特許第5841846号(P5841846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5841846
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/02 20060101AFI20151217BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20151217BHJP
   B24B 41/047 20060101ALI20151217BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20151217BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20151217BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
   B24B49/02 Z
   B24B49/10
   B24B41/047
   B24B7/04 A
   H01L21/304 631
   B24B47/22
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-3131(P2012-3131)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-141725(P2013-141725A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】高田 暢行
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−315103(JP,A)
【文献】 特開昭62−107935(JP,A)
【文献】 特開2005−022059(JP,A)
【文献】 米国特許第6443818(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/02
B24B 7/04
B24B 41/047
B24B 47/22
B24B 49/10
H01L 21/304
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを保持面において保持するチャックテーブルと、研削砥石が環状に配列されて接着された研削ホイールと、該研削ホイールを着脱可能に支持する支持面を有するホイールマウントと、該ホイールマウントに取り付けられた研削ホイールを回転させ該研削砥石を該チャックテーブルの保持面に保持される板状ワークの上面に接触させ板状ワークの厚みを減じさせる研削送り手段と、から少なくとも構成される研削装置において、
該ホイールマウントには、該研削ホイールを支持する支持面に対する該チャックテーブルの保持面の高さ位置を測定する高さ測定器を取り付ける高さ測定器取付け部を備え、
該高さ測定器取付け部に取り付けられる該高さ測定器は、該保持面上における該研削砥石の回転軌道上を走査させて該保持面の高さ位置の測定を可能とする研削装置。
【請求項2】
前記高さ測定器は、前記研削砥石を前記チャックテーブルに保持された板状ワークの上面に接触させた時の前記支持面と前記保持面との間の高さに位置した状態で、該保持面の高さ位置の測定を可能とする請求項1に記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークの厚さが均一となるように研削することができる研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャックテーブルに保持された半導体ウェーハ等の板状ワークの上面に回転する研削砥石の研削面を接触させて当該上面を研削する研削装置においては、板状ワークを均一な厚さに仕上げる必要があるため(例えば特許文献1参照)、チャックテーブルの保持面と研削砥石の研削面とを平行とするための調整があらかじめ行われている。
【0003】
かかる調整は、例えば図8及び図9に示すように、スピンドル30に連結されたホイールマウント31の中心に測定治具6を取り付けるとともに測定治具6に高さ測定器7を取り付け、高さ測定器7の下端をチャックテーブル2の保持面20に接触させた状態でスピンドル30を回転させた場合に、円運動する高さ測定器7の高さ位置が一定となるように、チャックテーブル2の回転軸2aの傾き又はスピンドル30の回転軸30aの傾きを修正することにより行われている。なお、高さ測定器7としては、てこ式ダイヤルゲージを使用している。また、チャックテーブル2の保持面20は、吸引路21を介して吸引源22に連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−222986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記研削前の調整は、スピンドル30及びホイールマウント31が実際の研削加工が行われるときの位置よりも高い位置にある状態で行われ、治具を使用するため、実際の加工時には誤差が生じ、チャックテーブル2の保持面20と研削砥石34の研削面340とが平行でなくなり、板状ワークの厚さが均一にならないことがある。そのため、研削加工後の板状ワークの厚さを測定し、その測定結果に基づき、チャックテーブルの回転軸の傾き又はスピンドルの回転軸の傾きを調整しているのが実状である。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、チャックテーブルに保持された板状ワークに研削砥石を接触させて研削を行う研削装置において、チャックテーブルの保持面と研削砥石の研削面とを平行にする調整を高精度に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、板状ワークを保持面において保持するチャックテーブルと、研削砥石が環状に配列されて接着された研削ホイールと、研削ホイールを着脱可能に支持する支持面を有するホイールマウントと、ホイールマウントに取り付けられた研削ホイールを回転させ研削砥石を該チャックテーブルの保持面に保持される板状ワークの上面に接触させ板状ワークの厚みを減じさせる研削送り手段とから少なくとも構成される研削装置に関し、ホイールマウントには、研削ホイールを支持する支持面に対するチャックテーブルの保持面の高さ位置を測定する高さ測定器を取り付ける高さ測定器取付け部を備え、高さ測定器取付け部に取り付けられる高さ測定器は、保持面上における研削砥石の回転軌道上を走査させて保持面の高さ位置の測定を可能としている。
【0008】
また、高さ測定器は、研削砥石をチャックテーブルに保持された板状ワークの上面に接触させた時の支持面と保持面との間の高さに位置した状態で、保持面の高さ位置の測定を可能とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る研削装置では、高さ測定器を直接取り付けるための高さ測定取付け部をホイールマウントに設けたため、治具を使用することなく高さ測定器をホイールマウントに取り付けることができる。したがって、治具を使用する場合よりも、ホイールマウントを下方に位置させることができ、研削加工時のホイールマウントの高さ位置に高さ測定器を位置させた状態で、保持面上における研削砥石の回転軌道上を走査させて保持面の高さ位置の測定を行うことできる。よって、チャックテーブルの保持面の高さ位置の測定の精度が向上し、当該保持面と研削砥石の研削面との平行度の調整の精度も向上するため、研削後の板状ワークの厚さをより均一にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】研削装置の一例を示す斜視図である。
図2】研削装置の要部の構成を略示的に示す断面図である。
図3】研削手段に高さ測定器を取り付けた状態を示す正面図である。
図4】チャックテーブルの保持面の高さを測定する状態を示す斜視図である。
図5】チャックテーブルの保持面の高さを測定する状態を略示的に示す断面図である。
図6】板状ワークを研削する状態を示す斜視図である。
図7】板状ワークを研削する状態を略示的に示す断面図である。
図8】従来の方法によってチャックテーブルの保持面の高さを測定する状態を示す斜視図である。
図9】従来の方法によってチャックテーブルの保持面の高さを測定する状態を略示的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す研削装置1は、チャックテーブル2に保持された板状ワークWの面に対して研削加工を施す装置であり、チャックテーブル2は、上面が板状ワークWを保持する保持面20となっており、回転可能であるとともに、前後方向(図1における矢印A方向)に移動可能となっている。
【0012】
研削装置1の後部側には、研削手段3が配設されている。研削手段3は、チャックテーブル2の保持面20に対して直交すべき回転軸を有するスピンドル30を備え、スピンドル30の下端にはホイールマウント31が形成されている。そして、ホイールマウント31の下部には研削ホイール32が取り付けられている。
【0013】
スピンドル30の上端部には、スピンドル30を回転させるモータ33が連結されている。このモータ33は、研削ホイール32を回転させる回転駆動手段として機能する。また、研削ホイール32の下面には、複数の研削砥石34が環状に配列されて接着されている。
【0014】
図2に示すように、ホイールマウント31にはボルト孔310が形成されており、ボルト孔310に挿通したボルト311を研削ホイール32の雌ねじ穴320に螺着することにより、研削ホイール32がホイールマウント31に取り付けられる。ホイールマウント31の下面は、研削ホイール32を着脱可能に支持する支持面312となっている。
【0015】
図1に示すように、研削手段3は、研削送り手段4によって支持されて昇降する。研削送り手段4は、鉛直方向に延びるボールスクリュー40と、ボールスクリュー41と平行に配設された一対のガイドレール41と、ボールスクリュー40の上端に連結されたモータ42とを有している。ボールスクリュー40には昇降板43の内部に設けたナットが螺合しており、昇降板43の一方の面はガイドレール41に摺接している。昇降板43には、支持部44が連結されており、支持部44は、研削手段3を支持している。
【0016】
このように構成される研削送り手段4では、モータ42がボールスクリュー40を正逆いずれかの方向に回転させてガイドレール41に沿って昇降板43を上下動させることにより、研削手段3を上下動させることができる。
【0017】
図2に示すように、チャックテーブル2には、保持面20に連通する吸引路21が形成されている。また、吸引路21は吸引源22に連通しており、保持面20に吸引力を作用させることができる。
【0018】
図2に示したボルト311を緩めて研削ホイール32を取り外すと、図3に示すように、ボルト311が挿通されていたボルト孔310には、高さ測定器5を挿入して取り付けることができる。このように、ボルト孔310は、高さ測定器取付け部としての機能を有している。図示の例におけるボルト孔310は研削砥石34の真上に位置しており、また、高さ測定器5はボルト孔310から真下に向けて垂下した状態で配設されているため、高さ測定器5は、研削砥石34の回転軌道と同様の回転軌道上を移動する。
【0019】
高さ測定器5を直接取り付けるための高さ測定取付け部をホイールマウント31に設けたため、高さ測定器5の取付けに治具は必要とされない。また、治具を使用しないことで、治具を使用する場合よりも下方の位置、すなわち実際の研削時にホイールマウント31が位置する高さと同じ高さに高さ測定器5を配設することができる。
【0020】
なお、高さ測定部取付け部は、高さ測定部5の形状等に応じ、取り付けられた高さ測定部5が研削砥石34と同一の回転軌道上を通るように適切な位置に形成されていればよく、ボルト孔310とは別の位置に設けてもよい。
【0021】
高さ測定器取付け部に取り付けられた高さ測定器5は、例えばダイヤルゲージであり、その上端をボルト孔310に固定して吊垂状態とし、下端の測定子50をチャックテーブル2の保持面20に接触させることにより、ホイールマウント31の支持面312に対するチャックテーブル2の保持面20の高さ位置を測定することができる。
【0022】
図4及び図5に示すように、高さ測定器取付け部に取り付けられた高さ測定器5の測定子50をチャックテーブル2の保持面20に接触させた状態で、スピンドル30を回転させてホイールマウント31を回転させる。このとき、実際の研削時の研削砥石34の回転軌道34a上を走査し、高さ測定器5の測定子50の上下方向の位置が変化しなければ、チャックテーブル2の回転軸がスピンドル30の回転軸に対して高精度に平行であり、ホイールマウント31の支持面312とチャックテーブル2の保持面20とが平行であると判断することができる。
【0023】
一方、研削時の研削砥石34の回転軌道上を走査し、高さ測定器5の測定子50の上下方向の位置が変化した場合は、保持面20がスピンドル30の回転軸に対して垂直でないと判断する。この場合は、チャックテーブル2の回転軸2aの傾き又は研削手段3を構成するスピンドル30の回転軸30aの傾きを調整する。そして、ホイールマウント31の支持面312とチャックテーブル2の保持面20とが平行になるまで、同様の測定及び調整を行う。
【0024】
このようにして、スピンドル30の回転軸とチャックテーブル2の回転軸とが平行であることが確認されると、高さ測定器取付け部であるボルト孔310から高さ測定器5を取り外し、図6に示すように、ボルト311をボルト孔310に挿通し、ホイールマウント31に研削ホイール32を取り付けて固定する。研削ホイール32に固着された研削砥石34の下面である研削面340は、支持面312と平行となるように予め調整されており、また、上述のように、支持面312とチャックテーブル2の保持面20とが平行となるように調整されているため、研削面340は、保持面20と平行となる。
【0025】
そして、図6及び図7に示すように、チャックテーブル2を矢印B方向に回転させるとともに、研削ホイール31を矢印C方向に回転させ、図1に示した研削送り手段4によって研削手段3を徐々に下降させていき、回転する研削砥石34の研削面340を板状ワークWの上面W1に接触させて研削し、板状ワークWの厚みを減じていく。そして、板状ワークWが所定の厚さに形成されると、研削送り手段4が研削手段3を上昇させ、研削を終了する。
【0026】
研削砥石34の研削面340とチャックテーブル2の保持面20とが予め平行となるように調整されているため、上面W1が研削された板状ワークWは、均一な厚さを有する厚さばらつきのないものに仕上がる。
【0027】
図7に示すように、研削砥石34の研削面340が板状ワークWの上面W1に接触した時のホイールマウント31の支持面312の高さ位置をH1とし、チャックテーブル2の保持面20の高さ位置をH2とすると、図5に示した高さ測定器5は、高さ位置H1とH2との間の高さ位置に位置した状態で、保持面20の高さ位置を測定することができる。すなわち、研削手段3が研削時と同じ高さ位置にある状態で、支持面312と保持面20との平行度を測定することができる。したがって、研削される板状ワークの厚さをより均一にすることができる。なお、高さ測定器5を高さ位置H1とH2との間の高さ位置に位置させるためには、高さ測定器5の高さ方向の長さが、ホイールマウント31の厚さと研削ホイール32の厚さと研削砥石34の厚さと板状ワークWの研削前の厚さとを足した総和以下であることが必要である。
【0028】
以上のように、高さ測定器5は、保持面20上における研削砥石34の回転軌道上を走査させて保持面20の高さ位置の測定を行うことできるため、チャックテーブル2の保持面20と研削ホイール34の研削面340との平行度の測定精度が向上し、研削後の板状ワークの厚さをより均一にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1:研削装置
2:チャックテーブル 20:保持面 21:吸引路 22:吸引源 2a:回転軸
3:研削手段 30:スピンドル 30a:回転軸
31:ホイールマウント
310:ボルト孔(高さ測定器取付け部) 311:ボルト 312:支持面
32:研削ホイール 320:雌ねじ穴
312:下面(支持面)
33:モータ(回転駆動手段)
34:研削砥石 340:研削面
4:研削送り手段
40:ボールスクリュー 41:ガイドレール 42:モータ 43:昇降板
44:支持部
5:高さ測定部 50:測定子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9