【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例および比較例によって更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例における各測定方法は、以下の通りである。
【0034】
(1)高分子凝集剤の固有粘度:
固有粘度は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を用い、定法に基づき測定した(高分子学会編,「新版高分子辞典」,朝倉書店,第107頁)。
【0035】
(2)フロック径:
凝集フロックのフロック径は、目視により全体の平均を測定した。
【0036】
(3)沈降時間:
高分子凝集剤の所定量を添加し、所定時間攪拌混合した後に攪拌を停止する。そして、生成した凝集フロックが500mlのビーカーの底に沈降する迄の時間を測定した。
【0037】
(4)処理水SS:
高分子凝集剤を添加し攪拌停止1分後の処理水中のSS量を目視で測定した。目視で殆どSSを認められない状態を「−」の符号で示し、SSが増加するに従い、「+」、「++」、「+++」、「×」の符号で示した。
【0038】
(5)色度:
色度を測定する試料は攪拌停止2分後に表面から深さ3cmの処理水を採取し、工場排水試験法JIS K 0102に基づき、透過光測定法で測定した。測定は420nmの波長で行い、純水の透過率を100(%)として試料の透過率(%)を測定した。
【0039】
用いた凝結剤及び高分子凝集剤を表1に示す。凝結剤は1.0重量%濃度に溶解し、高分子凝集剤は0.1重量%濃度に溶解して用いた。
【0040】
【表1】
DMC :ジメチルアミノエチルメタクリレート・メチルクロライド4級塩
DME :ジメチルアミノエチルアクリレート・メチルクロライド4級塩
AAm :アクリルアミド
AMPS:2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸
AA :アクリル酸
【0041】
〔
参考例1〜5〕
Aダストコントロール用品のリース会社におけるモップ及びマット洗浄廃水を採取し、凝集試験を行った。廃水の性状は、pH=10.5、SS=490mg/L、420nmの透過率=1%であった。
【0042】
先ず、500mlのビーカーに廃水を500ml採取し、無機凝集剤として塩化アルミを添加し、150rpmの回転数で1分間攪拌して混合した後、表2に示すpHに苛性ソーダを用いて調節した。次いで、表1に示すアミジン系凝集剤(K1)を添加し、更に、150rpmの回転数で1分間攪拌して混合した。次いで、高分子凝集剤を添加し、更に、100rpmの回転数で1分間攪拌して凝集フロックを形成させた。実施例1〜5は、表2に示すように、処理pH、スルホン酸基を含む高分子凝集剤の種類を変え試験を行った。
【0043】
表2に実施例1〜5の結果を示す。いずれの実施例においても、凝集性が良好であり、透過率(色度)が良好であり、見た目にも満足できる処理水を得ることが出来た。
【0044】
〔
参考例6及び7〕
参考例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、高分子凝集剤としてスルホン酸基を含まないカルボン酸系のアニオン性高分子凝集剤を用いた。結果を表2に示す。凝集性が良好であり、透過率(色度)の処理水を得ることが出来たが、透過率はスルホン酸基を含む高分子凝集剤を用いた結果より劣っていた。
【0045】
〔
参考例8及び9〕
参考例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、スルホン酸基の含有量が好ましい範囲外の高分子凝集剤を用いた。結果を表2に示す。スルホン酸基を1重量%を含むA5を用いた
参考例8は、カルボン酸系のアニオン性高分子凝集剤より色度において良好であるが、
参考例3より劣る結果であった。また、
参考例9は凝集性能が劣る結果であった。
【0046】
〔
参考例10及び11〕
参考例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、アミジン系凝集剤K1の添加量を変えた。結果を表2に示す。アミジン系凝集剤K1の添加量が10mg/Lである
参考例10は、添加量が20mg/Lである
参考例3より色度において劣るが、K1を添加しない比較例より良好な色度を示した。また、
参考例11に示すように、アミジン系凝集剤K1を40mg/Lと過剰に添加しても更に色度が向上することはなかった。
【0047】
〔
実施例1,2及び参考例12〕
参考例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、高分子凝集剤の添加を分割し逐次添加する方法を採用した。結果を表2に示す。
実施例1に示すように、2回に分けて逐次添加することにより色度が向上した。但し、
実施例2に示すように3分割にしても更なる向上効果は得られなかった。また、
参考例12に示した通り、一段目に添加する高分子凝集剤の割合が50%以下になると色度が向上は見られなかった。
【0048】
〔
参考例13及び14〕
参考例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、無機凝集剤の種類を変えた。結果を表2に示す。表2中の「塩鉄」は塩化第二鉄を意味する。
参考例13及び14は、凝集性および処理水色度とも
参考例3と同様の結果であり良好であった。
【0049】
〔比較例1及び2〕
実施例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、比較例1及び2はアミジン系凝集剤K1を併用せず、無機凝集剤と高分子凝集剤の組み合わせで凝集試験を行った。結果を表2に示す。凝集性は良好であったが、処理水の色度が実施例より著しく劣る結果となり、見た目にも茶色に着色し悪い結果であった。また、無機凝集剤添加量を1.5倍に増加させても大きな改善はなかった。
【0050】
〔比較例3〜7〕
実施例1〜5と同様の試験条件で凝集試験を行った。但し、凝結剤としてアミジン系凝集剤K1の代わりに市販の各種カチオン性有機凝結剤を用いて凝集処理を行った。結果を表2に示す。比較例3を除き凝集性は問題ないが、処理水の色度はアミジン系凝集剤を用いた実施例より劣る結果であった。比較例3は、凝集性および処理水の色度ともに劣る結果であった。
【0051】
【表2】
【0052】
表2中、「無機凝集剤種類」欄における略号の意義は次の通りである。すなわち、LAC:塩化アルミニウム、バンド:硫酸アルミニウム、塩鉄:塩化第二鉄を示す。
【0053】
また、表2中、「高分子凝集剤の添加量」の欄における符号「+」は高分子凝集剤の添加を分割することを示す。例えば「15」は15mg/lを一度に添加すること、「10+5」は10mg/lを添加して混合した後、更に5mg/lを添加して混合すること、「8+5+2」は8mg/l、5mg/l、2mg/lずつ3段階で添加して混合することを意味する。