特許第5838054号(P5838054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838054
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-164031(P2011-164031)
(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公開番号】特開2013-30532(P2013-30532A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】中本 和則
(72)【発明者】
【氏名】大本 豊
(72)【発明者】
【氏名】坪根 恒彦
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/019196(WO,A2)
【文献】 特開2007−258500(JP,A)
【文献】 特開2002−016126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と、この処理室内の下部に配置され前記プラズマに面してその上面に前記プラズマを用いた処理対象の試料が載置される試料台とを備え、
この試料台が、前記試料の載置される面の外周側にこれと段差を有して配置され誘電体製のリング状部材が配置される凹み部及びこのリング状部材の下方に配置されこれを加熱する手段とを有し、前記リング状部材の外周側上方に配置されて前記試料台と連結され前記リング状部材を下方に押し付けて位置決めする金属製部材と、前記リング状部材が前記凹み部に配置され且つ前記金属製部材が前記試料台と連結され前記リング状部材を下方に押し付けた状態で前記リング状部材が載せられた面と当該リング状部材の下面との間及び前記金属製部材が押し付けられる前記リング状部材の上面と当該金属製部材の下面との間並びに前記金属製部材と当該金属製部材が載せられた面との間を含んで構成され外側から密封された空間に熱伝達性ガスを供給する手段とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、前記リング状部材の上面が前記プラズマに面するプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、前記リング状部材が載せられた面と当該リング状部材の下面との間及び前記金属製部材が押し付けられる前記リング状部材の上面と当該金属製部材の下面との間並びに前記金属製部材と当該金属製部材が載せられた面との間の各々で挟持され前記熱伝達性ガスが供給される前記空間を気密に封止する複数のシール部材を備えたプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、前記金属製部材の上方でこれを覆って配置され前記プラズマに面する別の誘電体製の部材を備えたプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、前記リング状部材及び前記金属製部材の下方に配置されこれらと前記凹み部との間で挟まれてこの凹み部上面に押し付けられて保持された金属製のリング状部材を備え、この金属製のリング状部材と前記誘電体製のリング状部材との間のすき間に前記熱伝達性ガスが供給されるプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内の処理室内で形成したプラズマを用いてこの処理室内で半導体ウエハ等の基板上の試料をエッチング処理するプラズマ処理装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来装置では、試料を載置する試料台の温度は所望の温度にコントロールされ、試料は静電気力を利用して前記試料台に吸着し、試料の温度をコントロールしながらプラズマ処理を行っていた。このとき、前記試料台と試料の間にはヘリウムなどの不活性ガスを充填することで試料台から試料までの熱伝達効率を高める設計としていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、前記試料台の試料載置部以外の面についても試料と同様にプラズマ処理反応が起こってしまうため、表面処理膜が剥がれるなど試料台が損傷したり、試料台から出るプラズマ反応生成物がプラズマの成分に影響してプラズマ処理性能の安定性を低下させる要因と成りえる。そこで、前記試料台の試料載置面以外の面は、プラズマ耐性の高い例えば石英などのセラミックス焼結体のカバーで覆い、消耗後は前記カバーのみを容易に交換可能とする構造としていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
前記試料台カバーはプラズマ耐性が比較的高く、プラズマに晒されても反応されにくく、ゆえに、反応生成物を発生しにくい材料を選定しているが、試料への化学的影響を皆無にすることは不可能である。ここで、プラズマ処理時間の経過と共に、プラズマからの入熱により前記試料台カバーは徐々に暖められることで、前記試料台カバーから発生する反応生成ガス量が徐々に増加して、試料への処理性能が徐々に変動することが問題だった。試料のすぐ外周側に載置する前記試料台カバーは、試料からの距離が近いため、特に処理性能への影響が大きく問題であった。
【0005】
前記試料台カバーの温度を一定の温度にコントロールすることで、前記試料台カバーから発生するガス量が安定し、試料へのプラズマ処理性能を安定させることができるが、従来は、この点について対策が不足していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−274141号公報
【特許文献2】特開2000−138208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラズマ処理時間の経過と共に、プラズマからの入熱により前記試料台カバーは徐々に暖められることで、試料台から発生する反応生成ガス量が徐々に増加して、試料への処理性能が徐々に変動することが問題であった。
【0008】
本発明の目的は、前記試料台カバーの温度を安定させ、前記試料台カバーから発生するガス量を安定させることで、プラズマ処理性能の経時変化が小さいプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプラズマ処理装置は、真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と、この処理室内の下部に配置され前記プラズマに面してその上面に前記プラズマを用いた処理対象の試料が載置される試料台とを備え、この試料台が、前記試料の載置される面の外周側にこれと段差を有して配置され誘電体製のリング状部材が配置される凹み部及びこのリング状部材の下方に配置されこれを加熱する手段とを有し、前記リング状部材の外周側上方に配置されて前記試料台と連結され前記リング状部材を下方に押し付けて位置決めする金属製部材と、前記リング状部材が前記凹み部に配置され且つ前記金属製部材が前記試料台と連結され前記リング状部材を下方に押し付けた状態で前記リング状部材が載せられた面と当該リング状部材の下面との間及び前記金属製部材が押し付けられる前記リング状部材の上面と当該金属製部材の下面との間並びに前記金属製部材と当該金属製部材が載せられた面との間を含んで構成され外側から密封された空間に熱伝達性ガスを供給する手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記試料台カバーの温度を安定させ、前記試料台カバーから発生するガス量を安定させることで、プラズマ処理性能の経時変化が小さいプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明を実施するための形態を有するプラズマ処理装置を示す平面断面図である。
図2図2は、本発明を実施するための形態を有するプラズマ処理装置を示す上面斜視図である。
図3図3は、本発明の実施例1のプラズマ処理装置の真空処理室を示す断面図である。
図4図4は、本発明の実施例1の試料台カバーの構造詳細図を示す断面図である。
図5図5は、本発明の変形例である実施例2の試料台カバーの構造詳細図を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の第1の実施例を搭載したプラズマ処理装置全体の構成を示す平面断面図であり、図2は、上面斜視図である。本装置は大気ブロック101と処理ブロック102に別れている。大気ブロック101は大気圧下でウエハを搬送、収納位置決め等をする部分であり、処理ブロック102は大気圧から減圧された圧力下でウエハ等の試料を搬送し、処理等を行ない、試料Wを載置した状態で圧力を上下させる部分である。
【0014】
大気ブロック101は内部に搬送ロボット108,109を備えた大気搬送室筐体106を有し、この大気搬送室筐体106に取付けられ、処理用又はクリーニング用の試料が収納されているカセット107を備えている。
【0015】
処理ブロック102は減圧して試料を処理する処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4と、処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4に試料を減圧下で搬送する搬送室104及びこの搬送室104と大気ブロック101を接続するロック室105−1、105−2を備えている。この処理ブロック102は減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットである。
【0016】
図3に処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4における処理容器204内部の構成の断面図を示す。真空処理室103は蓋201、ガス拡散板202、処理容器204、コンダクタンス調整バルブ205、真空ポンプ206により形成される。真空処理室103内部の空間は真空ポンプ206により高い真空度を保持される。
【0017】
ウエハを載置する試料台207は真空処理室103の内部に搭載される。プラズマ処理を行う際は被処理物であるウエハは前記試料台207の上に載せられた状態で処理が行われる。
【0018】
プラズマ処理に使用する処理用ガスは、ガス流量制御器208によって流量を高精度に制御して、ガス拡散板202を介して真空処理室103内に導入される。
【0019】
真空処理室103内部に導入された処理用ガスは、マグネトロン210とソレノイドコイル212により発生する電磁波により電離され、プラズマ203を形成する。
【0020】
試料台207には高周波バイアス電源211が接続されており、高周波バイアス電源211により印加される高周波バイアスによりプラズマ203中のイオンや電子が試料台207上部に載せられたウエハの表面に叩きつけることによる物理的・化学的反応によりエッチング処理が進行する。
【0021】
エッチング処理中の真空処理室103内部の圧力は真空計213にて監視され、コンダクタンス調整バルブ205によって排気速度を制御することで真空処理室103内部の圧力を制御している。
【0022】
試料台207には試料W外周部に試料台カバー214が取り付けられており、試料台207をプラズマ203から保護している。
【0023】
試料台カバー301、302の構造の詳細を図4に示す。試料Wは試料台207の上面に載置される。試料台207には図示されない静電吸着電圧が印加されており、試料Wは静電気力により試料台207に吸着している。
【0024】
試料台207には、その表面付近に、ヒータ313膜が埋め込まれている。試料台207の表面温度は図示しない温度計を用いて計測され、ヒータ温調器312を用いてヒータ313への入力パワーを制御することで試料台207表面の温度を所望の温度に制御している。
【0025】
試料台207と試料Wの間には極浅い溝306が形成されており、この溝306の内部にヘリウムなどの熱伝達用のガスが封入されている。このガス圧力は圧力計311で計測され、溝306へのガス供給量をガス流量制御器310で制御することで溝306内部のガス圧力を所望の圧力に制御している。
【0026】
試料Wの外周側には石英などのセラミックス製の試料台カバー301、302、および、ステンレスなどの金属製の加熱リング303、304が組立てられる。
【0027】
試料台207には加熱リング304載置面にヒータ315が埋め込まれており、図示しない温度計で表面温度を計測して、ヒータ温調器314を用いて所望の温度に制御している。
【0028】
加熱リング303および304は試料台207に埋め込まれたヒータ313からの熱により高温に加熱される。次に、試料台カバー301は加熱リング303、304から加熱され高温に維持される。
【0029】
加熱リング304には極浅い溝316および複数の貫通穴305が設けられており、図4に示すように、加熱リング303、304、および、試料台カバー301に囲まれた隙間空間を密封し、その空間に熱伝達用のガスを封入している。このガス圧力は圧力計309で計測され、溝316へのガス供給量をガス流量制御器308で制御することで溝316内部のガス圧力を所望の圧力に制御している。
【0030】
前記の隙間空間を密閉する手段として、図4に示すように、ゴム製のシール材317を部材間に挟み込み、ボルト307で締め付けることで真空シールを行っている。ここで、試料台カバー301は耐プラズマ性の高い石英などのセラミックス素材を使っており、直接ボルト307で締め付けたり、金属などの硬い素材と接触させて強い荷重をかけると、亀裂損傷したり、微小クラックが発生して、それが試料Wの上に落ちることで歩留まり低下の原因になったりする可能性がある。
【0031】
そこで、図3に示すように、金属製の加熱リング303、304をボルト307で締め付け、シール材317を潰すことで真空シールを行い、石英板の試料台カバー301は加熱リング303と304の間に挟み込まれる構造とし、かつ、石英板の試料台カバー301はゴム製のシール材317としか接触しない構造とする。これにより、試料台カバー301のクラック発生を防ぐことが出来る。
【0032】
ここで、加熱リング303、304、およびボルト307は金属製であり、プラズマ203に触れると、化学的な反応を起こし、試料Wを金属汚染させることで歩留まりを低下させるなどの問題が生じる。
【0033】
そこで、加熱リング303、304は、石英などの耐プラズマ性の高い素材で作られた試料台カバー302で覆い、プラズマ203との接触を防ぐ構造としている。
【0034】
また、加熱リング303および304は試料台カバー301により全面を覆われているため、プラズマ処理中においてもプラズマ203からの入熱がほとんどなく、一定の温度で安定する。さらに、ステンレスなどの比較的熱伝導率の小さな素材を使用することで熱容量を大きくすることにで、より温度を安定させることが出来る。
【0035】
さらに、試料台カバー301の温度を図示しない温度計で計測し、ヒータ315のパワーを調整することで、より高精度に試料台カバー301の温度を制御することができる。試料台カバー301の温度計測手段としては、接触式の温度センサを用いてもよいし、レーザ等の非接触の温度センサを用いてもよい。
【0036】
以上の構造を採用することにより、試料台207のウエハ載置面以外の面はすべて、石英などプラズマ耐性の高いセラミックス部品で覆うことが出来、かつ、ウエハに最も近い位置に配置される石英板の試料台カバー301の温度を処理経過時間、あるいは、処理間アイドリング時間にかかわらず、常に一定温度に制御することができ、石英板の試料台カバー301から放出されるガスの量を安定させることで、プラズマ処理性能を安定化させることが出来る。
【0037】
更には、プラズマ処理条件に合わせて、石英板の試料台カバー301の温度を使い分けることで、例えば石英板の試料台カバー301を採用する場合、試料台カバー301から放出されるシリコンを含むガス放出の量を調整することで、試料エッジ付近のプラズマ処理性能を微調整することが出来る。
【実施例2】
【0038】
発明の第1の実施例の変形例である試料台カバー301の構造詳細図を図5に示す。試料台カバー401は、ステンレスなどの金属製のリング403と例えばアルミニウム合金などの金属製の試料台207の間に挟まれて組立てられる。
【0039】
図5に示すように、金属製のリング403を試料台207にボルト407で締め付け、ゴム製のシール材417を潰すことで真空シールを行い、石英板の試料台カバー301は金属製のリング403と試料台207の間に挟み込まれる構造とし、かつ、石英板の試料台カバー301はゴム製のシール材417としか接触しない構造とする。これにより、試料台カバー301のクラック発生を防ぐことが出来る。
【0040】
試料台カバー401は、試料台207に埋め込まれたヒータ315から加熱され高温に維持される。
【符号の説明】
【0041】
101…大気ブロック
102…処理ブロック
103…真空処理室
103−1〜103−4…処理ユニット
104…真空搬送室
105−1,105−2…ロック室
106…大気搬送室筐体
107…カセット
108…搬送ロボット
109…搬送ロボット
201…蓋
202…ガス拡散板
203…プラズマ
204…処理容器
205…コンダクタンス調整バルブ
206…真空ポンプ
207…試料台
208…ガス流量制御器
209…バルブ
210…マグネトロン
211…高周波バイアス電源
212…ソレノイドコイル
213…真空計
214…試料台カバー
301…試料台カバー
302…試料台カバー
303…加熱リング
304…加熱リング
305…貫通穴
306…溝
307…ボルト
308…ガス流量制御器
309…圧力計
310…ガス流量制御器
311…圧力計
312…ヒータ温調器
313…ヒータ
314…ヒータ温調器
315…ヒータ
316…溝
317…シール材
401…試料台カバー
402…試料台カバー
403…金属製のリング
407…ボルト
406…溝
417…シール材
図1
図2
図3
図4
図5