特許第5835807号(P5835807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5835807
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】光デバイスの周波数測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   G01M11/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-150709(P2012-150709)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-13191(P2014-13191A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2014年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】福島 誠治
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−020637(JP,A)
【文献】 特開平03−206935(JP,A)
【文献】 特開平03−110438(JP,A)
【文献】 特開2004−108924(JP,A)
【文献】 特開平08−271560(JP,A)
【文献】 特開平06−180267(JP,A)
【文献】 特開昭61−269037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00−11/08
G01J 1/42
G02F 1/13
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準発振器と、
前記基準発振器と同期して発振する第1および第2の周波数コム発生器と、
前記第1の周波数コム発生器からの出力信号が入力される、被測定光デバイスと
前記被測定光デバイスの出力信号及び前記第2の周波数コム発生器の出力信号を入力し、その差周波成分を出力する周波数変換器と、
前記周波数変換器の出力から所望の周波数成分のみを取り出す可変バンドパスフィルタと、
前記可変バンドパスフィルタの出力を検波する検出器と、
前記検出器の出力信号を表示し、記録する出力装置と
を備えたことを特徴とする光デバイスの周波数特性測定装置。
【請求項2】
基準発振器と、
前記基準発振器と同期して発振する第1および第2の周波数コム発生器と、
前記第1の周波数コム発生器からの出力信号が入力される、被測定光デバイスと
前記被測定光デバイスの出力信号及び前記第2の周波数コム発生器の出力信号を入力し、その差周波成分を出力する周波数変換器と、
前記周波数変換器の出力をスペクトルとして表示するスペクトラム・アナライザと
を備えたことを特徴とする光デバイスの周波数特性測定装置。
【請求項3】
前記第1の周波数コム発生器と、前記被測定光デバイスとの間に接続された、光送信器をさらに備える請求項1または2に記載の光デバイスの周波数特性測定装置。
【請求項4】
前記被測定光デバイスと、前記周波数変換器の間に接続された、光受信器をさらに備える請求項1または2に記載の光デバイスの周波数特性測定装置。
【請求項5】
前記光送信器は、モノリシック集積レーザ・電界吸収型光変調器であることを特徴とする請求項に記載の光デバイスの周波数特性測定装置。
【請求項6】
前記光送信器は、印加電圧対透過率特性において変曲点に電圧バイアスされたモノリシック集積レーザ・電界吸収型光変調器であることを特徴とする請求項に記載の光デバイスの周波数特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信、オーディオ、計測、記録、照明などの分野で用いられる光デバイスの周波数測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光送信器、光受信器、光伝送媒体などの光デバイスの周波数特性は、一般に光コンポーネント・アナライザを用いて計測されている(例えば特許文献1)。
【0003】
図1に光コンポーネント・アナライザの典型的な従来の例を示す。図1の光コンポーネント・アナライザは、スイーパ101、光送信器102、伝送媒体103、光受信器104、検出器105、およびディスプレイ106から構成される。
【0004】
スイーパ101は可変周波数の発振器(シンセサイザ)であり、測定範囲の最低周波数から最高周波数までの間を周波数掃引する。光デバイスの周波数特性測定にあっては、光送信器、伝送媒体、光受信器のいずれかが、測定対象(被測定デバイス)となる。図1では、特に測定対象を定めていないが、以下の説明では光受信器104を測定対象とする。
【0005】
スイーパ101から出射された高周波信号は、光送信器102において光搬送波上にサブキャリア多重化される。光送信器102から出射された光は、伝送媒体103を経て、光受信器104に入射する。測定対象である光受信器104で伝送された光は光電変換され、次段の検出器105にて振幅成分と位相成分が計測される。検出器105にもスイーパ101の信号は入力され、検出器のリファレンスとして使用される。検出器105で測定された振幅と位相は、横軸が周波数であるスペクトルとしてディスプレイ106に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5041997号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の光コンポーネント・アナライザは測定器としての完成度は非常に高い。しかしながら、すべての部品が測定対象の最低周波数から最高周波数の全域において、良好な特性を有していなければならないため、測定器は非常に高価である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、光デバイスの周波数特性測定装置であって、基準発振器と、基準発振器と同期して発振する第1および第2の周波数コム発生器と、第1の周波数コム発生器からの出力信号が入力される、被測定光デバイスと、被測定光デバイスの出力信号及び第2の周波数コム発生器の出力信号を入力し、その差周波成分を出力する周波数変換器と、周波数変換器の出力から所望の周波数成分のみを取り出す可変バンドパスフィルタと、可変バンドパスフィルタの出力を検波する検出器と、検出器の出力信号を表示し、記録する出力装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、光デバイスの周波数特性測定装置であって、基準発振器と、基準発振器と同期して発振する第1および第2の周波数コム発生器と、第1の周波数コム発生器からの出力信号が入力され、被測定光デバイスと、被測定光デバイスの出力信号及び第2の周波数コム発生器の出力信号を入力し、その差周波成分を出力する周波数変換器と、周波数変換器の出力をスペクトルとして表示するスペクトラム・アナライザとを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の態様は1または2に記載の光デバイスの周波数特性測定装置であって、第1の周波数コム発生器と、被測定光デバイスとの間に接続された、光送信器をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の態様は1または2に記載の光デバイスの周波数特性測定装置であって、被測定光デバイスと、周波数変換器の間に接続された、光受信器をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来例の中で高コスト要因となっているスイーパを周波数コム発生器に置き換えるため、測定器全体を非常に低コスト化できる。
【0013】
本周波数測定装置は、光通信で使用される光デバイス、光モジュール、光トランシーバの研究開発・検査の現場での測定環境として使用しうる。比較的周波数が低い、オーディオ用光ファイバリンク、赤外線リモコン、可視光光通信の機器類の検査においても、低コストでありながら、十分な機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の周波数測定装置の構成を示す図である。
図2】本発明の周波数測定装置の原理を示す図である。
図3】本発明の実施例1にかかる周波数測定装置の構成を示す図である。
図4】本発明の実施例2にかかる周波数測定装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
図2を用いて、本発明の実施例1を説明する。図2は、本発明の実施例1にかかる周波数測定装置の構成を示す図である。図2の周波数測定装置は、基準発信機1a、周波数コム発生器2a、2b、光送信器3a、伝送媒体4a、光受信機5a、周波数変換器6a、可変バンドパスフィルタ7、検出器8から構成される。基準発信器は例えば10MHzの高精度発信器であり、周波数コム2a、2bを同期して動かすために使用される。光送信器3a、伝送媒体4a、光受信器5aのいずれかが被測定デバイスとなるが、実施例1では、光送信器3aを被測定デバイスとし、光送信器3aとして直接変調レーザダイオードを用いた。伝送媒体4aは、光送信器3aと光受信器5aを接続することだけを目的とし、2m長のシングルモード光ファイバを用いた。光受信器5aは、PIN−PDとプリアンプから構成され10GHz帯域の光受信器である。
【0016】
ここで、図3を参照し、本発明の原理を説明する。図3(a)、(b)はそれぞれ周波数コム発生器2a、2bの出力スペクトル、図3(c)は本発明の周波数測定装置の被測定デバイスと周波数変換器を示す図、図3(d)は本発明で周波数が圧縮される様子を描いた図、図3(e)は本発明における測定結果例である。図3(a)、(b)に示されるように、周波数コム発生器2a、2bはそれぞれf=k・Δf、g=k・Δg(kは整数、f、gは周波数、Δf、Δgは周波数間隔であり、Δf、Δgは互いに近接している)の多数の周波数成分の高周波信号を出力する。周波数コム発生器としては、例えばパルス発生器などを利用することができる。本発明では、これらの周波数コムが干渉して差周波成分を検出すれば、測定結果の周波数成分がダウン・コンバートされることを利用する。
【0017】
図3(c)に周波数測定装置の被測定デバイスと周波数変換器をしめす。周波数測定装置の被測定デバイスと周波数変換器は、差周波検出に関わる部分である。周波数コム発生器2aの信号は被測定デバイスを経由して周波数変換器へと入力される。周波数コム発生器2bの信号は直接周波数変換器へと入力される。周波数変換器においては、周波数コムの各成分ごとに和周波成分や差周波成分が生成されるが、本発明では差周波成分にのみ着目する。例えば、k=1の場合には、ΔfとΔgの周波数成分の差周波成分である周波数Δf−Δgに信号がダウン・コンバートして現れる。出力周波数は元の周波数Δfの(Δf−Δg)/Δf倍であり、出力信号の周波数を元の信号の周波数と比較して大きく低減することができる。図3(d)は本発明で周波数が圧縮される様子を描いたスペクトル図であり、周波数間隔がΔf−Δgの櫛状のスペクトルが得られる。f=10.0GHz、g=10.1GHzのとき、差周波成分は0.1GHzであり、元の周波数f=10.0GHzの1/100倍である。これが本発明のポイントであり、周波数測定装置は、測定周波数の上限の特性をもつ必要はない。
【0018】
次に、何らかの周波数特性を有する被測定デバイスを通過した信号は、周波数コム発生器のfのスペクトルではなく、被測定デバイスの周波数特性を反映させたものとなる。これを図示したのは、図3(e)である。図3(e)に示す実際の特性とは、従来の周波数測定装置における、被測定デバイスを通過した信号であり、本発明による表示とは、本発明の周波数測定装置における、被測定デバイスを通過した信号である。図3(e)に示す本発明による表示は、櫛状のスペクトルであり、この櫛状のスペクトルの包括線(図3(e)の破線に相当する)が、図3(e)に示す実際の特性のスペクトルの周波数を(Δf−Δg)/Δf倍にしたスペクトルに相当する。被測定デバイスの周波数特性は上記の関係をもって、低い周波数帯にダウン・コンバートされて出力される。
【0019】
図3においては強度が周波数依存しないコム発生器を前提にして説明を行ったが、実在する周波数依存するコム発生器を用いた場合であっても、周波数特性が既知であるデバイスによる較正によって、正しい測定結果を得ることができる。
【0020】
図2を再び参照する。周波数コム発生器2a、2bの周波数間隔をそれぞれΔf=500MHz、Δg=505MHzとし、測定の範囲を1〜10GHzとする。周波数コム発生器2a、2bからは、それぞれ500MHz〜10GHz、505MHz〜10.1GHzの信号が同時に出力される。
【0021】
周波数コム発生器2aの出力信号は、被測定デバイスである光送信器3a、周波数特性に影響を与えない短いシングルモード光ファイバ、較正された光受信器5aを経て、周波数変換器6aへと入力される。一方、周波数コム発生器2bの出力信号は直接周波数変換器6aに入力される。
【0022】
可変バンドパスフィルタ7は多数の周波数コムの中からkが同じ値である1対だけを選択的に通過させる通過中心周波数可変で、例えば通過帯域幅3MHzのフィルタである。本発明の周波数特性装置では同時に複数の周波数コムが出力されるため、可変バンドパスフィルタの通過中心周波数を掃引することで各周波数における出力を計測する。検出器8は、可変バンドパスフィルタ7からの信号から振幅情報と位相情報を検出する。位相情報が不要な場合は、全波整流ダイオードなどの簡単な検出器を使用することができる。
【0023】
以上の構成で製作した実施例の周波数特性測定装置で、被測定デバイス(光送信器3a)の周波数特性を良好に測定することができた。すなわち、図3eに示す本発明の表示の櫛状のスペクトルの包括線が、周波数がダウンコンバートされた実際の特性を再現できた。測定範囲は500MHz〜10GHzであるが、出力信号は5〜100MHzにダウン・コンバートされていて、測定系の低コスト化が実現できた。
【0024】
実施例1の装置においては、測定された周波数間隔が500MHzであるため、例えば500MHzと1GHzの間の性能を測定することができない。そこで、基準発振器の発信周波数を掃引することによって、500MHzと1GHzの間(すなわち、全測定周波数範囲)の測定も実施することができた。
【0025】
[実施例2]
図4を用いて、本発明の実施例2を説明する。図4は、本発明の実施例2にかかる周波数測定装置の構成を示す図である。図4の周波数測定装置は、基準発振器1b、周波数コム発生器2c、2d、光送信器3b、伝送媒体4b、光受信器5b、周波数変換器6b、スペクトラム・アナライザ9から構成される。本実施例と実施例1との相違点は、実施例1の周波数測定装置は可変バンドパスフィルタおよび検出器を含むが、実施例2では代わりにスペクトラム・アナライザ9を含む点である。この点に注目して説明を行う。
【0026】
実施例1では周波数全域の出力が一斉に得られるため、測定・表示のためにバンドパスフィルタを用いた。実施例2では、ただちに振幅や位相のスペクトルが得られるようにスペクトラム・アナライザ9を用いた。これにより、簡単に被測定デバイスの周波数特性を得た。実施例2も良好な周波数特性測定装置として機能した。
【0027】
[実施例3]
実施例3の構成は実施例1あるいは2と同様である。伝送媒体は分散の影響が出ない程度の長さの光ファイバとするが、光受信器は被測定デバイス、光送信器はモノリシック集積レーザ・電界効果型光変調器とする。モノリシック集積レーザ・電界吸収型光変調器のうち、レーザダイオードは自動パワー制御モードにおいて、ほぼ一定の電流値で駆動する。被測定対象でない光送受信器の周波数特性は低周波から高周波まで平坦であり、電圧入力・透過率出力特性(以下、入出力特性)は低歪であることが望まれる。よって、電界吸収型光変調器は入出力特性の変曲点に電圧バイアスし、かつ小振幅で動作させた。
【0028】
実施例3の他の部分の構造、動作は実施例1あるいは2と同様であるため、説明を省略する。実施例3の周波数特性測定装置においては、周波数特性の広さ・平坦性及び入出力特性の低歪性が非常に有効に機能した結果として、広いダイナミックレンジ範囲において光受信器の周波数特性を測定することができた。
【0029】
以上、実施例1から3にて述べたように、本発明の光デバイスの周波数特性装置を用いれば従来の例と比較して、構成要素の多くの部品が測定の最高周波数までの特性を有していなくとも、測定が可能である。低コストにて光デバイスの周波数特性測定装置を製作することができた。
【符号の説明】
【0030】
101 スイーパ
102、3a、3b 光送信器
103、4a、4b 伝送媒体
104、5a、5b 光受信器
105、8 検出器
106 ディスプレイ
1a、1b 基準発信器
2a、2b、2c、2d 周波数コム発生器
6a、6b 周波数変換器
7 可変バンドパスフィルタ
9 スペクトラム・アナライザ
図1
図2
図3
図4