特許第5836906号(P5836906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000002
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000003
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000004
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000005
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000006
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000007
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000008
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000009
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000010
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000011
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000012
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000013
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000014
  • 特許5836906-基板処理装置および基板処理方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5836906
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20151203BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   H01L21/30 572B
   H01L21/304 647Z
   H01L21/304 643A
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-210029(P2012-210029)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2013-243331(P2013-243331A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-101613(P2012-101613)
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】八 谷 洋 介
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 規 宏
(72)【発明者】
【氏名】河 野 央
(72)【発明者】
【氏名】野 中 純
(72)【発明者】
【氏名】野 上 淳
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−039205(JP,A)
【文献】 特開2012−049391(JP,A)
【文献】 特開2011−014906(JP,A)
【文献】 特開2007−134689(JP,A)
【文献】 特開2010−225789(JP,A)
【文献】 特開2011−129651(JP,A)
【文献】 特開2007−328153(JP,A)
【文献】 特開2005−064454(JP,A)
【文献】 特開2008−004878(JP,A)
【文献】 特開2012−004539(JP,A)
【文献】 特開2011−228438(JP,A)
【文献】 特開2008−114183(JP,A)
【文献】 特開2002−208579(JP,A)
【文献】 特表2012−513116(JP,A)
【文献】 特開2008−198880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/00
7/06−7/07
7/12−7/14
7/26−7/42
H01L21/027
21/30
21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成されたレジスト膜を除去する基板処理方法において、
加熱された硫酸と、過酸化水素水とを混合して、レジスト膜剥離効果のあるカロ酸を十分に含む第1温度のSPM液を生成する工程と、
前記第1温度のSPM液を生成する工程の後、前記SPM液をフィルムロス低減効果のある第2温度まで冷却する工程と、
前記第2温度のSPM液をレジスト膜に接触させて、レジスト膜を除去する工程と、
を備えた基板処理方法。
【請求項2】
前記SPM液を第2温度まで冷却する工程は、前記基板に向けて流れるNガスに、前記SPM液を混合することにより行われる、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記SPM液を第2温度まで冷却する工程は、前記基板に向けて流れるNガスに、純水と前記SPM液とを混合することにより行われる、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記SPM液を第2温度まで冷却する工程は、純水の液滴およびNガスを混合してなり前記基板に向けて流れる二流体に、前記SPM液を混合することにより行われる、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記SPM液を第2温度まで冷却する工程は、前記硫酸と前記過酸化水素水とを混合した位置と、前記SPM液を基板に吐出するノズルとの間の管路に設けられた冷却器を用いて行われる、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板の表面に水の液膜を形成した状態で、前記第2温度に冷却されたSPM液が前記基板に供給される、請求項2〜5のうちのいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記基板を加熱しないで実施することを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
基板の表面に形成されたレジスト膜を除去する基板処理装置において、
基板を保持する基板保持部と、
硫酸供給部と、
過酸化水素供給部と、
前記硫酸供給部から供給された硫酸と、前記過酸化水素供給部から供給された過酸化水素水とを混合してSPM液を生成する混合部と、
前記SPM液を前記基板に供給するSPM液供給手段と、
前記混合部を出てレジスト膜剥離効果のあるカロ酸を十分に含むようになった第1温度の前記SPM液を、前記SPM液が基板に触れる前にフィルムロス低減効果のある第2温度まで冷却する冷却手段と、
を備えた基板処理装置。
【請求項9】
前記冷却手段は、前記SPM液を冷却することができる冷却流体を基板に向けて吐出する冷却流体吐出手段を有しており、
前記SPM液供給手段は、前記冷却流体が前記基板の表面に到達する前に、前記SPM液の流れを前記冷却流体の流れに合流させる手段を有している、
請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記SPM液の流れを前記冷却流体の流れに合流させる手段は、基板に向けてSPM液を吐出する薬液ノズルを有しており、
前記冷却流体吐出手段は、基板に向けてNガスを吐出するガスノズルを有しており、
前記ガスノズルは、前記ガスノズルから吐出されたNガスが、前記薬液ノズルから吐出されたSPM液が基板に到達する前に、当該SPM液と混合されるように設けられている、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記SPM液の流れを前記冷却流体の流れに合流させる手段は、基板に向けてSPM液を吐出する薬液ノズルを有しており、
前記冷却流体吐出手段は、基板に向けてNガスを吐出するガスノズルを有しており、
前記ガスノズルは、前記ガスノズルから吐出されたNガスが、前記薬液ノズルから吐出されたSPM液が基板に到達する前に、当該SPM液と混合されるように設けられている、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記SPM液の流れを前記冷却流体の流れに合流させる手段は、基板に向けてSPM液を吐出する薬液ノズルを有しており、
前記冷却流体吐出手段は、基板に向けてNガスを供給するガスノズルと、基板に向けて純水を吐出する純水ノズルと、を有しており、
前記ガスノズルは、前記ガスノズルから吐出されたNガスが、前記薬液ノズルから吐出されたSPM液が基板に到達する前に、当該SPM液と混合されるように設けられており、
前記純水ノズルは、前記純水ノズルから吐出された純水が、前記薬液ノズルから吐出されたSPM液が基板に到達する前に、当該SPM液と混合されるように設けられている、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記SPM液の流れを前記冷却流体の流れに合流させる手段は、基板に向けてSPM液を供給する薬液ノズルを有しており、
前記冷却流体吐出手段は、純水の液滴とNガスとを混合してなる二流体を基板に向けて吐出する二流体ノズルを有しており、
前記二流体ノズルは、前記二流体ノズルから吐出された二流体が、前記薬液ノズルから吐出されたSPM液が基板に到達する前に、当該SPM液と混合されるように設けられている、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記SPM液供給手段は、基板に向けてSPM液を供給する薬液ノズルを有しており、 前記冷却手段は、前記混合部から前記薬液ノズルまでSPM液を流す管路に設けられた冷却器を有している、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板に純水を供給する純水ノズルをさらに備え、
前記純水ノズルから基板に純水が供給されて基板の表面に純水の液膜が形成されているときに、前記SPM液供給手段により供給されるとともに前記冷却手段により冷却されたSPM液が基板に向けて吐出されるように、前記基板処理装置の動作を制御する制御部をさらに備えた、請求項8〜14のうちのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に形成されたレジスト膜を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウエハ等の基板(以下、単に「ウエハ」ともいう)に形成された処理対象膜の上に所定のパターンでレジスト膜が形成され、このレジスト膜をマスクとしてエッチング、イオン注入等の処理が処理対象膜に施されるようになっている。処理後、不要となったレジスト膜はウエハ上から除去される。レジスト膜の除去方法として、SPM処理がよく用いられている。SPM処理は、硫酸と過酸化水素水とを混合して得た高温のSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)液をレジスト膜に供給することにより行われる。
【0003】
イオン注入処理のマスクとして供されたレジスト膜は、その表面に硬質層を有しており、このようなレジスト膜をSPM処理により効率良く除去することが課題となっている。この課題を解決するための手法の一つが、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術においては、(1)スピンチャックに内蔵されたヒータによりウエハを200〜250℃程度の高温に加熱して表面硬質層を軟化させること、並びに(2)ノズルから噴射されたSPM液にNガスを合流させることによりSPM液のミストとNガスとからなる高い物理的エネルギーを有する混合流体(ウエハの温度を低下させない程度の温度を有する)をレジスト膜に衝突させること、によって、表面硬質層を効果的に破壊することにより、レジスト膜の剥離効率を向上させている。
【0004】
200〜250℃程度の高温に加熱されたウエハに、このウエハの温度の低下を生じさせないようなSPM液が供給されると、相当な高温下でSPM液が反応するものと考えられる。このような状況下では、レジスト膜の除去効率を高くすることができるが、フィルムロス(レジスト膜の下にあるSiO膜やSiN膜などの有用な膜がSPM液により削られてしまうことを意味する)も相当に多くなることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−4878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SPM処理においては、レジスト膜を効率良く除去する要求と同時に、フィルムロスを可能な限り低減するという必要がある。本発明は、レジスト膜の除去効率向上とフィルムロスの低減を両立することができるSPM処理技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板の表面に形成されたレジスト膜を除去する基板処理方法において、加熱された硫酸と、過酸化水素水とを混合して、レジスト膜剥離効果のあるカロ酸を十分に含む第1温度のSPM液を生成する工程と、前記第1温度のSPM液を生成する工程の後、前記SPM液をフィルムロス低減効果のある第2温度まで冷却する工程と、前記第2温度のSPM液をレジスト膜に接触させて、レジスト膜を除去する工程と、を備えた基板処理方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、基板の表面に形成されたレジスト膜を除去する基板処理装置において、基板を保持する基板保持部と、硫酸供給部と、過酸化水素供給部と、前記硫酸供給部から供給された硫酸と、前記過酸化水素供給部から供給された過酸化水素水とを混合してSPM液を生成する混合部と、前記SPM液を前記基板に供給するSPM液供給手段と、前記混合部を出てレジスト膜剥離効果のあるカロ酸を十分に含むようになった第1温度の前記SPM液を、前記SPM液が基板に触れる前にフィルムロス低減効果のある第2温度まで冷却する冷却手段と、を備えた基板処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レジスト膜剥離効果のあるカロ酸を十分に含んでいる第1温度のSPM液をフィルムロス低減効果のある第2温度まで冷却することにより、カロ酸濃度が比較的高くかつ温度が比較的低いSPM液を基板に接触させることができる。これにより、高いレジスト膜除去効率を達成するとともに、フィルムロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す縦断面図である。
図2図1に示す基板処理装置の概略平面図である。
図3図1の基板処理装置の第1棒状ノズルユニットの吐出口近傍の構成を示す断面図であって、図2および図4におけるIII−III線に沿った断面図である。
図4】前記第1棒状ノズルユニットの底面図である。
図5図2に示す第2棒状ノズルユニットの構造および純水供給部の構成を概略的に示す図である。
図6】本発明の第2実施形態を説明する図であって、第1棒状ノズルユニットにDIW+N二流体を供給する二流体供給部の構成を概略的に示す図である。
図7】本発明の第3実施形態を説明する図であって、別々に吐出されたNガス、SPM液およびDIWをウエハに到達する前に合流させるように構成された第1棒状ノズルユニットの断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る基板処理装置の構成を示す概略図である。
図9図8に示す基板処理装置の冷却装置の構成を示す概略断面図である。
図10】本発明の第1〜第4実施形態に適用可能な変形実施形態について説明する概略図である。
図11】第1〜第3実施形態の変形実施形態について説明する、図3と同じ位置における第1ノズルユニット断面図である。
図12】本発明の第5および第6実施形態において用いられる二流体ノズルの構成を示す縦軸方向断面図である。
図13図12に示す二流体ノズルの底面図である。
図14図12におけるXIV−XIV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る基板処理装置の構成について説明する。
【0012】
図1図5を参照して第1実施形態について説明する。基板処理装置10は、半導体ウエハW(以下、単に「ウエハ」と呼ぶ)を水平姿勢で保持して鉛直軸線周りに回転させるための基板保持部11を備えている。基板保持部11は複数、例えば3個の、ウエハWの周縁部を把持する把持爪(基板保持部材)12を有している、そのうち1つ以上がウエハWの把持、解放の切替えのために可動である。基板保持部11は、その下方に設けられた駆動機構14により、鉛直軸線周りに回転可能である。駆動機構14は、基板保持部11を昇降させる機能も有している。
【0013】
基板保持部11の周囲を囲むようにカップ16が設けられており、カップ16は、回転するウエハWに供給されて遠心力によりウエハW外方に飛散する処理液を受け止めて、周囲の空間に飛散しないようにする。カップ16の底部には処理液および反応生成物をカップ16の外部に排出するための排出口17が設けられている。排出口17には、符号18を付けたボックスにより概略的に示したミストトラップ、イジェクター等の排気/排液手段が接続されている。
【0014】
カップ16の外側には、第1棒状ノズルユニット20および第2棒状ノズルユニット30が設けられている。第1棒状ノズルユニット20は、直動機構50によりノズル長手方向に移動することができる。すなわち、第1棒状ノズルユニット20は、第1棒状ノズルユニット20の先端側が基板保持部11により保持されたウエハWの上方に位置する前進位置(処理位置)と、第1棒状ノズルユニット20の全体が平面視でカップの外側に位置する後退位置(待機位置)をとることができる。第2棒状ノズルユニット30も同じ直動機構50を具備しており、第1棒状ノズル20と同様に移動することができる。図2では、第1棒状ノズルユニット20が前進位置、第2棒状ノズルユニット30が後退位置にある状況を示している。
【0015】
直動機構50は、リニアガイド51と、リニアガイド51の下方に設けられたプーリー/ベルト駆動機構(図では見えない)と、プーリー/ベルト駆動機構のベルトに固定されるとともに第1棒状ノズルユニット20の後端部を保持するノズル保持体52と、第1棒状ノズルユニット20をスライド可能に支持する支持体53とから構成されている。プーリー/ベルト駆動機構を駆動することにより、ノズル保持体52がリニアガイド51に沿って移動して、第1棒状ノズルユニット20を進退させることができる。支持体53にノズル洗浄装置を内蔵させることが好ましい。
【0016】
次に、第1棒状ノズルユニット20の構成について図3および図4を参照して説明する。第1棒状ノズルユニット20は、Nガス(窒素ガス)を吐出するための第1ノズル部22と、第1ノズル部22の両脇に設けられた主としてSPM液を吐出するための第2ノズル部23とを複合化して構成されている。
【0017】
第1棒状ノズルユニット20の先端から、当該先端から所定距離(ウエハWの半径に概ね相当する)離れた位置までの範囲にわたって、処理流体吐出部21が設けられている。処理流体吐出部21には、複数のガス吐出口22aと、複数の薬液吐出口23aが設けられている。複数のガス吐出口22aは、第1棒状ノズルユニット20の長手方向に沿って互いに間隔を空けて配列されている。複数の薬液吐出口23aは、第1棒状ノズル20の長手方向に沿って互いに間隔を空けて配列されている。1つのガス吐出口22aと2つの薬液吐出口23aが第1棒状ノズルユニット20の同じ長手方向位置に設けられている。第1棒状ノズルユニット20の最も先端側に位置するガス吐出口22aは、第1棒状ノズルユニット20が前進位置にあるときにウエハWの中心の真上に位置するように設けられることが好ましい。
【0018】
第1ノズル部22は、第1棒状ノズルユニット20のうち上記の複数のガス吐出口22aが設けられた部分により構成されており、第2ノズル部23は、第1棒状ノズルユニット20のうち上記の複数の薬液吐出口23aが設けられた部分により構成されている。
【0019】
図3に示すように、ガス吐出口22aおよび薬液吐出口23aから同時にNガスおよびSPM液を吐出させた場合、1つのガス吐出口22aからウエハW表面に対して垂直に下向きに吐出されたNガスの流れに、両脇にある2つの薬液吐出口23aから斜め下方に向けて吐出されたSPM液の流れが合流するようになっている。高圧のNガスの流れにSPM液を合流させることにより、SPM液が冷却されるのと同時に、SPM液の液滴(ミスト)とNガスとからなる混合流体が形成される。なお、図示されたように、ガス吐出口22aの軸線の延長線上で、複数(本例では2つ)のSPM液の流れを衝突させることにより、効率よくSPM液のミスト化を行うことができる。しかしながら、1つのガス吐出口から吐出されたNガスの流れに、1つの薬液吐出口から吐出されたSPM液の流れが合流するように構成しても構わない。
【0020】
第1棒状ノズルユニット20内には、第1棒状ノズルユニット20の基端から第1棒状ノズルユニット20の先端のわずかに手前の位置まで延びる、1本のガス分配通路22bが設けられている。複数のガス吐出口22aは、図3に示すようにガス分配通路22bに接続されている。さらに第1棒状ノズルユニット20内には、第1棒状ノズルユニット20の基端から第1棒状ノズルユニット20の先端のわずかに手前の位置までガス分配通路22bと平行に延びる、2本の薬液分配通路23bが設けられている。第1棒状ノズルユニット20の一側(図3および図4の左側)にある複数の薬液吐出口23aは一本の薬液分配通路23bに接続されており、第1棒状ノズルユニット20の他側(図3および図4の右側)にある複数の薬液吐出口23aは、他の一本の薬液分配通路23bに接続されている。
【0021】
図1に示すように、第1棒状ノズルユニット20のガス分配通路22bには、配管等からなるガスライン22cが接続されている。ガスライン22cの基端は、加圧された常温のNガスを供給するNガス供給源22dに接続されている。Nガスの温度は常温に限定されるものではないが、なるべく低い方が好ましい。ガスライン22cには開閉弁22eおよび流量調整弁22fが介設されている。ガスライン22cおよびそれに付設された各種機器(22d,22e,22f等)により、Nガス供給部が構成される。好適な一実施形態においては(これに限定されるものではないが)、Nガスは0.2〜0.3MPa程度の圧力で供給される。
【0022】
第1棒状ノズルユニット20の薬液分配通路23bには、配管等からなる薬液ライン23cが接続されている。薬液ライン23cの基端は、硫酸を貯留するタンク等からなる硫酸供給源23dに接続されている。薬液ライン23cには開閉弁23e、流量調整弁23f、硫酸を加熱するヒータ23gが順次介設されている。薬液ライン23cには、さらに、ミキサー23h(混合部)が介設されている。ミキサー23hには、別の薬液ライン24cが接続されており、薬液ライン24cの基端は、過酸化水素水を貯留するタンク等からなる過酸化水素水供給源24dに接続されている。薬液ライン24cには、開閉弁24e、流量調整弁24fが介設されている。ミキサー23hにおいて、薬液ライン23cからの硫酸と薬液ライン24cからの過酸化水素水とが均一に混合され、SPM液が生成される。薬液ライン23cおよびそれに付設された各種機器(23d〜23g)により硫酸供給部が構成され、薬液ライン24cおよびそれに付設された各種機器(24d〜24f)により過酸化水素水供給部が構成され、硫酸供給部、過酸化水素水供給部およびミキサー23hによりSPM液供給部が構成される。
【0023】
次に、第2棒状ノズルユニット30の構成について図5を参照して簡単に説明する。第2棒状ノズルユニット30は、単一のリンスノズルからなり、1つのリンス液吐出口31aを先端部に有している。第2棒状ノズルユニット30の内部にはリンス液通路31bが設けられ、リンス液通路31bにリンス液ライン31cが接続されている。リンス液ライン31cの基端はリンス液としてのDIW(純水)供給源31dに接続されており、リンス液ライン31cには開閉弁31eおよび流量調整弁31fが介設されている。リンス液通路31bおよびそれに付設された各種機器(31d,31e,31f等)によりリンス液供給部が構成される。
【0024】
図1に概略的に示すように、基板処理装置10は、その全体の動作を統括制御するコントローラ200を有している。コントローラ200は、基板処理装置10の全ての機能部品(例えば、基板保持部11、駆動機構14,各弁等)の動作を制御する。コントローラ200は、ハードウエアとして例えば汎用コンピュータと、ソフトウエアとして当該コンピュータを動作させるためのプログラム(装置制御プログラムおよび処理レシピ等)とにより実現することができる。ソフトウエアは、コンピュータに固定的に設けられたハードディスクドライブ等の記憶媒体に格納されるか、あるいはCD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の着脱可能にコンピュータにセットされる記憶媒体に格納される。このような記憶媒体が図1において参照符号201で示されている。プロセッサ202は必要に応じて図示しないユーザーインターフェースからの指示等に基づいて所定の処理レシピを記憶媒体201から呼び出して実行させ、これによってコントローラ200の制御の下で基板処理装置10の各機能部品が動作して所定の処理が行われる。
【0025】
次に、上述した基板処理装置10を用いて、ウエハWの上面にある不要なレジスト膜、特にイオン注入され表面に硬質層を有するハイドーズレジスト膜を除去する洗浄処理の一連の工程について説明する。以下に示す洗浄処理の一連の工程は、コントローラ200が基板処理装置10の各機能部品の動作を制御することにより行われる。
【0026】
まず、第1および第2の棒状ノズルユニット20,30を後退位置で待機させた状態で、駆動機構14により基板保持部11を上昇させる。除去すべき不要なレジスト膜を表面に有するウエハWが、図示しない搬送アームによって、基板処理装置10の外部から基板保持部11の位置に搬入される。ウエハWが把持爪12により保持されると、前記図示しない搬送アームが退出する。そして基板保持部11が下降して、カップ16内にウエハWが収容される。
【0027】
[SPM処理]
次に、第1の棒状ノズルユニット20を前進位置に移動し、駆動機構14によりウエハWを回転させる。この状態で、Nガス供給部およびSPM液供給部を動作させ、図3中の矢印で示すように、ガス吐出口22aからNガスを、そして薬液吐出口23aからSPM液を、それぞれ吐出させる。NガスとSPM液はウエハWに到達する前に混合され、この混合流体によりウエハW表面の不要なレジスト膜が剥離される。剥離されたレジスト膜は遠心力によりウエハの外方に向かって流れるSPM液と一緒に、ウエハWの外方に流出する。このSPM処理の詳細については後述する。
【0028】
[リンス処理]
上記のSPM処理を所定時間実行した後、NガスおよびSPM液の吐出を停止して、第1の棒状ノズルユニット20を後退位置に移動させる。次いで、第2の棒状ノズルユニット30を前進位置に移動させ、リンス液吐出口31aをウエハWの回転中心の真上に位置させる。そして、リンス液供給部を動作させ、リンス液としてのDIWをウエハに供給する。ウエハW表面上に残留しているSPM液、レジスト残渣、反応生成物等が、遠心力によりウエハの外方に向かって流れるDIWと一緒にウエハWの外方に流出する。
【0029】
[スピン乾燥処理]
DIWリンス処理を所定時間行った後、リンス液吐出口31aからのDIWの吐出を停止し、第2の棒状ノズルユニット30を後退位置に移動させる。その後、ウエハWの回転速度を増し、ウエハW表面上にあるDIWを振り切って、ウエハWを乾燥させる。以上により1枚のウエハWに対する一連の液処理が終了する。その後、前述したウエハ搬入と逆の手順により、処理済みのウエハWが基板処理装置10から搬出される。
【0030】
次に、SPM処理の詳細について説明する。
SPM液のレジスト剥離能力に大きな影響を及ぼす因子の一つとして、SPM液の温度がある。SPM液の温度を高くすると、SPM液のレジスト剥離能力は高くなるが、フィルムロスが増大することがわかった。なお、剥離能力およびフィルムロスに影響を及ぼすのはウエハ上にあるときのSPM液温度であり、従来技術で述べたようなヒータ等の加熱手段によりウエハ温度を上昇させた場合にも、フィルムロスはかなり増加する。従って、フィルムロスを低減しようとするなら、ウエハ上におけるSPM液の温度を下げることが必要である。
【0031】
SPM液のレジスト剥離能力に大きな影響を及ぼす他の因子としてSPM液中のカロ酸(H2SO5)の濃度がある。カロ酸は、硫酸と過酸化水素水を混合することにより反応式「H2SO4 + H2O2 → H2SO5 + H2O」に従い生じる。このカロ酸生成の反応は吸熱反応である。但し、硫酸と過酸化水素水とを混合すると水和熱も生じる。カロ酸濃度が高いほどSPM液のレジスト剥離能力は高くなる。カロ酸濃度は、硫酸と過酸化水素水とを混合した後に時間経過とともに上昇し、ピークを迎えた後、カロ酸の分解により徐々に低下してゆく。
【0032】
上記の点を考慮して、本実施形態では、加熱された硫酸と、過酸化水素水とを混合することによりレジスト膜剥離効果がある第1温度(例えば180℃)のSPM液を生成する。ここで、「レジスト膜剥離効果がある」とは、レジスト膜の除去効果を生じさせるのに十分なカロ酸がSPM液中に生成し含まれていることを意味する。その後、SPM液を冷却(第2温度(例えば150℃)に下降)にする。そして第2温度のSPM液がウエハ表面に供給されるようにした。温度を下降させるために、具体的には、カロ酸が十分に生成された後にSPM液を薬液ノズルから吐出し、この吐出されたSPM液をガスノズルから吐出されているNガスの流れに合流させ、NガスによりSPM液を冷却している。SPM液はNガスと接触することによりNガスに温度を奪われ、また、SPM液がミスト化されることによりSPM液の表面積が飛躍的に増大し、各液滴から周辺雰囲気への放熱によりSPM液の温度が低下する。これによって、カロ酸の濃度を十分に高めた状態を維持したままSPM液の温度を低下させることができるので、フィルムロスを抑制しつつ、効率良くレジストを剥離、除去することができる。なお、硫酸と過酸化水素水との混合ポイントであるミキサー23hから、薬液吐出口23aまでの経路距離を、カロ酸の生成のための十分な反応時間が確保されるような値に設定することが好ましく、薬液吐出口23aからSPM液が吐出された直後(ウエハ到達直前)にSPM液中に含まれるカロ酸が分解する前、さらにはカロ酸の濃度若しくは量がピークを迎えるような値に設定することがより好ましい。経路距離の最適値は、装置構成並びに硫酸および過酸化水素水の流速、温度、濃度等の各種条件の変化に伴い変化するため、SPM液中のカロ酸濃度がピークを迎える時点にSPM液がウエハWに到達できるような経路距離および硫酸/過酸化水素水の供給条件を、実験に基づいて定めることが望ましい。
【0033】
また、本実施形態では、SPM液が加圧されたNガスの流れに合流することにより、SPM液が液滴(ミスト)となり、その結果、SPMミストとNガスとからなる二流体(混合流体)が形成される。この二流体の持つ高い物理的エネルギーにより、レジスト膜の硬質表面層にクラックを入れて、レジスト膜の剥離を促進することができる。
【0034】
なお、上記の第1実施形態では、Nガスを用いてSPM液の冷却を行っていたが、これに限定されるものではない。第2実施形態として、DIW(純水)の液滴とNガスとを混合してなる二流体を用いてSPM液の冷却を行ってもよい。この第2実施形態においては、第1実施形態における第1ノズル部22の吐出口(ガス吐出口22a)に流体(Nガス)を供給する流体ライン(ガスライン22c)に対して、図6に示すようなDIW供給部を付設すればよい。具体的には、流体ライン(ガスライン22c)にミキサー25gを設け、このミキサー25gに、DIW供給源25dに接続されたDIWライン25cを接続する。DIWライン25cには開閉弁25eおよび流量調整弁25fを設ける。その他の部分の構成は第1実施形態と同一でよい。この第2実施形態の構成によれば、DIW供給源25dから制御された流量でミキサー25gに流入したDIWが、Nガス供給源22dから制御された流量でミキサー25gに流入したNガスとミキサー25gにより混合されることにより霧化され、DIWのミスト(液滴)とNガスとを混合してなる二流体が第1ノズル部22の吐出口(ガス吐出口22a)から吐出される。この二流体は薬液吐出口23aから吐出されたSPM液と合流し、二流体がSPM液に混合されることによりSPM液が冷却され、その後、ウエハWの表面に到達する。従って、先に説明した第1実施形態と概ね同一の効果が得られる。但し、DIWをSPM液に混合した場合には、ある程度の水和熱が発生する。従って、DIWがSPM液から熱を奪う効果が水和熱によりSPM液の温度を上昇させる効果を上回るようにして、SPM液の温度を確実に低下させることができるように、DIWの温度はより低い方が好ましく、DIWは常温または常温より低い温度で供給するのがよい。なお、DIWは霧化されることにより気化しやすくなり、DIWの一部が気化することにより気化熱によりDIWおよびNからなる二流体の温度(SPM液と混合される直前の温度)が低下する。従って、低温度のDIWを供給するためには、DIWが良好に霧化されるようにDIWおよびNガスの供給条件(混合比、流量等)を定めることが望ましい。なお、この第2実施形態では、SPM液処理の終了後に、SPM液の吐出のみを停止してDIWミストとNガスとからなる二流体のみをウエハWに供給することにより、二流体リンスを行うことも可能である。
【0035】
また、第3実施形態として、SPM液の冷却を、別々に吐出されるNガスおよびDIWにより行ってよい。この第3実施形態では、前記第1実施形態における第1棒状ノズルユニット20に対して、さらに、DIWを吐出するための第3ノズル部26を複合化した第1棒状ノズルユニット20’が用いられる。その他の部分の構成は、第1実施形態と同一でよい。具体的には、図7に示すように、第1棒状ノズルユニット20’には、複数のDIW吐出口26aが、第1棒状ノズルユニット20’の長手方向に延びる2つの列をなすように設けられている。複数のDIW吐出口26aは、第1棒状ノズルユニット20’の長手方向に沿って互いに間隔を空けて配列される。1つのガス吐出口22aと、2つの薬液吐出口23aと、2つのDIW吐出口26aとが、第1棒状ノズルユニット20’の同じ長手方向位置に設けられる。第1棒状ノズルユニット20’内には、その長手方向に延びる2つのDIW分配通路26bが設けられている。第1棒状ノズルユニット20’の一側にある複数のDIW吐出口26aは一本のDIW分配通路26bに接続されており、第1棒状ノズルユニット20’の他側にある複数のDIW吐出口26aは、他の一本のDIW分配通路26bに接続されている。第1棒状ノズルユニット20’のDIW分配通路26bには、配管等からなるDIWライン26cが接続されている。DIWライン26cの基端は、DIWを供給するDIW供給源26dに接続されている。DIWライン26cには開閉弁26eおよび流量調整弁26fが介設されている。DIWライン26cおよびそれに付設された各種機器(26d,26e,26f等)により、DIW供給部が構成される。この第3の実施形態においては、1つのガス吐出口22aからウエハW表面に対して垂直に下向きに吐出されたNガスの流れに、2つの薬液吐出口23aから斜め下方に向けて吐出されたSPM液の流れが合流し、この合流した流れにさらに2つのDIW吐出口26aから斜め下方に向けて吐出されたDIWの流れが合流し、その後、合流した流れがウエハWに衝突する。従って、この第3実施形態においても、第2実施形態と概ね同一の効果が得られる。なお、この第3実施形態においても、第2実施形態において説明したのと同じ理由により、DIWの温度はより低い方が好ましく、DIWは常温または常温より低い温度で供給するのがよい。
【0036】
上記第1〜第3実施形態においては、冷却用流体(Nガス、DIW)とSPM液とを合流させることによりSPM液を冷却したが、これには限定されない。第4実施形態として、SPM液を吐出する前に、冷却装置によりSPM液の冷却を行ってもよい。具体的には、図8に示すように、ミキサー23hとノズル60との間において、薬液ライン23cに冷却器61を設けてもよい。冷却器61は、SPM液中に十分な量のカロ酸が生成された後にSPMを冷却することができるように、ミキサー23hから十分に離れた位置、例えばノズル60の近傍に設けることが好ましい。例えば図9に示すように、薬液ライン23cを構成する配管23c’の周囲に設けられたウオータージャケット62により冷却器61を構成することができる。ウオータージャケット62内には常温または冷却された水が流され、配管23c’の壁面を介した水とSPM液との間の熱交換により、配管23c’内を流れるSPMが冷却される。配管23c’の外表面に設けたペルチェ素子(図示せず)により冷却器61を構成することもできる。この第4実施形態においては、ノズル60は、唯一つの吐出口を有しており、もっぱらウエハWの中心に向けてSPM液を吐出するようにしている。もちろん、SPM液を冷却器61により冷却する構成を採用した場合でも、第1〜第3実施形態のようにウエハの半径方向に並ぶ多数の吐出口を有するノズルによりSPM液の供給を行ってもよい。
【0037】
上記第1〜第4実施形態において、ウエハWの表面に純水の液膜を形成して、その上にSPM液(Nガス、或いはNガスおよびDIWと混合により冷却された後のSPM液)を供給してもよい。例えば図10に概略的に示すように、Nガスと混合後のSPM液(もしくはNガスおよびDIWと混合後のSPM液)のウエハW上における供給位置よりも、ウエハWの回転方向Rに関して上流側の位置にDIWを供給する。すると、DIWはウエハWの半径方向に拡がりながらウエハWの表面に液膜Lを形成し、形成された液膜L上にSPM液が落ちるようになる。この場合、DIWをウエハW上に直接供給することによってDIWがウエハWから熱を奪うため、結果として、SPM液とレジスト膜との反応温度を低下させることができ、フィルムロスを一層低減することができる。なお、この場合も、水和熱によりSPMの温度が上昇することを抑制するために、DIWの温度はより低い方が好ましく、DIWは常温または常温より低い温度で供給するのがよい。なお、図10では、Nガスを吐出する1つのノズル70と、SPM液を吐出する1つのノズル71と、DIWを吐出する1つのノズル(DIWノズル)72が一つの共通のアーム73により保持されている状態が示されているが、これに限定されるものではない。すなわち、Nガスと混合後のSPM液(もしくはNガスおよびDIWと混合後のSPM液)のウエハW上への落下地点にDIWの液膜が形成されるようになっているならば、各ノズルの配置は任意である。
【0038】
上記第1〜第3実施形態においては、SPM液を冷却するための冷却流体(第1実施形態においてはNガス、第2実施形態においてはN+DIW二流体、第3実施形態においてはNおよびDIW)が、当該冷却流体を吐出するためのノズルの吐出口(第1、第2実施形態においてはガス吐出口22a、第3実施形態においてはガス吐出口22aおよびDIWSPM液吐出口)から吐出された後に、薬液吐出口23aから吐出された後のSPM液に合流するようになっているが、これに限定されるものではない。すなわち、SPM液の流れを、冷却流体が当該冷却流体を吐出するためのノズルの吐出口から吐出される前に、冷却流体の流れに合流させた後に、SPM液と冷却流体とを混合してなる混合流体をノズルから吐出してもよい。具体的には、例えば、第1実施形態の変形例として、図11(a)に示すように、ガス分配通路22bとガス吐出口22aを結ぶガス吐出路22a’の途中に、薬液分配通路23bから分岐する薬液吐出路23a’を接続してもよい。また、第2実施形態の変形例として、図11(a)に示す(ガス)分配通路22bから供給されるものがDIWのミスト(液滴)とNガスとを混合してなる二流体であってもよい。さらに、第3実施形態の変形例として図11(b)に示すように、ガス分配通路22bとガス吐出口22aを結ぶガス吐出路22a’の途中に、薬液分配通路23bから分岐する薬液吐出路23a’と、DIW分配通路26bから分岐するDIW吐出路2ba’とを接続してもよい。図11(a)、(b)に示す第1〜第3実施形態の変形例においても、カロ酸濃度が十分に高くなった第1温度のSPM液を冷却流体により冷却することができるため、前述した第1〜第3実施形態と同様に、フィルムロスを低減しつつレジスト膜を効率良く剥離できるという効果を得ることができる。また、図11(a)、(b)の構成を採用した場合においても、SPM液は、加圧されたNガスと混合された後にガス吐出口22aから液滴の状態でウエハWに向けて吐出されるため、液滴をレジスト膜に衝突させることによる、物理的な剥離促進効果も得ることができる。すなわち、ウエハWに向けて流れる加圧されたNガスを含む冷却流体に、SPM液を混合するタイミングは、当該冷却流体を吐出するためのノズルから当該冷却流体が前でも後でも構わない。
【0039】
また、前記第1〜第4実施形態において、ウエハWの裏面(下面)に冷却流体を供給して、ウエハWの温度を低下させてもよい。これにより、SPM液とレジスト膜との反応温度が下がるため、フィルムロスを低減することができる。冷却流体は、例えばSPM液の温度より低いDIWとすることができ、このような冷却流体は、ウエハWの下側に位置することができるノズルにより供給することができる。
【0040】
次に、図12図14を参照して第5実施形態について説明する。この第5実施形態で用いられる二流体ノズル134は、SPM液と冷却用流体であるNガスとをそれぞれの吐出口から吐出された後に混合することによりSPM液の液滴を形成する点において第1実施形態の第1棒状ノズルユニット20と同じであるが、より微細かつ均一なSPM液の液滴が形成されるように改善がなされている。
【0041】
二流体ノズル134は、図1図2に示す第1棒状ノズル20の先端部に組み込むことができる。或いは、二流体ノズル134は、ウエハの半径方向に進退可能なアーム(図12において符号133で示す)の先端に取り付けることもできる。この場合においても、アーム133の進退に伴い、二流体ノズル134は、ウエハWの回転中心の真上の位置からウエハWの周縁部の真上の位置の範囲内で往復動することができ、かつ、ウエハWの上方より外側の位置に退避することもできる。
【0042】
図12図14に示すように、二流体ノズル134はノズル本体142を有しており、このノズル本体142の内部にSPM液を流す薬液流路144が形成されている。ノズル本体142の外周部にはノズルカバー143が取り付けられており、ノズル本体142の外周凹部とノズルカバー143の内周面との間にNガスを流すガス流路145が形成されている。
【0043】
ノズル本体142の上部に形成された薬液流入口146に薬液ライン23c(図1を参照)が接続されており、薬液ライン23cから薬液流路144にSPM液が供給される。ノズル本体142の下端部には、薬液吐出部148(すなわちSPM液を吐出するための第2ノズル部)が設けられている。この薬液吐出部148は、同一円周上に等間隔で配列された複数(本例では32個)の薬液吐出口147からなる。各薬液吐出口147は、前記円周の中心から外周へ向けて斜め下向きに傾斜する円孔からなり、これにより、二流体ノズル134は、薬液ライン23cから供給されたSPM液を各薬液吐出口147から円周の外周方向へ向けて斜め下向きに細い筋の形態で吐出することができる。図14に明瞭に示されるように、複数の薬液吐出口147は、薬液流路144の周縁部に位置する入口端から薬液流路144の内径よりも外側に位置する出口端に向けて放射状に形成されている。これにより、SPM液は、薬液流路144の内径よりも広い範囲に複数の細い筋の形態で拡散して吐出される。なお、図14において、図面の煩雑化を防止するため、薬液流路144とガス流路145とを仕切る円筒壁に断面表示(ハッチングの付加)をしていない点に注意されたい。
【0044】
ノズルカバー43の上部に形成されたガス流入口149にガスライン22c(図1を参照)が接続されており、ガスライン22cからガス流路145にNガスが供給される。ノズル本体142の下部には、平面視で時計回りに、下方へ向けて傾斜する複数(ここでは6個)の傾斜孔150からなる旋回流発生部151が設けられている。ノズル本体142の先端部とノズルカバー143の先端部との間に、薬液吐出口147が配列される円よりも大径の同心円に沿って円環形スリットの形態のガス吐出口152(すなわちNガスを吐出するための第1ノズル部)が形成されている。ガスライン22cからガス流路145に供給されたNガスは、旋回流発生部151を通過することにより旋回流となり、ガス吐出口52から下方へ向けて吐出される。旋回流は、ウエハWに対して略鉛直方向に吐出されることが好ましい。
【0045】
上記構成を有する二流体ノズル134においては、円環形スリットの形態のガス吐出口152からNガスが下方へ向けて吐出され、このNガスの流れに向けて薬液吐出部148の複数の薬液吐出口147から半径方向外側に斜め下向きにSPM液が吐出される。これにより、薬液吐出口148及びガス吐出口152の近傍の下方でSPM液とNガスとが衝突し、NガスによってSPM液が霧化されてSPM液の液滴が形成され、そのSPM液の液滴がウエハWの表面に噴霧される。この時、複数の薬液吐出口147からそれぞれSPM液が細い筋の形態で吐出されるので、SPM液とNガスとの接触面積が大きくなり、粒径が小さい液滴を均一に効率よく形成することができる。また、スリットの形態のガス吐出口152からNガスを吐出するので、放射状に吐出される筋の形態のSPM液に対して均一にNガスを衝突させることができ、均一な液滴を生成することができる。
【0046】
SPM液を薬液吐出口147から吐出させた際に、隣接する2つの薬液吐出口147から吐出されたSPM液間に作用する負圧により2つのSPM液が合流しない程度に、隣接する薬液吐出口147同士の間隔は大きく設定されている。具体的には、隣接する2つの薬液吐出口147の外周縁間の最短距離を薬液吐出口147の開口径以上にしている。これにより、隣接する細い筋の形態のSPM液同士が接触および合流して、太い円柱形状になることを防止することができるので、粒径の小さい液滴を均一に生成することができる。
【0047】
また、各薬液吐出口147から吐出したSPM液同士が接触しない状態でNガス流と衝突するように、薬液吐出口147とガス吐出口152とを近接させて配置して、SPM液が薬液吐出口147から吐出された直後にガス吐出口152から吐出されたNガスと衝突するようにしている。これにより、SPM液が複数の細い筋の状態でNガスと衝突することになるので、粒径の小さいSPMの液滴を均一に生成することができる。また、薬液吐出口147からのSPM液の吐出角度にばらつきがあると、SPM液とNガスとが衝突する高さのばらつきが生じるおそれがあるが、薬液吐出口147とガス吐出口152とを近接させることにより衝突高さのばらつきを抑えることができる。このようにして、SPM液とNガスとが衝突する条件にばらつきが生じないようにすることにより、均一なSPMの液滴を生成することができる。
【0048】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第5実施形態によれば、第1実施形態と比較して、より微細かつ均一なSPM液の液滴が形成されるため、SPM液をより効果的に冷却することができる。また、二流体の持つ高い物理的エネルギーによるレジスト膜の剥離促進効果も、より高めることができる。
【0049】
また、第6実施形態として、図12図14に示す二流体ノズル132のガス流入口149に図6に示す流体ライン(ガスライン22c)を接続し、二流体ノズル132内の流体流路(図12図14においてガス流路145に相当する部分)にDIWの液滴とNガスとを混合してなる二流体を流し、この二流体をガス吐出口152から吐出してもよい。第5実施形態と同様に、薬液流路144には薬液ライン23cからSPM液が供給され、このSPM液が薬液吐出口147から吐出される。薬液吐出口147から吐出されたSPM液は、DIWの液滴とNガスとを混合してなる二流体と衝突することにより、微細な液滴となり、ウエハWに供給される。第6実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第6実施形態によれば、第2実施形態と比較して、より微細かつ均一なSPM液の液滴が形成されるため、SPM液をより効果的に冷却することができる。また、二流体の持つ高い物理的エネルギーによるレジスト膜の剥離促進効果も、より高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
W 基板
11 基板保持部
23c〜23g 硫酸供給部
24c〜24f 過酸化水素供給部
23h 混合部
23(23a,23a’)、60、71、147(148) SPM液供給手段
22、26、61、152 冷却手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14