(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施態様は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
【0012】
[核酸検査装置の全体構成]
図1に、本実施形態に係る核酸検査装置100の全体構成の概略構成を示す。
図1に示す核酸検査装置100には、増幅処理対象となる核酸を含む検体が収容された複数のサンプル容器101と、複数のサンプル容器101が収納されたサンプル容器ラック102と、検体に加えるための種々の試薬が収容された複数の試薬容器103と、複数の試薬容器103が収納された試薬容器ラック104と、検体と試薬を混合するための反応容器105と、未使用の反応容器105が複数収容された反応容器ラック106と、未使用の反応容器105を載置し、サンプル容器101及び試薬容器103のそれぞれから反応容器105に検体及び試薬を分注する反応液調整ポジション107と、検体と試薬の混合液である反応液が収容された反応容器105を蓋部材(図示せず)により密閉する閉栓ユニット108と、密閉された反応容器105に収容された反応液を撹拌する撹拌ユニット109とが設けられている。
【0013】
また、核酸検査装置100には、X軸方向(
図1の左右方向)に延在するよう設けられたロボットアームX軸110と、Y軸方向(
図1の上下方向)に延在するよう配置され、ロボットアームX軸110にX軸方向に対して移動可能に配置されたロボットアームY軸111とを有するロボットアーム装置112と、ロボットアームY軸111にY軸方向に移動可能に設けられ、反応容器105を把持して核酸検査装置100の各部に搬送するグリッパユニット113と、ロボットアームY軸111にY軸方向に移動可能に設けられ、サンプル容器101の検体や試薬容器103の試薬を吸引し、反応液調整ポジション107に載置された反応容器105に吐出する(分注する)分注ユニット114と、分注ユニット114の検体や試薬と接触する部位に装着されるノズルチップ115と、未使用のノズルチップ115が複数収容されたノズルチップラック116と、反応容器105に収容された反応液に核酸増幅処理や蛍光検出などを施す核酸増幅装置1と、使用済みのノズルチップ115や使用済み(検査済み)の反応容器105を破棄する廃棄ボックス117と、キーボートやマウス等の入力装置118や液晶モニタ等の表示装置119を備え、核酸増幅装置1を含む核酸増幅装置100の全体動作を制御する制御装置120とが備えられている。
【0014】
各サンプル容器101は、収容された検体毎にバーコード等の識別情報により管理されており、サンプル容器ラック102の各位置に割り当てられた座標等の位置情報により管理されている。同様に、各試薬容器103は、収容された試薬毎にバーコード等の識別情報により管理されており、試薬容器ラック104の各位置に割り当てられた座標等の位置情報により管理されている。これらの識別情報や位置情報は、予め制御装置120に登録され管理される。また、各反応容器105も識別情報や位置情報により同様に管理されている。
【0015】
図2に、核酸増幅装置1をその上方から見た構成を示す。核酸増幅装置1には、保持具3が設けられている。保持具3は、円板形状の保持具ベース4と、保持具ベース4の外周に沿って配置される複数の温調ブロック10(
図2の場合、16個)とを有している。温調ブロック10には、反応容器105を保持可能な少なくとも1つ(
図1の場合1つ)の架設ポジション12が設けられている。保持具ベース4は、その回転軸を中心に周方向に回転可能に保持具3に取り付けられている。保持具ベース4は、保持具3との間に配置したステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。保持具ベース4と温調ブロック10は、例えばアルミニウム、銅、又は各種合金などの熱伝導体により形成される。温調ブロック10は保持具ベース4と一体的に形成される。保持具ベース4の外周に沿って配列される複数の温調ブロック10は、保持具ベース4の外周から中心方向に延在する切り欠き部16により互いに分離されている。このように、隣接する温調ブロック10の間には、空間が設けられている。この空間により、温調ブロック間の高い断熱能力が実現される。また、温度調整装置としてのペルチェ素子17と、架設ポジション12の近傍の温度を検出することにより反応容器105内の反応液の温度を検出する温度センサ15は、温調ブロック10毎に備えられている。ペルチェ素子17は、熱交換が実行される2面のうちの一方を温調ブロック10に密着させ、もう一方の面を保持具ベース4に密着させるように取り付けられる。
【0016】
保持具ベース4の中心部には、温度調整装置としてのペルチェ素子18、その近傍の温度を検出する温度センサ15a、ペルチェ素子18に接続された放熱フィン(不図示)、放熱フィンに送風するファン40が設けられている。ペルチェ素子18により保持具ベース4の温度を一定(例えば40℃)に保つことができる。このため、温調ブロック10のペルチェ素子17の放熱と吸熱の効率を向上することができる。核酸増幅手法の1つであるPCR法では、温調ブロック10における温度上昇と下降とで規定される温度サイクルを、反応容器105に対して繰り返し付加する。この際、保持具ベース4を適温に設定することにより、温度の変化速度を向上させ、上昇速度と下降速度のバランスを制御することができる。
【0017】
さらに、反応容器105に収容された反応液の蛍光検出を行う少なくとも1つ(
図2の場合4つ)の蛍光検出器6と、核酸増幅器1の全体を覆うカバー7(
図1参照)とを備えている。カバー7は、保持具3と共に温調ブロック10及び蛍光検出器6を覆うことにより、核酸増幅装置1の蛍光検出部6への外光の入射を抑制する遮光、又は、核酸増幅装置1の内部(カバー7の内部)の温度を保持する保温に使用される。カバー7には、開閉可能なゲート7aが少なくとも1つ(
図1の場合1つ)設けられている。ゲート7aを介して、カバー7の内外(すなわち、核酸増幅装置1の内外)で反応容器105が授受される。
【0018】
蛍光検出器6は、温調ブロック10の架設ポジション12に保持された反応容器105の下部(露出部分)に励起光を照射するための励起光源(不図示)と、反応液からの蛍光を検出する検出素子(不図示)とを有している。蛍光検出器6は、保持具ベース4の回転駆動によって同一円周上を移動する温調ブロック10の動線の外周に沿って並べて配置されている。保持具ベース4を回転させることにより、温調ブロック10で保持された反応容器105が検出位置を通過する。これにより、温調ブロック10で保持された反応容器105の蛍光検出を行う。反応容器105に収容された反応液においては、試薬によって増幅対象となる塩基配列が蛍光標識されている。このため、励起光を反応容器105の検出位置を通過させることにより蛍光検出を行う。反応容器105に収容された反応液は、試薬により増幅対象となる塩基配列が蛍光標識されている。従って、励起光源から反応容器105に励起光を照射し、その際に生じる反応液からの蛍光を蛍光検出器6で検出すると、反応液に含まれる増幅対象である塩基配列を経時的に定量することができる。また、複数の蛍光検出器6は、互いに独立的に反応容器105内の反応液の検出又は測定を行う。検出結果は、制御装置120に送信される。励起光源としては、例えば発光ダイオード(LED)、ガスレーザ、半導体レーザ、キセノンランプ、ハロゲンランプが用いられる。また、検出素子としては、フォトダイオード、フォトマルチプライヤー、CCD等が用いられる。
【0019】
制御装置120は、核酸検査装置100の全体動作を制御する。制御装置120の基本構成はコンピュータである。従って、制御装置120は、不図示のCPU、ROM、RAM、外部記憶装置等の構成を有している。制御装置120は、入力装置118により設定された測定項目のプロトコルに基づいて、予め記憶部(図示せず)に記憶された各種ソフトウェアを実行して核酸増幅処理や蛍光検出を行い、蛍光検出結果などの分析結果や核酸検査装置100の稼働状況などを記憶部に記憶し、又は表示装置119に表示する。
【0020】
核酸検査装置100を構成する核酸増幅装置1において実行される核酸増幅処理においては、その測定項目によって決まるプロトコルに定められた準備を施した検体(反応容器105に収容された反応液)に対して、プロトコルに定められた温度制御を適用し、目的とする塩基配列を選択的に増幅させる。
【0021】
なお、本実施形態においては、温調ブロック10の架設ポジション12に保持された反応容器105の下方から励起光を照射し、蛍光を検出する構成を採用したが、これに限らず、反応容器105の側方、又は上方から励起光の照射及び蛍光の検出を行ってもよく、さらに反応容器105の下方、上方、側方のいずれかから励起光を照射し、励起光の照射方向とは異なる方向で蛍光を検出する方式を採用してもよい。
【0022】
また、蛍光検出器6、温調ブロック10、及びゲート7aの数は、本実施形態で説明する数に限定されるものではなく、必要に応じて数を調整してもよい。
【0023】
また、反応容器105の架設処理は、ロボットアーム装置112に備わっているグリッパユニット113によって、撹拌ユニット109上の反応容器105を把持し、ゲート7aを通過させて、核酸増幅装置1の温調ブロック10上の架設ポジション12に架設されることにより行われる。さらに、反応容器105が温調ブロック10に架設された後、ペルチェ素子17により増幅反応のための温度制御が行われる。ただし、架設される前においても、温調ブロック10はペルチェ素子17により増幅反応前の温度制御(プレヒート)が行われる。これ以降に示される反応容器105の架設処理、温度制御については、同様に行われる。
【0024】
[核酸検査装置の機能構成]
次に、核酸検査装置100の機能構成を説明する。核酸検査装置100は、機能面において、検体を前処理する前処理処部、核酸を増幅する温度調節部、核酸の増幅をリアルタイムに検出する検出部、検体を前処理部から温度調節部に搬入又は測定の終了した検体を温度調節部から前処理部に搬出する搬送機構、これらを制御する制御部、検出データを解析する解析部を有する。
【0025】
以下の説明において、「検体」とは、「標準試料」と「検査試料」を意味する。標準試料とは、検査品質を保証するための試料であり、例えば陽性標準試料、陰性標準試料、定量標準試料がある。
【0026】
「前処理部」とは、核酸増幅とリアルタイム検出の前工程として実施される全ての工程を含んでもよいし、増幅・検出工程の直前の工程のみを含んでもよい。例えばリアルタイムPCRの核酸検査であれば、血液検体の前分注工程、核酸抽出工程、増幅反応液調製工程を含んでもよし、増幅反応液調製工程のみを含んでもよい。
【0027】
本実施形態に係る「温度調節部」は、40℃〜100℃の温度間で自在に温度を変化できる構成をいう。標準的なPCR反応を実施することができれば、温度調節部は、いかなる温度調節機構を用いてもよい。
【0028】
図3に、核酸検査装置100による核酸分析の処理の流れと、データのやり取りを示す。検体に対する検査項目の登録は入出力装置201を通じて行われ、分析依頼データ205として不図示の記憶領域に格納される。ここで、入出力装置201は、
図1の入力装置118と表示装置119が対応する。
【0029】
分析計画部202は、分析依頼データ205と装置の分析状況206とに基づいて分析の実行可否を判定し、分析計画207を計算する。分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、検体の分析を指示する。分析計画部202は、分析依頼データ205で与えられる各検体の検査内容と、分析に使用する温調ブロック10とに基づいて各検体の検査に要する時間を計算し、分析計画207を算出する。なお、検査時間の理論値を算出する場合には、標準的な温度制御能力の温調ブロック10が使用されるものと仮定する。分析計画部202には、幾つかの優先モードが用意されており、各優先モードに応じて分析計画207を算出する。
【0030】
分析実行部203は、分析計画207に従って、反応容器105の移動や分注動作を制御する。データ処理部204は、各検体の検出データを読み取り、分析結果データ208として不図示の記憶領域に保存する。入出力装置201は、分析状況206や分析結果208を作業画面に表示する。
【0031】
分析計画部202、分析実行部203、データ処理部204の各処理は、制御装置120を構成するコンピュータ上で実行されるプログラムを通じて実現される。また、分析計画部202が使用する優先モードの選択もコンピュータ上で実行されるプログラムを通じて実現される。
【0032】
[温度制御プロトコル]
図4に、反応容器105内の反応液を核酸増幅する際に用いられる温度制御プロトコルの一例を示す。なお、反応容器105内の反応液の温度調整は、前述したように、温調ブロック10に配置される温度調整装置としてのペルチェ素子17の温度制御を通じて実現される。
・反応液の温度を温度T12から温度T11に変化(昇温)させ、時間t11の間、反応液の温度を温度T11に保持する。
図4に示すように、時間t11には、直前の温度T12から温度T11への遷移時間も含まれる。
・反応液の温度を温度T11から温度T12に変化(降温)させ、時間t12の間、反応液の温度を温度T12に保持する。
図4に示すように、時間t12には、直前の温度T11から温度T12への遷移時間も含む。
・上記組み合わせを1サイクルとし、温度制御プロトコルに規定された回数(N1)のサイクルを繰り返す。勿論、前述した温度サイクル以外に温度制御プロトコルに規定サイクルが有る場合は、上記サイクルに倣い、温度及び時間を設定する。
【0033】
[増幅検出に要する時間]
PCR温度サイクルを用いた検査に要する時間は、以下の要因の影響を受ける。
(a)温度指定値・保持時間
図4の場合、温度指定値は温度T11とT12の2つである。この2つの異なる温度間で温度変化を行う。各温度指定値における保持時間は、時間t11、t12である。
【0034】
(b)検出サイクル数
温度指定値と保持時間で与えられる1サイクルを繰り返す回数である。
図4の場合、1サイクルがN1回繰り返えされる。
【0035】
(c)温度制御能力
温調ブロック10による反応液の温度を制御する能力を与える。その評価項目には、例えば以下の(c−1)、(c−2)、(c−3)が考えられる。
(c−1)変化(上昇/下降)速度: Δ℃/Sec
変化速度の値が速いほど、温度を変化させる能力が高いことを意味する。最も基本的な評価項目である。最も単純な温度制御能力の評価は、変化速度だけで行う。
(c−2)安定度: Sec
目標温度に収束する早さを表す。目標温度に保持するまでの時間が短いほど、温度制御能力が高い。
(c−3)制御量: %
温調ブロック10が有する最大能力の何パーセントで所定の温度制御を実現できるかを表す。この値は小さいほど温度制御能力が高い。
なお、前述した要因のうち、項目(a)と(b)は、温度制御プロトコルで指定される。項目(c)は、温調ブロック10毎に異なる。
【0036】
[温調ブロック毎の温度制御能力]
前述したように、温調ブロック10の温度制御能力にはバラツキが存在する。バラツキが生じる要因には、例えば個体差、劣化が考えられる。
【0037】
図5に、同じ温度制御プロトコルを実行する場合でも、温調ブロック10の温度制御能力の違いが、検査時間にどのように影響するかを示す。図中上段に示すグラフAは、温度制御能力の高い温調ブロック10を用いる場合の反応液の温度変化である。一方、図中下段に示すグラフBは、温度制御能力が低い温調ブロック10を用いる場合の反応液の温度変化である。
図5に示すように、同じ温度制御プロトコルを実行する場合でも、温度制御能力の違いによって1つの温度サイクルの実行に要する時間に差が現われている。
図5に示すように、温度制御能力の高い温調ブロック10を用いる場合の周期501は、温度制御能力が低い温調ブロック10を用いる場合の周期502より短くなる。すなわち、時間差503が生じている。この時間差503に温度サイクル数を乗じたものが検査に要する時間の差となる。
【0038】
[温度制御能力の評価]
温度制御能力の評価は、以下の時期、手順で実行する。
(a)メンテナンス時
核酸検査装置100が分析処理に使用されていないメンテナンス時に実行する。評価の実行は、ユーザ又はサービスマンが指示する。温度制御能力の評価に必要な測定結果は、予め規定した温度制御プロトコルを対応する温調ブロック10に与えて温度制御することにより取得される。
図6に、温調ブロック10について個別に測定された評価項目の値と、評価点と、優先順位との対応関係を示す。後述するように、この対応関係は不図示の記憶領域に格納される。
図7に、温度制御能力の評価動作手順を例示する。
【0039】
まず、評価対象に選択された1つの温調ブロック10を予め定めた温度制御プロトコルに従って制御し、その際の反応容器105内の反応液の温度変化を温度センサ15で測定する。これにより、温度制御結果の情報が取得される(ステップ701)。例えば
図6の温調ブロックNo.3の場合、変化速度Δ℃/秒は3.2であり、安定度は10秒であり、制御量は25%であると測定される。
【0040】
続く、ステップ702では、取得結果に基づいて温度制御能力を数値化した値が計算される(ステップ702)。この計算では、不図示の記憶領域に格納された評価点の換算テーブルが用いられる。
図8に換算テーブルの一例を示す。(A)は変化速度と評価点の換算テーブルである。(B)は安定度と評価点の換算テーブルである。なお、制御量から評価点への換算は、所定の換算式により行われる。本実施形態では、制御量に係数0.4を乗算した値を評価点とする。
【0041】
例えば温調ブロックNo.3の場合、変化速度の3.2に対応する評価点は50点であり、安定度の10秒に対応する評価点は20点であり、制御量の25%に対応する評価点は10点である。従って、温調ブロックNo.3の評価点は、これら個別の評価項目の評価点の総和である80点(=50+20+10)で与えられる。
【0042】
各温調ブロック10の温度制御能力を与える評価点の計算結果は、
図6に示すテーブル形式で不図示の記憶領域に格納される(ステップ703)。以上説明した測定、計算及び格納処理が、核酸検査装置100を構成する全ての温調ブロック10について順番に実行される。なお、相互の温度変化の影響を考慮せずに済む場合には、全ての又は複数の温調ブロック10について測定、計算及び格納処理が同時に実行される。
【0043】
全ての温調ブロック10について評価点の計算が終了すると、ステップ704が実行される。ステップ704では、評価点の大きさ順に、温調ブロック10に対して優先順位が付与される。全ての温調ブロック10について優先順位が決定すると、決定した順位を不図示の記憶領域に格納し、
図6に示すテーブルを完成させる(ステップ705)。優先順位を参照すれば、温調ブロック10の相対的な温度制御能力の関係が分かる。本実施形態では、この優先順位の関係を検体の検査に使用する温調ブロック10の割り当て決定時に参照する。
【0044】
なお、
図6に示すテーブルは、メンテナンスのたびに格納される。従って、以前に格納された優先順位と今回格納された優先順位を比較すれば、劣化の進行のバラツキによる温調ブロック間の温度制御能力の相対的な順位の変動を確認することができる。
図6に示すテーブルを表示装置119の作業画面に表示すれば、ユーザやサービスマンは視覚的に温調ブロック10の温度制御能力を確認することができる。
【0045】
(b)分析中
温度制御能力の評価は、メンテナンス時だけでなく、分析処理の実行中にも可能である。すなわち、分析に使用する温度制御プロトコルに基づいて変化速度、温度変化、制御量を測定し、それらの値から温度制御能力の評価点を算出し優先順位を付与することも可能である。
【0046】
[優先モードに応じた分析計画]
ここでは、分析計画部202(
図3)により提供される分析計画207の具体例を説明する。本形態例に係る核酸検査装置100には、複数の優先モードが用意されている。以下では、優先モードに応じた反応容器105と温調ブロック10の割り当て方法の違いを詳細に説明する。分析計画207の作成に使用する優先モードは、例えば分析開始前にユーザが選択する。
【0047】
[標準試料の検査優先モードの場合]
核酸分析の現場では、標準試料の分析結果を検査試料よりも早く得たい要求がある。標準試料の分析結果を、検査試料の分析結果の良否の判定に使用するためである。
図9に、標準試料の検査結果の出力を優先する動作モード時に実行されるフローチャートを示す。なお、動作モードの指定は、入力装置118を通じて制御装置120に与えられる。他の動作モードも同様である。もっとも、動作モードは予め設定されたモードを適用してもよい。
【0048】
まず、分析計画部202は、検査待ちの反応容器105のうち標準試料を収容するものを識別する(ステップ901)。なお、標準試料を収容する反応容器105は、入力装置118を通じてユーザから入力されてもよい。
【0049】
分析計画部202は、検査待ちの反応容器105に標準試料を収容するものがあるか否かを判定する(ステップ902)。否定結果が得られた場合、検査を優先すべき反応容器105が存在しないので本モードを終了する。この場合は、他の動作モードに従い、反応容器105の割り当て先が、未使用の温調ブロック10の中から選択される。
【0050】
ステップ902で肯定結果が得られた場合、分析計画部202は、各温調ブロック10について温度制御能力の優先順位を取得する(ステップ903)。優先順位は、少なくとも未使用の温調ブロック10について取得されればよい。
【0051】
分析計画部202は、未使用の温調ブロック10のうち優先順位が最も高いものから順番に、標準試料を収容した反応容器105を割り当てる(ステップ904)。なお、検査試料を収容する反応容器105については、一般的な手法で温調ブロック10を割り当てる。例えば単純に順番に割り当てを決定する。この後、分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、分析の実行を指示する。
【0052】
分析実行部203は、分析計画207に従って、ロボットアームX軸110とロボットアームY軸111を駆動制御し、標準試料や検査試料を収容した反応容器を、割り当て先である特定の温調ブロック10に載置する。分析は、載置が終了した温調ブロック10から順番に開始される(ステップ905)。
【0053】
図10に、当該モードを実行した場合と実行しない場合の検査時間の違いを示す。図中上段に示す12本の棒グラフ(A)は、各反応容器105の反応液について設定された検査(分析)項目に応じた検査時間の理論値を表している。理論値であるので、温調ブロック10の温度制御能力は全て標準値であるものとして計算されている。各棒グラフの横軸方向の長さが検査時間長に対応する。
図10の場合、検査項目は、A群、B群、C群の3つである。また、検査時間の理論値は、C群が一番長く、A群が二番目に長く、B群が三番目に長い。なお、いずれの検査項目も、2つの標準試料と2つの検査試料が検査対象である。
図10の上段に示すように、検査項目A群、B群、C群の順番に、検査が開始されている。
【0054】
図10の下段に示す12本の棒グラフ(B)は、標準試料の検査優先モードを適用した場合の検査時間を表している。なお、検査項目A群、B群、C群の順番に検査が開始される点は、上段の場合と同じである。上段と下段を比較して分かるように、標準試料の検査優先モードでは、いずれの検査項目についても、理論値よりも検査時間が短くなっている。勿論、理論値で想定する温度制御能力よりも、各検査項目で割り当てられた温調ブロック10の温度制御能力の方が高いためである。
【0055】
図10では、検査時間が相対的に長い検査項目Cについて、標準試料の検査優先モードを適用した場合における標準試料の検査終了時間が、理論値よりも早く終了する様子を破線で示している。なお、
図10では、検査試料を収容する反応容器105の検査時間が、標準試料の検査時間より長くなるだけでなく、理論値よりも長くなるものとして表している。しかし、本モードの場合、検査試料についての割り当ては任意である。従って、検査試料を収容する反応容器105の検査時間が常に理論値よりも長くなるとは限らない。
【0056】
一方、標準試料を収容する反応容器105を割り当てる温調ブロック10の温度制御能力は、検査試料を収容する反応容器105を割り当てる温調ブロック10の温度制御能力よりも高いことが保証されるため、少なくとも同じ検査内容であれば、標準試料の検査の方が、検査試料よりも検査が早く終了する。
【0057】
[全検査時間長優先モードの場合]
一般に、温度サイクル数が多い検査項目の検査時間は、温度サイクル数が少ない検査項目の検査時間よりも長くなる。従って、温度サイクル数の多い検査項目が指定された反応液を収容する反応容器105が温度制御能力の低い温調ブロック10に割り当てられると、検査時間が理論値よりも大きくなり、検査の終了時間が遅くなる。
【0058】
しかし、分析現場では、同時期に検査を開始する全ての検査をできるだけ早く終了させたい場合がある。このような場合に、全検査時間長優先モードを選択する。
【0059】
図11に、本動作モード時に実行されるフローチャートを示す。まず、分析計画部202は、検査待ちの反応容器105について検査時間の理論値を取得する(ステップ1101)。検査時間の理論値は、核酸検査装置100の不図示の制御部が計算してもよいし、制御装置120が計算してもよい。
【0060】
次に、分析計画部202は、未割り当ての温調ブロック10について温度制御能力の優先順位を取得する(ステップ1102)。
【0061】
続いて、分析計画部202は、検査時間の長い反応容器105から順番に、温度制御能力の優先順位が高い温調ブロック10を割り当てる(ステップ1103)。この後、分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、分析の実行を指示する。
【0062】
分析実行部203は、分析計画207に従って、ロボットアームX軸110とロボットアームY軸111を駆動制御し、各反応容器105を、割り当て先である特定の温調ブロック10に載置する。分析は、載置が終了した温調ブロック10から順番に開始される(ステップ1104)。
【0063】
図12に、当該モードを実行した場合と実行しない場合の検査時間の違いを示す。図中最上段に示す12本の棒グラフ(A)は、各反応容器105の反応液について設定された検査(分析)項目に応じた検査時間の理論値を表している。理論値であるので、温調ブロック10の温度制御能力は全て標準値であるものとして計算されている。各棒グラフの横軸方向の長さが検査時間長に対応する。
図12の場合も、検査項目は、A群、B群、C群の3つである。また、検査時間の理論値は、C群が一番長く、A群が二番目に長く、B群が三番目に長い。なお、検査項目A群、B群、C群の順番に、検査が開始されるものとする。
【0064】
図12の中段に示す12本の棒グラフ(B)は、反応容器105を適当に温調ブロック10に割り当てる場合の一例を示している。この場合、各反応容器105の検査時間は、割り当てられた温調ブロック10の温度制御能力に依存する。従って、全検査の終了時間が理論上の終了時間よりも短縮されるとは限らない。
図12では、最終の検査終了時間が理論値と一致しているが、一般にはその保証がない。
【0065】
図12の下段に示す12本の棒グラフ(C)は、検査時間の長い検査項目の反応容器105を温度制御能力の優先順位が高い温調ブロック10に優先的に適用した場合を表している。なお、検査項目A群、B群、C群の順番に検査が開始される点は、上段の場合と同じである。
【0066】
この場合、検査時間の長い検査項目Cの検査時間が確実に短縮される。結果的に、棒グラフ(C)に示すように、検査項目Cに対応する反応容器105に対応する検査時間がいずれも短縮される。この結果、理論的にも検査終了時間が遅い検査項目Cの検査終了時間が、理論値よりも早く終了する。
【0067】
なお、
図12においては、検査時間の理論値が二番目短い検査項目Aと一番短い検査項目Bの検査時間が理論値と一致しているが、この状態は、使用した温調ブロック10の温度制御能力が理論値と一致しているからである。一般的には、相対的に温度制御能力の優先順位が相対的に下位の温調ブロック10が割り当てられるため、検査時間は理論値よりも長くなる可能性が増える。もっとも、そもそもの検査時間が相対的に短いため、その検査時間が増加しても、一般的には、検査時間の理論値が最も長い検査項目Cの検査終了時間を超えることはない。
【0068】
このように、本動作モードを採用する場合には、同時に実行する検査全体の時間長を理論値よりも短縮することができる。
【0069】
[処理検体数優先モードの場合]
分析現場では、分析依頼が登録され、前処理を行うために待ち状態となっている検体群がある場合に、その検体を分析するために必要な温調ブロック10を早期に確保する必要がある。本動作モードでは、必要数の温調ブロック10を早期に確保できるようにするため、検査時間の短い検査項目の反応容器105から優先的に、温度制御能力の高い温調ブロックを割り当てるようにする。この場合、検査時間の短い検査が早く終了する可能性が高くなるので、待機中の検体群に対する前処理を早期に開始することができる。
【0070】
図13に、本動作モード時に実行されるフローチャートを示す。まず、分析計画部202は、検査待ちの反応容器105について検査時間の理論値を取得する(ステップ1301)。検査時間の理論値は、核酸検査装置100の不図示の制御部が計算してもよいし、制御装置120が計算してもよい。
【0071】
次に、分析計画部202は、未割り当ての温調ブロック10について温度制御能力の優先順位を取得する(ステップ1302)。
【0072】
続いて、分析計画部202は、検査時間の短い反応容器105から順番に、温度制御能力の優先順位が高い温調ブロック10を割り当てる(ステップ1303)。この後、分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、分析の実行を指示する。
【0073】
分析実行部203は、分析計画207に従って、ロボットアームX軸110とロボットアームY軸111を駆動制御し、各反応容器105を、割り当て先である特定の温調ブロック10に載置する。分析は、載置が終了した温調ブロック10から順番に開始される(ステップ1304)。
【0074】
図14に、当該モードを実行した場合と実行しない場合の検査時間の違いを示す。図中最上段に示す12本の棒グラフ(A)は、各反応容器105の反応液について設定された検査(分析)項目に応じた検査時間の理論値を表している。理論値であるので、温調ブロック10の温度制御能力は全て標準値であるものとして計算されている。各棒グラフの横軸方向の長さが検査時間長に対応する。
図14の場合も、検査項目は、A群、B群、C群の3つである。また、検査時間の理論値は、C群が一番長く、A群が二番目に長く、B群が三番目に長い。なお、検査項目A群、B群、C群の順番に、検査が開始されるものとする。
【0075】
図14の中段に示す12本の棒グラフ(B)は、反応容器105を適当に温調ブロック10に割り当てる場合の一例を示している。この場合、各反応容器105の検査時間は、割り当てられた温調ブロック10の温度制御能力に依存する。従って、全検査の終了時間が理論上の終了時間よりも短縮されるとは限らない。棒グラフ(B)では、検査項目Dの実行が予約された6個の反応容器105が待機中である状態を表している。棒グラフ(B)の場合、6個の温調ブロック10が空くのは、点線で示すタイミングである。従って、本動作モードを適用しない核酸検査装置100においては、点線で示すタイミングから検査項目Dの検査が開始される。
【0076】
図14の下段に示す12本の棒グラフ(C)は、検査時間の短い検査項目の反応容器105を温度制御能力の優先順位が高い温調ブロック10に優先的に適用した場合を表している。なお、検査項目A群、B群、C群の順番に検査が開始される点は、上段の場合と同じである。
【0077】
棒グラフ(C)に示すように、検査時間の短い検査項目B、Aの検査時間が確実に短縮される。なお、
図14では、2番目に検査時間の長い検査項目Aについては、その一部でのみ検査時間が短縮されている。この場合、使用可能な12個の温調ブロック10のうち、6個目の温調ブロック10が空くタイミングを点線で示している。棒グラフ(B)と(C)を比較して分かるように、次の6個の試料の投入が可能となるタイミングが前倒しされている。
【0078】
この結果、検査項目Dに対応する6個の反応容器105の検査結果を、棒グラフ(B)の場合に比して早期に得ることができる。なお、本動作モードの場合、検査時間が最も長い検査項目Cに対して優先順位の低い温調ブロック10が割り当てられる。このため、検査項目Cについての検査時間は長くなる可能性があるが、全18個の検査が終了する時間を比較すれば、本動作モードの方が検査を早く終了させることが可能となる。
【0079】
[終了時間優先モードの場合]
前述の動作モードでは、基本的に、検査予約があった時点で未割り当ての(すなわち、検査に使用されていない)温調ブロック10に反応容器105の割り当てを決定した。ここでは、現在使用中の温調ブロックも割り当て候補に含め、検査終了時間が早くなる方の割り当てを優先する。
【0080】
図15に、本動作モード時に実行されるフローチャートを示す。まず、分析計画部202は、未使用の温調ブロック10の温度制御能力の優先順位を取得する(ステップ1501)。
【0081】
続いて、分析計画部202は、未使用の温調ブロック10のうち優先順の高い温調ブロック10を、検査待ちの反応容器105に割り当てた場合の検査終了予定時間1を算出する(ステップ1502)。この際、分析計画部202は、反応容器105について登録されている検査項目の情報と使用する温調ブロック10の温度制御能力の情報を取得し、これらの情報に基づいて検査を開始した検査終了予定時間1を算出する。例えば分析計画部202は、温度制御能力の標準値(評価点)と検査に使用する温調ブロック10の評価点との相対比に基づいて検査時間を補正し、検査終了予定時間1を計算する。
【0082】
次に、分析計画部202は、使用中の温調ブロック10に対して検査待ちの反応容器105を割り当て、現検査の終了後引き続き、次の検査を開始させる場合の検査終了予定時間2を算出する(ステップ1503)。この場合も、ステップ1502と同様の手法にて、検査終了予定時間2を計算する。
【0083】
次に、分析計画部202は、検査終了予定時間1と2を比較し、早く終了する方の割り当てを選択する(ステップ1504)。その後、分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、分析の実行を指示する。
【0084】
分析実行部203は、分析計画207に従って、ロボットアームX軸110とロボットアームY軸111を駆動制御し、各反応容器105を、割り当て先である特定の温調ブロック10に載置する。分析は、載置が終了した温調ブロック10から順番に開始される(ステップ1505)。
【0085】
図16に、当該モードを実行した場合と実行しない場合の検査時間の違いを示す。図中最上段に示す8本の棒グラフ(A)は、現在使用されていない温調ブロック10のうちで温度制御能力の優先順位が高い4つに、検査待ちの反応容器105を自動的に割り当てて検査を実行する場合の検査時間を表している。一方、
図16の下段に示す8本の棒グラフ(B)は、検査待ちの4つの反応容器105を受付けた時点では、使用中であった温度制御能力の高い温調ブロック10が空くのを待って検査を開始できるように、割り当てを決定した場合の例を表している。
【0086】
本動作モードは、ステップ1504の判定処理を設けたように、使用中の温調ブロック10の空きを待って検査を開始する方が、常に検査の終了時間が早まるとは限らない。しかしながら、本動作モードを用意することにより、温度制御能力の高い温調ブロック10の有効活用が可能となり、検査終了時間の前倒しも可能になる。
【0087】
[乗せ変え許容モードの場合]
前述の動作モードは、いずれも割り当ての決定後は、決定された割り当てに従って検査を開始し、その検査の全てを実行した。しかし、検査を開始した温調ブロック10の温度制御能力が低い場合において、相対的に温度制御能力の高い温調ブロック10の使用が可能になった時点で、検査に使用する温調ブロック10を載せ変えた方が検査が早く終了する可能性がある。本動作モードでは、このような場合を想定する。
【0088】
図17に、本動作モード時に実行されるフローチャートを示す。まず、分析計画部202は、未使用の温調ブロック10のうち優先順の高い温調ブロック10を、検査待ちの反応容器105に割り当てた場合の検査終了予定時間1を算出する(ステップ1701)。この際、分析計画部202は、反応容器105について登録されている検査項目の情報と使用する温調ブロック10の温度制御能力の情報を取得し、これらの情報に基づいて検査を開始した検査終了予定時間1を算出する。例えば分析計画部202は、温度制御能力の標準値(評価点)と検査に使用する温調ブロック10の評価点との相対比に基づいて検査時間を補正し、検査終了予定時間1を計算する。
【0089】
次に、分析計画部202は、使用中の温調ブロック10に対して検査待ちの反応容器105を割り当て、現検査の終了後引き続き、次の検査を開始させる場合の検査終了予定時間2を算出する(ステップ1702)。この場合も、ステップ1701と同様の手法にて、検査終了予定時間2を計算する。
【0090】
次に、分析計画部202は、検査終了予定時間1と2を比較し、早く終了する方の割り当てを選択する(ステップ1703)。その後、分析計画部202は、計算された分析計画207を分析実行部203に与え、分析の実行を指示する。
【0091】
分析実行部203は、分析計画207に従って、ロボットアームX軸110とロボットアームY軸111を駆動制御し、各反応容器105を、割り当て先である特定の温調ブロック10に載置する。分析は、載置が終了した温調ブロック10から順番に開始される(ステップ1704)。
【0092】
なお、判定時には使用中であっても、予定より早期に温調ブロック10が空き状態になる場合があるので、
図17に示すフローチャートは一定間隔に繰り返し実行されることが望ましい。または、予定終了時間よりも早く検査が終了した温調ブロック10が出現した場合には、
図17に示すフローチャートが自動的に実行されるようにしてもよい。
【0093】
図18に、当該モードを実行した場合と実行しない場合の検査時間の違いを示す。図中最上段に示す8本の棒グラフ(A)は、4つの温調ブロック10が検査項目A群の検査に使用されており、これら4つの温調ブロック10の温度制御能力が未使用の他の温調ブロック10よりも高いものとする。棒グラフ(A)は、検査時間の短い検査項目B群について使用されていない8個の温調ブロック10のうちで温度制御能力の高い4つを用いて検査が開始された場合を表している。
【0094】
図18の中段に示す8本の棒グラフ(B)は、検査項目A群の検査が予定よりも早く終了した場合を表している。例えば検査内容によっては、初期の検査結果だけでそれ以上の検査の必要性がなくなる場合がある。このような場合、棒グラフ(B)に示すように、温度制御能力の高い4つの温調ブロック10が空く場合がある。
【0095】
図18の下段に示す8本の棒グラフ(C)は、本動作モードを適用した場合である。検査が開始している他の4つの反応容器105を、検査項目A群の検査に使用していた4つの温調ブロック10に載せ変えると、検査項目B群の検査を早く終了できることが確かめられたため、載せ変えが行われた様子を表している。
【0096】
[他の形態例]
本発明は、上述した形態例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【0097】
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現することも可能である。また、上述した各構成、機能等は、プロセッサで実行されるプログラムとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0098】
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。