【文献】
小倉 栄治,開発に生かす業務知識,日経SYSTEMS,日本,日経BP社,2008年 1月26日,第178号,P136-P140
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報受信者の属性に関する任意のターゲット条件の指定入力に従って、前記ターゲット条件に合う情報受信者を前記情報受信者群なるターゲット集団として抽出する請求項1または2記載の影響力推定方法。
前記影響力の推定結果に基づいて特定の情報発信者によるプロモーションを実行するとき、前記プロモーション実行後の前記情報受信者の行動ログを用いて、実際に特定の行動があった情報受信者の属性、興味を示す特徴について、その特徴に合致する情報受信者群の、行動を起こした人がどの程度多かったかを示す行動傾向を算出し、さらに、前記特徴に合致する情報受信者群を特徴毎に取得し、算出した行動傾向を踏まえて、影響力を推定する請求項5記載の影響力推定方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながらこの発明に係る実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用される企業のマーケティングについて説明する概念図である。
企業では、より少ない投資でプロモーションを実施して情報受信者のアクション(例えば、購入する、情報を開封する)を誘導する、すなわち、企業利益に繋がる情報受信者アクションの発生率を上げることが重要である。また、顧客の新規開拓を行う際に、ターゲットを選んだ場合に、そのターゲットに効果のある(アクションに繋がる)プロモーションを実施することが重要である。そして、プロモーションに際して、アクションが起こりそうなターゲットを選定し(ターゲティング)、ターゲットに対して、効率的なプロモーション方法を決定する、という方法が取られる。
【0018】
例えば、化粧品会社では、利益を上げるため、効率的な(消費者に対して効果のある)プロモーションを実施し、多くのユーザに商品を購入してもらいたい。そこで、ターゲティングとして、例えば、消費者の中から、自社ブランドに興味があり、化粧品を売る対象として適していると推定される、30代女性を選びターゲットとする。そして、お笑い芸人、タレント、カリスマモデル、ブロガー(ブログ掲示)など、多種の人や集団の中から、ターゲットに効果のある(アクションに繋がる)と想定される人や集団を選択してプロモーションを実施し、ターゲットのアクション(例えば、購入する、情報を開封する)を促す、といった手法がとられる。
【0019】
ここで、上記のような従来の手法には、以下のような課題がある。
(1)プロモーションにおいて、近年、ソーシャルメディアが普及するなど、情報の流通方法が多様化していることや、情報受信者の嗜好が多様化していることから、単に経験則では、影響のある人または集団を特定することは極めて困難になってきている。
【0020】
(2)また、プロモーションを行う対象であるターゲットを選定するにあたり、近年、消費者(情報受信者)の嗜好やライフスタイルは多様化しているため、従来の、性別、年代といったデモグラフィック属性を用いた分類では、十分に効果があるターゲットを限定できているとは限らない。したがって、細分化したターゲットの選定を行うことも同時に重要であると考える。
【0021】
(3)一方、消費者(情報受信者)のアクションは、企業が当初想定してターゲットにした集団以外の消費者(情報受信者)についても生じる。したがって、例えば、化粧品や洋服といった、同じ消費者によるリピート、あるいは、同様の他消費者によるリピートが起こりえる商品については、逐次的にターゲットを見直し、再構成されたターゲットに対して影響のある人または集団を見直す必要がある。すなわち、実際にアクションが生じた消費者群を考慮してプロモーション方法を逐次見直す必要がある。
【0022】
そこで、本発明では、人間体系1(情報受信者を階層構造でまとめたもの)、情報受信者の興味に関するスコア(興味スコア)、情報受信者の影響度に関するスコア(影響度スコア)を利用して、上記の課題を解決する。
なお、影響度スコアは、情報受信者毎に、人間体系2の構造を持ち、各ノードについてスコアを持っている、または、情報受信者毎に、人間体系2の構造を持ち、かつその下に概念構造が紐づいており、各ノードについてスコアを持っている。ここでの人間体系2は情報発信者を階層構造でまとめたものである。ただし、例えば同一のコミュニティ内で、ユーザが情報発信者にも情報受信者にも成りえる場合には、人間体系2と、人間体系1(情報受信者を階層構造でまとめたもの)は、同一の場合もある。一方で、マスメディアなどにより有名人からの影響度を推定する際にもつ人間体系2(情報発信者を階層構造でまとめたもの)は、人間体系1(情報受信者を階層構造でまとめたもの)と異なる場合もある。
【0023】
課題(1)を解決する手段
(方法1)影響力推定方法
[個人の影響力推定]
まず、情報受信者が個人の情報発信者(すなわち、人間体系2の最下層に位置するノード名)から受ける影響の度合い(影響度)を算出し、影響度スコアとしてノードに値を持たせる。この影響度スコアを使用して、ある個人の情報発信者が集団(情報受信者群)に対して与える影響の度合い(以後、影響力スコアとする)を推定する。
【0024】
(方法1−1)
図2を参照して、影響力推定方法1−1について説明する。
図2(a)は、各情報受信者の、ある一人の情報発信者(例えばAさん)に関する影響度スコアを示し、
図2(b)は各情報受信者の影響度スコアを確率的に統合し、ある一人の情報発信者(例えばAさん)の影響力スコアを算出した一例を示している。
図2(a)は、人に関する影響度スコアを示しているが、各人のある概念・ジャンルに対する影響度スコアを用いても良い。
【0025】
例として、サービス利用者(=情報受信者)全てをターゲットとした場合の、情報発信者(Aさん)の影響力スコアを算出する場合を説明する。
各情報受信者の、Aさんに関する影響度スコアを用いて、(1)式を用いて影響力スコアを算出する。(1)式により、全情報受信者の影響度スコアを統合し、影響力スコアが算出される。
【0026】
【数1】
(方法1−1’)
各情報受信者の、Aさんに関する影響度スコアを用いて、(1)’式を用いて影響力スコアを算出する。(1)’式により、各情報受信者の情報閲覧回数を考慮した全情報受信者の影響力スコアが算出される。
ただし、影響度スコアについて、「Aさんに関する影響度スコア」といった人に対する影響度以外に、「Aさんの特定ジャンル(化粧品)に関する影響度スコア」といったような特定の概念に関わる影響度スコアを用いてもよい。以下の方法でも同様である。
【0027】
【数2】
[集団の影響力推定]
まず、情報受信者が集団の情報発信者(すなわち、人間体系2の最下層以外に位置するノード名)から受ける影響の度合い(影響度)を算出し、影響度スコアとしてノードに値を持たせる。この影響度スコアを使用して、ある集団の情報発信者が情報受信者群に対して与える影響の度合い(影響力スコア)を推定する。
【0028】
(方法1−2)
図3を参照して、影響力推定方法1−2について説明する。ここでは、集団の情報発信者が情報受信者群に与える影響の度合い、すなわち影響力スコアの算出の具体的な方法を述べる。
図3(a)は人間体系2、
図3(b)は各情報受信者の影響度スコア、
図3(c)は各情報受信者の影響度スコアを確率的に統合し、ある集団の情報発信者(例えば部長群)の影響力スコアを算出した一例を示している。
【0029】
例として、サービス利用者(情報受信者)全てをターゲットとした場合の、集団の情報発信者(本例では、部長群)の影響力スコアを算出する場合について説明する。
各情報受信者の部長群に関する影響度スコアを用いて、(1)式を用いて影響力スコアを算出する。(1)式により、全情報受信者の影響度スコアを統合することで、影響力スコアが算出される。
【0030】
(方法1−2’)
各情報受信者の部長群に関する影響度スコアを用いて、(1)’式を用いて影響力スコアを算出する。(1)’式により、各情報受信者の情報閲覧回数を考慮した、全情報受信者の影響力スコアが、算出される。
【0031】
課題(2)を解決する手段
(方法2)ターゲット集団選定方法
情報受信者の属性(性別、年代、居住地域、職業など)は既知とし、例えば、人間体系1で表わす。人間体系を用いない方法としては、例えば、属性を検索条件としてターゲット集団を選定する方法がある。
(方法2−1)
図4を参照して、ターゲット集団選定方法2−1について説明する。
図4(a)は処理の流れを示し、
図4(b)はこの方法で利用する人間体系1を示している。ここでは、サービス提供者が情報受信者属性に関する任意のターゲット条件(例えば、
図4(a)の“東京都に在住の営業職女性”)を入力することにより、システムは、
図4(b)に示す人間体系1に基づき、所有している情報受信者の属性を使用し、入力された条件に合う情報受信者を抽出し、ターゲット集団とする。
【0032】
(方法2−2)
図5を参照して、ターゲット集団選定方法2−2について説明する。
図5(a)は処理の流れを示し、
図5(b)はこの方法で利用する情報受信者の興味スコアを示している。ここでは、情報受信者の情報選択履歴を利用して興味スコアを算出しておく。そして、この興味スコアを使用してターゲット集団を抽出する。方法としては、サービス提供者が情報受信者の興味情報に関する任意のターゲット条件(例えば“化粧品情報に興味がある”)を入力することにより、システムは、所有している
図5(b)に示す情報受信者の興味スコアを使用し、入力された条件に合う情報受信者を抽出し、ターゲット集団とする。
【0033】
(方法2−3)
図6を参照して、ターゲット集団選定方法2−3について説明する。
図6(a)は処理の流れを示し、
図6(b),(c)はそれぞれこの方法で利用する人間体系1と情報受信者の興味スコアを示している。
サービス提供者が任意のターゲット条件(例えば、“東京都在住の営業職の女性で、化粧品情報に興味のある人”)を入力することにより、システムは、所有している情報受信者属性、情報受信者の興味スコアを使用し、入力された条件に合う情報受信者を抽出し、ターゲット集団とする。
【0034】
(方法3−1)
図7、
図8を参照して、課題(1),(2)を解決するための方法1と方法2の両方を合わせ持つ方法3−1、方法3−2について説明する。
図7、
図8は、それぞれ検索機能を有し、情報発信者(影響元)のスコアを推定し、スコアの高い情報発信者(影響元)を通知するシステムを示している。
【0035】
図7において、(a)はサービス提供者が任意のターゲティング集団を決定(例えば20〜40代の女性)した様子、(b)は影響力スコアを推定した様子、(c)は影響力スコアを比較して影響力のある人を返答する様子を示している。
図8において、(a)はサービス提供者がターゲティング集団を情報受信者の興味に基づいて決定(例えば化粧品への興味が高い情報受信者、鉄道好きな情報受信者等)した様子、(b)は条件の受け取りにおいて興味推定結果を利用してターゲット集団を選定(例えば概念「化粧品」に対する興味スコアが1.0以上のユーザ)した様子、(c)は影響度スコアを統合・比較して影響力のある人を返答する様子を示している。
【0036】
このような検索機能付き影響力推定では、まず、方法2によってターゲット集団を抽出する。そして、抽出されたターゲット集団について、上記の方法1−1、1−1’、1−2、1−2’のいずれかの影響力推定の方法を用いて、影響力スコアを算出する。求められた複数の影響力スコアを比較し、比較結果をサービス提供者へ返却する。
【0037】
課題(3)を解決する手段
(方法4)フィードバック
(方法3)によって選定されたターゲット集団と算出された影響力スコアが高い人または集団について、逐次見直しを行う。
(方法4−1)
図9を参照して、課題(3)を解決する方法4−1について説明する。
【0038】
選定されたターゲット集団と算出された影響力スコアが高い人または集団の見直しにあたり、サービス提供者がプロモーションを行った後の、情報受信者の対象情報の選択履歴、対象商品購入履歴、または、対象メールマガジンなどの開封履歴などの行動ログを用いて、実際に行動が生じた情報受信者を抽出する。抽出した集団を新ターゲット集団とする。そして、新ターゲット集団に対して再度(方法3)を適用し、影響力のある人または集団を求める。この流れを繰り返す。
【0039】
具体的には、
図9に示すように、例えば化粧品に興味のあるターゲット集団を抽出した後(ターゲティング)、影響力を計算した結果、例えばアイドル“あっちゃん”がブログでの影響力が大という結果が得られたとき、化粧品プロモーションでアイドル“あっちゃん”を起用する。このときの対象化粧品の購買ログを収集し、購買行動があったユーザを新ターゲット集団として再ターゲティングを実行し、プロモーションによるアイドル“あっちゃん”の影響力を方法1によって計算し直す。
【0040】
(方法4−2)
図10を参照して、課題(3)を解決する方法4−2について説明する。
選定されたターゲット集団と算出された影響力スコアが高い人または集団の見直しにあたり、サービス提供者がプロモーションを行った後の、情報受信者の対象情報の選択履歴、対象商品購入履歴、または、対象メールマガジンなどの開封履歴などの行動ログを取得する。取得するログは、情報受信者の、例えば商品情報が提示されたといった受動的な行動(サブアクションと呼ぶ)のログと、情報受信者の、例えば商品を購入したといった能動的な行動(アクションと呼ぶ)のログである。この2つのログについて、興味に関する特徴スコア算出の方法を応用する。すなわち、一覧閲覧コンテンツリストを、サブアクションが生じた情報受信者群とし、情報受信者の属性や興味を各コンテンツに紐づくタグ情報とする。そして、詳細閲覧コンテンツリストを、アクションが生じた情報受信者群とし、一覧閲覧コンテンツリストと同様に、情報受信者の属性や興味を各コンテンツに紐づくタグ情報とする。そしてタグ情報について、興味スコアの概念iの特徴スコア算出方法を用いて、スコアを算出する(“ターゲット傾向スコア”とする)。また、一方で、タグ情報として出現した情報(属性や興味など)に該当する情報受信者群を抽出し、情報受信者群ごとに影響力スコアを算出する。そして、計算済のターゲット傾向スコアを、確率の統合時の重みとして利用し、計算済の影響力スコアを統合して影響力スコア(Unified I)を(2)式により算出する。
【0041】
【数3】
(実施例)
以上述べた(方法1)〜(方法4)を包含する情報処理システムの構成について説明する。
図11は本発明に係る実施例の情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。このシステムは、クライアント端末400と、コンテンツサーバ500と、興味分析装置100と、影響度分析装置200と、コンテンツスコアリング装置300と、影響力分析装置700と、ターゲット集団選定装置800と、ターゲット集団更新装置900と、サービス提供者からの解析依頼を受け付ける解析依頼装置1100と、人間体系1データベース1200と、情報受信者行動ログデータベース1300を備える。
【0042】
クライアント端末400とコンテンツサーバ500との間は通信ネットワークを介して接続される。また、コンテンツサーバ500と、興味分析装置100と、影響度分析装置200と、コンテンツスコアリング装置300と、影響力推定装置700と、ターゲット集団選定装置800と、ターゲット集団更新装置900、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、情報受信者行動ログデータベース1300の相互間も、通信ネットワークを介して接続される。
【0043】
ユーザは、クライアント端末400において閲覧操作を行うことにより、所望のコンテンツをコンテンツサーバ500から所得し、取得したコンテンツをクライアント端末400の画面に提示して閲覧する。
クライアント端末400は、ユーザ操作によるコンテンツ閲覧履歴を収集し、複数のコンテンツを一覧として閲覧した一覧閲覧コンテンツリスト(第1のコンテンツリスト)と、コンテンツ一覧からコンテンツの本体を閲覧した詳細閲覧コンテンツリスト(第2のコンテンツリスト)をコンテンツサーバ500に送信する機能を有する。
【0044】
コンテンツサーバ500は、この一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストを、通信ネットワークを介して興味分析装置100及び影響度分析装置200に転送する機能を有する。
興味分析装置100は、上記一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストをもとに、コンテンツに出現する各概念に対する興味の特徴スコア及び興味スコアを算出し、ユーザの興味を推定する機能を有する。
ただし、興味分析装置100は、下記で説明する興味スコア算出方法以外、例えばその他の内容ベースフィルタリング手法(Content Based Filtering:CBF)を用いて概念体系/興味スコアデータベースを更新するものでもよい。すなわち、一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストをもとにした興味の推定方法以外でもよい。
【0045】
影響度分析装置200は、上記一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストをもとに、他ユーザ(個人或いは集団)に対する影響度の特徴スコア及び影響度スコアを算出し、当該ユーザへの他ユーザ(個人或いは集団)からの影響度を推定する機能を有する。
【0046】
ただし、影響度分析装置200は、下記で説明する影響度スコア算出方法以外、例えばその他の内容ベースフィルタリング手法(Content Based Filtering:CBF)を用いて影響度スコアデータベースを更新するものでもよい。すなわち、一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストをもとにした影響度の推定方法以外でもよい。
【0047】
上記クライアント端末400、コンテンツサーバ500、興味分析装置100、影響度分析装置200、コンテンツスコアリング装置300、影響力推定装置700、ターゲット集団選定装置800、ターゲット集団更新装置900、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、情報受信者行動ログデータベース1300の構成を、以下に詳しく説明する。
【0048】
図12は上記クライアント端末400、コンテンツサーバ500、興味分析装置100、影響度分析装置200、コンテンツスコアリング装置300の機能構成を示すブロック図である。
なお、
図12における各装置はCPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムメモリに予め格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより、上記した各機能を実現する。
【0049】
興味分析装置100は、履歴情報受信部110と、興味の特徴スコア算出部120と、興味概念体系更新処理部130と、概念体系/興味スコアデータベース140とを備える。概念体系/興味スコアデータベース140は、ルート概念ノードIDと、概念体系テーブルと、興味スコアテーブルを記憶する。ルート概念ノードIDは、概念体系構造において最上位にある概念ノードIDであり、システム内に1つだけ存在する。
【0050】
概念体系テーブルは、自概念ID、親概念IDリスト、及び子概念IDリストを格納する。概念体系内の全ての自概念IDは、親概念ID及び子概念ID(ただし、自概念が最下位の場合には子概念IDはなし)と紐付けて保存されており、これにより概念構造が定義される。
【0051】
興味スコアテーブルは、概念IDとユーザID(クライアント端末ID)に関連付けて、興味スコア(TotalZ)の値、興味スコア更新時に用いるX、Yの値を格納する。興味スコア更新時に用いるX、Y、興味スコア(TotalZ)の定義及び算出方法は後述する。
【0052】
図13は、興味分析装置100の処理の概要を示すものである。
履歴情報受信部110は、クライアント端末400において生成された一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストを、コンテンツサーバ500を介して受信する。一覧閲覧コンテンツリストとは、例えばユーザがコンテンツのタイトルのみを一覧で閲覧したコンテンツのリストである。詳細閲覧コンテンツリストとは、ユーザがコンテンツ本体の内容(詳細)を閲覧したコンテンツのリストである。
図13では、一覧閲覧コンテンツリストにはコンテンツ1〜8が含まれ、詳細閲覧コンテンツリストにはコンテンツ1、3、4が含まれる場合を例示している。また
図13において、斜線パターンで示すコンテンツは、概念Bがコンテンツ1、6、7、8に出現することを示す。
【0053】
興味の特徴スコア算出部120は、一覧閲覧されたコンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストを利用して、概念選択の統計モデルにより各概念の興味の特徴スコアを算出する。
図14(a)に分析パラメータ抽出処理の模式図を示す。例えば、50個(=S)のコンテンツが一覧表示されている中から、ユーザが10個(=a)のコンテンツの詳細を閲覧した場合を示す。ここで、一覧表示されている50個のコンテンツのうち「野球」という概念が含まれている記事が15個(=U)あり、ユーザが閲覧した10個のコンテンツのうち、「野球」という概念が含まれているコンテンツが5個(=b)あったことを示す。
【0054】
興味の特徴スコア算出部120は、上記分析パラメータS,a,U,bを利用して概念ID毎に興味の特徴スコアZを算出する。
図15に興味の特徴スコア算出処理の詳細を示す。
図15において、iは概念の識別子、jはクラスタIDを示す。
ここで、クラスタとは、一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストに一意に付与される識別子である。別の時刻(時間帯)に表示した一覧閲覧コンテンツをユーザが閲覧した場合は、別のクラスタIDが付与される。なお、時刻以外の条件でクラスタIDを新たに付与する条件としては、一覧閲覧コンテンツリスト表示中に一定時間操作が無かった場合や、閲覧するユーザ(ユーザID)を切り替えた場合、一覧閲覧コンテンツリストに対して、コンテンツジャンル等を観点に絞り込み検索を掛けた場合、その他閲覧アプリケーションにおいて閲覧モードを切り替えた場合がある。
【0055】
H1(第1の確率)は、一覧閲覧コンテンツリストに含まれる一覧閲覧コンテンツの総数S、一覧閲覧コンテンツのうち概念iが出現するコンテンツ数Uのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダム選択して閲覧した場合に、概念iが出現するコンテンツの数がb以上となる累積確率である。H2(第2の確率)は、一覧閲覧コンテンツのうち概念iが出現するコンテンツ数Uのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダム選択して閲覧した場合に、概念iが出現するコンテンツの数がb以下となる累積確率である。なお、本実施形態では、累積確率H1及びH2は超幾何分布により求めるが、この手法に限定するものではない。他の分布の例としては、二項分布や正規分布が存在する。
【0056】
図14(b)に、例えば上記の分析パラメータS,a,U,bを用いて、ユーザが閲覧した10個のコンテンツのうち、「野球」という概念が含まれるコンテンツが5以上である確率が、「0.12」であることを示す。ここで、「0.12」は累積確率H1の値に相当する。
【0057】
なお、H2の値を使う例として、上記の分析パラメータでbが0である場合を考える。この場合は、出現数が0以下の場合の確率を算出する。具体的には、
図14(b)において横軸が0の項目の値となるため「0.02」となる。
そして、興味の特徴スコア算出部120は、
図15に示すように、上記算出した累積確率H1及びH2を用いて、標準正規分布の累積分布関数の逆関数により興味の特徴スコアZを算出する。
図14(c)に示すように、上記H1を累積確率とする標準正規分布の累積分布関数の逆関数により特徴スコアZを求める。なお、累積確率としてH2を利用する場合には、標準正規分布の累積分布関数の逆関数の返値の符号を負にして特徴スコアを求める。この特徴スコアZを用いて、後述する興味概念体系更新処理部130は、「野球」という概念に対する興味スコア(TotalZ)を求める。
【0058】
興味の特徴スコア算出部120は、更新対象概念リストを生成し、興味概念体系更新処理部130に出力する。「更新対象概念リスト」とは、概念ID、前記特徴スコア算出部120で算出した興味の特徴スコアZ、及び重みwのセットである。なお、この更新対象概念リストに出現する概念IDが、次の概念体系更新処理で更新対象のノード(概念)となる。上位概念を追加した出現概念リスト内の概念IDすべてについて、特徴スコアZと重みwを算出する。重みwは、各クラスタIDにおいて概念毎に設定される値である。
【0059】
なお、重みwは、初期値w=1とし、ユーザの特徴的な操作等があった場合に、以下のように値を変化させることができる。例えば、ユーザは、クライアント端末400に提示されたコンテンツに対し、お気に入りコンテンツとしての登録や、コンテンツへの評価入力等ができる。クライアント端末400が、このような操作履歴を興味分析装置100に送信できる場合には以下の処理を行う。
【0060】
興味の特徴スコア算出部120は、例えばコンテンツがお気に入りに登録されたとき、当該コンテンツが持つ全ての概念IDについて重みw=1.5のように増加させる。その他にも、コンテンツ閲覧時刻や閲覧時の天気、気温、湿度、季節、曜日、休日、余暇かどうか、閲覧時のユーザ位置情報、スケジューラ、日記等から収集したイベント情報に応じて重みwの値を変えることもできる。
【0061】
興味概念体系更新処理部130は、上記特徴スコアを用いて概念体系における概念間の関係情報(上位概念及び下位概念)に基づいて各概念に対する興味スコアを更新する。概念体系のグラフに含まれるノードは概念を表し、リンクは概念間の関係を表す。興味スコアは、概念体系における各概念に対応するノードの値として保持する。概念体系において、上位に位置するノードほど抽象的な概念を表し、下位に位置するノードほど具体的な概念を表す。概念体系及び概念ID(ノード毎に付与される識別子)は、サービス運用者等が事前に設計し定義するものとする。
【0062】
図16に興味概念体系更新処理部130の処理の詳細を示す。興味概念体系更新処理部130は、コンテンツに出現した概念(出現概念)、及びこの出現概念の上位概念の概念IDについて、
図16に示す各概念iに対する興味スコア更新式を用いて、興味スコアTotalZ
in、及びX
in、Y
inの値を求め、概念体系/興味スコアデータベース140の、対応するユーザID(クライアント端末ID)のカラムに対応する興味スコアテーブルに格納されている各値を更新する。
【0063】
ここで、X
i(n-1)は、各概念ID(ここでは識別子iで表現)に対する、過去の(前回までの)前記更新対象概念リストの重みwの二乗の合計である。Y
i(n-1)は、同様に各概念ID(ここでは識別子iで表現)に対する、過去の前記更新対象概念リストの重みwと特徴スコアZの乗算の合計である。
【0064】
図16において、nは、概念体系更新処理が何度目かを示す識別子である。興味スコアTotalZ
inを求める一連の処理は、クラスタID単位で行われ、この一連の処理が行われる単位を1度と数えるとき、nはこの一連の処理が何度目に行われたものであるかを示す識別子である。iは、概念IDの識別子である。Z
inは、概念iの各更新コンテンツリスト毎のZ値である。なお、上記Z
ijは一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリスト毎のZ値であり、Z
ij∈Z
inの関係である。重みw
inは、概念iの各更新処理に利用する重みである。上記重みwと同じであり、上記興味の特徴スコア算出部120で設定したものと同様である。
【0065】
例えば、w
inは、お気に入り登録、他ユーザとの共有等の閲覧以外の特殊な操作をユーザが行った場合、及びコンテンツ閲覧時間(閲覧開始から終了までの間隔)、コンテンツと概念の関連度合い、コンテンツ閲覧時刻、閲覧時の天気・気温・湿度・季節・曜日・休日・余暇かどうか、閲覧時のユーザ位置情報、スケジューラ・日記等から収集したイベント情報に応じて値を変化させる、その他、サービス利用者、サービス運用者が特に指定した場合にも変化させる。
【0066】
さらに、興味概念体系更新処理部130は、「更新対象概念リスト」の各概念ID(出現概念及び上位概念)の下位概念を抽出し、下位概念のノードを更新する。下位概念の抽出では、「更新対象概念リスト」の各概念IDについて、概念体系/興味スコアデータベース140の概念体系テーブルを参照し、子概念IDリストから概念IDのリストを抽出し、さらに各子概念IDリストの概念IDについて概念体系テーブルを参照して子概念リストを抽出する処理を繰り返す。
【0067】
下位概念の興味度の更新に利用する特徴スコアZは、例えば、隣接した親ノードのうち特徴スコアの絶対値が最も大きい値を利用、最も近い上位ノードの値を利用、親ノードの値を平均、または確率結合した値とする。なお、「更新対象概念リスト」のうち、上記で更新済みの概念(コンテンツに出現した概念、及び上位概念)の興味スコアは更新しない。
【0068】
図12に戻り、説明を続ける。
図12において、クライアント端末400−1、400−2は、履歴収集部410と、履歴情報送信部420と、コンテンツ提示部430と、コンテンツ要求送信部440と、オススメタグ付与部450を備える。
コンテンツ要求送信部440は、ユーザの指示(入力)に応じ、コンテンツサーバ500に対してコンテンツの提示要求を行う。具体的には、例えばクライアント端末ID(もしくはユーザID)及び要求時刻を含むコンテンツ要求データをコンテンツサーバ500に送信する。なお、要求時刻はコンテンツサーバ500において追加するようにしてもよい。クライアント端末ID(もしくはユーザID)は、端末(もしくはユーザ)毎に一意に付与される数字であって、後述する概念体系/興味スコアデータベース140の興味スコアテーブルのユーザIDと一致するIDである。
【0069】
履歴収集部410は、ユーザの操作履歴を収集して一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストを作成する。履歴情報送信部420は、履歴収集部410により作成された一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストをコンテンツサーバ500へ送信する。
興味分析装置100の代わりに影響度分析装置200を用いる場合、“オススメタグ”が用いられる。オススメタグ付与部450は、クライアント端末400−1、400−2のコンテンツ提示部430上に表示されている一覧表示コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツについて、ユーザが他者にコンテンツを推薦したい場合に、ユーザの操作入力によりコンテンツにオススメタグを付与する。コンテンツにオススメタグが付与された旨の情報(お薦め情報)は、オススメタグ入力部570に送信される。
【0070】
他ユーザ、すなわち情報発信者からの影響度の推定のための準備として、ユーザが他ユーザ(個人あるいは集団)からのオススメタグが見られるようにしておく。すなわち、他ユーザは、閲覧した情報を誰かに薦めたい場合に“オススメタグ”を付与できるようにし、この“オススメタグ”が付与されたかどうかは他のユーザから閲覧できるようにしておく。
【0071】
図17に、コンテンツに付与される“オススメタグ”の一例を示す。例えば、Aさんが他ユーザへのオススメ対象として、「情報2」「情報5」にオススメタグを付与すると、AAさんの一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリスト中の「情報2」、「情報5」にそれぞれ“オススメタグ”(Aさんオススメ)が表示される。
【0072】
図12において、コンテンツサーバ500は、コンテンツ送信処理部510と、ソート済みコンテンツリスト受信部520と、コンテンツリスト送信部530と、コンテンツリスト入力部540と、履歴情報転送部550と、コンテンツ要求転送部560を備える。
【0073】
履歴情報転送部550は、クライアント端末400−1、400−2から受信した一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストを、通信ネットワークを介して興味分析装置100及び影響度分析装置200へ転送する。
コンテンツリスト入力部540には、サービス運用者により、ユーザの利用するクライアント端末400−1、400−2に提示するコンテンツの一覧であるコンテンツリストが入力される。コンテンツリスト送信部530は、上記入力されたコンテンツリストをコンテンツスコアリング装置300へ通信ネットワークを介して送信する。
【0074】
コンテンツリストは、コンテンツID、概念ID/関連度リスト、コンテンツ本体、コンテンツ登録時刻を有する。コンテンツIDは、各コンテンツに対してコンテンツサーバ500にて付与される一意のIDである。概念ID/関連度リストは、コンテンツに出現する概念の概念ID及び当該概念とコンテンツと関連性の程度を示す値のセットが格納される。概念ID/関連度リストは、コンテンツ毎に予め設定されており、具体例としては、コンテンツ1(スポーツ記事)には、{“野球”の概念ID=1、関連度=0.5}、{“サッカー”の概念ID=2、関連度=0.8}、{“ゴルフ”の概念ID=3、関連度=0.6}のように、概念IDと関連度のセットが格納される。オススメタグ情報は、コンテンツIDに紐づいて格納される。
【0075】
なお、本実施形態では、他ユーザがオススメタグを付与することではじめて格納される例を述べているが、事前に格納されていてもよい。例えば、ブログのような、情報提示時に情報発信者が決定している場合や、企業がプロモーションのために芸能人を起用して、芸能人が情報発信する場合、情報が提示されることでオススメタグが付与されているとみなす、といった場合が想定される。
【0076】
なお、概念IDは、概念体系/興味スコアデータベース140に格納される値と一致する。関連度は、例えば、0から1までの値とし、大きいほど関連性が強いものとする。関連度は、サービス運用者がコンテンツ登録時に設定する値、若しくは別システムにより算出される値を利用する。
【0077】
ソート済みコンテンツリスト受信部520は、ソート済みコンテンツリスト送信部310からコンテンツリストの一部又は全部をソートしたソート済みコンテンツリストとクライアント端末ID(もしくはユーザID)を受信する。コンテンツ送信処理部510は、ソート済みコンテンツリストをクライアント端末ID(もしくはユーザID)に該当するクライアント端末400−1、400−2に送信する。
【0078】
コンテンツ要求転送部560は、クライアント端末400−1、400−2のコンテンツ要求送信部440から送信されたコンテンツ提示要求であるコンテンツ要求データを、コンテンツ評価処理部320に転送する。
影響度分析装置200は、履歴情報受信部210と、人間体系2データベース220と、影響度の特徴スコア算出部230と、各人・グループに対する影響度の概念体系更新処理部240と、各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250を備える。
履歴情報受信部210は、履歴情報転送部550から一覧閲覧コンテンツリストと詳細閲覧コンテンツリストと、各リストに付与されたオススメタグ情報を取得する。オススメタグの付与された一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストの例を
図18に示す。なお、
図18(a)は詳細閲覧コンテンツリスト、(b)は一覧閲覧コンテンツリストを示している。
【0079】
図18において、例えばAAさんは、クライアント端末400−1において、50個(=S)のコンテンツが一覧表示されている中から、10個(=a)のコンテンツの詳細を閲覧した場合を考える。ここで、一覧表示されている50個のコンテンツのうち、「野球」という概念が含まれているコンテンツが15個(=U)、また、「Aさんオススメ」がついたコンテンツが10個(=M)あり、そのうち「Aさんオススメ」かつ「野球」が含まれるコンテンツが6個(=D)である。そして、ユーザが閲覧した10個のコンテンツのうち、「Aさんオススメ」のついたコンテンツが4個(=m)、「野球」という概念が含まれているコンテンツが5個(=b)、そのうち、「Aさんオススメ」かつ「野球」がついたコンテンツが4個(=d)であるものとする。
【0080】
ユーザが情報を閲覧する際、オススメタグが付与されたコンテンツについて閲覧率が上昇した場合には、ユーザのオススメタグを付与した他ユーザからの影響度は正(+)であるものとみなす。また、オススメタグが付与された情報についての閲覧率が下降した場合には、ユーザのオススメタグを付与した他ユーザからの影響度は負(−)であるものとみなす。また、オススメタグが付与された情報についての閲覧率が変化しなかった場合には、ユーザへのオススメタグを付与した他ユーザからの影響度はないものとみなすことができる。
【0081】
以下、
図18の例における影響度分析処理のいくつかの実施例を説明する。
図19は、第1の実施例に係る影響度分析処理を示す図である。影響度の特徴スコア算出部230は、上記S,a,M,mを分析パラメータとして利用して、AAさんへのAさんからの影響度の特徴スコアZ′を算出する。影響度の特徴スコアZ′は、上記
図15に示した算出式において、U,bをM,mに置き換えることで算出することができる。
【0082】
影響度の特徴スコアZ′を求めるために、まず累積確率H1、H2を求める。H1は、S個の一覧コンテンツのうち「Aさんオススメ」が出現する数がMのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」が出現する詳細閲覧コンテンツがm個以上となる累積確率である。また、H2は、S個の一覧閲覧コンテンツのうち「Aさんオススメ」が出現する数がMのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」が出現する詳細閲覧コンテンツがm個以下となる累積確率である。そして、H1、H2のうち0.5未満の方を採用し、標準正規分布の累積分布関数の逆関数により特徴スコアZ′を求める。なお、累積確率としてH2を利用する場合には、標準正規分布の累積分布関数の逆関数の返値の符号を負にして特徴スコアとする。H1、H2のいずれも0.5以上だった場合には、特徴スコアは0とする。
【0083】
上記の場合(S=50、a=10、M=10、m=4)、H1=0.0966、H2=0.981であり、影響度の特徴スコアはZ′=1.3となる。
かくして「Aさんオススメ」に対する影響度の特徴スコアが算出される。
ここで、各人・グループに対する影響度の概念体系更新処理部240の処理は、興味概念体系更新処理部130において、概念体系の代わりに人間体系を用い、概念の代わりにオススメタグを付与したユーザを用いることで、行われる。計算の結果求められる影響度スコアは、各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250に格納される。
各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250には、興味推定と同様の概念体系を構成する各概念に影響度スコアを持たせておく。
【0084】
そして、第1の実施例の場合、影響度について各概念について同等と見なすため、Aさんの影響度を示す概念体系のルート概念に影響度の特徴スコアを記憶させる。また、一覧コンテンツリストが更新され、ユーザの閲覧履歴も更新された場合には再度、影響度の特徴スコアを算出し、影響度スコアを更新させる。更新には、下記式(3) の影響度スコア更新式を用いる。第1の実施例の場合、概念iはルート概念である。
【0085】
【数4】
なお、式(3) において、重みwは初期値w=1とし、コンテンツに関するユーザの操作履歴(お気に入りコンテンツとしての登録や、コンテンツへの評価入力等)、コンテンツの閲覧時間及び閲覧状況、並びにコンテンツとオススメタグとの関連度の少なくとも1つに応じて変化させることができる。影響度スコアの算出に際し、閲覧時のユーザの状況や閲覧操作の特徴(お気に入り登録、長時間閲覧等)などを反映することで、ユーザの行動や状況に基づいて影響度スコアをさらに的確に求めることが可能となる。
【0086】
また、ルート概念のスコアを子孫にあたる下位概念についても同値で与える。「Aさんオススメ」に関する影響度のスコア更新が終了した後に、同一の一覧閲覧コンテンツに含まれる、Aさん以外の「オススメタグ」を付与した人についても、上記と同様の方法で影響度に関する特徴スコアを算出し、上記式(1) を用いて影響度スコアの更新を行う。
【0087】
すなわち、第1の実施例によれば、ユーザの選択候補となる一覧閲覧コンテンツリストにおける各「オススメタグ」が出現するコンテンツ数(M)と、一覧閲覧コンテンツリストからユーザが選択した詳細閲覧コンテンツリストにおける各「オススメタグ」が出現するコンテンツ数(m)とを算出し、このMおよびmを比較分析することで、各“「オススメタグ」の出現の希少性を考慮し、且つ選択候補のコンテンツに付与されている「オススメタグ」が、比較的に「選ばれる」という事象だけでなく、比較的に「選ばれない」という事象の出現数の特徴を活用することができるため、ユーザの他者からの影響度を高精度に推定することが可能となる。
【0088】
第2の実施例では、AAさんへのAさんからの特定の概念(又は特定のジャンル)毎の影響度を推定する手法を説明する。
図20は、この第2の実施例に係る影響度分析処理を示す図である。影響度の特徴スコア算出部230は、分析パラメータS,a,D,dを利用してAさんに対する影響度の特徴スコアZ′を算出する。この場合の影響度の特徴スコアZ′は、上記
図15に示した算出式において、U,bをD,dに置き換えることで算出することができる。
【0089】
第2の実施例の場合、H1は一覧閲覧コンテンツS個のうち「Aさんオススメ」かつ「野球」が同時についたコンテンツが出現する数がDのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」かつ「野球」が同時に出現する詳細閲覧コンテンツがd個以上となる累積確率である。また、H2は、一覧閲覧コンテンツのうち「Aさんオススメ」かつ「野球」が同時についたコンテンツが出現する数がDのとき、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」かつ「野球」が同時に出現する詳細閲覧コンテンツがd個以下となる累積確率である。そして、H1、H2のうち0.5未満の方を採用し、標準正規分布の累積分布関数の逆関数により特徴スコアZ′を求める。なお、累積確率としてH2を利用する場合には、標準正規分布の累積分布関数の逆関数の返値の符号を負にして特徴スコアとする。H1、H2のいずれも0.5以上だった場合には、特徴スコアは0とする。
以上より、「Aさんの野球に関するオススメ」に対する影響度の特徴スコアが算出される。
【0090】
加えて、「野球」の上位概念にあたる、例えば「スポーツ」のような特定のジャンルについて、「Aさんオススメ」と「スポーツ」が同時に出現する数(=q)を用いて、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」かつ「スポーツ」が同時に出現する詳細閲覧コンテンツがq個以上となる累積確率(H1)と、詳細閲覧コンテンツをa個ランダムに選択して閲覧した場合に、「Aさんオススメ」かつ「スポーツ」が同時に出現する詳細閲覧コンテンツがq個以下となる累積確率(H2)を求める。そして、上記と同様に、「Aさんのスポーツに関するオススメ」に対する影響度の特徴スコアを求める。
【0091】
同様に、「スポーツ」の下位概念にあたる、例えば「サッカー」についても、「Aさんオススメ」と「スポーツ」が同時に出現する数(=q)を用いて、「Aさんのサッカーに関するオススメ」に対する影響度の特徴スコアも求める。
「Aさんオススメ」に関する影響度のスコア更新が終了した後に、同一の一覧閲覧コンテンツに含まれる、Aさん以外の「オススメタグ」を付与した人についても、上記と同様の方法で影響度に関する特徴スコアを算出し、上記式(1) を用いて影響度スコアの更新を行う。
【0092】
第2の実施例によれば、「オススメタグ」が付与されたコンテンツについて「オススメタグ」が付与されていると同時に概念が付与されていることを利用し、影響度について「オススメタグ」を付与した他ユーザに対しての各概念についての影響度の推定が可能である。すなわち、人に対する影響について1つのスコアで表現するだけでなく、ジャンルによる影響度の違い(例えば、AAさんはAさんに対してジャンルXについて影響を受けるが、ジャンルYについて影響を受けない。)などを把握することも可能である。
【0093】
図21は、第3の実施例に係る影響度分析処理を示す図である。第3の実施例では、AAさんへのグループFからの影響度を推定する手法を説明する。つまり、お薦め情報を付与した他ユーザらがグループ属性や組織体系を有し、これらの関係について階層的な体系を作成できる場合(以後、前述の人から成る体系を人間体系という)に、一覧閲覧コンテンツリスト及び詳細閲覧コンテンツリストのコンテンツに出現するオススメタグを付与した他ユーザの上位のグループ属性を人間体系から抽出し、上位のグループ属性が当該コンテンツに出現するものとみなして、上位のグループ属性に対するユーザの影響度スコアを更新することをさらに特徴とするものである。なお、上記人間体系の関係情報は、多数の前記他ユーザあるいはグループ属性が相互に関連を持つことでグラフ構造を持つことができる。グラフ構造を持つ場合には、各前記他者あるいはグループ属性の直接あるいは間接の上位属性を「親グループ」、直接あるいは間接の下位属性を「子グループ」と呼ぶ(個人の場合も所属するメンバーが一人のグループとみなす)。
【0094】
人間体系2データベース220は、一覧閲覧コンテンツリストに含まれるオススメタグ付与者の一覧(本例の場合、「Aさん」、「Cさん」、「Dさん」及び「Eさん」)を、履歴情報受信部210から受け取って格納する。履歴情報受信部210は、人間体系2データベース220から、オススメタグ付与者の上位の人間体系(集団あるいは属性など)を読み出す(本例の場合、「グループF」、「グループG」及び「グループH」)。履歴情報受信部210は、人間体系2データベース220から読み出した親グループを加えて、影響度の特徴スコア算出部230にオススメタグ情報を渡す。
【0095】
影響度の特徴スコア算出部230は、履歴情報受信部210からグループの情報が加えられたオススメタグ情報を受け取る。影響度の特徴スコア算出部230は、上記第1の実施例と同様の方法で、「Aさんオススメ」、「Cさんオススメ」、「Dさんオススメ」及び「Eさんオススメ」に関する影響度の特徴スコアを更新する。
【0096】
さらに、親グループについての影響度スコアを求める。具体例として、「グループF」の影響度スコアを求める方法を示す。まず、「グループF」に所属する個人「Aさん」、「Bさん」及び「Cさん」のオススメタグを含むコンテンツ(本例の場合、「Aさんオススメ」「Cさんオススメ」の2個)を「グループFオススメ」とみなし、「グループF」に所属する個人のオススメタグを含むコンテンツの合計数を用いて、前述の方法と同様に影響度の特徴スコアを求め、上記式(3) を用いて影響度スコアの更新を行う。
【0097】
一覧閲覧コンテンツ(S個)のうち「グループFオススメ」が出現する数がR個の場合に、詳細閲覧コンテンツ(a個)を選択したときの「グループFオススメ」が出現する詳細閲覧コンテンツがr個であるものとする。このとき、影響度の特徴スコア算出部230は、分析パラメータS,a,R,rを利用して「グループF」に対する影響度の特徴スコアZ′を算出する。この場合の影響度の特徴スコアZ′は、上記
図15に示す算出式において、N,nをR,rに置き換えることで算出することができる。
【0098】
さらに、学習対象となった親グループの下位に属する子グループ(「グループF」では、「Aさん」、「Bさん」、「Cさん」)について、一覧閲覧コンテンツリストに含まれない子グループについて(本例の「グループF」では「Bさん」)については、「グループF」の特徴スコアを用いて、影響度スコアの更新を行う。
【0099】
更新された影響度スコアは各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250内の各人、グループの影響度概念体系のルート概念に記憶させる。そして、ルート概念のスコアを子孫にあたる下位概念についても同値で与える。
図22は、第4の実施例に係る影響度分析処理を示す図である。人間体系2データベース220は、上記第3の実施例と同様のものとする。影響度の特徴スコア算出部230は人間体系2データベース220から受け取ったオススメタグ(オススメタグ付与者の上位の人間体系(本例の場合、「グループF」、「グループG」及び「グループH」)について、上記第2の実施例と同様の方法を用いて、オススメタグを付与したグループついての、ジャンル毎の影響度スコアを更新する。
【0100】
図12において、コンテンツスコアリング装置300は、ソート済みコンテンツリスト送信部310と、コンテンツ評価処理部320と、コンテンツデータベース330と、コンテンツ・オススメタグ受信部340を備える。
コンテンツスコアリング装置300は、コンテンツリスト送信部530から、提示対象のコンテンツを受信し、コンテンツをスコアリングし、スコアを元にコンテンツをソートし、ソート済みコンテンツリスト受信部520にソート済みコンテンツリストを渡す。
【0101】
コンテンツ・オススメタグ受信部340は、コンテンツリスト送信部530から、提示対象コンテンツと、提示対象コンテンツの内容を示す概念と、提示対象コンテンツにユーザから付与された「オススメタグ」を受信し、コンテンツデータベース330に格納する。
【0102】
図23、
図26、
図27はそれぞれ上記影響力推定装置700、ターゲット集団選定装置800、ターゲット集団更新装置900、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、情報受信者行動ログデータベース1300の機能構成を示すブロック図である。
なお、
図23、
図26、
図27における各装置はCPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムメモリに予め格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより、上記した各機能を実現する。
【0103】
図23は、(方法1)〜(方法3)を実現するシステムとして、影響力推定装置700、ターゲット集団選定装置800、の機能構成、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、影響度分析装置200内の各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250及び興味分析装置100内の概念体系/興味スコアデータベース140間の連携を示すブロック図である。
【0104】
図23において、ターゲット集団選定装置800は、(方法2)を実現する装置である。サービス提供者が、解析依頼装置1100にターゲット集団選定の依頼とターゲット条件の入力を行うと、解析依頼装置1100は、ターゲット集団選定装置800のターゲット条件受取部810にターゲット条件を入力する。本例では、ターゲット条件を「“東京都在住の営業職の女性で、化粧品情報に興味のある人”」とする。ターゲット条件受取部810は、ターゲット条件「東京都在住、営業職、女性、化粧品情報に興味のある人」を受信する。そして、ターゲット条件受取部810は、「東京都在住、営業職、女性、化粧品情報に興味のある人」を属性照会部820に送信する。なお、属性に関する条件が無かった場合には、興味照会部830にターゲット条件を送信する。
【0105】
属性照会部820は、ターゲット条件のうち、属性に該当する「東京都在住」「営業職」「女性」に合致する情報受信者情報を、
図24(a)に示す人間体系1データベース1200から取得する。本例では、「BBさん」「CCさん」「DDさん」を取得する。そして、属性照会部820は、取得した情報受信者情報とターゲット条件のうち、興味に該当する条件、すなわち、本例では「化粧品」を興味照会部830に送信する。
【0106】
興味照会部830は、基準値を保持している。基準値は、サービス提供者によって設定されるか、事前にシステム内で設定される。興味照会部830は、情報受信者情報(「BBさん」「CCさん」「DDさん」)と、ターゲット条件のうち、興味に該当する条件(すなわち、本例では「化粧品」)を受信する。興味照会部830は、情報受信者情報(「BBさん」「CCさん」「DDさん」)、興味に該当する条件(すなわち、本例では「化粧品」)、基準値(本例では1.0)を概念体系/興味スコアデータベース140に入力する。そして、
図24(b)に示す概念体系/興味スコアデータベース140から、情報受信者の興味に該当する条件(「化粧品」)のうち、基準値を満たす情報受信者情報を取得する。本例の場合は、「CCさん」「DDさん」を受信する。受け取った情報受信者情報は、すなわち、ターゲット条件(属性、興味)に合致する情報受信者の情報である(以下、略して、ターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者情報とする)。興味照会部830は、ターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者情報(「CCさん」「DDさん」)をターゲット集団情報送信部840に送信する。
【0107】
ターゲット集団情報送信部840は、ターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者情報(「CCさん」「DDさん」)を、サービス提供者に返却、または、影響力推定装置700に送信する。
影響力推定装置700は、(方法1)を実現する装置である。サービス提供者が、解析依頼装置1100に影響力推定の依頼とターゲット条件(属性、興味)の入力を行うと、解析依頼装置1100は、影響力推定装置700の影響力推定集団受信部710にターゲット条件を入力する。また、サービス提供者が予めターゲット集団選定の依頼(ターゲット条件の入力を含む)と同時に、影響力推定の依頼を行った場合には、影響力推定集団受信部710は、ターゲット集団情報送信部840からターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者情報(「CCさん」「DDさん」)を受信する。影響力推定集団受信部710は、ターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者情報(「CCさん」「DDさん」)を影響度スコア取得部720に送信する。
【0108】
影響度スコア取得部720は、
図24(c)に示す各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250から、ターゲット条件(属性、興味)合致情報受信者(「CCさん」「DDさん」)の影響度スコアを取得する。なお、
図24(c)に示す影響度スコアデータベースの内容は、
図20、
図21の影響度スコアをまとめた場合の例である。取得する影響度スコアは、各情報発信者の最上位層に位置するノード(ルート概念)の影響度スコア、すなわち、情報発信者に対する影響度を示すものを用いる場合と、各情報発信者にかかわる影響度について、下位にある特定の概念に対する影響度スコアを用いる場合とがあるが、どちらでもよい。本例の場合、各情報発信者の最上位層に位置するノードの影響度スコアを用いる場合を例に説明する。各情報発信者の最上位層に位置するノード(ルート概念)の影響度スコアが
図25(a)のように保存されている(
図25(a)は、
図24(c)の構造をテーブルで表記したものである)。なお、各情報発信者にかかわる影響度について、下位にある特定の概念に対する影響度スコアを用いる場合には、
図25(b)のように保存されているものを利用する。影響度スコア取得部720は、
図25(a)より(4)式に示す影響度スコアを取得し、取得した影響度スコアを影響力スコア算出部730に送信する。
【0109】
【数5】
影響力スコア算出部730は、影響度スコアを取得し、(1)式、または、(1)’式、または、その他の集約式を用いて影響力スコアを算出する。本例では、(1)’式を用いて算出し、
図25(c)を得る。例えば、大学教授の場合の影響力スコア算出計算は(5)式によって得られる。
【0110】
【数6】
影響力スコア算出部730は、影響力スコアを高スコアの順に並べ替え、並べ替えた影響力スコア(
図25(d))を影響力推定結果送信部740へ送信する。
影響力推定結果送信部740は影響力スコア(
図25(d))を受信する。そして、サービス提供者が設定した、あるいは、システムに事前に設定された任意の件数分をサービス提供者に送信する。
【0111】
以下、方法4について、(方法4−1)、(方法4−2)、(方法4−3)に分けて説明する。
(方法4−1の場合)
方法4−1は、実際にアクションが起こった情報受信者に注目し、実際にアクションが起こった情報受信者群の影響力を推定するものである。方法4−1は、例えば、メールマガジン(情報)を配信し、情報受信者が開封する(アクション)といった、同じ情報受信者が再びアクションを起こしやすい事例においてプロモーションを実施したい場合などに有用である。
【0112】
図26は、(方法4−1)を実現するシステムとして、影響力推定装置700、ターゲット集団選定装置800、ターゲット集団更新装置900の機能構成、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、影響度分析装置200内の各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250及び興味分析装置100内の概念体系/興味スコアデータベース140、情報受信者行動ログデータベース1300間の連携を示すブロック図である。
【0113】
図26において、(方法1)〜(方法3)の範囲については、
図23を用いて述べた上記の内容と同一である。ここでは、影響力推定結果送信部740が、サービス提供者が設定した、あるいは、システムに事前に設定された任意の件数分をサービス提供者に送信を完了した後の任意のタイミングで(例えば、サービス提供者が影響力スコアの高い情報発信者を一人受信し、その情報発信者を使った商品のプロモーションを実施した1週間後、など)、サービス提供者が、評価対象情報、更新依頼(ターゲット集団のみ、または、ターゲット集団と影響力の両方)をターゲット集団更新装置900の行動ログ取得部910に送信する。
【0114】
ターゲット集団更新装置900において、行動ログ取得部910は、評価対象情報、更新依頼(ターゲット集団、または、ターゲット集団と影響力の両方)を取得する。行動ログ取得部910は、情報受信者行動ログデータベース1300から評価対象情報に関わる情報受信者の行動ログ(例えば、詳細ページ閲覧ログ、購入ログなど)を取得する。本例では、
図28のような情報受信者行動ログがあるとする。
【0115】
この場合の手順は以下の通りである。
行動ログ取得部910は、評価対象情報(本例では、メールマガジンα)に関わる情報受信者の行動ログのうち、開封というアクションのあった情報受信者の情報を取得する。本例では、「AAさん」「CCさん」「DDさん」を取得し、「AAさん」「CCさん」「DDさん」を新ターゲット集団とする。そして、行動ログ取得部910は、評価対象情報(本例では、メールマガジンα)、該当情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)を、ターゲット集団更新部920に送信する。そして、ターゲット集団更新部920は、評価対象情報(本例では、メールマガジンα)、該当情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)を、新ターゲット集団送信部930に送信する。新ターゲット集団送信部930は、解析依頼装置1100からの更新依頼がターゲット集団のみだった場合には、解析依頼装置1100を介して、サービス提供者に該当情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)を返却する。解析依頼装置1100からの更新依頼がターゲット集団と影響力の両方だった場合には、評価対象情報(本例では、メールマガジンα)、該当情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)を、影響力推定集団受信部710に送信する。以後の手順は、上記で述べた、影響力推定装置700の手順と同様である。
【0116】
(方法4−2の場合)
(方法4−2)の場合、例えば、企業が、webサイトやブログなどの情報発信者を通じて家具、車などの商品(高額なものや、消耗しにくいものは、再び購入されるまで時間が開く。)情報を提示した際に、情報受信者が購入する(アクション)といった、比較的、同一情報受信者が再び同じアクションを起こしにくい事象において有用である。
【0117】
図27は、(方法4−2)を実現するシステムとして、影響力推定装置700、ターゲット集団選定装置800、ターゲット集団更新装置900の機能構成、解析依頼装置1100、人間体系1データベース1200、影響度分析装置200内の各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250及び興味分析装置100内の概念体系/興味スコアデータベース140、情報受信者行動ログデータベース1300間の連携を示すブロック図である。本例では、
図29(a)のような情報受信者行動ログがあるとする。
【0118】
図27において、(方法1)〜(方法3)の範囲については、
図23を用いて述べた上記の内容と同一である。
ここでは、影響力推定結果送信部740が、サービス提供者が設定した、あるいは、システムに事前に設定された任意の件数分をサービス提供者に送信を完了した後の任意のタイミングで(例えば、サービス提供者が影響力スコアの高い情報発信者を一人受信し、その情報発信者を使った商品のプロモーションを実施した1週間後、など)、サービス提供者が、評価対象情報、更新依頼(ターゲット集団のみ、または、ターゲット集団と影響力の両方)を解析依頼装置1100に入力すると、解析依頼装置1100はターゲット集団更新装置900の行動ログ取得部910に送信する。行動ログ取得部910は、情報受信者行動ログデータベース1300から、評価対象情報(本例では、化粧品β)に関わる情報受信者の行動ログのうち、購入というアクションのあった情報受信者の情報、アクションが生じる前のページ閲覧という行動(サブアクションと呼ぶ)が生じた情報受信者の情報を取得する。本例の場合、アクションが生じた情報受信者として「AAさん」「CCさん」「DDさん」を取得し、サブアクションが生じた情報受信者として「AAさん」「CCさん」「DDさん」「FFさん」を取得する。
【0119】
そして、行動ログ取得部910は、評価対象情報(本例では、化粧品β)、アクションが生じた情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)、サブアクションが生じた情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」「FFさん」)を、ターゲット集団特性抽出部950に送信する。
【0120】
そして、ターゲット集団特性抽出部950は、アクションが生じた情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」)、サブアクションが生じた情報受信者情報(「AAさん」「CCさん」「DDさん」「FFさん」)の持つ属性を人間体系1データベース1200から取得する。また、「AAさん」「CCさん」「DDさん」「FFさん」の興味スコアについて、興味スコアが一定基準以上の概念を取得する。基準は事前にサービス提供者が定めるか、事前にシステム内で定められるものとする(本例では、興味スコア2.0以上とする)。本例で取得したリストは、
図29(b)とする。
図29(b)について、
図15に記載の式の、「コンテンツ」を「情報受信者」に置き換え、また、「概念」を各「項目」(属性、興味を示す概念)に置き換え、各「項目」(属性、興味を示す概念)の特徴スコア(以後、ターゲット傾向スコアと呼ぶ)を算出する。この様子を
図30に示す。すなわち、
図30(a)に示すように、「項目」(男性、女性、テニス、鉄道、ゴルフ)について、一覧閲覧ユーザリストとして「AAさん」「CCさん」「DDさん」「EEさん」「FFさん」が抽出され、さらに詳細閲覧ユーザリストとして「AAさん」「CCさん」「DDさん」が抽出されるとき、
図30(b)に示す情報受信者のターゲット傾向スコアが得られる。なお、例えば、「テニス」についてのターゲット傾向スコアは(6)式で表わされる。
【0121】
【数7】
ターゲット集団特性抽出部940は、得られた評価対象情報(本例では、化粧品β)と項目情報(男性、女性、テニス、鉄道、ゴルフ)と各項目のターゲット傾向スコアを、ターゲット集団更新部950に送信する。
ターゲット集団更新部950は、受信した評価対象情報(本例では、化粧品β)と項目情報(男性、女性、テニス、鉄道、ゴルフ)と各項目のターゲット傾向スコアを、ターゲット集団選定装置800のターゲット条件受取部810に送信する。(方法2)と同様に、ターゲット集団選定装置800は(方法2)と同様の方法で、ターゲット集団に該当する情報受信者情報を取得する。ただし、本説明の(方法4)の例の場合には、ターゲット条件として項目情報(男性、女性、テニス、鉄道、ゴルフ)それぞれに該当するターゲット集団を別々に抽出することとする。すなわち、本例の場合では、「女性」「男性」「テニス(例えば、興味スコア2.0以上:興味照会部830が所有する事前に定められた基準値)」「鉄道(興味スコア2.0以上)」「ゴルフ(興味スコア2.0以上)」に該当する情報受信者を取得し、計5つのターゲット集団を得る。ここで、ターゲット集団情報送信部840は、サービス提供者からの更新依頼がターゲット集団のみだった場合には、サービス提供者に解析依頼装置1100を介して、ターゲット傾向スコアと5つのターゲット集団を返却する。
【0122】
そして、評価対象情報、項目情報、各項目のターゲット傾向スコア、ターゲット条件合致情報受信者情報を、影響力推定装置700の影響力推定集団受信部710に送信する。そして、「女性」「男性」「テニス(興味スコア2.0以上)」「鉄道(興味スコア2.0以上)」「ゴルフ(興味スコア2.0以上)」に該当する、計5つのターゲット集団それぞれにおける影響力スコアを、(方法3)と同様に算出する(算出結果一例を、
図31(a)〜(e)に示す)。そして、さらに、影響力スコア算出部730で、影響力スコアが算出された後、(2)式を用いて影響力を集約する。以下の(7)式は、Aさんの影響力スコアの集約を行ったものである。
【0123】
【数8】
影響力の集約は、情報発信者毎(本例の場合は、Aさん、Bさん)に計算を行う。以後は、(方法3)と同様である。
上記実施例のシステム構成によれば、ターゲット集団における影響元(情報発信者)に注目し、情報発信者の影響力スコアを算出することにより、影響力を推定し把握することができる。また、興味スコアを基準として、ターゲティングを行うことで、ターゲット集団を細分化して捉えることができる。さらに、実際の購買などの選択履歴を用いて、逐次再ターゲティングを行い、また、影響力のある人または集団を求めることで、実態に即したプロモーションを実施することができる。
【0124】
なお、興味スコアDB140、各人・グループに対する影響度スコアを持つ影響度概念体系データベース250、コンテンツデータベース330は、興味分析装置100内、影響度分析装置200内、コンテンツスコアリング装置300内に必ずしも含まれている必要はなく、独立していてもよい。
【0125】
また、コンテンツサーバ500がクライアント端末400から取得する一覧閲覧コンテンツリスト、詳細閲覧コンテンツリストは、情報受信者に対して表示されたリスト、情報受信者が詳細を閲覧したリストに限定されるものではなく、例えば、一覧閲覧コンテンツリストをユーザが商品情報の詳細を閲覧したリストとし、詳細閲覧コンテンツリストをユーザが実際に商品を購入したリストとしてもよい。
また、情報受信者行動ログDB700は、コンテンツデータベース330と内容が重複する場合には、どちらか一方を併用してもよい。
また、(2)式における重みwを適宜変更する事により、例えば閲覧のログに比べ、購買のログを重視して影響度スコアを計算する事ができる。wはサービス提供者が適宜定める。
【0126】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。