可能であり、波長切替によって生じる遅延の増加を軽減させるという効果がある。
【0077】
なお、実施形態1、2において、光ファイバを用いたアクセス方式として、PONトポロジの上り信号の帯域割当てを、波長および時間に振り分けて送信する手法について記載した。しかし、本発明の適用は同様の形態である無線通信にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかる動的波長帯域割り当て方式、回路、プログラムおよびそれを記録した記録媒体は、波長可変型WDM/TDM−PONにおいて、帯域割当による平均遅延増大の抑制と、ONUのコスト低減のための、複数の波長の総帯域を各ONUへ有効に割り当て可能とする動的波長帯域割当て方法を提供できる。
【符号の説明】
【0079】
11:LC
12:動的波長帯域割当回路
21:データ受信部
22:バッファメモリ
23:フレーム送出制御部
24:フレーム組立送信部
25:波長可変光送受信器
26:要求帯域計算部
27:要求帯域信号生成部
28:フレーム送出及び波長制御信号受信部
29:波長切替制御部
31:要求信号受信部
32:DWBA計算部
33:切替指示信号生成部
34:制御信号送信部
91:OLT
92:ONU
93:光合分岐回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6