(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、ノズル長手方向の一端側から他端側まで移動させることにより、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭する拭き取りパッドであって、
前記拭き取りパッドは、
移動方向側に形成された前面と、
移動方向後側に形成された後面と、
移動方向後側の前記後面の上端に形成された、移動方向側に傾斜する傾斜面と、
前記前面の上側と傾斜面の上側に形成された上面と、
前記前面と、前記後面及び傾斜面の左右両側に形成された側面と、
前記パッド上面側において前記移動方向に沿って、対向する傾斜面で形成されたV字溝と、
を具備し、
更に、前記V字溝の後端縁部により、移動方向側に傾斜する前記傾斜面に形成された、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と前記ノズル側面とに当接可能に設けられた掻き取り辺と、
前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための、前記V字溝からなる導出路と、を備え、
前記V字溝は、前記掻き取り辺から前方に向かって溝幅と深さが次第に大きくなるよう形成され、
移動方向側に傾斜する前記傾斜面に対するV字溝の傾斜面の傾斜角はそれぞれ90°以上に形成されていることを特徴とする拭き取りパッド。
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、ノズル長手方向の一端側から他端側まで移動させることにより、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭する拭き取りパッドであって、
前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と、前記ノズル側面とに当接可能に設けられた掻き取り辺と、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための導出路とを備え、
前記掻き取り辺は、前記移動方向においてパッド前面上部に正面視においてV字状に形成されると共に、前記掻き取り辺の左右両側に前方に突出する鍔部が設けられることにより、平面視において前方に向かって中央から左右両側に広がるV字状に形成され、
前記鍔部の下面を含むパッド前面側により前記導出路が形成されていることを特徴とする拭き取りパッド。
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭するノズルメンテナンス装置であって、
前記拭き取りパッドと、
前記拭き取りパッドを、直立姿勢で保持すると共に前記ノズルの長手方向に沿って前記ノズルの一端から他端まで移動させるパッド移動手段と、を備え、
前記拭き取りパッドは、
移動方向側に形成された前面と、
移動方向後側に形成された後面と、
移動方向後側の前記後面の上端に形成された、移動方向側に傾斜する傾斜面と、
前記前面の上側と傾斜面の上側に形成された上面と、
前記前面と、前記後面及び傾斜面の左右両側に形成された側面と、
前記パッド上面側において前記移動方向に沿って、対向する傾斜面で形成されたV字溝と、
を具備し、
更に、前記V字溝の後端縁部により、移動方向側に傾斜する前記傾斜面に形成された、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と前記ノズル側面とに当接する掻き取り辺と、
前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための、前記V字溝からなる導出路と、を備え、
前記V字溝は、前記掻き取り辺から前方に向かって溝幅と深さが次第に大きくなるよう形成され、
移動方向側に傾斜する前記傾斜面に対するV字溝の傾斜面の傾斜角はそれぞれ90°以上に形成されている、
ことを特徴とするノズルメンテナンス装置。
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭するノズルメンテナンス装置であって、
前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と、前記ノズル側面とに当接する掻き取り辺を有すると共に、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための導出路を有する拭き取りパッドと、
前記拭き取りパッドを、直立姿勢で保持すると共に前記ノズルの長手方向に沿って前記ノズルの一端から他端まで移動させるパッド移動手段とを備え、
前記拭き取りパッドの掻き取り辺は、前記パッドの移動方向においてパッド前面上部に正面視においてV字状に形成されると共に、前記掻き取り辺の左右両側に前方に突出する鍔部が設けられることにより、平面視において前方に向かって中央から左右両側に広がるV字状に形成され、前記鍔部の下面を含むパッド前面側により前記導出路が形成されていることを特徴とするノズルメンテナンス装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと称する)が塗布されレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
このようなフォトリソグラフィ工程において、被処理基板にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する方法として、スリット状の吐出口からレジスト液を帯状に吐出し、レジストを基板上に塗布する方法がある。
【0003】
この方法を用いた従来のレジスト塗布装置について、
図29を用いて簡単に説明する。
図29に示すレジスト塗布装置200は、基板Gを載置するステージ201と、このステージ201の上方に配設されるレジスト供給ノズル202と、このノズル202を移動させるノズル移動手段203とを具備している。
レジスト供給ノズル202には、基板の幅方向に延びる微小隙間を有するスリット状の吐出口202aが設けられ、レジスト液供給源204から供給されたレジスト液Rを吐出口202aから吐出するようになされている。
【0004】
ところで、スリット状の吐出口202aは、微小な隙間により形成されているため、塗布処理を行った後のノズル先端(吐出口202a)を放っておくと、レジスト液の乾燥等により目詰まりが生じ、
図30に示すようにノズル幅方向に均一な吐出ができない。
このため、レジスト塗布装置200は、塗布処理後にノズル先端に付着して残るレジスト液Rの状態を整えるためのプライミング手段208を具備している。
このプライミング手段208は、基板Gへの塗布処理前において、回転自在な円柱形状のプライミングローラ207の表面にレジスト液Rを吐出し、ノズル先端に付着したレジスト液Rを均一化するものである(以下、これをプライミング処理と称する)。
【0005】
この構成において、基板Gへのレジスト塗布処理時にあっては、ノズル202をノズル移動手段203によって水平移動させながら、スリット状の吐出口202aからレジスト液Rを基板の表面全体に帯状に吐出することにより、レジスト液Rの塗布処理がなされる。
また、ノズル202の待機時にあっては、前記プライミング手段208によるノズルのプライミング処理が行われる。このプライミング処理では、ノズル202の吐出口202aの塗布方向後側において、基板幅方向に均一なレジスト液をビードライン状に付着した状態にすることで、次の塗布処理の開始時から均一な塗布処理を行うことができる。
尚、このようなレジスト塗布装置については特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、基板幅方向に延びるスリット状の吐出口202aを有するノズル202に対しては、基板Gへの塗布処理前にプライミング処理を施すことにより、ノズル先端に付着したレジスト液Rの状態を整えることができる。
しかしながら、前記プライミング処理にあっては、回転するプライミングローラ207のローラ面に対し、大量のレジスト液Rを吐出する必要があり、レジスト液Rの(無駄な)消費が多すぎるという課題があった。
【0008】
また、プライミング処理後にプライミングローラ207を洗浄する必要があり、そのために貯留槽209に貯留する洗浄液が大量に必要となるため、コストが嵩むという課題があった。
更には、プライミング処理及び、プライミングローラ207の洗浄処理に長い時間を要し、タクトタイムが長くなるために生産性が低下するという課題があった。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被処理基板の幅方向に延びるスリット状の吐出口が形成され、前記吐出口から吐出された処理液が付着するノズル先端に対し、前記処理液の払拭処理を施すノズルメンテナンス装置において、処理液等の薬液の無駄な消費を無くし、且つ、タクトタイムを短縮し、生産性を向上することのできる拭き取りパッド及びこのパッドを用いたノズルメンテナンス装置並びに塗布処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するために、本発明に係る拭き取りパッドは、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、ノズル長手方向の一端側から他端側まで移動させることにより、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭する拭き取りパッドであって、前記拭き取りパッドは、
移動方向側に形成された前面と、移動方向後側に形成された後面と、移動方向後側の前記後面の上端に形成された、移動方向側に傾斜する傾斜面と、前記前面の上側と傾斜面の上側に形成された上面と、前記前面と、前記後面及び傾斜面の左右両側に形成された側面と、前記パッド上面側において前記移動方向に沿って、対向する傾斜面で形成されたV字溝と、を具備し、更に、前記V字溝の後端縁部により、移動方向側に傾斜する前記傾斜面に形成された、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口
と前記ノズル側面とに当接可能に設けられた掻き取り辺と、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための、
前記V字溝からなる導出路と、を備え、前記V字溝
は、前記掻き取り辺から前方に向かって溝幅と深さが次第に大きくなるよう形成され、
移動方向側に傾斜する前記傾斜面に対するV字溝の傾斜面の傾斜角はそれぞれ90°以上に形成されていることに特徴を有する。
【0011】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係る拭き取りパッドは、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、ノズル長手方向の一端側から他端側まで移動させることにより、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭する拭き取りパッドであって、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と、前記ノズル側面とに当接可能に設けられた掻き取り辺と、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための導出路とを備え、前記掻き取り辺は、前記移動方向においてパッド前面上部に正面視においてV字状に形成されると共に、前記掻き取り辺の左右両側に前方に突出する鍔部が設けられることにより、平面視において前方に向かって中央から左右両側に広がるV字状に形成され、前記鍔部の下面を含むパッド前面側により前記導出路が形成されていることに特徴を有する。
【0012】
このよう構成することにより、被処理基板への処理液の塗布処理後において、ノズル先端に付着している余分な処理液をノズル掻き取り辺により掻き取り、掻き取った処理液を(移動する)拭き取りパッドの後方に逃がすこと無く効果的に払拭することができる。
その結果、従来のようなプライミングローラが不要となり、プライミング処理のためにローラ面に処理液を吐出する必要がないため、処理液の消費を低く抑えることができる。
また、従来のプライミングローラを用いたプライミング処理に比べ、ノズル先端のメンテナンス処理に要する時間を大幅に短縮することができ、タクトタイムが短縮され、生産性を向上することができる。更には、プライミングローラが不要であるために、ローラの洗浄に用いる洗浄液も不要となり、コストを大幅に低減することができる。
【0013】
また、ノズル先端の所定部位に濡れ性を持たせ、処理液の流れを所望の方向に誘導しやすくするために、前記掻き取り辺の所定部位に所定の幅と深さを有する切り欠き部が設けられていることが望ましい。
このように構成することによって、拭き取りパッドによりノズル先端を拭き取った後に、ノズル先端の所定部位にビードライン状に処理液を残し、その部位に濡れ性を持たせることができる。その結果、塗布処理における塗布斑の発生を抑制することができる。
【0014】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るノズルメンテナンス装置は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭するノズルメンテナンス装置であって、
前記拭き取りパッドと、前記拭き取りパッドを、直立姿勢で保持すると共に前記ノズルの長手方向に沿って前記ノズルの一端から他端まで移動させるパッド移動手段と
、を備え、前記拭き取りパッドは、移動方向側に形成された前面と、移動方向後側に形成された後面と、移動方向後側の前記後面の上端に形成された、移動方向側に傾斜する傾斜面と、前記前面の上側と傾斜面の上側に形成された上面と、前記前面と、前記後面及び傾斜面の左右両側に形成された側面と、前記パッド上面側において前記移動方向に沿って、対向する傾斜面で形成されたV字溝と、を具備し、更に、前記V字溝の後端縁部により、移動方向側に傾斜する前記傾斜面に形成された、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口
と前記ノズル側面とに当接する掻き取り辺と、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための、
前記V字溝からなる導出路と、を備え、前記V字溝
は、前記掻き取り辺から前方に向かって溝幅と深さが次第に大きくなるよう形成され、
移動方向側に傾斜する前記傾斜面に対するV字溝の傾斜面の傾斜角はそれぞれ90°以上に形成されている、ことに特徴を有する。
【0015】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係るノズルメンテナンス装置は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の前後両側に平行に延びるノズル側面が吐出口に向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されたノズルに対し、前記吐出口と前記ノズル側面とに付着した処理液を払拭するノズルメンテナンス装置であって、前記吐出口の長手方向に交差して、前記吐出口と、前記ノズル側面とに当接する掻き取り辺を有すると共に、前記ノズル長手方向に沿った移動方向において前記掻き取り辺より前側に、該掻き取り辺により掻き取られ処理液を排出するための導出路を有する拭き取りパッドと、前記拭き取りパッドを、直立姿勢で保持すると共に前記ノズルの長手方向に沿って前記ノズルの一端から他端まで移動させるパッド移動手段とを備え、前記拭き取りパッドの掻き取り辺は、前記パッドの移動方向においてパッド前面上部に正面視においてV字状に形成されると共に、前記掻き取り辺の左右両側に前方に突出する鍔部が設けられることにより、平面視において前方に向かって中央から左右両側に広がるV字状に形成され、前記鍔部の下面を含むパッド前面側により前記導出路が形成されていることに特徴を有する。
【0016】
このよう構成することにより、被処理基板への処理液の塗布処理後において、ノズル先端に付着している余分な処理液をノズル掻き取り辺により掻き取り、掻き取った処理液を(移動する)拭き取りパッドの後方に逃がすこと無く効果的に払拭することができる。
その結果、従来のようなプライミングローラが不要となり、プライミング処理のためにローラ面に処理液を吐出する必要がないため、処理液の消費を低く抑えることができる。
また、従来のプライミングローラを用いたプライミング処理に比べ、ノズル先端のメンテナンス処理に要する時間を大幅に短縮することができ、タクトタイムが短縮され、生産性を向上することができる。更には、プライミングローラが不要であるために、ローラの洗浄に用いる洗浄液も不要となり、コストを大幅に低減することができる。
【0017】
また、ノズル先端の所定部位に濡れ性を持たせ、処理液の流れを所望の方向に誘導しやすくするために、前記掻き取り辺の所定部位に所定の幅と深さを有する切り欠き部が設けられていることが望ましい。
このように構成することによって、拭き取りパッドによりノズル先端を拭き取った後に、ノズル先端の所定部位にビードライン状に処理液を残し、その部位に濡れ性を持たせることができる。その結果、塗布処理における塗布斑の発生を抑制することができる。
【0018】
また、前記ノズルの直下に配置可能に設けられ、前記拭き取りパッドにより処理液が払拭された前記ノズルの吐出口とノズル側面とを溶剤蒸気の雰囲気中に保つためのノズルバスを備えることが望ましい。
前記ノズルバスを備えることにより、ノズル先端(吐出口)を乾燥させることなく、ノズルを次の被処理基板への塗布処理まで待機させることができる。
【0019】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布処理装置は、前記ノズルメンテナンス装置を用いる塗布処理装置であって、前記ノズルメンテナンス装置と、前記被処理基板の基板面に対し、前記基板の幅方向に延びるスリット状の吐出口から処理液を吐出する前記ノズルと、前記ノズルが前記被処理基板の基板面に対しその一端から他端まで走査するように前記ノズルと前記基板とを相対的に移動させる相対移動手段とを備えることに特徴を有する。
このように構成することにより、処理液等の薬液の無駄な消費を無くし、且つ、タクトタイムを短縮し、生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被処理基板の幅方向に延びるスリット状の吐出口が形成され、前記吐出口から吐出された処理液が付着するノズル先端に対し、前記処理液の払拭処理を施すノズルメンテナンス装置において、処理液等の薬液の無駄な消費を無くし、且つ、タクトタイムを短縮し、生産性を向上することのできる拭き取りパッド及びノズルメンテナンス装置並びに塗布処理装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の拭き取りパッド及びこのパッドを用いたノズルメンテナンス装置並びに塗布処理装置にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。尚、この実施形態にあっては、被処理基板をガラス基板として、このガラス基板に処理液であるレジスト液をノズルから吐出してレジスト塗布膜を形成する塗布処理装置、及びレジスト液が付着した前記ノズルの吐出口の状態を整えるノズルメンテナンス装置に適用した場合を例にとって説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るノズルメンテナンス装置が搭載可能なレジスト塗布装置(塗布処理装置)の概略構成を示す平面図である。
このレジスト塗布装置1は、被処理基板例えばFPD用のガラス基板Gを気体の圧力により空中に浮かす浮上ステージ10と、この浮上ステージ10上で浮いている基板Gをステージ長手方向(X方向)に搬送する基板搬送機構20(相対移動手段)と、浮上ステージ10上を搬送される基板Gの上面にレジスト液を供給するノズル32と、塗布処理の合間にノズル32を待機させると共に所定のメンテナンス処理を施す待機部42(ノズルメンテナンス装置)とを有している。
【0024】
浮上ステージ10の上面には所定のガス(例えばエア)を上方に噴射する多数のガス噴射孔12が設けられ、それらガス噴射口12から噴射されるガスの圧力によって基板Gがステージ上面から一定の高さに浮上するように構成されている。
基板搬送機構20は、浮上ステージ10を挟んでX方向に延びる一対のガイドレール22A,22Bと、これらガイドレール22A,22Bに沿って往復移動可能な一対のスライダ24と、浮上ステージ10上で基板Gの両側端部を着脱自在に保持するようにスライダ24に設けられた吸着パッド等の基板保持部材(図示せず)とを備えている。そして、直進移動機構(図示せず)によりスライダ24を搬送方向(X方向)に移動させることによって、浮上ステージ10上で基板Gの浮上搬送をおこなうように構成されている。
【0025】
また、ノズル32は、
図1乃至
図3に示すように、浮上ステージ10の上方を搬送方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に横断し、その直下を通過する基板Gの上面(被処理面)に対してスリット状の吐出口よりレジスト液Rを帯状に吐出するようになっている。また、ノズル32は、例えばボールネジ機構やガイド部材等を含むノズル昇降機構26により、このノズル32を支持するノズル支持部材28と一体に鉛直方向(Z方向)に移動可能に昇降可能に構成されている。また、ノズル32は、レジスト液容器や送液ポンプ等からなるレジスト供給部(図示せず)にレジスト供給管30を介して接続されている。
【0026】
図2に示すように、ノズル32は、ノズル長手方向(Y方向)に平行に延びるフロントトリップ33F及びリアリップ33Rからなり、これら一対のリップ33F,33Rを突き合わせてボルト等で一体結合し、スリット状の吐出口32aを有している。
ノズル32の吐出口32aと平行に延びる前後両側のノズル側面32f、32rは、吐出口32aに向かって上から下に次第に細くなるテーパ形状に形成されている。
尚、基板Gへのレジスト塗布時には吐出口32aだけでなく両側のノズル側面32f、32rの下端部もレジスト液Rで濡れ、レジスト塗布処理が終了した後の吐出口32a及びノズル側面32f、32rの下端部にはレジスト液Rの汚れが残る。
【0027】
図1に示すように前記待機部42は、ノズル32に隣接して、浮上ステージ10の上方に設けられている。
待機部42は、
図4に示すように1つのケーシング44内に、塗布処理の下準備としてノズル先端(吐出口及びその周辺)に付着しているレジスト液Rを拭き取るスワイプ部48と、スワイプ部48で余分なレジスト液Rが払拭された吐出口32aを乾燥防止の目的から溶剤蒸気の雰囲気中に保つためのノズルバス50とを有している。
即ちノズル32は、スワイプ部48によりノズル先端に付着しているレジスト液Rの拭き取り処理がなされると、基板Gへの塗布処理を行い、その後、ノズルバス50内で待機するようになされている。
【0028】
ノズル32を待機部42の各部48,50に着かせる際には、コントローラ(図示せず)の制御の下で、例えばボールネジ機構からなるX方向移動部54により待機部42の全体を基板搬送方向(X方向)に移動させると共に、ノズル昇降機構26によりノズル32を鉛直方向(Z方向)に移動させるようになっている。
【0029】
また、
図4,
図5に示すように前記スワイプ部48は、ノズル32の吐出口周辺を拭き取るための拭き取りパッド49を有している。
この拭き取りパッド49は、ノズル長手方向(Y方向)に沿って例えば15mmの厚みを有し、ノズル短手方向(X方向)に例えば30mmの横幅を有している。また、例えば26mmの高さを有している。
また、拭き取りパッド49は、その上面側においてノズル長手方向に沿って形成されたV字溝49aを有し、前記V字溝49aは、
図5に示すようにノズル32の吐出口32a及びノズル側面32f、32rの形状に対応した形状となされている。即ち、前記V字溝49aが吐出口32a及びノズル側面32f、32rに係合し、拭き取りパッド49がノズル長手方向(Y方向)に移動されることで、ノズル先端に付着している余分なレジスト液Rを拭き取るようになっている。
【0030】
尚、拭き取りパッド49は、可撓性及び耐薬品性を有する材質、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムにより形成されている。
また、前記のように拭き取りパッド49は、例えば30mmの横幅寸法に対し、その移動方向(Y方向)に沿った厚みが例えば15mmと大きく形成されている。そのため、拭き取りパッド49がノズル先端に沿って移動中に大きく湾曲するようなことがなく、湾曲した反動でレジスト液が飛散する等の不具合の発生が防止される。
【0031】
図5に示すように、拭き取りパッド49は、ジョイント部材62を介してY方向移動部60(パッド移動手段)に結合されたキャリッジ64上に直立姿勢で保持されている。また、キャリッジ64はY方向移動部60により、吐出口32aの長手方向に沿って移動可能となされている。Y方向移動部60は、例えばラック&ピニオン機構からなり、Y方向に延びるラック66と、このラック66上で転動する歯車(図示せず)を内蔵する可動ユニット68とを有している。キャリッジ64は、ノズル32の吐出口周辺部に対して位置合わせをしてから、拭き取り方向(Y方向)に移動するようになっている。
【0032】
続いて拭き取りパッド49の第一の実施形態について
図6乃至
図9を用いて説明する。
図6に拭き取りパッド49をその(Y方向移動部60による)移動方向前方側から見た斜視図を示し、
図7に平面図を示す。また、
図8にパッド49をその(Y方向移動部60による)移動方向後方側から見た斜視図を示し、
図9にパッド49を一部断面にした斜視図を示す。尚、
図6乃至
図9において示す矢印は、拭き取りパッド49のY方向移動部60による移動方向を示している。
【0033】
図6乃至
図9に示すように拭き取りパッド49は、矢印で示す移動方向側に前面49bが形成され、移動方向後側に後面49c及び傾斜面49dが形成されている。また、左右両側には、側面49e,49fがそれぞれ形成され、上側には上面49gが形成されている。
また、V字溝49aにおいては、対向する傾斜面49a1、49a2が形成され、それらの間の下端部にはパッド移動方向(Y方向)に所定長さの底部49a3が直線状に形成されている。
【0034】
また、
図6に示すようにパッド前面49bには、V字溝49aの前端縁部によりV字型の辺(V字辺と呼ぶ)49b1が形成されている。また、
図8に示すようにパッド後側の傾斜面49dには、V字溝49aの後端縁部によりV字型の辺(V字辺と呼ぶ)49d1が形成されている。
拭き取りパッド49によるノズル先端の拭き取り動作の際には、前記パッド後側のV字辺49d1のみがノズル32の吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接するようになっている。これは、パッド前側の前記V字辺49b1の底部の高さ寸法h1(
図6)が、パッド後側の前記V字辺49d1の底部の高さ寸法h2(
図8)よりも低くなるように形成され(即ち、V字溝49aの溝深さがパッド移動方向に向かって次第に深くなる)、V字溝49aの溝幅もパッド移動方向に向かって次第に広くなるように形成されているためである。これにより、掻き取り辺として作用するパッド後側のV字辺49d1に掻き取られたレジスト液RをV字溝49a(導出路)内に導出し、パッド前側(V字辺49b1側)から排出する構造となされている。
【0035】
尚、
図6乃至
図9に示す拭き取りパッド49の第一の実施形態にあっては、
図8,
図9に示すように後面49c(垂直面)に対する傾斜面49dの傾斜角θ1が45°であり、前記傾斜面49dに対するV字溝49aの傾斜面49a1、49a2の傾斜角θ2はそれぞれ90°以上(例えば98.794°)となっている。
このように傾斜角θ1、θ2が設定されているため、拭き取りパッド49が直立姿勢において、そのV字辺49d1を吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接させることができる。また、前記傾斜角θ2の設定により、V字溝49aの溝幅と深さがパッド移動方向に向かって次第に大きくなる形状となっているため、(掻き取り辺としての)V字辺49d1の前方にレジスト液Rの導出路を形成することができる。
【0036】
続いて、このレジスト塗布装置1によるレジスト液の塗布からノズル32のメンテナンスまでの一連の動作について説明する。
先ず、前段のユニットより基板Gが浮上ステージ10の前端側に設定された搬入エリアに搬入され、そこで待機していたスライダ24が基板Gを受け取る。浮上ステージ10上で基板Gはガス噴射孔12より噴射されるガスの圧力を受け、略水平な姿勢で浮上状態が保たれる。
【0037】
一方、待機部42の全体がノズル下方に移動され、ノズル32のX方向位置がスワイプ部48の位置に合わせられると共に、ノズル昇降機構26によりノズル32が下降移動される。
ここで、先ず
図10(a)に示すようにノズル32の一端側において、拭き取りパッド49のV字溝49aが、吐出口32a及びノズル側面32f、32rに係合する状態となされる。このとき、吐出口32a及びノズル側面32f、32rには、拭き取りパッド49のV字辺49d1(掻き取り辺)のみが当接した状態となされる。
【0038】
次いで、Y方向移動部60が作動し、
図10(b)、
図10(c)に順に示すようにノズル他端側まで拭き取りパッド49が所定速度で移動(走査)される。この移動の際、パッド後側のV字辺49d1によりノズル先端(吐出口32a及びノズル側面32f、32r)のレジスト液Rが掻き取られ、V字溝49a内に導出されて、パッド前側のV字辺49b1側から排出される。これにより、吐出口32a及びノズル側面32f、32rに付着していた余分なレジスト液Rはきれいに払拭される。
【0039】
スワイプ部48においてノズル先端のレジスト液Rの拭き取りが完了すると、ノズル昇降機構26によりノズル32が上昇移動され、ノズル待機部42はノズル32の直下位置から基板搬送方向上流側の位置に移動する。
次いで、ノズル昇降機構26によりノズル32が下降され、浮上ステージ10に対しノズル吐出口32aが所定の高さに維持される。
そして、基板搬送機構20により基板Gは水平姿勢で搬送方向(X方向)に一定速度で移動され、基板Gがノズル32の直下を通過するタイミングで、基板G上にノズル32からレジスト液が所定の圧力または流量で帯状に吐出される。
これにより、
図2、
図3に示すように基板Gの前端側から後端側へ向かって膜厚の均一なレジスト液Rの塗布膜が形成されていくこととなる。基板Gの後端がノズル32の下を通過すると、基板一面にレジスト塗布膜が形成され、塗布処理が完了する。
【0040】
レジスト塗布膜が形成された基板Gは、その後もスライダ24により浮上ステージ10上で浮上搬送され、浮上ステージ10の後側に設定された搬出エリアより後段のユニットに搬出される。
【0041】
一方、塗布処理を終えたノズル32は、ノズル昇降機構26により上昇移動され、待機部42が基板搬送方向下流側に所定距離移動されてノズル直下にノズルバス50が配置される。そして、ノズル昇降機構26により再びノズル32が下降移動され、ノズルバス50内にノズル先端が保持されて吐出口32aの乾燥が防止され、次の基板Gへの塗布処理を待つこととなる。
【0042】
以上のように本発明にかかる実施の形態によれば、基板Gへのレジスト液の塗布処理前に、スワイプ部48において、ノズル先端に対し、ノズル長手方向に交差する拭き取りパッド49のV字辺49d1を当接させ、ノズル長手方向に走査する工程が実施される。ここで、拭き取りパッド49の移動方向において前記V字辺49d1より前側には、前記V字辺49d1より掻き取られたレジスト液Rを排出するためのV字溝49aが設けられているため、掻き取ったレジスト液Rを(移動する)拭き取りパッド49の後方に逃がすこと無く効果的に払拭することができる。
その結果、従来のようなプライミングローラが不要となり、プライミング処理のためにローラ面にレジスト液を吐出する必要がないため、レジスト液Rの消費を低く抑えることができる。
また、従来のプライミングローラを用いたプライミング処理に比べ、ノズル先端のメンテナンス処理に要する時間を大幅に短縮することができ、タクトタイムが短縮するため生産性を向上することができる。更には、プライミングローラが不要であるために、ローラの洗浄に用いる洗浄液も不要となり、コストを大幅に低減することができる。
【0043】
尚、前記実施の形態において、
図6乃至
図9に示した拭き取りパッド49の第一の実施形態では、
図8,
図9に示したように後面49cに対する傾斜面49dの傾斜角θ1を45°とし、傾斜面49dに対するV字溝49aの傾斜面49a1、49a2の傾斜角θ2を98.794°とした。
しかしながら、本発明に係るノズルメンテナンス装置にあっては、前記傾斜角θ1、θ2の値は限定されるものではなく、様々な角度の組み合わせを採用することができる。以下に、具体例として拭き取りパッド49の第二乃至第四の実施形態について説明する。
【0044】
図11、
図12は、拭き取りパッド49の第二の実施形態を示し、
図11は拭き取りパッド49をその移動方向後方側から見た斜視図であり、
図12は拭き取りパッド49を一部断面にした斜視図である。尚、
図11、
図12に示す矢印は、拭き取りパッド49のY方向移動部60による移動方向を示している。
図11、
図12に示す拭き取りパッド49にあっては、後面49c(垂直面)に対する傾斜面49dの傾斜角θ1が30°であり、傾斜面49dに対するV字溝49aの傾斜面49a1、49a2の傾斜角θ2はそれぞれ90°となっている。
このように前記傾斜角θ1、θ2の設定としても、拭き取りパッド49が直立姿勢において、そのV字辺49d1を吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接させることができる。また、パッド49の移動方向に向けてV字溝49aの溝幅と深さが次第に大きくなり、V字辺49d1により掻き取ったレジスト液RをV字溝49a(導出路)に導出し、前方のV字辺49b1側から効果的に排出することができる。
【0045】
図13乃至
図16は、拭き取りパッド49の第三の実施形態を示し、
図13は、拭き取りパッド49をその移動方向前方側から見た斜視図であり、
図14は平面図である。また、
図15は拭き取りパッド49をその移動方向後方側から見た斜視図であり、
図16はパッド49を一部断面にした斜視図である。尚、
図13乃至
図16に示す矢印は、拭き取りパッド49のY方向移動部60による移動方向を示している。
図15、
図16に示すように拭き取りパッド49の第三の実施形態にあっては、後面49cに対する傾斜面49dの傾斜角θ1が10°であり、傾斜面49dに対するV字溝49aの傾斜面49a1、49a2の傾斜角θ2はそれぞれ75.674°となっている。
このような傾斜角θ1、θ2の設定としても、拭き取りパッド49が直立姿勢において、そのV字辺49d1を吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接させることができる。また、この形状の場合、
図14に示すように、V字溝49aの溝幅が
図6乃至
図9の形状の場合よりも広くなり、また、パッド49の移動方向に向けてV字溝49aの溝幅と深さが次第に大きくなるため、より多量のレジスト液Rを、V字溝49a(導出路)に導出し、前方のV字辺49b1側から排出することができる。
【0046】
図17乃至
図19は、拭き取りパッド49の第四の実施形態を示し、
図17は、拭き取りパッド49をその移動方向前方側から見た斜視図であり、
図18は平面図である。また、
図19は拭き取りパッド49を一部断面にした斜視図である。尚、
図17乃至
図19に示す矢印は、拭き取りパッド49のY方向移動部60による移動方向を示している。
図17、
図19に示すように拭き取りパッド49の第四の実施形態にあっては、後面49c(垂直面)に対する傾斜面49dの傾斜角θ1が60°と大きくなされ、傾斜面49dに対するV字溝49aの傾斜面49a1、49a2の傾斜角θ2はそれぞれ104.498°となっている。
このように傾斜角θ1、θ2の設定としても、拭き取りパッド49が直立姿勢において、そのV字辺49d1を吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接させることができる。また、このような形状とすると、
図18に示すように、ノズル32に当接するV字辺49d1の上端側が前面49bまで達し、パッド49の移動方向に向けてV字溝49aの溝幅が扇状に拡がる。このため、V字辺49d1により拭き取られたレジスト液Rを、V字溝49a(導出路)に導出し、前方のV字辺49b1側から即座に排出することができる。
【0047】
また、前記した拭き取りパッドの第一乃至第四の実施形態にあっては、V字辺49d1により掻き取ったレジスト液Rを、拭き取りパッド49の上面側に形成されたV字溝49aを導出路として排出する構成としたが、前記導出路はパッド上面側に限定されるものではない。
具体例として、
図20乃至
図22に拭き取りパッドの第五の実施形態を示す。この第五の実施形態に係る拭き取りパッドにあっては、前記第一乃至第四の実施形態とは形状が大きく異なるため、拭き取りパッド49に代えて拭き取りパッド70を用いるものとし、以下に形状の説明をする。
図20は、拭き取りパッド70の平面図であり、
図21はその移動方向前方側から見た正面図、
図22は側面図である。尚、
図20、
図22に示す矢印は、拭き取りパッド70のY方向移動部60による移動方向を示している。
【0048】
図示するように拭き取りパッド70は、その上面側にパッド移動方向に沿って溝状に形成されたV字溝70aを有し、このV字溝70aはノズル32の吐出口32a及びノズル側面32f、32rの形状に対応している。具体的には、V字溝70aには、略V字形に対向する傾斜面70a1、70a2が形成され、それらの間の下端部にパッド移動方向(Y方向)に沿って所定長さの底部70a3が直線状に形成されている。
【0049】
また、拭き取りパッド70は、矢印で示すパッド移動方向の前面側に前面70bが形成され、その上部に前方に突出する鍔部70cが形成されている。また、拭き取りパッド70の移動方向後側には後面70eが形成され、左右両側には、側面70f,70gがそれぞれ形成され、上側には上面70hが形成されている。前記鍔部70cは、その上面が前記上面70hと面一の状態で突出し、下面側は傾斜面70dが形成されている。
【0050】
また、前記V字溝70aは、鍔部70c側まで設けられているため、鍔部70cには、
図21に示すように正面視においてV字状の辺(V字辺と呼ぶ)70d1が掻き取り辺として形成され、このV字辺70d1は、
図20に示すように平面視において前方に向かって中央から左右両側に広がるV字状となっている。即ち、前記パッド前側のV字辺70d1のみがノズル32の吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接するようになっている。
尚、鍔部70cの高さ(厚さ)寸法はV字溝70aの前縁部の深さ寸法に等しくなされている。また、この構成においては、前記鍔部70c下面の傾斜面70d及び前面70bがレジスト液の導出路として機能する。
【0051】
このように構成された拭き取りパッド70によるノズル先端の拭き取り動作においては、V字辺70d1により掻き取られたレジスト液Rは、鍔状突出部70cの下面側の傾斜面70dから前面70bに導出され、下方に排出される構造となっている。
即ち、このような拭き取りパッドの構成によっても本発明の目的を達成することができる。
【0052】
また、前記した拭き取りパッドの第一乃至第五の実施形態においては、ノズル先端に付着しているレジスト液Rを拭き取りパッド49(70)により全て拭き取る形状とした。しかしながら、本発明に係るノズルメンテナンス装置にあっては、拭き取りパッド49(70)の形状は、それに限定されるものではなく、意図的にノズルの特定の部位にレジスト液Rをビードライン状に残す形状とすることもできる。
その場合、レジスト液Rを残した部位は濡れ性を有するため、次の基板Gへのレジスト液吐出の際、レジスト液Rの流れをその方向に誘導しやすくし、塗布斑を抑制することができる。
【0053】
具体的に説明すると、
図23は拭き取りパッドの第六の実施形態を示す正面図及びノズル32の側面図である。
図23に示す拭き取りパッド49(70)においては、ノズル先端に当接するV字辺49d1(70d1)の一部に所定の幅と深さを有する切り欠き部80が設けられる。具体的には、吐出口32aの後側に対応する部位に切り欠き部80が設けられている。
これにより、拭き取りパッド49(70)を用いてノズル先端を走査した後には、
図24に示すように吐出口32aの後側のみにビードライン状のレジスト液Rを付着させた状態とすることができる。
【0054】
また、
図25は拭き取りパッドの第七の実施形態を示す正面図及びノズル32の側面図である。
図25に示す拭き取りパッド49(70)においては、ノズル先端に当接するV字辺49d1(70d1)において、吐出口32aに対応する部位に所定深さの切り欠き部81が設けられている。
これにより、拭き取りパッド49(70)を用いてノズル先端を走査した後には、
図26に示すように吐出口32aのみにビードライン状にレジスト液Rを付着させた状態とすることができる。
【0055】
また、
図27は拭き取りパッドの第八の実施形態を示す正面図及びノズル32の側面図である。
図27に示す拭き取りパッド49(70)においては、ノズル先端に当接するV字辺49d1(70d1)において、吐出口32a及びその後側に対応する部位に所定幅及び深さを有する切り欠き部82が設けられている。
これにより、拭き取りパッド49(70)を用いてノズル先端を走査した後には、
図28に示すように吐出口32a及びその後側のみにビードライン状にレジスト液Rを付着させた状態とすることができる。
【0056】
また、前記した実施の形態においては、拭き取りパッド49(70)をノズル32の一端から他端まで、一方向に走査する場合を例に説明したが、それに限定されることなく、例えば、一方向の走査終了後、拭き取りパッド49(70)の向きを反転させ、さらに反対方向に走査させてもよい。或いは、互いに反対方向に走査するスワイプ部48を2基(複数)設け、ノズル32の長手方向に沿って順に両方向から拭き取りパッド49(70)を走査するようにしてもよい。
【0057】
また、前記した実施の形態においては、ノズル32を下降移動させることにより、ノズル先端を拭き取りパッド49(70)のV字辺49d1(70d1)に当接させる(押し付ける)構成としたが、それに限定されるものではない。例えば、スワイプ部48を上下移動させる機構を設け、ノズル先端に対し拭き取りパッド49(70)を上昇させ、V字辺49d1(70d1)を当接させてもよい。
【0058】
また、前記実施の形態においては、拭き取りパッド49(70)は、
図5に示すように単にキャリッジ64上に保持されるものとしたが、例えば、キャリッジ64上に弾性部材(バネ部材など)を介して保持し、その弾性力を利用して拭き取りパッド49(70)のV字辺49d1(70d1)をノズル先端に押し付ける構成としてもよい。
【0059】
また、前記実施の形態においては、拭き取りパッド49が直立姿勢において、そのV字辺49d1が吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接するように拭き取りパッド49における傾斜角θ1、θ2を設定するものとしたが、本発明にあってはそれに限定されるものではない。
例えば、拭き取りパッド49は可撓性を有するため、V字辺49d1の広がる角度を、前記実施の形態の角度よりも広く(或いは狭く)形成し、拭き取りパッド49にノズル32を押し付ける(或いはノズル32に拭き取りパッド49を押し付ける)ことによって、V字辺49d1が吐出口32a及びノズル側面32f、32rに当接するようにしてもよい。
【0060】
また、前記実施の形態においては、基板搬送方向(X方向)に固定されたノズル32に対し、基板Gが基板搬送機構20(相対移動手段)によって搬送され、ノズル32と基板Gとが相対的に移動する構成としたが、本発明にあってはその構成に限定されるものではない。
例えば、基板Gを基板搬送方向に固定した状態とし、(図示しないX方向の移動機構により)ノズル32を基板Gの一端から他端まで移動させて走査するようにしてもよい。
或いは、X方向に搬送される基板Gに対し、(図示しないX方向の移動機構により)ノズル32を反対方向に移動させ、互いに相対的に移動する構成としてもよい。