(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透過型スペクトル純度フィルタであって、前記スペクトル純度フィルタはポリイミドを含むフィルタ部分を含んでおり、前記フィルタ部分は、極端紫外線を透過させかつ第2のタイプの放射の透過を抑制する複数のアパーチャを有し、各アパーチャは前記フィルタ部分の頂面に対して略垂直に形成されており、金属層または反射層が、前記フィルタ部分の頂面および前記各アパーチャの側壁の少なくとも一部上に配置されている、透過型スペクトル純度フィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0049]
図1は、リソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILを備える。サポート(例えば、マスクテーブル)MTは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1位置決めデバイスPMに連結されている。基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTは、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2位置決めデバイスPWに連結されている。投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている。
【0025】
[0050] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0026】
[0051] サポートは、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポートは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポートは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0027】
[0052] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0028】
[0053] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0029】
[0054] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0030】
[0055] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0031】
[0056] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0032】
[0057] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0033】
[0058]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射は、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0034】
[0059] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成された調節デバイスを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0035】
[0060] 放射ビームBは、サポート(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決めデバイスPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決めデバイスPMおよび別の位置センサ(
図1aには明示的に示されていないが、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサであり得る)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1位置決めデバイスPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2位置決めデバイスPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0036】
[0061] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0037】
[0062] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0038】
[0063]
図2Aは、本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ装置の側面図を示している。その構成は
図1に示す装置の構成とは異なるが、同様の動作の原理であることに留意されたい。装置は、放射源コレクタモジュールまたは放射ユニット3、照明システムILおよび投影システムPSを含む。放射ユニット3には放射源SOが設けられており、この放射源SOは、電磁放射スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するように非常に高温の放電プラズマが生成される、例えばXeガスまたはSn蒸気のようなガスまたは蒸気を使用し得る。放電プラズマは、放電の部分的にイオン化されたプラズマを光軸O上に崩壊させることによって生成される。0.1mbarのXe、Li蒸気あるいは任意の他の適切なガスまたは蒸気の分圧は、放射の効率的な生成のために必要とされる場合がある。放射源SOによって放出された放射は、放射源チャンバ7からガスバリアまたは「フォイルトラップ」9を介してコレクタチャンバ8内へと送られてよい。ガスバリアは、例えば、その全体が本願に参考として組み込まれている米国特許第6,614,505号および6,359,969号に詳細に説明されているチャネル構造を含む。コレクタチャンバは、例えば、かすめ入射コレクタによって形成される放射コレクタ10を含んでよい。あるいは、装置は、放射を集光する法泉入射コレクタを含んでもよい。
【0039】
[0064] さらに、装置は、例えばLPP放射源を含むこともできる。LPP源の一例を
図2Bに示している。例えば、LPP源SOは、放射源SOの放射出力132aを生成するために使用される放射、例えばコヒーレント放射、の放射ビーム129を生成するように構成されたビームジェネレータ130を含んでもよい。本実施形態では、ビームジェネレータ130は、レーザビーム128を放出するように構成されたレーザである。例えば、LPP源SOの動作はデバイス製造方法の一部であってもよい。この方法は、第1のタイプの放射132a(すなわち、放射出力、例えばEUV放射)を生成すること、第2のタイプの放射(例えば、赤外線レーザ光)のビーム128を利用すること、および第1のタイプの放射のパターン付き放射を基板W上に投影することを含んでよい。
【0040】
[0065] より具体的には、
図2Bによると、LPP源SOは、燃料点火場所126にプラズマ燃料を供給するように構成された燃料供給器120を含んでもよい。放射源SOは、点火場所126に存在する燃料を点火させるためにレーザビーム128を放出させて放射放出プラズマQ(
図4〜
図5を参照)を生成するように構成されたレーザ130を含んでよい。
【0041】
[0066]
図2Bによると、放射源SOは、レーザビーム128の少なくとも一部を集束スポット126(集束スポットは上記の燃料点火場所である)に合焦されるように構成されてよい。さらに、放射源SOは、プラズマ燃料124を燃料点火場所126に供給するように構成された燃料供給器120および122を含んでよい。例えば、放射源SOは、例えばSnまたはGdなどの液化ターゲット材料122(すなわち、プラズマ燃料)を用いて構成された容器120を含んでもよい。容器120は、SnまたはGdからなる液体小滴124の領域126(すなわち、点火場所)への供給に適した機構または開口部(図示せず)を用いて構成されてよい。ここで、小滴は、レーザ130によって提供されるレーザビーム128に衝突されるように構成される。レーザビーム128は、該当の(赤外線)波長、例えば10.6マイクロメートルまたは9.4マイクロメートルの波長を有するCO
2レーザに関してよい。あるいは、例えば、1〜11マイクロメートルの範囲内の波長をそれぞれ有する他の適切なレーザを使用してもよい。レーザビーム128は、適切な光学システムの例を用いて領域126内で合焦されることが望ましい。レーザビーム128との相互作用の際、小滴124はプラズマ状態へと変形し、この状態では、例えば6.7nmまたは5〜20nmの範囲から選択された他のあらゆるEUV放射、あるいは異なるタイプの放射が放出されてよい。
【0042】
[0067] 本発明によると、コレクタ10(
図2Aを参照)を通った放射はスペクトル純度フィルタ11を透過する。ブレーズ(blazed)スペクトル純度フィルタとは対照的に、スペクトル純度フィルタ11は放射ビームの方向を変更しないことに留意されたい。フィルタ11の好ましい例を以下に説明する。
【0043】
[0068] 図示していない代替の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、コレクタ10上にかすめ入射ミラーの形態で実施されてもよいので、放射ビームを反射することもできる。
【0044】
[0069] 放射は、コレクションチャンバ8内のアパーチャから仮想原ポイント12(すなわち、中間焦点)に合焦される。放射ビーム16は、チャンバ8から照明システムIL内で法線入射リフレクタ13および14を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクへと反射される。パターン付けされたビーム17が形成され、これは投影システムPSによって反射要素18および19を介してウェーハステージまたは基板テーブルWT上へと結像される。示されたものより多いエレメントが照明システムILおよび投影システムPSの中に通常存在してもよい。反射要素19のうちの1つは、その前にNAディスク20を有しており、NAディスク20はそこを通るアパーチャ21を有する。アパーチャ21のサイズは、ビームが基板テーブルWTに当たる時にパターン付けされた放射ビーム17によって規定される角度α
iを決定する。
【0045】
[0070]
図2Aは、コレクタ10の下流および仮想原ポイント12の上流に位置決めされた本発明によるスペクトル純度フィルタ11を示している。示されていない代替の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、仮想原ポイント12に位置決めされてもよく、またはコレクタ10と仮想原ポイント12との間のあらゆる箇所に位置決めされてもよい。
図3は、例えばリソグラフィ装置の上記のフィルタ11として適用することができるスペクトル純度フィルタ100の一実施形態を示している。本フィルタ100は、極端紫外線(EUV)を透過させるように構成されている。更なる実施形態では、フィルタ100は、放射源によって生成される第2のタイプの放射、例えば赤外線(IR)(例えば、約1μmより大きい、特に10μmより大きい波長の赤外線)を実質的に遮断する。特に、透過されるEUV放射および(遮断される)第2のタイプの放射は、同じ放射源、例えばリソグラフィ装置のLPP源SOから発散することができる。
【0046】
[0071]
図3に示すように、スペクトル純度フィルタ100は、フィルタ部分102F(例えば、フィルタ膜またはフィルタ層)を含むことが好ましい。このようなフィルタ部分102Fを「フィルタ基板」と呼ぶことができる。フィルタ部分102Fは、極端紫外線を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するために複数(好ましくは平行の)アパーチャ104を有する。上述したように、例えば、EUV放射は、放射の方向を変化することなくスペクトル純度フィルタによって透過される。一実施形態では、各アパーチャ104は、異方性エッチングプロセスによって製造されている(以下に説明するように)。
【0047】
[0072] 有利には、アパーチャのアスペクト比を十分に低く保ってかなりの角拡散を伴うEUV透過を可能にするために、EUV放射は、望ましくは比較的薄いフィルタ100を利用してアパーチャ104を直接透過する。
【0048】
[0073] 一実施形態によると、フィルタ部分102Fの厚さTH(すなわち、各アパーチャ104の長さ)は、20μm未満、例えば2〜10μmの範囲、例えば5〜10μmの範囲より小さい。
【0049】
[0074] より詳細には、フィルタ100の厚さTH(すなわち、各アパーチャの長さ)は、約10ミクロンより小さい、例えば約2〜10ミクロンの範囲、例えば5〜10ミクロンの範囲内であってよい。さらなる実施形態は、10ミクロンのフィルタの厚さTHを含む。
【0050】
[0075] 一実施形態によると、各アパーチャ104は、100nm〜10μmの範囲の直径を有してよい。各アパーチャ104は、約3〜6μmの範囲、例えば3〜4μmの範囲の直径を有することが望ましい。
【0051】
[0076] フィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1(
図4Eでは両矢印Q1で示されている)は、1μmより小さい、例えば約0.4〜0.6μmの範囲内、特に約0.5μmであってよい。
【0052】
[0077] 一実施形態では、アパーチャは、フィルタ前面の全体の約70〜80%の開口エリア提供してよい。
【0053】
[0078] 一実施形態では、フィルタ100は、最大5%の赤外線(IR)透過を提供するように構成されてよい。
【0054】
[0079] 一実施形態では、フィルタ100は、入射するEUV放射の少なくとも60%を法線入射で透過させるように構成されてよい。一実施形態では、フィルタ100は、10°の入射角(垂直方向に対して)を有するEUV放射の少なくとも40%透過を提供してよい。
【0055】
[0080] 例えば、各アパーチャ104は実質的に垂直および模様付きの側壁106によって画定されてよい。そのような垂直および模様付きの側壁106は、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを利用してアパーチャ104を製造することによって得ることができるということが分かった。
【0056】
[0081] より詳細には、六角形断面を有するアパーチャ104は、異方性エッチングプロセスを用いて基板(特に、半導体基板)にエッチングされてよい。
【0057】
[0082] 本発明の実施形態によると、フィルタ100は、フィルタ部分102Fの上に配置された金属層Mをさらに含んでもよい(
図9を参照)。一実施形態では、金属層Mはモリブデンを含むかまたはそれから成る。一実施形態では、金属層Mは、アパーチャ104の側壁106の少なくとも一部上に配置されてもよい(
図10を参照)。
【0058】
[0083] 一実施形態では、フィルタ部分102Fは、半導体部分、結晶半導体部分、ドープ半導体部分、コーティングされた半導体部分および少なくとも部分的に改変された半導体部分のうちの1つ以上から選択されてよい。
【0059】
[0084] 一実施形態では、フィルタ部分102Fは、(マイクロ)多孔性シリコンなどのシリコン、ゲルマニウム、ダイヤモンド、砒化ガリウム、セレン化亜鉛および硫化亜鉛から選択された少なくとも1つの半導体材料を含んでよい。
【0060】
[0085] 一実施形態では、EUV透過型フィルタ100のアパーチャは、約3〜6μmの範囲、特に3〜4μmの範囲、例えば4μmの周期Q2(
図4Eに示す)を有する。任意の金属層Mは、少なくとも10nmの厚さ、例えば少なくとも0.5μmの厚さを有することが望ましい。
【0061】
[0086] 本発明の一実施形態は、約3μmの周期を有するアパーチャ104を含み、金属層Mは約0.6μmの厚さを有することが好ましい。
【0062】
[0087] 例えば、フィルタ100は、シリコン(Si)102Fからなる自立型薄膜および実質的に垂直(すなわち、フィルム表面に対して垂直)の側壁106を有するアパーチャ104アレイを含んでもよい。アパーチャ104の直径は、EUV放射が実質的な回折を伴わずにスペクトル純度フィルタ100を通り抜けることができるように、約100nmより大きいことが望ましく、約1μmより大きいことがさらに望ましい。アパーチャ104は円形断面を有するものとして示されているが(
図3において)、他の形状も可能であり、好ましい場合もある。例えば、六角形アパーチャ(
図4E、
図6および
図8を参照)は、機械的安定性の観点から有利であり得る。
【0063】
[0088] 例えば、フィルタ100によって抑制される波長は、透過されるEUV波長の少なくとも10倍であってもよい。特に、フィルタ100は、DUV放射(約100〜400nmの範囲内の波長を有する)および/または1μmより大きい(例えば、1〜11ミクロンの範囲内の)波長を有する赤外線の透過を抑制するように構成されている。
【0064】
[0089] 本発明の一態様は、透過型スペクトル純度フィルタ100を製造する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、異方性エッチングプロセスを用いて基板102(例えば、半導体基板)における複数のアパーチャをエッチングすることを含む。一実施形態では、エッチングは、アパーチャを画定する模様付きの側壁を生成する。この方法は、基板102の上に金属層、例えば、モリブデンを含む金属層を堆積させることを含んでもよい。この方法は、基板102をSF
6プラズマと炭化フッ素とで交互に露光することを含むエッチングプロセスを含んでもよい。
【0065】
[0090] 以下に説明するように(
図4A〜
図4Eを参照)、さらなる実施形態では、この方法は、エッチストップ層102Sを有する半導体基板102を提供すること、および、アパーチャがエッチストップ層102Sに到達するように異方性エッチングプロセスを用いて半導体基板を介してエッチングすることを含む。
【0066】
[0091] 好ましくは、基板102の一部は、初期の基板材料に含まれる所定のエッチストップ層102Sで止まるエッチによって除去できることが好ましい。これは、例えば、EUV透過を実質的に減少するアパーチャ構造104を保護層で覆わずに、非常に薄いフィルタ部分102Fを基板から取り外すことを可能にする。さらに、別の好ましい態様では、例えば、取り外しエッチステップの前には、フィルタ保持フレーム102Cが薄いフィルタを支持するために残るように基板102の裏側を保護酸化物/窒化物コーティングによってパターン付けすることができる。
【0067】
[0092] さらに、例えば、方法は、基板におけるアパーチャを製造した後に少なくともフィルタ部分102Fの裏側からエッチストップ層102Sを除去することを含んでもよい。さらに、方法は、半導体基板内に2つの外側基板表面から間隔をあけてエッチストップ層102Sを提供することを含んでよい(
図4Aのように)。例えば、エッチストップ層102Sは外部の基板表面と平行して延在してもよい。
【0068】
[0093] 本発明のより具体的な実施形態では、スペクトル純度フィルタ100は、
図4A〜
図4Eに示すように、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)の技術に基づいた方法を用いることによって製造されてよい。DRIEは、高い異方性エッチ速度を有するエッチング方法であり、これは、いわゆるボッシュ法を用いてSiにおける垂直エッチプロファイルを製造することを可能にする。これは、例えば、S.Tachi,K.Tsujimoto,S.Okudairaによる「Low−temperature reactive ion etching and microwave plasma etching of silicon」と題したAppl.Phys.Lett.52(1998),616に記載されている。ボッシュ法は、Si表面をSF
6プラズマと炭化フッ素(例えば、C
4F
8)プラズマとで交互に露光することからなる。第1段階では、シリコンはほぼ等方的にエッチングされる一方、第2段階では、エッチングされたプロファイルは不活性化層によって覆われる。次のエッチングでは、この不活性化層は、主にイオン衝撃により選択的に底部で開口されてエッチングは再び開始される。このエッチ/不活性化サイクルの繰り返しによって、エッチは一層ごとにシリコン表面へと下方に進む。
【0069】
[0094] 製造方法の一実施形態は、アパーチャパターンのハードマスクを自立型Si薄膜の上に適用すること、および(ii)Si膜全体を介してアパーチャパターンを垂直に深堀り反応性イオンエッチングすることを含む。
【0070】
[0095] 製造方法の一実施形態は、(i)アパーチャパターンのハードマスクをSi表面を有する基板に適用すること、(ii)アパーチャパターンをSi表面へと垂直に深堀り反応性イオンエッチングすること、および(iii)エッチングされたアパーチャの下の基板の一部を除去することを含む。
【0071】
[0096] 例えば、
図3に示すスペクトル純度フィルタは、SOI(絶縁体上シリコン(silicon-on-insulator))ウェーハ、例えば、特定の深さで(例えば、酸素イオン注入によって)埋められた酸化層102Bを有する(結晶)Siウェーハである初期材料102を含んでもよい。
【0072】
[0097] したがって、SOIウェーハ102は、Si上層(膜)102F、SiO
2中間層102S、およびSi下層102Bからなる。そのようなウェーハ102を
図4Aに示す。例えば、ウェーハの厚さTWは、1mmより小さく、例えば670ミクロンであってもよい。
【0073】
[0098] (六角形アパーチャの)アパーチャパターンは、DRIEを用いて、フィルタ部分102Fを提供するSi上層へとエッチングされてよい(表側から)。その結果を
図4Bに概略的に示す。SiO
2層102Sはエッチストップとしての機能を果たす。
【0074】
[0099] 続いて、アパーチャパターン104の下に延在するSi下層102Bの少なくとも一部は、KOHエッチを用いてエッチングされてよい。好ましくは、下層102Bの一部は立ったまま残ってフィルタホルダ102Cのそれぞれの(下方)部分を提供する。その結果を
図4Cに示す。再び、SiO
2層はエッチストップとしての機能を果たす。
【0075】
[00100] 最後に、SiO
2は緩衝性酸化物エッチを用いて除去することができ、その結果を
図4Dに示す。この場合においても、好ましくは、エッチストップ層102Sの少なくとも一部のみが除去されてアパーチャ104を開口し、ここで下層102Sの残りの部分は立ったまま残ってフィルタホルダ102Cのそれぞれの部分を提供する。
【0076】
[00101]
図4C〜
図4Dによると、フィルタ100には、アパーチャ104を有するフィルタ部分102Fの外側にフィルタホルダ102Cが設けられている。例えば、フィルタホルダ102Cはフィルタ部分102Fを囲うように構成されてよい。好ましくは、フィルタホルダ102Cは、(この実施形態では中央の)フィルタ部分102Fより実質的に厚い。例えば、ホルダ102Cの厚さ(アパーチャ104に平行する方法で測定される)は、20ミクロンより大きく、例えば少なくとも0.1mmであってもよい。
【0077】
[00102] 本フィルタホルダ102Cは、実質的にフィルタ部分(半導体)材料からなるフィルタ100の一体部分である。例えば、フィルタホルダ102Cはフィルタ部分102Fを囲うフレーム102Cであってよい。この例においては、フィルタホルダ100Cは、依然としてエッチストップ層の一部(それぞれの基板材料に「埋められている」)およびフィルタ部分102Fより実質的に厚いサポート部分102Dを含む。この例においては、フィルタ部分102Fおよびサポート層102Dは同じ材料から成る。
【0078】
[00103]
図4C〜
図4Dに示す例では、アパーチャパターン104の下に延在するSi下層102Bの一部をエッチングする間、フィルタホルダ102Cを形成することができる。(100)向きのシリコン基板を初期材料として使用する場合、エッチングプロセスからフィルタホルダ102Cの傾斜壁102Gが結果として生じ得る。その場合、傾斜壁102Gはシリコン結晶の(111)平面と一致する可能性が高い。
【0079】
[00104] 所望のフィルタ部分102Fは非常に大きくてよく、それによってフィルタ部分102Fを囲う場所だけではなくフィルタ部分102Fの直下の場所にもサポートを提供するのに好ましくなり得る。これは、フィルタ部分102を、個別にエッチングされるべき複数のエリアへと分割することによって達成することができる。そのようなエッチの簡単な結果(シリコンの形状を示しているだけ)を
図4F〜
図4Gに示す。
図4Fは上面図であり、
図4Gは
図4Fにおける線AA’に沿った断面図である。図はシリコン基板にエッチングされた2つのエリア103を示す。サポート部分102Dもその間に介在しており、これはサポート部分102Dの一部102D’をフィルタ部分102Fのすぐ後に配置させる。再び、傾斜壁102Gはシリコン結晶の(111)平面と一致してもよい。
【0080】
[00105] 傾斜壁102Gの形成を回避できる可能性が高い方法は、(100)シリコン基板の代わりに(110)向きのシリコン基板を使用することである可能性が高い。(110)向きのシリコン基板における(111)平面の一部は基板表面と垂直であるため、これらの(111)平面と一致する壁は傾斜の代わりに垂直である。
【0081】
[00106]
図4Hおよび
図4Iは、(100)向きのシリコン基板および(110)向きのシリコン基板のそれぞれにおけるサポート部分102Dの一部102D’を示している。
図4Hの斜線部分は、サポート部分102Dの一部102D’の傾斜壁102Gを指す。
図4Iでは、(110)平面に対する(111)平面の結晶方向により、壁は傾斜の代わりに略垂直である。基板表面を形成する(110)平面に対して垂直である(111)平面は、70.5°の角度で位置される。しかしながら、
図4Iにおける三角部分は、は、基板表面と一致する(110)平面に対して垂直ではない壁102Gの部分を示す。これらの部分の形成は、35.3°の角度にある(111)平面によって生じる。
【0082】
[00107]
図4Hでは、エッチが500μmであった場合、幅は707μmである。なぜなら、傾斜壁102Gを形成する(111)平面と基板表面を形成する(100)平面との間の角度がお互い対して54.7°の角度で位置されているからである。この幅により、
図4Hのサポート部分102Dの一部102D’は、フィルタ部分102Fによって透過される放射を
図Iのサポート部分102Dより多く遮断する。
【0083】
[00108] 一実施形態では、フィルタ部分102Fは(マイクロ)多孔質シリコンを含んでよい。この形態のシリコンは、結晶シリコンより低い密度を有する。さらに、(マイクロ)多孔質シリコンは、より高いEUV透過率を有する。というのは、通常、入射するEUV放射は、フィルタ部分102Fの表面の法線に対して約−13°と約+13°との間の角度の下でフィルタに入射するからである。そのような材料によって形成されるフィルタ部分102Fは、陽極酸化またはエッチングの方法によって製造されてよい。
【0084】
[00109]
図4Eは、基板層102Fにおける六角形アパーチャ104の一部を概略的に示している。矢印Q1はフィルタアパーチャ104間の壁の厚さQ1を示し、矢印Q2はアパーチャの周期を示す。厚さQ1は、本発明の製造方法の適用によって相対的に小さくもよい。さらに、フィルタ部分102Fの壁の(緻密な)六角形構造は、非常に耐久性のある開放型構成を提供する。
【0085】
[00110] この製造方法の非限定例に使用するプロセスフローの例を以下の表1に示す。
【表1】
【0086】
[00111] 一実施形態では、別の層がエッチストップとしての機能を果たしてもよい。
【0087】
[00112] 一実施形態では、専用のエッチストップ層は使用されていないが、エッチの深さは、例えばタイミングなどによって制御されてよい。
【0088】
[00113] 一実施形態では、例えばDRIEエッチなどの、KOHエッチ以外のエッチング方法を使用して基板(の一部)を除去することができる。
【0089】
[00114] Siグリッド102Fは他の方法、例えば、グリッド層と基板材料との間の一時的結合(例えば、接着または粘着層)を除去または溶解することによって基板から取り外すことができる。
【0090】
[00115]
図5〜
図8は、本発明の実施形態によって製造されたスペクトル純度フィルタの例を示す。
図5および
図6は、約3μmの周期を有するアパーチャを有するスペクトル純度フィルタの傾斜断面の画像である。アパーチャの深さ(視角のために修正された)は約10.8μmである。
図7は、2つのアパーチャ間の壁の傾斜断面の画像である。
図7に示すように、壁は表面模様付き、特にスカラップ状であり、壁の表面に沿って厚さ変動を有し、これをDRIEプロセスと呼ぶ。
図7の上層は、ボッシュ法に使用されるSiO
2ハードマスクであり、視角のために修正された場合に約400nmの厚さを有する。
図8は、本発明の一実施形態による自立型スペクトル純度フィルタ100の上面図である。
【0091】
[00116] いくつかのグリッドSPFタイプは、望ましくない10.6μm放射の抑制に対する異なるメカニズムに基づいて区別されてよい。本発明の実施形態によるSiグリッドは、これらのグリッドタイプの仕様によって変更されてもよい。
【0092】
[00117] 例えば、サブ波長反射型グリッドSPFに対しては、米国特許出願公開番号第2006/0146413号に記載されるように、Siは10.6μmで透過的であるため純Siグリッドは十分でない場合がある。上記したように、一実施形態では、Siグリッドは薄い反射層、好ましくは金属、例えばモリブデンによってコーティングされてもよい。堆積方法および状態によって、2つのタイプの堆積形状が生じ得る。これらを
図9Aおよび
図9Bに概略的に示す。
図9Aでは、金属はシリコングリッドの上部のみを覆う断面図を示す一方、
図9Bでは、金属はシリコン壁の側面も覆う断面図を示す。以下に示すように、これは光学的に大きな違いをもたらす。
図10は、反射層がフィルタグリッドの全ての側面を覆う代替の実施形態を示す。
【0093】
[00118]
図11は、
図9Aに示すもののような、一次元形状に対してGSolverシミュレーションパッケージを用いて得られるシミュレーション結果を示す。モリブデンは、厚さ10μmのシリコングリッドの上面にのみ堆積される。グリッドは、周期4μmおよび10%デューティサイクルを有する。目標である5%IR透過率に到達するために、少なくとも2μmの厚い金属コーティングが望ましいことが分かる。グリッドのより小さな周期を用いて所望の厚さを減少させることができる。例えば、周期が3μmであった場合、5%IR透過率に到達するために0.6μmの金属コーティングを使用するべきである。
【0094】
[00119] 金属コーティングがシリコングリッドの頂面および側壁の両方を覆う場合、状況は劇的に変化する。
図12は、また、4μm周期および10%デューティサイクルを有する厚さ10μmのグリッドに対するシミュレーション結果を示している。しかしながら、モリブデンはここでは側壁も覆い、結果的に数ナノメートルの厚さのコーティングだけでIR透過率は既にほぼゼロに落ちる。そのような薄い厚さでは、ほとんどの力がグリッドに吸収される。グリッドを実質的に反射型(例えば、反射率95%を有する)にさせるために、〜30nmのコーティングが望ましい。
【0095】
[00120] 本発明の一態様は、EUV透過率の最小限の損失を有するフィルタ(例えば、シリコン)グリッド101F上に反射コーティング102Rを適用する方法を提供する。この態様によると、反射層102Rは原子層堆積(ALD)によって形成される。このようにして、3次元コーティング構造102Rの均一なコーティングの厚さを達成することができる。コーティング102Rの厚さは均一であるため、過度のコーティングの厚さによるEUV透過率の最小限の損失で所望の赤外線反射率を達成することができる。
【0096】
[00121] 特に、ALDの適用によってグリッドの上部における過度のコーティングの厚さを回避することができる一方、グリッド102Fの側壁106を下方も十分なコーティングの厚みを保持する。
【0097】
[00122]
図10Aは、フィルタ部分(グリッド)102Fおよびグリッド102F全体を囲いかつ均一な厚さを有する反射コーティング102R(すなわち、望ましくない反射を反射する)の基本的な実施形態を示す。上記によると、反射コーティング102Rの堆積のための好ましい製造方法は原子層堆積(ALD)である。ALDは原子層を1層ごとに堆積させるために自己限定表面反応の交互ステップを使用する。堆積される材料は先駆物質を介して提供される。ALD法はいくつかの金属、例えば、Ti、Ru、Pd、Ir、Pt、Rh、Co、Cu、FeおよびNiなどに対して周知である。一実施形態は、特にRuがフィルタを利用するシステムに既に存在する場合(例えば、Ruを含むEUV放射源コレクタモジュールを有するリソグラフィ装置)、ルテニウム(Ru)からなる反射コーティング102Fを使用してもよい。一実施形態では、反射コーティング102Rは、金属ではなく、例えばTiNまたはRuOxあるいは導電材料などといったように、望ましくない放射を反射する別の材料であってもよい。
【0098】
[00123] 一実施形態では、コーティング102Rは完全ではないが部分的にグリッドを囲う。例えば、グリッド102Fの裏側をコーティングしないまま残して放射率を上げ、よってグリッドの放射冷却を高めることが有利であり得る。
【0099】
[00124] ALDの代わりに、ガルバニ成長(電着)を使用して反射コーティング102Rを堆積させてもよい。
【0100】
[00125] 厚さ10μmのグリッドの側壁を全体的に覆うコーティングを適用することは実用的ではないかもしれない。したがって、一実施形態では、コーティングは、側壁の部分的下方にのみ適用される。例えば、最後に挙げた実施形態のコーティングがグリッドの上部およびグリッドの側壁に沿って初めの2μm下方に適用された場合、シミュレーションで示すように、光学挙動は
図12と事実上同じである。
【0101】
[00126] 別の実施形態では、フィルタには、短波長放射の吸収を減少するように構成された反射コーティング102Rが設けられてよい。例えば、ブロードバンドDUVリフレクタが提供されてよく、例えば、アルミニウム層によってコーティング102Rを形成する。あるいは、DUV反射コーティングを特定の波長帯域に対して構成されてもよい。これを達成するための方法は、例えば、T.Sandnerらによる「Highly reflective coatings for micromechanical mirror arrays operating in the DUV and VUV spectral range」と題したProc.SPIE5721(2005)p.72〜80に記載されている。
【0102】
[00127] 短波長放射の吸収を減少するように構成された反射コーティングが設けられたフィルタの別の実施形態を
図10Bに示している。フィルタ部分102Fには、短波長放射の吸収を減少するように構成された反射コーティング102Rが設けられている。交互するモリブデン層とシリコン層を含む多層コーティングによって適切なコーティング102Rが形成されてよい。極端紫外線に対する理論的反射率は、その入射角により、約60%から約70%の間である。モリブデン層とシリコン層との間の拡散を回避するために拡散バリアが設けられてもよい。これらのバリアは、モリブデン層とシリコン層との間のインターフェースに配置されてもよい。バリアはB
4C層またはB
9C層であってもよい。
【0103】
[00128] 短波長放射の吸収を減少するように構成された反射コーティングが設けられたフィルタのさらなる別の実施形態には、交互層を含む多層ミラーおよびアルミニウム層の両方が設けられてよい。アルミニウム層は、多層ミラーの上に設けられてよい。
【0104】
[00129]
図10Bから分かるように、多層ミラーコーティングは側壁上に設けられてもよい。
【0105】
[00130] 金属は、例えば蒸着(
図13を参照)またはスパッタ堆積などによってSiグリッド上に堆積されてよい。別の態様によると、金属は原子層堆積を利用して堆積されてもよい。
【0106】
[00131]
図13は、公称厚さ約350nmを有する蒸着層Moが使用される一実施形態を示す。
図13aはコーティングされたグリッドの上面および断面図を示し、
図13bはグリッドの頂部の断面壁を示し、
図13cは5μmの深さにおける断面壁を示している。
【0107】
[00132]
図14は、薄いMo層でコーティングされた4μm周期を有する自立型Siグリッドの測定された赤外線透過スペクトルを示している。これは、10.6μm放射が少なくとも2オーダーの大きさによって抑制されるということを示し、これは実際的なスペクトル純度要件に対して十分である。
【0108】
[00133] 一部のSPFでは、10.6μm放射はグリッド材料内に吸収されてよい。そのようなグリッドは、ドープSiを用いて本発明の実施形態によって実現することができる。本発明のこの態様による典型的な実施形態は、10
18原子/cm
3を超えるドープ濃度を有するSiグリッドを含む。
【0109】
[00134] E.D.Palik,Handbook of optical constants of solids III(Academic Press,London,1998),155におけるM.Auslender,S.Havaによる「Doped n−Type Silicon」は、Siの屈折率は、PまたはAsなどのn型不純物でドープすることによって実質的に変化することができることを報告している。例えば、10
20原子/cm
3の高濃度では、10.6μmの屈折率は、純Siに対するn=3.74,k=0.001と比較すると、約n=1.6,k=4である。そのような高い値の吸光係数では、材料は透過的というより実質的に吸収性を有する。
【0110】
[00135]
図15に示すように、純シリコンから成るグリッドは、層における干渉により、その厚さの関数として透過における振動を示す。しかしながら、全体的な透過率は高いまま残る。
図16は、
図15と同じ寸法を有しかつn型ドープSiから成るグリッドの光学挙動を示している。ドープグリッドは、グリッドの厚さの関数としてIR透過率の連続的減少を示している。例えば、グリッドの厚さ(深さ)9μmでは、入射する赤外線の約4%が透過され、約12%が反射され、その残り(約84%)は吸収される。したがって、グリッドは実質的に吸収性を有する。同様の挙動がp型ドープSiに対しても予想される。
【0111】
[00136] ドープSiグリッドの製造方法は、上述した純Siグリッドと同じであってよく、初期材料は純SiではなくドープSiを含んでいる。ドーピングがDRIE法を大幅に影響することは予想されない。
【0112】
[00137] 製造方法の実施形態では、ドーピングは、例えばイオン注入または熱拡散によってグリッドの製造後に導入されてよい。
【0113】
[00138] ある実施形態では、Siグリッドの少なくとも一部をケイ化物、例えば、MoSi
2、TiSi
2またはZrSi
2に変換することが有利であり得る。ケイ化物の光学的性質により、グリッドは、実質的に透過的(例えば、位相格子)のまま残るか、望ましくない放射を吸収するか(例えば、サブ波長吸収グリッド)または反射(例えば、サブ波長反射グリッド)し得る。
【0114】
[00139] ケイ素化は、製造されたSiグリッド上に金属コーティングを適用し、それを保護雰囲気においてケイ素化温度に加熱することによって達成される。
【0115】
[00140] マイクロレンズアレイSPFを生成するために、Siグリッド102Fの厚さTHは横方向に変化してよい。これは、例えばマイクロマシニングまたはリソグラフィによって、Siグリッドの製造前または製造後に行われてよい。あるいは、グリッド製造におけるエッチプロセスのうちの1つは、所望の厚さ変化がエッチング中に得られるように変更されてもよい。
【0116】
[00141] 一実施形態はマイクロレンズアレイ(例えば、フィルタの一部として)を生成することを含んでよい。例えば、マイクロレンズアレイSPFは、Siグリッドにおけるドーピング濃度を横方向に変化させることによって生成されてもよい。これは、上記したようにドーピング濃度に対する屈折率の依存度によりいわゆる屈折率分布型(GRIN)レンズを生成する。ドーピング濃度における所望の変化は、例えば、合焦されたイオンビームを使用することによって、または適切なマスクと組み合わせて均一なイオン注入を使用することによって達成することができる。
【0117】
[00142] 透過型スペクトル純度フィルタの別の実施形態によると、スペクトル純度フィルタ200はポリイミドを含むフィルタ部分202Fを含み、フィルタ部分202Fは、極端紫外線を透過し、第2のタイプの放射の透過を抑制する複数の(好ましくは、平行の)アパーチャ204を有する。
【0118】
[00143] 例えば、
図17は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ200を示している。スペクトル純度フィルタ200は、実質的に垂直の(すなわち、フィルム表面に対して垂直の)側壁206を有するアパーチャ204のアレイを含む真空に適合したポリイミド202F(Kapton(登録商標)など)の自立型薄膜を含む。ポリイミドグリッドは少なくとも部分的に金属層208によってコーティングされる。
【0119】
[00144] Kapton(登録商標)はポリイミド膜の商品名である。これは、真空において200℃まで安定している。200℃を超える温度では、ガス放出は相当な量となり、400℃より高い温度では、Kapton(登録商標)は崩壊し始める。Kapton(登録商標)は電気絶縁体であり、よってKapton(登録商標)グリッドは、赤外線を反射することができるように別の材料によってコーティングされることが好ましい。
【0120】
[00145] 一実施形態では、例えばモリブデンなどの金属層Mは、グリッドの上およびグリッドの側壁に沿って少なくとも部分的に下方に適用されてよい。例えば、ピッチ4μmおよび壁厚400nmのアパーチャを有する厚さ10μmのグリッドに対して、グリッド202Fの上および側壁を覆う約30nmのMo層は、グリッドを実質的に反射型(〜95%反射率)にさせる。これは、
図12に示すように1次元GSolverシミュレーションによって示される。シミュレーションは基材としてKapton(登録商標)ではなくSiによって行われたが(Kapton(登録商標)に対する赤外線光学定数は容易に入手できないため)、同じ結果が予想される。
【0121】
[00146] 厚さ10μmのグリッドの側壁を完全に覆うコーティングMを適用することは実用的ではない場合がある。したがって、コーティングMは側壁を部分的に下方にのみ適用されてよい(
図17bに示すように)。例えば、コーティングがグリッドの上にかつグリッドの側壁に沿って最初の2μmを下方に適用された場合、本発明の計算は光学挙動が
図12と本質的に同じであることを示す。
【0122】
[00147] 金属は、例えば蒸着またはスパッタ堆積などによってグリッド上に容易に堆積することができる。上述したように、金属を堆積させる好ましい方法はALDである。
【0123】
[00148] 特定の状況下においては、熱負荷は、Kapton(登録商標)を真空環境から密封することが望ましいように構成されてよい。これは、Kapton(登録商標)がより高い温度にまで加熱されることを可能とし、さらに真空状況に悪影響を及ぼさずに崩壊さえもし得る。したがって、さらなる実施形態では、Kapton(登録商標)は金属層によって完全にコーティングされる。
【0124】
[00149] 別の実施形態では、コーティングされたグリッドにおけるKapton(登録商標)は、リソグラフィツールでの使用の前に、例えば炭化によって故意に崩壊される。金属コーティングおよび炭化からの残留物は、グリッドに対する機械的安定性を提供するために十分に強くあることができる。この実施形態は、真空状況に悪影響を及ぼさずにグリッドをリソグラフィツールにおいてより一層高い温度に加熱することができる利点を有する。
【0125】
[00150] スペクトル純度フィルタを生成するために、波長248nmで放出するパルスKrFエキシマレーザを用いてKapton(登録商標)を非常に高精度でマイクロマシンすることができる。この短波長は、より長い波長源によって達成できるものより小さな穴をあけるという利点を提供できる。高エネルギー紫外線光子は、光アブレーション(冷却アブレーション)と呼ぶプロセスにおいて高分子を一緒に保持した状態で分子結合を直接壊し、これは実質的には熱影響ゾーン(HAZ)を有さない輪郭のはっきりしたクリーンなフィーチャという結果となる。Kapton(登録商標)は紫外線領域でかなり良い吸収を有するので、短いパルス(30ns)レーザ光の浸透の深さは非常に小さくなる。各パルスは非常に薄い材料層のみを除去するため、穴あけ深さはパルス数を制御することによって正確に決定できる。
【0126】
[00151] Kapton(登録商標)に4μmの穴をあけるために、レーザビームが機械加工されるパターンを含むマスクを照明するフォトマスク技術を使用してもよい。実験的構成を
図18に概略的に示している。この構成は、エキシマレーザ150、ホモジナイザを有する光学系151、マスク152、結像光学系153および(Kapton(登録商標)を保持するように構成された)移動ステージ154を含む。レーザビームは、一対のホモジナイザ151によって均質化され、かつ投影マスク152の方に誘導される。任意選択として、均質化されたビームは約20×20mm
2であり、さらに任意選択として、使用されるマスクサイズは10×10mm
2だけである。したがって、均質化されたビームの中央部分のみが投影に使用され、マスクの均質の照明が保証されている。マスクは、ピッチ25μmで直径20μmの穴からなる(壁厚5μm)。このパターンは、投影レンズ153によって5倍の縮小でKapton(登録商標)上に結像され、これは
図19に示すように1μmの壁厚を有する直径4μmの穴のアレイとなる。本構成では、2×2mm
2の面積を約5秒で処理することができる。これは、リソグラフィベースの方法またはパターン付き結晶の成長などといった他の提案されたグリッド製造方法と比較して非常に速い。XY移動ステージをさせて面積2×2mm
2を縫い合わせることによって大きい面積を機械加工することができる。Kapton(登録商標)の厚さは10μm以下であり、穴の先細はごくわずかである。
【0127】
[00152] 248nmでKapton(登録商標)を処理することはデブリを生成し、これは以前に部分的または完全に穴あけされた穴を封鎖し得る。したがって、デブリは、レーザ処理の後に洗浄ステップによって除去されるべきである。
図19に示す穴アレイは、30μmKapton(登録商標)フォイルに生成された。実用的な目的のために、例えば10μmなどのより薄い市販のフォイルを使用することが望ましい場合がある。これは、より少ないデブリ、より少ない先細りおよび穴アレイのより良い幾何学的透過率という結果となることができる。
【0128】
[00153] 本発明の別の態様はリソグラフィ装置に関する。この態様は上述の実施形態と組み合わせることができるが、本態様は独立していてもよい。
【0129】
[00154] 上述したように、レーザ生成プラズマ(LPP)EUV源によって放出された放射は、EUV以外に、この放射源における赤外線レーザからのかなりの量の散乱光を含む。LPP源の非限定例を
図2Bに示す。システムを介して伝搬を限定するためにスペクトル純度フィルタを適用することが提案されている。
【0130】
[00155] 例えば、LPP EUV源を用いる場合、生成される波長は13.5nmEUVだけではない。一般的には、10.6ミクロンの波長を有するCO
2レーザを用いてこれらのLPP源の中にEUV放出プラズマを生成する。散乱および反射により、このレーザ光の一部は、EUVリソグラフィシステムの光学系によって集光および透過される。これはいくつかの理由により望ましくない。第一に、レジストは帯域外波長に対して敏感であり、よって画質は低下し得る。第二、望ましくない放射、特にLPP源内の10.6μm放射は、マスク、ウェーハおよび光学系の望ましくない加熱へと繋がる。望ましくない放射を特定の範囲内に持ってくるためにスペクトル純度フィルタ(SPF)が展開される。
【0131】
[00156] 最も一般的な透過型フィルタが使用され、すなわちEUV光が透過され、望ましくない波長(10.6ミクロン)は反射または吸収される。公知の方法としては、小さな穴を有する構造化された金属膜を使用することが挙げられる(米国特許出願公開第2006/0146413を参照)。穴が光の波長よりかなり小さい場合、光透過はかなり小さくなる。それらが波長よりかなり大きい場合、透過は開放領域に比例する。例えば1から5ミクロンの穴は10.6ミクロンの放射を遮断するために十分に小さい一方、EUVを透過させるために十分に小さい。穴を有する2D構造の代わりに、IDワイヤグリッドを使用してもよい。そのようなグリッドは、1つの偏光のみを反射するが、交差構成において2つを順に使用することによって両方の偏光を拒否することができる。
【0132】
[00157] しかしながら、十分なEUV透過を有するためには、構造を非常に開放的にし、穴の間の壁(またはワイヤグリッドのワイヤ)は非常に幅狭であることが好ましい。金属部分が幅狭すぎる場合、赤外線はあまり効果的に抑制されず、構造は非常に脆弱になる。
【0133】
[00158] 本発明の態様の目的はIR抑制を向上させることである。
【0134】
[00159] 一実施形態によると、リソグラフィ装置は、放射源の極端紫外線出力を生成するために使用される偏光放射ビームを生成するように構成されたビームジェネレータを含む放射源であって、極端紫外線出力は偏光ビームの一部を含んである、放射源と、極端紫外線を反射する少なくとも1つのリフレクタであって、リフレクタは、それぞれの入射面にて偏光放射部分のp型偏光部分を少なくとも受けるように構成されている。
【0135】
[00160] 一実施形態では、リフレクタに入射する放射の入射角は、20度より小さくて1度より大きく、例えば0.5度から10度の範囲にある。例えば、鏡によるEUV放射の反射は、かすめ入射状態のもとまたはそれに近くてよい。
【0136】
[00161] 望ましくは、装置は、極端紫外線の経路(特に放射源SOと基板ステージWTとの間に延在する経路)において複数の鏡を含む。その場合、有利には、これらの鏡の少なくともいくつかは、EUV放射ビーム(投影ビーム)とともに透過され得る赤外線のp型偏光部分(ある場合)を受けるように構成される。
【0137】
[00162] 一実施形態では、リフレクタは、放射を放射ビームに調整するように構成された照明システムの一部であってよい。
【0138】
[00163] 一実施形態では、リフレクタは、パターン付き放射ビームをターゲット材料上に投影するように構成された投影システムの一部であってよい。
【0139】
[00164] 一実施形態では、ビームジェネレータは、例えば赤外線(例えば、約1ミクロンより多い、例えば約10ミクロンの波長を有する)を生成するように構成されたレーザである。例えば、レーザはCO
2レーザであり、レーザ自体は偏光ビームを生成するように構成されてよい。あるいは、偏光子はレーザ光に適用されてもよい。好ましい実施形態では、(ビームジェネレータによって提供される)偏光ビームは、主にp型偏光からなる。好ましい実施形態では、偏光ビームは、p型偏光放射(赤外線)からなる。
【0140】
[00165] 例えば、放射は、プラズマを用いて放射源内に生成されてもよい。プラズマは、例えば適切な材料(例えば、スズ)の粒子を含むまたはそれらから成るプラズマ燃料に偏光レーザビームを誘導するか、または、例えばXeガスまたはLi蒸気などの適切なガスまたは蒸気(プラズマ燃料としての機能を果たす)の流れに偏光レーザビームを誘導することによって生成されてよい。結果として生じるプラズマは放射を放出し、例えばEUV放射はコレクタを用いて集光されてよく、このコレクタは放射を受けて放射をビームへと合焦させてよい。
【0141】
[00166] 一実施形態は、(放射源SOから発散される)赤外線の偏光状態を利用してリソグラフィシステムを通るその赤外線の透過を抑制する。その場合、望ましくは、放射源内のレーザの偏光状態は、特に該当の極端紫外線を反射する少なくとも1つのリフレクタの適用を介して、(その極性により偏光赤外線の反射を抑制する一方)システムを通るレーザ光の透過が最小限になるように選択される。
【0142】
[00167] 例えば、LPP源内に放電を生成するCO
2レーザは、ほぼ常に偏光される。この偏光は、散乱/反射(例えば、放射源内のSn小滴ならびにコレクタおよびリソグラフィ装置内の他のミラーに対する後続の反射)の後にかなり維持されることが予測される。
【0143】
[00168] 本態様による装置の概略図を
図2Aおよび
図2Bに示している。上記したように、本実施形態では、放射源SOは、偏光放射ビーム、例えば偏光赤外線を生成するように構成されたレーザ130を含んでよい。偏光ビーム130を用いて放射源SOの極端紫外線出力132aを生成する。極端紫外線出力は偏光ビームの一部を含む。
【0144】
[00169]
図2Aによると、装置は、EUV放射を基板Wに向かって透過させる複数のリフレクタ13、14、16、18および20を含む。好ましくは、これらのリフレクタ13、14、16、18および20のうちの少なくとも1つ(より好ましくは、少なくともいくつかのリフレクタ)は極端紫外線を反射し、リフレクタはそれぞれの入射面にて偏光放射部分のp型偏光部分を少なくとも受けるように構成されている。
【0145】
[00170] 一実施形態では、レーザ130の赤外線は、EUVを生成する同じ小滴124から反射または散乱する。(次いで)赤外線は、
図2Aに示すEUV放出と同じ経路をたどる。
【0146】
[00171] ミラー13、14、16、18および20に対する赤外反射の量、よってシステム内へとさらに伝搬する赤外線の量がその反射における偏光状態によるということが分かった。反射の後に偏光状態はかなり維持されることが予測されており、これは、開始時点の偏光状態、レーザ130の偏光によって制御される。
【0147】
[00172] 本態様の実施形態は、最小量の赤外線がマスクテーブルMTまたはウェーハテーブルWTに到達するようにビームジェネレータ130の偏光状態が最適化されるリソグラフィ装置を提案している。以下に説明するように、最適の偏光状態はリソグラフィツール内の光学要素の向きにより得る。
【0148】
[00173] 例えば、
図2Aでは、(赤外線部分の一部を含み得る)EUVビームは、図の平面内でのみ偏向される。
【0149】
[00174]
図2Aに示す光線が放射源SO(s偏光)において平面の外に偏光された場合、光線は各反射でs偏光される一方、放射源でp偏光された光線はp偏光されたまま残る。一実施形態では、p偏光に対する反射係数は、s偏光に対する反射係数より低い。例えば、p偏光可視光の反射は、いわゆる「ブルースター」角度においてゼロであってよい。さらに、反射防止コーティングでコーティングされた多層ミラーに対しては、p偏光の反射係数はs偏光の反射係数より低い。
【0150】
[00175] 装置においては、多数の反射(例えば、少なくとも5つ)からなる使用が望ましい。その場合、反射係数における小さな差でさえも重大であり得る。したがって、s偏光レーザからの光はp偏光レーザ130からの光よりさらにシステム内へと伝搬することが予測されており、よってこの状態ではp偏光レーザビームが好ましい。実際には、ビームの幅も多少平面からでることがあるが、これは、ほとんどの光は平面の近くで伝搬するために限定的な効果である。
【0151】
[00176] 一実施形態は、
図2Aの平面の外に全ビームを反射する1つ以上のミラーを含む。そのような反射では、図の平面はもう入射面と一致しない。そのような図の平面の外の反射では、平面の外に偏光される光は実際には入射面で偏光され、その意味ではp偏光である。
【0152】
[00177] 本発明の一態様では、適切な偏光方向を有するレーザビーム128はいくつかの方法によって得ることができる。
【0153】
[00178] 一実施形態は、右偏光方向(例えば、p型偏光)を有するレーザ130の適用を含む。
【0154】
[00179] 一実施形態は、右偏光方向(例えば、p型偏光)を得るためにレーザ130の物理的な回転の適用を含む。
【0155】
[00180] 一実施形態は、非偏光レーザビームを右偏光に偏光するために1つ以上の偏光子の適用を含む。
【0156】
[00181] さらに、一実施形態は、右型偏光レーザビームを得るために、偏光を回転させる1つ以上の透過型または反射型位相抑制剤の適用を含む。
【0157】
[00182] 好ましい偏光方向は、マスクMAまたはウェーハW上の赤外線の全体量を最小限にするもの、全てのミラーに対して(入射面に対して)p偏光を作り出すもの(
図2Aのように)、多数のミラー/できる限り多い数のミラーに対してp偏光を作り出すもの(平面の外に反射がある場合)、初めのn個のミラーに対してp偏光を作り出すもの(システムの初めにIRを除去するために)、(1つ以上の)第1ARコートされたミラーに対してp偏光を作り出すもの、および(1つ以上の)第1かすめ入射ミラーに対してp偏光を作り出すもの、のうちの1つ以上から選択されてよい。
【0158】
[00183] この文脈では、「ミラー」は、反射型スペクトル純度フィルタおよび反射格子を含むあらゆる反射光学要素を指すことができる。
【0159】
[00184] p偏光とs偏光との反射率における差はかすめ入射において最も著しい。したがって、好ましい実施形態では、レーザの偏光は、赤外線のほとんどが第1かすめ入射ミラーにp偏光されるように構成される。
図20は、かすめ入射Moミラーにおけるpおよびs偏光放射に対する反射率を示している。Rsが全てのかすめ角に対して100%に近い一方、Rpは実質的に低く、1°のかすめ角で最小反射率63%だけを有する。入射角の一般的な範囲にわたって、p偏光放射に対する平均反射率は約80%〜90%となる。したがって、IR放射の量は、通常真っ直ぐでありかつEUV損失には繋がらない偏光を単に最適化することによって一般的に10%〜20%減少することができる。
【0160】
[00185] 上記の例は1つのミラーのみの効果を示している。放射が多数のかすめ入射ミラーに対してp偏光される場合、IR抑制は必要に応じて高められる。さらに、かすめ入射ミラー上への反射防止コーティングの使用は、かすめ角におけるp偏光に対する反射率を大幅に減少し、よってレーザビーム偏光の最適化の効果をさらに高める。これは
図21に示しており、p偏光(Rp)およびs偏光(Rs)に対する10.6μmの反射防止(AR)コーティングを有するミラーの反射率を示している。
【0161】
[00186] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0162】
[00187] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【0163】
[00188] 本発明の実施形態は、放電生成プラズマ源(DPP源)またはレーザ生成プラズマ源(LPP源)を含むがそれらに限定されない、あらゆるタイプのEUV源に対して使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、本発明の一実施形態は、特に、典型的にはレーザ生成プラズマ源の一部を形成するレーザ源からの放射を抑制するために適していてよい。これは、そのようなプラズマ源が、多くの場合、レーザから発生する二次放射を出力するからである。
【0164】
[00189] スペクトル純度フィルタは、実際には放射経路のあらゆる箇所に配置されてもよい。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUV放射源からEUVを含む放射を受けてEUV放射を適切な下流EUV放射光学システムへと運ぶ領域内に配置されており、ここでEUV放射源からの放射は、光学システムに入る前にスペクトル純度フィルタを通るように構成されている。一実施形態では、スペクトル純度フィルタはEUV放射源内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUVリソグラフィ装置内、例えば照明システムまたは投影システム内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマの後ではあるがコレクタの前の放射経路内に配置される。
【0165】
[00190] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0166】
[00191] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、X線および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0167】
[00192] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0168】
[00193] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、装置が上記に開示した方法を行うようにするために実行可能な1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。