特許第5838010号(P5838010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許5838010-エチレンオリゴマー化方法 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838010
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】エチレンオリゴマー化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/08 20060101AFI20151203BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20151203BHJP
   C07F 11/00 20060101ALI20151203BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20151203BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20151203BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20151203BHJP
【FI】
   C07C2/08
   C07C11/02
   C07F11/00 A
   C07F7/10 P
   B01J31/22 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-510199(P2015-510199)
(86)(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公表番号】特表2015-517461(P2015-517461A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2013004159
(87)【国際公開番号】WO2013169069
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0049712
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0052703
(32)【優先日】2013年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ホン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】イム、キョン−チャン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ−ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミン−ソク
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−513115(JP,A)
【文献】 特表2005−514395(JP,A)
【文献】 特表2005−533872(JP,A)
【文献】 特表2008−539056(JP,A)
【文献】 特表2010−536538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/、11/
C07F 7/、11/、
C08F 10/、110/、210
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)下記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)下記の化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む触媒系の存在下でエチレンを重合させる段階を含むエチレンオリゴマー化方法:
【化11】

前記化学式1及び2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【請求項2】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基である請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法。
【請求項3】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基である請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法。
【請求項4】
前記XはClまたはメチル基である請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法。
【請求項5】
前記化学式1で示される化合物は下記構造式のうちの一つである請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法:
【化12】
【請求項6】
前記化学式2で示される化合物は下記構造式のうちの一つである請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法:
【化13】

【化14】
【請求項7】
前記クロム供給源は、クロム(III)アセチルアセトネイト、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン及びクロム(III)−2−エチルヘキサノエートからなる群より選択されるものである請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法。
【請求項8】
前記助触媒は下記の化学式3乃至5で示される化合物からなる群より選択された1種以上である請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法:
【化15】
前記化学式3で、R4は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立的にハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
【化16】
前記化学式4で、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R5は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
【化17】
前記化学式5で、
Lは中性ルイス塩基であり、[L−H]+はブレンステッド酸であり、Qは+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、Eはそれぞれ独立的に1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基で置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【請求項9】
5乃至200℃の温度及び1乃至300barの圧力条件で遂行される請求項1に記載のエチレンオリゴマー化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチレンオリゴマー化方法に関するものである。より詳しくは、エチレンオリゴマー化反応に対して高い活性を示す新規なクロム化合物を含む触媒系を用いてエチレンをオリゴマー化する方法に関するものである。
【0002】
本出願は2012年5月10日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2012−0049712号、及び2013年5月9日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0052703号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
線状アルファ−オレフィン(Linear alpha−olefin)は共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに用いられる重要な物質として商業的に幅広く使用され、特に1−ヘキセンと1−オクテンは線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時にポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用される。
【0004】
従来のLLDPE(Linear Low−Density Polyethylene、線状低密度ポリエチレン)の製造過程にはエチレンと共にポリマー骨格(polymer backbone)に分枝(branch)を形成して密度(density)を調節するためにアルファ−オレフィン、例えば1−ヘキセン、1−オクテンのような共単量体と共重合が行われるようにした。
【0005】
したがって、共単量体の含量の高いLLDPEの場合には共単量体が製造費用の大きい部分を占めるという問題点があった。このような問題点を解決するために多様な方法への試みがあった。
【0006】
また、アルファ−オレフィンは種類によって応用分野や市場規模が異なるため、特定オレフィンを選択的に生産できる技術は商業的に非常に重要であり、最近、選択的なエチレンオリゴマー化(ethylene oligomerization)を通じて1−ヘキセンまたは1−オクテンを高い選択度で製造するクロム触媒技術に対する研究が多く行われている。
【0007】
1−ヘキセンまたは1−オクテンを製造する既存の商業的製造方法としては、シェルケミカル(Shell Chemical)のSHOPプロセス(SHOP process)、シェブロンフィリップス(Chevron Philips)のチーグラープロセス(Ziegler Process)などがあり、これを用いると炭素数C4〜C20の広い分布のアルファ−オレフィンを生成することができる。
【0008】
また、有機金属触媒を用いたエチレン三量体化(trimerization)または四量体化(tetramerization)方法を用いて1−ヘキセンまたは1−オクテンを選択的に製造する多くの研究が行なわれてきたが(J. Am. Chem. Soc 2003, 125, 5272(非特許文献1), Ind. Eng. Chem. Res. 2008, 47, 5369(非特許文献2), WO03/053890(特許文献1))、十分な高活性を示す触媒に対する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第03/053890号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc 2003, 125, 5272
【非特許文献2】Ind. Eng. Chem. Res. 2008, 47, 5369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は高い活性が維持できるエチレンオリゴマー化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、i)下記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)下記の化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む触媒系の存在下でエチレンを重合させる段階を含むエチレンオリゴマー化方法を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
前記化学式1及び2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、高活性のエチレンオリゴマー化反応が可能である。これにより別途に共単量体の注入なくても一つの反応器中で、エチレンのみで低密度ポリエチレンの重合が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1によるエチレンオリゴマー化反応の生成物をGC−MSで測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0018】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるところ、特定実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0019】
以下、本発明のエチレンオリゴマー化方法について詳しく説明する。
【0020】
本発明のエチレンオリゴマー化方法は、i)下記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)下記の化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む触媒系の存在下でエチレンを重合させる段階を含む。
【0021】
【化2】
【0022】
前記化学式1及び2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【0023】
本発明の製造方法において、前記触媒系はi)前記化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)前記化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む。
【0024】
前記触媒系はエチレンオリゴマー化反応を含むエチレンの重合反応に用いることができる。
【0025】
本発明で“触媒系”とはクロム供給源、リガンド化合物及び助触媒の3成分がまたは代案的に、クロム化合物及び助触媒の2成分が同時にまたは任意の順序で順次に、任意の適した溶媒の存在または不存在下で、単量体の存在または不在下で共に添加されて、活性がある触媒組成物として収得できる状態のものを意味する。前記触媒系の3成分または2成分は担体に担持せずに使用することができ、または必要によって担体に担持して使用することもできる。つまり、本発明による触媒系は前記化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、または前記化学式2で示されるクロム化合物と、助触媒を含む。
【0026】
本発明の一実施例によれば、前記触媒系は、前記化学式1で示されるリガンド化合物、クロム供給源及び助触媒を含むことができる。この時、前記リガンド化合物:クロム供給源:助触媒のモル比は約1:1:1乃至約10:1:10,000であり得、好ましくは約1:1:100乃至約5:1:3,000であり得る。前記範囲を逸脱して助触媒が過度に少なく含まれる場合には触媒の活性化が完全に行われず触媒系の活性が落ちることがあり、反面、助触媒が過量含まれる場合には過量の活性化剤で生産性側面から経済的でなかったり不純物として作用して生成物の純度が落ちる恐れがある。
【0027】
前記化学式1で示されるリガンド化合物、クロム供給源、及び助触媒を含む触媒系において、前記触媒系の三成分は同時にまたは任意の順序で順次に、任意の適した溶媒で単量体の存在または不在下で共に添加されて活性がある触媒として収得できる。適した溶媒としては炭素数4乃至12の置換されるか非置換された炭化水素を使用することができ、その例としてはヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが含まれるが、これに制限されない。
【0028】
前記化学式1及び2で、ヒドロカルビル基(hydrocarbyl)は1価の炭化水素基を意味し、ヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)は炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を含む1価のヘテロ炭化水素基を意味する。
【0029】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1でR1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基であり得るが、これに限定されるのではない。
【0030】
好ましくは、R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基であり得るが、これに限定されるのではない。
【0031】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1で示されるリガンド化合物は下記構造式のうちで選択されるものであり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0032】
【化3】
【0033】
前記化学式1で示される化合物は下記のような方法で合成できるが、これに制限されるのではない。前記化学式1で示されるリガンド化合物の製造方法は後述する実施例で具体化して説明する。
【0034】
【化4】
【0035】
前記化学式1で示されるリガンド化合物はクロム供給源及び助触媒を追加的に含んでエチレンオリゴマー化反応に用いることができる。
【0036】
本発明の一実施例によれば、前記クロム供給源はクロムまたはクロム前駆体であり得る。前記クロムまたはクロム前駆体の具体的な例としては、クロム(III)アセチルアセトネイト、三塩化クロムトリステトラヒドロフランまたはクロム(III)−2−エチルヘキサノエートであり得るが、本発明がこれに制限されるのではない。
【0037】
本発明の他の実施例によれば、前記触媒系は、前記化学式2で示されるクロム化合物及び助触媒を含むことができる。この時、前記化学式2で示されるクロム化合物及び助触媒はクロム及び金属のモル比を基準に約1:10乃至約1:10,000、好ましくは約1:100乃至約1:1,000に配合して使用することができる。前記範囲を逸脱して助触媒が過度に少なく含まれる場合にはクロム化合物の活性化が完全に行われず触媒系の活性が落ちることがあり、反面、助触媒が過量で含まれる場合には過量の活性化剤で生産性側面から経済的でなかったり不純物として作用して生成物の純度が落ちる恐れがある。
【0038】
前記化学式2で示されるクロム化合物で、R1、R2、R2’、及びR3の具体的な説明及び好ましい例は前記化学式1のリガンド化合物で前述した通りである。
【0039】
前記化学式2で、Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基であり、その具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、iso−ブチルなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0040】
本発明の一実施例によれば前記化学式2で、Xは好ましくはClまたはメチル基であり、さらに好ましくはClであり得る。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記化学式2で示されるクロム化合物は下記構造式のうちで選択されるものであり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
前記化学式2で示されるクロム化合物は下記のような方法で合成できるが、これに制限されるのではない。前記化学式2で示されるクロム化合物の製造方法は後述する実施例で具体化して説明する。
【0045】
【化7】
【0046】
前記化学式2で示されるクロム化合物は単独で、または助触媒を含む触媒系でエチレンオリゴマー化反応に用いることができる。特に、高活性でエチレンオリゴマー化反応が可能で少量の共単量体を使用するかまたは共単量体を使用せずにエチレンのみでも一つの反応器で低密度ポリエチレンを製造することができる。
【0047】
本発明のエチレンオリゴマー化方法において、前記触媒系は助触媒を含む。前記助触媒は13族金属を含む有機金属化合物であり得る。前記13族金属を含む有機金属化合物は一般に遷移金属化合物の触媒下でオレフィンを重合する時に使用できるものであれば特に限定されるのではない。
【0048】
具体的に、前記助触媒としては下記の化学式3乃至5で示される化合物からなる群より選択された1種以上であり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0049】
【化8】
【0050】
前記化学式3で、R4は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立的にハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
【0051】
【化9】
【0052】
前記化学式4で、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R5は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
【0053】
【化10】
【0054】
前記化学式5で、
Lは中性ルイス塩基であり、[L−H]+はブレンステッド酸であり、Qは+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、Eはそれぞれ独立的に1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基に置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【0055】
前記化学式3で示される化合物としては、例えばメチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどであり得る。
【0056】
前記化学式4で示されるアルキル金属化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルイソブチルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどであり得る。
【0057】
前記化学式5で示される化合物としては、例えばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、 N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルボロン、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどであり得る。
【0058】
本発明の一実施例によれば、前記助触媒としてはアルモキサンを使用することができ、好ましくはアルキルアルモキサンであるメチルアルモキサン(MAO)を使用することができる。
【0059】
本発明によってエチレンオリゴマー化反応を遂行する場合、高活性のエチレンオリゴマー化反応が可能であるため別途に共単量体の注入無しでも一つの反応器内で、エチレンのみで低密度ポリエチレンの重合が可能である。
【0060】
本発明の一実施例によれば、前記エチレンオリゴマー化反応は約5乃至約200℃の温度、好ましくは約30乃至約150℃、より好ましくは約50乃至約110℃の温度で実施できる。また、約1乃至約300barの圧力で、好ましくは約2乃至約150bar、より好ましくは約50乃至100barの圧力で実施できる。前記温度及び圧力範囲内でエチレンオリゴマー化反応を行うことが触媒系の重合活性と生産性側面から有利であり得る。
【0061】
本発明によるエチレンオリゴマー化反応の生成物はシュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)に起因する混合物形態に収得できる。
【0062】
以下、本発明を下記の実施例を通じてより具体的に説明する。しかし、これら実施例は単に例示的なものに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0063】
[リガンド化合物及びクロム化合物合成]
[製造例1]
{CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3}CrCl3[S−1complex(コンプレックス)]の製造
[製造例1−1]
1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン(dichlorohexamethyldisilazane)の製造
ヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane)15.2g、ジクロロジメチルシラン(dichlorodimethylsilane)32.2g、AlCl3100mgをシュレンク管(Schlenk flask)に投入し、溶媒としてジクロロメタン150mLを入れた。50℃で3日間攪拌した後、溶媒を真空下で除去した。得られた粗生成物(crude product)を分別蒸留(fractional distillation)し無色の生成物を得た。(収得率80%)
1H−NMR(500MHz, dδ−benzene):δ(ppm)1.10(br, 1H)、0.28(s, 12H)
【0064】
[製造例1−2]
CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3[S−1リガンド]の製造
前記製造例1−1で製造された1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン1.06g、エタンチオール(ethanethiol)0.72g及びTHF30mLをシュレンク管(Schlenk flask)に入れた後、−78℃に冷却した。その次に、トリエチルアミン(triethylamine)1.75mLを徐々に投入し、常温に昇温した後に攪拌した。反応が終結した後、溶媒及び揮発性物質を真空乾燥下で除去した。フラスコにヘキサン100mLを入れた後、フィルターフリット(filter frit)を通じてろ過し、真空乾燥下でヘキサンを除去し浅い黄色の液体の生成物を得た。(収得率95%)
【0065】
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm)2.56(q, 4H), 1.30(t, 6H), 0.39(s, 12H)
【0066】
[製造例1−3]
{CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3}CrCl3[S−1complex(コンプレックス)]の製造
前記製造例1−2で製造されたCH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH352mgとCrCl3(THF)377mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れTHF50mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去し浅い灰色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率95%)
【0067】
[製造例2]
{CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3}CrCl3[S−2complex(コンプレックス)]の製造
[製造例2−1]
CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3[S−2リガンド]の製造
前記製造例1−1で製造された1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン1.06g、1−ドデカンチオール(dodecanethiol)2.12g及びTHF30mLをシュレンク管(Schlenk flask)に入れた後、−78℃に冷却した。その次に、トリエチルアミン(triethylamine)1.75mLを徐々に投入し常温に昇温した後に攪拌した。反応が終結した後、溶媒及び揮発性物質を真空乾燥下で除去した。フラスコにヘキサン100mLを入れた後、フィルターフリット(filter frit)を通じてろ過し、真空乾燥下でヘキサンを除去して浅い黄色の液体を得た。(収得率93%)
【0068】
1H−NMR(500MHz, CDCl3): δ(ppm) 2.57(q, 4H),1.56(q, 4H), 1.35−1.20(m, 32H), 0.86(t, 6H), 0.40(s, 12H)
【0069】
[製造例2−2]
{CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3}CrCl3[S−2complex(コンプレックス)]の製造
前記製造例2−1で製造されたCH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3101mgとCrCl3(THF)360.9mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れ、THF50mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去し浅い灰色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率90%)
【0070】
[製造例3]
{(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)}CrCl3[S−3complex(コンプレックス)]の製造
[製造例3−1]
(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)[S−3リガンド]の製造
前記製造例2−1で1−ドデカンチオール(dodecanethiol)の代わりに2−メトキシチオフェノール(methoxythiophenol)を使用することを除いては同一な製造方法で製造した。(収得率84%)
1H−NMR(500MHz, CDCl3):δ(ppm)7.39(q, 2H),7.22(q, 2H), 6.84(m, 4H), 3.83(s, 6H), 1.25(brs, 1H), 0.25(s,12H)
【0071】
[製造例3−2]
{2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)}CrCl3[S−3complex(コンプレックス)]の製造
前記製造例3−1で製造された(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)412mgとCrCl3(THF)3377mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れ、THF20mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去し浅い紫色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率85%)
【0072】
<エチレンオリゴマー化反応>
[実施例1]
[S−1complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
500ml高圧反応容器を真空に減圧後、アルゴン気体で内部雰囲気を不活性条件にした後、精製トルエン250mlを入れ、メチルアルミノキサン(MAO)をAl/Crモル比600倍で添加した。その次に5mMの製造例1のS−1complex(コンプレックス)触媒のトルエン溶液(5ml、S−1complex(コンプレックス)25μmol)を添加し、エチレン50psigに加圧した条件で溶液反応を60℃で1時間行なった後、溶液の増加された重量で反応器の重量を通じて活性を求め、反応器の温度を0℃に下げた後、HCl水溶液を少しずつ添加して残留MAO及び触媒を除去し有機層部分を取って、フィルターして生成された高分子を別に分離して乾燥した。また、取られた有機層部分をMgSO4で残留水分を除去した後、GC−MSで有機層の組成物を確認した結果、シュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)によるアルファ−オレフィン重合体の混合物形態であることを確認した。
前記GC−MSで測定したグラフを図1に示した。
【0073】
[実施例2]
[S−1complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例1で反応温度を90℃で行うことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0074】
[実施例3]
S−2complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応
前記実施例1でS−1complex(コンプレックス)の代わりに製造例2のS−2complex(コンプレックス)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0075】
[実施例4]
[S−2complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例1でS−1complex(コンプレックス)の代わりに製造例2のS−2complex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃で行うことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0076】
[実施例5]
[S−3complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例1でS−1complex(コンプレックス)の代わりに製造例3のS−3complex(コンプレックス)を使用したことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0077】
[実施例6]
[S−3complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例1でS−1complex(コンプレックス)の代わりに製造例3のS−3complex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃で行うことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0078】
[実施例7]
[S−1リガンド化合物及びクロム供給源のエチレンオリゴマー化反応]
500ml高圧反応容器を真空に減圧後、アルゴン気体で内部雰囲気を不活性条件にした後、精製トルエン250mlを入れ、メチルアルミノキサン(MAO)をAl/Crモル比600倍で添加した。50mLシュレンク管(Schlenk flask)に製造例1−2で収得したS−1リガンド化合物のトルエン溶液(5mM、5ml)を添加してエチレン50psigに加圧した条件で溶液反応を90℃で1時間行なった後、溶液の増加された重量で反応器の重量を通じて活性を求め、反応器の温度を0℃に下げた後、HCl水溶液を少しずつ添加して残留MAO及び触媒を除去し有機層部分を取って、フィルターして生成された高分子を別に分離して乾燥した。また、取られた有機層部分をMgSO4で残留水分を除去した後、GC−MSで有機層の組成物を確認した結果、シュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)によるアルファ−オレフィン重合体の混合物形態であることを確認した。
【0079】
[実施例8]
[S−2リガンド化合物及びクロム供給源のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例7でS−1リガンド化合物の代わりにS−2リガンド化合物を使用したことを除いては実施例7と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0080】
[実施例9]
[S−3リガンド化合物及びクロム供給源のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例7でS−1リガンド化合物の代わりにS−3リガンド化合物を使用したことを除いては実施例7と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0081】
[比較製造例1]
{CH3CH2−S−(CH32−NH−Si(CH32−S−CH2CH3}CrCl3[Tcomplex(コンプレックス)]の製造
表題の化合物を既報告された文献であるJ.AM.CHEM.SOC.2003、125、5272−5273を参考として製造した。
【0082】
[比較例1]
前記実施例1で、S−1complex(コンプレックス)の代わりに比較製造例1のTcomplex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃にしたことを除いては実施例1と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
前記実施例1乃至9及び比較例1のエチレンオリゴマー化反応の結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
上記表1を参照すると、本発明の化合物を含む触媒系を用いてエチレンオリゴマー化反応を行った場合、高い活性でエチレンオリゴマー化反応が可能であった。
【0085】
また図1を参照すると、本発明の一実施例によるエチレンオリゴマー化反応を遂行する場合、アルファ−オレフィン重合体生成物がシュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)による混合物形態に収得されることを確認した。
図1