特許第5836472号(P5836472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836472
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】結晶性酸化セリウム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/00 20060101AFI20151203BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20151203BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20151203BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20151203BHJP
【FI】
   C01F17/00 A
   C09K3/14 550D
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-242195(P2014-242195)
(22)【出願日】2014年11月28日
(62)【分割の表示】特願2012-556979(P2012-556979)の分割
【原出願日】2011年3月9日
(65)【公開番号】特開2015-110513(P2015-110513A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0020559
(32)【優先日】2011年3月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0021004
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、サン−スン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン−ボム
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ヒュン−チュル
(72)【発明者】
【氏名】クァク、イク−スン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジュン−ヨン
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−273994(JP,A)
【文献】 特開2008−013689(JP,A)
【文献】 特表2010−505735(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0104629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 17/00
B24B 37/00
C09K 3/14
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕前に、0.5乃至3μmの体積平均粒径を有し、
複数の酸化セリウム粒子を含み、
それぞれの酸化セリウム粒子上には、複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されており、
それぞれの結晶粒は、一つ以上の酸化セリウム結晶を含み、
粉砕後に、70乃至120nmの体積平均粒径及び8乃至12.5nmの粒径の標準偏差を有するサブミクロン結晶性酸化セリウムの製造方法であって、
(Ce、La)2(CO33・8(H2O)で表されるランタナイト(Lanthanite)セリウムを50℃以上で反応させて、炭酸セリウム系化合物を形成するステップと、
前記炭酸セリウム系化合物を熱処理して、酸化セリウムを形成するステップと、
前記酸化セリウムを粉砕するステップと、
を含む結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項2】
前記ランタナイト(Lanthanite)セリウムの反応は、液状媒質内で行われることを特徴とする請求項1に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項3】
前記液状媒質は、水、及び、アルコール、DMSOまたはDMFを含む水溶性溶媒を含むことを特徴とする請求項2に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項4】
前記ランタナイトセリウムの反応は、ランタナイトセリウム:液状媒質の重量比が1:0.5乃至1:20になる量の液状媒質内で行われることを特徴とする請求項2または3に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項5】
前記ランタナイトセリウムの反応は、常圧乃至100barの圧力下で開始されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項6】
前記熱処理ステップは、300乃至1500℃で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【請求項7】
前記粉砕は、垂直型ミル(mill)と水平型ミル(mill)を用いて行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶性酸化セリウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性酸化セリウム及びその製造方法に関するものであって、より詳しくは、結晶構造、形状及び大きさなどを容易に調節することができ、優れた研磨特性を示し、単純な工程を通じて経済的でかつ効率的に製造することのできる結晶性酸化セリウム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化セリウムは、触媒、蛍光体、化粧品、研磨材などに幅広く用いられている高機能性セラミック物質であって、最近、半導体素子のSTI(Shallow Trench Isolation)工程及び光学用ガラス研磨材として脚光を浴びている。
【0003】
このような酸化セリウムは、一般に、液相法、気相法、または固相法によって製造される。
【0004】
液相法は、3価あるいは4価のセリウム塩出発物質にアンモニアなどのpH調整剤を添加して、セリウム塩から酸化セリウムを直接製造する方法である。前記方法は、原料価と装置費用が比較的に少なくかかり、経済的であるという長所があるが、出発物質間の反応が核生成段階から簡単に起きて粒子成長を調節するのに困難である。
【0005】
気相法は、セリウム金属塩前駆体を気化させた後、酸素などと結合させて、直接酸化セリウムを製造する方法であって、火炎燃焼分解法、気体凝縮分解法、プラズマ気化法またはレーザ気化法などがある。しかし、前記方法は、セリウム金属塩前駆体の単価及び装置費が高価であって、大量化しがたいという問題点があり、まだ研究段階に留まっている実情である。
【0006】
一方、固相法は、前駆物質を高温で熱処理して酸化セリウムを製造する方法であって、最近、これに対する研究が活発に行われており、炭酸セリウム系化合物が前駆物質として幅広く用いられている。このような固相法では、前駆体である炭酸セリウム系化合物の形状と大きさが酸化セリウムの模様と形状を決める重要な因子として作用して、研磨粒子の粒径などの物性と形状に影響を与えるだけでなく、半導体CMP工程中に研磨率、平坦度、スクラッチ発生などに影響を与える可能性がある。したがって、酸化セリウムの物性や形状などを所望の範囲に調節するために、炭酸セリウム系化合物の種類や形状などを容易に調節可能な炭酸セリウム系化合物の製造方法が幅広く要求されている。
【0007】
従来は、硝酸セリウムなどのセリウム塩とウレアなどの沈澱剤を使用して炭酸セリウム系化合物を合成する方法が知られている。しかし、このような合成方法は、沈澱剤の使用により発生する有機副産物を除去するために洗浄工程を追加的に適用しなければならず、またこのような洗浄工程を適用しても、アンモニウムイオンが含まれた廃液が多量発生し、反応器に装着された各種チューブラインが詰まり、安定装置及び圧力計の作動が低下される問題点が現れた。
【0008】
そして、前記硝酸塩のようなセリウム塩は、セリウム塩前駆体を各種酸に溶解して、結晶化、溶解または精製などの複雑な過程を通じて製造されるだけでなく、値段が高くて、酸化セリウム製造工程の効率性及び経済性に好ましくない影響を与える。それだけでなく、前記合成方法で製造された炭酸セリウムを用いて酸化セリウムを得る場合、酸化セリウムの研磨特性など物性が十分にできない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、結晶構造、形状及び大きさなどを容易に調節することができ、優れた研磨特性を示し、単純な工程を通じて経済的でかつ効率的に製造することのできる結晶性酸化セリウム及びこれを含む酸化セリウムスラリーを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記結晶性酸化セリウムの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、約70乃至120nmの体積平均粒径及び約8乃至12.5nmの粒径の標準偏差を有するサブミクロン結晶性酸化セリウムを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記結晶性酸化セリウムを研磨剤として含む酸化セリウムスラリーを提供する。
【0013】
本発明は、また、ランタナイト(Lanthanite)セリウムを約50℃以上で反応させて、炭酸セリウム系化合物を形成するステップ、前記炭酸セリウム系化合物を熱処理して、酸化セリウムを形成するステップ、及び、前記酸化セリウムを粉砕するステップを含む結晶性酸化セリウムの製造方法を提供する。
【0014】
以下で、本発明の具現例による結晶性酸化セリウム、酸化セリウムスラリー及び結晶性酸化セリウムの製造方法について、より詳細に説明する。
【0015】
本発明の一具現例により、約70乃至120nmの体積平均粒径及び約8乃至12.5nmの粒径の標準偏差を有するサブミクロン結晶性酸化セリウムが提供される。
【0016】
このとき、「サブミクロン」結晶性酸化セリウムというのは、結晶性酸化セリウム、より具体的に、結晶性酸化セリウムをなす酸化セリウム粒子が約1μm未満、つまり、ナノスケールの粒径を有するものと定義される。このような「サブミクロン」結晶性酸化セリウムは、このような微細なナノスケールの酸化セリウム粒子を含むことによって、素子製造工程中、化学的機械的研磨工程(CMP工程)等で研磨スラリーに含まれる研磨材として使用可能である。
【0017】
本発明者らは、後述する所定の製造方法により、上述した体積平均粒径範囲及び標準偏差範囲を有するサブミクロン結晶性酸化セリウムが得られることを明らかにし、本発明を完成した。特に、このような酸化セリウムの標準偏差範囲は、以前には達成することができなかった低い水準の標準偏差であって、以前にはこのようなナノスケールの微細平均粒径を有すると共に、上述した低い標準偏差範囲を満たす酸化セリウムが知られたところがない。このような結晶性酸化セリウムは、このような特性を満たすことによって、以前に知らされたものに比べて微細でかつ非常に均一な粒径分布を示すことができ、その結果、より優れた研磨特性を示すことができる。つまり、上記一具現例の結晶性酸化セリウムをCMP工程などで研磨材として使用することによって、より優れた研磨率を具現することができ、研磨対象膜にスクラッチが発生することを大きく減らすことができる。
【0018】
このような結晶性酸化セリウムの特性をより具体的に明らかにすると、以下の通りである。
【0019】
上記一具現例の結晶性酸化セリウムは、所定の出発物質、例えば、ランタナイトセリウムから製造されて、一定の特性を有する酸化セリウムを粉砕することによって得られる。具体的に、図11及び12に示されているように、前記粉砕前の酸化セリウムは複数の酸化セリウム粒子を含み、それぞれの酸化セリウム粒子上には複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されており、それぞれの結晶粒は一つ以上の酸化セリウム結晶を含む特性を示す点が確認される。そして、通常の粉砕方法の適用時、前記境界に沿って粉砕が容易に生じられるため、粉砕後に、さらに微細でかつ均一な粒径を有する粉末形態の結晶性酸化セリウムを得ることができる。
【0020】
これにより、前記結晶性酸化セリウムは粉砕されたとき、以前の酸化セリウムに比べてさらに微細な粒径、例えば、約70乃至12nm、好ましくは約70乃至95nm、さらに好ましくは約85乃至95nmの体積平均粒径を有する。また、このような結晶性酸化セリウムは、約8乃至12.5nm、好ましくは約8.5乃至12.5nm、さらに好ましくは約9.0乃至12.3nmの粒径の標準偏差を有することによって、以前には達成できなかった非常に均一な粒径を有するようになる。そして、前記結晶性酸化セリウムが微細でかつ均一な粒径を有するため、CMP用スラリーの研磨材として適用すると、優れた研磨特性を具現することができ、狭い線幅の半導体工程に適用される場合にもマイクロスクラッチの発生を最小化することができるようになる。
【0021】
このような結晶性酸化セリウムの体積平均粒径は、以前から知られた通常の方法、例えば、レーザ散乱法で測定することができ、このために、Horiba社の粒径測定装備LA910等を用いることができる。また、前記酸化セリウムの粒径分布及び粒径の標準偏差もまた、同様の方法でHoriba社のLA910等を用いて測定することができる。
【0022】
また、前記結晶性酸化セリウムの体積平均粒径及び粒径の標準偏差は、垂直型ミル及び水平型ミルを用いて、前記結晶粒などが定義された酸化セリウムを粉砕した後に測定した値である。前記結晶性酸化セリウムの粉砕には、酸化セリウムの粉砕に使用可能であると知られた任意の方法を特別な制限なしに用いることができるが、垂直型ミル(mill)と水平型ミル(mill)を単独または共に適用するのが好ましく、前記2種類の紛砕機を順次に適用することが酸化セリウムの粒径を均一にし粒径分布を狭くするためにさらに好ましい。前記粉砕方法の具体的な例として、約1乃至10重量%濃度の酸化セリウム水系スラリーを垂直型ミル(約0.3mmビードの適用、攪拌力約300〜800RPM、投入速度約1〜5L/min)で約1μm平均粒径を有するまで粉砕し、水平型ミル(約0.1mmビードの適用、攪拌力約500〜1300RPM)で最終的に得ようとする平均粒径まで粉砕する方法が挙げられる。
【0023】
前記結晶性酸化セリウムは、前記粉砕前に、複数の酸化セリウム粒子を含み、それぞれの酸化セリウム粒子上には、複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されており、それぞれの結晶粒は、一つ以上の酸化セリウム結晶を含む。
【0024】
前記酸化セリウム結晶とは、酸化セリウムをなす成分が3次元的から見て規則的に繰り返される構造を有する一つの完結した固体状単位体を意味し、このような結晶は、当業界においてよく知られているように、特定の粉末X線回折パターンによって定義される。
【0025】
また、前記結晶粒(crystal grain)というのは、前記酸化セリウムの一つの粒子をなす微細単位体であって、一つ以上の酸化セリウム結晶を含むものを意味する。つまり、それぞれの結晶粒は、酸化セリウム粒子の表面または内部に形成された境界によって定義される。このような結晶粒及び結晶上の境界は、図11または12においても確認されるように、結晶性酸化セリウムに対する電子顕微鏡写真(SEM)等を通じて観察することができる。
【0026】
つまり、前記本発明の一具現例による結晶性酸化セリウムでは、粉砕前にそれぞれの酸化セリウム粒子に境界が形成されて複数の結晶粒が定義されることによって、このような境界に沿って前記酸化セリウムをより簡単に粉砕して、より均一でかつ微細な粒径を有する粉末形態の結晶性酸化セリウムを得ることができる。このような酸化セリウムは、このような均一な微細粒径によりCMP用スラリーの研磨材などとしてより優れた研磨特性を示し、前記酸化セリウムの粉砕工程もより単純化することができる。
【0027】
また、前記酸化セリウム粒子上の境界及びこれによって定義された結晶粒が含まれることによって、前記結晶性酸化セリウムは適切な硬度を示し、CMP用スラリーの研磨材などで用いられたとき、優れた研磨率を示す。特に、このような結晶性酸化セリウムは、以前に知られた酸化セリウムに比べて優れた研磨特性を示すだけでなく、ランタナイトセリウムから炭酸セリウム系化合物を経ずに直に得られた酸化セリウムに比べても優れた研磨率などを示す。
【0028】
本発明の一具現例の結晶性酸化セリウムは、粉砕される前、あるいは、炭酸セリウム系化合物が熱処理されて酸化セリウムが生成された直後に、約0.5μm乃至3μmの体積平均粒径を有する。前記結晶性酸化セリウムが粉砕前の分散状態でこのような平均粒径を有することによって、簡単な粉砕工程を通じて均一な粒径を有する酸化セリウム粉末を得ることができる。
【0029】
また、前記結晶性酸化セリウムで、前記粉砕前の酸化セリウム粒子上に定義された結晶粒は、約20乃至300nm、好ましくは約40乃至200nmの大きさを有し、このような結晶粒に含まれているそれぞれの酸化セリウム結晶は、約10乃至200nm、好ましくは約20乃至100nmの結晶サイズを有する。より具体的に、このような結晶粒または結晶サイズは、酸化セリウムを製造するために使用された炭酸セリウム系化合物の結晶構造により調節することができる。例えば、斜方晶系結晶構造を有する炭酸セリウム系化合物、すなわち、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレートから得られた酸化セリウムでは、結晶粒の大きさがほぼ50〜130nmになり、六方晶系結晶構造を有する炭酸セリウム系化合物、すなわち、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネートから得られた酸化セリウムでは結晶粒の大きさがほぼ60〜200nmになる。
【0030】
これによって、前記酸化セリウムを粉砕してより均一でかつ微細な粒径を有する結晶性酸化セリウムを得ることができ、これをCMP用スラリーの研磨材などとして使用して、優れた研磨特性を具現することができる。
【0031】
一方、本発明の他の具現例により、上述した一具現例の結晶性酸化セリウムを研磨材として含むCMP用スラリーが提供される。前記結晶性酸化セリウムは均一でかつ微細な粒径及び狭い粒径分布を有するため、前記CMP用スラリーは優れた研磨特性を具現することができる。例えば、このようなCMP用スラリーはより優れた研磨率を示し、研磨対象膜上にスクラッチの発生を減らすことができる。
【0032】
前記CMP用スラリーは、分散剤及びpH調節剤をさらに含むことができる。
【0033】
前記分散剤としては、非イオン性高分子分散剤または陰イオン性高分子分散剤を使用することができる。前記非イオン性高分子分散剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレングリコール(EG)、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)及びポリビニルピロリドン(PVP)からなる群より1種以上選択され、前記陰イオン性高分子分散剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム塩及びポリアクリルマレイン酸からなる群より1種以上選択される。ただし、これに限定されるのではなく、CMP用酸化セリウムスラリーに適用可能なものと知られた分散剤は格別な制限なしに使用することができる。
【0034】
前記分散剤は、酸化セリウム100重量部を基準に約0.001乃至10重量部で含まれてもよく、さらに好ましくは、約0.02乃至3.0重量部が含まれてもよい。前記分散剤の含有量が約0.001重量部未満である場合には、分散力が低くて、沈澱が速く進められるため、研磨液の移送時に沈澱が発生されて研磨材の供給が均一にならない。反対に、約10重量部を超える場合には、研磨材粒子の周辺に一種のクッション役割をする分散剤ポリマー層が厚く形成されて、研磨材が被研磨面の表面に接触されにくくなり、研磨速度が低くなる。
【0035】
前記CMPスラリーは、酸化セリウム及び分散剤を水に混合した後、pH6乃至8に調整することがが好ましいが、このために、前記酸化セリウムスラリーはpH調節剤をさらに含むことができる。このようなpH調節剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化バリウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムなどの塩基性pH調節剤、または、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、ギ酸または酢酸などの酸性pH調節剤を含むことができ、このうち強酸または強塩基を使用する場合には、局地的pH変化によるスラリーの凝集を抑制するために脱イオン水で希釈して使用することができる。ただし、適用可能なpH調節剤がこれに限定されるのではなく、前記酸化セリウムスラリー組成物に適用可能なpH調節剤は特別な制限なしに使用することができる。そして、前記pH調節剤は、調節しようとするスラリー組成物の適切なpHを考慮して、当業者が適切な含有量で使用することができる。
【0036】
pH調整以後には、分散及び保存安定性を向上させるために分散安定化工程を経ることが好ましい。分散安定化工程は当業者に知られた分散装備を用いることができ、例えば、垂直型ミルを適用する場合、分散液投入速度約1000〜5000ml/min及びビード攪拌速度約300〜800rpmの条件下で進めることができ、垂直型ミルを適用する場合、投入速度約5000〜17000ml/min及びビード攪拌速度約400〜1200rpmの条件下で進めることができる。このような通常の条件下で単純化された粉砕工程を進めることだけでも、より均一でかつ微細な粒径を有する酸化セリウムの粉末を含む研磨材及びこれを含むCMP用スラリーを得ることができる。
【0037】
一方、本発明のまた他の具現例により、ランタナイト(Lanthanite)セリウムを50℃以上で反応させて、炭酸セリウム系化合物を形成するステップ、前記炭酸セリウム系化合物を熱処理して、酸化セリウムを形成するステップ、及び、前記酸化セリウムを粉砕するステップを含む結晶性酸化セリウムの製造方法が提供される。このとき、前記炭酸セリウム系化合物の範疇には、斜方晶系結晶構造を有する炭酸セリウム系化合物、すなわち、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)と、六方晶系結晶構造を有する炭酸セリウム系化合物、すなわち、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))が包括される。
【0038】
一般に知られた炭酸セリウム系化合物の製造方法は、主に、水溶媒内で硝酸セリウムなどのセリウム塩とウレアを反応させて、炭酸セリウム系化合物を製造することである。このような製造方法によると、下記反応式1にまとめられているように、ウレアがアンモニアまたはそのアンモニウム塩と、二酸化炭素またはその炭酸塩に熱分解され、このとき発生する二酸化炭素または炭酸塩がセリウム塩またはこれに由来するセリウムイオンと反応して、酸化セリウムの前駆体として使用可能な炭酸セリウム系化合物が製造される。このとき、反応温度が低い場合には、斜方晶系の結晶構造を有するセリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)の炭酸セリウム系化合物が得られ、反応温度が高い場合には、前記セリウム塩またはセリウムイオンが一部加水分解された後反応に参与して六方晶系の結晶構造を有するセリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))が得られる。一般に、これら斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)または六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))の中で、ある結晶構造の化合物を前駆体として使用するのか、あるいは、このような前駆体化合物の大きさ、形状または含有量などにより、炭酸セリウム系化合物から得られる酸化セリウムの物性や形状などが変わると知られている。
【0039】
【化1】
【0040】
ところが、このような製造方法では、ウレアが分解されながら様々な気体が発生するため、炭酸セリウム系化合物の製造工程中に反応系の圧力が大きく上昇することができる。特に、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO33))の製造のためには、高温、高圧の反応が要求されるため、このような追加的圧力の上昇は前記六方晶系化合物の選択的製造を難しくする。
【0041】
また、ウレアの場合、前記アンモニアと二酸化炭素などに熱分解される反応以外にも多様な副反応を起こし、様々な有機副産物を発生させるものと知られている(Thermochmica Acta 424(2004)131−142)。このため、上述した製造方法では、炭酸セリウム系化合物を製造した後に有機副産物の除去のための洗浄工程などが必要となり、このような洗浄工程でアンモニウムイオンが含まれている廃液が多量発生される。
【0042】
つまり、セリウム塩とウレアを使用する従来の炭酸セリウム系化合物の合成方法は、炭酸セリウム系化合物の結晶構造、大きさ、または形状などを所望の通りに調節しにくく、その全体的な製造工程もまた複雑であるという問題点を有していた。また、このような炭酸セリウム系化合物から製造される酸化セリウムもまた結晶構造、大きさまたは形状を調節することが容易でなく、粒子の大きさも均一でなかった。
【0043】
そこで、本発明者らは、ランタナイトセリウムを特定の条件で反応させる場合、結晶構造、形状及び種類が調節された炭酸セリウム系化合物を得ることができ、このような炭酸セリウム系化合物を熱処理して粉砕すると、従来の酸化セリウムに比べてより均一でかつ微細な粒径及び低い水準の粒径の標準偏差を有する一具現例の結晶性酸化セリウムを製造することができることを実験を通じて確認し、本発明を完成した。
【0044】
これにより、本発明のまた他の具現例の製造方法によると、沈澱剤または過量の溶媒を適用した従来工程で発生する危険性または副産物除去の問題などが発生せず、高価の原料を使用したり高温及び高圧の反応条件を適用する必要がなくて、工程の効率性及び経済性を向上させることができる。また、本発明の一具現例によって製造された結晶性酸化セリウムは、適切な粒子の形状と大きさ及び狭い粒径分布を有するため、CMP用スラリーの研磨材などで使用されたとき、優れた研磨特性を具現することができ、狭い線幅の半導体工程に適用される場合にもマイクロスクラッチの発生を最小化することができる。
【0045】
一方、本発明のまた他の具現例では、ウレアなどを使用せずに、ランタナイトセリウムを出発物質として、約50℃以上で反応を進めることだけでも、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))またはこれらの混合物を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができる。このような反応条件、例えば、反応温度または反応時間などを調節することによって、反応圧力が上昇しすぎる恐れなしに、炭酸セリウム系化合物の結晶構造、大きさまたは形状などを容易に調節して、前記炭酸セリウム系化合物を得ることができる。
【0046】
特に、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))の炭酸セリウム系化合物を得ようとする場合にも、ウレアの熱分解などによる反応圧力が上昇しすぎる恐れなく高温反応を進めて、結晶構造、大きさ、または形状などが所望の通りに調節された炭酸セリウム系化合物を容易に得ることができることが確認された。また、ウレアなどを使用しないため、有機副産物を除去するための洗浄工程を別に適用する必要がなく、これによって、製造工程を単純化することができ、洗浄工程による有機廃液発生の問題も解決することができる。
【0047】
一方、前記ランタナイトセリウムは、(Ce,La)2(CO33・8(H2O)の化学式で示される公知のセリウム化合物の一種であって、自然系などから入手可能なものと知られている。以前に炭酸セリウム系化合物の製造のために用いられていた硝酸セリウムなどのセリウム塩は、まさにこのようなランタナイトセリウムを出発物質として使用して、これを酸に溶解させ、結晶化及び精製などの工程を経て得られるものである。このため、前記セリウム塩は、通常、ランタナイトセリウムに比べて単価が高い。ところが、上記本発明の一具現例による製造方法では、単価が相対的に高い硝酸セリウムなどのセリウム塩の代わりにランタナイトセリウムから直に炭酸セリウム系化合物を得ることができるため、より経済的でかつ効率的に酸化セリウムの前駆体として使用可能な炭酸セリウム系化合物を製造することができる。
【0048】
前記ランタナイトセリウムの反応は別途の媒質なしに進められてもよいが、液状媒質内で進めることが好ましい。ランタナイトセリウムが水和物の形態で存在するため、反応が進める過程で分子内の水分子が反応媒質として作用することができるが、液状媒質内で反応を進めることが昇温過程でランタナイトセリウムの反応性をより高めるために好ましい。
【0049】
前記液状媒質としては、ランタナイトセリウムを溶解または分散することができる任意の水溶媒または有機溶媒を使用することができる。このような液状媒質の種類は特に限定されないが、水または水に混ざれるアルコール、DMSOまたはDMFなどを含む水溶性溶媒を使用することができる。ただし、前記ランタナイトセリウムの反応性または反応後に、溶媒除去の容易性などの側面で、水またはこれを含む水溶媒を使用することが好ましい。
【0050】
前記ランタナイトセリウムの反応は、ランタナイトセリウム:液状媒質の重量比が約1:0.5乃至1:20、好ましくは約1:1乃至1:10、さらに好ましくは約1:2乃至1:9になる量の液状媒質内で行われる。前記ランタナイトセリウム対比液状媒質の量が小さくなりすぎると、ランタナイトセリウムが十分に溶解または分散されず、反応性に悪影響を及ぼし、反応物を反応器に投入することが困る場合がある。また、前記ランタナイトセリウムの反応は、液状媒質に分散または溶解された粒子によって、炭酸セリウム系化合物の結晶が形成される過程を経るため、液状媒質の量が小さくなりすぎると、不均一な特性を有する炭酸セリウム系化合物が形成される。反対に、液状媒質の量が大きくなりすぎると、生産性において好ましくない。
【0051】
一方、前記ランタナイトセリウムは約50℃以上の温度で反応して、炭酸セリウム系化合物、例えば、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))またはこれらの混合物を形成する。
【0052】
前記ランタナイトセリウムの反応温度は約50乃至300℃である。前記反応温度が約50℃未満になると、反応時間が長くなって、生産性が低くなる。これとは反対に、反応温度が高すぎると、ランタナイトセリウムが炭酸セリウム系化合物段階を経ずに直に酸化セリウムに転換できるが、このような酸化セリウムは、粒径分布が非常に広くて、CMP用スラリーに適用するのに適当でない。また、反応温度が高すぎると、反応に使用される水溶媒によって高い蒸気圧が発生するようになって、反応系の圧力を追加的に上昇させることから、高圧を調節するための高価装備の適用による費用問題や高圧による事故の危険性問題がもたらされる。
【0053】
一方、本発明のまた他の具現例による製造方法では、前記ランタナイトセリウムの反応条件を調節して、反応生成物である炭酸セリウム系化合物の結晶構造、大きさまたは形状などを容易に調節することができる。
【0054】
例えば、反応温度、反応時間または液状媒質の使用量などを調節して、互いに異なる結晶構造を有する炭酸セリウム系化合物、すなわち、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)または六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))等の生成程度を調節することができる
前記ランタナイトセリウムの反応を約50〜130℃の温度下で進めて、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができ、このような温度範囲内で反応温度または反応時間などの諸般条件を調節して、前記斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)の生成程度を調節することができる。
【0055】
例えば、前記ランタナイトセリウムの反応を約50以上110℃未満の温度下で進めて、生成された全体炭酸セリウム系化合物中に約50体積%以上の斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができる。また、前記反応を約110〜130℃の温度で進める場合にも、反応時間を短くしたり、ランタナイトセリウム:液状媒質の重量比を約1:5未満、好ましくは、約1:0.5以上1:5未満になるように液状媒質を使用して、全体炭酸セリウム系化合物中に約50体積%以上の斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができる。
【0056】
また、本発明の他の実施例により、前記ランタナイトセリウムの反応を約110〜300℃の温度下で進めて、六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができ、このような温度範囲内で反応温度または反応時間などの諸般条件を調節して、前記六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))の生成程度を調節することができる。
【0057】
例えば、前記ランタナイトセリウムの反応を約130超過300℃以下の温度下で進めて、生成された全体炭酸セリウム系化合物中に約50体積%以上の六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができる。また、前記反応を約110〜130℃の温度で進める場合にも、反応時間を相対的に長くしたり、ランタナイトセリウム:液状媒質の重量比を約1:5以上、好ましくは、約1:5〜1:20になるように液状媒質を使用して、全体炭酸セリウム系化合物中に約50体積%以上の六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))を含む炭酸セリウム系化合物を形成することができる。
【0058】
上述した方法またはこれと類似して諸般反応条件を調節して、所望の結晶構造、大きさまたは形状などを有する炭酸セリウム系化合物を容易に製造することができ、これから、所望の物性、形状または大きさを有する酸化セリウムを得ることができる。
【0059】
一方、前記ランタナイトセリウムの反応が行われる圧力は特に限定されるのではないが、例えば、常圧(約1bar)乃至100barの圧力下で行われる。このときの圧力は、前記ランタナイトセリウムの反応が開始される時の反応系の圧力を意味する。上述したように、本発明の一具現例による製造方法では、ウレアを使用しないことからその気体産物が生成されないため、反応中の圧力が追加的に上昇することを減らすことができる。
【0060】
また、前記ランタナイトセリウムの反応は、約0.5〜100時間、好ましくは0.5〜48時間行われる。このような反応時間、前記ランタナイトセリウムを昇温反応させて、前記酸化セリウムの前駆体として使用可能な炭酸セリウム系化合物、例えば、斜方晶系セリウムオキシカーボネートハイドレート(Ce2O(CO32・H2O)または六方晶系セリウムヒドロキシカーボネート(Ce(OH)・(CO3))を優れた収率で得ることができ、反応時間が長くなりすぎて、劣悪な特性を有する酸化セリウムなどの副産物が形成されることを抑制することができる。
【0061】
一方、前記炭酸セリウム系化合物を形成するステップは、反応結果物を乾燥するステップをさらに含むことができる。本発明の一具現例では、ランタナイトセリウムと水などの液状媒質のみを投入するため、反応完了後に、追加的な洗浄ステップが必要せず、前記加熱過程の結果物を直に乾燥することができる。したがって、本発明の一具現例では、洗浄ステップまたは反応過程で発生される廃水、廃液による問題が発生しなくなる。
【0062】
本発明のまた他の具現例では、前記炭酸セリウム系化合物を約300乃至1500℃で熱処理して、酸化セリウムを形成することができる。前記熱処理は、酸化セリウムの製造時において通常使用されると知られた方法によることができるが、約300℃乃至1500℃、約350℃乃至1000℃、あるいは約400℃乃至1000℃で、約30分〜4時間熱処理するステップを含むことができる。このような熱処理温度が低くなりすぎたり、熱処理時間が短くなると、前記酸化セリウムの結晶性が低くなり、CMP用スラリーの研磨材などとして使用されたとき、好ましい研磨率などの研磨性能を示すことができない可能性もある。反対に、熱処理温度が高くなりすぎたり、熱処理時間が長くなると、結晶性が過度であって、研磨材などで使用されたとき、被研磨面にスクラッチなどを誘発することができる。このような熱処理工程は、rotary kilnまたはbox furnaceを用いて進行することができる。
【0063】
また、本発明のまた他の具現例では、前記熱処理された酸化セリウムを粉砕するステップを含む。本発明のまた他の具現例の製造方法によって得られる結晶性酸化セリウムは、粉砕前に、複数の酸化セリウム粒子を含み、それぞれの酸化セリウム粒子上には複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されており、それぞれの結晶粒は、一つ以上の酸化セリウム結晶を含む新規な結晶特性を示すものと確認された。これは、以前の方法で得られた酸化セリウム粒子で境界(boundary)及びこれによって定義される結晶粒(crystal grain)が観察されないこととは明確に区別される特性である。したがって、上述したように、本発明のまた他の具現例によれば、粉砕前に、複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されている複数の酸化セリウム粒子を含む結晶性酸化セリウムを得ることができる。
【0064】
このような特性を満たす酸化セリウムを粉砕する場合、より均一でかつ微細な粒径を有する粉末形態の結晶性酸化セリウムを得ることができ、このような酸化セリウムを錬磨剤として適用する場合、研磨特性が向上し、粉砕工程も単純化できることについては既に上述したところ、具体的な説明を省略する。
【0065】
前記粉砕するステップでは、垂直型ミル(mill)と水平型ミル(mill)を単独または共に適用することができるが、このような2種類の紛砕機を順次に適用することが酸化セリウムの粒径を均一にし、粒径分布を狭くするために好ましい。垂直型ミル(mill)と水平型ミル(mill)の適用順序は、粉砕条件または研磨粒子の特性を考慮して当業者が適切に調節することができる。従来のセリウム塩から酸化セリウムを製造する場合、分散方法を異なって適用しても粒径分布の改善には限界があるが、本発明のまた他の具現例により製造される酸化セリウムでは、粉砕前にそれぞれの酸化セリウム粒子上に境界が形成されて複数の結晶粒が定義され、このような境界に沿って前記酸化セリウムがより簡単に粉砕されることによって、より均一でかつ微細な粒径を有する酸化セリウム粉末を得ることができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によると、結晶構造、形状及び大きさなどを容易に調節することができ、優れた研磨特性を示し、単純な工程を通じて経済的でかつ効率的に製造することのできる結晶性酸化セリウム及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】実施例1で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図2】実施例2で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図3】比較例1で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図4】比較例2で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図5】実施例3で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図6】実施例4で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真である。
図7】実施例1乃至4で製造された酸化セリウムのX線回折分析結果を示すものである。
図8】実施例1で製造された酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
図9】比較例1で製造された酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
図10】実施例3で製造された酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
図11】実施例1で粉砕する前の酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
図12】実施例4で粉砕する前の酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下に、本発明の具体的な実施例を通じて本発明の作用及び効果をより詳述する。ただし、このような実施例は、本発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって、本発明の権利範囲が定められるのではない。
【実施例】
【0069】
<酸化セリウムの製造>
[実施例1:炭酸セリウム系化合物及び結晶性酸化セリウムの製造]
常圧(1atm)、常温(RT)下で、ランタナイトセリウム23kgを蒸溜水140kgに分散して形成した水溶液を、180℃に昇温した反応器で2時間反応させた。この後、反応結果物をスプレードライヤーで乾燥して、炭酸セリウム系化合物を得た。
【0070】
前記炭酸セリウム系化合物を回転式連続加熱炉であるRotary kilinで900度で熱処理して、酸化セリウムを得た。
【0071】
前記で製造された酸化セリウム10kgと分散剤150gを蒸溜水90kgに投入して、攪拌しながら、垂直型ミル(APEXミル、日本Kotobuki社製品、0.3mmビードの適用、攪拌力300〜800RPM、投入速度1〜5L/min)で1μm大きさまで粉砕し、これを、水平型ミル(ZRS10ミル、ドイツNetzsch社製品、0.1mmビードの適用、攪拌力500〜1300RPM)で粉砕した。
【0072】
[実施例2:炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムの製造]
ランタナイトセリウム70kgを使用する点を除いては、実施例1と同様な方法で炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムを得た。
【0073】
[実施例3:炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムの製造]
ランタナイトセリウム70kgを蒸溜水140kgに分散して形成した水溶液を、80℃に昇温した反応器で3時間維持し、130℃に昇温した反応器で1時間維持する点を除いて、実施例1と同様な方法で炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムを得た。
【0074】
[実施例4:炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムの製造]
ランタナイトセリウム70kgを蒸溜水140kgに分散して形成した水溶液を80℃に昇温した反応器で24時間維持する点を除いて、実施例1と同様な方法で炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムを得た。
【0075】
[比較例1:炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムの製造]
セリウム硝酸塩69kgを常温で蒸溜水32kgに溶解した第1水溶液と、沈澱剤であるウレア35kgを常温で蒸溜水32kgに溶解した第2水溶液とを反応器に投入して、混合させた後、反応器を180℃に昇温して、2時間反応させた。
【0076】
反応が完了されると、結果物を他の容器に移して、上澄液を除去し、除去された量ほど蒸溜水を投入して、攪拌した。このような上澄液の除去、蒸溜水の投入及び攪拌過程を繰り返して、イオン伝導度が1ms以下になるように洗浄した。
【0077】
洗浄が完了した後、スプレードライヤーで乾燥して、炭酸セリウム系化合物を収得した。
【0078】
前記炭酸セリウム系化合物を回転式連続加熱炉であるRotary kilinで900度で熱処理して、酸化セリウムを得た。
【0079】
酸化セリウム10kgと分散剤150gを蒸溜水90kgに投入して、攪拌しながら、垂直型ミル(APEXミル、日本Kotobuki社製品、0.3mmビードの適用、攪拌力300〜800RPM、投入速度1〜5L/min)で1μm大きさまで粉砕し、これを、水平型ミル(ZRS10ミル、ドイツNetzsch社製品、0.1mmビードの適用、攪拌力500〜1300RPM)で粉砕した。
【0080】
[比較例2:炭酸セリウム系化合物と酸化セリウムの製造]
常圧(1atm)、常温(RT)下で、セリウム硝酸塩43.4kgとウレア18kgを混合し、これを140℃まで昇温した反応器で16時間反応させた。この後、結果物をゆっくり冷却させ、水で希釈して、反応を終結した後、80℃の真空状態下で24時間乾燥させ、炭酸セリウム系化合物を製造した。
【0081】
前記炭酸セリウム系化合物を回転式連続加熱炉であるRotary kilinで900度で熱処理して、酸化セリウムを得た。
【0082】
酸化セリウム10kgと分散剤150gを蒸溜水90kgに投入して、攪拌しながら、垂直型ミル(APEXミル、日本Kotobuki社製品、0.3mmビードの適用、攪拌力300〜800RPM、投入速度1〜5L/min)で1μm大きさまで粉砕し、これを、水平型ミル(ZRS10ミル、ドイツNetzsch社製品、0.1mmビードの適用、攪拌力500〜1300RPM)で粉砕した。
【0083】
[比較例3:ランタナイトセリウムを直接加熱して酸化セリウムを製造]
ランタナイトセリウムを回転式連続加熱炉であるRotary kilinで900度で熱処理して、酸化セリウムを得た。
【0084】
酸化セリウム10kgと分散剤150gを蒸溜水90kgに投入して、攪拌しながら、垂直型ミル(APEXミル、日本Kotobuki社製品、0.3mmビードの適用、攪拌力300〜800RPM、投入速度1〜5L/min)で1μm大きさまで粉砕し、これを、水平型ミル(ZRS10ミル、ドイツNetzsch社製品、0.1mmビードの適用、攪拌力500〜1300RPM)で粉砕した。
【0085】
上記実施例1乃至4及び比較例1乃至3で製造された炭酸セリウム系化合物及び結晶性酸化セリウムの諸般物性を次の方法で確認し、表1にまとめ及び示した。
【0086】
まず、炭酸セリウム系化合物及び酸化セリウムの結晶構造及び形状に関する特性は、次の方法で確認した。
【0087】
上記実施例1乃至4及び比較例1乃至3で得られた炭酸セリウム系化合物及び酸化セリウムに対してXRD分析及びSEM分析を行い、結晶構造及び形状を確認した。XRD分析にはBruker D4 Endeavorを用い、SEM分析にはHITACHI S−4800を用いた。
【0088】
(1)XRDデータ
まず、XRDデータから、実施例で製造された酸化セリウムの結晶性を確認した。図7は、実施例1乃至4で製造された結晶性酸化セリウムのX線回折分析結果(XRDパターン)を示すものであって、これを通じて結晶性酸化セリウムの形成を確認した。
【0089】
(2)電子顕微鏡写真
A.上記実施例1乃至4及び比較例1乃至3で製造された炭酸セリウム系化合物の電子顕微鏡写真(SEM写真)は、図1乃至6に示された通りである。
【0090】
B.図8及び10は、それぞれ、実施例1及び3で製造された粉砕後の結晶性酸化セリウムの電子顕微鏡写真であり、図9は、比較例1で製造された酸化セリウムの電子顕微鏡写真である。
【0091】
図8及び10と図9を比較したとき、実施例1及び3で製造された結晶性酸化セリウム粒子の大きさは均一であるのに対し、比較例1で製造された酸化セリウム粒子は不均一な大きさで存在するものと確認された。これから、実施例で製造された結晶性酸化セリウムが従来技術による酸化セリウム(比較例1)より、狭い粒径分布を有するのが確認された。
【0092】
C.そして、図11及び12の電子顕微鏡写真に示されているように、実施例1及び4の結晶性酸化セリウムは、粉砕前に、複数の酸化セリウム粒子を含み、それぞれの酸化セリウム粒子上には複数の結晶粒(crystal grain)を定義する境界(boundary)が形成されており、それぞれの結晶粒は一つ以上の酸化セリウム結晶を含んでいる点が確認された。
【0093】
また、このような実施例1乃至4では、酸化セリウム粒子上に20乃至300nm、または40乃至200nmの大きさを有する結晶粒が形成される点も確認された。
【0094】
これに対し、比較例の酸化セリウムでは、酸化セリウム粒子上に境界がほとんど形成されず、前記境界によって定義される結晶粒が観察されないことが確認された。
【0095】
このような点から、上記実施例の結晶性酸化セリウムが粉砕後により微細でかつ均一な粒径を有することは、このような結晶粒及び境界に沿ってより均一な粉砕が行われるからであると確認された。
【0096】
加えて、酸化セリウムの結晶サイズは、XRD測定によるRietveld方法で測定し、平均粒子の大きさは、レーザ散乱法を用いるHoriba社の粒径測定装備LA910を用いて測定した。そして、粒径分布及び標準偏差もまた、Horiba社のLA910を用いて測定した。
【0097】
【表1】
【0098】
上記表1及び図1乃至6に示されるように、ランタナイトセリウムの反応温度、反応時間、蒸溜水及びランタナイトセリウムの使用量のような反応条件を調節して、炭酸セリウム系化合物の形状などを容易に調節して得ることができることが確認された。また、このような炭酸セリウム系化合物から形成された酸化セリウムを粉砕すると、非常に均一でかつ微細な酸化セリウム粉末、具体的に、70乃至120nm、好ましくは、70乃至95nm、より好ましくは、85乃至95nmの体積平均粒径及び8乃至12.5nmの粒径の標準偏差を有する結晶性酸化セリウムを得ることができることが確認された。
【0099】
これに比べて、比較例1乃至3によれば、十分な粉砕を進めて、体積平均粒径が比較的に微細に示される場合にも、標準偏差が大きくて不均一な粒径を有する酸化セリウムが得られることが確認された。
【0100】
<CMP用スラリーの研磨評価>
上記実施例1乃至4及び比較例1乃至3で製造されたCMP用スラリー(酸化セリウム、分散剤及び蒸溜水の混合物)に対してPOLI 500 Polisherで研磨評価を行い、結果を表2に示した。研磨後、研磨対象膜上のスクラッチ数は、KLA PENCO社のCS10装備で確認し、長さ300nm以上のdefectをスクラッチとし、スクラッチ数を算出した。
【0101】
【表2】
【0102】
上記表2を参照すると、実施例1乃至4のCMP用スラリーは、比較例1乃至3と類似の平均粒径を有する酸化セリウム粉末を研磨材として含むにもかかわらず、より優れた研磨率を示すことが確認された。また、研磨対象膜に発生するスクラッチの個数もまた、大きく減るようになることが確認された。
【0103】
これは、実施例1乃至4に含まれている酸化セリウム粉末がより均一な粒径(狭い粒径分布及び小さい標準偏差)を有するからであって、このような点は上述した平均粒径の測定過程で導き出した粒径分布を通じて確認された。このように、実施例1乃至4の酸化セリウム粉末がより均一な粒径を有することは、粉砕前に、前記酸化セリウム粒子上に境界(boundary)及び複数の結晶粒(crystal grain)が形成されることによって、このような境界に沿う粉砕が進められ、同一の粉砕工程によってもより均一な粉砕が行われるからであるとみられる。
【0104】
また、ランタナイトセリウムから直に製造された酸化セリウムを用いる比較例3の場合、粉砕後の酸化セリウム粉末の粒径分布が均一でないため、これを含むCMP用スラリーが相対的に劣悪な研磨率を示すことが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12