【実施例1】
【0013】
図1は本発明の第1の実施例を搭載したプラズマ処理装置全体の構成を示す平面断面図であり、
図2は、上面斜視図である。本装置は大気ブロック101と処理ブロック102に別れている。大気ブロック101は大気圧下でウエハを搬送、収納位置決め等をする部分であり、処理ブロック102は大気圧から減圧された圧力下でウエハ等の試料を搬送し、処理等を行ない、試料Wを載置した状態で圧力を上下させる部分である。
【0014】
大気ブロック101は内部に搬送ロボット108,109を備えた大気搬送室筐体106を有し、この大気搬送室筐体106に取付けられ、処理用又はクリーニング用の試料が収納されているカセット107を備えている。
【0015】
処理ブロック102は減圧して試料を処理する処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4と、処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4に試料を減圧下で搬送する搬送室104及びこの搬送室104と大気ブロック101を接続するロック室105−1、105−2を備えている。この処理ブロック102は減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットである。
【0016】
図3に処理ユニット103−1、103−2、103−3、103−4における処理容器204内部の構成の断面図を示す。真空処理室103は蓋201、ガス拡散板202、処理容器204、コンダクタンス調整バルブ205、真空ポンプ206により形成される。真空処理室103内部の空間は真空ポンプ206により高い真空度を保持される。
【0017】
ウエハを載置する試料台207は真空処理室103の内部に搭載される。プラズマ処理を行う際は被処理物であるウエハは前記試料台207の上に載せられた状態で処理が行われる。
【0018】
プラズマ処理に使用する処理用ガスは、ガス流量制御器208によって流量を高精度に制御して、ガス拡散板202を介して真空処理室103内に導入される。
【0019】
真空処理室103内部に導入された処理用ガスは、マグネトロン210とソレノイドコイル212により発生する電磁波により電離され、プラズマ203を形成する。
【0020】
試料台207には高周波バイアス電源211が接続されており、高周波バイアス電源211により印加される高周波バイアスによりプラズマ203中のイオンや電子が試料台207上部に載せられたウエハの表面に叩きつけることによる物理的・化学的反応によりエッチング処理が進行する。
【0021】
エッチング処理中の真空処理室103内部の圧力は真空計213にて監視され、コンダクタンス調整バルブ205によって排気速度を制御することで真空処理室103内部の圧力を制御している。
【0022】
試料台207には試料W外周部に試料台カバー214が取り付けられており、試料台207をプラズマ203から保護している。
【0023】
試料台カバー301、302の構造の詳細を
図4に示す。試料Wは試料台207の上面に載置される。試料台207には図示されない静電吸着電圧が印加されており、試料Wは静電気力により試料台207に吸着している。
【0024】
試料台207には、その表面付近に、ヒータ313膜が埋め込まれている。試料台207の表面温度は図示しない温度計を用いて計測され、ヒータ温調器312を用いてヒータ313への入力パワーを制御することで試料台207表面の温度を所望の温度に制御している。
【0025】
試料台207と試料Wの間には極浅い溝306が形成されており、この溝306の内部にヘリウムなどの熱伝達用のガスが封入されている。このガス圧力は圧力計311で計測され、溝306へのガス供給量をガス流量制御器310で制御することで溝306内部のガス圧力を所望の圧力に制御している。
【0026】
試料Wの外周側には石英などのセラミックス製の試料台カバー301、302、および、ステンレスなどの金属製の加熱リング303、304が組立てられる。
【0027】
試料台207には加熱リング304載置面にヒータ315が埋め込まれており、図示しない温度計で表面温度を計測して、ヒータ温調器314を用いて所望の温度に制御している。
【0028】
加熱リング303および304は試料台207に埋め込まれたヒータ313からの熱により高温に加熱される。次に、試料台カバー301は加熱リング303、304から加熱され高温に維持される。
【0029】
加熱リング304には極浅い溝316および複数の貫通穴305が設けられており、
図4に示すように、加熱リング303、304、および、試料台カバー301に囲まれた隙間空間を密封し、その空間に熱伝達用のガスを封入している。このガス圧力は圧力計309で計測され、溝316へのガス供給量をガス流量制御器308で制御することで溝316内部のガス圧力を所望の圧力に制御している。
【0030】
前記の隙間空間を密閉する手段として、
図4に示すように、ゴム製のシール材317を部材間に挟み込み、ボルト307で締め付けることで真空シールを行っている。ここで、試料台カバー301は耐プラズマ性の高い石英などのセラミックス素材を使っており、直接ボルト307で締め付けたり、金属などの硬い素材と接触させて強い荷重をかけると、亀裂損傷したり、微小クラックが発生して、それが試料Wの上に落ちることで歩留まり低下の原因になったりする可能性がある。
【0031】
そこで、
図3に示すように、金属製の加熱リング303、304をボルト307で締め付け、シール材317を潰すことで真空シールを行い、石英板の試料台カバー301は加熱リング303と304の間に挟み込まれる構造とし、かつ、石英板の試料台カバー301はゴム製のシール材317としか接触しない構造とする。これにより、試料台カバー301のクラック発生を防ぐことが出来る。
【0032】
ここで、加熱リング303、304、およびボルト307は金属製であり、プラズマ203に触れると、化学的な反応を起こし、試料Wを金属汚染させることで歩留まりを低下させるなどの問題が生じる。
【0033】
そこで、加熱リング303、304は、石英などの耐プラズマ性の高い素材で作られた試料台カバー302で覆い、プラズマ203との接触を防ぐ構造としている。
【0034】
また、加熱リング303および304は試料台カバー301により全面を覆われているため、プラズマ処理中においてもプラズマ203からの入熱がほとんどなく、一定の温度で安定する。さらに、ステンレスなどの比較的熱伝導率の小さな素材を使用することで熱容量を大きくすることにで、より温度を安定させることが出来る。
【0035】
さらに、試料台カバー301の温度を図示しない温度計で計測し、ヒータ315のパワーを調整することで、より高精度に試料台カバー301の温度を制御することができる。試料台カバー301の温度計測手段としては、接触式の温度センサを用いてもよいし、レーザ等の非接触の温度センサを用いてもよい。
【0036】
以上の構造を採用することにより、試料台207のウエハ載置面以外の面はすべて、石英などプラズマ耐性の高いセラミックス部品で覆うことが出来、かつ、ウエハに最も近い位置に配置される石英板の試料台カバー301の温度を処理経過時間、あるいは、処理間アイドリング時間にかかわらず、常に一定温度に制御することができ、石英板の試料台カバー301から放出されるガスの量を安定させることで、プラズマ処理性能を安定化させることが出来る。
【0037】
更には、プラズマ処理条件に合わせて、石英板の試料台カバー301の温度を使い分けることで、例えば石英板の試料台カバー301を採用する場合、試料台カバー301から放出されるシリコンを含むガス放出の量を調整することで、試料エッジ付近のプラズマ処理性能を微調整することが出来る。