特許第5836522号(P5836522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836522
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】窒化ケイ素基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/591 20060101AFI20151203BHJP
   C04B 35/584 20060101ALI20151203BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   C04B35/58 102W
   C04B35/58 102C
   H05K1/03 610D
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-72347(P2015-72347)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-199657(P2015-199657A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-74340(P2014-74340)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト/高耐熱部品統合パワーモジュール化技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501415752
【氏名又は名称】日本ファインセラミックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】草野 大
(72)【発明者】
【氏名】田辺 元
(72)【発明者】
【氏名】平尾 喜代司
(72)【発明者】
【氏名】日向 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】周 游
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−128643(JP,A)
【文献】 特開平11−236270(JP,A)
【文献】 特開平09−030866(JP,A)
【文献】 特開平11−314969(JP,A)
【文献】 特開2002−293642(JP,A)
【文献】 特許第4997431(JP,B2)
【文献】 特許第5046221(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/584−35/596
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素粉末と、希土類元素化合物と、マグネシウム化合物とを含有する原料粉末であって、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、前記希土類元素化合物を酸化物換算でmol%以上7mol%以下含有し、前記マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上15mol%以下含有する原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、
前記原料粉末と、分散媒とを混合してスラリーを形成した後、前記スラリーをシート状に成形してシート体を形成するシート成形工程と、
前記シート体を窒素雰囲気中、1200℃以上1500℃以下で加熱し、シート体に含まれるケイ素を窒化する窒化工程と、
前記窒化工程を終えた前記シート体を窒素雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有する窒化ケイ素基板の製造方法。
【請求項2】
前記マグネシウム化合物が、酸化マグネシウム、ケイ化マグネシウム、窒化ケイ素マグネシウムから選択された1種類以上のマグネシウム化合物を含む請求項1に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
【請求項3】
前記希土類元素化合物に含まれる希土類元素がY、Sc、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybから選択された1種類以上の元素を含む請求項1または2に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
【請求項4】
前記シート成形工程により得られたシート体の相対密度が45%以上である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
【請求項5】
前記焼結工程後に得られた窒化ケイ素基板が、未加工の状態において、レーザーフラッシュ法により測定された熱伝導率が80W/mK以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、半導体デバイスの高集積化、高電力化に伴い半導体素子から発生する熱の放熱技術が極めて重要になってきている。このため、電子機器や、半導体デバイスで絶縁部材として用いられる基板等において放熱性に優れた放熱基板が求められている。
【0003】
放熱基板の材料として例えば金属やセラミックス等が考えられるが、金属はセラミックスと比較をすると耐酸化性、耐水性、耐食性に劣り、特に500℃を越える条件下で冷却なしで用いることは不可能である。また、導電性を有するため絶縁を要する高密度実装基板など高い放熱性を要求される絶縁基板として用いることは困難である。
【0004】
一方、セラミックスは金属と比較して高い耐酸化性、耐水性、耐食性を有しており、例えばアルミナ、窒化アルミニウム等が放熱基板の材料として採用されてきた。中でも窒化アルミニウムは優れた絶縁性と高熱伝導率を合わせ持つことから、パワーモジュール用放熱基板材料として使用されている。しかしながら、窒化アルミニウムは強度・破壊靭性等の機械的特性が低く、信頼性に欠けるためその用途は非常に限定的であった。
【0005】
一方、窒化ケイ素焼結体は、高い強度と高い靱性を合わせ持つ優れた構造用セラミック材料として広く知られており、単結晶での熱伝導率は200〜320W/mKと極めて高い値を示すと予測されている。このため、放熱基板の材料としての利用が期待されている。しかしながら一般的な窒化ケイ素焼結体においては、窒化ケイ素粒子内部に不純物酸素等が固溶している。このため熱伝導を担うフォノンが散乱されてしまい、窒化ケイ素焼結体は熱伝導率が20〜80W/mKと単結晶で予測されている値よりも遙かに低くなっていた。
【0006】
ここで、非特許文献1には、窒化ケイ素焼結体において高い熱伝導率を発現させるためには、焼結時に低熱伝導ガラス相の低減、および窒化ケイ素粒子内部に固溶する酸素を低減することが求められる旨開示されている。
【0007】
ところで、窒化ケイ素は共有結合性が極めて高く難焼結性材料である。その為、緻密な焼結体を得るためには焼結助剤を用いた液相焼結を行う必要がある。
【0008】
そして、窒化ケイ素の焼結体を製造する際に添加される焼結助剤として酸化物が挙げられる。添加された焼結助剤は窒化ケイ素粉末表面に存在するシリカと焼結中に反応することで液相を生成し、この液相によって緻密化と粒成長が進行する。焼結中に生成した液相は、冷却時に大部分はガラス相として焼結体に残留する。
【0009】
また、窒化ケイ素の焼結体を製造する際に、窒化ケイ素焼結体の高熱伝導化のために添加する焼結助剤として、酸素親和性が高い希土類酸化物が挙げられる。希土類酸化物を添加した場合、生成した液相が多くの酸素をトラップする効果を有するため、窒化ケイ素粒子内部の固溶酸素量が低減し、高熱伝導化を図ることができる。
【0010】
ただし、焼結助剤として希土類酸化物のみを添加した場合、生成する液相の融点が高いため、機械特性に優れた緻密な焼結体を得ることは困難である。このため、優れた機械特性と高い熱伝導率を共生させた窒化ケイ素焼結体を得るために、様々なアプロ−チが行われてきた。
【0011】
例えば特許文献1には、Al含有量が0.1重量%以下の窒化ケイ素粉末に、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の元素の酸化物焼結助剤を1重量%以上15重量%以下添加して成形した後、1気圧以上500気圧以下の窒素ガス圧下で、1700℃以上2300℃以下の温度で、気孔率が5%以下でかつ所定の組織が発現するまで焼成する高熱伝導率窒化ケイ素質焼結体の製造方法が開示されている。そして、熱伝導率が80W/(m・K)以上であり、破壊靭性が7MPam1/2以上、4点曲げ法で測定した曲げ強度が600MPa以上である高熱伝導率窒化ケイ素質焼結体を得られることが開示されている。
【0012】
また、特許文献2には、窒化ケイ素粉末にマグネシウムおよびイットリウムおよび/またはランタノイド族元素の1種以上の酸化物を、総計で1.0wt%以下添加した原料粉末を成形した後に、温度1800℃〜2000℃、窒素圧0.5MPa〜10MPa、焼成雰囲気調整用の詰粉に、窒化ケイ素、窒化ホウ素および酸化マグネシウムからなる混合粉末を用いて焼成する高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法が開示されている。また、焼結体の粒子の大きさ、窒化ケイ素粒子内の酸素量、残留焼結助剤成分量を所定の範囲とすることにより、常温における熱伝導率が90W/mK以上、3点曲げ強度が600MPa以上の窒化ケイ素質焼結体とした例が開示されている。
【0013】
また、非特許文献2では、従来の焼結法では、焼結時間の増加とともに、窒化ケイ素の粒成長が進み熱伝導率は向上するものの過度の粒成長のため、熱伝導率の向上とともに、強度、及び破壊靭性が著しく低下することが開示されている。
【0014】
上述の事例で例示したように、従来法では窒化ケイ素粉末を用い、焼結助剤の種類、添加量、焼結条件などのプロセスパラメータを最適化し、所定の微細構造を発現させることにより、80W/mK以上の熱伝導率と600MPa以上の曲げ強度を持つ窒化ケイ素焼結体を作製していた。
【0015】
しかし、特許文献1、2に開示されたいずれの製造方法においても、高価な窒化ケイ素粉末を用いるため、製造コストが高くなるという問題があった。また、熱伝導率を100W/mKより高くなるように焼結条件を変更した場合、急激に強度、靭性が低下し、機械的な信頼性が乏しくなるという問題があった。
【0016】
このように、製造コストと、熱伝導、及び機械特性との共生の2つの観点から、従来の焼結法で得られる高熱伝導窒化ケイ素は、そのような要求を満足するものでなかった。
【0017】
そこで、原料粉末に要するコストを低減させるという観点から、原料粉末として安価なケイ素粉末を用い、その成形体を窒素中で窒化後、高温で焼結するいわゆる反応焼結手法を用いた高熱伝導窒化ケイ素材料の開発が行なわれている。
【0018】
例えば特許文献3には、含有酸素量が1重量%以下のSi粉末80〜99重量%と、Y、Yb、Smの少なくとも1種の元素の酸化物粉末1〜20重量%とを混合し、その成形体を窒素雰囲気中で1400℃以下の温度で窒化処理した後、得られた窒化体を窒素含有雰囲気中で1700〜1950℃の温度で焼成するSi焼結体の製造方法が開示されている。係るSi焼結体の製造方法においては、含有酸素量が1重量%以下の高純度のSi粉末を用いることにより、Si結晶粒子内への不純物酸素イオンの固溶を抑制し、Si焼結体の高熱伝導化を図るとされている。また、原料粉末に更にSi粉末の1〜10重量%の還元性コーティング剤を添加混合し、その成形体を100Torr以下の真空中か又は窒素含有雰囲気中にて200〜800℃の温度で熱処理した後、上記窒化処理及び焼成を行うことにより、得られるSi焼結体中の酸素含有量が更に減少し、熱伝導率が一層向上する旨も記載されている。
【0019】
また、特許文献4、5には、ケイ素粉末或いはケイ素粉末と窒化ケイ素粉末の混合粉末に、ケイ素を窒化ケイ素に換算した際の比率において、0.5〜7mol%の希土類元素の酸化物と、1〜7mol%のマグネシウム化合物とを混合すること。該混合物を成形して窒化し、得られた窒化体を所定の圧力の窒素中で加熱して相対密度が95%以上になるように緻密化することにより窒化ケイ素焼結体を製造することが開示されている。そして、熱伝導率が100W/mK以上、3点曲げ強度が600MPa以上、破壊靱性値が7MPam1/2以上の特性を有する窒化ケイ素焼結体が得られることが開示されている。
【0020】
しかしながら、特許文献3〜5開示された窒化ケイ素焼結体の製造方法に従って窒化ケイ素基板を製造した場合、窒化ケイ素基板の表層部に90μm〜140μm程度の厚みで気孔を多く含んだ多孔質の変質層が生じていた。窒化ケイ素基板の表面に変質層が含まれると、該窒化ケイ素基板の電気的特性及び機械強度が低下するため、窒化ケイ素基板表面に形成された変質層の部分を研削等により削り落とす必要があり、製造工程の増加や、それに伴いコストが増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平9−30866号公報
【特許文献2】特開2002−293642号公報
【特許文献3】特開平11−314969号公報
【特許文献4】特許第5046221号
【特許文献5】特許第4997431号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Journal of the American Ceramic Society,“Thermal Conductivity of be−ta−Si3N4 II :Effect of Lattice Oxygen,”83[8]1985−1992(2000)
【非特許文献2】Y. Hayashi et al., J. Ceram. Soc.Japan, 109, p.1046(2001).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ケイ素粉末を含む原料粉末から製造することができ、焼結体を形成後に変質層を除去する必要のない緻密な窒化ケイ素基板を製造できる窒化ケイ素基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ケイ素粉末と、希土類元素化合物と、マグネシウム化合物とを含有する原料粉末であって、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、前記希土類元素化合物を酸化物換算でmol%以上7mol%以下含有し、前記マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上15mol%以下含有する原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、
前記原料粉末と、分散媒とを混合してスラリーを形成した後、前記スラリーをシート状に成形してシート体を形成するシート成形工程と、
前記シート体を窒素雰囲気中、1200℃以上1500℃以下で加熱し、シート体に含まれるケイ素を窒化する窒化工程と、
前記窒化工程を終えた前記シート体を窒素雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有する窒化ケイ素基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ケイ素粉末を含む原料粉末から製造することができ、焼結体を形成後に変質層を除去する必要のない緻密な窒化ケイ素基板を製造できる窒化ケイ素基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1において得られた窒化ケイ素基板断面のSEM画像。
図2A】比較例1において得られた窒化ケイ素基板断面のSEM画像。
図2B】比較例1において得られた窒化ケイ素基板断面のSEM画像。
図3】比較例2において得られた窒化ケイ素基板断面のSEM画像。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0028】
本実施形態では、本発明の窒化ケイ素基板の製造方法の一構成例について説明する。
【0029】
本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法は、以下の各工程を有することができる。
【0030】
ケイ素粉末と、希土類元素化合物と、マグネシウム化合物とを含有する原料粉末であって、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、希土類元素化合物を酸化物換算で1mol%以上7mol%以下含有し、マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上15mol%以下含有する原料粉末を準備する原料粉末準備工程。
【0031】
原料粉末をシート状に成形してシート体を形成するシート成形工程。
【0032】
シート体を窒素雰囲気中、1200℃以上1500℃以下で加熱し、シート体に含まれるケイ素を窒化する窒化工程。
【0033】
窒化工程を終えたシート体を窒素雰囲気下で焼結する焼結工程。
【0034】
以下に各工程について説明する。
(原料粉末準備工程)
原料粉末準備工程では、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においてケイ素供給源となるケイ素粉末(金属ケイ素粉末)と、焼結助剤である希土類元素化合物(希土類元素化合物粉末)と、マグネシウム化合物(マグネシウム化合物粉末)と、を所定比で含む原料粉末を準備できる。
【0035】
上述のように従来の窒化ケイ素焼結体の製造方法においては、出発原料に含まれるケイ素供給源として窒化ケイ素粉末のみを用いる方法が提案されていた。しかしながら、窒化ケイ素粉末は高価なため、ケイ素供給源として窒化ケイ素粉末のみを用いると製造コストが上昇するという問題があった。これに対して本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては、原料としてケイ素粉末を用い、反応焼結を利用して窒化ケイ素基板を製造することができる。
【0036】
なお、ケイ素供給源としてケイ素粉末に加えて、窒化ケイ素粉末も用いることができる。すなわち、ケイ素供給源としては、ケイ素粉末、あるいはケイ素粉末と窒化ケイ素粉末との混合粉末を用いることができる。ただし、原料粉末に含まれるケイ素供給源のうち、窒化ケイ素粉末は20mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることがより好ましい。より望ましくは5mol%以下であるほうが、原料費を抑制することが可能である。原料粉末中に含まれるケイ素供給源はケイ素粉末のみでもいいため、原料粉末に含まれるケイ素供給源のうち、窒化ケイ素粉末の割合の下限値は例えば0mol%以上とすることができる。なお、上記窒化ケイ素のモル濃度は、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算して計算した値、すなわち、ケイ素粉末のケイ素1molを1/3molとして計算した場合の値である。具体的には、例えば原料粉末がケイ素供給源としてケイ素粉末3mol、窒化ケイ素粉末1molを含む場合、原料粉末中に含まれるケイ素供給源のうち、窒化ケイ素粉末は50mol%含まれることになる。
【0037】
ケイ素粉末、またはケイ素粉末と窒化ケイ素粉末との混合粉末の平均粒径は、1μm以上30μm以下の範囲にあることが好ましく、5μm以上15μm以下の範囲にあることがさらに好ましい。
【0038】
なお、本明細書において平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0039】
一般に市販されている窒化ケイ素粉末や、ケイ素粉末には、不可避的な不純物が含まれている。窒化ケイ素粉末や、ケイ素粉末に含まれる酸素量は粉末の性状により異なるが、例えば窒化ケイ素粉末の場合、1.2mass%程度、ケイ素粉末の場合、0.2mass%から数mass%程度含まれている。
【0040】
本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法に用いる窒化ケイ素粉末の純度は98%以上99.99%以下の範囲に含まれていることが好ましく、99%以上99.9%以下の範囲に含まれていることがさらに好ましい。
【0041】
また、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法に用いるケイ素粉末の純度は99%以上の範囲に含まれていることが好ましく、99.5%以上の範囲に含まれていることがさらに好ましい。
【0042】
後述するように、窒化ケイ素基板を製造する際、窒化ケイ素基板の熱伝導率を向上させるためには、窒化ケイ素焼結体の結晶中に含まれる固溶酸素量を低減することが好ましい。そして、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法によれば、反応焼結を用いておりケイ素粉末を出発原料としているため、ケイ素供給源として窒化ケイ素のみを出発原料として用いる場合と比較して酸素量の低減という観点から大きな利点を有する。これは、ケイ素粉末を出発原料として用いた場合、出発原料である原料粉末をシート状に成形するシート成形工程の後、出発原料を窒化する窒化工程を実施することとなる。そして窒化工程においては、以下の(式1)に示す窒化反応が行われる。
【0043】
3Si+2N=Si・・・(式1)
係る窒化反応においては、試料重量が、約70%増加するため、相対的に原料粉末中の不純物酸素量が低下する。このため上述のように、ケイ素供給源としてケイ素粉末を用いることにより、ケイ素供給源として窒化ケイ素のみを出発原料として用いる場合と比較して窒化ケイ素焼結体の結晶中の酸素量を低減することができる。
【0044】
本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては上述のように窒化反応を経ることにより相対的に原料粉末中の不純物酸素量を低下することができる。このため、原料のケイ素粉末中の不純物酸素量の影響は軽微なものとなる。従って、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては、不純物酸素濃度が高い低品位のケイ素粉末から、不純物酸素量の低い高品位なケイ素粉末まで多様なケイ素粉末を用いることができる。ただし、特に窒化ケイ素基板中の不純物酸素量を低減させる必要がある場合には不純物酸素濃度が低い高品位なケイ素粉末を用いることが好ましい。
【0045】
さらにケイ素粉末成形体の窒化を行った場合、該成形体は寸法変化を伴わずに重量が増加するため、得られる窒化体は窒化前の成形体に比べて十数%相対密度が高くなり、ポスト焼結過程(焼結工程)での緻密化が容易である。このことはさらに、焼成時間の短縮化を可能とし、機械特性に悪影響を及ぼす過度の粒成長を防ぐことを可能とする、等の利点を有する。このように本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては反応焼結を利用するため、窒化ケイ素基板の高熱伝導化の観点から優れた特徴を有している。
【0046】
上述のように、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては、ケイ素粉末を含む原料粉末を窒化する窒化工程の後、焼結工程を経ることにより窒化ケイ素基板を製造できる。しかし、窒化ケイ素は難焼結体であるため窒化ケイ素のみでは焼結はせず緻密体を得ることはできない。そこで、焼結し、緻密体を得るため焼結助剤が添加される。そして、(1)窒化ケイ素焼結体の結晶中に固溶酸素が存在すること、(2)窒化ケイ素焼結体に残留する低熱伝導の粒界ガラス相が存在すること、が焼結体の熱伝導率が単結晶の理論熱伝導率よりも低下する要因であると考えられる。このため、(a)窒化ケイ素焼結体中の窒化ケイ素粒子に含まれる固溶酸素量を低減すること、(b)窒化ケイ素焼結体中の低熱伝導の粒界ガラス相の低減すること、により窒化ケイ素焼結体の熱伝導率を向上させることができる。
【0047】
従って、上記要件を満たすように焼結助剤を選択することにより、窒化ケイ素の高熱伝導化を達成できると考えられる。そして、(a)窒化ケイ素焼結体中の窒化ケイ素粒子に含まれる固溶酸素量を低減させるためには、酸素との親和性が高く粒界ガラス相に酸素をトラップする能力に優れた希土類元素化合物を焼結助剤として用いることが好ましい。また、(b)窒化ケイ素焼結体中の低熱伝導の粒界ガラス相の低減には、加熱時に生成する融液の融点を低下させ、焼結初期に緻密化に貢献し、更に、高温での焼結時に蒸発揮散するマグネシウム化合物を焼結助剤として用いることが好ましい。
【0048】
ところで、既述のように従来技術において基板表面に変質層が生じる原因について本発明の発明者らが検討を行ったところ、窒化ケイ素基板を作製する際に焼結助剤が揮発することにより生じていることを見出した。
【0049】
そこで本発明の発明者らは、高熱伝導率窒化ケイ素焼結体基板を反応焼結による手法で製造することを目的に焼結助剤の組成が、窒化体をポスト焼成して得られる窒化ケイ素焼結体基板の緻密化と熱伝導率に及ぼす影響について検討を行った。そして、焼結助剤として希土類元素化合物と、マグネシウム化合物と、を用い、その添加量を制御することにより、焼結体を形成後に変質層を除去する必要のない緻密な窒化ケイ素基板を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0050】
本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては、焼結助剤として希土類元素化合物と、マグネシウム化合物とを好ましく用いることができる。焼結助剤として用いる希土類元素化合物及びマグネシウム化合物は原料粉末準備工程において、ケイ素粉末と共に原料粉末として準備することができる。
【0051】
希土類元素化合物の添加量は特に限定されるものではないが、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、原料粉末が希土類元素化合物を酸化物換算で1mol%以上7mol%以下含有するように添加することが好ましい。なお、希土類元素化合物の添加量(モル濃度)は、原料粉末に含まれるケイ素供給源(ケイ素粉末、場合によってはさらに窒化ケイ素粉末を含む)、希土類元素化合物、及びマグネシウム化合物の3つの成分中の希土類元素化合物のモル濃度を意味しており、以降の記載でも同様である。
【0052】
希土類元素化合物は上述のように酸素との親和性が高く粒界ガラス相に酸素をトラップする能力に優れている。このため、希土類元素化合物の添加量が1mol%未満の場合、粒界相(粒界ガラス相)に酸素をトラップすることができず、窒化ケイ素粒子に含まれる固溶酸素量が多くなり熱伝導率が低くなるためである。また、7mol%を超えると、希土類元素化合物を含む低熱伝導の粒界相の量が多くなり焼結体の熱伝導率が低くなる場合があるためである。
【0053】
特に、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、原料粉末が希土類元素化合物を酸化物換算で1.5mol%以上5mol以下含有するように添加することがより好ましく、2mol%以上4mol%以下含有するように添加することがさらに好ましい。
【0054】
希土類元素化合物としては特に限定されるものではないが、希土類元素化合物に含まれる希土類元素は、Y、Sc、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybから選択された1種類以上の元素を含むことが好ましい。特に、希土類元素化合物に含まれる希土類元素は、Y、Sc、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybから選択された1種類以上の元素であることがより好ましい。希土類元素化合物としては例えば、希土類元素酸化物が挙げられる。希土類元素化合物としては具体的には例えば、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化イッテリビウムや酸化スカンジウム等を好ましく用いることができる。希土類元素化合物は1種類に限定されるものではなく、2種類以上の希土類元素化合物を同時に用いることができる。
【0055】
マグネシウム化合物の添加量については特に限定されるものではないが、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上15mol%以下含有することが好ましい。なお、マグネシウム化合物の含有量(モル濃度)は、原料粉末に含まれるケイ素供給源(ケイ素粉末、場合によってはさらに窒化ケイ素粉末を含む)、希土類元素化合物、及びマグネシウム化合物の3つの成分中のマグネシウム化合物のモル濃度を意味しており、以降の記載でも同様である。
【0056】
希土類元素化合物のみを焼結助剤として添加して窒化ケイ素焼結体を作製した場合、緻密化を行なうためには10MPa程度の高窒素圧中、2000℃に及ぶ超高温での焼成が必要となり、特殊な焼成炉を要するのでプロセスコストが高くなる。また、超高温での焼成により著しい粒成長が生じ、機械特性の低下を招く。このため、ポスト焼結時の緻密化を促進し、また、高強度、高靭性の発現を可能とするためには、希土類元素化合物の添加と同時にマグネシウム化合物を添加することが好ましい。マグネシウム化合物を添加することにより、Mgイオンが加熱時に生成する酸窒化ガラスの修飾イオンとなり、ガラスの粘性を低下させ、緻密化を促進するとともに、焼成中に蒸発揮散し、残留する粒界相の量を低減させる働きがある。そして、マグネシウム化合物の添加量が8mol%未満の場合、焼結収縮が行われる前にマグネシウムが揮発し、その結果、変質層が発生し緻密体を得ることができない。また添加量が15mol%より多い場合、ポスト焼結(焼結工程)後にも多量のマグネシウムが残留し焼結体の熱伝導率を阻害する恐れがある。このため、上述のように原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上15mol%以下含有するように添加することが好ましい。また、原料粉末中のケイ素を窒化ケイ素に換算した場合に、マグネシウム化合物を酸化物換算で8mol%以上10mol%以下含有するようにマグネシウム化合物を添加することがより好ましい。
【0057】
マグネシウム化合物としては特に限定されるものではなく、例えば、マグネシウムのケイ化物、フッ化物、ホウ化物、窒化物、更にはこれらの三元系化合物を用いることができる。特に、取り扱いの容易性、プロセス時の安定性、有害物質の発生がないことなどから、原料粉末に添加するマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム(MgO)、ケイ化マグネシウム(MgSi)あるいは窒化ケイ素マグネシウム(MgSiN)から選択された1種類以上のマグネシウム化合物を含むことが好ましい。また、原料粉末に添加するマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム(MgO)、ケイ化マグネシウム(MgSi)あるいは窒化ケイ素マグネシウム(MgSiN)から選択された1種類以上のマグネシウム化合物であることがより好ましい。
【0058】
以上に説明した原料粉末準備工程において準備する原料粉末はケイ素供給源となるケイ素粉末と、希土類元素化合物と、マグネシウム化合物と、を混合して混合粉末とすることもできる。なお原料粉末はケイ素供給源として、上述のように場合によってはさらに窒化ケイ素を含んでいてもよい。
【0059】
また、原料粉末に含まれる成分(粉末)を秤量後混合せずに、後述するシート成形工程でシート体を形成するためにスラリーを形成する際にスラリーを構成するその他の成分と共にあわせて混合、粉砕することもできる。
(シート成形工程)
シート成形工程においては、原料粉末準備工程で所定の組成となるように準備した原料粉末をシート状に成形してシート体(グリーンシート体)を形成することができる。
【0060】
具体的にはまず、原料粉末準備工程において所定の組成となるように準備した原料粉末は、水或いは有機溶剤を分散媒として用い、必要に応じて有機系バインダー(有機系結合剤)や分散剤を添加し、ボールミルや遊星ミルにより通常の方法で混合することができる。
【0061】
なお、上述のように原料粉末準備工程では、原料粉末に含まれるケイ素粉末(場合によってはさらに窒化ケイ素粉末)や、希土類元素化合物、マグネシウム化合物等を予め混合して混合粉末とし、該混合粉末と上述した分散媒等とを混合してもよい。また、原料粉末準備工程では、原料粉末に含まれるケイ素粉末等を秤量するのみとして、上述した分散媒等を入れたボールミル等に原料粉末に含まれるケイ素粉末等の各粉末を投入し、原料粉末の混合と、原料粉末と分散媒等との混合と、を同時に実施しても良い。
【0062】
シート成形工程において、シート成形する試料を調製する際に添加する分散媒や、有機系バインダー、分散剤の材料、添加量、添加方法は特に限定されるものではなく、シート成形する方法等に応じて任意に選択することができる。
【0063】
原料粉末に対して、分散媒や、有機系バインダー、分散剤を添加する具体的な条件例について以下に説明する。
【0064】
原料粉末準備工程で説明した所定比となるように各原料粉を秤量した原料粉末を準備する。そして、例えば原料粉末に対して0.5wt%以上2wt%以下の分散剤および30wt%以上70wt%以下の有機溶剤等の分散媒が入れられ、混合されたボールミル等のミリング容器に原料粉末を添加する。分散剤としては例えばソルビタンエステル型やポリオキシアルキレン型等を、分散媒の有機溶剤としては例えばエタノールやトルエン等を用いることができる。なお、上述のように分散媒としては水を用いることもできる。また、分散剤を添加せず、分散媒のみを用いても良い。
【0065】
そして、例えばボールミルにより原料粉末の混合粉砕を行うことができる。混合粉砕を行う時間は使用するミリング装置や出発原料の量、特性等により異なるため特に限定されないが、原料粉末を十分に粉砕、混合できるように時間を選択することが好ましい。粉砕混合時間は例えば6時間以上48時間以下行うことが好ましく、12時間以上24時間以下行うことがより好ましい。例えば粉砕混合時間が6時間未満の場合、焼結助剤が均一に混合されず焼結にムラが生じる場合や、ケイ素粉末が粗大なまま存在し、絶縁特性等に影響が生じる場合があるためである。また、48時間より長い時間混合粉砕を行っても混合状態に大きな変化はなく、むしろボールやポットから不純物が混入する恐れがあるためである。なお、粉砕混合後、必要に応じて分散媒の除去を行うこともできる。
【0066】
粉砕混合の後さらに、5wt%以上30wt%以下の有機系バインダー(有機系結合剤)を添加し混合を行いスラリーを作製することもできる。有機系バインダーについても特に限定されないが、例えばPVB系(ポリビニルブチラール樹脂)もしくはエチルセルロース系樹脂、もしくはアクリル系樹脂等を好ましく用いることができる。
【0067】
有機系バインダーを添加した後の混合時間についてもミリング装置等の混合に用いる装置の性能等により異なるため特に限定されるものではないが、例えば1時間以上24時間以下とすることが好ましく、6時間以上12時間以下とすることがより好ましい。混合時間が1時間未満の場合、有機系バインダーと原料粉末が均等に混合されずシート成形を行う際に、作製したシートにクラックが発生する場合があり好ましくないためである。また通常、24時間よりも長い時間混合を行っても有機系バインダーと原料粉末との混合状態に大きな変化がないため、生産性の観点から混合時間は24時間以下とすることが好ましい。
【0068】
有機系バインダーを添加し、混合した後、作製したスラリーは真空脱泡を行ってスラリーの粘度調整をし、シート成形機で塗工し、シート成形を行うことができる。
【0069】
上述のようにボールミルや遊星ミルにより、原料粉末と分散媒等とを混合した後、必要に応じて分散媒を除去し、場合によってはさらに有機系バインダーを添加した後、原料粉末または、原料粉末を含むスラリーをシート状に成形してシート体を形成できる。原料粉末をシート状に成形する方法は特に限定されるものではないが、例えば金型成形、シート成形、押し出し成形、静水圧加圧成形(CIP成形)等を用いることができる。本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法においては変質層が形成されず、除去する必要はないため、変質層分の厚さは考慮する必要がない。このため、薄いシート状に容易に成形できるシート成形を好ましく用いることができる。
【0070】
シート成形工程において形成するシート体の形状、サイズは特に限定されるものではなく、窒化ケイ素基板とした際に要求される形状、サイズに応じて任意の形状、サイズとすることができる。例えば成形工程において形成するシート体はその厚さを0.05mm以上2.5mm以下とすることが好ましく、0.25mm以上1.0mm以下とすることがより好ましい。
【0071】
シート成形工程で得られたシート体に対して、必要に応じて例えば打ち抜き機等で所定の大きさにカットを行うことができる。
【0072】
シート成形工程においては、得られるシート体の相対密度を45%以上とすることが好ましく、50%以上とすることがより好ましい。なお、上述のように得られたシート体のカットを行う場合には、カット後のシート体の相対密度が上記範囲を充足することが好ましい。シート成形工程において、得られるシート体の相対密度は、シート成形工程に供給するスラリーに含まれる原料粉末の量(固形分濃度)と、スラリーに添加されるバインダー量により調整することができる。シート成形工程において得られるシート体の相対密度を45%以上にすることにより、シート体内の空孔を十分に少なくすることができ、後述する焼結工程後に得られる窒化ケイ素基板の相対密度をより高くすることが可能になる。なお、シート成形工程において得られるシート体の相対密度の上限値は特に限定されないが、相対密度を高くする為にはバインダー等の添加量を減らしスラリーの固形分濃度を高くする必要があるが、クラック等が発生し取扱が困難になるため例えば65%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
(窒化工程)
窒化工程では、シート成形工程で形成したシート体を窒素雰囲気中で加熱することにより、シート体に含まれるケイ素を窒化することができる。
【0073】
なお、上述したシート成形工程でシート体に成形した後上述した窒化を行う前に、シート体に含まれる成形に用いた有機バインダー等を除去するために、800℃以下の温度で仮焼することもできる(脱バインダー工程)。
【0074】
また、窒化工程を開始する前に炉内に存在していたガスを除去するため、一旦炉内を真空引きしてから窒素ガスを炉内に供給し、窒化工程を開始することが好ましい。窒素ガスを供給する前に炉内を真空引きする程度については特に限定されるものではないが、例えば、1Pa以下まで真空引きすることが好ましく、10−1Pa以下まで真空引きすることがより好ましい。
【0075】
窒化工程における加熱温度は特に限定されないが、例えば1200℃以上1500℃以下であることが好ましく、1350℃以上1480℃以下であることがより好ましい。
【0076】
窒化工程の時間は、1時間以上15時間以下の範囲に含まれることが好ましく、3時間以上10時間以下の範囲に含まれることがさらに好ましい。
【0077】
これは、例えば窒化工程における加熱温度が1200℃未満の場合、または窒化工程の時間が短すぎる場合、シート体に未反応のケイ素粉末が残存し、焼結工程後、緻密体を得ることができない場合があるためである。また、1500℃より高い温度で窒化反応を行う場合、または窒化工程の時間が長すぎる場合、焼結助剤成分が揮発して焼結工程において焼結助剤成分が不足し、焼成後緻密体を得ることは難しくなる場合があるためである。
【0078】
窒化工程でシート体を加熱する方法は特に限定されるものではないが、例えば、シート体を離型用のBN粉やBN板の間に置いて積み重ね、黒鉛の断熱材と黒鉛ヒーターで構成された真空・加圧雰囲気炉にセットして実施できる。真空・加圧雰囲気炉は、例えばタイトボックス式電気炉を用いることで、内部で発生したガスを外部に排出することができる。内部で発生したガスを外部に排出できる炉、具体的には例えばタイトボックス式電気炉を用いることにより、例えば成形に用いた有機系バインダーを除去する脱バインダー工程も実施する場合、脱バインダー工程、窒化工程、さらには焼結工程を1つの炉で実施できる。このため、生産性を高めることができるため好ましい。
(焼結工程)
焼結工程においては、窒化工程を行った後のシート体を窒素雰囲気下で焼結することができる。
【0079】
焼結工程における加熱温度は特に限定されるものではないが、例えば1700℃以上1950℃以下で加熱することが好ましく、1750℃以上1900℃以下で加熱することがより好ましい。
【0080】
焼結工程の時間は、1時間以上48時間以下の範囲に含まれることが好ましく、5時間以上24時間以下の範囲に含まれることがさらに好ましい。
【0081】
これは、ポスト焼結温度である焼結工程の加熱温度が、1700℃未満の場合、または焼結工程の時間が短すぎる場合、シート体を十分に緻密化できない場合があるためである。一方、焼結工程の加熱温度が1950℃より高温の場合または焼結工程の時間が長すぎる場合には過度の粒成長が生じ、得られる窒化ケイ素基板の強度が低下する場合があるためである。
【0082】
焼結工程においては窒素雰囲気下で加熱を行うことが好ましいが、この際の窒素雰囲気圧力は特に限定されるものではなく、例えば焼結工程の加熱温度により窒化工程で生成した窒化ケイ素が分解しない程度の圧力下で加熱を行うことが好ましい。具体的には例えば0.1MPa以上であることが好ましく、0.9MPa以上であることがより好ましい。ただし、窒素雰囲気の圧力が高くなりすぎると、耐圧性の高い特殊な炉を使用する必要が生じるため、例えば窒素の雰囲気圧力は1MPa以下とすることが好ましく、0.92MPa以下とすることがより好ましい。
【0083】
焼結工程を実施することにより、例えば相対密度が95%以上の窒化ケイ素基板を得ることができ、焼結工程後に得られた窒化ケイ素基板は変質層を含まない緻密な基板とすることができる。このため、焼結工程後に得られた窒化ケイ素基板は、未加工の状態において、レーザーフラッシュ法により測定された熱伝導率が80W/mK以上、好ましくは110W/mK以上とすることができる。
【0084】
また、焼結工程を実施した窒化ケイ素基板は、β相窒化ケイ素を主成分とし、希土類元素を含有した基板とすることができる。なお、希土類元素は単体の状態であってもよく、他の物質と化合物を形成していても良い。この際、窒化ケイ素基板には、酸化物に換算して1mol%以上4mol%以下の希土類元素が含まれていることが好ましい。また、焼結工程を実施した窒化ケイ素基板のマグネシウムの存在量は酸化物に換算して2mol%以下であることが好ましい。焼結工程を実施した窒化ケイ素基板がマグネシウムを含有する場合、マグネシウムは単体の状態であってもよく、他の物質と化合物を形成していてもよい。
【0085】
焼結工程後に得られる窒化ケイ素基板の厚さは特に限定されるものではなく、任意の厚さとすることができるが、例えば半導体素子や電子機器の絶縁放熱基板として用いる場合、0.05mm以上2.5mm以下とすることが好ましい。なお、焼結工程後に得られる窒化ケイ素基板の厚さはシート成形工程において形成するシート体の厚さを調整することにより選択することができる。
【0086】
以上に説明した本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法によれば、ケイ素粉末を含む原料粉末を用い、表面に変質層が存在せず95%以上の相対密度に緻密化された窒化ケイ素基板の製造方法を提供することができる。そして、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法によれば焼結後未加工の状態でレーザーフラッシュ法により測定される熱伝導率が80W/mK以上、好ましくは110W/mK以上の窒化ケイ素基板の製造方法を提供することができる。
【0087】
すなわち、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法によれば、反応焼結の手法を利用して合成することができ、高い信頼性を有し、焼結体を形成後に変質層を除去する必要のない緻密な高熱伝導性窒化ケイ素基板の製造方法を提供することができる。さらには、該製造方法により製造された高熱伝導性窒化ケイ素基板及びその応用製品を提供することができる。
【0088】
また、本実施形態の窒化ケイ素基板の製造方法により得られる窒化ケイ素基板には上述のように表面に変質層が存在しないため、従来技術のように予め厚い窒化ケイ素基板を製造し、変質層部分を除去する必要がなくなる。このため、従来技術よりも工程数を削減し、コストを低減できる。さらに、窒化工程や焼結工程に供するシート体も薄くていいため、シート体の成形に薄板成形法、例えばシート成形などを利用することが可能になる。
【実施例】
【0089】
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順によりサンプルNo.1−1〜No.1−4の4種類の窒化ケイ素基板を製造した。
(原料粉末準備工程)
ケイ素粉末として、純度99.9%、平均粒径10μm、不純物酸素量0.10mass%の粉末を使用した。マグネシウム化合物として、平均粒径0.1μmの酸化マグネシウム粉末(宇部マテリアル株式会社製)、あるいは平均粒径1.0μm窒化ケイ素マグネシウム粉末を使用した。また、希土類元素化合物として、平均粒径1.5μmの酸化イットリウム粉末(信越化学工業株式会社製)を使用した。
【0090】
なお、ケイ素粉末の不純物酸素量は、窒素・酸素同時分析装置(LECOジャパン合同会社製 型式:TC−600)を用いて測定した。
【0091】
上記の原料を表1に示すサンプルNo.1−1〜No.1−4の各組成となるように秤量して、原料粉末を準備した。なお、表1ではマグネシウム化合物と、希土類元素化合物の割合のみを示しているが、残部はケイ素粉末となる。また、表1に示したモル比はケイ素(Si)が窒化ケイ素(Si)に完全に窒化したと仮定して、ケイ素を窒化ケイ素に換算し、マグネシウム化合物は酸化マグネシウム(MgO)に換算した時のモル比を示している。
(シート成形工程)
エタノールを分散媒として、樹脂ポットと窒化ケイ素ボールを用いて、原料粉末準備工程で準備した各サンプルの原料粉末を24時間ボールミルで粉砕混合を行った。なお、エタノールはスラリーの濃度が45wt%となるように予め秤量し、樹脂ポット内に投入した。粉砕混合後、有機系バインダーである樹脂バインダー(積水化学工業、商品名「エスレック」)10wt%を添加し、さらに12時間混合を行った。そして、真空脱泡機(サヤマ理研製)を用いて粘度調整を行い、塗工用スラリーを作製した。粘度調整をしたスラリーは、ドクターブレードを用い各サンプルについてシート厚み0.4mmtにシート成形を行った。シート成形後、40×40×0.4mmtにカットした後、シートの相対密度を評価した。相対密度の評価は測長により行った。得られたシートの相対密度はいずれのサンプルも53.0%〜54.8%であった。
(窒化工程)
シート成形工程でシート体を成形、評価した後、シート体は、シート体の表面に窒化ホウ素粉末(以下、「BN粉末」とも記載する。)を塗布し、1セット12枚として積層を行い、窒化ホウ素製坩堝(以下、「BN坩堝」とも記載する。)中にセットした。その後、BN坩堝を、真空・加圧雰囲気炉(富士電波工業株式会社製 型式:Multi500)にセットし、真空中800℃で4時間加熱し、脱バインダー工程を行った。脱バインダー工程終了後、炉内を一旦10−1Paまで真空引きしてから炉内に窒素を導入して0.1MPaの窒素雰囲気中、1400℃で8時間、窒化処理を行った。窒素ガスとしては99.9vol%の窒素ガスを用いた。
【0092】
得られた窒化体についてX線回折測定(株式会社リガク製 型式:RINT2500)を行ったところ、いずれの試料でも、残留Siは認められなかった。
(焼結工程)
次にポスト焼結として、各サンプルについて窒化工程で窒化処理を施したシート体を表1に示した条件に従って焼成を行った。なお、焼結工程は窒化工程と同じ真空・加圧雰囲気炉を用い、同様にして積層したシート体をBN坩堝中にセットし、さらにBN坩堝を真空・加熱雰囲気炉にセットして実施した。
【0093】
焼結工程後、BN坩堝から焼結したシート体(窒化ケイ素基板)を取り出し、表面に付着しているBN粉末等をサンドブラスト装置で除去した。これにより、得られた基板は、X線回折により相同定を行い、アルキメデス法を用いて相対密度の測定を行った。また、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製 型式:JSM−5600)により得られた窒化ケイ素基板の断面について観察を行った。
【0094】
さらに、得られた窒化ケイ素基板は25mm角にカットし、レーザーフラッシュ法(ULVAC株式会社製 型式:TC−9000)により熱伝導率の測定を行った。
【0095】
表1に評価結果を示す。また、図1にサンプルNo.1−1の断面のSEMの観察結果を示す。
【0096】
【表1】
【0097】
まず、X線回折による相同定を行ったところ、いずれのサンプルにおいても窒化ケイ素が得られていることを確認できた。
【0098】
図1に示した作製したサンプルNo.1−1の窒化ケイ素基板の断面からも明らかなように、SEM観察を行ったところ、変質層が存在しないことが確認できた。なお、本実施例の他のサンプルについても同様にSEM観察を行ったところ変質層が存在しないことが確認できた。
【0099】
また、表1に示した結果から明らかなように、実施例1で作製した窒化ケイ素基板はいずれも相対密度が95%以上の緻密体であり、熱伝導率が最も低い試料でも110W/mK、最も高い試料は149W/mKとなっていることが確認できた。
[実施例2]
原料粉末準備工程において、ケイ素粉末として、純度99.5%、の粉末を使用した。表1に示すサンプルNo.1−5〜No.1−8の各組成となるように秤量して、原料粉末を準備した。そのほかは、実施例1と同一条件にしたがって実施例2の窒化ケイ素基板が作製された。実施例2で作製した窒化ケイ素基板はいずれも窒化ケイ素が得られ、かつ、変質層が存在しないことが確認できた。さらに、実施例2で作製した窒化ケイ素基板はいずれも相対密度が99%以上の緻密体であり、熱伝導率が最も低い試料でも99W/mK、最も高い試料は133W/mKとなっていることが確認できた。
[実施例3]
原料粉末準備工程において、ケイ素粉末として、純度99%、の粉末を使用した。表1に示すサンプルNo.1−9〜No.1−12の各組成となるように秤量して、原料粉末を準備した。そのほかは、実施例1と同一条件にしたがって実施例3の窒化ケイ素基板が作成された。実施例3で作製した窒化ケイ素基板はいずれも窒化ケイ素が得られ、かつ、変質層が存在しないことが確認できた。実施例3で作製した窒化ケイ素基板はいずれも相対密度が99%以上の緻密体であり、熱伝導率が最も低い試料でも80W/mK、最も高い試料は116W/mKとなっていることが確認できた。
[比較例1]
以下の手順により窒化ケイ素基板を作製し、評価を行った。
【0100】
ケイ素粉末として、純度99.9%、平均粒径10μm、不純物酸素量0.16mass%の粉末を使用した。また、マグネシウム化合物として平均粒径0.1μmの酸化マグネシウム粉末(宇部マテリアル株式会社製)を使用した。希土類元素化合物として、平均粒径1.5μmの酸化イットリウム粉末(信越化学工業株式会社製)を使用した。なお、ケイ素粉末の不純物酸素量は実施例1の場合と同様に、窒素・酸素同時分析装置を用いて測定した。
【0101】
上記の原料粉末を配合時のモル比で、Si:Y:MgO=93:2:5となるように秤量した。なお上述のモル比は、ケイ素(Si)が窒化ケイ素(Si)に完全に窒化したと仮定し(すなわちケイ素を窒化ケイ素に換算し)、マグネシウム化合物は酸化マグネシウム(MgO)に換算した時のモル比を示している。
【0102】
上述の組成に秤量した原料粉末は、遊星ミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いエタノール中で回転速度250rpmの条件で2時間混合した。なお、混合には窒化ケイ素製ポット及び窒化ケイ素製ボール(径φ1.0mm)を用いた。
【0103】
エタノールと混合した原料粉末はエバポレータで溶剤を揮散させ、110℃、4時間真空乾燥を行い出発原料である原料粉末とした。得られた約36gの原料粉末を金型プレスにより75×75×5mmのサイズに成形した後、300MPaでCIP処理を行った。
【0104】
成形体はBN坩堝中でBN粉末に埋め込み、BN坩堝をさらにカーボン坩堝にセットした。そしてカーボンヒータ炉を用い、0.1MPaの窒素中で1400℃で8時間窒化を行った。次に窒化後、0.9MPaの加圧窒素中で1900℃で6時間のポスト焼結を行った。
【0105】
得られた焼結体については、アルキメデス法を用い相対密度の測定を行った。また、断面を実施例1と同様にSEM観察を行った。結果を図2A図2Bに示す。なお、図2B図2Aの点線Aで囲まれた領域の拡大図に当たる。
【0106】
作製した試料は、図2A図2Bに示すように表層部に気孔を多く含む変質層21が生じていることが確認でき、変質層21は厚さが約200μmであった。
【0107】
また、得られた窒化ケイ素基板は、相対密度は98.7%となったが、上述のように表層部に変質層を含んでおり、基板として使用するためには変質層を除去する必要がある。
[比較例2]
以下の手順によりサンプルNo.2−1、No.2−2の2種類の窒化ケイ素基板を製造し、評価を行った。
【0108】
ケイ素粉末として、純度99.9%、平均粒径10μm、不純物酸素量0.16mass%の粉末を使用した。マグネシウム化合物として、平均粒径0.1μmの酸化マグネシウム粉末(宇部マテリアル株式会社製)あるいは平均粒径1.0μmの窒化ケイ素マグネシウム粉末を使用した。また、希土類元素化合物として、平均粒径1.5μmの酸化イットリウム粉末(信越化学工業株式会社製)を使用した。なお、ケイ素粉末の不純物酸素は、窒素・酸素同時分析装置を用いて測定した。
【0109】
上記の原料を表2に示す組成となるように秤量して原料粉末を準備した。なお、表2ではマグネシウム化合物と、希土類元素化合物の割合のみを示しているが、残部はケイ素粉末となる。また、表2に示したモル比はケイ素(Si)が窒化ケイ素(Si)に完全に窒化したと仮定して、ケイ素を窒化ケイ素に換算し、マグネシウム化合物は酸化マグネシウム(MgO)に換算した時のモル比を示している。
【0110】
メタノールを分散媒として、樹脂ポットと窒化ケイ素ボールを用いて、上記原料粉末を24時間ボールミル粉砕混合を行った。粉砕混合後、有機系バインダーである樹脂バインダー(積水化学工業、商品名「エスレック」)10mass%を添加し、12時間混合を行った。真空脱泡機を用いて粘度調整を行い、各サンプルの塗工用スラリーを作製した。粘度調整をしたスラリーは、ドクターブレードを用いシート厚み0.4mmtにシート成形を行った。
【0111】
シート成形後、40×40×0.4mmtにカットした後、シートの相対密度を評価した。なお、相対密度は測長により評価を行った。得られたシートの相対密度は、53.6%であった。
【0112】
その後、シート体の表面にBN粉末を塗布し、1セット12枚として積層を行い、BN坩堝に設置した。そして、BN坩堝を、真空・加圧雰囲気炉にセットし、真空中800℃で4時間加熱し、脱バインダー処理を行った。
【0113】
次に、真空・加圧雰囲気炉内を1Pa以下まで一旦真空引きした後炉内に窒素を導入し、0.11MPaの窒素中1450℃で4時間加熱し、窒化処理を行った。窒化処理後に得られたサンプルのX線回折測定を行ったところ、いずれのサンプルにおいても残留Siは認められなかった。
【0114】
次いで、ポスト焼結として、窒化体を0.9MPaの加圧窒素中、1900℃で6時間焼成を行った。
【0115】
焼結工程後、BN坩堝から板状焼結体を取り出した。
【0116】
[比較例3]
純度99%のケイ素粉末を用いたほかは、サンプルNo.2−1およびNo.2−2のそれぞれと同様の手順にしたがってサンプルNo.2−3およびNo.2−4の窒化ケイ素基板を製造し、評価を行った。
【0117】
得られた基板は、アルキメデス法を用いて相対密度の測定を行い、X線回折により相同定を行った。また、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製 型式JSM−5600)により得られた窒化ケイ素基板の断面について観察を行った。結果を、表2、図3に示す。なお、図3はサンプルNo.2−1の断面をSEMにより観察した結果を示している。
【0118】
【表2】
【0119】
まず、X線回折による相同定を行ったところ、いずれのサンプルにおいても窒化ケイ素が得られていることを確認できた。
【0120】
また、作製した窒化ケイ素基板は表2に示したように相対密度が67.2%、68.4%と低くなることが確認できた。これは、図3に示すように基板全体について気孔を多く含む多孔質の変質層31となっているためと考えられ、本比較例では緻密体を得ることはできなかった。図3に示した基板においては基板全体について変質層31となっているため、変質層31の厚さは400μmとなっていた。
【0121】
なお、図3はサンプルNo.2−1の断面を観察したSEM画像であるが、もう一方のサンプルNo.2−2〜No.2−4についても同様に基板全体が変質層となっていることを確認できた。
図1
図2A
図2B
図3